しかしながら、MCM基板120及び集積回路チップ130を使用する電子機器においては更なる高速化が求められているが、MCM基板120及び集積回路チップ130間の接続は金属等の物質をパターン化したリード線による電気的な接続であり、信号の高速化に限界がある。
これは、集積回路チップ130が高速化するにつれ、MCM基板120及び集積回路チップ130間の信号伝送時に発生する伝送遅延時間が無視できなくなり、信号の同期伝送が困難となるためである。例えば、電気的な信号伝送においては、70ps/cm(ピコセカンド/センチメートル)の伝送遅延時間が発生する。図1(B)において、集積回路チップ130−1と130−2との間の信号伝送経路170と、集積回路チップ130−1と130−6との間の信号伝送経路180とでは伝送遅延時間が異なり、数GHzの動作クロックによる動作処理においては無視できない時間となる。
また、MCM基板120及び集積回路チップ130間の金属等の物質をパターン化したリード線による浮遊容量及びインピーダンスにより、信号の伝送歪み及び伝送ロスが発生するため信号の伝送が困難となるためである。一方、光で信号伝達を行なう光電子集積回路は、光損失の小さい材質により基板を構成したとしても、基板を透過する際にある程度の光損失を避けることができず伝送ロスが発生する。このような伝送ロスは、伝送エラーの発生につながり、信号伝送の信頼性が低下する。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる光電子集積回路装置を提供することを第一の目的とする。また、信号の伝送遅延時間を短縮することを第二の目的とする。
そこで、上記課題を解決するため、開示の装置は、電気回路部と、該電気回路部と接続されている複数の発光素子が並んだ光学的出力端子部と、該電気回路部と接続されている複数の受光素子が並んだ光学的入力端子部とを含む第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路で構成されており、該第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路が夫々の光学的出力端子部と光学的入力端子部とが向き合うように配置され、該第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路の光学的出力端子部と光学的入力端子部との間で光信号を伝送する構成としたことを特徴とする。
このように、電気回路部と、光学的出力端子部と、光学的入力端子部とを含む第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路で構成されたことにより、第一光電子集積回路と第二光電子集積回路装置との間で光信号の伝送が可能となる。また、第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路が夫々の光学的出力端子部と光学的入力端子部とが向き合うように配置されることにより、光信号を基板等を透過させずに伝送させることができ、基板等の透過に伴う不都合、即ち、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる。
また、開示の装置は、前記第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路は、夫々、マトリクス状に並んだ複数の発光素子よりなる前記光学的出力端子部と、マトリックス状に並んだ複数の受光素子よりなる前記光学的入力端子部と、電気回路部と、電気信号入出力用の電極パッドとを備えた構成であり、前記発光素子と前記受光素子とが同一側、且つ、前記電極パッドが前記発光素子及び受光素子の反対側となるように基板上に設けられることを特徴とする。
このように、光学的出力端子部と、光学的入力端子部と、電気回路部と、電気信号入出力用の電極パッドとを備えた構成であり、前記発光素子と前記受光素子とが同一側、且つ、前記電極パッドが前記発光素子及び受光素子の反対側となるように基板上に設けられることにより、光信号の入出力が同一側で可能であり、前記発光素子及び受光素子の反対側で電気信号の入出力が可能である。
また、開示の装置は、光電子集積回路装置を、前記電極パッドにて接合して多段に重ね合わせた構成であり、他の光電子集積回路装置と電気的に接合されることを特徴とする。このように、光電子集積回路装置を電極パッド側で向かい合わせて電極パッドにより接合することにより、その光電子集積回路装置間の信号伝送が電極パッドを介して可能となる。
