JP5063345B2 - 近赤外線吸収色素含有粘着剤 - Google Patents
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Description
ここで、上記(a)から(c)の方法により、複数の層を貼りあわせて製品としているのが、一般的である。しかしながら、製造時の手間、コストおよび光線透過率を考慮すると多くの層を積層するほど、コストアップ及び光線透過率の低下につながっているのが現実である。よりいっそうのコストダウン及び光線透過率を向上させるためには、層数を削減するのが望ましい方向である。
本発明の目的は、上記従来技術を鑑み、プラズマディスプレイパネル等の電子ディスプレイ画面から発生する近赤外線に対して優れた遮蔽機能を有し、かつ耐久性に優れた近赤外線吸収色素含有粘着剤を提供することにある。
Xが置換基を有する窒素原子の場合:
窒素原子の置換基は、下記一般式(A)で表される基である。
RXおよびRYはそれぞれ独立に1価の置換基を表し、連結基を介して結合していてもよい。
RXは下記一般式(A1)で表される基である。
RYはそれぞれ独立に、1価の置換基を表す。
Mは金属原子を表す。]
これらの近赤外線吸収色素含有粘着剤は、さらに特定の色補正用色素を含んでもよく、プラズマディスプレイパネル用フィルター等の電子ディスプレイ用フィルターの一部として用いることができる。
A.粘着剤の物性
A−1.粘着性能
本発明の粘着剤は、ポリエステルフィルム上に25±5μm厚さの該粘着剤からなる層を設け、温度23℃で7日間熟成後に、ステンレス板に貼り合わせたあと、温度23℃湿度65%の雰囲気条件下で、180度剥離法による(引っ張り速度300mm/分、単位g/25mm幅)接着強度が0.1g/25mm幅以上のものである。1.0g/25mm幅以上が好ましく、5.0g/25mm幅以上がより好ましく、10g/25mm幅以上が更に好ましく、50g/25mm幅以上が最も好ましい。また、通常10000g/25mm幅以下であり、8000g/25mm幅以下が好ましく、5000g/25mm幅以下がより好ましい。
A−2.近赤外線吸収能の耐久性
本発明の粘着剤は、近赤外線吸収能が必要な光学部材の一部として好適に用いることができ、様々な光(発光光、照射光、及び、環境光)による劣化が少ない。具体的には以下の耐光性を示すものである。
本発明の粘着剤は、近赤外線吸収色素を含有する粘着剤であって、これを厚さ25±5μmの層としたときに、該層に対して、波長300〜400nmでの放射照度64.5W/m2の光を160時間照射する耐光性試験において、耐光性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、試験前の該吸収強度に対して50%以上である。
近赤外線吸収色素は、いわゆる近赤外線領域以外にも極大吸収を示す場合もあるが、耐光性を評価するにあたっては、近赤外線吸収領域である800〜1050nmの範囲内の極大吸収波長における吸収強度の変化を測定する。
<耐熱性>
本発明の粘着剤は、該粘着剤を厚さ25±5μmの層とし、該層を温度80℃の環境下に250時間暴露する耐熱性試験において、耐熱性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、該試験前の該吸収強度に対して50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましく、80%以上であるのが最も好ましい。
上記のなかでもより好ましくは、温度80℃の環境下に500時間暴露する耐熱性試験において、耐熱性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、該試験前の該吸収強度に対して50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましく、80%以上であるのが最も好ましい。
耐熱性試験において、近赤外線吸収色素の極大吸収波長の求め方は、耐光性試験におけると同様である。
本発明の粘着剤は、該粘着剤を厚さ25±5μmの層とし、該層を温度60℃相対湿度90%に250時間暴露する耐湿熱性試験において、耐湿熱性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、該試験前の該吸収強度に対して50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましく、80%以上であるのが最も好ましい。
より好ましくは、温度60℃相対湿度90%に500時間暴露する耐湿熱性試験において、耐湿熱性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、該試験前の該吸収強度に対して50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのが更に好ましく、80%以上であるのが最も好ましい。
本発明の近赤外線吸収色素含有粘着剤は、近赤外線吸収色素と粘着性樹脂とを含むものであり、特定の構造を有する近赤外線吸収色素を用いることに特徴の一つを有する。近赤外線吸収色素の含有量は、粘着性樹脂の固形分に対して、1種類以上の近赤外線吸収色素を10ppm〜50wt%含むものである。該近赤外線吸収色素に応じた粘着性樹脂を組み合わせるとより好ましい。
本発明の近赤外線吸収色素は、800nm〜1050nmに最大吸収を有する。
前記耐久性のパラメータを達成する近赤外線吸収色素として、下記一般式(1)〜(8)で表される化合物が挙げられ、中でも下記一般式(1)〜(4)で表される化合物が好ましく挙げられる。
[1]一般式(1)〜(4)で表される化合物
X、Yはそれぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、または、置換基を有する窒素原子を表わす。
窒素原子の置換基は、下記一般式(A)で表される基である。
一般式(A)において、R’は、任意の置換基であり、R’同士が結合して縮合環を形成してもよい。n'は、単環の場合0〜4であり、縮合環の場合0〜10である。
Rは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計3以上有する、1価の置換基を示す。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基およびアリール基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、n−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、ネオペンチル基、2−エチルブチル基、2−ブチル基、シクロヘキシル基、3−ペンチル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基;2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基;2−ヘキシン基等のアルキニル基が挙げられる。このうち好ましくは炭素数4〜12程度の脂肪族炭化水素基、特に好ましくは、炭素数4〜12程度の分岐鎖脂肪族炭化水素基である。
(b)複素環基
チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドールイル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、チアゾリル基、ピラジニル基などが挙げられる。このうち好ましくは、炭素数3〜12程度の単環又は2環式5員環複素環基である。
アシル基(−COR)、カルバモイル基(−CONRR’)、アルコキシカルボニル基(−C(O)OR)、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、アシル基(−COR)のRは、先に挙げた脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、n-プロピル基、2−プロペニル基などが挙げられる。また、カルバモイル基(−CONRR’)のR、R’は、先にあげた脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、エチル基、n-プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。アルコキシカルボニル基(−C(O)OR)のRは、先にあげた脂肪族炭化水素基の具体例と同様のものに加え、エチル基、n-プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。さらに、アリールオキシカルボニル基(−C(O)OR)のRは、先にあげたアリール基の具体例と同様のものが、複素環オキシカルボニル基(−C(O)OR)のRは、先にあげた複素環基の具体例と同様のものが挙げられる。
