JP4011275B2 - プラズマディスプレイパネル用フィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル用フィルターに関する。詳しくは、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン発光を有効に遮断することができるプラズマディスプレイパネル用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型の壁掛けテレビをはじめ種々の電子機器の表示パネルとしてプラズマディスプレイパネルが使用され、その需要が増大し、今後もその数は益々増加するものと考えられる。
プラズマディスプレイでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起され真空紫外線を放射し、その真空紫外線励起による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ている。その際、ネオン原子が励起された後基底状態に戻る際に600nm(580〜590nm)付近を中心とするいわゆるネオンオレンジ光を発光する(映像情報メディア学会誌 Vol.51 NO.4 P.459-463 (1997) )。この為、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はネオン発光を有効にカットすることができ、かつ、耐熱性、耐光性等の耐久性の良好なプラズマディスプレイパネル用フィルターを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明等は、種々検討を重ね、スクアリリウム系化合物のバインダー樹脂として特定のポリエステル樹脂を使用することにより上記目的が達成されることを見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の内容を特徴とする。
1.ポリエステル樹脂と色素を含有するプラズマディスプレイパネル用フィルターであって、該ポリエステル樹脂が粘度平均分子量(Mv)が10000〜90000であり、かつガラス転移点(Tg)が160℃以上であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0006】
2.ポリエステル系樹脂が、下記一般式(I)
【0007】
【化6】
Figure 0004011275
【0008】
(式(I)中、R1〜R5は、各々独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基または置換されていても良いアリール基を表し、R1、R4、R5が複数存在する場合、各々は同一であっても異なっていても良い。R2とR3は連結してシクロアルキル環を形成しても良い。j、k及びlは、各々独立に1〜4の整数を示す。)
を構成単位とするポリステル樹脂であることを特徴とする前記1に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0009】
3.色素が下記一般式(II)
【0010】
【化7】
Figure 0004011275
【0011】
〔式(II) 中、A、Bは、各々独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い複素環基又は −CH=D (Dは、置換基を有していても良い複素環基を表す。)を表す。〕で表されるスクアリリウム系化合物であることを特徴とする前記1〜2に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0012】
4.スクアリリウム系化合物が下記一般式(III)
【0013】
【化8】
Figure 0004011275
【0014】
〔式(III) 中、R6は、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基又は置換基を有していても良いアルケニル基を表し、各々のR6は同一であっても異なっていても良い。mは1〜4の整数を、nは0〜4の整数を表す。〕で表されるスクアリリウム系化合物であることを特徴とする前記3に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0015】
5.スクアリリウム系化合物が下記一般式(IV)
【0016】
【化9】
Figure 0004011275
【0017】
〔式(IV) 中、R7は、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を表し、各々のR7は同じであっても異なっていても良い。R8は、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を表し、各々のR8は同じであっても異なっていても良い。Tは−O−又は−NH−を表す。〕で表されるスクアリリウム系化合物であることを特徴とする前記3に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0018】
6.色素が下記一般式(V)
【0019】
【化10】
Figure 0004011275
【0020】
(式中、MはNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、SnまたはCuを表す。
1 〜X10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基,アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表わし、Y1 〜Y8は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表す。)で表される金属錯体であることを特徴とする前記3に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
【0021】
7.前記1〜6のプラズマディスプレイパネル用フィルターに、さらに紫外線吸収剤を含有する層とを積層したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルター。
本発明では、プラズマディスプレイパネル用フィルターの色素層に、粘度平均分子量(Mv)が10000〜90000であり、かつガラス転移点(Tg)が160℃以上である特定のポリエステル樹脂を用いることが特徴である。
