JP5054146B2 - 圧電デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水晶片など圧電材料からなる圧電振動片を備える圧電デバイス及びその製造方法に関する。
圧電振動子やSAWフィルタなどの圧電デバイスは、表面実装型(SMD:Surface Mounted Device)タイプのパッケージが主に用いられている。低価格化に対応して、パッケージは、プラスチックを用いたプラスチックパッケージまたはガラスを用いたガラスパッケージが提案されている。このようなプラスチックパッケージまたはガラスパッケージでは、接着剤を用いて水晶フレームをリッド部およびベース部で両側から挟みこんで封止している。
たとえば、特許文献1に開示された圧電デバイスは、接着剤を用いて水晶片をリッドおよびベースで両側から挟みこんで封止している。そして、その圧電デバイスは、水晶片の励振電極と導通する引出電極に接続する外部電極を、連通孔の内面に金属膜を形成して製造している。
特開2006−148758号公報
しかし、水晶片とリッドおよびベースとの間の接着剤が乾燥などで剥がれることがあったり、また、水晶片とリッドおよびベースとの間に接着剤が十分に塗布されていない場合があったりする。このような状態で、水晶片の励振電極に接続される外部電極をベースに形成すると、接着剤の剥がれまたは接着剤の不足により外部電極に断線が生じることが多い。
本発明は、引出電極に接続する外部電極が断線しないように圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
第1の観点の圧電デバイスの製造方法は、複数のベース部が形成され、隣り合うベース部の中央側に切り欠くように貫通穴が形成されたベースウエハを用意する工程と、励振電極を含む圧電振動片とこの圧電振動片の外側に形成され励振電極と接続する引出電極を含む枠部とを有する圧電フレームが複数形成されて、ベースウェハと接合したときに貫通穴まで延出するように引出電極が形成された圧電ウエハを用意する工程と、枠部の表面および引出電極の表面に接着剤を塗布する工程と、圧電ウエハとベースウエハとを接着剤を介して接合する第1接合工程と、圧電フレームに形成された引出電極が露出するように、貫通穴を通して露出した接着剤を除去する工程と、圧電ウエハと接合したベースウエハの反対側の底面、貫通穴の側面、接着剤の側面、および引出電極を覆うように、引出電極と接続する外部電極を形成する工程と、を備える。
第2の観点の圧電デバイスの製造方法において、貫通穴は、ベースウエハの底面から見て矩形形状である。
第3の観点の圧電デバイスの製造方法において、ベース部は底面がほぼ矩形形状であり、貫通穴はベース部の3辺に沿って形成される。
第4の観点の圧電デバイスの製造方法において、接着剤を除去する工程は、サンドブラストによる除去又は異方性エッチングを含む。
第5の観点の圧電デバイスの製造方法において、異方性エッチングは、アルゴンイオンの照射による除去、又はOプラズマの照射による除去を含む。
第6の観点の圧電デバイスの製造方法は、複数のリッド部を有するリッドウエハを用意する工程と、圧電ウエハとリッドウエハとを接着剤を介して接合する第2接合工程とを備える。
第7の観点の圧電デバイスの製造方法は、第1接合工程及び第2接合工程で接合されたリッドウエハ、圧電ウエハおよびベースウエハを、ベース部、圧電フレームおよびリッド部を単位として切断する工程を備える。
第8の観点の圧電デバイスは、励振電極を含む圧電振動片とこの圧電振動片の外側に形成され圧電振動片と接続した枠部とが一体に形成され、第1面とこの第1面とは反対側の第2面と有する圧電フレームと、励振電極に接続し、圧電振動片から枠部まで形成された引出電極と、枠部の第1面側に接合されるリッド部と、記枠部の第2面側に接合され、引出電極に接続する外部電極が形成されたベース部と、圧電フレームとベース部とを接合する接着剤と、を備える。ベース部の外周は、ベース部の中央側に切り欠いた切り欠きを有し、枠部に形成された引出電極は切り欠きまで延出するように形成され、接着剤は切り欠きの側面と同一面になるように形成され、外部電極は、ベース部の切り欠きの側面と切り欠きの側面と同一面になるように形成された接着剤の側面とを覆って、引出電極に接続している。
第8の観点の圧電デバイスにおいて、ベース部の底面はほぼ矩形形状であり、ベース部の少なくとも3辺の側面に外部電極が形成される。
本発明は、引出電極に接続する外部電極が断線しない圧電デバイス及びその製造方法である。