炭化水素チオ基(−SR)のRは、先にあげた炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、n-プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。
(e)シリル基
シリル基としては、t−ブチルジフェニルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、ジメチルプロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基などのシリル基が挙げられる。好ましくは炭素数3〜18程度のアルキルシリル基である。
炭化水素アミノ基(−NRR’)のRおよびR’は、先にあげた炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、n−プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。
(g)炭化水素オキシ基
炭化水素オキシ基(−OR)のRは、先にあげた炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、n−プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。
例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基及びシリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。
R’は、色素の安定性や、粘着性樹脂への分散/溶解性に影響を与えないものであれば特に限定されず、任意の1価の置換基である。
例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基及びシリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。
RXおよびRYはそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、RXおよびRYが連結基を介して結合してもよい。好ましくは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいカルボニル基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよい炭化水素アミノ基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基、炭化水素カルボニル基、シアノ基またはハロゲン原子が挙げられる。これらの具体例は、先の一般式(A)のR’の具体例が当てはまる。
これらの構造は、1価の置換基を有していてもよい。具体的には(A)において置換していてもよい置換基として述べたものと同様である。この中でも好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フッ素原子、塩素原子で、特に好ましくは3級、2級の分岐鎖状アルキル基である。
Zは、酸素原子、硫黄原子、または置換基を有していてもよい窒素原子を示す。
M2は金属原子を表す。
ここで、式(2)のZは式(1)のY、式(2)のM2は式(1)のMに該当する。また、式(2)のR1及びR2は式(A)のRに該当する。
(1)−(i)Xが置換基を有する窒素原子、かつ、Yが酸素原子、かつ、RxとRyとが連結基を介して結合している場合である。特に、ベンゼン環を形成している場合には
、RxとRyとが結合して形成されたベンゼン環は、分岐鎖アルキル基で2個以上置換されていることが望ましい。窒素原子の置換基である上記式(A)のRとしては、特に、炭素数3〜10程度の置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖アルキル基、または、炭素数2〜10程度の置換基を有していてもよいアルコキシ基、あるいは、アルキルチオ基、あるいは、置換アミノ基である。R同士は、連結基を介して結合していてもよい。
RXは下記一般式(A)で表される化合物である。ただし、(A)は縮合環を形成していてもよい。
一般式(A)において、Rは炭素原子、酸素原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計4以上有する、1価の置換基を示す。Rとしては、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいカルボニル基、置換されていてもよい炭化水素チオ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよい炭化水素アミノ基、置換されていてもよい炭化水素オキシ基が挙げられる。具体的には先の(1)の一般式(A)のRのうち炭素原子、酸素原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計4以上有するものである。
R’は、該置換基の種類は色素の安定性や、粘着性樹脂への分散/溶解性に影響を与えないものであれば特に限定されない。
例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基及びシリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。具体的には先の(1)の一般式(A)のR’の具体例と同様である。
以上述べた中で、特に好ましい例としては、以下の(2)−(i)および(ii)である。
(2)−(i)X、Yが硫黄原子、かつ、RXが(A)を有する場合。
X1及びX2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計4以上有する1価の基である。X1及びX2が連結基を介して結合していてもよい。
M3は、金属原子を表す。
ここで、式(3)のR3及びR4は式(1)のRX、式(3)のM3は式(1)のMに該当する。式(3)のX1及びX2は前記式(A)のRに該当する。
一方、式(1)において、(A)のRは、炭素数4〜10程度の置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖アルキル基、または、炭素数3〜10程度の置換基を有していてもよいアルコキシ基、アルキルチオ基、置換アミノ基が好ましく、R同士は連結基を介して互いに結合していてもよい。
(2)−(ii)Xが硫黄原子、Yが酸素原子、RXまたはRYの一方が(A)を有する場合。
(A)を有さないRXまたはRYは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基を有する場合である。RXとRYとは、連結基を介して結合してもよいが、結合しない方がより好ましい。
本発明に係る一般式(1)〜(4)で表わされる化合物は、主として(メタ)アクリル系粘着剤との組合せが好ましい。中でも、粘着剤の分子内のカルボキシル基を有する単量体の共重合比を制御することで得られる酸価が、30mgKOH/gより小さい粘着剤との組み合わせが好ましい。
なお、化合物57〜66においてArは、同一分子内の置換フェニル基と同じ構造を示す。
[2]一般式(5)で表される化合物
M4としては、Ni,Pd,Pt,Co,Fe,Cu,Au,Cr,Mnが、好ましい。さらに好ましくは、Ni,Pdである。最も好ましくは、Niである。
脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、ネオペンチル基、2−エチルブチル基、イソプロピル基、2−ブチル基、シクロヘキシル基、3−ペンチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基;2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基が挙げられる。このうち好ましくは炭素数10以下の分岐鎖アルキル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アズレニル基、メタロセン環基などが挙げられる。このうち好ましくは炭素数12以下の単環又は縮合2環式アリール基である。更に好ましくは、フェニル基である。
複素環基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドールイル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、チアゾリル基、ピラジニル基などが挙げられる。このうち特に、好ましくは、チエニル基である。
R7およびR8は、R5で述べた分岐鎖アルキル基、特に、2級アルキル基、または、置換基を有してもよいフェニル基が好ましい。
特に好ましいR5およびR6の組み合わせは、以下の(a)〜(d)である。
(a)R5およびR6において、p−位かつ/または、m−位に置換されていてもよいフェニル基を有する場合;
フェニル基の置換基は、1価の置換基で、隣りあった置換基は、直接、または、連結基を介して結合していてもよい。例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基又はシリル基などが挙げられる。
(b)R5は、置換基が少なくともオルト位にあるフェニル基であり、かつR6が、水素原子の場合;
オルト位の置換基が、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計4以上有する1価の置換基である場合が特に好ましい。具体的には、炭化水素基としては、以下の(1)〜(3)である。
(1)脂肪族炭化水素基としては、n−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、ネオペンチル基、2−エチルブチル基、2−ブチル基、シクロヘキシル基、3−ペンチル基等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基;2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基;2−ヘキシン基等のアルキニル基が挙げられる。このうち好ましくは炭素数4から12程度の脂肪族炭化水素基、特に好ましくは、炭素数4から12程度の分岐鎖脂肪族炭化水素基である。
(3)複素環基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドールイル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、チアゾリル基、ピラジニル基などが挙げられる。このうち好ましいのは、炭素数3以上、12以下の単環又は2環式5員環複素環基である。
アミノ基(−NRR’)のR、R’としては、先にあげた炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例と同様のものに加え、n-プロピル基、2−プロペニル基、エチニル基などが挙げられる。
シリル基としては、t−ブチルジフェニルシリル基、n−ブチルジメチルシリル基、ジメチルプロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基などのシリル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以上、18以下のアルキルシリル基である。
(c)R5は、置換基が少なくともオルト位にあるフェニル基で、R6が、置換基を有するフェニル基の場合;
R5のオルト位の置換基は、炭素原子、硫黄原子、酸素原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計3以上有する、1価の置換基の場合が好ましい。特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基である。オルト位以外にも置換基を有していてもよいが、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フッ素原子、塩素原子、シアノ基である。R6の置換基は、フェニル基のメタ位かつ/あるいはパラ位にあることが好ましく、任意の1価の基であるが、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フッ素原子、塩素原子、シアノ基である。
R5およびR6のオルト位の置換基は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計2以上有する、1価の置換基の場合が好ましい。特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基であり、特に好ましくは、分岐鎖アルキル基、または、分岐鎖アルコキシ基である。オルト位以外にも置換基を有していてもよいが、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、フッ素原子、塩素原子、シアノ基である。
R9、R10、R11およびR12のアルキル基として好ましくは、分岐鎖アルキル基、特に2級アルキル基であり、具体的には一般式(5)のR7およびR8で述べたものである。
R16のアルキル基としては、炭素数1〜6程度の直鎖、分岐鎖のアルキル基が挙げられる。特に好ましくは、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基などの直鎖アルキル基である。
R15を有するフェニル基、および、R16が置換基を有するフェニル基の場合の該フェニル基は、任意の1価の置換基を1〜3個含んでもよいが、より具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましい。
一般式(8)で表される化合物のうち、好ましいものの具体例として以下の構造が挙げられる。
また、上記一般式(1)〜(8)で表される化合物のモル吸光係数は、通常5000以上、好ましくは8000以上である。
加えて、上記一般式(1)〜(8)で表される化合物のトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒から選ばれる溶媒に対する溶解度としては、通常0.1%以上、好ましくは0.5%以上である。
本発明の粘着剤に含有される近赤外線吸収色素は、公知の化合物に対して特定の位置の、特定の置換基の種類に特徴を有するものである。従って、本発明の近赤外線吸収色素の製造方法は、基本的には骨格構造が同一の公知化合物の製造方法と同様であり、その際に特定の置換基を有する原料を用いればよい。以下、簡単に製造方法を説明する。
(1)−(i)上記一般式(2)の化合物
(a)Xが置換基を有する窒素原子で、Yが酸素原子の場合
例えば、Russ. J. Gen. Chem., 66巻、1842頁(1996年)に記載の方法で合成できる。
(b)Xが置換基を有する窒素原子で、Yが硫黄原子の場合
例えば、特開昭63−112592やDyes. Pig. 381 (1987)などに記載の方法により合成できる。
(c)Xが置換基を有する窒素原子で、Yが窒素原子の場合
例えば、J.Am.Chem.Soc.,88卷、5201頁(1966年)に記載の方法により合成できる。
(1)−(ii)上記一般式(3)の化合物
(a)Xが硫黄原子で、Yが硫黄原子の場合
例えば、Mol. Cryst. Liq. Crst.(Lett), 56巻、249頁(1980年)に記載の公知の方法で製造できる。
例えば、置換フェノール、置換アニリンなどを出発原料とし、水酸基あるいはアミノ基をKOHやK2CO3などを塩基として用い、相関移動触媒(テトラアルキルアンモニウム塩)存在下、アルキルハライドにより、エーテル化あるいはN,N-アルキル化する。得られたエーテル体あるいはN,N-ジアルキルアニリンに対し、塩化アルミニウムや塩化スズなどのルイス酸を用いて、Friedel-Crafts反応によりアシル化を行う。さらに、α―水素を酢酸中、臭素でモノブロモ化し、エトキシキサントゲン酸カリウム(あるいは、イソプロポキシキサントゲン酸カリウム)で-BrをーSC(S)OEt(あるいはOiPr)に変換し、HBr、AcOHを用いて閉環反応を行い、前駆体である[1,3]-ジチオールー2−オン誘導体を得る。次いで、例えば、Mol. Cryst. Liq. Crst.(Lett), 56巻、249頁(1980年)に記載の公知の方法などで含金属錯体化し、合成できる。