このようなポリエステル樹脂としては、上記物性を満たす限り特に限定はされないが、例えば、下記一般式(I)を構成単位とする樹脂を用いることが出来る。
【0022】
【化11】
Figure 0004011275
【0023】
(式(I)中、R1〜R5は、各々独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基または置換されていても良いアリール基を表し、R1、R4、R5が複数存在する場合、各々は同一であっても異なっていても良い。R 2 とR3は連結してシクロアルキル環を形成しても良い。j、k、及びlは、各々独立に1〜4の整数を示す。)
一般式(I)のポリエステル樹脂における置換基R1〜R2の置換されていても良いアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、R2とR3が連結して形成するシクロアルキル環としては、例えば5〜7員環のシクロアルキル環が挙げられ、具体的にはシクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環等が挙げられる。
【0024】
一般式(I)のポリエステル樹脂における置換基R1〜R5の置換されていても良いアリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
一般式(I)のポリエステル樹脂の代表例としては、下記の構成単位を有する樹脂が使用される。
【0025】
【化12】
Figure 0004011275
【0026】
I−1〜I−7は、ポリアリレート樹脂とも言われている。 又、I−1:I−2=1:1(モル比)の樹脂は、ポリアクリレート樹脂U−100(ユニチカ(株)製)として販売されている。
本発明では、一般式(I)で表される構成単位のみからなるポリエステル樹脂を単独で用いても良いが、粘度平均分子量とガラス転移点が本願で規定する範囲内であれば、上記の構成単位を有するポリエステル樹脂成分を、お互いに、又は他のポリエステル樹脂成分とを共重合して用いることが出来る。その場合、ポリエステル樹脂中に一般式(I)の構成単位を50モル%以上含有していることが好ましい。
【0027】
共重合したポリエステル樹脂は溶媒に対する溶解性が良好であり、より好適に使用出来る。共重合した好ましい例として、下記の例を挙げることが出来る。
【0028】
【化13】
Figure 0004011275
【0029】
上記式I−8において、U/Vは、10/90〜90/10(モル比)であるのが好ましい。
また、一般式(I)で表される構成単位からなるポリエステル系樹脂と、ポリエステル樹脂以外の他の樹脂とを配合して用いても良い。その場合は、一般式(I)の構成単位が、50重量%以上であるのが好ましい。
【0030】
本発明で用いるポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、10000〜90000であり、より好ましくは20000〜80000である。また、ガラス転移点(Tg)は160℃以上であり、好ましくは170℃以上であるのが望ましい。
本願で用いるポリエステル樹脂の使用量はスクアリリウム系化合物に対して、10〜500 重量倍、好ましくは50〜350 重量倍である。
【0031】
一般式(I)のポリエステル樹脂は、有機溶媒に対する溶解性が良好で、バインダーとして使用した場合、耐熱性、耐光性等の耐久性の良好なプラズマディスプレイパネル用フィルターが得られる。
これは、一般式(I)のポリエステル樹脂中でスクアリリウム系化合物が安定な共鳴構造で存在すること、一般式(I)のポリエステル樹脂中にスクアリリウム系化合物の劣化を促進する成分が含有されてないか、又は少ないこと、Tgが高く、スクアリリウム系化合物の劣化を促進する水分等のスクアリリウム系化合物含有ポリエステル樹脂層への浸入がし難いこと等により耐熱性、耐光性等の耐久性の向上するものと考えられる。
【0032】
一般にプラズマディスプレイパネル用フィルターのバインダー樹脂としては、これまでポリエステル樹脂を用いることが知られているが、ポリエステル樹脂は有機溶媒に対する溶解性が良好である反面、耐熱性に劣るなどの問題があり、十分な耐熱性、耐光性のプラズマディスプレイパネル用フィルターは得られなかった。本願発明の特定のポリエステル樹脂を用いることによって、これら全ての性能を満足することがはじめて可能となったのである。
【0033】
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターでは、前述のポリエステル樹脂を含有する層には、色素を分散または溶解して含有している。そのような色素としては、プラズマディスプレイパネル用フィルターに通常使われる色素であれば、特に限定なく用いることが出来る。
例えば、前述の一般式(II)で表されるスクアリリウム系色素が好ましい。一般式(II)において、置換基A,Bが置換基を有していても良いアリール基の好ましいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換基を有していても良い複素環基の好ましい複素環としては、ピロール基、ピラゾール基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基が特に好ましい。
【0034】
一般式(II)において、置換基A,Bが置換基を有していても良いフェニル基の場合の好ましいスクアリリウム系化合物は、前記一般式(III) で表される。
一般式(III) において、置換基R6の好ましいものとしては、次の(i) 〜(vii)
のようなものが例示できる。
(i) フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;
(ii)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基等の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基;
(iii) 置換基としてヒドロキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルキコキシカルボニル基、アセチルオキシ基カルボニル基、プロピオニルオキシカルボニル基等のアシルオキシカルボニル基、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニルオキシ基等を有する前記炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基;
