JP4508095B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に設けられた車輪に付与する制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
従来から、アキュムレータと増圧用リニア制御弁とホイールシリンダとを備えるブレーキ制御装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これらのブレーキ制御装置においては、アキュムレータに蓄えられた作動液を増圧用リニア制御弁を介してホイールシリンダに供給することにより車輪に制動力が付与される。特許文献1に記載されたブレーキ制御装置においては、増圧用リニア制御弁に対して複数のホイールシリンダが接続されている。
また、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に差圧弁が設けられているブレーキ制御装置も知られている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。これらのブレーキ制御装置によれば、回生制動時に良好なブレーキフィーリングが提供される。
特開平11−180294号公報 特開2003−137082号公報 特開平11−285102号公報 特開平10−44953号公報
ところで、アキュムレータに蓄えられた作動液を増圧用制御弁を介してホイールシリンダに供給するブレーキ制御装置では、要求される制動力に応じて増圧用制御弁の開度が制御される。よって、増圧用制御弁の動作頻度が高くなるので、制御弁には高い耐摩耗性が要求される。特に増圧用制御弁に対して複数のホイールシリンダが接続されている場合には、増圧用制御弁における作動液の流量が多量となり、制御弁の受ける流体力などの負荷が大きくなってしまう。
そこで、本発明は、増圧用制御弁の耐久性を向上させることができるブレーキ制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、モータの回生制御により発生する回生制動力と液圧源から作動液を供給されて発生する液圧制動力とを併用して、要求される制動力を車両の車輪に付与するブレーキ制御装置であって、動力の供給により加圧された作動液を蓄える動力液圧源と、運転者によるブレーキ操作部材の操作量に応じて作動液を加圧するマニュアル液圧源と、作動液の供給により車輪に液圧制動力を付与するホイールシリンダと、動力液圧源とホイールシリンダとを接続する流路の中途に設けられ、動力液圧源からホイールシリンダへの作動液の送出を運転者によるブレーキ操作から独立して制御し得る増圧用制御弁と、要求される制動力と回生制動力の最大値との差に相当する液圧制動力を発生させるようマニュアル液圧源から送出された作動液をホイールシリンダへと供給する作動液供給系統と、回生制動力が最大値に達しているときに増圧用制御弁を閉状態として増圧用制御弁を介した作動液の送出を停止し、作動液供給系統を介してホイールシリンダに作動液を供給する制御部と、を備える。
この態様によれば、回生制動力が最大値に達すると増圧用制御弁は閉状態とされ、動力液圧源からホイールシリンダへの増圧用制御弁を介しての作動液の供給は停止される。このとき要求される制動力と回生制動力との差に相当する液圧制動力は、動力液圧源からの作動液の供給に代わり、マニュアル液圧源から作動液供給系統を介してホイールシリンダに作動液が供給されることにより発生させられる。その結果、増圧用制御弁が閉状態とされても車輪に要求制動力が付与される。よって、回生制動力が最大値に達している場合には、車輪に要求制動力を付与しつつ増圧用制御弁を閉状態とし、増圧用制御弁の制御を休止させることができる。したがって、増圧用制御弁の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧用制御弁の耐久性を向上することができる。
このとき、作動液供給系統は、回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧が作用すると開弁する差圧弁を含んでもよい。この態様によれば、作動液供給系統に含まれる差圧弁により、マニュアル液圧源から送出された作動液の液圧から回生制動力の最大値に相当する液圧を減じて得られる液圧をホイールシリンダに作用させられる。差圧弁を設けるという簡易な構成により、回生制動力が最大値に達している場合に増圧用制御弁の制御を休止させても、車輪に要求制動力を付与することが可能となる。
また、制御部は、回生制動力が低下して最大値よりも小さくなった場合に増圧用制御弁を開弁してもよい。このようにすれば、回生制動力の低下による制動力の不足分を、増圧用制御弁の開弁に伴うホイールシリンダへの作動液の供給により補うことができる。よって、回生制動力が低下しても要求制動力を維持することが可能となる。
更に、作動液供給系統は、差圧弁の上流に設けられた開閉弁をさらに含み、制御部は、回生制動力が低下して最大値よりも小さくなった場合に、開閉弁を閉弁するとともに増圧用制御弁を開弁してもよい。この態様によれば、回生制動力が低下して最大値よりも小さくなった場合に、差圧弁の上流に設けられた開閉弁が閉弁され、差圧弁を介してのマニュアル液圧源からの作動液の供給は停止される。それとともに増圧用制御弁が開弁されて制動力の不足分が補われる。このようにすれば、より高精度に液圧制動力を制御することができるという点で好ましい。