上記一般式(6)の化合物と上記一般式(3)の化合物とを有機溶媒中(具体的には、トルエン、キシレンなどのベンゼン系溶媒;THF、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒など)、室温〜還流下、1時間〜12時間程度撹拌し、化合物(5)に変換する。化合物(5)は、カラムクロマトグラフィーやGPC(gel permutation chromatography)などにより精製して得ることができる。
J. Mat. Chem., 1861頁(1994年)に記載の公知の方法で製造できる。
(5)上記一般式(7)の化合物
例えば、特開2001−89492号に記載の方法で合成できる。
本発明の粘着剤に用いる粘着性樹脂(感圧接着剤)とは、2つの同種または異種の固体を結合する物質であり、3つの特性を有する必要がある。第1の特性としては、容易に流動して2つの固体を密着させること。第2の特性としては、各々の被着体に対して濡れ性があり被着体表面と強固に結合すること。第3の特性は、粘着剤を介して結合した固体が粘着剤自体の破壊により剥がれないことが必要である。このため、粘着性樹脂(感圧接着剤)のガラス転移温度(Tg)は、流動性が良くなるようにTgが低い必要がある。具体的にはTgが10℃以下の成分(樹脂)を1種類以上含むのが好ましい。粘着性の点では、Tgが10℃以下の成分(樹脂)の、粘着性樹脂全体に対する割合は1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、50重量%以上が最も好ましい。
また、被着体の表面との接着性を良好にするためには、被着体表面と親和性のある官能基を分子中に含有する必要がある。また、粘着性樹脂だけで十分でない時は、粘着性樹脂と反応する多官能基を含む硬化剤と反応させて粘着性樹脂自体の強度を高めて剥離を防ぐ必要がある。
使用する樹脂の分子量としては、粘着特性に影響が無い範囲においては高分子量であることが望ましいが、高分子量化により粘着特性等が低下することがあるので、好ましい分子量は重量平均分子量10万〜1000万、より好ましくは100万〜500万である。また、数平均分子量の異なった樹脂を混合することにより耐久性と粘着特性の調整をしてもよい。
目的に応じて、以下のものを添加してもよい。
(1)老化防止剤としてフェノール系誘導体、アミン系誘導体、リン系誘導体、有機チオ酸塩等を添加してもよい。
粘着性樹脂としては、多くの種類の樹脂が使用可能であるが、多くの樹脂は、樹脂自身の光透過率が低く、透明性が悪かったり、太陽光や熱により変色したり粘着性樹脂自身の変質により剥がれてしまうことがある。よって光学特性が良く、耐光性も耐熱性も良好なアクリル樹脂系の粘着性樹脂がよい。また、老化防止剤、可塑剤等は、長期間の使用によりブリードし、徐々に性能が低下していくことがあるので、可能な限り添加剤は使用しない方がよい。
(メタ)アクリル系粘着剤としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、ポリマー内に官能基を付与するためにアクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含有の単量体を共重合させた(メタ)アクリル系ポリマー、或いはその他共重合可能な単量体及びオリゴマーと共重合させた(メタ)アクリル系ポリマー、さらにその(メタ)アクリル系ポリマーが有する官能基と反応する架橋剤を添加した(メタ)アクリル系ポリマーが使用可能である。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。分子内に官能基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。架橋剤としては、アクリル系粘着剤と反応可能な官能基を分子内に2個以上有していればよく、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、メラミン化合物、尿素樹脂、金属キレート剤が知られている。
C.本発明の粘着剤の製造方法
C−1.粘着剤の製造方法
本発明の粘着剤は、上記近赤外線吸収色素と粘着性樹脂とを混合して得られる。
本発明の粘着剤は、公知の攪拌機や混練機などによって色素と粘着性樹脂を均一に混合してもよいし、色素を溶剤に分散または溶解した後粘着性樹脂と均一に混ぜて使用してもよい。
色素と粘着性樹脂との混合は、所定の量比で全量を一度に混合してもよいし、一方に対して、他方を段階的に混合してもよい。通常、粘着性樹脂と色素を一度に混合する。
C−2.粘着剤層の製造方法
本発明の粘着剤は、シート状、または液状として使用するのが好ましい。
粘着剤を溶解する有機溶剤としては、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類;シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、スクアラン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類;テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;あるいはこれらの混合物が挙げられる。
乾燥後の膜厚が、1μm〜1000μmとなるように加工するのが好ましい。より好ましくは、接着強度の維持、硬度の確保などから10〜100μmである。
通常フィルムや積層体上に膜状に成形する。具体的にはPET、TAC等のフィルム基材や反射防止フィルムや電磁波シールドフィルム等の機能性フィルムの裏面、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート板、あるいは既に機能性材料を積層した物に枚葉塗布してもよい。
また、剥離処理したフィルム上に上記粘着剤を塗布し、さらに乾燥後、上記剥離フィルムと剥離強度の違う剥離フィルムをラミネーター等で貼り合せることによりフィルム基材を有しない両面接着フィルムとして使用することが出来る。
C−3.粘着剤層の物性
実用可能な接着強度としては、ポリエステルフィルムに25μm厚さの粘着剤層を設け、温度23℃で7日間熟成後に、ステンレス板に貼り合わせたあと、温度23℃湿度65%の雰囲気条件下で、180度剥離法による(引っ張り速度300mm/分、単位g/25mm幅)接着強度が、0.1〜10000g/25mmが好ましい。中でも、再剥離可能な粘着剤層に於いては、1.0g/25mm以上が好ましく、5.0g/25mm以上がより好ましく、10g/25mm以上が更に好ましい。再剥離が必要でない粘着剤層に於いては、10g/25mm以上が好ましく、50g/25mm以上がより好ましく、100g/25mm以上が更に好ましい。
D−1.近赤外線吸収フィルター
近赤外線吸収フィルターは、基材に本発明の近赤外線吸収色素を含む粘着剤により粘着剤層を形成し、目的に応じて、多様な層を接着して製造することができる。本発明によれば、近赤外線吸収層を省くことが可能になり、光学フィルターの製造工程を簡便化することができる。
本発明の近赤外線吸収フィルターの製造方法としては、透明基板に近赤外線吸収色素および粘着性樹脂を含む塗工液をコーティングする方法、近赤外線吸収色素および粘着性樹脂を溶融混錬してフィルム状に成形する方法などが挙られる。なかでも、近赤外線吸収色素に対する負荷を低減するため、塗工液をコーティングする方法が好ましい。
(透明基板)
本発明の近赤外線吸収フィルターを構成する透明基板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない基材であればよく、特に制限はない。その具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましい。
透明基板は、これらの樹脂を、射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などの成形方法を用い、フィルム状に成形したものが用いられる。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積層されていてもよい。