(iv)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ基;
(v) 置換基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基を有する前記炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ基;
(vi)エテニル基などのアルケニル基;
(vii) 置換基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−アルコキシ(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基)フェニル基、3,4−ビスアルコキシ(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基)フェニル基、3,5−ビスアルコキシ(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基)フェニル基、3,4,5−トリスアルコキシ(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基)フェニル基で置換されたエテニル基等のアルケニル基。
【0035】
これらのうち、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;水酸基もしくはアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;または置換基を有するエテニル基が特に好ましい。
置換基A,Bが置換基を有していても良いピラゾール基の場合の好ましいスクアリリウム系化合物は、下記一般式(IV) で表される。
【0036】
【化14】
Figure 0004011275
【0037】
〔式(IV) 中、R7は、置換基を有していても良いアルキル基、又は置換基を有していても良いアリール基を表し、R8は、置換基を有していても良いアルキル基を表し、Tは−O−又は−NH−を表す。〕
置換基A,Bが置換基を有していても良いピロール基の場合の好ましいスクアリリウム系化合物は、下記一般式(VI) で表される。
【0038】
【化15】
Figure 0004011275
【0039】
〔式(VI) 中、R9、R10 は、置換基を有していても良いアルキル基、又は置換基を有していても良いフェニル基を表し、sは0〜3の整数を表す。〕
置換基A,Bが−CH=Dの場合の好ましいスクアリリウム系化合物は、下記一般式(VII) で表される。
【0040】
【化16】
Figure 0004011275
【0041】
〔式(VII) 中、R11は、置換基を有していても良いアルキル基、R12は、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Zは、−O−、−S−又は−CL2−(Lは置換基を有していても良いアルキル基を表す。)を表し、tは0〜4の整数を表す。〕
一般式(II)、(III)、(IV)、 (VI)及び(VII)で表されるスクアリリム系化合物は、左右対称である構造である場合が、製造上も容易であり、また色素としても安定であるため好ましい。
【0042】
一般式(II) 、(III)、(IV)、 (VI)及び(VII)のスクアリリウム系化合物は、例えば、Angew.Chem.77 680-681 (1965) 記載の方法あるいはそれらに準じて製造することが出来る。
即ち、下記一般式(VIII)
【0043】
【化17】
Figure 0004011275
【0044】
〔式中、R6、m、nは、前記一般式(III)と同じ。〕で表されるフェノール系化合物2モル、又は下記一般式(IX)
【0045】
【化18】
Figure 0004011275
【0046】
〔式中、R7、R8及びTは、一般式(IV)と同じ定義である。〕で表されるピラゾロン系化合物2モル、又は下記一般式(X)
【0047】
【化19】
Figure 0004011275
【0048】
〔式中、R9、R10及びsは、一般式(VI)同じ定義である〕で表されるピロール系化合物2モル、又は下記一般式(XI)
【0049】
【化20】
Figure 0004011275
【0050】
〔式中、R11、R12、Z及びtは、一般式(VII)と同じ定義である。〕で表される化合物2モルに対し、それぞれ、スクアリック酸1モルをエタノール、酢酸、n−ブチルアルコール−トルエン混合溶媒、n−ブチルアルコール−ベンゼン混合溶媒等の中で、70〜150℃程度に加熱しながら脱水縮合させることにより合成することが出来る。
【0051】
一般式(III)の代表例を次に示す 。
【0052】
【化21】
Figure 0004011275
【0053】
一般式(III)のうち好ましい化学構造例を次に示す。
【0054】
【化22】
Figure 0004011275
【0055】
一般式(IV)の代表例を次に示す 。
【0056】
【化23】
Figure 0004011275
【0057】
一般式(IV)のうち好ましい化学構造例を次に示す。
【0058】
【化24】
Figure 0004011275
【0059】
一般式(VI)の代表例を次に示す 。
【0060】
【化25】
Figure 0004011275
【0061】
一般式(VI)のうち好ましい化学構造例を次に示す。
【0062】
【化26】
Figure 0004011275
【0063】
一般式(VII)の代表例を次に示す 。
【0064】
【化27】
Figure 0004011275
【0065】
一般式(VII)のうち好ましい化学構造例を次に示す。
【0066】
【化28】
Figure 0004011275
【0067】
一般式(V)において、
【0068】
【化29】
Figure 0004011275
【0069】
Mは、金属元素を表し、好ましくはNi、Pd、Pt、Co、Fe、Ti、SnまたはCuを表す。さらに好ましくはNi,Pd,Ptが用いられる。