また、開示の装置は、前記多段光電子集積回路装置は、前記光学的出力端子部から出力される光信号を入力され、その光信号を前記光学的入力端子部に出力する光導波路を設けたことを特徴とする。このように、光電子集積回路装置を電極パッド側で向かい合わせて電極パッドにより接合して多段に重ね合わせた構成としたことにより、夫々の光電子集積回路装置間の距離が縮小され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。また、光電子集積回路装置の光学的出力端子部から出力される光信号を入力され、その光信号を前記光学的入力端子部に出力する光導波路を設けたことにより、信号伝送を光信号により行うことが可能となる。
また、開示の装置は、多段光電子集積回路装置を複数設けた構成であり、前記多段光電子集積回路装置間が光接続されていることを特徴とする。このように、光電子集積回路装置を多段に重ね合わせた多段光電子集積回路装置が複数設けられ、その多段光電子集積回路装置間が光接続されていることにより、規模の大きな回路装置においても信号の伝送遅延時間を短縮し、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる。
また、開示の装置は、前記多段光電子集積回路装置において、前記光電子集積回路の少なくとも二角に光軸位置合わせ用のマーク及び光軸位置合わせ用の穴を備えており、その穴に位置決めピンを挿入することを特徴とする。このように、光電子集積回路装置の少なくとも二角に光軸位置合わせ用のマーク及び光軸位置合わせ用の穴を備えており、その穴に位置決めピンを挿入することにより、多段光電子集積回路装置において発光素子と受光素子との光軸位置合わせが容易になる。
また、開示の装置は、前記光電子集積回路装置において、電源を供給するための電源パッドを各光電子集積回路の側面に備えることを特徴とする。このように、光電子集積回路の側面に電源を供給するための電源パッドを設けることにより電源供給が容易になる。また、開示の装置は、前記多段光電子集積回路装置において、前記光電子集積回路装置間と前記電気回路部とに接触面を有する放熱用の熱伝導プレートと、前記放熱用の熱伝導プレートとの接触面をもった放熱フィンを備えることを特徴とする。
このように、多段光電子集積回路装置を構成する光電子集積回路装置間と電気回路部とに接触面を有する放熱用の熱伝導プレートと、その放熱用の熱伝導プレートとの接触面をもった放熱フィンを設けることにより、多段光電子集積回路装置の放熱を効率良く行うことができる。また、開示の装置は、前記多段光電子集積回路装置において、前記光電子集積回路の側面に設けられた電源を供給するための電源パッドに電源を供給する電源供給用バーを設けたことを特徴とする。
このように、光電子集積回路の側面に設けられた電源を供給するための電源パッドに電源を供給する電源供給用バーを設けたことにより、多段光電子集積回路装置を構成する複数の光電子集積回路に電源を供給することが容易になる。また、開示の装置は、前記複数多段光電子集積回路装置は、前記多段光電子集積回路装置間の信号伝送を行う光導波路と、前記多段光電子集積回路装置に電源を供給する電源線と、他の基板とのインターフェースをとるインターフェース手段とを有する基板上に構成されたことを特徴とする。
このように、光導波路と電源線とインターフェース手段とを有する基板上に複数の多段光電子集積回路装置を設ける構成としたことにより、複数多段光電子集積回路装置を構成する多段光電子集積回路装置間の光信号伝送が可能となる。また、複数多段光電子集積回路装置を構成する基板と他の基板との間の光信号伝送が可能となる。
また、開示の装置は、前記第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路は、夫々、マトリクス状に並んだ複数の発光素子よりなる前記光学的出力端子層と、マトリックス状に並んだ複数の受光素子よりなる前記光学的入力端子層と、電気回路層とを備えた構成であり、前記電気回路層を挟み込むように前記光学的出力端子層と前記光学的入力端子層とが形成されることを特徴とする。
このように、複数の発光素子よりなる光学的出力端子層と、複数の受光素子よりなる光学的入力端子層と、電気回路層とを備えた構成であり、電気回路層を挟み込むように光学的出力端子層と光学的入力端子層とが形成されることにより、光電子集積回路装置をウェーハ(wafer)基板上に一体形成することが可能となる。また、電気回路層を挟み込むように光学的出力端子層と光学的入力端子層とが形成されていることにより、小型化が可能となる。
また、開示の装置は、前記第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路が、夫々、マトリクス状に並んだ複数の発光素子よりなる前記光学的出力端子部と、マトリックス状に並んだ複数の受光素子よりなる前記光学的入力端子部と、電気回路部とを備えた構成であり、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部とが夫々電気回路部に半田接合され、且つ、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部とが前記電気回路部を挟み込むように設けられることを特徴とする。