更に、透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施してもよい。
(近赤外線吸収色素を含む粘着剤)
近赤外線吸収色素を含む粘着剤の塗工液は、近赤外線吸収色素を粘着性樹脂とともに溶剤中に溶解又は分散させることにより、調製することができる。また、分散させる場合、近赤外線吸収色素を必要に応じて分散剤を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、粘着性樹脂とともに、溶剤に分散させて調製することもできる。
尚、粘着性樹脂に対する近赤外線吸収剤の濃度としては、当然のことながら、近赤外線吸収色素含有粘着剤の厚さにも依存するため、溶融混練してフィルム状に成形するような場合には、上述の濃度よりは低くなる。
溶媒としては、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類;シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、スクアラン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類;テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;あるいはこれらの混合物を用いることができる。
近赤外線吸収色素を含む粘着剤の乾燥後の膜厚が、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、通常5000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下となるように塗布される。
(紫外線カット層)
本発明の赤外線吸収色素を含む粘着剤を塗布したフィルターは、さらに紫外線カット層を設けることにより、近赤外線吸収色素との相乗効果によって、近赤外線吸収フィルターの耐光性を著しく向上させることができる。本発明の粘着剤によって紫外線カット層を基材と接着してもよいし、粘着剤と他の層とを接着した後、更に他の粘着剤によって紫外線カット層を接着してもよい。
紫外線カット層に用いられる紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よくカットする化合物であれば、有機系、無機系のいずれも特に限定なく用いることができる。例えば有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。無機系紫外線級剤としては、酸化チタン系紫外線吸収剤、酸化亜鉛系紫外線吸収剤、微粒子酸化鉄系紫外線吸収剤等が挙げられる。しかし、無機系紫外線吸収剤の場合は、紫外線カット層中においては微粒子状態で存在しているため、近赤外線吸収フィルターの効率を損なう恐れがあることから、有機系紫外線吸収剤が好ましい。
また、紫外線カットフィルムは、市販のUVカットフィルターを使用することもできる。例えば、富士フィルム社製のSC−38、SC−39、SC−42、三菱レーヨン社製のアクリプレン等が挙げられる。上記のUVカットフィルター、SC−39、アクリプレンは、ともに350nmの波長を99%以上吸収する紫外線カットフィルムである。
また、本発明により得られる近赤外線吸収フィルターは、本発明のディスプレイパネル用フィルター以外にも、熱線遮断フィルム、サングラス、保護眼鏡、リモコン受光器など幅広い用途に使用することができる。
さらに、本発明の近赤外線吸収色素を含有する粘着剤を粘着剤層として含む近赤外線吸収フィルターは、必要に応じて、色調補正層(可視光吸収層)、電磁波カット層、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止層(ノングレア層)を設け、電子ディスプレイ用、より好ましくはプラズマディスプレイパネル用フィルターとして使用することができる。
本発明の電子ディスプレイ用フィルターは、上記近赤外線吸収フィルターを用いる以外は、通常、用いられる構成や製造方法等を任意にとることができ、特に限定されるものではない。
以下にプラズマディスプレイパネル用フィルターとして用いる場合を代表例として説明する。
通常のプラズマディスプレイの可視光の発光は、450nmをピークとして、400〜500nmに青色の発光が存在し、525nmをピークとして500〜550nmに緑の発光が存在し、また、赤色の発光は595nm、610nm、625nmにシャープな発光として存在している。
このうち、赤色の発光のうち595nmの発光は、プラズマディスプレイの赤色表示時の赤をオレンジ色がからせる発光であるので、この領域に吸収を持つ色素を前面フィルターに含有させてカットさせるのが通常である。
本発明の近赤外線吸収フィルターを含め、一般的な近赤外線吸収フィルターはやや緑色を帯びることが多い。プラズマディスプレイ等のディスプレイ用途に使用する場合は、その色は無彩色であることが好ましいため、ディスプレイの輝度を大きく損なわない程度に、緑色の補色となるような500〜600nmに吸収を持つ色材を含有させ、無彩色化することが好ましい。
これらの色素を含有する層は、近赤外線吸収層とは別の層として作成し、近赤外線吸収層と貼り合わせた積層体として用いてもよい。また、近赤外線吸収層と混合した際の発色性、耐久性等諸特性に問題がなければ、近赤外線吸収層と同一層となるようにしてもよい。なかでも、工程簡略化、コスト削減等の観点から後者の方が好ましい。
本発明の粘着剤に更に可視光吸収色素を含ませるか、本発明の粘着剤とは別に、可視光吸収色素を含む粘着剤を用いることによって、更に可視光吸収層を省略することができ、電子ディスプレイ用フィルターの製造工程を更に簡便化することができる。
このとき可視光吸収色素、および粘着剤などの全固形分の濃度は、通常5〜50重量%である。全固形分に対する可視光吸収色素の濃度は、総量として通常0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。ただし、粘着剤に対する可視光吸収色素の濃度としては、当然のことながら、可視光吸収色素含有粘着剤の厚さにも依存する。
膜厚も近赤外線吸収色素および粘着性樹脂を含む塗工液の場合と同様に、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下となるように塗布される。
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる電磁波カット層の作製は、金属酸化物等の蒸着あるいはスパッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウムスズ(ITO)を用いるのが一般的である。誘電体層と金属層を基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的である。通常、誘電体層から順次3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。基材としては、本発明の近赤外線吸収フィルターをそのまま利用してもよいし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリングによって電磁波カット層を設けた後に、本発明の近赤外線吸収フィルターと貼り合わせてもよい。
(3) 反射防止層
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる反射防止層としては、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法や、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
(4) ノングレア層
上述の各層の他にぎらつき防止層(ノングレア層)を設けてもよい。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
電子ディスプレイ用フィルターとして必要な耐久性の一つが、耐光性である。電子ディスプレイからの発光光、照射光、及び電子ディスプレイへ入射する環境光による劣化がないことが、実用上非常に重要である。
耐光性の性能物性の指標は以下のとおりである。
