JPH0535659B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、表面にステツチ模様を有する合成樹
脂成形品およびその製造方法の改良に関する。

（従来の技術） 従来より、例えば自動車のコンソールボツクス
のコンソールリツド、インストルメントパネルお
よびドアトリム等のような合成樹脂成形品とし
て、成形品表面に美的外観の向上を図るためにス
テツチ模様を施しているものがある。

そして、このようなステツチ模様を合成樹脂成
形品の表面に施す手段としては、例えば特開昭61
−132314号公報に開示されているように、成形面
にステツチ模様に対応する凹凸模様を刻設した成
形型の上記成形面に表皮材を対応して配置し、そ
の後、型締めして溶融樹脂をキヤビテイ内に充填
することにより、樹脂充填圧でもつて上記表皮材
を成形面に押圧して該表皮材に上記成形面に刻設
された凹凸模様を転写する方式が一般によく知ら
れている。

（発明が解決しようとする課題） ところが、上記の従来の合成樹脂成形品に成形
されるステツチ模様は、成形型の成形面に刻設さ
れた凹凸模様を転写したものであることから、必
然的に表皮材の色と同一色となり、例えば実際に
表皮材とは異なる色の糸を縫合したステツチ模様
と比べると、どうしても見劣りがすることは否め
ない。

また、上記の場合は、上述の如く成形面の凹凸
模様を表皮材に直接に転写する方式であることか
ら、該表皮材の材質は、容易に熱変形し得る合成
樹脂に自ずと限定され、例えば布や表面が毛羽立
つたスエード調の表皮材には凹凸模様を転写し難
い。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、成形型の成形面に
ステツチ模様に対応する凹凸模様を適切に刻設す
ることにより、基材を構成する溶融樹脂を表皮材
表面側に押し出させ、これにより表皮材の色と異
なる色のステツチ模様を表皮材表面に有し、かつ
ステツチ模様が糸を縫合してなる本物のステツチ
模様に近い合成樹脂成形品を得んとすることにあ
る。さらに、表皮材の基材に対する接着強度を高
めんとすることにある。また、上記表皮材が合成
樹脂以外の例えば布やスエード調のものであつて
も、ステツチ模様を有する合成樹脂成形品を確実
に得んとすることにある。

さらには、本発明は、上述の如き表皮材とは異
色でしかも本物に近いステツチ模様を有する合成
樹脂成形品を特別な成形手段を用いることなく簡
単にかつ確実に成形し得る製造方法を提供せんと
することにある。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本発明の第１の解
決手段は、表皮材の裏面に合成樹脂製基材が一体
に成形された合成樹脂成形品を対象し、この場
合、成形品表面に、上記表皮材に成形型の尖鋭突
起により穿設された複数の穿孔による凹部と、相
隣る上記穿孔間の表皮材上に該各穿孔より押し出
された上記基材を構成する合成樹脂からなる凸部
とによりステツチ模様を形成したことである。

本発明の第２の解決手段は、まず、成形品表面
に形成すべきステツチ模様の凹部に対応する尖鋭
突起と、上記ステツチ模様の凸部に対応する溝と
が成形面に交互に複数連続して形成された成形型
を用意する。次いで、該成形型の上記成形面に表
皮材を対応して配置する。その後、溶融樹脂をキ
ヤビテイ内に充填することにより、上記表皮材の
裏面に合成樹脂製基材を一体に成形する一方、上
記溶融樹脂の樹脂充填圧でもつて上記表皮材を上
記各尖鋭突起に押し付けて表皮材に複数の穿孔を
穿設するとともに、該各穿孔より上記溶融樹脂を
表皮材と成形面の溝との間に押し出させる。そし
て、表皮材に穿設された上記各穿孔による凹部
と、相隣る穿孔間の表皮材上に押し出された溶融
樹脂からなる凸部とによりステツチ模様を成形品
表面に形成するようにしたことである。

（作用） 上記の構成により、本発明では、表皮材を成形
型の成形面に対応して配置した状態だ溶融樹脂が
キヤビテイに充填され、合成樹脂製基材が上記表
皮材の裏面に一体に成形される。