また、車両には複数の車輪が設けられ、ホイールシリンダは複数の車輪の各々に対応して複数設けられており、増圧用制御弁は、複数のホイールシリンダに対して共通に設けられていてもよい。この態様によれば、増圧用制御弁は、複数のホイールシリンダに対して共通に設けられているので、増圧用制御弁を開弁した場合の作動液の流量は比較的大流量となる。このような場合に上述のように、回生制動力が最大値に達しているときに増圧用制御弁を閉状態として増圧用制御弁の制御を休止させ、増圧用制御弁の動作頻度を低減させれば、増圧用制御弁に対する設計上の耐久性の要求を緩和することができるという点で特に好ましい。
本発明によれば、増圧用制御弁の耐久性を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制動装置が適用された車両を示す概略構成図である。同図に示される車両1は、いわゆるハイブリッド車両として構成されており、エンジン2と、エンジン2の出力軸であるクランクシャフトに接続された3軸式の動力分割機構3と、動力分割機構3に接続された発電可能なモータジェネレータ4と、変速機5を介して動力分割機構3に接続された電動モータ6と、車両1の駆動系全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」といい、電子制御ユニットは、すべて「ECU」と称する。)7とを備える。変速機5には、ドライブシャフト8を介して車両1の駆動輪たる右前輪9FRおよび左前輪9FLが連結される。
エンジン2は、例えばガソリンや軽油等の炭化水素系燃料を用いて運転される内燃機関であり、エンジンECU10により制御される。エンジンECU10は、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、エンジン2の作動状態を検出する各種センサからの信号に基づいてエンジン2の燃料噴射制御や点火制御、吸気制御等を実行する。また、エンジンECU10は、必要に応じてエンジン2の作動状態に関する情報をハイブリッドECU7に与える。
動力分割機構3は、変速機5を介して電動モータ6の出力を左右の前輪9FR,9FLに伝達する役割と、エンジン2の出力をモータジェネレータ4と変速機5とに振り分ける役割と、電動モータ6やエンジン2の回転速度を減速あるいは増速する役割とを果たす。モータジェネレータ4と電動モータ6とは、それぞれインバータを含む電力変換装置11を介してバッテリ12に接続されており、電力変換装置11には、モータECU14が接続されている。モータECU14も、ハイブリッドECU7と通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号等に基づいて電力変換装置11を介してモータジェネレータ4および電動モータ6を制御する。なお、上述のハイブリッドECU7やエンジンECU10、モータECU14は、何れもCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。
ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、電力変換装置11を介してバッテリ12から電力を電動モータ6に供給することにより、電動モータ6の出力により左右の前輪9FR,9FLを駆動することができる。また、エンジン効率のよい運転領域では、車両1はエンジン2によって駆動される。この際、動力分割機構3を介してエンジン2の出力の一部をモータジェネレータ4に伝えることにより、モータジェネレータ4が発生する電力を用いて、電動モータ6を駆動したり、電力変換装置11を介してバッテリ12を充電したりすることが可能となる。
また、車両1を制動する際には、ハイブリッドECU7やモータECU14による制御のもと、前輪9FR,9FLから伝わる動力によって電動モータ6が回転させられ、電動モータ6が発電機として作動させられる。すなわち、電動モータ6、電力変換装置11、ハイブリッドECU7およびモータECU14等は、車両1の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両1を制動する回生ブレーキユニットとして機能する。
車両1は、このような回生ブレーキユニットに加えて、液圧ブレーキユニット20を備えており、両者を協調させるブレーキ回生協調制御を実行することにより制動可能である。本実施形態における車両1は、ブレーキ回生協調制御を実行することにより、回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させることができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキユニット20を示す系統図である。液圧ブレーキユニット20は、図2に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。マニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。動力液圧源30は、動力の供給により加圧されたブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