1〜X10は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基,ニトロ基,シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。具体的には、水素原子及びフッ素原子,塩素原子,臭素原子,メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基基、ニトロ基,シアノ基,メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基,アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラキル基が,挙げられ,好ましくは、水素原子及びフッ素原子,塩素原子,臭素原子,メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基,シアノ基等の電子吸引性基が,挙げられる。
【0070】
1 〜Y8、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアノ基を表わし、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基またはシアン基を表し、さらに好ましくは、水素原子;メチル基、エチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基;アリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの置換アミノ基;またはシアノ基が挙げられ、特に好ましくは、水素原子が用いられる。
【0071】
好ましい化合物として具体的には、
【0072】
【化30】
Figure 0004011275
【0073】
が、挙げられる。
本発明のフィルターの一般式(II)、(III)、(IV)で表されるスクアリリウム系化合物、又は一般式(V)で表される金属錯体を含有する層は、フィルムあるいはシート等に成形された透明基板に、一般式(II)、(III)、(IV) で表されるスクアリリウム系化合物、又は一般式(V)で表される金属錯体を含む塗工液を塗布することにより、容易に製造される。
【0074】
塗工液は、一般式(II)、(III)、(IV) で表されるスクアリリウム系化合物、又は一般式(V)で表される金属錯体を式(I)のポリエステル系樹脂と共に有機溶剤に溶解させる方法、又は粒径0.1 〜3μm に微粒化したスクアリリウム系化合物または金属錯体を、必要に応じ分散剤を用い、ポリエステル系樹脂と共に溶剤に分散させる方法により調製される。このとき溶剤に溶解、又は分散される色素、金属錯体、ポリカーボネート樹脂、分散剤等の塗工液に対する含有量は0.5 〜5 0 重量% で、スクアリリウム系化合物、金属錯体、ポリエステル系樹脂、分散剤の中でスクアリリウム系化合物、又は金属錯体が占める割合は0.05〜50重量% 、好ましくは0.1 〜20重量% である。
【0075】
必要に応じて使用される分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用量は、スクアリリウム系化合、又は金属錯体に対して0.5 〜150 重量倍、好ましくは 0.5〜20重量倍である。
【0076】
一般式(III)のスクアリリウム系化合物は、590nm付近のネオン発光を効率的にカットし、蛍光体の発光色である500〜530nm付近の緑色発光及び600nmより長波長の赤色発光はカットしないことが好ましい。この為には、スクアリリウム系色素の透過率曲線はシャープなバレー型(谷型)を有しているほうが良く、スクアリリウム系色素の透過率曲線の最小値における波長は、570nm〜605nmが好ましく、580〜600nmがより好ましく、透過率曲線の半値幅は、60nm以下が好ましい。又、視野の明るさ を確保する為、590nm付近の透過率曲線の最小値以外には、スクアリリウム系化合物は、透過率曲線の極小値を有さないことが好ましいが、有したとしても70%以上、より好ましくは80%以上であり、可視光透過率は好ましくは40%以上であり、より好ましくは、50%以上である。
【0077】
一般式(IV)のスクアリリウム系色素を含有する本発明のフィルターは、青又は緑の蛍光体発光を阻害しないように、480〜520nm付近に透過率曲線の最小値を有し、透過率曲線はシャープなバレー型(谷型)を有しているほうが良く、その透過率曲線の半値幅は、60nm以下であることが好ましく、透過率曲線の最小値以外には透過率曲線の極小値を有さないことが好ましい。 又、青又は緑の蛍光体発光を阻害しないように450nm、500nm、550nmの透過率はそれぞれ70%以上、30%以上、70%以上が好ましい。
【0078】
一般式(V)の金属錯体は、700〜950nm付近に吸収を有することから、プラズマディスプレーから放射される近赤外線をカットし、リモコンや伝送系光通信における誤動作を防止することが出来る。
また、本発明では、プラズマディスプレイパネル用フィルターの色素として、下記一般式(XII)で表されるピラゾールメチン系化合物を、単独で、あるいは上記色素と併用して用いることもできる。
【0079】
【化31】
Figure 0004011275
【0080】
〔式(XII) 中、R13は、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基または置換基を有していても良いアリール基を表し、R14は、水素原子、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基または置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基を表し、各々のR14は同じであっても異なっていても良い。R15は、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基または置換基を有していても良いアリール基を表し、各々のR15は同じであっても異なっていても良い。〕
一般式(XII)で表されるピラゾールメチン系化合物の好ましい化学構造例を次に示す。
【0081】
【化32】
Figure 0004011275
【0082】
上記のピラゾールメチン系化合物を用いることにより、380〜420nm近辺の青〜青紫を選択的に効率的に吸収することができ、一方他の波長領域での吸収はほとんどないことからディスプレイ画面の明るさを損なうこともなく、ナチュラルな色調、即ち無色のフィルターを得ることが出来、また蛍光体発光により得られた画面の色調を理想の3原色により近づけることが可能となる。
【0083】