この際、上記表皮材は、キヤビテイ内に充填さ
れる溶融樹脂の樹脂充填圧により、上記成形面に
形成されたステツチ模様の凹部に対応する尖鋭突
起に押し付けられ、複数の穿孔が表皮材に穿設さ
れる。そして、この各穿孔より上記溶融樹脂が表
皮材と成形面に形成されたステツチ模様の凸部に
対応する溝との間に押し出され、表皮材に穿設さ
れた上記各穿孔による凹部と、相隣る穿孔間の表
皮材上に押し出された溶融樹脂からなる凸部とに
よりステツチ模様が成形品表面に形成される。

このことから、上記表皮材の色と異なる色の溶
融樹脂を用いて基材を構成すれば、表皮材表面に
異色のステツチ模様を有する合成樹脂成形品が得
られることとなる。しかも、このステツチ模様
は、上記各穿孔による凹部と表皮材上に押し出さ
れた溶融樹脂の凸部とで構成されていることか
ら、糸を縫合してなる本物のステツチ模様に近く
形成され、しかも表皮材の各穿孔縁部は凹部内つ
まり基材内に埋没して外部から見えず、見栄えが
良い。

さらに、表皮材のステツチ模様部分は、ステツ
チ模様の凸部と基材とで表裏両側から挟まれてい
ることから、表皮材の基材に対する接着強度が高
まる。

また、上記表皮材が合成樹脂以外の例えば布や
スエード調のものであつても、ステツチ模様を有
する合成樹脂成形品が確実に得られることとな
る。

さらに、成形型の成形面形状を変えるだけで別
途に特別な成形手段を採用する必要がないことか
ら、表皮材表面に異色のステツチ模様を有し、か
つステツチ模様が本物に近い合成樹脂成形品を簡
単にかつ確実に得られることとなる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図は本発明の実施例に係る合
成樹脂成形品としての、自動車のコンソールボツ
クスのコンソールリツド１を示し、３は樹脂製表
皮材、２は該表皮材３の裏面に一体に成形され、
上記コンソールリツド１のコンソールリツド本体
である合成樹脂製基材であつて、該基材２は、例
えばABS樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリカー
ボネート等の合成樹脂により浅皿状に成形されて
いる。また、上記基材２の表面には、幅方向両端
寄りに長手方向に延びる２条の溝部２ａ，２ａが
形成されている。

一方、上記表皮材３は、例えば表面を毛羽立た
せたスエード調の合成樹脂シートからなり、該表
皮材３は上記基材２の色とは異なる色に着色さ
れ、その外周部は上記基材２の裏側にて複数のタ
ツカー４，４，……で基材２に止められている。

また、本発明の特徴として、上記基材２の各溝
部２ａに対応するコンソールリツド１表面には、
第３図、第４図および第１２図に拡大詳示するよ
うに、上記表皮材３に成形型１２（固定型９）の
尖鋭突起１３，１３，……により穿設された複数
の穿孔３ａ，３ａ，……（第１０図および第１１
図参照）による凹部５ａ，５ａ，……と、相隣る
上記穿孔３ａ，３ａ間の表皮材３上に該各穿孔３
ａより押し出された上記基材２を構成する合成樹
脂からなる凸部５ｂとにより上記表皮材３とは異
色のステツチ模様５が形成されている。

次に、このように構成されたコンソールリツド
１の製造方法を第５図ないし第１１図に基づいて
説明する。

まず、第５図に示すように、コンソールリツド
１表面に形成すべきステツチ模様５に対応した凹
凸模様８を成形面９ａに有するキヤビテイ型とし
ての固定型９と、該固定型９の成形面９ａ形状に
対応したコア１０を有する可動型１１とからなる
成形型１２を用意する。そして、本発明の特徴と
して、上記固定型９の成形面９ａには、第６図お
よび第７図に拡大詳示するように、上記ステツチ
模様５の縫目に相当する凹部５ａに対応する複数
の針状の尖鋭突起１３，１３，……と、上記ステ
ツチ模様５の凸部５ｂに対応する溝６とが交互に
複数連続して形成され、これらの尖鋭突起１３，
１３，……および溝６，６……により上記凹凸模
様８を構成している。

次いで、第５図の如く型開きした状態で、上記
固定型９と可動型１１との間にシート状の表皮材
３をシートクランプ治具１４によりクランプし、
上記固定型９の成形面９ａに対応せしめて配置す
る。

