JP2021105231A - 表皮接合製品の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動運転によるパターン縫製ミシンで表皮接合製品の湾曲面の大小に関わらず、ジグザグ縫い、2本縫い、刺繍等の複雑な縫製を行うことができる表皮接合製品の作製方法を提供する。【解決手段】本発明にかかる基材に縫製パターンを有する表皮が接合された表皮接合製品の作製方法は、(1)表皮に縫製パターンを縫製する表皮縫製工程、(2)基材に接着剤を塗布する接着剤塗布工程、(3)真空成形によって基材に表皮を接合させる接合工程、(4)基材の形態に合わせて表皮の周囲を切断する表皮トリム工程、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、プラスチック、木材その他の硬質な部材からなる基材に、縫製による装飾を縫製パターンとして施した表皮を接合した表皮接合製品の作製方法に関する。
従来、プラスチックや木材等に、縫製パターンを有する表皮を接合した表皮接合製品を作製する場合には、以下のような工程で作製されていた。
まず、接合される表皮を貼り付けられる基材の形態に適合するように真空成形等によって成形する。成形した表皮の外周の不必要な部分をカット(トリム)した後、装飾用の縫製パターンを手動で表皮に縫製し、縫製パターンが施された表皮を準備する。一方、基材には表皮を接合するために表面に接着剤を塗布し、乾燥させておく。そして、基材に表皮を圧着して接合し、基材からはみ出した表皮の巻き込み処理をして完成する。
かかる従来の表皮接合製品の作製方法では、縫製パターンを縫製する工程では、すでに表皮が成形されているため、縫製パターンを縫製するには手動で行わなければならなかった。したがって、縫製パターンの縫製には熟練した作業者が必要であり、生産スピードが遅く、かつコストもかかるという問題があった。さらに、ミシンの小さい湾曲面の部分は、ミシンのテーブルに設置することができないため、そもそもこういう面には縫製することができないという問題点があった。また、湾曲の大小にかかわらず、ジグザグ縫い、2本縫い、刺繍等は、熟練した作業者であっても縫製できないか、もしくは非常に困難であるという問題もあった。また、従来の作製方法であると、表皮を成形した後に基材に圧着しなければならず、工程数が多くなるという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、熟練の作業者によることなく、手動又は自動運転に関わらずパターン縫製ミシンで表皮接合製品の湾曲面の大小に関わらず、ジグザグ縫い、1本縫い、2本縫い、刺繍等の複雑な縫製を行うことができるとともに、表皮接合製品を作製するための作製工程を減らすことができ、費用削減を図ることができる基材に縫製パターンを有する表皮が接合された表皮接合製品の作製方法(以下、「表皮接合製品の作製方法」ともいう。)に関する。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用した。本発明にかかる基材に縫製パターンを有する表皮が接合された表皮接合製品の作製方法は、
(1)前記表皮に前記縫製パターンを縫製する表皮縫製工程
(2)前記基材に接着剤を塗布する接着剤塗布工程
(3)真空成形によって前記基材に表皮を接合させる接合工程
(4)前記基材の形態に合わせて表皮の周囲を切断する表皮トリム工程
とからなることを特徴とする。
(1)前記表皮に前記縫製パターンを縫製する表皮縫製工程
(2)前記基材に接着剤を塗布する接着剤塗布工程
(3)真空成形によって前記基材に表皮を接合させる接合工程
(4)前記基材の形態に合わせて表皮の周囲を切断する表皮トリム工程
とからなることを特徴とする。
本発明にかかる表皮接合製品の作製方法は、表皮を成形する前に縫製パターンを表皮に縫製するので、湾曲した面ではなく平面状の表皮に縫製することができる。そのため、熟練者でなくとも手動による縫製が可能であり、又は自動化されたパターン縫製ミシンで縫製パターンを作製することができる。また、平面に縫製パターンを縫製するため、1本縫い、ジグザグ縫い、2本縫い、刺繍等の複雑な縫製パターンを縫製することができる。また、1枚の表皮から複数個取りする場合には、1つの工程でまとめて縫製パターンを縫製することができるので、生産時間の短縮を図ることができる。さらに、縫製パターンが施された表皮を基材に接合するので、表皮の成形工程と、基材と表皮の接合工程を同時に行うことができる。そのため、従来と比較して工程数を減らすことができ、コスト削減に資する。
また、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法において、
前記接着剤塗布工程と、前記接合工程との間に前記接着剤を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とするものであってもよい。
前記接着剤塗布工程と、前記接合工程との間に前記接着剤を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とするものであってもよい。
さらに、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法において、
前記表皮トリム工程の後に、表皮の巻き込みを行う巻込工程を有することを特徴とするものであってもよい。
前記表皮トリム工程の後に、表皮の巻き込みを行う巻込工程を有することを特徴とするものであってもよい。