一般式(XII)で表されるピラゾールメチン系化合物で表される色素を含有する本発明の蛍光体発光型フィルターは、青の蛍光体発光を阻害しないように、380〜420nm付近に透過率曲線の最小値を有し、透過率曲線はシャープなバレー型(谷型)を有しているほうが良く、その透過率曲線の半値幅は、60nm以下であることが好まし。一般式(XII)の置換基R13のうち、置換基を有していても良いフェニル基が、他の基に比し、前記の半値幅はが小さく好ましい。 又、透過率曲線の最小値以外には透過率曲線の極小値を有さない方が、フィルターの透過率が高くなり好ましく、更に、青又は緑の蛍光体発光を阻害しないように400nm、450nmの透過率はそれぞれ30%以上、70%以上が好ましい。
【0084】
スクアリリウム系化合物、金属錯体、ピラゾールメチン系化合物などの色素を含む塗工液のコーティングは、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、プレードコート法及びエアーナイフコート法等の公知の塗工方法でコーティングされる。このとき膜厚は、0.1 〜30μm 、好ましくは0.5 〜10μm となるようコーティングされる。
【0085】
本発明のプラズマディスプレイパネル用のフィルターを構成する透明基板の材質としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない材料であれば特に制限はない。具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ( メタ) アクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等を挙げることができる。
【0086】
これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ) アクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が好ましい。
上記の樹脂には、一般的に公知である添加剤、耐熱老化防止剤、滑剤、帯電防止剤、等や、シアニン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ピロメテン系色素、メチン系色色素、スクアリリウム系色素等、プラズマディスプレイパネル用フィルターとして用いうる色素を配合することができる。
【0087】
また上記樹脂は、公知の射出成形、T ダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶融させてキャスティングする方法などを用い、フィルムまたはシート( 板) に成形される。その厚みとしては、目的に応じて10μm 〜5mm の範囲が望ましい。かかる透明基板を構成する基材は、未延伸でも延伸されていても良い。また、他の基材と積層されていても良い。
【0088】
更に、該透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施しても良い。
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターは、前記一般式(II) 、(III)、(IV)で表わされるスクアリリウム系化合物、一般式(V)で表される金属錯体又は一般式(XII) で表わされるメチン系化合物をポリエステル系樹脂に直接溶解あるいは分散させて、得られたスクアリリウム系化合物を含有する樹脂を、射出成形、T ダイ成形、カレンダー成形あるいは圧縮成形などの成形技術を用いて成形、フィルム化し、必要に応じて他の透明基板と張り合わせて製造することもできる。
【0089】
また本発明では、フィルターの耐光性を上げるために酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有する層を設けることが出来る。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等を挙げることが出来る。酸化防止剤を紫外線吸収剤と併用することによりより効果が大となる。紫外線吸収剤によって遮断しきれなかった紫外光によるか、又は可視光線による色素の活性化により生じる系色素のラジカルを酸化防止剤が不活性化することにより、色素の耐光性が向上するものと考えられる。又、酸化防止剤のみでは、強い光が酸化防止剤に当たる結果、酸化防止剤が酸化され、色素の連鎖酸化反応が酸化防止剤の酸化により誘起され、かえって、系色素の耐光性が劣化することがある。
【0090】
また本発明では、フィルターの耐光性を上げるために色素を含有する層に紫外線吸収剤を含有する透明樹脂層を色素を含有する層に積層することが出来る。
紫外線吸収剤を含有する透明樹脂としては、前記のスクアリリウム系化合物のバインダーとして挙げた樹脂の他、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂等のアクリレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレンービニルアルコール共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、AS樹脂、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、PVPA、ポリスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリスルフォン、ナイロン、セルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等を使用することが出来る。この場合、特開昭10−204304号公報に記載されているようなスクアリリウム系化合物と同じ層内に紫外線吸収剤を含有する方法より、紫外線吸収層を積層する本発明の方法は、スクアリリウム系化合物の耐光性向上効果が遥かに大である。積層方法としては、スクアリリウム系化合物を含有する層に接して積層しても良いし、スクアリリウム系化合物を含有する層を塗布した透明基板のスクアリリウム系化合物を含有する層と反対側に積層しても良い。このとき紫外線吸収剤を含有層の膜厚は、0.1 〜30μm 、好ましくは0.5 〜10μm となるように積層する。又、紫外線吸収剤含有層を塗布して形成する代わりに、市販の紫外線カットフィルターを積層して使用しても良い。この様なフィルターとしては、シャープカットフィルターSC−38、SC−39、SC−40(富士写真フィルム(株)製)等を挙げることが出来る。
【0091】