その後、第８図に示すように、上記可動型１１
を固定型９側に移動させて型締めし、密閉された
キヤビテイ７内に溶融樹脂Ａを射出成形機のノズ
ル１５から可動型１１のスプルー１６を経て射出
充填する。

これにより、上記表皮材３が、第１０図および
第１１図に拡大詳示するように、射出充填された
溶融樹脂Ａの樹脂充填圧でもつて上記各尖鋭突起
１３に押し付けられ、該各尖鋭突起１３の位置に
対応して複数の穿孔３ａ，３ａ，……が表皮材３
に穿設される。そして、この各穿孔３ａ形成と同
時に、第９図および第１０図に拡大詳示するよう
に、上記溶融樹脂Ａが該各穿孔３ａより表皮材３
と成形面９ａの各溝６との間に押し出されてこの
空〓に充填される。

しかる後、上記キヤビテイ７内に充填されてい
る溶融樹脂Ａを上記成形型１２の型温により冷却
固化せしめ、第１２図に拡大詳示するように、表
皮材３の裏面に基材２が一体に成形されたコンソ
ールリツド１を得る。そして、このコンソールリ
ツド１の表面には、表皮材３に穿設された各穿孔
３ａによる凹部５ａと、相隣る穿孔３ａ，３ａ間
の表皮材３上に押そ出された溶融樹脂Ａからなる
凸部５ｂとによりステツチ模様５が形成されてい
る。

その後、上記成形型１２をその可動型１１を後
退移動させることにより型開きし、シートクラン
プ治具１４のクランプ力を解除した後、成形され
たコンソールリツド１を上記キヤビテイ７より取
り出し、表皮材３を所定寸法に裁断する。

次いで、上記コンソールリツド１の基材２外周
縁から食み出している表皮材３端末を基材２裏側
に巻き込み、第２図に示すように、この巻込み部
分を複数のタツカー４，４，……で基材２裏側に
止める。

したがつて、上記実施例では、基材２が該基材
２とは異色の表皮材３の裏面に一体に成形され、
しかも、この成形されたコンソールリツド１の表
面には、表皮材３に複数の尖鋭突起１３，１３，
……によつて穿設された複数の穿孔３ａ，３ａ，
……から押し出された溶融樹脂Ａにより、上記基
材２とは異なる色を呈したステツチ模様５が、上
記表皮材３に穿設された各穿孔３ａによる凹部５
ａと、相隣る穿孔３ａ，３ａ間の表皮材３上に押
し出された溶融樹脂Ａからなる凸部５ｂとにより
形成されていることから、上記ステツチ模様５は
糸を縫合してなる本物のステツチ模様に近く形成
され、しかも、表皮材３の各穿孔３ａ縁部を穿孔
３ａ内つまり基材２内に埋没せしめて外部から見
えないようにしており、見栄えのよいステツチ模
様５を有するコンソールリツド１を得ることがで
きる。

さらに、表皮材３のステツチ模様５部分をステ
ツチ模様５の凸部５ｂと基材２とで表裏両側から
挟んでいることから、表皮材３の基材２に対する
接着強度を高めることができる。

また、上記表皮材３にはスエード調の毛羽立ち
があるが、ステツチ模様５は、上述の如く表皮材
３の各穿孔３ａから押し出された溶融樹脂Ａによ
つて形成されており、しかも上述の如く表皮材３
をステツチ模様５の凸部５ｂと基材２とで挟んで
いるので、基材２と強固に固着一体化せしめられ
ていて該基材２から外れることがなく、よつてス
テツチ模様５を有するコンソールリツド１を確実
に得ることができる。

また、上記製造方法は、固定型９の成形面９ａ
に、表皮材３の表面に形成すべきステツチ模様５
の縫目（凹部５ａ）に対応する尖鋭突起１３と、
ステツチ模様５の凸部５ｂに対応する溝６とを刻
設し、通常の射出成形の要領により成形するだけ
でよいことから、表皮材３とは異色のステツチ模
様５を有し、かつステツチ模様５が本物に近いコ
ンソールリツド１を簡単にかつ確実に得ることが
できる。

なお、上記実施例では、表皮材３として表面が
毛羽立つたスエード調の合成樹脂シートを用いた
が、これに限らず、例えば裏面に合成樹脂フイル
ムがラミネートされた布を用いることも採用可能
であり、また、これ以外に通常の合成樹脂フイル
ムであつてもかまわない。

