本実施形態に係るブレーキ制御装置においては、車両の燃費向上のために、電動機の回生による制動力(本明細書では適宜「回生制動力」という)と液圧による摩擦制動力(本明細書では適宜「液圧制動力」という)とを併用するブレーキ回生協調制御を実行することにより要求される制動力を発生させる。回生制動力は、車輪を駆動させるための電動機を、走行中の車輪の回転トルクを入力とする発電機として動作させることにより車輪に付与される制動力である。車両の運動エネルギーは電気エネルギーに変換され、電気エネルギーは、電動機からインバータ等を含む電力変換装置を介して蓄電池に蓄積される。蓄積された電気エネルギーは以降の車輪の駆動等に用いられ、車両の燃費向上に寄与することとなる。一方、液圧制動力は、車輪とともに回転する回転部材に対して、液圧源からの作動液の供給により摩擦部材を押圧することにより車輪に付与される制動力である。燃費をより向上させるためには、回生制動力を優先的に用い、回生制動力のみでは要求制動力に不足する分を液圧制動力により補完的に生じさせることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置が適用された車両を示す概略構成図である。同図に示される車両1は、いわゆるハイブリッド車両として構成されており、エンジン2と、エンジン2の出力軸であるクランクシャフトに接続された3軸式の動力分割機構3と、動力分割機構3に接続された発電可能なモータジェネレータ4と、変速機5を介して動力分割機構3に接続された電動モータ6と、車両1の駆動系全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」といい、電子制御ユニットは、すべて「ECU」と称する。)7とを備える。変速機5には、ドライブシャフト8を介して車両1の駆動輪たる右前輪9FRおよび左前輪9FLが連結される。
エンジン2は、例えばガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を用いて運転される内燃機関であり、エンジンECU13により制御される。エンジンECU13は、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、エンジン2の作動状態を検出する各種センサからの信号に基づいてエンジン2の燃料噴射制御や点火制御、吸気制御等を実行する。また、エンジンECU13は、必要に応じてエンジン2の作動状態に関する情報をハイブリッドECU7に与える。
動力分割機構3は、変速機5を介して電動モータ6の出力を左右の前輪9FR,9FLに伝達する役割と、エンジン2の出力をモータジェネレータ4と変速機5とに振り分ける役割と、電動モータ6やエンジン2の回転速度を減速あるいは増速する役割とを果たす。モータジェネレータ4と電動モータ6とは、それぞれインバータを含む電力変換装置11を介してバッテリ12に接続されており、電力変換装置11には、モータECU14が接続されている。バッテリ12としては、例えばニッケル水素蓄電池などの蓄電池を用いることができる。モータECU14も、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号等に基づいて電力変換装置11を介してモータジェネレータ4および電動モータ6を制御する。なお、上述のハイブリッドECU7やエンジンECU13、モータECU14は、何れもCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。
ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、電力変換装置11を介してバッテリ12から電力を電動モータ6に供給することにより、電動モータ6の出力により左右の前輪9FR,9FLを駆動することができる。また、エンジン効率のよい運転領域では、車両1はエンジン2によって駆動される。この際、動力分割機構3を介してエンジン2の出力の一部をモータジェネレータ4に伝えることにより、モータジェネレータ4が発生する電力を用いて、電動モータ6を駆動したり、電力変換装置11を介してバッテリ12を充電したりすることが可能となる。
また、車両1を制動する際には、ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、前輪9FR,9FLから伝わる動力によって電動モータ6が回転させられ、電動モータ6が発電機として作動させられる。すなわち、電動モータ6、電力変換装置11、ハイブリッドECU7およびモータECU14等は、車両1の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって左右の前輪9FR,9FLに制動力を付与する回生ブレーキユニット10として機能する。
車両1はこのような回生ブレーキユニット10に加えて、図2に示されるように、動力液圧源30等からの作動液の供給により制動力を発生させる液圧ブレーキユニット20を備える。本実施形態の車両制動装置は、回生ブレーキユニット10と液圧ブレーキユニット20とを協調させるブレーキ回生協調制御を実行することにより車両1を制動可能なものである。本実施形態における車両1は、ブレーキ回生協調制御を実行することにより回生制動力と液圧制動力とを併用して所望の制動力を発生させることができる。