第1実施形態の第1圧電振動子100Aの分解斜視図である。 第1圧電振動子100Aを図1のA−A断面で切断した図である。 (a)は、非導電性接着剤50が第1ベース部40AのY軸方向の側面40pまで塗布されなかった場合を示した図である。 (b)は、非導電性接着剤50が第1ベース部40AのY軸方向の側面40pの外側まで塗布された場合を示した図である。 第1圧電振動子100Aの製造方法を示したフローチャートである。 リッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびヘース用ウエハ40Wを示した分解斜視図である。 3枚のウエハを接合してから第1圧電振動子100Aを切断するまでを示した、ウエハの断面図である。 3枚のウエハを接合し且つ外部電極が形成される前、ベース用ウエハ40Wの底面49から見た図である。 第2実施形態の第2圧電振動子100Bの分解斜視図である。 (a)は、図8のA−A断面図である。 (b)は、第2実施形態の第2圧電振動子100Bをその底面49から見た図で、外部電極41c、41dを一点鎖線で透明に示している。 3枚のウエハを接合し且つ外部電極41c、41dが形成される前、ベース用ウエハ40Wの底面49から見た図である。 外部電極41c、41dが形成された後、ベース用ウエハ40Wの底面49から見た図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、以下の実施形態においては、圧電デバイスとして音叉型の水晶振動片を備えた圧電振動子を一例として説明する。
(第1実施形態)
<第1圧電振動子100Aの構成>
図1は、第1実施形態の第1圧電振動子100Aの分解斜視図である。なお、音叉型の圧電振動片30が載置された面をXY平面とし、音叉型の圧電振動片30の一対の振動腕32が伸びた方向をY軸方向とし、XY平面に垂直の方向をZ軸方向とする。
図1に示されるように、第1圧電振動子100Aは、最上部のリッド部10、中央の水晶フレーム20、並びに最下部の第1ベース部40Aから構成される。
リッド部10は、例えばガラスより形成され、水晶フレーム20側の片面にリッド用凹部17を有している。また、第1ベース部40Aは例えばガラスより形成され、ベース用凹部47を水晶フレーム20側の片面に有している。
水晶フレーム20は、その中央領域に形成された音叉型の水晶振動片30と、その外側に形成された外枠部21と、音叉型の水晶振動片30と外枠部21とを連結する一対の支持腕22と有している。音叉型の水晶振動片30と外枠部21と一対の支持腕22との間には空間部23が形成されている。音叉型の水晶振動片30の外形を規定する空間部23はウェットエッチングにより形成されている。音叉型の水晶振動片30は、外枠部21及び一対の支持腕22と同じ厚さで形成されている。
また、音叉型の水晶振動片30は−Y側に形成されZ軸方向から見てほぼ矩形形状の基部31と、基部31の一辺から+Y軸方向に沿って伸びた一対の振動腕32とを備えている。一対の振動腕32の断面はほぼ矩形形状であり、表面、裏面及び両側面には励振電極33が形成されている。ただし、図1には音叉型の水晶振動片30の表面と片側の側面しか描かれていない。一対の振動腕32の表面および裏面には、Y軸方向に伸びる溝部36が形成されていてもよい。その溝部36に励振電極が形成されると、振動腕32に発生する電界が大きくなりCI(クリスタルインピーダンス)値の上昇が抑えられる。さらに、振動腕32の+Y側の先端には錘部37がそれぞれ形成されてもよい。錘部37は音叉型の水晶振動片30の一対の振動腕32が振動しやすくなるための錘であり、且つ周波数調整のために設けられている。音叉型の水晶振動片30は、たとえば32.768kHzで振動する振動片で、極めて小型の振動片となっている。
また、一対の支持腕22から外枠部21に渡って水晶フレーム20の表面及び裏面には引出電極34、35が形成されている。引出電極34は−Y側から基部31に引き出され、引出電極35は+Y側から基部31に引き出される。さらに、引出電極34、35はそれぞれに一対の振動腕32に形成された励振電極33に電気的に接続されている。
励振電極33及び引出電極34、35は、ともに150Å〜700Åのクロム(Cr)層の上に400Å〜2000Åの金(Au)層が形成された構成である。クロム(Cr)層の代わりに、チタン(Ti)層またはニッケル(Ni)層を形成してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を形成してもよい。
一対の支持腕22は、振動腕32の振動が第1圧電振動子100Aの外部へ漏れる振動漏れを小さくする効果を有する。また一対の支持腕22は、パッケージ(リッド部10、水晶フレーム20の外枠部21及び第1ベース部40Aで構成される中空箱)の外部の温度変化、または衝撃の影響を受けづらくさせる効果を有する。