このように、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部とが夫々電気回路部に半田により接合されていることにより、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部と電気回路部とを別々にウェーハ基板上に形成した後で光電子集積回路装置を構成することが可能となる。また、開示の装置は、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の同一側となるように基板上に設けられることを特徴とする。
このように、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の同一側となるように基板上に設けられることにより、前記電気回路部と前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部とが配線基板上の薄膜パターンのみで接続される。したがって、電気信号の伝送距離が短縮され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。
また、開示の装置は、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の反対側となるように基板上に設けられることを特徴とする。このように、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の反対側となるように基板上に設けられることにより、配線基板の電極パッドを介することなく光電子集積回路装置同士の接続ができる。したがって、光電子集積回路装置間の電気信号伝送距離が短縮され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。
また、開示の装置は、前記電気回路部,前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部がワイヤボンディングで基板と電気的に接続されることを特徴とする。このように、前記電気回路部,前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部がワイヤボンディングで基板と電気的に接続されることにより、ウェーハ基板を介することなく電気信号又は光信号を伝送できる。したがって、電気信号又は光信号の減衰を少なくすることが可能となる。
開示の装置によれば、電気回路部と、光学的出力端子部と、光学的入力端子部とを含む第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路で構成されたことにより、第一光電子集積回路と第二光電子集積回路装置との間で光信号の伝送が可能となる。また、第一光電子集積回路及び第二光電子集積回路が夫々の光学的出力端子部と光学的入力端子部とが向き合うように配置されることにより、光信号を基板等を透過させずに伝送させることができ、基板等の透過に伴う不都合、即ち、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる。
また、開示の装置によれば、光学的出力端子部と、光学的入力端子部と、電気回路部と、電気信号入出力用の電極パッドとを備えた構成であり、前記発光素子と前記受光素子とが同一側、且つ、前記電極パッドが前記発光素子及び受光素子の反対側となるように基板上に設けられることにより、光信号の入出力が同一側で可能であり、前記発光素子及び受光素子の反対側で電気信号の入出力が可能である。
また、開示の装置によれば、光電子集積回路装置を電極パッド側で向かい合わせて電極パッドにより接合することにより、その光電子集積回路装置間の信号伝送が電極パッドを介して可能となる。また、開示の発明によれば、光電子集積回路装置を電極パッド側で向かい合わせて電極パッドにより接合して多段に重ね合わせた構成としたことにより、夫々の光電子集積回路装置間の距離が縮小され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。また、光電子集積回路装置の光学的出力端子部から出力される光信号を入力され、その光信号を前記光学的入力端子部に出力する光導波路を設けたことにより、信号伝送を光信号により行うことが可能となる。
また、開示の装置によれば、光電子集積回路装置を多段に重ね合わせた多段光電子集積回路装置が複数設けられ、その多段光電子集積回路装置間が光接続されていることにより、規模の大きな回路装置においても信号の伝送遅延時間を短縮し、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる。また、開示の装置によれば、光電子集積回路装置の少なくとも二角に光軸位置合わせ用のマーク及び光軸位置合わせ用の穴を備えており、その穴に位置決めピンを挿入することにより、多段光電子集積回路装置において発光素子と受光素子との光軸位置合わせが容易になる。
