JP5054944B2 - 車両用内装部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明を適用した車両用内装部品の一部を拡大して示す斜視図である。この車両用内装部品は、質感向上のために、所定形状に成形された基材1の表面に表皮材2を被着した構造とされている。表皮材2は、例えば、パウダースラッシュ成形(粉体回転成形)、真空成形(凸・凹引き成形)、射出成形、射出プレス成形、射出圧縮成形、ブロー成形、ウレタンスプレー成形、押し出しプレス成形、革絞プレス成形など、既知の樹脂成形技術により基材1の表面形状に倣う形に成形された合成樹脂製の部材であり、基材1の表面に被着されている。
次に、本発明を適用した車両用内装部品の製造方法について、本発明に特徴的な部分、つまり表皮材2に線状溝3やステッチ4を形成する方法を中心に説明する。
線状溝形成工程では、超音波加工機や高周波誘導加熱加工機などの工作機械を用い、例えば図2に示すような工具ホーン10の転写面10aを表皮材2に押し当てて、この工具ホーン10の転写面10aの形状を表皮材2に転写させることにより、表皮材2に線状溝3を形成する。ここで、工具ホーン10は、例えば鋼材などの金属材料が長尺のブロック状に成形されてなるものであり、その転写面10aには、表皮材2に形成する線状溝3に対応した形状の突起部11が設けられている。この工具ホーン10の具体的な寸法を例示すると、例えば、長さLが150mm、転写面10aの突起部11先端から転写面10a端縁までの距離S1,S2がともに3.25mmとされている。つまり、突起部11は、工具ホーン10の長手方向に沿って転写面10aの中央に設けられており、突起部11の先端部から転写面10aの幅方向の両端縁までの距離S1,S2が等しくされている。
ステッチ形成工程では、表皮材2に形成された線状溝3の両脇に縫製ミシンなどを用いて縫糸を縫製加工することで、表皮材2にステッチ4を形成する。このとき、表皮材2の線状溝3の両脇には、上述した線状溝形成工程において工具ホーン4を表皮材2に押し当てて線状溝3を形成したことにより加工跡5が形成されているので、ステッチ4を形成する際には、図5に示すように、この加工跡5をガイドとして縫糸を縫製加工する。これにより、線状溝3に沿った正確な位置にステッチ4が形成されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、合成樹脂製の表皮材2に工具ホーン10の転写面10aを押し当てて、転写面10aの形状を表皮材2に転写させることで転写面10aに設けられた突起部11を反転させた形状の線状溝3を表皮材2に形成し、その後、線状溝3の加工時に線状溝3の両脇に形成された加工跡5をガイドとして表皮材2にステッチ4を形成するようにしているので、表皮材2に線状溝3に沿った正確なステッチ4を簡便に形成することができ、見栄えが良く高品質な車両用内装部品を製造することができる。また、ステッチ4を加工跡5上に重なるように形成することにより、加工跡5をステッチ4で隠して、車両用内装品の美観を向上させることができる。
以上、本発明の一適用例としての実施形態を例示したが、本発明を適用するにあたっては、以下に示すような様々な応用が可能である。
上述した実施形態の説明では、「線状溝形成工程」において、表皮材2に押し当てる工具ホーン10として長尺のブロック状に成形されたものを用いているが、このようなブロック状の工具ホーン10に代えて、図6に示すようなローラタイプの工具30を用いるようにしてもよい。このローラタイプの工具30は、ローラ周面が転写面30aとされており、この転写面30aに突起部31が設けられている。そして、この突起部31が設けられた転写面30aを表皮材2に押し当てて加圧した状態で、ローラタイプの工具30を表皮材2に対して相対移動させることで、その移動軌跡に沿って表皮材2に線状溝3が形成されることになる。
また、「線状溝形成工程」では、上述したように、工具ホーン10の転写面10aの形状を表皮材2に転写させることで表皮材2に線状溝3を形成するようにしているので、例えば図7に示すように、工具ホーン10の転写面10aに所望の模様40を予め形成しておくことにより、表皮材2に線状溝3を形成するのと同時に、工具ホーン10の転写面10aが押し当てられた部分を、他の部分の表面模様(上述した例では本皮の表面模様に似せた絞模様)とは異なる表面模様に加工することが可能となる。この場合、表皮材2の表面模様が変化する境界部分に線状溝3加工時の加工跡5が形成されるので、「ステッチ形成工程」においてこの加工跡5上に重ねてステッチ4を形成すれば、表面模様が変化する境界部分に正確にステッチ4を形成することができ、さらなる美観の向上を図ることができる。