第1ベース部40Aは、−Y側の一辺に中央側に切り欠いた切り欠き43aが形成され、+Y側の一辺に中央側に切り欠いた切り欠き43bが形成されている。なお、切り欠き43a、43bは、ベース用ウエハ40W(図5を参照)において複数の第1ベース部40Aを同時に製造する際に、第1ベース部40A同士のY軸方向の両側に形成された貫通穴43A(図5を参照)の一部で形成されたものである。ここで、1つの貫通穴43A(図5を参照)により2つの切り欠き43a、43bを形成するため、切り欠き43a、43bのXY平面における面積は貫通穴43A(図5を参照)の1/2である。
また、第1ベース部40Aは、−Y側の底面49にX軸方向に沿って伸びた外部電極41aが形成され、+Y側の底面49にX軸方向に沿って伸びた外部電極41bが形成されている。また、外部電極41aの一部は切り欠き43aに沿って+Z軸方向に伸び、切り欠き43aの+Y側の側面40pに形成される。同様に、外部電極41bの一部は切り欠き43bに沿って+Z軸方向に伸びて切り欠き43bの−Y側の側面40pに形成される。外部電極41aの一部および外部電極41bの一部は、それぞれ水晶フレーム20の引出電極34、引出電極35に接続される。
なお、外部電極41a、41bは、ガラスとの密着性の良い150Å〜700Åのクロム(Cr)層を下地にしてその表面に400Å〜2000Åの金(Au)層が形成された構成である。クロム(Cr)層の代わりに、ニッケル(Ni)層またはチタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。
リッド部10、水晶フレーム20及び第1ベース部40Aの接合について、図2を参照しながら説明する。図2は、リッド部10、水晶フレーム20及び第1ベース部40Aが接合された第1圧電振動子100Aの断面図である。この断面図は図1のA−A断面である。
図2に示されたように、第1ベース部40AのY軸方向の両側に切り欠き43a、43bがそれぞれ形成されているので、図1のA−A断面において第1ベース部40AはY軸方向の長さがリッド部10及び水晶フレーム20のY軸方向の長さよりも短く形成されている。そして水晶フレーム20の枠部21の−Y軸側の端まで引出電極34が形成されており、+Y軸側の端まで引出電極35が形成されている。したがって、外部電極41a、41bが形成される前に、第1ベース部40Aと水晶フレーム20とが重ね合わされた状態では、切り欠き43a、43bの底面、すなわち、水晶フレーム20の主面における切り欠き43a、43bと接する領域まで、引出電極34、35が延出する。
リッド部10と水晶フレーム20とは非導電性接着剤50を介して接合される。水晶フレーム20と第1ベース部40Aとは非導電性接着剤50を介して接合される。さらに第1ベース部40Aの一部に外部電極41a、41bが形成される。外部電極41a、41bは、第1ベース部40Aの底面49、切り欠き43a、43bの側面40p、非導電性接着剤50の側面50p、および引出電極34、35を覆うようにスパッタリングまたは真空蒸着で形成される。外部電極41a、41bは引出電極34、35を覆うことで外部電極41a、41bと引出電極34、35とが電気的に接続する。
非導電性接着剤50として例えばポリイミド系接着剤またはエポキシ系接着剤が用いられてもよい。非導電性接着剤50を使って水晶フレーム20と第1ベース部40Aとが接合されると、他の接合方法、たとえば陽極接合またはシロキサン結合を使用する場合よりもコストを低減できる。
ここで、水晶フレーム20と第1ベース部40Aとの間に塗布された非導電性接着剤50における切り欠き43a、43b部分の側面50pを、切り欠き43a、43bの側面40pと同一面とする。これにより、引出電極34、35と外部電極41a、41bとが断線なく確実に電気的に接続する。その理由について、図3を参照しながら説明する。
図3は、引出電極35と外部電極41bとが電気的に接続できなかった場合を示した図である。また、図3は図2の破線Bで囲まれた部分の拡大図である。図3(a)は非導電性接着剤50の塗布量が少なく、切り欠き43bのY軸方向の側面40pまで塗布されなかった状態を示した図である。図3(b)は、非導電性接着剤50の塗布量が多すぎて、切り欠き43bのY軸方向の側面40pの外側まで塗布され、その後非導電性接着剤50が剥がれた状態を示した図である。
図3(a)に示されたように、非導電性接着剤50は切り欠き43bのY軸方向の側面40pまで塗布されていない。このため、水晶フレーム20に形成された引出電極35と第1ベース部40Aとの間に非導電性接着剤50の無い中空部51が生じてしまう。したがって、外部電極41bがスパッタリングまたは真空蒸着で形成される際に、中空部51にまでクロム(Cr)層および金(Au)層が形成されない。そのため電極42aと電極42bとが中空部51で分断して形成され、外部電極41bが引出電極35に電気的に接続されない状態が生じてしまう。