図2は、本実施形態に係る液圧ブレーキユニット20を示す系統図である。液圧ブレーキユニット20は、図2に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
上述のように、液圧ブレーキユニット20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
液圧ブレーキユニット20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU7などと通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
上述のように構成された液圧ブレーキユニット20を備える本実施形態に係るブレーキ制御装置は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生制動力を減じることにより液圧ブレーキユニット20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生制動力の出力値は、ハイブリッドECU7からブレーキECU70に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
その結果、液圧ブレーキユニット20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。
ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。これにより各ホイールシリンダ圧が共通の液圧に制御される。
なお、本実施形態に係る液圧ブレーキユニット20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。
リニア制御モードにおいては、液圧ブレーキユニット20は、運転者からの要求制動力を発生させる以外に例えば、各車輪の路面に対する滑りを抑制して車両の挙動を安定化させるための、いわゆるABS(Anti−lock Brake System)制御、VSC(Vehicle Stability Control)制御、及びTRC(Traction Control)制御などを実行することができる。ABS制御は、急ブレーキ時や滑りやすい路面でブレーキをかけたときに起こるタイヤのロックを抑制するための制御である。VSC制御は、車両の旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。TRC制御は、車両の発進時や加速時に駆動輪の空転を抑制するための制御である。
ブレーキECU70は、リニア制御モードにおいて各センサからの入力に基づいて必要に応じて上述のABS制御等を実行する。ブレーキECU70は、車両減速度やスリップ率等に基づいて公知の手法により算出された所定のデューティ比でABS保持弁51〜54、ABS減圧弁56〜59を個別的に反復的に開閉する。ABS保持弁51〜54が開状態であるときはABS保持弁51〜54の上流に設けられた共通の制御弁である増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67により調圧されたブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給される。また、ABS減圧弁56〜59が開状態であるときは各ホイールシリンダ23のブレーキフルードがリザーバ34へと排出される。これにより、各ホイールシリンダ23に対して個別的にブレーキフルードが給排され、車輪の滑りが抑制されるように各車輪に付与される制動力が制御される。
また、リニア制御モードにおいて要求制動力を液圧制動力のみにより発生させる場合には、ブレーキECU70はレギュレータ圧あるいはマスタシリンダ圧をホイールシリンダ圧の目標圧として制御する。よって、この場合は必ずしもホイールシリンダ圧制御系統によってホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給しなくてもよい。運転者によるブレーキペダルの操作に応じて加圧されたマスタシリンダ圧あるいはレギュレータ圧をホイールシリンダにそのまま導入すれば自然に要求制動力を発生させることができるからである。
このため、液圧ブレーキユニット20は、例えば停車中のように回生制動力を使用しないときに、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給するようにしてもよい。レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給する制御モードを以下ではレギュレータモードと称する。つまりブレーキECU70は、停車中においてリニア制御モードからレギュレータモードに切り替えて制動力を発生させるようにしてもよい。車両の停止とともに制御モードを切り替えるようにすれば比較的簡易な制御で制御モードの切り替えを実行することができるという点で好ましい。あるいは、より実際的には、ブレーキECU70は制動により車速が充分に低下したために回生制動を中止するときにリニア制御モードからレギュレータモードに制御モードを切り替えてもよい。
レギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65及び分離弁60を開弁し、マスタカット弁64を閉弁する。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。シミュレータカット弁68は開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが供給されることとなり、レギュレータ圧によって各車輪に制動力が付与される。レギュレータ33には動力液圧源30が高圧側として接続されているので、動力液圧源30における蓄圧を活用して制動力を発生させることができるという点で好ましい。
このようにレギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67への制御電流の供給を停止して閉弁し、両リニア制御弁を休止させている。このため、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の耐久性を向上することができる。
また、リニア制御モードでの制御中に、例えばいずれかの箇所からの作動液の漏れ等の異常の発生によりホイールシリンダ圧が目標液圧から乖離してしまう場合がある。ブレーキECU70は、例えば制御圧センサ73の測定値に基づいてホイールシリンダ圧の応答異常の有無を周期的に判定している。ブレーキECU70は、例えばホイールシリンダ圧測定値の目標液圧からの乖離量が基準を超える場合にホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定する。ホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定された場合には、ブレーキECU70は、リニア制御モードを中止してマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。また同様にレギュレータモードにおいてもブレーキECU70は異常が検出された場合にマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。マニュアルブレーキモードにおいては、運転者のブレーキペダル24への入力が液圧に変換され機械的にホイールシリンダ23に伝達されて車輪に制動力が付与される。マニュアルブレーキモードは、フェイルセーフの観点からリニア制御モードのバックアップ用のブレーキ制御モードとしての役割を有する。
ブレーキECU70は、液圧源及び液圧源からホイールシリンダ23への供給経路を異ならせることによりマニュアルブレーキモードとして複数のモードのうちの1つを選択することができる。本実施形態では、一例としてハイドロブースタモードへの移行を説明する。ハイドロブースタモードにおいては、ブレーキECU70は、すべての電磁制御弁への制御電流の供給を停止する。よって、常開型のマスタカット弁64及びレギュレータカット弁65は開弁され、常閉型の分離弁60及びシミュレータカット弁68は閉弁される。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。
その結果、ブレーキフルードの供給経路はマスタシリンダ側とレギュレータ側との2系統に分離される。マスタシリンダ圧が前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLへと伝達され、レギュレータ圧が後輪用のホイールシリンダ23RR及び23RLへと伝達される。マスタシリンダ32からの作動流体の送出先は、ストロークシミュレータ69から前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLに切り替えられる。また、液圧ブースタ31は機械的にペダル踏力を増幅する機構であるため、ハイドロブースタモードに移行して各電磁制御弁への制御電流が停止されても継続して機能する。ハイドロブースタモードによれば、制御系の異常により各電磁制御弁への通電がない場合であっても液圧ブースタを利用して制動力を発生させることができるという点でフェイルセーフ性に優れている。
なお便宜上、以下では適宜、ハイドロブースタモードでのマスタシリンダ側の系統をマスタ系統と称し、レギュレータ側の系統をレギュレータ系統と称する。本実施形態ではハイドロブースタモードにおいてマスタ系統により前輪側に、またレギュレータ系統により後輪側に作動液が供給されるので、マスタ系統及びレギュレータ系統をそれぞれフロント系統及びリヤ系統と以下では称する場合もある。なお、ハイドロブースタモードにおいてマスタ系統が前輪側に、またレギュレータ系統が後輪側に作動液を供給することは必須ではない。マスタ系統が例えば右前輪及び左後輪へ作動液を供給し、レギュレータ系統が例えば左前輪及び右後輪へ作動液を供給するというように、左右輪がそれぞれ別々の系統に接続されるいわゆるX配管型のブレーキ制御装置であってもよい。
