JPH0633549B2 - 刺しゅう方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、布地，編地あるいは不織布等の表基材の表面
に盛り上がった感じの模様をつくる刺しゅう方法に関す
る。

【従来の技術と課題】

盛り上がった感じの模様をつくる刺しゅういわゆるレー
ズド刺しゅうとしては、表基材と裏当て材との間に所要
の形状の詰物をおき、その詰物の周囲に沿って表基材と
裏当て材を縫着することが考えられるが、盛り上がり
は、その表基材と裏当て材が同じような材質のときは両
側に、また材質が異なるときはより柔軟な材料の側にで
きる。 したがって、表基材側に盛り上がりを的確に形成するに
は、裏当て材として表基材より柔軟度の低い強靱なもの
を選定しなければならないが、これは作業性とか経済性
を考えると極めて不合理である。 本発明の目的は、このような問題を解決し、盛り上がっ
た感じの模様が表基材の表側に的確に形成できる刺しゅ
う方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

本発明刺しゅう方法は次のとおりである。 ｂは、つくろうとする盛り上がった感じの模様ｅ，ｅ′
の平面形状に対応させた凹処１を有する成形型板で、こ
の成形型板ｂに凹処１を覆う状態にして表基材ａを乗載
する。 次に、その表基材ａの上から入れ子２を凹処１に押し込
み、これによって、表基材ａの当該部分を凹処１と入れ
子２との間に挟持し、その状態において、少なくとも凹
処１の周辺部分の表基材ａを電気アイロンあるいは蒸気
プレス等で加熱押圧して、該表基材ａに凹処１と同形で
あって入れ子２を外しても元に戻らない状態に変形させ
た窪みｃを形成する。 そして、上記入れ子２を外した後、該窪みｃに弾性材製
の詰物ｄをその開口面とほぼ面一になる状態に詰め込む
とともに、この詰物ｄを含む窪みｃの周辺所要範囲を裏
当て材６で覆い、それを適宜の手段で表基材ａに仮止め
する。 その後、その表基材ａを成形型板ｂから取り外し、表基
材ａと裏当て材６とを、詰物ｄを詰めた上記窪みｃの輪
郭に沿い、所要の刺しゅう糸７により縫着する。 なお、本発明でいう表基材は、当該被服、鞄・袋物ある
いは靴等の製品をつくるのに用意された布地、編地ある
いは不織布等の各種の生地であって、当該製品に合わせ
て所要の形状と大きさに裁断した後のもの、あるいは裁
断する前のものを指すが、いずれにおいても、盛り上が
った感じの模様の該盛り上がりに要する分の余裕を見込
んだ大きさのものが使用される。

【作用】

本発明方法によると、盛り上がった感じの模様を表基材
の表面に的確に表出した刺しゅうができる。その製品
は、裏側に上記模様による不自然な膨出部分のない体裁
のよいものである。

