JP5051924B2 - メタン転換製造プロセス - Google Patents

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Description

この発明は、メタン転換製造プロセスに関する。この発明は特に、天然ガスの転換製造プロセスに関する。
芳香族炭化水素、特にベンゼン、トルエン、エチルベンゼンやキシレンは、石油化学産業の重要な化学商品である。現在、芳香族炭化水素は、触媒改質や触媒クラッキングなどを含む様々な製造プロセスにより、石油ベースの原料油から製造することが最も一般的に行われている。しかし、世界的に石油原料油の供給が減少しているため、芳香族炭化水素の代替原料に対する必要性が高まっている。
可能性のある代替原料のひとつは、天然ガスやバイオガスの主成分のメタンである。世界的に天然ガスの推定埋蔵量は増加し続けており、現在、石油よりも天然ガスの発見量の方が多くなっている。大量の天然ガスの輸送に付随する問題のため、石油とともに生産される天然ガスの大部分は、特に僻地では、燃やされ、無駄にされている。したがって、付随する技術的問題を克服できるなら、天然ガスに含まれるアルカンを芳香族炭化水素などの高級炭化水素に直接転換することは、天然ガスの高付加価値化を図る上で魅力的である。
メタンを液状炭化水素に転換する製造プロセスの主流は、先ずメタンをHとCOの混合物である合成ガスに転換する方法である。しかし、合成ガスの製造には、集約的な設備投資とエネルギーが必要である。したがって、合成ガスの生成を必要としない方法が好ましい。
メタンを高級炭化水素に直接転換するための、多くの代替製造プロセスが提案されている。このような製造プロセスのひとつには、酸化力のある触媒によりメタンをカップリングしてオレフィンとし、次に触媒によりオレフィンを、芳香族炭化水素を含む液状炭化水素に転換するものである。
例えば、米国特許第5336825号に、メタンをガソリン相当の、芳香族炭化水素を含む、炭化水素に酸化性転化する二段階製造プロセスが開示されている。第1ステップで、メタンを遊離酸素の存在下で、アルカリ土類金属と希土類金属酸化触媒を用いて温度500℃から1000℃で、エチレンと少量のCとCオレフィンに転換する。次に、第1ステップで生成したエチレンと高級オレフィンを、高級シリカペンタシル(pentasil)ゼオライトを含む酸性固体触媒上で、ガソリン相当の液状炭化水素に転換する。
しかしながら、酸化性カップリング法は、高発熱反応でありメタンの燃焼反応が生じる危険性があり、また、環境に影響を及ぼす炭素の酸化物を大量に生じる問題がある。
メタンを直接高級炭化水素、特にエチレン、ベンゼン、ナフタレンに転換する潜在的な魅力ある方法は、脱水素芳香族化(Dehydroaromatization)または還元性カップリングである。
一般にこの製造プロセスでは、メタンを、ZSM−5などのゼオライトに担持されたレニウム、タングステン、またはモリブデンなどの金属を含む触媒に、600℃から1000℃の高温下で接触させる。通常、金属触媒活性種は、ゼロ価、または炭素化、または酸化炭素化された形態である。
例えば、米国特許第4727206号は、液状成分の多い芳香族炭化水素の製造方法を開示している。この方法では、メタンを酸素の不存在下、600℃から800℃の温度で触媒組成物に接触させる。この触媒組成物は、シリカ対アルミナのモル比が少なくとも5:1のアルミノシリケートを有し、このアルミノシリケートは、(i)ガリウムまたはその化合物と、(ii)周期律表第VIIB族の金属またはその化合物とともに充填される。
さらに、米国特許第5026937号は、0.5モル%以上の水素と、50モル%のメタンを含む供給流を、温度が550℃から750℃、絶対圧力が10気圧(1000kPa−a)未満、気体空間速度が400から7500時間−1の条件を含む転換条件下で、ZSM−5と、リンを含むアルミナとを備える固体触媒床を有する反応ゾーンに流通させるステップを有するメタンの芳香族化の製造プロセスを開示している。
さらに、米国特許第6239057号、第6426442号は、例えばメタンなどの炭素数の少ない炭化水素と、表面にレニウムと、鉄、コバルト、バナジウム、マンガン、モリブデン、タングステン、およびこれらの混合物などの反応促進金属が分散された、例えばZMS−5などの多孔質の担体から成る触媒とを接触させることによって、例えばベンゼンなどの炭素数の多い炭化水素を製造する製造プロセスを開示している。
担体にレニウムとプロモーター金属を含浸させた後、温度約100℃から約800℃で約0.5時間から約100時間の条件で、触媒を水素および/またはメタンで処理して活性している。
供給原料のメタンに、一酸化炭素または二酸化炭素を添加することにより、ベンゼンの収率が向上し、触媒の安定性が増すとされている。
国際公開パンフレットWO 03/000826と米国特許出願2003/0083535号には、触媒を反応系と再生系の間で循環させるシステムと方法が開示されている。触媒が循環されるシステムには、反応系と再生系と分配装置が含まれている。反応系と再生系の間で触媒を交換するように構成されている。
好ましくは、反応系は、上昇流流動床反応器を備え、再生系は、触媒を再生ガスに接触させるように構成された再生ゾーンを備える。
このシステムと方法では、1以上の再生ガスが触媒に接触するように構成されている。
分配装置は、各再生ガスと接触する触媒の割合を制御できるように構成されている。すなわち、分配装置は、反応系と再生系とのヒートバランスが均衡した状態となるように、触媒の分配割合を選択するように構成されている。
好ましくは、触媒の交換により、熱が再生系から反応系へ移動する。
しかし、例えば芳香族などの高級炭化水素を製造するための還元性カップリングを、商業的規模で応用するためには、多くの困難な技術的問題を解決する必要がある。これらの技術的問題の一例は以下の通りである。
(a)この製造プロセスは吸熱性であるため、多くのエネルギー供給が必要である。