また、開示の装置によれば、光電子集積回路の側面に電源を供給するための電源パッドを設けることにより電源供給が容易になる。また、開示の装置によれば、多段光電子集積回路装置を構成する光電子集積回路装置間と電気回路部とに接触面を有する放熱用の熱伝導プレートと、その放熱用の熱伝導プレートとの接触面をもった放熱フィンを設けることにより、多段光電子集積回路装置の放熱を効率良く行うことができる。
また、開示の装置によれば、光電子集積回路の側面に設けられた電源を供給するための電源パッドに電源を供給する電源供給用バーを設けたことにより、多段光電子集積回路装置を構成する複数の光電子集積回路に電源を供給することが容易になる。また、開示の装置によれば、光導波路と電源線とインターフェース手段とを有する基板上に複数の多段光電子集積回路装置を設ける構成としたことにより、複数多段光電子集積回路装置を構成する多段光電子集積回路装置間の光信号伝送が可能となる。また、複数多段光電子集積回路装置を構成する基板と他の基板との間の光信号伝送が可能となる。
また、開示の装置によれば、複数の発光素子よりなる光学的出力端子層と、複数の受光素子よりなる光学的入力端子層と、電気回路層とを備えた構成であり、電気回路層を挟み込むように光学的出力端子層と光学的入力端子層とが形成されることにより、光電子集積回路装置をウェーハ(wafer)基板上に一体形成することが可能となる。また、電気回路層を挟み込むように光学的出力端子層と光学的入力端子層とが形成されていることにより、小型化が可能となる。
また、開示の装置によれば、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部とが夫々電気回路部に半田により接合されていることにより、前記光学的出力端子部と前記光学的入力端子部と電気回路部とを別々にウェーハ基板上に形成した後で光電子集積回路装置を構成することが可能となる。また、開示の装置によれば、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の同一側となるように基板上に設けられることにより、前記電気回路部と前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部とが配線基板上の薄膜パターンのみで接続される。したがって、電気信号の伝送距離が短縮され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。
また、開示の装置によれば、前記電気回路部が前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部の反対側となるように基板上に設けられることにより、配線基板の電極パッドを介することなく光電子集積回路装置同士の接続ができる。したがって、光電子集積回路装置間の電気信号伝送距離が短縮され、信号の伝送遅延時間の短縮が可能となる。
また、開示の装置によれば、前記電気回路部,前記光学的出力端子部及び前記光学的入力端子部がワイヤボンディングで基板と電気的に接続されることにより、ウェーハ基板を介することなく電気信号又は光信号を伝送できる。したがって、電気信号又は光信号の減衰を少なくすることが可能となる。
以下に、光電子集積回路装置に関する本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔光電子集積回路装置〕(図2参照)
図2は、本発明の光電子集積回路装置の一実施例の斜視図を示す。また、図3は本発明の光電子集積回路装置を構成する光電子集積回路の一例の構成図を示す。以下、図2及び図3を利用して本願発明の光電子集積回路装置について説明する。
図2において、光電子集積回路装置2は、二つの光電子集積回路1が対向するように構成されている。光電子集積回路1は、図3に示すように、光学的入力端子部10と光学的出力端子部12と電気回路部11と電極パッド14と配線基板13とで構成されている。光学的入力端子部10はウェーハ基板16−1と、そのウェーハ基板16−1上に複数の受光素子がマトリクス状に並ぶように形成された受光層17とで構成されており、受光層17側で配線基板13と半田接合されている。
光学的出力端子部12はウェーハ基板16−3と、そのウェーハ基板16−3上に複数の発光素子がマトリクス状に並ぶように形成された発光層20とで構成されており、発光層20側で配線基板13と半田接合されている。電気回路部11はウェーハ基板16−2と、そのウェーハ基板16−2上にトランジスタ等で構成される電気回路層18と、配線層19とで構成されており、配線層19側で配線基板13と半田接合されている。