上述のように、液圧ブレーキユニット20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。つまり、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35のそれぞれは、液圧源として液圧アクチュエータ40に並列に接続されている。
本実施形態における作動液供給系統としての液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましく、本実施形態のストロークシミュレータ69は多段のバネ特性を有する。
レギュレータ流路62は、中途に第1レギュレータカット弁65を有する。第1レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた第1レギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されて第1レギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、レギュレータ流路62には、第2レギュレータカット弁80及び差圧弁82が、第1レギュレータカット弁65に並列に設けられている。第2レギュレータカット弁80と差圧弁82とは直列に設けられており、第2レギュレータカット弁80は、差圧弁82の上流側に設けられている。第2レギュレータカット弁80は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。差圧弁82の開弁圧は、回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧に予め設定されている。本実施形態においては、差圧弁82の開弁圧は例えば数MPa程度とされる。
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧用制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧用制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
液圧ブレーキユニット20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU7などと通信可能であり、ハイブリッドECU7からの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68、80を制御して、液圧制動力を制御可能である。
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、第1レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。また、ブレーキECU70には、図示されない車輪速度センサ等も接続され、検知された信号が所定時間おきに与えられ、所定の記憶領域に格納保持される。
上述のように構成された液圧ブレーキユニット20は、リニア制御モード、走行中レギュレータ増圧モード、停止中レギュレータ増圧モードの少なくとも3つの制御モードを取ることができる。いずれの制御モードにおいても、液圧ブレーキユニット20はブレーキECU70により制御される。なお、以下では、走行中レギュレータ増圧モードを走行中Reg増モードと呼び、停止中レギュレータ増圧モードを停止中Reg増モードと呼ぶ。
リニア制御モードにおいては、各ホイールシリンダ23は、マスタシリンダユニット27から遮断される。すなわち、ブレーキECU70は、第1レギュレータカット弁65及び第2レギュレータカット弁80を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードが主流路45へ供給されないようにする。またブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。
また、リニア制御モードにおいては、ブレーキECU70は、要求制動力から回生制動力を減じることにより、液圧ブレーキユニット20により発生させるべき液圧制動力を算出する。ここで、回生制動力の値は、ハイブリッドECU7からブレーキECU70に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67に対する供給電流の値を決定する。
その結果、液圧ブレーキユニット20においては、動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介してブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給されて車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。このようにして、リニア制御モードにおいては、液圧制動と回生制動とを併用して要求制動力を発生させるブレーキ回生協調制御が実行される。
また、走行中Reg増モードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66への制御電流の供給を停止して増圧リニア制御弁66を閉状態とし、各ホイールシリンダ23から動力液圧源30を遮断する。更にブレーキECU70は、第1レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。