(b)この製造プロセスでは、高い転換率を得るには高温での操業が必要になるという、熱力学的制約がある。
(c)この製造プロセスでは、吸熱反応に要求されるエネルギーを補うとともに、高い転換率を得るための高温を維持するためには、多くのエネルギー供給が必要である。
(d)この製造プロセスでは、還元性カップリングにより高いメタンの転換率を得るために、効率的な熱移動と、触媒と炭化水素を効率的に接触させることが必要である。
(e)この製造プロセスでは、高温下でコークスおよび/または触媒のコーキングを生じる。
(f)この製造プロセスでは、メタンに加えC2+の炭化水素が用いられるが、このような原料は、製造プロセスで用いられる触媒のコーキングを生じる。
(g)触媒の摩滅に関係する問題を低減するため、触媒の循環速度と、触媒に加わるその他の機械的ストレスを最小にすることが望ましい。
したがって、高い熱移動効率と、十分な炭化水素/触媒の接触とが得られ、コークスの生成および触媒の循環速度を最小にしつつ、所望の芳香族などの高級炭化水素に対する選択性が最大となる、改良された条件を備えた、メタンを高級炭化水素に転換する製造プロセスの開発が要望されている。
1つの側面では、この発明は連結された少なくとも第1および第2反応ゾーンを備える反応器系でメタンを高級炭化水素に転換する製造プロセスに関し、この製造プロセスには:
(a)反応器系にメタンを含む炭化水素原料を供給し;
(b)反応器系に粒子状触媒を供給し;
(c)粒子状触媒の大部分を第1反応ゾーンから第2反応ゾーンへ移動させ、炭化水素原料の大部分を第2反応ゾーンから第1反応ゾーンへ移動させ;
(d)各反応ゾーンを移動床状態に保ち、
(e)各反応ゾーンを、少なくとも一部のメタンが高級炭化水素を含有する第1生成物に転換される反応条件で操業することが含まれる。
さらに、この製造プロセスには:
(f)少なくとも粒子状触媒の一部を各反応ゾーンから取り出し、
(g)取出された粒子状触媒の少なくとも一部を、再生条件下で再生することが含まれる。
好ましくは、この製造プロセスにはさらに:
(h)再生された触媒の少なくとも一部を各反応ゾーンに再循環させることが含まれる。
ひとつの実施形態では、この製造プロセスにはさらに:
(f)少なくとも粒子状触媒の一部を各反応ゾーンから取り出し、
(g)取出された粒子状触媒の少なくとも一部を、少なくとも825℃の温度下で加熱することが含まれる。
好ましくは、この製造プロセスにはさらに:
(h)再生された触媒の少なくとも一部を各反応ゾーンに再循環させることが含まれる。
またこの発明の別の側面では、連結された少なくとも第1および第2反応ゾーンを備える反応器系で、メタンを芳香族を含む高級炭化水素に転換する製造プロセスに関し、この製造プロセスには:
(a)反応器系にメタンを含む炭化水素原料を供給し;
(b)反応器系に粒子状触媒を供給し;
(c)粒子状触媒の大部分を第1反応ゾーンから第2反応ゾーンへ移動させ、炭化水素原料の大部分を第2反応ゾーンから第1反応ゾーンへ移動させ;
(d)各反応ゾーンを流動床状態に保ち;
(e)各反応ゾーンの空塔速度を、最小流動化速度(Umf)から流動床の空隙率が95%未満に維持される速度までの範囲内に保ち;
(f)各反応ゾーンを、少なくとも一部のメタンが高級炭化水素を含有する第1生成物に転換される反応条件で操業し;
(g)少なくとも粒子状触媒の一部を各反応ゾーンから取り出し;
(h)取出された粒子状触媒の少なくとも一部を、再生条件下で再生し;
(i)取出された粒子状触媒の少なくとも一部、および/または、再生された粒子状触媒の少なくとも一部を、少なくとも825℃の温度下で加熱し;
(j)加熱された触媒の少なくとも一部を各反応ゾーンに再循環させることが含まれる。
好ましくは、再生条件には、温度が400℃から750℃、例えば500℃から650℃であることが含まれる。
好ましくは、再生条件には再生ガスに酸素が含有されていることが含まれる。好ましくは、再生ガスにはさらに二酸化炭素、および/または、窒素が含有され、再生ガス中の酸素濃度が2wt%から10wt%であることが好ましい。
またこの発明の別の側面では、連結された少なくとも第1および第2反応ゾーンを備える反応器系で、メタンを芳香族炭化水素に転換する製造プロセスに関し、この製造プロセスには:
(a)反応器系にメタンを含む炭化水素原料を供給し;
(b)反応器系に粒子状触媒を供給し;
(c)粒子状触媒の大部分を第1反応ゾーンから第2反応ゾーンへ移動させ、炭化水素原料の大部分を第2反応ゾーンから第1反応ゾーンへ移動させ;
(d)各反応ゾーンの空塔速度を、最小流動化速度(Umf)から流動床の空隙率が95%未満に維持される速度までの範囲内に保ち;
(e)各反応ゾーンを、少なくとも一部のメタンが芳香族炭化水素を含有する第1生成物に転換される反応条件で操業し;
(f)芳香族炭化水素を回収することが含まれる。
一般に、各反応ゾーンの反応条件は、各反応ゾーンを通じてメタンの少なくとも5wt%を高級炭化水素に転換することができるものである。
ひとつの実施形態では、各反応ゾーンの反応条件は、各反応ゾーンを通じてメタンの少なくとも5wt%を芳香族炭化水素に転換することができるものである。
別の実施形態では、芳香族にはベンゼンが含まれる。
好ましくは、この製造プロセスには、さらに少なくとも1つの追加反応ゾーンが含まれる。
好ましくは、この製造プロセスにはさらに、未反応のメタンを高級炭化水素から分離し、この未反応メタンを各反応ゾーンに再循環することが含まれる。
好ましくは、第1生成物には水素が含まれ、この製造プロセスにはさらに、(i)水素の少なくとも一部を第1生成物から分離するか、あるいは、(ii)第1生成物中の水素の少なくとも一部を、酸素を含有する種と反応させ、第1生成物と比較して水素含有量が低減された第2生成物を生成させることが含まれる。
任意に、この製造プロセスには第2生成物をステップ(a)へ再循環することが含まれる。