波長340nmで0.55W/m2、波長420nmで1.38W/m2、波長300〜400nmで64.5W/m2、波長300〜800nmで605.4W/m2の照射強度のキセノン光をUV光をカットした状態で160時間照射し、照射前の最大吸収波長において照射前後の吸収強度を対比した「照射後の吸収強度÷照射前の吸収強度×100」で算出される割合が、50%以上であることが、実用上必要である。好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。
温度80℃の環境下に250時間暴露し、暴露前の最大吸収波長において暴露前後の吸収強度を対比した「暴露後の吸収強度÷暴露前の吸収強度×100」で算出される割合が、50%以上であることが、実用上必要である。より好ましくは80%以上である。
さらに好ましくは、500時間の暴露において、該割合が50%以上であることが、実用上必要である。より好ましくは80%以上である。
特に好ましい耐熱性は、温度90℃の環境下に250時間暴露し、暴露前の最大吸収波長において暴露前後の吸収強度を対比した「暴露後の吸収強度÷暴露前の吸収強度×100」で算出される割合が50%以上、より好ましくは80%以上である。
また耐湿熱性を有するものには、実用上の耐性、信頼性向上はもちろんのこと、船便での運搬や保管での劣化低減にも非常に有効である。重量がある輸出製品は船便での運搬がなされるが、船底近くでの保管場所では、非常に湿度の高い環境となる。
温度60℃相対湿度90%の環境下に250時間暴露し、暴露前の最大吸収波長において暴露前後の吸収強度を対比した「暴露後の吸収強度÷暴露前の吸収強度×100」で算出される割合が、50%以上であることが、実用上必要である。より好ましくは80%以上である。
さらに好ましくは、500時間の暴露において、該割合が50%以上であることが、実用上必要である。より好ましくは80%以上である。
またこれら耐久性及び信頼性以外に、電子ディスプレイ用フィルターとして、特に800〜1050nmの波長領域において、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こす原因となることから、800〜1050nmの近赤外線を遮蔽する機能が必要である。
800〜1050nmの波長領域を遮蔽するためには、複数の近赤外線吸収色素を含有してもよい。1つの色素で分光透過率40%以下を達成できれば、複数の色素を含有することで、より好ましい分光透過率10%以下を達成することは可能である。
[近赤外線吸収色素の製造]
例1 例示化合物1/一般式(1)
λmax(in THF):881nm
例2 例示化合物106/一般式(6)
λmax(in THF):1001nm
例3 例示化合物32/一般式(4)
λmax(in THF) 858nm
例4 例示化合物34/一般式(4)
EI MS:828
λmax(in THF) 855nm
例5 例示化合物31/一般式(4)
EI MS:744
λmax(in THF) 850nm
例6 例示化合物54/一般式(4)
EI MS:620
λmax(in THF) 793nm
例7 例示化合物72/一般式(4)
(前駆体)
λmax(in THF) 906nm
例8 例示化合物73/一般式(4)
EI MS;403
EI MS:808
λmax(in THF) 897nm
例9 例示化合物70/一般式(4)
EI MS;459
EI MS:920
λmax(in THF) 903nm
例10 例示化合物69/一般式(4)
EI MS;475
EI MS:952
λmax(in THF) 914nm
例11 例示化合物125/一般式(8)
EI MS:476
λmax(in THF) 762nm
例12 例示化合物76/一般式(5)
EI MS;600
λmax(nm、 in THF):946nm
つぎに、こうして得られた近赤外線吸収色素を用いて粘着剤を製造し、評価を行った。
(粘着剤の製造方法)
実施例、比較例の近赤外線吸収色素を含む粘着剤は、次のように作製した。
近赤外線吸収性能をもつ化合物をTHF2.5gに添加し攪拌し、その中にアクリル系粘着主剤10.0gを添加し、よく攪拌して溶解させた。その中に、硬化剤を規定量添加し、よく攪拌した。攪拌時に巻き込んだ気泡は、超音波をかけるか、または静止して気泡を上方へ集め、取り除いた。
つぎに、これら近赤外線吸収色素を含む粘着剤を、ベーカー式アプリケータ(テスター産業社製)で厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムに厚さ125μmで塗工し、100℃で2分乾燥し、厚さ25μmの近赤外線吸収色素を含む粘着剤層を形成した。
つぎに、この近赤外線吸収色素含有の粘着剤層側に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムをローラで圧着し、近赤外線吸収色素含有の粘着剤層を挟んだ積層体の試験片を得た。
その後、該試験片に対して評価1を行い、続いて評価2〜5を行った。
評価にあたっては各試験前後の吸収強度を測定した。
吸収強度を測定するために、まず分光透過スペクトル測定(島津製作所社製UV−3150、積分球方式にて測定)により透過率を得て、該透過率から各試験片の極大吸収波長での吸収強度を算出した。また複数の色素を混合した場合には、各色素の極大吸収波長での吸収強度を得た。
試験片を温度24℃湿度45%の条件下で7日以上放置した。
熟成前の吸収強度に対する熟成後の吸収強度を求めた。
<評価2:耐光性試験>
試験片にUVカットフィルター(SC−39、富士写真フィルム社製)を装着し、キセノン耐光性試験機であるアトラス・ウエザオメーターCi4000(東洋精機製作所社製)により、160時間照射した。
耐光性試験前の吸収強度に対する耐光性試験後の吸収強度を求めた。
試験片を60℃90%RH恒温恒湿槽に入れ、250hおよび500h暴露した。
耐湿熱性試験前の吸収強度に対する耐湿熱性試験後の吸収強度を求めた。
<評価4:耐熱性試験1>
試験片を80℃恒温槽に入れ、250hおよび500h暴露した。
<評価5:耐熱性試験2>
試験片を90℃恒温槽に入れ、250h暴露した。
耐熱性試験前の吸収強度に対する耐熱性試験後の吸収強度を求めた。
近赤外線吸収色素として、例示化合物32を25mg、アクリル系粘着性樹脂としてSKダイン1811L(綜研化学社製)、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤L−45(綜研化学社製)を含む粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は862nmであった。
接着強度を、ポリエステルフィルムに25μm厚さの粘着剤層を設け、温度23℃で7日間熟成後に、ステンレス板に貼り合わせたあと、温度23℃湿度65%の雰囲気条件下で、180度剥離法により(引っ張り速度300mm/分、単位g/25mm幅)測定した。接着強度は850g/25mm幅であった。
近赤外線吸収色素として例示化合物32を25mg、アクリル系粘着性樹脂としてSKダイン2094(綜研化学社製)、硬化剤としてエポキシ系硬化剤E−AX(綜研化学社製)を含む粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は866nmであった。
(接着強度の測定)
SKダイン2094(綜研化学社製)は、酸価が6.9mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/gである。接着強度を、ポリエステルフィルムに25μm厚さの粘着剤層を設け、温度23℃で7日間熟成後に、ステンレス板に貼り合わせたあと、温度23℃湿度65%の雰囲気条件下で、180度剥離法により(引っ張り速度300mm/分、単位g/25mm幅)測定した。接着強度が1000g/25mm幅であった。
近赤外線吸収色素として例示化合物32を25mg、アクリル系粘着性樹脂としてSKダイン909A(綜研化学社製)、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤L−45(綜研化学社製)を含む粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は862nmであった。
(接着強度の測定)