図3(b)に示されたように、非導電性接着剤50は切り欠き43bのY軸方向の側面40pの外側にはみ出して塗布されている。はみ出した接着剤52は乾燥などが原因で割れたり剥がれたりしやすい。このため、接着剤52付近の外部電極41bが電極42c及び電極42dに分断してしまい、外部電極41bが引出電極35に電気的に接続されない状態が生じてしまう。
しかし、本実施形態では、非導電性接着剤50の側面50pを切り欠き43a、43bの側面40pと同一面とする。よって、図3(a)の中空部51が形成されず、また、図3(b)のはみ出した接着剤52も存在しない。したがって、引出電極34、35と外部電極41a、41bとが断線なく確実に電気的に接続する。
再び図2に戻って、第1実施形態の第1圧電振動子100Aについて説明する。
第1圧電振動子100Aは、水晶フレーム20の第1ベース部40A側の表面に、非導電性接着剤50が切り欠き43a、43bまで伸びるように十分な塗布量で塗布される。その後、サンドブラスト又は異方性エッチングにより非導電性接着剤50の側面40pがY軸方向で切り欠き43bのY軸方向の側面40pと一致するよう形成される。それから、外部電極41a、41bが、非導電性接着剤50の側面50pおよび引出電極34、35を覆うようにスパッタリングまたは真空蒸着で形成される。
第1圧電振動子100Aの製造方法について、図4〜図7を参照しながら説明する。
<第1圧電振動子100Aの製造方法>
図4は、第1圧電振動子100Aの製造方法を示したフローチャートである。図5は、リッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびヘース用ウエハ40Wを示した分解斜視図である。図6は、3枚のウエハを接合してから第1圧電振動子100Aを切断するまでを示した断面図である。図7は3枚のウエハを接合し且つ外部電極が形成される前、ベース用ウエハ40Wの底面から見た図である。
図4〜図7を参照しながら、図1または図2に示された第1圧電振動子100Aの製造方法について説明する。
図4のステップS111は、リッド用ウエハ10Wを用意する工程であり、ステップS121、S122は水晶ウエハ20Wを用意する工程であり、ステップS131、S132はベース用ウエハ40Wを用意する工程である。また、上述の3つの工程は別々に並行して行うことができる。その後ステップS141〜S144は3枚のウエハを重ね合わせる工程である。
ステップS111において、リッド部10を有するリッド用ウエハ10Wが用意される。図5に示されたようにリッド用ウエハ10Wにはリッド用凹部17を有するリッド部10が数百から数千個形成される。例えばリッド用ウエハ10Wの材質がガラス材であれば、エッチング又は機械加工によりリッド部10にリッド用凹部17が形成される。
ステップS121において、水晶フレーム20を有する水晶ウエハ20Wが用意される。図5に示されたように水晶フレーム20は1枚の水晶ウエハ20Wに数百から数千個形成される。ウェットエッチングにより水晶ウエハ20Wに音叉型の水晶振動片30および支持腕22を有する水晶フレーム20が形成される。
ステップS122において、図1に示されたように音叉型の圧電振動片30に励振電極33が、外枠部21及び支持腕22に引出電極34、35が形成される。ここで、各電極はまたスパッタリングまたは真空蒸着で、クロム(Cr)層を下地としてその表面に金(Au)層が形成される。引出電極34、35は、ベース用ウエハ40Wの貫通穴43Aに対応する位置まで引き出されている。
ステップS131において、第1ベース部40Aを有するベース用ウエハ40Wが用意される。図5に示されたように第1ベース部40Aは1枚のベース用ウエハ40Wに数百から数千個形成される。ベース用ウエハ40Wがガラス材であれば、エッチング又は機械加工により第1ベース部40Aにベース用凹部47が形成される。
ステップS132において、水晶フレーム20に形成された引出電極34、35(図1を参照)に対応する位置に、ベース用ウエハ40Wを貫通した貫通穴43Aが形成される。この貫通穴43Aはほぼ矩形形状である。この1つの貫通穴43Aは、隣り合う2つの第1ベース部40Aの切り欠き43a、43b(図1を参照)に対応する。