上述のように本実施形態においては、ブレーキシステムが正常である場合には通常、回生制動力を優先的に利用するとともに液圧制動力を補完的に利用して要求制動力を発生させる。ブレーキECU70は、システムに異常が検出された場合には上述のようにハイドロブースタモードに移行する。このとき、運転者のブレーキ操作に相当する液圧制動力に回生制動力を補助的に付加する回生補助制御が実行されてもよい。本実施形態では、ブレーキECU70は、例えばフロント系統に異常が検出された場合に回生補助制御を実行し、フロント系統以外に異常が検出された場合には回生補助制御を実行せずに通常のハイドロブースタモードを実行する。なお、フロント系統以外に異常が検出された場合に回生補助制御を実行してもよい。
図3は、本実施形態に係る回生補助制御を説明するためのフローチャートである。図3には回生補助制御の一例が示されている。図3に示される処理は、フロント系統に異常が検出されてハイドロブースタモードに移行したときにブレーキECU70により周期的に実行される。なお、本実施形態ではフロント系統に異常が検出された場合に回生補助制御が実行されることとしているが、リヤ系統またはその他の箇所で異常が検出された場合に回生補助制御が実行されてもよい。また、ハイドロブースタモード以外のブレーキ制御モードの実行中に回生補助制御が実行されてもよい。
回生補助制御においては、図3に示されるように、ブレーキECU70はまず、目標減速度を演算するための減速度マップを選択する(S10)。ブレーキECU70は、複数の減速度マップを予め取得しており、いずれかの減速度マップに基づいて目標減速度を演算する。減速度マップは、運転者のブレーキ操作量を反映するセンサ測定値と目標減速度との関係を示す。本実施形態に係る液圧ブレーキユニット20は複数のセンサを備えており、センサごとの減速度マップがブレーキECU70に予め記憶されている。また、複数のセンサの測定値を利用して目標減速度を演算する減速度マップがブレーキECU70に予め記憶されていてもよい。
ブレーキECU70は、選択された減速度マップと、選択された減速度マップにおいて入力として必要とされるセンサ測定値とに基づいて目標減速度を演算する(S12)。ブレーキECU70は、演算された目標減速度から液圧制動力を差し引いて回生制動力の要求値を演算する(S14)。つまり、実際に発生している液圧制動力を目標減速度から差し引くことにより、補助的に発生させるべき回生制動力を演算する。ブレーキECU70は、マスタ系統での液圧制動力については制御圧センサ73の測定液圧に基づいて演算し、レギュレータ系統での液圧制動力についてはレギュレータ圧センサ71の測定液圧に基づいて演算する。ブレーキECU70は、得られた回生制動力要求値をハイブリッドECU7に出力する(S16)。これを受けてハイブリッドECU7は、例えばバッテリ12の充電状態などに基づいて、要求値を超える回生制動力を発生可能な状態であるか否かを判定する。ハイブリッドECU7は、要求値を超える回生制動力を発生可能な状態であれば要求値に等しい回生制動力を発生させる。逆に、要求値に満たない回生制動力しか発生できない状態であれば、ハイブリッドECU7は、その状態での最大回生制動力を発生させる。
ブレーキECU70は、減速度マップとして具体的には例えば、ストロークセンサ25の測定ストロークのみに基づいて目標減速度を演算するための減速度マップを有する。また、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の測定レギュレータ圧のみに基づいて目標減速度を演算するための減速度マップ、及び制御圧センサ73の測定制御液圧のみに基づいて目標減速度を演算するための減速度マップを有する。さらに、ストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71、制御圧センサ73の2つ以上のセンサの測定値に基づいて目標減速度を演算するための減速度マップを有してもよい。
回生補助制御での目標減速度は、正常時の回生協調制御での目標減速度よりも同じブレーキ操作量に対して大きな値をとるように回生補助制御での減速度マップが調整されていてもよい。回生協調制御においてはブレーキ操作量に応じて演算される目標減速度を実現するように制動力が制御されるのに対して、回生補助制御での目標減速度は回生制動力要求値の演算に使用されるにすぎないからである。回生補助制御での目標減速度は回生協調制御に比べてそれほど厳密に運転者のブレーキ操作量を反映していなくてもよい。回生補助制御において目標減速度を高めに得られるようにすることにより、より大きな回生制動力を補助として発生させやすくなる。本実施形態においては回生補助制御は基本的には液圧ブレーキユニット20の異常検出時に実行される。よって、異常により低下した液圧制動力を大きめの回生制動力で補助することで充分な制動力を容易に確保することが可能となる。
したがって、制動力の確保という観点からは、ブレーキECU70は、複数の減速度マップのうち最大の目標減速度すなわち最大の回生制動力要求値を与える減速度マップを選択することが望ましい。この場合、ブレーキECU70は、まず、複数の減速度マップのすべてについて目標減速度を演算する。そして、ブレーキECU70は、演算された目標減速度のうち最大のものを選択し、その最大の目標減速度を用いて回生制動力要求値を演算する。さらにこのとき、ブレーキECU70は、得られた最大の目標減速度と、正常時に使用される目標減速度とを比較して、より大きいほうを回生補助制御の目標減速度として用いるようにしてもよい。このようにすれば、単に最大の目標減速度を選択すればよいので、制御アルゴリズムを単純化することができるという利点がある。