光学的入力端子部10と光学的出力端子部12とは、配線基板13を介して電気回路部11と電気的に接続されている。光学的入力端子部10は、他の光電子集積回路1から入力された光信号を電気信号に変換して電気回路部11に供給している。また、光学的出力端子部12は、電気回路部11で処理された電気信号を供給され、その電気信号を光信号に変換して他の光電子集積回路1に出力する。
光学的入力端子部10,光学的出力端子部12及び電気回路部11は、配線基板13の同一側に構成されており、光学的入力端子部10の受光層17及び光学的出力端子部12の発光層20が同一の面方向となっている。また、配線基板13は、光学的入力端子部10,光学的出力端子部12及び電気回路部11を構成している反対側に他の光電子集積回路1と電気的に接合することができる電極パッド14を備える構成となっている。
したがって、図3の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となり、更に、電極パッド14を介して他の光電子集積回路1と電気的に接続されることが可能となる。上述のような光電子集積回路1が、二つ対向するように構成されることにより光電子集積回路装置2が構成される。一方の光電子集積回路1−1の光学的出力端子部12−1と他方の光電子集積回路1−2の光学的入力端子部10−2とは対向する位置になるように構成される。また、一方の光電子集積回路1−1の光学的入力端子部10−1と他方の光電子集積回路1−2の光学的出力端子部12−2とは対向する位置になるように構成される。
以上のように構成することにより、光電子集積回路装置2は光電子集積回路1−1と1−2との間で光信号による信号伝送が可能となる。
〔多段光電子集積回路装置〕(図4〜図6参照)
図4は、本発明の多段光電子集積回路装置の一実施例の斜視図を示す。図5は、本発明の多段光電子集積回路装置の一実施例の側面図を示す。また、図6は本発明の多段光電子集積回路装置の一実施例の平面図を示す。
図4〜図6において、多段光電子集積回路装置3は、複数の光電子集積回路装置2を多段に積み上げる構成とされている。このとき、光電子集積回路装置2の電極パッド14側は他の光電子集積回路装置2の電極パッド14と半田接合されることにより電気的に接続される。なお、多段光電子集積回路装置3を構成する多段に積み上げられる複数の光電子集積回路装置2の一番上段及び下段には光電子集積回路1が設けられ、電極パッド14を介して光電子集積回路装置2と半田接合されている。
また、その複数の光電子集積回路装置2の対角線上の二角には位置合わせ用の穴24が設けられており、その穴24に位置決めピン21を挿入することにより、光学的入力端子部10と光学的出力端子部12との光軸位置を合わせることができる。なお、位置合わせ用の穴24は、少なくとも二角設けることにより光軸位置を固定できるようになる。また、光電子集積回路装置2の側面に光軸位置合わせ用のマークを備えておき、そのマークに基づいて光軸位置を合わせるようにしても良い。
多段光電子集積回路装置3を構成する光電子集積回路装置2は、その側面に電源供給用の電源パッド25を設けており、その電源パッド25と接触面を持つ電源供給バー22が設けられている。その電源供給バー22を介して、全ての光電子集積回路装置2に電源が供給されている。また、光電子集積回路装置2を多段に積み上げる構成とした場合に全ての光電子集積回路装置2間で光信号を伝送することができるように光導波路23が設けられている。光導波路23は、光学的入力端子部10と光学的出力端子部12との所定の部分を覆うように設けられ、光学的出力端子部12から出力される光信号を所定の光学的入力端子部10に出力する。
ここで、図5を利用して、光信号の伝送経路について説明する。第一に同一の光電子集積回路装置2間の光信号伝送の例として、電気回路部11−5から電気回路部11−4に光信号を伝送する場合について説明する。電気回路部11−5から電気回路部11−4に光信号を伝送する場合、その光信号の伝送経路は図5に光信号の伝送経路27として示される。電気回路部11−5から出力された電気信号は、配線基板13を介して光学的出力端子部12に供給され、電気信号から光信号に変換される。
光学的出力端子部12で電気信号から変換された光信号は光学的出力端子部12から出力されて光学的入力端子部10に入力される。光学的入力端子部10は入力された光信号を電気信号に変換し、その電気信号を配線基板13を介して電気回路部11−4に供給する。このように、電気回路部11−5から電気回路部11−4に光信号が伝送される。
第二に上下方向に隣接していない光電子集積回路装置2間の光信号伝送の例として、電気回路部11−5から電気回路部11−1に光信号を伝送する場合について説明する。電気回路部11−5から電気回路部11−1に光信号を伝送する場合、その光信号の伝送経路は図5に光信号の伝送経路26として示される。電気回路部11−5から出力された電気信号は、配線基板13及び電極パッド14を介して電気回路部11−6を含む光電子集積回路1に入力される。