ステップS141において、図6(a)に示されるようにリッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wが位置合わせて真空中又は不活性雰囲気中で非導電性接着剤50を介して接合される。キャビティ(リッド用凹部17およびベース用凹部47で構成される空間)内は真空状態又は不活性ガスで満たされている。また、非導電性接着剤50は水晶ウエハ20Wとベース用ウエハ40Wとの間に十分な量塗布される。すなわち、非導電性接着剤50は貫通穴43Aの領域まで露出された引出電極34、35を覆うように塗布される。ここで、非導電性接着剤50は図6(a)に示されたように貫通穴43Aの領域まで露出された引出電極34、35のすべてを覆うように塗布されてもよいし、貫通穴43Aの領域まで露出された引出電極34、35の一部を覆うように塗布されてもよい。
ステップS142において、リッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wが接合された後、第1ベース部40Aの底面49は図7に示されたような状態である。すなわち、貫通穴43Aの底面に非導電性接着剤50が形成される。この貫通穴43Aの底面の非導電性接着剤50のみをサンドブラスト又は異方性エッチングにより除去する。ここで、異方性エッチングは、アルゴンイオンの照射による除去でもよいし、又はOプラズマの照射による除去でもよい。なお、非導電性接着剤50が除去される際に、非導電性接着剤50で覆われていた引出電極34、35の一部が除去される可能性がある。しかし、非導電性接着剤50の硬度と引出電極34、35の硬度とは大きく異なるため、サンドブラストのサンドの噴射量、アルゴンイオンの照射量を調整すれば、引出電極34、35が大きく除去されることはない。
これにより、水晶フレーム20と第1ベース部40Aとの間に塗布された非導電性接着剤50における切り欠き43a、43b部分の側面50pを、切り欠き43a、43bの側面40pと同一面とする。このため、引出電極34、35と外部電極41a、41bとが断線なく確実に電気的に接続することができる。
ステップS143において、図6(c)に示されたように第1ベース部40Aの底面49、接着剤50の側面50p、並びに引出電極34、35を覆うように外部電極41a、41bが形成される。不図示のマスクが第1ベース部40Aの底面49に配置される。外部電極41bに相当する領域には開口が開いており、スパッタリングまたは真空蒸着でクロムが開口から蒸着され、引き続き金が開口から蒸着される。そしてマスクが底面49から外される。
ステップS144において、図6(d)に示されたように3枚のウエハ、すなわちリッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wが接合された状態で図5又は図7に示された一点鎖線に沿ってダイシングソーで切断される。これにより第1圧電振動子100Aが完成する。この第1圧電振動子100Aは、外部電極41a、41bと引出電極34、35との間で断線しない。
(第2実施形態)
<第2圧電振動子100Bの構成>
第2圧電振動子100Bの構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成要件に対して同じ符号を付けて説明する。
図8は、第2実施形態の第2圧電振動子100Bの分解斜視図である。図9(a)は図8のA−A断面図であり、図9(b)は第2実施形態の第2圧電振動子100Bをその底面49から見た図である。図9(b)は理解を助けるため外部電極41c、41dを透明にして、一点鎖線で外観のみを示している。
図8に示されたように、第2圧電振動子100Bは第1圧電振動子100Aと同じ3層構造である。また、リッド部10及び水晶フレーム20は第1実施形態と同じである。
図8において、第2ベース部40Bは第1実施形態と同様にベース用凹部47を水晶フレーム20側の片面に有している。また、第2ベース部40Bの周囲に描かれた立方体形状の点線部分は、リッド部10または水晶フレーム20のXY平面の外周に相当する。
第2実施形態において、立方体形状の点線と第2ベース部40Bの外周とで囲まれた部分が一対の切り欠き43c、43dである。切り欠き43c、43dは、ベース用ウエハ40W(図10を参照)で複数の第2ベース部40Bを製造する際に、Y方向に隣り合う第2ベース部40BのY軸方向の両側に形成された貫通穴43B(図10を参照)の一部である。ここで、1つの貫通穴43B(図10を参照)で2つの切り欠き43c、43dを形成するため、切り欠き43c、43dのXY平面における面積は貫通穴43Bの1/2の大きさである。
図8に示されたように切り欠き43c及び切り欠き43dはXY平面においてY軸方向で連結されてない。つまり第2ベース部40BのY軸方向に伸びる2辺には、X軸方向に突起した一対の突起部44が形成される。X方向に隣り合う第2ベース部40Bの突起部44はそれぞれ接続している。