好ましくは、粒子状触媒は各反応ゾーンを下方に向け移動し、原料は各反応ゾーンを上方に向け移動する。
好ましくは、各反応ゾーンは、最小流動化速度(Umf)の少なくとも1.01倍以上で操業される。
好ましくは、各反応ゾーンは、流動床の空隙率が95%未満に維持される速度より低い空塔速度で操業される。
好ましくは、ステップ(a)にはさらに、反応器系に非触媒の粒子を供給することが含まれる。
好ましくは、粒子状物質(粒子状触媒と非触媒粒子)の炭化水素原料に対する質量比は、1:1から100:1、例えば5:1から25:1である。
好ましくは、各反応ゾーンは1以上の冷壁反応器中に包含されている。
上記の実施形態の一側面では、各反応ゾーンの反応条件は、非酸化性条件である。
上記の実施形態の別の側面では、各反応ゾーンの反応条件には、温度400℃から1200℃、圧力1kPa−aから1000kPa−a、および重量空間速度0.01時間−1から1000時間−1であることが含まれる。
上記の実施形態の一側面では、粒子状触媒は脱水素環化触媒である。ひとつの実施形態では、粒子状触媒は無機担体上に担持された金属または金属化合物からなる。
ひとつの実施形態では、粒子状触媒は、ZSM−5、シリカ、または酸化アルミニウム上にモリブデン、タングステン、レニウム、モリブデン化合物、タングステン化合物、亜鉛化合物、レニウム化合物が担持された触媒のうちの、少なくともいずれか1つである。
ひとつの実施形態では、粒子状触媒は第2反応ゾーンに入るときの温度が800℃から1200℃であり、第1反応ゾーンに入る前の、第2反応ゾーンから出るときの温度が600℃から800℃である。
好ましくは、第1反応ゾーンを横切る粒子状触媒の温度差と、第2反応ゾーンを横切る粒子状触媒の温度差との合計は、少なくとも100℃である。
好ましくは、炭化水素原料はさらに、少なくともCO、CO,H、HO、C2+炭化水素のいずれか1つを含む。
この発明の別の実施形態では、高級炭化水素の少なくとも一部、例えばベンゼンおよび/または芳香族炭化水素などが、水素および/またはアルキル化剤と反応して高級炭化水素の派生物を生成する。
この発明の他の側面を、以下の詳細な説明、図面、および請求の範囲により明らかにする。
<定義>
ここに引用する全ての特許、特許出願、先行技術文献、記事、刊行物、マニュアル、その他の文献は、それが許される法域において、本願の内容と矛盾しない範囲で本願に組み込まれる。
数値の上限値と下限値が複数記載されている場合、いずれかの下限値といずれかの上限値との範囲が考慮される。
この明細書で「骨格型」というときは、例えば「Atlas of Zeolite Framework Types(2001年)」に記載されている意味で用いる。
本願で「高級炭化水素」というときは、1分子あたり2以上の炭素原子を有する炭化水素、1分子あたり少なくとも1つの炭素原子を有する酸素含有化合物を意味し、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、および/または、メチルナフタレンなどを言う。
本願で「芳香族炭化水素」というときは、1以上の芳香族環を有する分子を意味する。芳香族炭化水素の例として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン(パラキシレン、メタキシレン、オルトキシレン)、ナフタレン、およびメチルナフタレンが挙げられる。
本願で「移動床」反応器というときは、固体粒子床の空隙率を約95%未満(U95%)、任意に約85%未満(U85%)にするために、空搭速度(U)が固体粒子の希釈相空送に必要な速度以下で、固体粒子とガス流を接触させるゾーンまたは反応容器を意味する。
移動床反応器は、下記のいくつかの異なる流速域で操業される。
(a)空塔速度が最小流動化速度(Umf)未満の、沈降または移動充填層域、U<Umf。
(b)空塔速度が最小流動化速度(Umf)より大きく、最小気泡化速度(Umb)未満の気泡域、Umf<U<Umb。
(c)空塔速度が最小気泡化速度(Umb)より大きく、最小気泡化速度(Uc)未満のスラグ域、Umb<U<Uc。
(d)空塔速度が最小速度(Uc)より大きく、最小輸送速度(Utr)未満の遷移および乱流流動域、Uc<U<Utr)。および、
(e)空塔速度が最小輸送速度(Utr)より大きい高速流動域、U>Utr。
これらの異なる流動域は、例えばD.Kunii、O. Levenspielの「Fluidization Engineering, 2nd Edition, Butterworth‐Heinemann, Boston, 1991年」の第3章、Walas,S.M.の「Chemical Process Equipment,Butterworth‐Heinemann,Boston,1990年」の第6章に記載されている。
本願で「沈降床」というときは、少なくとも反応ゾーンの一部において、空搭速度(U)が固体粒子を流動させるために必要な速度以下で、すなわち最小流動速度(Umf)に関しU<Umfで、固体粒子とガス流を接触させるか、および/または、最小流動速度より速い速度で、固−気バックミキシングを最小にするために、反応器内壁を利用して、ガスおよび/または固体粒子の特性(温度、固気比率など)の変化率を反応床の垂直上方に沿って維持しながら操業するゾーンまたは容器を意味する。
最小流動速度は、例えば、D.KuniiとO.Levenspielの「Fluidization Engineering」Butterworth‐Heinemann,Boston,1991年第2版の第3章、S.M.Walasの「Chemical Process Equipment」Butterworth‐ Heinemann,Boston,1990年の第6章に記載されており、その内容は参照として本願に取り込まれる。