SKダイン909A(綜研化学社製)は、酸価が17.2mgKOH/g、水酸基価が0mgKOH/gである。接着強度としては、ポリエステルフィルムに25μm厚さの粘着剤層を設け、温度23℃で7日間熟成後に、ステンレス板に貼り合わせたあと、温度23℃湿度65%の雰囲気条件下で、180度剥離法により(引っ張り速度300mm/分、単位g/25mm幅)測定した。接着強度が1150g/25mm幅であった。
近赤外線吸収色素として例示化合物31を用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は855nmであった。
実施例5
近赤外線吸収色素として例示化合物31を用いて、実施例2と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は857nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物31を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は856nmであった。
実施例7
近赤外線吸収色素として例示化合物40を用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は852nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物40を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は855nmであった。
実施例9
近赤外線吸収色素として例示化合物106を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は1010nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物73を用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は905nmであった。
実施例11
近赤外線吸収色素として例示化合物73を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は897nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物70を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は903nmであった。
実施例13
近赤外線吸収色素として例示化合物72を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は906nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物69を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は914nmであった。
実施例15
近赤外線吸収色素として例示化合物1を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は887nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物117を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は828nmであった。
実施例17
近赤外線吸収色素として例示化合物125を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は762nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物56を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は838nmであった。
実施例19
近赤外線吸収色素として例示化合物81を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は919nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物76を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は953nmであった。
実施例21
近赤外線吸収色素として例示化合物103を用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は913nmであった。
近赤外線吸収色素として例示化合物32を25mgと例示化合物76を25mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の862nmと953nmとで吸収強度の性能評価を行った。
実施例23
近赤外線吸収色素として例示化合物31を25mgと例示化合物76を25mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の856nmと953nmとで吸収強度の性能評価を行った。
近赤外線吸収色素として例示化合物40を25mgと例示化合物76を25mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の855nmと953nmとで吸収強度の性能評価を行った。
実施例25
近赤外線吸収色素として例示化合物32を25mgと例示化合物106を25mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の862nmと1010nmとで吸収強度の性能評価を行った。
近赤外線吸収色素として例示化合物40を25mgと例示化合物106を25mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の852nmと1010nmとで吸収強度の性能評価を行った。
実施例27
近赤外線吸収色素として例示化合物32を28mgと例示化合物76を27mgとマイクロリスMagenta5B−K(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)26mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。3つの化合物の各極大吸収波長の583nm、862nm、953nmで吸収強度の性能評価を行った。
近赤外線吸収色素として例示化合物32を28mgと例示化合物76を27mgと、フタロシアニン−化学と機能(アイピーシー社)P.29、P.39−40の方法でテトラ−t−ブチルアザポルフィリン無金属体を合成後、塩化銅を用いて合成したテトラ−t−ブチルアザポルフィリン銅錯体10mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。3つの化合物の各極大吸収波長の585nm、862nm、953nmで吸収強度の性能評価を行った。
近赤外線吸収色素として下式に示す化合物Rを21mg用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は862nmであった。
近赤外線吸収色素として比較例1と同じ化合物Rを21mg用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は854nmであった。
比較例3
近赤外線吸収色素としてナフタロシアニン系のEX906B(日本触媒社製)25mgを用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は924nmであった。
近赤外線吸収色素として比較例3と同じ化合物25mgを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は927nmであった。
比較例5
近赤外線吸収色素としてフタロシアニン系化合物の関東化学社製07975−62を16mg用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は735nmであった。
近赤外線吸収色素としてナフタロシアニン系化合物のシグマ・アルドリッチ社製39317−7を21mg用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は841nmであった。
比較例7
近赤外線吸収色素として比較例6と同じ化合物21mgを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は841nmであった。