さらに、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法において、
前記縫製パターンは、前記基材に表皮が取付けられた場合に、湾曲面となる部分に形成されていることを特徴とするものであってもよい。
前記縫製パターンは、前記基材に表皮が取付けられた場合に、湾曲面となる部分に形成されていることを特徴とするものであってもよい。
従来の表皮接合製品の作製方法であると、表皮を成形した後に、縫製パターンを縫製していたことから、複雑な湾曲面や小さな湾曲面に縫製することが難しく、湾曲面に対して均一な縫製パターンをすることが困難であった。これに対し、本発明は、平面の状態で縫製を行うため成形後に複雑な湾曲面や小さな湾曲面となる部分であっても問題なく縫製パターンを縫製することができ、かつ安定化した均一の縫製パターンを設けることができる。
さらに、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法において、前記縫製パターンは、自動運転によるパターン縫製ミシンで縫製されていることを特徴とするものであってもよい。
さらに、本発明は、平面に縫製パターンを縫製するものであるので、自動運転によるパターン縫製ミシンで縫製することが可能である。これにより、生産スピードを向上させることができ、かつ縫製パターンの形状を均一化させることができる。
さらに、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法において、前記縫製パターンは、1本縫い、2本縫い、ジグザグ縫い、及び刺繍縫いのいずれかであることを特徴とするものであってもよい。
従来の表皮接合製品の作製方法のように、湾曲面に縫製をする場合は、熟練した作業者であっても湾曲面に1本縫い、2本縫い、ジグザグ縫い又は刺繍縫いを行うことは困難であった。しかしながら、本発明にかかる表皮接合製品の作製方法では、平面状の表皮に縫製パターンを縫製するので、2本縫い、ジグザグ縫い又は刺繍縫いであっても問題なく、自動運転によるパターン縫製ミシンで縫製することができる。
以下、図面を用いて、実施形態にかかる基材10に縫製パターン21を有する表皮20が接合された表皮接合製品100の作製方法について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
本発明にかかる表皮接合製品100の作製方法は、図1に示すように、プラスチックや木材等の基材10に、縫製パターン21(図3参照)が施された表皮20を基材10の表面に接合して形成された表皮接合製品100を作製するための方法である。表皮接合製品100の作製方法は、図2に示すように、主として、表皮20に縫製パターン21を縫製する表皮縫製工程(S1)、基材10に接着剤を塗布する接着剤塗布工程(S2)、接着剤を乾燥させる乾燥工程(S3)、基材10に表皮20を接合する接合工程(S4)、基材10の形態に合わせて表皮20の周囲を切断する表皮トリム工程(S5)、表皮トリム工程の後に、表皮20の巻き込みを行う巻込工程(S6)と、を有する。以下、各工程について詳細に説明する。
表皮縫製工程(S1)は、図3に示すように、成形されていない平面状の表皮20に対して、装飾用の縫製パターン21を自動化されたパターン縫製ミシンで縫製する工程である。本発明は、この表皮縫製工程(S1)を、表皮20を成形する前の平面の状態で行うことによって、自動化されたパターン縫製ミシンで縫製することが可能となり、かつ、1枚の大きな表皮から多数個を同時に縫製することができる(図3は、2個取りの状態を示している。)。そのため、縫製パターン21の形状の均一性及び安定化を図ることができるとともに、生産スピードの向上を図ることができる。なお、図3の二点鎖線が縫製パターン21を示し、点線は想定されるトリミングで切断される部分を示しており、実際には点線部分には表皮縫製工程では何も加工はされない。縫製パターン21は、特に限定するものではなく、手動であっても自動化されたものであっても、パターン縫製ミシンで可能な縫製であればよい。本発明は、平面の表皮に縫製するため、熟練者でないものによる手動であっても自動化されたパターン縫製ミシンであってもジグザグ縫い、2本縫い、刺繍状等様々な縫製パターン21を縫製することができる。特に、2本縫いや刺繍縫いは、成形した後の複雑な湾曲面や小さな湾曲面には、湾曲面をミシンのテーブルに載置することができないため、熟練した作業者であっても縫製することができなかったが、平面に縫製をすることによって、複雑な湾曲面や小さな湾曲面に対しても複雑な縫製パターンを自動化されたパターン縫製ミシンで行うことができる。なお、1本縫いとは、1列に縫製を施していくものであり、2本縫いとは、2列平行に縫製を施すものであり、ジグザグ縫いとは、縫製パターンをジグザグ状に縫製する縫製方法であり、刺繍縫いとは、模様やデザインを施した縫製をいう。このように、本発明では、最終的に表皮接合製品100となった場合に、湾曲面となる部分に縫製パターンを設けたい場合に特に効果的である。なお、表皮20としては、真空成形に使用可能な素材であれば、特に限定するものではない。オレフィン系熱可塑性エラストマー、PVCレザー、熱可塑性ポリウレタン等が挙げられる。表皮の表面にレザー加工やシボ加工等の装飾が施されていてもよい。