本願で「流動床」というときは、固体粒子床の空隙率を95%未満にするために、固体粒子を流動させるために十分な速度(すなわち最小流動速度(Umf)以上)の空搭速度(U)で、かつ、固体粒子の希釈相空送に必要な速度以下の空搭速度(U)で、固体粒子とガス流を接触させるゾーンまたは容器を意味する。
本願で「転送移動床」というときは、1つの移動床から別の移動床へ固体粒子またはガスが転送されるようにした各移動床の連続的な配列を意味する。
本願で「転送流動床」というときは、1つの流動床から別の流動床へ固体粒子またはガスが転送されたときに、ガスおよび/または固体粒子の特性(温度、固気比率、圧力など)が変化するようにした、各流動床の連続的な配列を意味する。
本願で「上昇流」反応器というときは、高速流動域、または空送流動域で、固体粒子を全体に上方へ移送するゾーンまたは容器(垂直な円筒状パイプなど)を意味する。高速流動域、あるいは空送流動域は、空塔速度が輸送速度(Utr)より大きい点が特徴である。
高速流動域と空送流動域は、上記のD.KuniiとO.Levenspielの「Fluidization Engineering」Butterworth‐Heinemann,Boston,1991年第2版の第3章、S.M.Walasの「Chemical Process Equipment」Butterworth‐ Heinemann,Boston,1990年の第6章に記載されており、その内容は参照として本願に取り込まれる。
本願で「逆温度分布」というときは、炭化水素ガスの出口温度よりも、炭化水素ガスの入口温度の方が低い反応系を意味する。すなわち、吸熱反応で自然に生じる温度分布の逆である。
本願では、「粒子状触媒」という用語は、製造条件下において、原料から目的とする生成物への反応速度を増加させることができる耐火性物質の意味で用いる。
粒子状触媒は、粒子の物理的結合を維持するために、バインダー無しで、あるいはクレイ、シリカ、アルミナ、ジルコニア、その他の金属酸化物のバインダーを用いて粒子形状にされる。
好ましくは、粒子は実質的に球形状にされる。粒子は、所望の触媒性能を確保するために、触媒粒子の熱伝導性、密度、熱容量、および/または磨耗抵抗を調整して有用な機能を持たせるための追加成分を含有する。
本願では、「非触媒粒子」という用語は、粒子状触媒ではない粒子状物質の意味で用いる。
非触媒粒子は、製造条件下で、原料から目的とする生成物への反応速度を増加させない耐火性物質からなる。非触媒粒子は、(熱)エネルギーを系内に移動させるための物資として用いられ、および/または、要求される流体力学的環境下で要求される空間を満たすための物質として用いられる。
非触媒粒子は、粒子の物理的結合を維持するために、バインダー無しで、あるいはクレイ、シリカ、アルミナ、ジルコニア、その他の金属酸化物のバインダーを用いて粒子形状にされる。好ましくは、粒子は実質的に球形状にされる。
本願で「冷壁反応器」または「冷壁ベッセル」という用語は、製造プロセスの触媒と、製造プロセスの圧力容器として機能する金属シェルの間に1層以上の断熱材を備える反応器またはベッセルの意味で用い、断熱材の厚み方向に生じる温度勾配が、反応器内の物質の温度よりも、金属シェルの温度の方が50℃以上、例えば100℃以上、例えば300℃以上、あるいは600℃以上低くなるように構成される。
本願で「非酸化条件」という用語は、酸化剤(酸素を放出してメタンをCOxに酸化できるO、NOx、および金属酸化物など)が、化学量論的に原料中のメタンを酸化するために必要な量の5%未満、例えば1%未満、典型的には0.1%未満存在するという意味で用いる。
本願で「補助燃料源」というときは、燃料源が触媒と物理的に分離され、したがって、例えば、脱水素環化反応の副生物として触媒上にコークスが生じないことを意味する。
本願で「浸炭ガス」という用語は、触媒処理ゾーンにおける条件下で、粒子状触媒中の触媒金属の少なくとも一部を、酸化状態から元素の状態、浸炭された化学種、またはより軽度に酸化された状態に転換することができるガスの意味で用いる。
浸炭ガスは触媒の活性サイトの一部をコークス化させる。このような触媒の活性サイトは、所望の反応の触媒となる触媒金属、および/または、その他の活性サイトから成る。
また浸炭ガスは、粒子状触媒上にカーボン、および/または、炭化水素種の付着物を生成させる。このようなカーボン、および/または、炭化水素種は、例えば芳香族化合物などの、所望の高級炭化水素を生成する際の中間体である。
浸炭ガスは、炭化水素、H,CO,CO、およびこれらの組合せから成るものであり、浸炭ガスは、炭素元素源および水素元素源の両者を含むものである。
<導入>
この発明は、少なくとも第1・第2反応器からなる転送移動床中で、ガス状の供給原料を、メタンから芳香族炭化水素および水素に転化することができる条件下で、H、CO、および/または、COを随伴するメタンを含有する供給原料と、反応ゾーンにある粒状脱水素環化触媒とを、ガス状の供給原料に対し触媒が向流になるようにして接触させて、高級炭化水素、例えば芳香族炭化水素を製造する方法を提供する。
好ましくは、各反応ゾーンは、空搭速度が最小流動速度(Umf)以上で、固体粒子床の空隙率を95%未満に維持するために必要な速度未満となる、流動床域で操業される。
メタンの芳香族化反応の間、粒子状脱水素環化触媒上にコークスが付着するため、粒子状脱水素環化触媒の一部を定期的に再生ゾーンで再生する。再生ゾーンは、反応ゾーンとは分離されており、通常は酸化条件下で操業される。
再生ゾーンの酸化条件下では、コークスは燃焼され触媒から除かれる。しかし同時に、金属元素または炭素化された金属の変異、あるいは触媒上にコークス選択性のサイトが生成することにより、触媒活性にも不利な影響を及ぼす。
したがって、この製造プロセスのひとつの実施形態では、再生された触媒は、反応ゾーンおよび再生ゾーンから分離された触媒処理ゾーンへ移送される。触媒処理ゾーンでは、反応ゾーンよりも低温で、再生ゾーンより高温の条件下で、再生された触媒と浸炭ガスとを接触させる。