このときブレーキECU70は、第2レギュレータカット弁80を開状態とする。そうすると、レギュレータ圧がホイールシリンダ圧に対して差圧弁82の開弁圧だけ高くなった場合に差圧弁82が開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが供給され、ホイールシリンダ圧は、レギュレータ圧から差圧弁82の開弁圧を減じた値となる。差圧弁82の開弁圧は回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧とされているので、回生制動力が最大値である場合には、回生制動力と液圧制動力との合計が要求制動力に等しくなる。
さらに、停止中Reg増モードにおける各電磁制御弁の開閉状態は、上述の走行中Reg増モードとは第1レギュレータカット弁65及び第2レギュレータカット弁80の開閉状態が異なり、他の電磁制御弁の開閉状態は同様である。つまり、停止中Reg増モードにおいては、第1レギュレータカット弁65が開状態とされるとともに第2レギュレータカット弁80が閉状態とされるという点で、走行中Reg増モードとは異なる。その結果、レギュレータ圧がそのままホイールシリンダ23に伝達されるので、運転者によるブレーキペダル24の操作量に応じた液圧制動力を発生させることができる。
ブレーキECU70は、これらのリニア制御モード、走行中Reg増モード、及び停止中Reg増モードのいずれかを、車両の走行速度、あるいは回生制動力の値などの車両の状態に応じて選択する。図3は、本実施形態における制御モードの選択処理を説明するためのフローチャートである。図3に示される処理は、運転者によるブレーキペダル24の操作等による制動要求の発生後に所定の周期で、例えば数msecごとに実行される。
図3に示される処理が開始されると、まずブレーキECU70は、車両が停止中であるか否かを判定する(S12)。車両が停止中である場合には(S12のYes)、ブレーキECU70は、上述の停止中Reg増モードにより液圧制動力を制御する(S20)。これは、車両の停止中には回生制動力を発生させることができないので、要求制動力をすべて液圧制動により発生させるようにするためである。なお、車両が停止中であるか否かは、車輪速度センサ等の測定値に基づいて判定される。
車両が停止中ではない、すなわち車両が走行中であると判定されると(S12のNo)、ブレーキECU70は、発生している回生制動力が最大値に達しているか否かを判定する(S14)。回生制動力が最大値に達していると判定されると(S14のYes)、ブレーキECU70は、上述の走行中Reg増モードにより液圧制動力を制御する(S16)。このとき、ホイールシリンダ圧はレギュレータ圧から差圧弁の開弁圧を減じたものとなるので、発生する液圧制動力は、要求制動力から回生制動力の最大値を減じたものに等しくなる。よって、回生制動力と液圧制動力との合計が要求制動力に等しくなる。
一方、回生制動力が最大値に達していないと判定されると(S14のNo)、ブレーキECU70は、上述のリニア制御モードにより液圧制動力を制御する(S18)。この場合には、ブレーキECU70が増圧リニア制御弁66等を制御することとなる。よって、回生制動力が変動しても、その変動分が液圧制動力の制御により補完され、要求制動力が発生させられる。
引き続いて、図4を参照して、本実施形態における制動時の制御モードの選択の具体例を説明する。図4は、制動時の制動力、車両速度及び各電磁制御弁の開閉状態を示すタイミングチャートである。図4の上部には、制動時の要求制動力及び回生制動力の時間変化の一例が示されている。要求制動力と回生制動力との差が、発生させられるべき液圧制動力となる。図4の下部には、上から順に第2レギュレータカット弁80、差圧弁82、第1レギュレータカット弁65、増圧リニア制御弁66、及び減圧リニア制御弁67のそれぞれの開閉状態が示され、更に図4の最下部には車両速度の時間変化が示されている。図4においては、時刻tにおいて制動要求が発生し、時刻tに車両が停止し、時刻tに運転者によるブレーキペダル24の操作が終了したものとする。すなわち、車両速度は、時刻t以降徐々に低下し、時刻tにおいて零となる。
まず、時刻tにおいて制動要求が発生すると、ブレーキECU70は、第2レギュレータカット弁80を開弁する。時刻tにおいて回生制動力が最大値に達すると、レギュレータ圧が差圧弁82の開弁圧に達することとなるので、差圧弁82が開弁される。このとき、運転者のブレーキペダル24の操作量に応じて加圧されたレギュレータ圧は差圧弁82の開弁圧だけ減じられてホイールシリンダ23に作用する。差圧弁82により減じられた液圧に相当する制動力は回生制動力として得ることができるので、全体として要求制動力を発生させることができる。このように、走行中に回生制動力が最大値に達しており、かつ要求制動力が回生制動力を超えている場合には、走行中Reg増モードにより液圧制動力は制御される。
なお、時刻tから時刻tまでの間は要求制動力は回生制動力により満たされており液圧制動力を発生させる必要が無いので、走行中Reg増モードとしてもよいし、リニア制御モードとしてもよい。回生制動力が最大値に達するまでの間に回生制動と液圧制動とを併用する場合には、リニア制御モードとすればよい。
