JP2811223B2 - 車両用座席のトリムカバー製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動車用座席などの車両用座席に使用するト
リムカバーの製造方法、詳しくは、表面に巾が狭い装飾
用深溝を有するトリムカバーの製造方法に関する。

（従来の技術） トリムカバーは座席内部のクッション部材を被覆する
被覆材で、座席の外面を構成している。そのため、座席
の外観品質を向上させるために、第４図に示すようにト
リムカバー（TC）の表面に、巾が狭く深さが深い装飾用
深溝（イ）（イ）・・・を形成したものがある。

このトリムカバー（TC）は一枚状の発泡体製クッショ
ン体を使用せず、多数のブロック状発泡体製クッション
体を使用し、各クッション体を表皮と裏布との間に介在
させて、各クッション体間において表皮と裏布とを一体
に縫着することにより、前記深溝（イ）（イ）・・・を
形成している。

なお、一枚状のクッション体を使用すると、クッショ
ン体の一部が圧潰した深溝（イ）・・・が形成されるた
め、深溝（イ）は溝縁が曲面状になり、外観が良好であ
る巾が狭く鋭角状の深溝が成形できない不具合がある。

（発明が解決しようとする課題） 以上のブロック状クッション体を使用し、各クッショ
ン体間において表皮と裏布とを縫着して深溝を形成する
ものは、クッション体が前記縫着時において移動するた
め、各深溝の溝巾を一定にすることができないし、縫着
作業の作業製が頗る悪い不具合があった。

そこで、本発明は各深溝の溝巾が一定で外観品質が良
好なトリムカバーを極めて簡単に製造し得るようにする
ことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 以上の目的を達成するための本発明に係る車両用座席
のトリムカバー製造方法は、多数の突条によって収容部
が仕切られた下型を使用し、該下型に表皮を被せ、次
に、各収容部内に夫々独立状のブロック体からなる発泡
体製クッション体を収容し、このクッション体及び各ク
ッション体間より露出する表皮に接着剤を塗布し、この
各クッション体及び各クッション体間より露出する表皮
に、裏布を加圧して、表面に装飾用の深溝を有するトリ
ムカバーを製造することを特徴とするものである。

（作用） 各クッション体は下型の収容部内に収容することによ
り、各クッション体間の間隙が一定に固定され、各クッ
ション体とこの各クッション体間より露出する表皮の一
部とは、裏布に一体に接着剤で接着されるため、表皮、
各クッション体、裏布が所定位置に一体に固定され、表
面に深溝を有するトリムカバーを製造できる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明方法によって製造したトリムカバー
（TC）を示し、図中（１）は織物地、合成樹脂製レザー
などからなる一枚状の表皮、（２）・・・はウレタンフ
ォームのスラブ材などからなるブロック状クッション体
で、各クッション体（２）・・・は夫々独立状に形成さ
れている。（３）は不織布、帆布などからなる裏布で、
この裏布（３）は前記各クッション体（２）・・・及び
この各クッション体（２）間に位置し、深溝（イ）・・
・の底部を構成する表皮（１）の一部に接着剤（４）に
よって接着されている。この表皮（１）の裏布（３）に
対する接着によってトリムカバー（TC）の表面に深溝
（イ）（イ）・・・が形成される。

次にこの深溝（イ）（イ）・・・を有するトリムカバ
ー（TC）の製造方法を第２図、第３図に基づいて説明す
る。

第２図は下型（10）に表皮（１）を被せ、この表皮
（１）上に多数のクッション体（２）（２）・・・を載
置し、更に接着剤（４）を塗布した状態を示す。

下型（10）は深溝（イ）・・・の溝巾と略同一の板厚
を有し、深溝（イ）・・・の深さと略同一の高さを有す
るプレートからなる多数の突条（11）・・・と、この突
条（11）・・・によって仕切って形成した多数の収容部
（12）とから構成されており、各収容部（12）・・・は
クッション体（２）と略同一の大きさに形成されてい
る。

従って、表皮（１）を被せた各収容部（12）・・・内
にクッション体（２）を夫々収容すると、各クッション
体（２）・・・間から前記突条（11）・・・を被覆する
部分の表皮（１）の一部が露出し、この表皮の露出部分
を接着部（1a）とする。

以上の接着剤（４）は接着部（1a）・・・と下型（1
0）の収容部（２）から露出する各クッション体（２）
の外面に塗布される。

次に第３図に示すように、接着剤（４）を塗布したク
ッション体（２）等に、裏布（３）を加圧して接着す
る。この加圧は上型（不図示）を使用して行なう。この
接着によって、表皮（１）はその接着部（1a）が裏布
（３）に接着されると共に各クッション体（２）（２）
・・・も裏布（３）に一体に接着される。そして、脱型
すると、第１図に示すトリムカバー（TC）が得られ、前
記下型（10）の各突条（11）・・・部分が深溝（イ）
（イ）・・・となって現われる。

（効果） 本発明に係る方法によれば、下型内に収容した表皮、
クッション体に接着剤を塗布して裏布を接着するのみ
で、表面に装飾用深溝を有する表皮が形成できるため、
その製造が極めて簡単で低原価で提供できる。しかも、
下型内に表皮、クッション体を収容して深溝を形成する
ので各深溝の溝巾等を一定でき外観品質の良好なトリム
カバーを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本製造方法によって製造したトリムカバーの部
分断面図、第２図、第３図は本発明に係る製造方法を示
す断面図、第４図は装飾用深溝をトリムカバーに有する
自動車用シートの斜視図である。 図中、（イ）（イ）・・・は装飾用深溝、（１）は表
皮、（２）・・・はクッション体、（３）は裏布、（1
0）は下型、（11）・・・は下型の突条、（12）・・・
は下型の収容部を夫々示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数の突条によって収容部が仕切られた下
   型を使用し、該下型に表皮を被せ、次に、各収容部内に
   夫々独立状のブロック体からなる発泡体製クッション体
   を収容し、このクッション体及び各クッション体間より
   露出する表皮に接着剤を塗布し、この各クッション体及
   び各クッション体間より露出する表皮に、裏布を加圧し
   て、表面に装飾用の深溝を有するトリムカバーを製造す
   ることを特徴とする車両用座席のトリムカバー製造方
   法。