接着剤塗布工程(S2)は、基材10の表面に表皮20を接合するための接着剤を塗布する工程である。表皮20が接合される側の基材10は、通常、真空成形、インジェクション成形等によって所定の形態に成形されたプラスチックやモールディングされた木材等が使用されるが、その素材はこれらに限定するものではない。必要な部品の形態に成形された基材の表面に接着剤を塗布する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、接着剤とは、基材と表皮を接着又は粘着で接合するものをすべて含むものであり、例えば、クロロプレンゴム系接着剤やホットメルト等も含むものである。
乾燥工程(S3)は、基材10の表面に塗布された接着剤を乾燥させる工程である。接着剤の種類に応じて適切な時間、静置して乾燥させる。乾燥が必要のない接着剤の場合は、本工程は省略しても構わない。
接合工程(S4)は、基材10に表皮20を接合させる工程であり、本発明では、表皮の成形工程と接合工程を同時に行う。具体的には、図4及び図5に示すように、基材10の接合面側に表皮20を固定する(図4A)。次に、表皮20をヒーター30によって加熱する(図4B)。これにより、表皮20は柔軟になり、基材10の表面に沿いやすくなる。そして、基材10の背面側を真空にして表皮20を引き込み、基材10の形態に成形しつつ、基材10の表面に表皮20を接合する(図5A)。そして、冷却後、離型するとで、基材10の形態に表皮が成形されるとともに、表皮20が接合される(図5B)。このように、本発明では、表皮20の成形工程と、基材10と表皮20の接合工程を一工程で同時に行うことで、従来の表皮接合製品の作製方法のように、表皮20の成形工程と、基材10と表皮20の接合工程を別々に行っていた場合と比較して工程を2つ減らすことができる。そのため、生産スピードの向上を図ることができるとともにコスト削減を図ることができる。さらに、従来の表皮接合製品の作製方法においては、表皮20を成形した後に接合していたために、基材10と表皮20の圧着工程は1つずつ行わなければならなかったが、本発明では、成形と同時に接合するので複数個を同時に成形・接合することができる。このように多数個取りすることで、従来と比較して歩留まりもよくなり、コスト削減に資する。
表皮トリム工程(S5)は、基材10に接合された表皮20のうち、余分な部分をカットするとともに、複数個を同時に成形・接合したものをそれぞれに分離する工程である。表皮トリム工程は、マシニングによって行ってもよい。
巻込工程(S6)は、基材10の周囲にはみ出している表皮20を裏側に巻き込んで、固定する工程である。巻き込んだ表皮20は基材10の裏側に接着剤で接合又はステープラー等で固定される。
こうして表皮接合製品100が完成する。完成した表皮接合製品100は、成形前に縫製された縫製パターン21が設けられた表皮を有するものとなる。特に本発明にかかる表皮接合製品100の作製方法によれば、凸状の湾曲面、凹状の湾曲面、湾曲面の曲率を問わず、縫製パターン21を設けることができるため、従来の縫製パターン21を有する表皮20が接合された表皮接合製品と比較して、縫製パターン21を設けることができる部位の選択の幅を拡げることができる。また、従来ではできなかった複雑な湾曲面や小さい湾曲面に対して、2本縫いや刺繍といった複雑な縫製パターン21を設けることもできる。
なお、表皮接合製品100としては、ドアトリム、アームレスト、オーナメント、コンソールリッド等の自動車関連部品、椅子、机等の家具等が考えられるが、これに限定するものではなく、表皮を接合した製品として機能するものであれば、いかなる製品であっても構わない。
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施の形態で示すように、自動車関連部品の作製方法として産業上利用することができる。
10…基材、20…表皮、21…縫製パターン、30…ヒーター、100…表皮接合製品
Claims (6)
- 基材に縫製パターンを有する表皮が接合された表皮接合製品の作製方法において、
(1)前記表皮に前記縫製パターンを縫製する表皮縫製工程
(2)前記基材に接着剤を塗布する接着剤塗布工程
(3)真空成形によって前記基材に前記表皮を接合させる接合工程
(4)前記基材の形態に合わせて前記表皮の周囲を切断する表皮トリム工程
とからなることを特徴とする表皮接合製品の作製方法。 - 前記接着剤塗布工程と、前記接合工程との間に前記接着剤を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする請求項1に記載の表皮接合製品の作製方法。
- 前記表皮トリム工程の後に、前記表皮の巻き込みを行う巻込工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表皮接合製品の作製方法。
- 前記縫製パターンは、前記基材に前記表皮が取付けられた場合に、湾曲面となる部分に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表皮接合製品の作製方法。
- 前記縫製パターンは、自動運転によるパターン縫製ミシンで縫製されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表皮接合製品の作製方法。
- 前記縫製パターンは、1本縫い、2本縫い、ジグザグ縫い及び刺繍縫いのいずれかであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の表皮接合製品の作製方法。
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