また、ブレーキECU70は、測定値の信頼性が最も高いと判定されるセンサを選択し、選択されたセンサに対応する減速度マップに基づいて目標減速度または回生制動力要求値を演算してもよい。あるいは、ブレーキECU70は、測定値の信頼性が低いと判定されるセンサに対応する減速度マップを排除し、残りの減速度マップからいずれかを選択して目標減速度または回生制動力要求値を演算してもよい。このとき、ブレーキECU70は、信頼性が担保されている残りの減速度マップのうち最大の目標減速度すなわち最大の回生制動力要求値を与える減速度マップを選択するようにしてもよい。このようにセンサ測定値の信頼性を加味することにより、良好なブレーキ制御性を得ることができる。
例えば、マスタ系統で作動液の液漏れが発生している場合には、制御圧センサ73の測定値は運転者のブレーキ操作量を反映しているとは言えず、信頼性が低い。よって、この場合には、例えばレギュレータ圧センサ71の測定値を入力とする減速度マップまたはストロークセンサ25の測定値を入力とする減速度マップに基づいてブレーキECU70は目標減速度を演算する。また、例えばレギュレータ系統で液漏れが発生している場合には、レギュレータ圧センサ71の測定値の信頼性が低い。よって、例えば制御圧センサ73の測定値を入力とする減速度マップまたはストロークセンサ25の測定値を入力とする減速度マップに基づいてブレーキECU70は目標減速度を演算する。あるいは、センサ自体に異常が生じている場合もある。この場合には、正常なセンサの測定値を入力とする減速度マップに基づいてブレーキECU70は目標減速度を演算する。
ところで、一般にはブレーキECU70は、上述のABS制御が特定の車輪に実行されているときには回生協調制御または回生補助制御を中止してもよい。車輪のスリップによる高回転が大きな回生電流を引き起こすことが考えられるからである。この大電流はバッテリに悪影響を与えるおそれがある。しかし、本実施形態においては、ブレーキECU70は、回生補助制御の実行中にABS制御が実行されたときに回生補助制御を継続してもよい。ブレーキECU70は、ABS制御が少なくとも1つの車輪に実行されている場合にABS制御が実行されていない車輪が存在するときは、ABS制御が実行されていない車輪については回生制動力の付与を継続する。本実施形態においては、回生制動力は駆動輪である前輪にのみ付与することができる。よって、ブレーキECU70は例えば、後輪にABS制御を実行しているときに前輪への回生制動力の付与を継続する。これは、充分な制動力を確保するのに役立つ。
また、ブレーキECU70は、異常が生じていない系統でABS制御が実行された場合に、異常が発生している系統に対し回生制動力の付与を継続してもよい。本実施形態においては例えば、前輪で液漏れが生じておりかつ後輪にABS制御を実行しているときに前輪への回生制動力の付与を継続する。このようにすれば、充分な制動力を確保することが可能となる。
また、ABS制御が実行されているときには、ブレーキECU70は、ABS制御による液圧測定値の変動が回生補助制御の目標減速度に与える影響を低減するための処理を付加的に実行することが望ましい。ABS制御による液圧の急増減の影響を緩和することにより、回生補助制御におけるブレーキ制御性が向上される。
例えば、ブレーキECU70は、ABS制御が実行されているときには液圧センサの測定値の変動を緩和するようフィルタ処理を施した上でその測定値を目標減速度または回生制動力要求値の演算に用いてもよい。本実施形態では例えば、ブレーキECU70は、ABS制御が後輪で実行されているときにはレギュレータ圧センサ71の測定値にローパスフィルタをかけ、フィルタ処理後の測定値を回生制動力要求値の演算に用いる。ローパスフィルタの特性は、ABS制御に起因する液圧変動を除去または軽減するように適宜設定することが好ましい。このようにすれば、回生制動力要求値の演算にレギュレータ圧を利用する場合に、ABS制御によるレギュレータ圧の急変動の影響を抑えることができる。その結果、ABS制御に対応して生じ得る回生制動力の脈動を抑制し、安定的に回生制動力を出力することができる。
また、ブレーキECU70は、回生補助制御においてABS制御が実行されているときに目標減速度または回生制動力要求値の急減に対しガード処理を施してもよい。例えば、ブレーキECU70は、ABS制御が実行されている場合においては、液圧センサの測定値が増加するときに比較して当該測定値が減少するときには回生制動力要求値の変動を抑制するようにしてもよい。本実施形態では例えば、ブレーキECU70は、ABS制御がリヤ系統で実行されている場合にレギュレータ圧センサ71の測定値が増加しているときは回生制動力要求値の増加を許容し、当該測定値が減少しているときは回生制動力要求値の減少を制限する。このようにすれば、ABS制御に起因する液圧急減の回生制動力要求値への影響を軽減することができるので、回生補助制御における回生制動力の確保に寄与する。