分離されている触媒処理ゾーンを用いることにより、金属酸化物を浸炭ガスに接触させて、炭素化された種、または金属元素の状態に再生された触媒とすることができるとともに、触媒の芳香族化選択性を高めることができる。
さらに、浸炭ガスとの接触で生じた水素などの副生成物が、反応ゾーンからの生成物と組み合わされることなく、触媒処理ゾーンから除去される。
脱水素環化反応は吸熱反応であり、この発明は、反応ゾーンから触媒の一部分を取出し、この一部分を加熱ゾーンにおいて補助燃料源の燃焼により生じた熱燃焼ガスで加熱し、次いで加熱された触媒の部分を反応ゾーンへ送り返すことにより、反応熱を供給する方法を提供する。
好ましくは、加熱された触媒の部分を反応ゾーンへ送り返す前に、触媒処理ゾーンに送って浸炭ガスと接触させる。
さらに、この発明は、脱水素環化反応の副生成物として生じた水素を利用する製造プロセス、特に水素の一部を、より価値の高い製品に転換する製造プロセスを提供する。
<原料>
この発明では、メタンを含有するあらゆる原料を使用することができるが、本願の製造プロセスは天然ガスの使用を意図している。他のメタンを含有する原料には、炭床、埋立地、農業または自治体の廃棄物の発酵、および/または石油精製ガスなどがある。
天然ガスなどのメタンを含有する供給原料は、一般に、メタンに加え、二酸化炭素とエタンを含有する。供給原料に含まれるエタンと他の脂肪族炭化水素は、脱水素環化反応により当然目的の芳香族に転化される。さらに、以下説明するように、二酸化炭素も、脱水素環化反応により直接的に、あるいは、脱水素工程におけるメタンおよび/またはエタンへの転化反応を通じて間接的に、有用な芳香族に転化される。
一般にメタンを含有する原料に含まれる不純物の窒素、および/または硫黄は、この発明の製造プロセスで使用される前に除去されるか、または、低濃度まで削減されることが好ましい。ひとつの実施形態では、脱水素環化工程への供給原料は、窒素および硫黄の各々を、100ppm未満、例えば10ppm未満、あるいは1ppm未満含有する。
メタンに加え、脱水素環化工程へ送られる供給原料は、コークス除去を助けるために、水素、水、一酸化炭素、および二酸化炭素の少なくともいずれか1つを含有する。これらの添加剤は、副原料として供給されるか、あるいは、例えば、メタンが二酸化炭素を含む天然ガスから供給されるような場合のように、メタン中に含まれている。この他の二酸化炭素の供給源には、燃焼ガス、LNGプラント、水素プラント、アンモニアプラント、グリコールプラント、無水フタル酸プラントが含まれる。
ひとつの実施形態では、脱水素環化工程への供給原料は二酸化炭素を含有し、その組成は、メタンが90から99.9モル%、例えば97から99モル%であり、COが0.1から10モル%、例えば1から3モル%である。
別の実施形態では、脱水素環化工程への供給原料は一酸化炭素を含有し、その組成は、メタンが80から99.9モル%、例えば94から99モル%であり、COが0.1から20モル%、例えば1から6モル%である。
また別の実施形態では、脱水素環化工程への供給原料はスチームを含有し、その組成は、メタンが90から99.9モル%、例えば97から99モル%であり、スチームが0.1から10モル%、例えば1から3モル%である。
さらに別の実施形態では、脱水素環化工程への供給原料は水素を含有し、その組成は、メタンが80から99.9モル%、例えば95から99モル%であり、水素が0.1から20モル%、例えば1から5モル%である。
また、脱水素環化工程への供給原料は、芳香族炭化水素を含む、メタンより高級な炭化水素を含有することができる。このような高級炭化水素は、脱水素工程からリサイクルされて来るものであり、副原料に加えられる。あるいは、例えばエタンが供給原料の天然ガス中に含有されている場合のように、メタン中に含まれる。
脱水素工程からリサイクルされて来る高級炭化水素は、一般に、単環の芳香族、および/または、パラフィン、および主に6以下、例えば5以下、例えば4以下、典型的には3以下の炭素原子を含む。一般に、脱水素環化工程への供給原料は、5wt%未満、例えば3wt%未満のC+炭化水素を含有する。
<脱水素環化反応>
この発明の脱水素環化工程では、メタンを含有する供給原料を、通常は非酸化条件下、好ましくは還元条件下で、メタンをベンゼン、ナフタレンを含む高級炭化水素に転換できる条件で、脱水素環化触媒に接触させる。
脱水素環化工程に含まれる全反応は、次の通りである。
Figure 0005051924
供給原料中に存在する一酸化炭素、および/または、二酸化炭素は、次のような反応を促進し、触媒の活性と安定性を向上させる。
Figure 0005051924
しかし、全反応に対し逆行する次のような反応を生じ、平衡に影響を与える。
Figure 0005051924
脱水素環化工程に適した条件には、温度が400℃から1200℃、例えば500℃から975℃、例えば、600℃から950℃、圧力が1kPaから1000kPa、例えば10kPaから500kPa、例えば50kPaから200kPa、重量空間速度が0.01から1000時間―1、例えば0.1から500時間―1、例えば1から20時間―1、が含まれる。
好ましくは、脱水素環化工程は非酸化条件下で行われる。
一般に、脱水素環化条件は、原料中のメタンを、芳香族炭化水素、特にベンゼンなどの高級炭化水素に、少なくとも5wt%、例えば7wt%、例えば少なくとも10wt%、例えば少なくとも12wt%、例えば15wt%転換できる条件である。
この発明の脱水素環化触媒には、メタンを芳香族に転換できるものであれば、いかなる触媒でも用いることができる。しかし、一般に、脱水素環化触媒には、金属成分、特に無機担体に担持された遷移金属、またはその化合物が用いられる。金属成分の含有量は、全触媒に対する重量%が0.1%から20%、例えば1%から10%であることが好ましい。一般に、金属成分は触媒中に炭化物の形態で存在する。