【実施例】

以下本実施例においては、便宜上方形の表基材ａを使用
して説明することとする。 ｂは本発明方法の実施に直接使用する成形型板で、その
表面に、つくろうとする盛り上がった感じの模様の平面
形状、例えばＰ字形に対応させて形成した凹処１を有す
る。 ２は入れ子で、それは、上記凹処１に対応一致する所要
の形状すなわち本実施例ではＰ字形をなすとともに、該
凹処１に遊嵌する所要の大きさに形成されているもので
ある。 上記成形型板ｂは、Ｐ字形の外郭線に沿い切り込むこと
によってＰ字形の窓孔３′を形成した上板３を、下板４
上に重合接着して有底の凹処１を形成し、上記により切
り抜かれたＰ字形の入れ子２（その輪郭は窓孔３′の輪
郭より少し小さく成形しておく）の小窓孔２′部分の切
抜き片５（その輪郭は小窓孔２′の輪郭より少し小さく
形成しておく）を上記凹処１の所定の位置に接着固定し
てなるものである。 本発明方法の実施には、まず、成形型板ｂの上面に凹処
１を覆うようにして、表基材ａを、その表側を下にし裏
側を上にして乗載し、さらに、その表基材ａの上から入
れ子２を凹処１に向けて押し込み、これによって、表基
材ａ対応する部分を凹処１と入れ子２との間にしっかり
と挟持する（第２図及び第３図）。 この状態で、表基材ａの特に凹処１の周辺部分を電気ア
イロンあるいは蒸気プレス等により加熱押圧することに
よって、表基材ａに凹処１の内面に沿って形成される同
形のすなわちＰ形の窪みｃを、入れ子２を外してもその
窪みｃがなくならい状態、すなわち元に戻らない状態に
変形させることにより加工形成する（第４図）。 そして、上記窪みｃにウレタンフォーム等の弾性材製の
詰物ｄを、その開口面とほぼ面一になる状態に詰め込む
とともに、この詰物ｄを含む窪みｃの周辺所要範囲を覆
うように裏当て材６を乗載し（第５図）、この裏当て材
６を、それに予め塗布してある接着剤あるいは後塗り接
着剤、もしくはピン等適宜の手段で表基材ａに仮止めす
る。 上記において、詰物ｄは、窪みｃの平面形状に適合する
ように、すなわち本実施例ではＰ字形に予め成形してお
くと、特にその形状が複雑なとき等には便利であるが、
ウレタンフォーム等の弾性材片を複数個順次詰めるよう
にしてもよい。 その後、表基材ａを成形型板ｂから取り外し、表基材ａ
と裏当て材材６とを、詰物ｄを詰めた上記窪みｃ換言す
ると表基材ａの表側に膨出形成された状態の盛り上がっ
た感じの模様ｅの輪郭に沿い、所要の刺しゅう糸７によ
り縫着する。これにより、所期の製品が得られる（第６
図及び第７図）ものである。 第８図及び第９図は他の実施例を示すもので、この実施
例は、表基材ａ′の盛り上がった感じの模様形成予定部
分に予めプリント模様あるいは縫い模様８を施しておく
ことにおいて、上述の実施例と相違するが、その他の点
は上記実施例と同じで、これによって、刺しゅう糸７′
による盛り上がった感じの模様ｅ′の輪郭に沿う縫着を
し終えたときには、その盛り上がった感じの模様ｅ′内
にも所要の模様ができ上がっているようにしたものであ
る。

【発明の効果】

以上述べたところから明らかなように、本発明方法によ
れば、表基材には、成形型板によって、つくろうとする
盛り上がった感じの模様に対応する窪みが予め形成さ
れ、該窪みにその開口面にほぼ面一に詰め込んだ詰物を
含む窪みの周辺所要範囲を裏当て材で覆うので、窪みの
輪郭に沿い刺しゅう糸で縫着して形成される盛り上がっ
た感じの模様は、裏当て材の方に突出することなく、表
基材の表面側に的確に表出する。 すなわち、製品は、表基材側を膨出し裏当て材側を平坦
にした理想的なものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面第１図乃至第５図は本発明方法の実施例を説明する
ためのもので、第１図は表基材、成形型板及び入れ子の
斜視図、第２図は成形型板に表基材を乗載しかつ入れ子
を嵌入した状態の斜視図、第３図は第２図のＩ−Ｉ線断
面図、第４図は表基材に形成した窪みに詰物を詰める状
態の斜視図、第５図は詰物を詰めた表基材上に裏当て材
を重合する状態の斜視図、第６図及び第７図は上記方法
によって得た製品の斜視図及び要部縦断面図、第８図及
び第９図は他の実施例を説明するためのもので、第８図
は表基材の斜視図、第９図は製品の斜視図である。 ｂ……成形型板、ｅ，ｅ′……盛り上がった感じの模
様、１……凹処、ａ，ａ′……表基材、２……入れ子、
ｃ……窪み、ｄ……詰物、６……裏当て材６、７，７′
……刺しゅう糸。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】つくろうとする盛り上がった感じの模様の
   平面形状に対応させて形成した凹処を有する成形型板
   に、その凹処を覆う状態にして表基材を乗載し、その表
   基材の上から入れ子を凹処に押し込み、これによって、
   表基材の当該部分を凹処と入れ子との間に挟持する工程
   と、 その挟持状態で、少なくとも凹処の周辺部分の表基材を
   電気アイロンあるいは蒸気プレス等で加熱押圧すること
   により、該表基材に凹処と同形であって上記入れ子を外
   しても元に戻らない状態に変形させた窪みを形成する工
   程と、 入れ子を外し、上記窪みに弾性材製の詰物をその開口面
   とほぼ面一になる状態に詰め込み、該詰物を含む窪みの
   周辺所要範囲を裏当て材で覆い、それを適宜の手段で表
   基材に仮止めする工程と、 その後、表基材を成形型板から取り外し、表基材と裏当
   て材とを上記窪みの輪郭に沿い刺しゅう糸で縫着する工
   程と からなることを特徴とする刺しゅう方法。
2. 【請求項２】盛り上がった感じの模様形成予定部分にプ
   リント模様あるいは縫い模様を施した表基材を使用する
   ことを特徴とする請求項１記載の刺しゅう方法。