さらに、上記実施例では、合成樹脂成形品が自
動車のコンソールリツド１である場合を示した
が、これに限らず、例えばインストルメントパネ
ルやドアトリム等の内装品であつてもかまわず、
さらには自動車の内装品以外の成形品にも適用す
ることも可能である。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、表皮材
に成形型の尖鋭突起により穿設された複数の穿孔
による凹部と、相隣る上記穿孔間の表皮材上に該
各穿孔より押し出された合成樹脂からなる凸部と
により、ステツチ模様を成形品表面に形成してい
るので、上記表皮材の色と異なる色の樹脂を用い
て基材を構成すれば、成形品表面に異色のステツ
チ模様を有する合成樹脂成形品を得ることができ
る。しかも、上記凹部と凸部とにより本物に近い
ステツチ模様を得ることができるとともに、表皮
材の各穿孔縁部を上記凹部内に埋没せしめて外部
から見えないようにし、見栄えを良くすることが
できる。さらに、表皮材のステツチ模様部分をス
テツチ模様の凸部と基材とで表裏両側から挟み、
表皮材の基材に対する接着強度を高めることがで
きる。また、上記表皮材が合成樹脂以外の例えば
布やスエード調のものであつても、ステツチ模様
が基材に一体的に固着した合成樹脂成形品を確実
に得ることができる。

また、本発明の製造方法によれば、成形面に複
数の尖鋭突起と溝とを形成するだけであるので、
別途に特別な成形手段を採用する必要がなく、表
皮材表面に異色のステツチ模様を有し、かつステ
ツチ模様が本物に近い合成樹脂成形品を簡単にか
つ確実に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係る合成樹脂成形品
としての、自動車のコンソールボツクスのコンソ
ールリツドを示す斜視図、第２図は第１図の−
線における断面図、第３図および第４図はそれ
ぞれステツチ模様部分を拡大して示す縦断面図お
よび平面図、第５図は型開きした成形型に表皮材
を配置した状態を示す縦断面図、第６図は固定型
の成形面に形成された尖鋭突起部分および溝部分
の拡大図、第７図は第６図の−線における断
面図、第８図は成形型のキヤビテイ内に溶融樹脂
を射出充填した状態を示す縦断面図、第９図およ
び第１０図はそれぞれ型締め後の第６図および第
７図相当図、第１１図は第１０図のXI−XI線にお
ける断面図、第１２図はコンソールリツドのステ
ツチ模様部分を拡大して示す縦断面図である。 １……コンソールリツド（合成樹脂成形品）、
２……基材、３……表皮材、３ａ……穿孔、５…
…ステツチ模様、５ａ……凹部、５ｂ……凸部、
６……溝、７……キヤビテイ、９ａ……成形面、
１２……成形型、１３……尖鋭突起、Ａ……溶融
樹脂。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表皮材の裏面に合成樹脂製基材が一体に成形
   された合成樹脂成形品であつて、成形品表面に
   は、上記表皮材に成形型の尖鋭突起により穿設さ
   れた複数の穿孔による凹部と、相隣る上記穿孔間
   の表皮材上に該各穿孔より押し出された上記基材
   を構成する合成樹脂からなる凸部とによりステツ
   チ模様が形成されていることを特徴とする合成樹
   脂成形品。 ２ 成形品表面に形成すべきステツチ模様の凹部
   に対応する尖鋭突起と、上記ステツチ模様の凸部
   に対応する溝とが成形面に交互に複数連続して形
   成された成形型を用意し、該成形型の上記成形面
   に表皮材を対応して配置した後、溶融樹脂をキヤ
   ビテイ内に充填することにより、上記表皮材の裏
   面に合成樹脂製基材を一体に成形する一方、上記
   溶融樹脂の樹脂充填圧でもつて上記表皮材を上記
   各尖鋭突起に押し付けて表皮材に複数の穿孔を穿
   設するとともに、該各穿孔より上記溶融樹脂を表
   皮材と成形面の溝との間に押し出させ、表皮材に
   穿設された上記各穿孔による凹部と、相隣る穿孔
   間の表皮材上に押し出された溶融樹脂からなる凸
   部とによりステツチ模様を成形品表面に形成する
   ことを特徴とする合成樹脂成形品の製造方法。