触媒に適した金属成分には、カルシウム、マグネシウム、バリウム、イットリウム、ランタン、スカンジウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、インジウム、錫、鉛、ビスマス、超ウラン金属が含まれる。これらの金属成分は元素の状態で存在するか、あるいは、酸化物、カーバイド、窒化物、および/または、リン化物などの金属化合物として存在し、単独または組み合わせて用いられる。白金とオスミウムも金属成分として用いることができるが、一般には好ましくない。
無機材料の担体は、アモルファス、または結晶性であり、特に、ホウ素、アルミニウム、シリコン、リン、チタン、スカンジウム、クロム、バナジウム、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、イリジウム、錫、バリウム、ランタン、ハフニウム、セリウム、タンタル、タングステン、あるいは、その他超ウラン元素の酸化物、カーバイド、または窒化物である。さらに、担体は、ミクロポーラスな結晶性材料、またはメソポーラスな孔質材料である。本願で「ミクロポーラス」というときは、直径が2ナノメートル未満の孔であることを意味し、「メソポーラス」というときは、直径が2から50ナノメートルの孔であることを意味する。
好ましいミクロポーラスな結晶性材料には、シリケート、アルミノシリケート、チタノシリケート、チタノアルミノシリケート、アルミノホスフェート、メタロホスフェート、メタロアルミノホスフェート、シリコアルミノホスフェート、またはこれらの混合物が含まれる。
このようなミクロポーラスな結晶性材料には、骨格の型がMFI(例えば、ZSM−5、TS−I、TS−2と、シリカライト)、MEL(例えば、ZSM−11)、MTW(例えば、ZSM−12)、TON(例えば、ZSM−22)、MTT(例えば、ZSM−23)、FER(例えば、ZSM−35)、MFS(例えば、ZSM−57)、MWW(例えば、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、MCM−36、MCM−49と、MCM−56)、IWR(例えば、ITQ−24)、KFI(例えば、ZK−5)、BEA(例えば、ゼオライトベータ)、ITH(例えば、ITQ−13)、MOR(例えば、モルデナイト)、FAU(例えば、ゼオライトX、Y、超安定化Y と脱アルミ化Y)、LTL(例えば、ゼオライトL)、IWW(例えば、ITQ−22)、VFI(例えば、VPI−5)、AEL(例えば、SAPO−11)、AFI(例えば、ALPO−5) および、AFO(SAPO−41)、さらに、MCM−68、EMM−I、EMM−2、ITQ−23、ITQ−24、ITQ−25、ITQ−26、ETS−2、ETS−10、ETAS−10、ETGS−10、SAPO−17、SAPO−34、およびSAPO−35等の材料が含まれる。好ましいメソポーラス材料には、MCM−41、MCM−48、MCM−50、FSM−16と、SBA−15が含まれる。
好ましい触媒の例には、モリブデン、タングステン,レチウム、および、ZSM−5、シリカ、またはアルミナ上でのこれらの組合せ、および化合物が含まれる。
金属成分は、共沈法、IW(incipient wetness)法、蒸発乾固法、含浸法、スプレイ乾燥法、ゾル−ゲル法、イオン交換法、化学蒸着法、拡散法および物理的混合など、周知の方法で無機担体上に分散される。さらに、無機担体は、例えば、スチーミング、酸洗、苛性洗浄、および/または、含珪素化合物による処理、含リン化合物による処理、および/または、周期律表(IUPAC2005)の1,2,3、および13族の元素または化合物による処理などの、公知の方法で修飾することができる。このような修飾は、担体の表面活性を変え、担体の内部孔構造へのアクセスを妨げ、あるいは促進する。
ある実施形態では、粒子状触媒はさらに、非触媒粒子状物質を有する。非触媒粒子状物質は、(熱)エネルギーを移送する物質として、および/または、要求される流体力学的環境下で要求される空間を満たすための物質として用いられる。
非触媒粒子は、粒子の物理的結合を維持するために、バインダー無しで、あるいはクレイ、シリカ、アルミナ、ジルコニア、その他の金属酸化物のバインダーを用いて粒子形状にされる。好ましくは、粒子は実質的に球形状にされる。非触媒粒子に適した材料の例は、表面積が小さいシリカ、アルミナ、セラミクス、およびシリコンカーバイドである。
脱水素環化工程は、連結された2以上の移動床反応ゾーンを備える反応器系において、メタンを含有する供給原料を粒子状の脱水素環化触媒に接触させて行う。
一般に、各反応ゾーンにおいて供給原料と脱水素環化触媒とを接触させる。供給原料の流れる方向は、脱水素環化触媒の移動方向に対し向流である。
ひとつの実施形態では、反応ゾーンは連結された複数の移動床反応ゾーンからなる。粒子状触媒は一方向に沿って、ひとつの反応ゾーンから隣接する反応ゾーンへ転送され、原料は各反応ゾーンを逆方向に転送される。
ひとつの実施形態では、各移動床反応ゾーンは、空塔速度(U)が固体触媒と非触媒粒子を流動化させるために十分な速度の、流動床反応ゾーンとして操業される。特に、空搭速度が固体触媒と非触媒粒子の最小流動速度(Umf)以上で、かつ、固体粒子床の空隙率を95%未満に維持するために、固体粒子の希釈相空送に必要な速度未満で操業される。一般に、空塔速度は最小流動速度(Umf)の1.01倍以上から、固体粒子床の空隙率を95%未満に維持するために必要な速度の0.99倍の範囲に保たれる。
実際の空塔速度の数値は、粒子の平均半径と、反応器の操業温度と、反応器の操業圧力と、原料組成の関数となる。
例えば、800℃、20psi(138kPa)の操業条件で純粋なメタンが供給される70ミクロンの粒子の場合、許容される空塔速度は、1.3m/秒より大きく2.3m/秒未満である。
例えば800℃、50psi(345kPa)の操業条件で純粋なメタンが供給される500ミクロンの粒子の場合、許容される空塔速度は、4.6m/秒より大きく8.5m/秒未満である。一般に、空塔速度は1m/秒より大きい。