時刻tを過ぎると、車両速度の減少の影響により回生制動力が低下して最大値よりも小さくなり、時刻tには車両が停止して回生制動力は零となる。回生制動力が低下しても要求制動力を維持するために、ブレーキECU70は、時刻tにおいて第2レギュレータカット弁80を閉弁するとともに増圧リニア制御弁66の制御を開始する。これにより、時刻tに増圧リニア制御弁66が開弁され、ブレーキECU70は、その後要求制動力が維持されるように増圧リニア制御弁66を制御する。第2レギュレータカット弁80の閉弁に伴って、差圧弁82も閉弁される。このように、走行中に回生制動力が最大値に達しておらず、かつ要求制動力が回生制動力を超えている場合には、リニア制御モードにより液圧制動力は制御される。なお、第2レギュレータカット弁80を閉弁し、増圧リニア制御弁66により液圧制動力を制御すると、より制御精度を高めることができるという点で好ましい。
こうして時刻tに車両速度が零となり車両が停止すると、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66の制御を停止して増圧リニア制御弁66を閉弁するとともに、第1レギュレータカット弁65を開弁する。その後時刻tにおいて要求制動力が減少し始めると、ブレーキECU70は、減圧リニア制御弁67の制御を開始してホイールシリンダ圧を低下させる。そして、時刻tにおいて要求制動力が零となったところで減圧リニア制御弁67の制御は停止され、減圧リニア制御弁67は閉弁される。このように、車両の停止中は、停止中Reg増モードにより液圧制動力が制御される。
以上のように、本実施形態によれば、回生制動力が最大値に達しているときに差圧弁82を介してレギュレータ圧を各ホイールシリンダ23に導入するようにしている。そして、差圧弁82の開弁圧は、回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により必要とされる液圧に設定されている。これにより、レギュレータ圧から回生制動力の最大値に相当する液圧を減じて得られる液圧がホイールシリンダ23に作用する。レギュレータ圧の変動は、運転者のブレーキ操作に応じた要求制動力の変動に一致するので、液圧制動力と回生制動力の合計により要求制動力が発生させられる。
このとき、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66への制御電流の供給を停止して増圧リニア制御弁66を閉弁し、増圧リニア制御弁66を休止させている。よって、要求制動力を発生させながらも、増圧リニア制御弁66の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66の耐久性を向上することができる。
特に本実施形態においては、増圧リニア制御弁66は、各車輪のホイールシリンダ23に対して共通に設けられているため、増圧リニア制御弁66におけるブレーキフルードの流量は大きくなり、流体力等の負荷も大きくなる。本実施形態によれば、上述のように増圧リニア制御弁66の動作頻度を減少させることができるので、増圧リニア制御弁66に対する設計上の耐久性の要求を緩和することができる。よって、増圧リニア制御弁66を共通化することによるコストダウンという利点を享受しながら、増圧リニア制御弁66の耐久性を向上することができるという点で好ましい。
また、本実施形態においては、回生制動力が低下して最大値に達しなくなったときに、増圧リニア制御弁66への制御電流の供給を開始して増圧リニア制御弁66を開弁する。これにより、回生制動力の低下による制動力の不足分を液圧制動力により補うことが可能である。
なお、増圧リニア制御弁66を制御するリニア制御モードにおいては、第2レギュレータカット弁80を閉弁するようにしている。ところが、本発明はこれに限られず、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66を制御している間、第2レギュレータカット弁80を開状態としてもよい。このようにすれば、増圧リニア制御弁66と差圧弁82の双方からホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給することができるので、液圧制動力を高応答に発生させうるという点で好ましい。また、この場合、増圧リニア制御弁66の開度を小さくすることができるので、増圧リニア制御弁66の耐久性をより向上させるという点でも好ましい。
更に、本実施形態においては、第2レギュレータカット弁80は、差圧弁82の上流に設けられている。これにより、第2レギュレータカット弁80の閉弁時には、運転者のブレーキ操作等に伴う上流圧の変動が差圧弁82に作用することがない。よって、このようにすれば、差圧弁82の耐久性を高めるという点で好ましい。
次に図5を参照して、本実施形態の変形例を説明する。図5は、本実施形態の変形例に係る液圧ブレーキユニット20を示す系統図である。本変形例においては、レギュレータ流路62に第3レギュレータカット弁84を設けた点で上述の実施形態とは異なる。第3レギュレータカット弁84は、第1レギュレータカット弁65、第2レギュレータカット弁80、及び差圧弁82を単一の電磁弁により一体に構成したものに相当する。なお、本変形例に関する以下の説明において、上述の実施形態と同一の内容については説明を適宜省略する。