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が使用出来る。有機系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾーエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等を挙げることが出来る。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等を挙げることが出来る。 紫外線吸収剤としては、50%透過率での波長が350〜420nmが好ましく、より好ましくは360nm〜400nmであり、350nmより低波長では、紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり好ましくない。
【0092】
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルターは、近赤外線カット層や電磁波カット層を設けたり、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止する反射防止層、ぎらつき防止( ノングレア) 層を設けることができる。これらの層の膜厚は、それぞれ、0.1 〜30μm 、好ましくは0.5 〜10μm となるように積層する。
【0093】
近赤外線カット層は、プラズマディスプレーから放射される近赤外線によるリモコンや伝送系光通信における誤動作を防止する目的でディスプレーの前面に設置する。近赤外線光のカット領域は特に問題になる波長としてリモコンや伝送系光通信に、800 〜1000nmであり、その領域に吸収を有する近赤外線吸収物質を使用する。この近赤外線吸収物質しては、一般式(V)に示す
金属錯体色素の他、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、ジチオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物の近赤外線吸収色素、あるいは、カーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどの近赤外線吸収化合物を、単独又は組み合わせて使うことができる。
【0094】
電磁波カット層は、金属酸化物等の蒸着あるいはスパッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウムスズ(ITO) が一般的であるが、誘電体層と金属層を基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀- パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層よりはじまり3 層、5 層、7 層あるいは11層程度積層する。基材は、該フィルターをそのまま利用しても良いし、樹脂フィルムあるいはガラス上に蒸着あるいはスパッタリング後に、該フィルターと貼り合わせても良い。
【0095】
反射防止層は、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、至化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
【0096】
また、ぎらつき防止層(ノングレア層)も設けることもできる。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の徴粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理をしたフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であればハードコート層を設けることもできる。
【0097】
本発明のプラズマディスプレイ用フィルターには最外層に粘着剤層を設けても良い。この粘着剤層によりプラズマディスプレイの製造工程の途中、またはプラズマディスプレイの製造後、プラズマディスプレイの前面にこのフィルターを貼着することにより、ネオン発光を効率的にカットでき、かつ耐光性にも優れたプラズマディスプレイパネル表示装置を得ることができる。
【0098】
このようにすることにより、プラズマディスプレイ自体の前面に順番に近赤外線吸収層、電磁波シールド層や他の層を設ける必要がなくなり、またフィルターがプラズマディスプレイと一体形成されるので、プラズマディスプレイの薄肉化が可能となる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、スチレンブタジエンラバー、ポリイソブチレン、天然ゴム、ネオプレン、ブチルゴム等のゴム類やポリアクリル酸メチル、ボリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のポリアクリル酸アルキルエステル等の低重合度ポリマ- 単独もしくはこれらに粘着付与剤としてピッコライト、ポリベール、ロジンエステル等を添加したもの等が挙げられる。
【0099】
プラズマディスプレイにフィルターを貼着時、プラズマディスプレイの表面とフィルターとの間に気泡が入ると画像が歪んだり、見にくくなったりする等、実用上の大きな問題となるので気泡の巻き込みには十分に注意する必要がある。
また、プラズマディスプレイ自体、その表面が高温になるので、加熱によりガスが発生するような粘着剤は避けるべきである。
【0100】
ガスの発生が考えられる場合には吸収剤等の添加を考慮するのがよい。このような理由から、3mm のガラス板に30μm のポリエステルフィルムを、3 0 μm の粘着剤で貼り合わせ、8 0 ℃で10日間保持後における180度剥離強度が300g/cm 以上、好ましくは400g/cm 以上の粘着剤を用いるのが望ましい。
具体的には、ポリアクリル酸アルキルエステル系等のポリマー系粘着剤、又はスチレンブタジエンラバー、天然ゴム等のゴム系粘着剤を、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エ- テル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系等の有機溶剤を単独又は複数混合した溶剤系に分散又は溶解して粘度を調整したものをディッピング法、フロ- コート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、プレードコート法及びエアーナイフコ- ト法等の塗工方法で塗工し、その後溶剤を乾燥させ、粘着剤層とする。
【0101】
この際の粘着剤層の厚みは、通常、5 〜100 μm 、好ましくは10〜50μm である。粘着剤層の表面に剥離フィルムを設け、粘着剤層にゴミ等が付着しないように、プラズマディスプレイの表面に張り付けるまで粘着剤層を保護するのも良い。