電気回路部11−6を含む光電子集積回路1は、電極パッド14から供給された電気信号を配線板13を介して光学的出力端子部12に供給し、この電気信号を光信号に変換する。光学的出力端子部12で電気信号から変換された光信号は光学的出力端子部12から出力されて光導波路23に入力される。光導波路23は、電気回路部11−1を含む光電子集積回路1の光学的入力端子部10に供給された光信号を入力する。光学的入力端子部10は入力された光信号を電気信号に変換し、その電気信号を配線基板13を介して電気回路部11−1に供給する。このように、電気回路部11−5から電気回路部11−1に光信号が伝送される。
したがって、図4〜図6の様な構成をとることにより多段光電子集積回路装置3は、その多段光電子集積回路装置3を構成する複数の光電子集積回路装置2の間で基板透過することなく光信号伝送をすることが可能となる。また、光信号伝送においては、50ps/cm(ピコセカンド/センチメートル)の遅延伝送時間が発生するが、電気信号伝送における70ps/cm(ピコセカンド/センチメートル)の遅延伝送時間と比較すると遅延伝送時間が短縮される。
このように、高密度な光信号伝送をすることにより、従来の電気信号伝送に比べて信号の伝送遅延時間を短縮し、信号の伝送歪み及び伝送ロスを減少することができる。
〔多段光電子集積回路装置に放熱用熱伝導プレートを設けた構成〕(図7〜図10参照)
図7は、本発明の多段光電子集積回路装置に放熱用熱伝導プレートを設けた場合の一実施例の斜視図を示す。図8は、本発明の多段光電子集積回路装置に放熱用熱伝導プレートを設けた場合の一実施例の側面図を示す。図9は、本発明の多段光電子集積回路装置に放熱用熱伝導プレートを設けた場合の一実施例の平面図を示す。また、図10は本発明の多段光電子集積回路装置に放熱用フィンを設けた場合の一実施例の斜視図を示す。
図7〜図9において、多段光電子集積回路装置3は、図4〜図6に示した多段光電子集積回路装置3に放熱用熱伝導プレート30−1〜30−3を設けた構成である。したがって、図4〜図6と同様の部分については説明を省略し、放熱用熱伝導プレート30−1〜30−3を中心に説明する。図7〜図9に示す多段光電子集積回路装置3は、多段光電子集積回路装置3を構成する光電子集積回路装置2の電気回路部11と面接触する放熱用熱伝導プレート30−1と、一方の光電子集積回路装置2と他方の光電子集積回路装置2との間を構成する二枚の配線基板13の間に設けられ、その二枚の配線基板13と面接触する放熱用熱伝導プレート30−2と、放熱用熱伝導プレート30−1及び30−2と接触面を有し、多段光電子集積回路装置3の側面に設けられる放熱用熱伝導プレート30−3とを含む構成である。
放熱用熱伝導プレート30−2は、図9において点線による斜線部分で表しているが、多段光電子集積回路装置3にて行う光信号の妨げにならないような位置に設けている。具体的には、放熱用熱伝導プレート30−2は一方の光電子集積回路装置2と他方の光電子集積回路装置2との間であり、且つ、光学的入力端子部10又は光学的出力端子部12の近辺に設けられる。
したがって、図7〜図9の様な構成をとることにより多段光電子集積回路装置3の放熱を効果的に行うことが可能となる。図10において、多段光電子集積回路装置3は、図7〜図9に示した放熱用熱伝導プレート30−1〜30−3を設けた多段光電子集積回路装置3に放熱用フィン31を設けた構成である。したがって、図7〜図9と同様の部分については説明を省略し、放熱用フィン31を中心に説明する。
図10に示す多段光電子集積回路装置3は、その側面に放熱用フィン31を有する構成となっている。ここで、放熱用フィン31とは、その表面積を増加させることにより放熱効果を高めたものであり、例えば平面部分と、その平面部分から垂直方向に櫛歯上に伸びている板状の部分とで構成される。この放熱フィン31はその平面部分で図7〜図9に示す放熱用熱伝導プレート30−1〜30−3と接触面を有するように多段光電子集積回路装置3に設置される。
したがって、図10の様な構成をとることにより多段光電子集積回路装置3の放熱を更に効果的に行うことが可能となる。以上のように、多段光電子集積回路装置3の放熱を効果的に行うことが可能となるため、多段光電子集積回路装置3の小型化及び高集積化が可能となる。
〔複数多段光電子集積回路装置〕(図11参照)
図11は、本発明の複数多段光電子集積回路装置の一実施例の側面図を示す。図11において、複数多段光電子集積回路装置4は、複数の多段光電子集積回路装置3と、その多段光電子集積回路装置3を配置する基板38とを含む構成となっている。