図8及び図9(a)に示されたように、リッド部10と水晶フレーム20とは非導電性接着剤50を介して接合される。水晶フレーム20と第2ベース部40Bとは非導電性接着剤50を介して接合される。さらに第2ベース部40Bの一部に外部電極41c、41dが形成される。第2ベース部40BのY軸方向の両側に切り欠き43c、43dがそれぞれ形成されている。そして、水晶フレーム20の枠部21の−Y軸側の端まで引出電極34が形成されており、+Y軸側の端まで引出電極35が形成されている。また、第2ベース部40Bは、−Y側の底面49に外部電極41cが形成され、+Y側の底面49に外部電極41dが形成されている。また、外部電極41cの一部は切り欠き43cに沿って+Z軸方向に伸び、切り欠き43cの+Y側の側面40pに形成される。同様に、外部電極41dの一部は切り欠き43dに沿って+Z軸方向に伸びて切り欠き43dの−Y側の側面40pに形成される。
外部電極41c、41dは、第2ベース部40Bの底面49、切り欠き43c、43dの側面40p、非導電性接着剤50の側面50p、および引出電極34、35を覆うようにスパッタリングまたは真空蒸着で形成される。図9(b)に示されるように、外部電極41cの一部は水晶フレーム20の引出電極34に接続され、外部電極41dの一部は水晶フレーム20の引出電極35に電気的に接続される。
ここで、水晶フレーム20と第2ベース部40Bとの間に塗布された非導電性接着剤50における切り欠き43c、43d部分の側面50pを、切り欠き43c、43dの側面40pと同一面とする。これにより、引出電極34、35と外部電極41c、41dとが断線なく確実に電気的に接続する。その理由については第1実施形態の図3で説明したとおりである。
第2実施形態において、非導電性接着剤50の側面50pは、第2ベース部40BのX軸方向の2辺およびY軸方向の2辺に現れている。突起部44が形成された領域を除いて、非導電性接着剤50の側面50pは外部電極41c、41dで覆われる。このため、非導電性接着剤50の側面50pが露出することなく、この非導電性接着剤50の側面50pからの腐食等、外部環境による品質の低下を防止することができる。
なお、外部電極41c、41dは、ガラスとの密着性の良い150Å〜700Åのクロム(Cr)層を下地にしてその表面に400Å〜2000Åの金(Au)層が形成された構成である。クロム(Cr)層の代わりに、ニッケル(Ni)層またはチタン(Ti)層を使用してもよく、また金(Au)層の代わりに、銀(Ag)層を使用してもよい。
図10は、3枚のウエハ、すなわちリッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wを接合し且つ外部電極41c、41dが形成される前、ベース用ウエハ40Wの底面49から見た図である。隣り合う第2ベース部40Bの切り欠き43c及び切り欠き43dは貫通穴43Bを構成する。貫通穴43Bは、底面49から見ると「H」型となり1つのベース部の3辺に沿って形成される。X軸方向に隣り合う貫通穴43Bは、所定距離Dを離れて形成されている。ベース用ウエハ40Wの所定距離Dは連結枠45を構成する。
<第2圧電振動子100Bの製造方法>
第2圧電振動子100Bの製造方法については、第1実施形態の図4を参照しながら説明する。
ステップS111では、リッド部10を有するリッド用ウエハ10Wが用意される。ステップS121では、水晶フレーム20を有する水晶ウエハ20Wが用意される。ステップS122では、図1に示されたように音叉型の圧電振動片30に励振電極33が、外枠部21及び支持腕22に引出電極34、35が形成される。ステップS131では、第2ベース部40Bを有するベース用ウエハ40Wが用意される。
ステップS132において、水晶フレーム20に形成された引出電極34、35(図8を参照)に対応する位置に、ベース用ウエハ40Wを貫通した貫通穴43Bが形成される。貫通穴43Bは、図10に示されたように底面49から見ると「H」型となる。ここで、1つの貫通穴43Bは、隣り合う2つの第2ベース部40Bの切り欠き43c、43d(図8を参照)に対応する。したがって、複数の第2ベース部40Bは突起部44および連結枠45で連結される。このため、複数の第2ベース部40Bは一枚のベース用ウエハ40Wの単位で同時に製造することができる。
ステップS141において、リッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wが位置合わせて真空中又は不活性雰囲気中で非導電性接着剤50を介して接合される。ここで、非導電性接着剤50は貫通穴43Bの領域まで露出された引出電極34、35(図8を参照)を覆うように塗布される。ここで、非導電性接着剤50は貫通穴43Bの領域まで露出された引出電極34、35のすべてを覆うように塗布されてもよいし、貫通穴43Bの領域まで露出された引出電極34、35の一部を覆うように塗布されてもよい。