次に、本実施形態に係る異常箇所特定処理を説明する。ブレーキECU70は、上述の液圧応答異常が検出されたときに異常箇所特定処理を実行する。本実施形態においては、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71、及び制御圧センサ73の測定値を用いて異常の発生箇所または発生した異常の内容を特定する。例えば、ブレーキECU70は、各センサの測定値に基づいてマスタ系統及びレギュレータ系統のどちらに異常が発生したのかを特定する。また、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71、及び制御圧センサ73の測定値のうち信頼性が高いものがいずれであるかを特定してもよい。言い換えれば、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25、レギュレータ圧センサ71、または制御圧センサ73のいずれかに異常が発生したか否かを判定してもよい。なお本実施形態では、同時に2箇所以上で異常が発生する可能性は極めて低いと考えられることから、異常が検出された場合にはブレーキ制御装置内のいずれか1箇所で異常が発生したものとする。
図4は、本実施形態に係る異常箇所特定処理の一例を説明するためのグラフである。図4の縦軸は制御圧センサ73の測定値であり、横軸はレギュレータ圧センサ71の測定値である。ブレーキECU70は、制御圧センサ73及びレギュレータ圧センサ71の測定値が図4に示されるグラフ上に設定される複数の領域のいずれに含まれるかによって異常発生箇所を特定する。図4に示される領域M1乃至M3は、予め設定されてブレーキECU70に記憶されている。
図4に破線で示される領域M1は、図4で実線により示される直線m1を含むように設定されている。領域M1は例えば、直線m1の両側に直線m1と所定の間隔を有して設定されている。直線m1は、液圧ブレーキユニット20のフロント系統にもリヤ系統にも液漏れがなく何らかの他の異常発生によりハイドロブースタモードに移行したときの制御圧センサ73の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例を示す。いずれの系統にも液漏れが生じていなければ、直線m1のように、制御圧センサ73の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値とは連動する。
以下では適宜、領域M1の下側については領域M2と称し、領域M1の上側については領域M3と称する。図4においては、領域M1と領域M2との境界、及び領域M1と領域M3との境界はそれぞれ破線で示されている。領域M2は、レギュレータ圧センサ71の測定値に対して制御圧センサ73の測定値が低すぎる領域である。よって、測定値が領域M2に含まれる場合には、制御圧センサ73が配置されているフロント系統に液漏れが生じていると言える。また、領域M3は、制御圧センサ73の測定値に対してレギュレータ圧センサ71の測定値が低すぎる領域である。よって、測定値が領域M3に含まれる場合には、レギュレータ圧センサ71が配置されているリヤ系統に液漏れが生じていると言える。なお、直線m2はフロント系統に液漏れが生じているときの制御圧センサ73の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例である。直線m3はリヤ系統に液漏れが生じているときの制御圧センサ73の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例である。
したがって、ブレーキECU70は、制御圧センサ73及びレギュレータ圧センサ71の測定値が領域M2に含まれる場合には、フロント系統に液漏れが生じていると判定し、制御圧センサ73及びレギュレータ圧センサ71の測定値が領域M3に含まれる場合には、リヤ系統に液漏れが生じていると判定する。また、ブレーキECU70は、制御圧センサ73及びレギュレータ圧センサ71の測定値が領域M1に含まれる場合には、液漏れ以外の他の異常が生じていると判定する。
また、図5は、本実施形態に係る異常箇所特定処理の他の一例を説明するためのグラフである。図5の縦軸はストロークセンサ25の測定値であり、横軸はレギュレータ圧センサ71の測定値である。ブレーキECU70は、ストロークセンサ25及びレギュレータ圧センサ71の測定値が図5に示されるグラフ上に設定される複数の領域のいずれに含まれるかによって異常発生箇所を特定する。図5に示される領域N1乃至N3は、予め設定されてブレーキECU70に記憶されている。
領域N1は折れ線n1を含むように設定され、領域N2は折れ線n2を含むように設定され、領域N3は直線n3を含むように設定されている。領域N1と領域N2との境界は折れ線n1と折れ線n2との間に設定され、領域N2と領域N3との境界は折れ線n2と直線n3との間に設定されている。図5においては、領域N1乃至N3の境界を破線で示している。