この場合、フィルターの縁綾部の粘着剤層と剥離フィルムとの間に、粘着剤層を設けない部分を形成したり、非粘着性のフィルムを挟む等して非粘着部分を形成し、剥離開始部とすれば貼着時の作業がやりやすい。
【0102】
更に、このプラズマディスプレイパネル用フィルターは単独はもちろん透明のガラスや他の透明樹脂板等と貼り合わせた積層体として用いることができる。
本願のプラズマディスプレイパネル用フィルターを用いて、プラズマディスプレイパネル表示装置を得るには、プラズマディスプレイパネル表示装置として、公知の表示装置あるいは市販品であれば特に限定なく用いることができる。
【0103】
そのようなプラズマディスプレイパネル表示装置とは、次のような原理によってカラー画像の表示を行う装置である。前面ガラス板と背面ガラス板との間に表示電極対と、2枚のガラス板の間に設けた各画素(R(赤)、G(緑)、B(青))に対応するセルを設け、セルの中にキセノンガスやネオンガスを封入し、一方セル内の背面ガラス板側に各画素に対応する蛍光体を塗布しておく。表示電極間の放電によって、セル中のキセノンガスおよびネオンガスの励起発光し、紫外線が発生する。そしてこの紫外線を蛍光体に照射することによって、各画素に対応する可視光が発生する。そして、背面ガラス板にアドレス用電極を設け、このアドレス用電極に信号を印加することにより、どの放電セルを表示するかを制御し、カラー画像の表示を行うものである。
【0104】
【実施例】
以下に、実施例により本発明の実施態様を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
製造例1(ポリエステル樹脂Aの製造)
p−tert−ブチルフェノール(0.14g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0632g)および2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](12.68g)を水酸化ナトリウム水溶液に溶解した。
【0105】
この水酸化ナトリウム水溶液を反応槽に移し、重合槽の外温を20℃に保ちながら、イソフタル酸クロライド(5.13g)、テレフタル酸クロライド(5.13g)のジクロロメタン溶液を滴下した。
反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、5.5時間撹拌を続けて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aは、前記一般式(I−8)において、U=V=50である構造であり、Mv=35000、Tg=213℃である。
【0106】
実施例1−1
ポリエチレンテレフタレート製フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PET フィルム「T 100E 」、厚み100μm )に、一般式(III)において、n=0、m=3(置換位置は2、4、6位)のスクアリリウム系化合物(III-1)の0.63%DME(ジメトキシエタン)溶液0.36g、前記製造例1で得られたポリエステル樹脂Aの10%溶液(DME/ジオキサン=1/1(vol比))3gを混合溶解し、バーコーター(NO.24)で塗工し、乾燥して、膜厚3μm のコーティング層を有するネオン発光カットフィルターを得た。
【0107】
このフィルターの透過率を日立分光光度計(U−3500)で測定した。透過率の最小値における波長は576nm、スペクトルの半値幅は46.8nmで透過率は、9.44%であった。576nmの最小値の他には、透過率の極小値はなく、透過率の良好なフィルターが得られた。
【0108】
上記のネオン発光カットフィルターを100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、96.5%であり、非常に良好な耐熱性を示した。
【0109】
比較例1―1
実施例1のポリエステル樹脂Aの20%DME溶液3gの代わりに、ポリエステル樹脂(バイロン200, Tg=67℃;東洋紡(株)製)の10%ジメトキシエタン溶液3gを使用し、他は、同様にして処理して膜厚3μm、透過率の最小値における波長が576nmのコーティング膜を得た。
【0110】
このコーティング膜の100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、83.7%であり、耐熱性が劣っていた。
実施例1−2
実施例1−1のコーティングフィルムのスクアリリウム系化合物含有層面と反対側のポリエテレンテレフタレート樹脂面上に、2−(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールの0.63%シクロヘキサノン溶液0.36g、ポリエテレンテレフタレート樹脂(バイロン200;東洋紡(株)製)の20%シクロヘキサノン溶液3gを混合し、バーコーターで塗工し、乾燥して、膜厚6μm のコーティング膜を得た(紫外線吸収層積層膜)。この紫外線吸収層の50%透過率での波長は390nmであった。
【0111】
キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製 FAL-25AX-HC.B.EC)で上記のネオン発光カットフィルターの耐光性の評価を紫外線吸収層面より露光して行った(280Hr露光)。日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、76.2%であり、良好な耐光性を示した。
実施例2
実施例1−1で用いたスクアリリウム系化合物(III-1)の0.63%ジメトキシエタン溶液0.36gの代わりに、一般式(III)においてR=n−プロピル基、n=1(置換位置 3位)、m=2(置換位置 2、4位)のスクアリリウム系化合物(III-5)の0.63%DME(ジメトキシエタン)溶液0.36gを使用し、他は同様に処理して膜厚6μm のコーティング層を有するネオン発光カットフィルターを得た。
【0112】
このフィルターの透過率を日立分光光度計(U−3500)で測定した。透過率の最小値における波長は585nm、スペクトルの半値幅は56.4nmで透過率は、26.05%であった。585nmの最小値の他には、透過率の極小値はなく、透過率の良好なフィルターが得られた。
【0113】
上記のネオン発光カットフィルターを100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、95.0%であり、良好な耐熱性を示した。