ステップS142において、リッド用ウエハ10W、水晶ウエハ20Wおよびベース用ウエハ40Wが接合された後、第2ベース部40Bの底面49は図10に示されたような状態である。すなわち、図10に示されたように貫通穴43Bの底面に非導電性接着剤50が形成される。この貫通穴43Bの底面の非導電性接着剤50のみをサンドブラスト又は異方性エッチングにより除去する。ここで、異方性エッチングは、アルゴンイオンの照射による除去でもよいし、又はOプラズマの照射による除去でもよい。なお、非導電性接着剤50が除去される際に、非導電性接着剤50で覆われていた引出電極34、35の一部が除去される可能性がある。しかし、非導電性接着剤50の硬度と引出電極34、35の硬度とは大きく異なるため、サンドブラストのサンドの噴射量、アルゴンイオンの照射量を調整すれば、引出電極34、35が大きく除去されることはない。
これにより、水晶フレーム20と第2ベース部40Bの間に塗布された非導電性接着剤50における切り欠き43c、43d部分の側面50pを、切り欠き43c、43dの側面40pと同一面とする。このため、引出電極34、35と外部電極41c、41dとが断線なく確実に電気的に接続することができる。
ステップS143において、第2ベース部40Bの底面49、接着剤50の側面50p、並びに引出電極34、35を覆うように外部電極41c、41dが形成される。不図示のマスクが第2ベース部40Bの底面49に配置される。外部電極41dに相当する領域には開口が開いており、スパッタリングまたは真空蒸着でクロムが開口から蒸着され、引き続き金が開口から蒸着される。そしてマスクが底面49から外される。
ステップS144において、3枚のウエハ接合された状態で図11に示された一点鎖線に沿ってダイシングソーで切断される。図11は、外部電極41c、41dが形成された後、ベース用ウエハ40Wの底面49から見た図である。図11に示されたように複数の貫通穴43BはX軸方向で所定距離Dを離れて形成されているので、Y軸方向に沿って隣り合う第2圧電振動子100Bを切断する際、所定距離Dで二次切断する必要がある。これにより第2圧電振動子100Bが完成する。この第2圧電振動子100Bは、外部電極41c、41dと引出電極34、35との間で断線しない。
以上の説明では、リッド部及びベース部がガラスにより形成されているとして説明したが、ガラスの代わりに水晶が使用されても良い。リッド部及びベース部に水晶を使用した場合、以下のような点で好ましい。
工業材料の硬さを表わす指標の一つにヌープ硬度がある。ヌープ硬度は数値が高ければ硬く、低ければ柔らかい。リッド部及びベース部に使用される代表的なガラスであるホウケイ酸ガラスは、ヌープ硬度が590kg/mmである。また、水晶のヌープ硬度は710〜790kg/mmである。そのため圧電振動子では、リッド部及びベース部にガラスの代わりに水晶を使用する方が圧電振動子の硬度を高くすることができる。また、圧電振動子を所定の硬度にする場合には、リッド部及びベース部に使われるガラスの厚みを厚くする必要があるが、水晶であれば厚みが薄くてもよい。つまり、同じ硬度の圧電振動子であればリッド部及びベース部に水晶を使用すると、小型化・低背化が可能となる。
また、圧電振動子の作製時、または圧電振動子のプリント基板への取り付け時には圧電振動子に熱が加えられる。その時に、リッド部及びベース部に水晶材料とは異なる種類の材料を使用する場合、圧電振動子内には熱膨張係数の差による応力が加わる。熱膨張係数の差が大きいとこの応力も大きくなり、特に水晶フレームでは強度の弱い外枠部の角等が破損することがある。そのため、リッド部及びベース部と水晶フレームとの熱膨張係数の差を小さくすることが望まれる。リッド部及びベース部に水晶を使用することは、リッド部及びベース部にガラスを使用した場合に比べて水晶フレームとの熱膨張係数の差を小さくし、圧電振動子内の応力を小さくすることができるため好ましい。さらに、上記の通り、ガラスを使用した場合に比べて圧電振動子の小型化・低背化が可能となるため好ましい。
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
たとえば、本発明は音叉型の水晶振動片に代えてAT振動片にも適用できる。また、圧電振動子は水晶以外にニオブ酸リチウム等の様々な圧電単結晶材料を用いることができる。また本発明は、圧電振動子以外にも、発振回路を組み込んだICなどをベース部上に配置させた圧電発振器にも適用できる。さらに本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、又はその他の電子部品のパッケージにも適用できる。