また、「線状溝形成工程」では、上述したように、工具ホーン10の転写面10aを表皮材2に押し当てて加圧するので、例えば図8に示すように、工具ホーン10の転写面10aに所望の色の塗料50を塗布しておくことにより、表皮材2に線状溝3を形成するのと同時に、工具ホーン10の転写面10aが押し当てられた部分を、他の部分とは異なる色に着色することが可能となる。この場合も、表皮材2の色が変化する境界部分に線状溝3加工時の加工跡5が形成されるので、「ステッチ形成工程」においてこの加工跡5上に重ねてステッチ4を形成すれば、色が変化する境界部分に正確にステッチ4を形成することができ、さらなる美観の向上を図ることができる。
また、「線状溝形成工程」では、上述したように、工具ホーン10の転写面10aを表皮材2に押し当てて加圧するので、例えば図9に示すように、工具ホーン10の転写面10aに所望のホットスタンプ用転写フィルム箔60などを貼付しておくことにより、表皮材2に線状溝3を形成するのと同時に、工具ホーン10の転写面10aが押し当てられた部分に転写フィルム箔60を転写させて、他の部分とは異なる外観に加工することが可能となる。この場合も、表皮材2の外観が変化する境界部分に線状溝3加工時の加工跡5が形成されるので、「ステッチ形成工程」においてこの加工跡5上に重ねてステッチ4を形成すれば、外観が変化する境界部分に正確にステッチ4を形成することができ、さらなる美観の向上を図ることができる。
なお、以上の説明は、線状溝3の加工時に工具ホーン10の転写面10aの端縁が当接する位置に形成される加工跡5をガイドとして表皮材2にステッチ4を形成することを前提としているが、例えば図10に示すように、工具ホーン10の転写面10aをその端縁が若干隆起した形状としておけば、線状溝3の加工時に形成される加工跡5を目立たせて明確なステッチガイドとすることができ、線状溝3に沿ったステッチ4の形成をより簡便に行うことが可能となる。
3 線状溝
4 ステッチ
5 加工跡
10 工具ホーン
10a 転写面
11 突起部
Claims (5)
- 合成樹脂製の表皮材(2)にパーツの縫い合わせを擬似的に再現した線状溝(3)及びステッチ(4)が形成されてなる車両用内装部品の製造方法であって、
前記表皮材(2)に工具(10)の転写面(10a)を押し当てて当該転写面(10a)の形状を前記表皮材(2)に転写させることで前記線状溝(3)を形成する線状溝形成工程と、
前記表皮材(2)に前記工具(10)の転写面(10a)を押し当てた際に当該転写面(10a)の端縁が当接する位置に形成される加工跡(5)をガイドとして前記ステッチ(4)を形成するステッチ形成工程とを有することを特徴とする車両用内装部品の製造方法。 - 前記ステッチ形成工程において、前記ステッチ(4)を前記加工跡(5)上に重ねて形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部品の製造方法。
- 前記線状溝形成工程において、前記表皮材(2)に工具(10)の転写面(10a)を押し当てて当該転写面(10a)の形状を前記表皮材(2)に転写させることで、前記線状溝(3)の形成と同時に、前記表皮材(2)の前記転写面(10a)が押し当てられた部分を他の部分とは異なる表面模様に加工することを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部品の製造方法。
- 前記線状溝形成工程において、前記工具(10)の転写面(10a)に塗料(50)を塗布して当該塗料(50)が塗布された転写面(10a)を前記表皮材(2)に押し当てることで、前記表皮材(2)の前記転写面(10a)が押し当てられた部分を他の部分とは異なる色に着色することを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部品の製造方法。
- 前記線状溝形成工程において、前記工具(10)の転写面(10a)に転写フィルム箔(60)を貼付して当該転写フィルム箔(60)が貼付された転写面(10a)を前記表皮材(2)に押し当てることで、前記表皮材(2)の前記転写面(10a)が押し当てられた部分を他の部分とは異なる外観に加工することを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部品の製造方法。
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