折れ線n1は、液圧ブレーキユニット20のフロント系統にもリヤ系統にも液漏れがなく何らかの他の異常発生によりハイドロブースタモードに移行したときのストロークセンサ25の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例である。折れ線n1は、システムが正常な場合におけるストロークとレギュレータ圧との関係n4に比較して同一のレギュレータ圧においてストロークが大きくなる。正常な場合においては液圧の供給容積がストロークシミュレータ69に限られるのに対して、ハイドロブースタモードにおいては液圧供給対象容積が前後輪のホイールシリンダ23へと拡張されるからである。なお、折れ線n1は図5においては折れ線として示されているが、これは模式的に特性を示しているにすぎず、実際にはレギュレータ圧が大きくなるにつれて緩やかに勾配が小さくなる曲線を描く。これは、ストローク値が小さい増圧当初はブレーキフルード用配管等の弾性変形等により増圧分がある程度吸収されてしまうために比較的増圧されにくいからである。
折れ線n2は、フロント系統に液漏れが生じているときのストロークセンサ25の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例である。フロント系統に液漏れが生じている場合には、フロント系統に対応するストローク量を超えるまではストロークの増加に対してレギュレータ圧の増加は小さい。フロント系統に対応するストローク量が踏み込まれると、ストローク量に応じてレギュレータ圧が大きく加圧されていく。図5ではは、折れ点Pにおいて折れ線n2の勾配が変化する。折れ点Pよりもストロークが小さいときにはストロークに対するレギュレータ圧の増加率が小さく、折れ点Pよりもストロークが大きくなるとストロークに対するレギュレータ圧の増加率が大きくなる。
直線n3はリヤ系統に液漏れが生じているときのストロークセンサ25の測定値とレギュレータ圧センサ71の測定値との関係の一例である。リヤ系統に液漏れが生じている場合には、図示されるように、ストロークが増加してもレギュレータ圧はほとんど増加しない。
よって、ブレーキECU70は、測定されたストローク及びレギュレータ圧が領域N2に含まれる場合には、フロント系統に液漏れが生じていると判定する。ブレーキECU70は、測定されたストローク及びレギュレータ圧が領域N3に含まれる場合には、リヤ系統に液漏れが生じていると判定する。また、ブレーキECU70は、測定されたストローク及びレギュレータ圧が領域N1に含まれる場合には、液漏れ以外の他の異常が生じていると判定する。
なお、折れ線n2において折れ点Pよりもストロークが小さい部分は直線n3とほぼ重複することもあり得る。この場合には、ブレーキECU70は、測定されたストロークとレギュレータ圧との関係が折れ点Pを有する場合にはフロント系統に液漏れが生じていると判定し、折れ点Pを有しない場合にはリヤ系統に液漏れが生じていると判定してもよい。
ところで、レギュレータ圧センサ71に異常が発生している場合にも直線n3のようにストロークの増減に対してレギュレータ圧がほぼ変化しないということがありうる。よって、測定されたストローク及びレギュレータ圧が領域N3に含まれている場合には、リヤ系統の液漏れが発生しているのではなく、レギュレータ圧センサ71に異常が発生している可能性もある。なお本実施形態では、ストロークセンサ25は複数の出力系統を有しており、複数の出力系統からの出力を比較することによりセンサに異常が生じているか否かを判定する自己診断機能を有する。よって、ストロークセンサ25に異常が発生したとしても自己診断により検出可能であるので、他の箇所の異常と混同することはない。
そこで、ブレーキECU70は、次に説明する異常箇所特定処理を実行してレギュレータ圧センサ71の異常を判別してもよい。図6は、本実施形態に係る異常箇所特定処理の一例を説明するためのフローチャートである。図6に示される処理は例えば、測定されたストローク及びレギュレータ圧が領域N2または領域N3に含まれると判定されたときに実行される。
図6に示される処理が開始されると、ブレーキECU70は、アキュムレータ35の液圧が低下しているか否かを判定する(S20)。ブレーキECU70はアキュムレータ圧センサ72の測定値に基づいてアキュムレータ圧が低下しているか否かを判定する。ブレーキECU70は例えば、アキュムレータ圧が所定の判定閾値を下回るか、または所定の減圧勾配を超えてアキュムレータ圧が低下している場合に、アキュムレータ圧が低下していると判定する。アキュムレータ圧が低下していると判定された場合には(S20のYes)、ブレーキECU70は、リヤ系統に液漏れが生じていると判定する(S22)。検出されたアキュムレータ圧の低下は、リヤ系統からの液漏れに起因すると考えられるからである。
一方、アキュムレータ圧が低下していないと判定された場合には(S20のNo)、ブレーキECU70は、測定されたストロークとレギュレータ圧との関係に折れ点Pが検出されるか否かを判定する(S24)。折れ点Pが検出された場合には(S24のYes)、ブレーキECU70は上述のように、フロント系統に液漏れが生じていると判定する(S26)。逆に、折れ点Pが検出されなかった場合には(S24のNo)、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の異常であると判定する(S28)。このようにして、フロント系統及びリヤ系統に液漏れが生じている場合とレギュレータ圧センサ71に異常が生じている場合とを切り分けることができる。