第3レギュレータカット弁84は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。ここで、第3レギュレータカット弁84の閉状態における自開圧は、差圧弁82と同様に回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧に設定されている。開状態とされた第3レギュレータカット弁84は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されて第1レギュレータカット弁65が閉弁されると、上述の自開圧より小さい液圧が作用している場合にはレギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断され、自開圧以上の液圧が作用すると開弁してブレーキフルードの流通が許容される。このように一体に構成された第3レギュレータカット弁84を用いることにより、より低コストな液圧ブレーキユニット20を実現することができるという点で好ましい。
なお、このとき、過渡応答等により第3レギュレータカット弁84の下流側のほうが高圧となってしまう可能性がある。そうすると、第3レギュレータカット弁84が開弁しにくくなってしまう場合がある。よって、減圧リニア制御弁67またはABS減圧弁56〜59による減圧、あるいは、自開解除圧の高いマスタカット弁64を用いることにより、第3レギュレータカット弁84の下流側の圧が高まるのを抑えるようにすることが望ましい。
なお、上述の本実施形態においては、液圧アクチュエータ40は、回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧が作用すると開弁する差圧弁82を含んで構成されていが、本発明はこれに限られない。例えば、回生制動力が最大値に達しているときに、ブレーキECU70は、第1レギュレータカット弁65を開弁し、回生制動力と液圧制動力の合計が要求制動力となるように減圧リニア制御弁67またはABS減圧弁56〜59を制御することにより液圧制動力を制御するようにしてもよい。このようにしても、増圧リニア制御弁66の動作頻度を低減することができるので、増圧リニア制御弁66の耐久性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係る車両制動装置が適用された車両を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る液圧ブレーキユニットを示す系統図である。 本実施形態における制御モードの選択処理を説明するためのフローチャートである。 制動時の制動力、車両速度及び各電磁制御弁の開閉状態を示すタイミングチャートである。 本実施形態の変形例に係る液圧ブレーキユニットを示す系統図である。
符号の説明
1 車両、 20 液圧ブレーキユニット、 23 ホイールシリンダ、 27 マスタシリンダユニット、 30 動力液圧源、 40 液圧アクチュエータ、 66 増圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 80 第2レギュレータカット弁、 82 差圧弁。

Claims (3)

  1. モータの回生制御により発生する回生制動力と液圧源から作動液を供給されて発生する液圧制動力とを併用して、要求される制動力を車両の車輪に付与するブレーキ制御装置であって、
    動力の供給により加圧された作動液を蓄える動力液圧源と、
    運転者によるブレーキ操作部材の操作量に応じて作動液を加圧するマニュアル液圧源と、
    作動液の供給により車輪に液圧制動力を付与するホイールシリンダと、
    前記動力液圧源と前記ホイールシリンダとを接続する流路の中途に設けられ、前記動力液圧源から前記ホイールシリンダへの作動液の送出を運転者によるブレーキ操作から独立して制御し得る増圧用制御弁と、
    要求される制動力と回生制動力の最大値との差に相当する液圧制動力を発生させるよう前記マニュアル液圧源から送出された作動液を前記ホイールシリンダへと供給する作動液供給系統と、
    回生制動力が最大値に達しているときに前記増圧用制御弁を閉状態として前記増圧用制御弁を介した作動液の送出を停止し、前記作動液供給系統を介して前記ホイールシリンダに作動液を供給する制御部と、を備え
    前記作動液供給系統は、前記回生制動力の最大値に相当する制動力を液圧制動により発生させる際に必要とされる液圧が作用すると開弁する差圧弁を含み、
    前記作動液供給系統は、前記差圧弁の上流に設けられた開閉弁をさらに含み、
    前記制御部は、前記回生制動力が低下して前記最大値よりも小さくなった場合に、前記開閉弁を閉弁するとともに前記増圧用制御弁を開弁することを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記制御部は、前記回生制動力が低下して前記最大値よりも小さくなった場合に前記増圧用制御弁を開弁することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記車両には複数の車輪が設けられ、前記ホイールシリンダは前記複数の車輪の各々に対応して複数設けられており、
    前記増圧用制御弁は、複数のホイールシリンダに対して共通に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
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