複数多段光電子集積回路装置4を構成する複数の多段光電子集積回路装置3は、基板38上に配置される際に位置決めピン21により光軸位置合わせが行われる。また、複数の多段光電子集積回路装置3は電源供給用バー22を介して基板38から電源が供給される。基板38は、その内部に光信号伝送用の光導波路33を有しており、基板38上に配置された一の多段光電子集積回路装置3から供給された光信号を他の多段光電子集積回路装置3に伝送する。また、基板38は他の基板に光信号を伝送するための光コネクタジャック34を有しており、その光コネクタジャック34に光ファイバ36が接続されている光コネクタプラグ35を接続することで他の基板との光信号伝送を行う。
したがって、図11の様な構成をとることにより複数多段光電子集積回路装置4は、その複数多段光電子集積回路装置4を構成する複数の多段光電子集積回路装置3の間で光信号伝送をすることが可能となる。また、複数多段光電子集積回路装置4は、他の基板との間で光信号伝送をすることが可能となる。
〔光電子集積回路の他の構成例〕(図12〜図17参照)
図12は、光電子集積回路の第二例の斜視図を示す。図12において、光電子集積回路1は、大きく分類すると光学的入力端子部10と光学的出力端子部12と電気回路部11と電極パッド40と配線基板13とで構成されている。なお、図12の光電子集積回路1は図3の光電子集積回路1と一部を除いて同様であり、同一部分については説明を省略する。
電気回路部11はウェーハ基板16−2と、そのウェーハ基板16−2上にトランジスタ等で構成される電気回路層18と、配線層19とで構成されており、ウェーハ基板16−2側で配線基板13と接合されている。なお、電気回路部11は、配線基板13上で光学的入力端子部10及び光学的出力端子部12の反対側の面に設けられる。
電気回路部11は、配線層19と配線基板13とをボンディングワイヤ41でボンディングすること(以下、ワイヤボンディングという)により配線基板13と電気的に接続されており、配線基板13を介して光学的入力端子部10及び光学的出力端子部12と電気的に接続されている。また、電気回路部11に含まれる配線層19は電極パッド40を有し、他の光電子集積回路1とその電極パッド40を介して接続される。
したがって、図12の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1と電気的に接続されることが可能となり、更に他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となる。また、二つの光電子集積回路1を電気的に接続する場合、二つの光電子集積回路1に含まれる電気回路部11が配線基板13を介することなく電極パッド40を介して接続されるため電気信号の伝送距離が短縮される。
図13は、光電子集積回路の第三例の構成図を示す。なお、図13の光電子集積回路1は図2の光電子集積回路1と一部を除いて同様であり、同一部分については説明を省略する。図13において、光学的入力端子部10はウェーハ基板16−1と、そのウェーハ基板16−1上に複数の受光素子がマトリクス状に並ぶように形成された受光層17とで構成されており、ウェーハ基板16−1側で配線基板13と接合されている。
光学的出力端子部12はウェーハ基板16−3と、そのウェーハ基板16−3上に複数の発光素子がマトリクス状に並ぶように形成された発光層20とで構成されており、ウェーハ基板16−3側で配線基板13と接合されている。また、光学的入力端子部10の受光層17と光学的出力端子部12の発光層20とはワイヤボンディングにより配線基板13に接続されている。
したがって、図13の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1と電気的に接続されることが可能となり、更に他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となる。また、受光層17及び発光層20がウェーハ基板16−1又は16−3を介することなく光信号の伝送ができるため、光信号の減衰を少なくすることが可能となる。
図14は、光電子集積回路の第四例の構成図を示す。なお、図14の光電子集積回路1は図2の光電子集積回路1と一部を除いて同様であり、同一部分については説明を省略する。図14において、電気回路部11はウェーハ基板16−2と、そのウェーハ基板16−2上にトランジスタ等で構成される電気回路層18と、配線層19とで構成されており、ウェーハ基板16−2側で配線基板13と接合されている。また、電気回路部11に含まれる配線層19は電極パッド40を有し、他の光電子集積回路1とその電極パッド40を介して接続される。