別の実施形態では、反応ゾーンは流動床として操業され、粒子状触媒および/または非触媒粒子の平均粒径は0.01mmから10mm、例えば0.05mmから1mm、例えば0.1mmから0.6mmである。
いくつかの実施形態では、少なくとも90wt%の粒子状触媒および/または非触媒粒子の平均粒径が0.01mmから10mm、例えば0.05mmから1mm、例えば0.1mmから0.6mmである。
いくつかの実施形態では、粒子状触媒と非触媒粒子の流量を分子とし、炭化水素原料の流量を分母とする比率は、1:1から100:1、例えば5:1から60:1、例えば9:1から25:1の範囲である。
いくつかの実施形態では、反応ゾーンは冷壁反応器内にある。金属シェルを製造プロセスの温度より低い温度で操業することは、必要とされる容器の壁の厚みを薄くして容器のコストを下げられるだけでなく、潜在的に低コストの金属合金を用いることを可能にする。
好ましくは、粒子状触媒は反応ゾーンに温度800℃から1200℃で入り、500℃から800℃の温度で出る。粒子状触媒の反応ゾーンを横切る温度差は少なくとも−100℃である。
一般に、炭化水素原料は反応ゾーンに温度500℃から800℃で入り、750℃から1100℃の温度で出る。炭化水素原料が反応ゾーンを通過するときの温度差は、少なくとも+100℃である。
すなわち、この反応器系の温度分布は、炭化水素ガスの出口反応温度よりも、炭化水素ガスの入口反応温度の方が低い、逆温度分布の反応系であることを意味する。温度分布の逆転は、吸熱反応で自然に生じる。
脱水素環化工程からの生成物の主成分は、水素、ベンゼン、ナフタレン、一酸化炭素、エチレン、および未反応のメタンである。
一般に、この生成物は原料よりも少なくとも5wt%、例えば少なくとも10wt%、例えば少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも30wt%より多い芳香族環を含有する。
次いで、例えば溶剤抽出の次に分留を行うことで、ベンゼンとナフタレンを脱水素環化生成物から回収する。しかし、以下に説明するように、回収工程の前にこれらの芳香族化合物の少なくとも一部が、より付加価値の高い、例えばキシレンなどの物質を製造するために、アルキル化工程へ送られる。
<触媒の再加熱>
脱水素環化反応は吸熱反応であり、この反応に熱を供給するため、触媒の第1部分が反応ゾーンから、連続的または間欠的に、より好ましくは連続的に抜き出され、別の場所にある加熱ゾーンへ移送される。ここで触媒の第1部分は、補助燃料源を燃焼させて発生させた熱燃焼ガスと直接接触し、加熱される。次に、触媒の第1部分は反応ゾーンへ送り返される。
一般に、補助燃料源はメタンなどの炭化水素からなり、特に適する燃料源は、製造プロセスの原料に用いられる天然ガスである。
好ましくは、触媒の第1部分を加熱する炭化水素燃料から合成ガスが生じるように、反応ゾーンを酸素が乏しい条件に維持して、生じた合成ガスを追加の炭化水素生成物を生成させるために用いるか、および/または、燃料として用いるようにする。さらに、酸素が乏しい状態にすることにより、脱水素環化触媒中の金属炭化物の酸化が阻害され、スチームの分圧が最小になる結果、触媒の熱水劣化が低減される。
また、別の好ましい補助燃料源は水素であり、特に芳香族化反応の副生成物として生じた水素の一部である。
好ましくは、触媒の第1部分を、加熱ゾーンの燃焼源に直接接触させる。あるいは、加熱ゾーンと分離した燃焼ゾーンで燃料源を燃焼させ、燃焼ゾーンで発生した燃焼ガスを加熱ゾーンへ送り、触媒の第1部分を加熱する。
ひとつの実施形態では、加熱ゾーンは細長く、触媒の第1部分は加熱ゾーンを、加熱ゾーンの一端またはその近傍にある入口から、加熱ゾーンの他端またはその近傍にある出口へ向けて通過し、加熱ゾーンの長さ方向に沿って間隔をおいて配置された複数の場所で触媒の第1部分に熱が加えられる。これにより、触媒の第1部分に加えられる熱は加熱ゾーンの長さ方向に沿って分配されるので、触媒の表面と内部の温度勾配を最小にすることができる。
触媒の第1部分が加熱ゾーンで燃料の燃焼源に直接接触して加熱される場合、実質的に全ての補助燃料源を加熱ゾーンの燃料入口に供給し、加熱ゾーンの長さ方向に沿って間隔をおいて配置された複数の場所に、酸素を含む気体を漸増的に供給することによって、触媒を徐々に加熱することができる。
あるいは、実質的に全ての酸素を含む気体を加熱ゾーンの燃料入口に供給し、加熱ゾーンの長さ方向に沿って間隔をおいて配置された複数の場所に、補助燃料源を漸増的に供給することによって、触媒を徐々に加熱することができる。
触媒の第1部分を、別の場所にある燃焼ゾーンで発生させた熱燃焼ガスに直接接触させて加熱する場合、熱燃焼ガスを、加熱ゾーンの長さ方向に沿って間隔をおいて配置された複数の場所に供給することにより、触媒を徐々に加熱することができる。
ひとつの実施形態では、加熱ゾーンは上昇流反応器で構成され、触媒の第1部分は、再加熱されるとき、上昇流反応器を上方に向かって通過する。好ましくは、加熱ゾーンは並列に配列された複数の上昇流反応器で構成される。あるいは、加熱ゾーンは、触媒の移動床を備える。
一般に、触媒の第1部分が加熱ゾーンに入るときの温度は500℃から900℃であり、加熱ゾーンを出るときの温度は800℃から1000℃である。熱燃焼ガスの温度は一般に1300℃未満であり、好ましくは1100℃未満、より好ましくは1000℃未満で、例えば800℃から1000℃未満の温度範囲である。
一般に、加熱ゾーンは圧力が10から100psia(60から690kPa−a)であり、より好ましくは、15から60psia(103から414kPa−a)である。一般に、触媒の加熱ゾーンでの滞留時間は、0.1から100秒、より好ましくは1から10秒である。
触媒の第1部分を反応ゾーンに再導入する前に、好ましくは加熱ゾーンを通過させた後に、触媒の第1部分を1以上のストリッピング工程に送り、(a)触媒の表面に生じたコークスまたは重質炭化水素、および/または、(b)触媒に吸収された水または酸素の少なくとも一部を除去することが好ましい。