また、図7は、本実施形態に係る異常箇所特定処理の他の一例を説明するためのグラフである。図7の縦軸はストロークセンサ25の測定値であり、横軸は制御圧センサ73の測定値である。ハイドロブースタモードにおいては制御圧センサ73の測定値はマスタシリンダ圧を示す。ブレーキECU70は、ストロークセンサ25及び制御圧センサ73の測定値が図7に示されるグラフ上に設定される複数の領域のいずれに含まれるかによって異常発生箇所を特定する。図7に示される領域Q1及びQ2は、予め設定されてブレーキECU70に記憶されている。
領域Q1は折れ線q1を含むように設定され、領域Q2は直線q2を含むように設定されている。領域Q1と領域Q2との境界は折れ線q1と直線q2との間に設定されている。図7において領域Q1と領域Q2との境界は破線で示されている。折れ線q1は、フロント系統に液漏れがなく何らかの他の異常発生によりハイドロブースタモードに移行したときのストロークセンサ25の測定値と制御圧センサ73の測定値との関係の一例である。なお、ハイドロブースタモードにおいては分離弁60が閉弁されているのでリヤ系統での液漏れは制御圧センサ73の測定値に影響しない。直線q2はフロント系統に液漏れが生じているときのストロークセンサ25の測定値と制御圧センサ73の測定値との関係の一例である。フロント系統に液漏れが生じている場合には、図示されるように、ストロークが増加しても制御圧センサ73の測定値すなわちマスタシリンダ圧はほとんど増加しない。
よって、ブレーキECU70は、測定されたストローク及びマスタシリンダ圧が領域Q2に含まれる場合には、フロント系統に液漏れが生じていると判定する。また、ブレーキECU70は、測定されたストローク及びマスタシリンダ圧が領域Q1に含まれる場合には、フロント系統からの液漏れ以外の他の異常が生じていると判定する。
また、この場合、図5に示すストロークとレギュレータ圧との関係を併用することにより制御圧センサ73の異常とフロント系統からの液漏れとを判別することができる。フロント系統に液漏れが生じていなければ、ストロークの増加に連動してマスタシリンダ圧だけでなくレギュレータ圧も速やかに増加するからである。これに対して、フロント系統に液漏れが生じている場合には、図5の折れ線n2に示されるように、ストロークが小さいときにはレギュレータ圧があまり増加しない。よって、踏込当初のストロークが比較的小さいときにレギュレータ圧の増加があるか否かを判定することにより、フロント系統からの液漏れと制御圧センサ73の異常とを切り分けることができる。
以上の構成による動作を以下に説明する。まず、ブレーキ制御システムが正常である場合には回生協調制御が通常実行される。運転者がブレーキ操作をすると、回生制動力が優先的に利用され、液圧ブレーキユニット20が発生させる液圧制動力により回生制動力だけでは運転者の要求制動力に不足する分が補完される。このとき、液圧ブレーキユニット20においては通常、共通の増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67により各ホイールシリンダ圧が共通に制御されている。
運転者の要求制動力に対応して定まる目標液圧から制御液圧が基準を超えて乖離すると、液圧ブレーキユニット20は異常が発生したものとして例えばハイドロブースタモードに移行する。液圧ブレーキユニット20は、上述のように異常の発生箇所を特定する。例えば、フロント系統からの液漏れであるか、リヤ系統からの液漏れであるか、あるいはその他の異常であるかを判別する。また、センサに異常があるか否かも判定する。
液圧ブレーキユニット20は例えばフロント系統からの液漏れであると判定した場合に回生補助制御を実行する。すなわち、運転者の要求制動力をまかなうのに液圧制動力をまず利用するとともに回生制動力を補助的に利用する。本実施形態では、駆動輪である前輪には回生制動力が付与され、従動輪である後輪には液圧制動力が付与される。この場合、後輪でABS制御が実行されても回生補助制御は継続する。ABS制御による液圧の急増減の影響は前輪には及ばないからである。回生補助制御を継続することにより、充分な制動力を確保することができる。
また、回生制動力の要求値及びその要求値の算出の基礎となる目標減速度は、運転者のブレーキ操作に連動させつつできるだけ大きい値が得られるようにする。そのために液圧ブレーキユニット20は例えば、より大きい回生制動力要求値を与えるセンサ出力値を選択して回生制動力要求値を演算する。また、妥当な回生制動力要求値を得るために、より信頼性の高いセンサを演算の基礎として選択して回生制動力要求値を演算する。このように、大きい回生制動力要求値または目標減速度を得るようにすることで、発生可能な回生制動力を有効に活用して異常時の制動力を確保することができる。また、回生補助制御により前輪に制動力を与えることができるので、前後輪の制動力のバランスも改善される。
6 電動モータ、 7 ハイブリッドECU、 10 回生ブレーキユニット、 12 バッテリ、 14 モータECU、 20 液圧ブレーキユニット、 23 ホイールシリンダ、 27 マスタシリンダユニット、 31 液圧ブースタ、 32 マスタシリンダ、 33 レギュレータ、 34 リザーバ、 60 分離弁、 64 マスタカット弁、 65 レギュレータカット弁、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 71 レギュレータ圧センサ、 72 アキュムレータ圧センサ、 73 制御圧センサ。