【0114】
比較例2
実施例2で用いたポリエステル樹脂の20%DME溶液3gの代わりに、ポリエステル樹脂(UE−3690, Tg=90℃;ユニチカ(株)製)の10%ジメトキシエタン溶液3gを使用した他は、同様にして処理して膜厚3μm、透過率の最小値における波長が585nmのコーティング膜を得た。
【0115】
このコーティング膜の100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、50.4%であり、耐熱性が劣っていた。
実施例3
実施例2で用いたスクアリリウム系化合物(III-5)の0.63%DME(ジメトキシエタン)溶液0.36gの代わりに、一般式(IV)において、R3=メチル基、R4=n−プロピル基、X=Oであるスクアリリウム系化合物(IV-3)の0.25%ジメトキシエタン溶液0.36gを使用し、他は同様に処理して膜厚3μm のコーティング層を有するネオン発光カットフィルターを得た。
【0116】
このフィルターの透過率を日立分光光度計(U−3500)で測定した。透過率の最小値における波長は499nm、スペクトルの半値幅は44.0nmで透過率は、34.55%であった。499nmの最小値の他には、透過率の極小値はなく、透過率の良好なフィルターが得られた。
【0117】
上記のネオン発光カットフィルターを100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、97.4%であり、良好な耐熱性を示した。
【0118】
比較例3
実施例3で用いたポリエステル樹脂Aの10%DME溶液3gの代わりに、ポリエステル樹脂(バイロン200, Tg=67℃;東洋紡(株)製)の10%ジメトキシエタン溶液3gを使用し、他は、同様にして処理して膜厚3μm、透過率の最小値における波長が500nmのコーティング膜を得た。
【0119】
このコーティング膜の100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、62.1%であり、耐熱性が劣っていた。
実施例4
下式(V−1)に示す近赤外線吸収色素の5.0%THF(テトラヒドロフラン)溶液0.1g、実施例1で使用したポリエステル樹脂Aの10.0%溶液(DME/ジオキサン=1/1(vol比))4.5gを混合溶解し、バーコーター(NO.24)でポリエチレンテレフタレート製フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PET フィルム「T 100E 」、厚み100μm )に塗工し、乾燥して、近赤外線吸収フィルターを得た。
【0120】
【化33】
Figure 0004011275
【0121】
このフィルムの近赤外吸収を、日立分光光度計U−3500で測定したところ、λmaxは、846nmであった。
このフィルムを、100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、92.2%であり、良好な耐熱性を示した。
【0122】
比較例4
上記式(V−1)に示す近赤外線吸収色素の5重量%THF溶液0.06gに、ポリメチルメタクリレート樹脂(商品名;ダイヤナールBR−80:三菱レイヨン株式会社製品)のTHF/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度20重量%)を1.5g添加し、超音波洗浄機にて、完全に溶解させた後、この塗工液を、バーコータ#24でポリエチレンテレフタレート製フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製PET フィルム「T 100E 」、厚み100μm )に塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルムを得た。
【0123】
このフィルムの近赤外線吸収を、日立分光光度計U−3500で測定したところ、λmaxは、835nmであった。
このコーティング膜の100℃の恒温槽に100時間入れて耐熱性の試験を行い、日立分光光度計(U−3500)の吸光度で色素残存率(%)を測定した所、83.8%であり、耐熱性が劣っていた。
【0124】
【発明の効果】
本発明の、一般式(I) で示されるポリエステル樹脂及び色素含有層を有するプラズマディスプレイパネル用フィルターは、耐熱性、耐光性等の耐久性に優れている。

Claims (3)

  1. ポリエステル樹脂と色素を含有するプラズマディスプレイパネル用フィルターであって、該ポリエステル樹脂が粘度平均分子量(Mv)が10000〜90000であり、かつガラス転移点(Tg)が160℃以上であり、該色素が、下記一般式(IV)
    Figure 0004011275
    〔式( IV )中、R 7 は、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を表し、各々のR 7 は同じであっても異なっていても良い。R 8 は、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基又は置換基を有していても良いアリール基を表し、各々のR 8 は同じであっても異なっていても良い。Tは−O−又は−NH−を表す。〕で表されるピラゾール系スクアリリウム化合物であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルター。
  2. ポリエステル樹脂が、下記一般式(I)
    Figure 0004011275
    (式(I)中、R1〜R5は、各々独立に水素原子、置換されていても良いアルキル基または置換されていても良いアリール基を表し、R1、R4、R5が複数存在する場合、各々は同一であっても異なっていても良い。R2とR3は連結してシクロアルキル環を形成しても良い。j、k、及びlは、各々独立に1〜4の整数を示す。)を構成単位とするポリステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用フィルター。
  3. 請求項1または2のプラズマディスプレイパネル用フィルターに、さらに紫外線吸収剤を含有する層を積層したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルター。
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