光学的入力端子部10はウェーハ基板16−1と、そのウェーハ基板16−1上に複数の受光素子がマトリクス状に並ぶように形成された受光層17とで構成されており、ウェーハ基板16−1側で配線基板13と接合されている。光学的出力端子部12はウェーハ基板16−3と、そのウェーハ基板16−3上に複数の発光素子がマトリクス状に並ぶように形成された発光層20とで構成されており、ウェーハ基板16−3側で配線基板13と接合されている。電気回路部11は、配線層19と配線基板13とをワイヤボンディングすることにより電気的に接続されており、また、光学的入力端子部10の受光層17と光学的出力端子部12の発光層20とはワイヤボンディングにより配線基板13に接続されている。このように、電気回路部11は光学的入力端子部10及び光学的出力端子部12と電気的に接続される。
したがって、図14の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1と電気的に接続されることが可能となり、更に他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となる。また、配線層19がウェーハ基板16−2を介することなく配線基板13と電気的に接続されるため、電気信号の減衰を少なくすることが可能となる。さらに、受光層17及び発光層20がウェーハ基板16−1及び16−3を介することなく光信号伝送ができるので、光信号の減衰を少なくすることが可能となる。
図15は、光電子集積回路の第五例の構成図を示す。なお、図15の光電子集積回路1は図14の光電子集積回路1と一部を除いて同様であり、同一部分については説明を省略する。図15において、電気回路部11はウェーハ基板16−2と、そのウェーハ基板16−2上にトランジスタ等で構成される電気回路層18と、配線層19とで構成されており、ウェーハ基板16−2側で配線基板13と接合されている。なお、電気回路部11,光学的入力端子部10及び光学的出力端子部12は配線基板13の同一側に設けられている。
電気回路部11は、配線層19と配線基板13とをワイヤボンディングすることにより電気的に接続されており、また、光学的入力端子部10の受光層17と光学的出力端子部12の発光層20とはワイヤボンディングにより配線基板13に実装されている。このように、電気回路部11は光学的入力端子部10及び光学的出力端子部12と電気的に接続される。
したがって、図15の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1と電気的に接続されることが可能となり、更に他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となる。また、配線層19がウェーハ基板16−2を介することなく配線基板13と電気的に接続されるため、電気信号の減衰を少なくすることが可能となる。さらに、受光層17及び発光層20がウェーハ基板16−1及び16−3を介することなく光信号伝送ができるので、光信号の減衰を少なくすることが可能となる。
図16は、光電子集積回路の第六例の構成図を示す。図16において、光電子集積回路1は、大きく分類すると光学的入力端子層45と、光学的出力端子層46と、ウェーハ基板47と、電気回路層48と、配線層49とで構成されている。その構成は、ウェーハ基板47を中心に、そのウェーハ基板47を挟み込むように電気回路層18及び配線層49が内側から形成されており、一番外側の一方に光学的入力端子層45,他方に光学的出力端子層46が形成されている。光学的入力端子層45は複数の受光素子を含む構成であり、光学的出力端子層46は複数の発光素子を含む構成である。つまり、図16に示す光電子集積回路1はウェーハ基板47上に一体形成されていることを特徴としている。
したがって、図16の様な構成をとることにより光電子集積回路1は他の光電子集積回路1との間で光信号伝送をすることが可能となる。また、光電子集積回路1がウェーハ基板47上に一体成形されていることにより、制作工程が短縮,小型化が可能となる。図17は、光電子集積回路の第七例の構成図を示す。図17の光電子集積回路1は図16の光電子集積回路1と一部を除いて同様であり、同一部分については説明を省略する。
図17において、光電子集積回路1は、大きく分類すると光学的入力端子層45と、光学的出力端子層46と、ウェーハ基板47と、電気回路層48と、配線層49とで構成されている。光電子集積回路1は、ウェーハ基板47を中心に、そのウェーハ基板47を挟み込むように電気回路層18及び配線層49が内側から形成されている部分に、複数の受光素子を含む構成である光学的入力端子層45と複数の発光素子を含む構成である光学的出力端子層46とが半田接合により接続されている。
したがって、図17の様な構成をとることにより光電子集積回路1は、ウェーハ基板47,電気回路層48及び配線層49を含む部分と、光学的入力端子層45と、光学的出力端子層46とを別々に形成することが可能となり、汎用性を高くすることができる。また、制作工程が短縮,小型化が可能となる。