10 … リッド部
10W … リッド部用ウエハ
17 … リッド部用凹部
20 … 水晶フレーム
20W … 水晶ウエハ
21 … 外枠部
22 … 支持腕
23 … 空間部
30 … 水晶振動片
31 … 基部
32 … 振動腕
33 … 励振電極
34、35 … 引出電極
36 … 溝部
37 … 錘部
40A、40B … ベース部
40p … ベース部の側面
40W … ベース部用ウエハ
41a、41b、41c、41d、42a、42b、42c、42d … 外部電極
43a、43b、43c、43d … 切り欠き
43A、43B … 貫通穴
44 … 突起部
47 … ベース用凹部
49 … 圧電振動子の底面
50、51、52 … 非導電性接着剤
50p … 非導電性接着剤の側面
100A、100B … 圧電振動子

Claims (8)

  1. 複数のベース部が形成され、隣り合う前記ベース部の中央側に切り欠くように貫通穴が形成されたベースウエハを用意する工程と、
    励振電極を含む圧電振動片と、前記励振電極と接続する引出電極を含み前記圧電振動片の外側に形成された枠部とを有する圧電フレームが複数形成されて、前記ベースウェハと接合したときに前記貫通穴まで延出するように前記引出電極が形成された圧電ウエハを用意する工程と、
    前記枠部の表面および前記引出電極の表面に接着剤を塗布する工程と、
    前記圧電ウエハと前記ベースウエハとを前記接着剤を介して接合する第1接合工程と、
    前記圧電フレームに形成された前記引出電極が露出するように、前記貫通穴を通して露出した前記接着剤を除去する工程と、
    前記圧電ウエハと接合した前記ベースウエハの反対側の底面、前記貫通穴の側面、前記接着剤の側面、および前記引出電極を覆うように、前記引出電極と接続する外部電極を形成する工程と、
    を備える圧電デバイスの製造方法。
  2. 前記貫通穴は、前記ベースウエハの底面から見て矩形形状である請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
  3. 前記ベース部は底面がほぼ矩形形状であり、
    前記貫通穴は、前記ベース部の3辺に沿って形成される請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
  4. 前記接着剤を除去する工程は、サンドブラストによる除去又は異方性エッチングを含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。
  5. 前記異方性エッチングは、アルゴンイオンの照射による除去、又はOプラズマの照射による除去を含む請求項4に記載の圧電デバイスの製造方法。
  6. 複数のリッド部を有するリッドウエハを用意する工程と、
    前記圧電ウエハと前記リッドウエハとを接着剤を介して接合する第2接合工程と、を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。
  7. 前記第1接合工程及び第2接合工程で接合された前記リッドウエハ、前記圧電ウエハおよび前記ベースウエハを、前記ベース部、前記圧電フレームおよび前記リッド部を単位として切断する工程を備える請求項6に記載の圧電デバイスの製造方法。
  8. 励振電極を含む圧電振動片とこの圧電振動片の外側に形成され前記圧電振動片と接続した枠部とが一体に形成され、第1面とこの第1面とは反対側の第2面と有する圧電フレームと、
    前記励振電極に接続し、前記圧電振動片から前記枠部まで形成された引出電極と、
    前記枠部の第1面側に接合されるリッド部と、
    前記枠部の第2面側に接合され、前記引出電極に接続する外部電極が形成されたベース部と、
    前記圧電フレームと前記ベース部とを接合する接着剤と、を備え、
    前記ベース部の底面が一対の長辺と一対の短辺とを有する矩形形状であり、前記ベース部の外周は、前記ベース部の一対の短辺とそれぞれの前記短辺から前記一対の長辺にまで切り欠いた一対の切り欠きを有し、
    前記枠部に形成された前記引出電極は、前記切り欠きまで延出するように形成され、
    前記接着剤は前記切り欠きの側面と同一面になるように形成され、
    前記外部電極は、前記ベース部の前記切り欠きのすべての側面と前記切り欠きの側面と同一面になるように形成された前記接着剤の側面とを覆って、前記引出電極に接続している圧電デバイス。
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