近赤外線吸収色素としてナフタロシアニン系化合物のシグマ・アルドリッチ社製43296−2を25mg用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は743nmであった。
比較例9
近赤外線吸収色素として比較例8と同じ化合物25mgを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は741nmであった。
近赤外線吸収色素としてナフタロシアニン系化合物のシグマ・アルドリッチ社製41207−4を21mg用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は868nmであった。
比較例11
近赤外線吸収色素としてインモニウム系化合物、IRG068(日本化薬社製)13mgを用いて、実施例1と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は976nmであった。
近赤外線吸収色素としてインモニウム系化合物、IRG068(日本化薬社製)13mgを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。極大吸収波長は1092nmであった。
比較例13
近赤外線吸収色素として化合物Rを23mgとインモニウム系化合物CIR1081(日本カーリット社製)23mgとを用いて、実施例3と同方法にて粘着剤層を設け、試験片を作製した。2つの化合物の各極大吸収波長の865nm、1090nmで吸収強度の性能評価を行った。
(評価結果)
実施例1〜28および比較例1〜13の試験片に対する評価結果を表1に示す。
結果は以下のように評価した。
評価1:変化なしを○表記、変化ありを×表記とした。
評価2〜5:試験前の吸収強度に対する試験後の吸収強度が80%以上を◎表記、50%以上80%未満を○表記、0%以上50%未満を×表記、未実施は−表記とした。
評価1の結果は、以下のとおりであった。
比較例2の試験片は、熟成途中の3日後に(熟成後の吸収強度÷熟成前の強度×100)が90%であり、その後も変化し続け、15日後には82%になった。比較例5は溶解性がなく、吸収性能が発現しなかった。比較例10も、比較例2と同様に、熟成途中の3日後に吸収強度が90%となり、変化した。比較例11は近赤外線吸収色素含有の粘着剤を作製した時点で激しく黄変した。分光透過スペクトル形状が変化して、化合物IRG068の有する吸収性能が得られなかった。比較例12も近赤外線吸収色素含有の粘着剤が、黄変した。また、熟成途中の3日後に吸収強度が88%となり、変化した。これ以外は熟成前後での変化がなかった。
実施例1〜実施例21、実施例28は極大吸収波長の吸収強度が50%以上であった。実施例22〜実施例28は、複数の吸収性能を有する化合物を含有しているが、各化合物の極大吸収波長での吸収強度において、すべて50%以上であった。実施例27、実施例28では、近赤外線吸収性能だけでなく、可視光線範囲の吸収性能も有しており、良好な結果が得られた。
比較例において、比較例5、比較例10、比較例11以外は、評価2を実施できないか、もしくは50%未満であった。比較例3、比較例4、比較例6、比較例7及び比較例11、12は試験片の色が黄変した。
なお、2005年4月28日に出願された日本特許出願2005−133342号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (10)
- 下記一般式(1)、(5)又は(6)で表される近赤外線吸収色素を含む粘着剤。
XおよびYはそれぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子または置換基を有する窒素原子を表し、
Xが置換基を有する窒素原子の場合:
窒素原子の置換基は、下記一般式(A)で表される基である。
Rは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計3以上有する、1価の置換基を示す。ただし、(A)は、縮合環を形成してもよい。
R’は、任意の1価の置換基を表し、R’同士が結合して縮合環を形成してもよい。(A)が単環のときは、n’は0〜4、縮合環のときは、n’は0〜10である。)
RXおよびRYはそれぞれ独立に1価の置換基を表し、連結基を介して結合していてもよい。
Xが酸素原子または硫黄原子の場合:
RXは下記一般式(A1)で表される基である。
Rは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種類の原子を合計4以上有する、1価の置換基を示す。ただし、(A1)は、縮合環を形成してもよい。
R’は、任意の1価の置換基を表し、R’同士が結合して縮合環を形成してもよい。(A1)が単環のときは、n’は0〜4、縮合環のときは、n’は0〜10である。)
RYはそれぞれ独立に、1価の置換基を表す。
Mは金属原子を表す。)
M4は、平面四座配位子をとる金属原子である。)
M 5 は、平面四座配位子をとる金属原子である。) - 請求項1に記載の粘着剤において、上記一般式(1)で表される近赤外線吸収色素が下記一般式(4)で表される化合物である粘着剤。
Raは、炭素数3〜6の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基を示し、Rbは、炭素数1〜6の直鎖、あるいは、分岐鎖アルコキシ基あるいは、炭素数1〜5の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基を示す(但し、分岐鎖アルコキシ基である場合には、ORaと同じ基である)。
Rcは、水素原子、あるいは、炭素数1〜5の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基、あるいは、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、あるいは、ハロゲン原子からなる置換基を有していてもよいベンゼン環、あるいは、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、あるいは、ハロゲン原子からなる置換基を有してもよいフェニルチオ基を示す。) - 粘着剤を厚さ25±5μmの層とし、該層に対して、波長300〜400nmでの放射照度64.5W/m2の光を160時間照射する耐光性試験において、耐光性試験後の近赤外線吸収色素の極大吸収波長における吸収強度が、該試験前の該吸収強度に対して50%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤。
- 粘着剤がアクリル系ポリマーを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤。
- さらに可視光吸収色素を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤の層を有する近赤外線吸収フィルター。
- 請求項8に記載の近赤外線吸収フィルターを有するプラズマディスプレイ用前面フィルター。
- 下式一般式(4)又は(5)で表される近赤外線吸収色素。
Raは、炭素数3〜6の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基を示し、Rbは、炭素数1〜6の直鎖、あるいは、分岐鎖アルコキシ基あるいは、炭素数1〜5の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基を示す(但し、分岐鎖アルコキシ基である場合には、ORaと同じ基である)。
Rcは、水素原子、あるいは、炭素数1〜5の直鎖、あるいは、分岐鎖アルキル基、あるいは、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、あるいは、ハロゲン原子からなる置換基を有していてもよいベンゼン環、あるいは、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、あるいは、ハロゲン原子からなる置換基を有してもよいフェニルチオ基を示す。)
M4は、平面四座配位子をとる金属原子である。)
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