コークスまたは重質炭化水素を除去するストリッピング工程は、触媒の第1部分をスチーム、水素、および/または、COに接触させて行うことが好ましい。水または酸素を除去するストリッピング工程は、触媒の第1部分をメタン、CO、または水素に接触させて行うことが好ましい。
さらに、再加熱工程は、触媒の第1部分に含まれる触媒活性を有する金属成分、特に金属炭化物を酸化することがあるため、再加熱された触媒を反応ゾーンに再導入する前に、浸炭工程で処理することが好ましい。
浸炭工程は、触媒の第1部分をH、CO、CO,および/または、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素と、触媒の第1部分とを接触させて行うことが好ましく、また、水/酸素のストリッピング工程を同時、あるいは別に行うことができる。
好ましくは、再加熱された触媒の浸炭は、以下説明する触媒処理ゾーンで行う。
<触媒の再生>
脱水素環化反応も吸熱性であるため、触媒上にコークスが生成することがあり、脱水素環化触媒の活性を維持するために、反応ゾーンから触媒の第2部分を、間欠的に、あるいはより好ましくは連続的に取り出し、別の場所にある再生ゾーンへ移送することが好ましい。
触媒の第2部分の移送に用いられるガスは、酸素を含むが、好ましくは、空気より酸素含有量が少なく、例えば10wt%未満の酸素含有量、より好ましくは5wt%未満の酸素含有量にする。移送ガスは、触媒の第2部分に由来するコークスの一部を気化させるためにCO、および/または、Hを含み、一方、HOを実質的に含まないことが好ましく、また触媒が酸化されず、再生ゾーンの目標温度以上に加熱されないように、低温(一般に200℃未満)であることが好ましい。
再生ゾーンは、流動床反応器、沸騰床反応器、沈降床反応器、上昇流反応器あるいは、これらの組合せで操業される。再生ゾーンには、例えば複数の並列に配置された上昇流反応器などの、複数の反応器が備えられる。
再生ゾーンは、滞留時間の設計値において除去すべき量のコークスを除去するために必要な最低温度で操業されるべきであり、特に、金属酸化物の蒸散が生じる温度、または触媒の担体が急激に劣化する温度を超えるべきではない.
一般に、再生ゾーンの温度は反応ゾーンの温度より低く、一般に、再生ゾーンの温度は400℃から700℃、例えば550℃から650℃である。再生ゾーンにおける触媒の滞留時間も最小にし、触媒の劣化速度を低減し、触媒が反応器の中に在って有効に機能している時間の割合を最大にする。一般に、触媒粒子の再生ゾーンにおける平均滞留時間は、0.1から100分、より好ましくは1から20分である。
触媒の第1部分が所定時間内に加熱ゾーンへ移送される重量と、触媒の第2部分が同一の所定時間内に再生ゾーンへ移送される重量の比は、約5:1から約100:1の範囲であり、好ましくは約10:1から20:1である。
触媒上のコークスの除去だけでなく、再生ゾーンの酸素を含有するガスは触媒の金属と反応することにより、触媒金属を、脱水素環化に好ましい元素または炭素化された状態から、より活性の低い酸化された状態に変化させる。
さらに、特に担体がゼオライトの場合、再生工程により、触媒の表面にコークスの付着を促す活性サイトが生成する。従って、再生された触媒は、反応ゾーンへ送り返される前に、再生ゾーン、加熱ゾーン、および反応ゾーンから隔離された触媒処理ゾーンへ送られる。触媒は触媒処理ゾーンで、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブテン、ベンゼンおよびナフタレンの内の少なくとも1種の炭化水素を含有する浸炭ガスに接触させられる。浸炭ガスは、CO、CO、H、HOの内の少なくとも1種であり、あるいは他の希釈剤を含んでいてもよい。さらに、再生された触媒を、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブテン、ベンゼンおよびナフタレンから選択される、複数の異なる炭化水素に、順次接触させることが望ましい。
触媒処理ゾーンは、流動床反応器、沸騰床反応器、沈降床反応器、上昇流反応器、あるいは、循環上昇流反応器として操業される。
好ましい実施形態では、触媒処理ゾーンは沈降床反応器で構成される。あるいは、触媒処理ゾーンは、バックミキシングを防止するための内部バッフルを備えた単一の流動床反応器で構成され、または、連続する複数の流動床反応器から成り、隣接する反応器間を再生された触媒が転送されるように構成される。
いかなる場合でも、触媒再生ゾーンは、再生触媒と浸炭ガスが触媒再生ゾーンにおいて向流で接触するように構成される。
いくつかの触媒では、浸炭工程の前に、再生された触媒の部分をHリッチのガスに接触させて、触媒の金属成分の一部または全部を還元しておくことが好ましい。
また、浸炭された触媒をHおよび/またはCOで後処理し、浸炭工程で触媒に付着した過剰な炭素を除去することが好ましい。
浸炭工程の後、触媒の第2部分は反応ゾーンへ送り返され、メタンと接触する。
実用的な実施形態では、脱水素環化工程は連結された複数の流動床反応器で行われ、原料は連続する反応器の最初の反応器に入れられ、加熱された触媒の第1部分、および再生された触媒の第2部分は連続する反応器の最後の反応器へ送られる。
炭化水素の流れと、触媒粒子の流れは、連続する反応器を互いに向流となるように移送される。好ましくは、触媒の第1部分および第2部分は、最初の反応器から取出される。
また別の実施形態では、再生、あるいはコークスの除去は、水素を含有するガスを用いて行われる。
水素を用いる場合の再生条件は、温度600℃から1000℃、例えば700℃から950℃、例えば800℃から900℃である。一般に、水素を含有するガスは顕著な量のメタンなどの炭化水素を含有していてはならず、典型的には、炭化水素の含有量は20モル%未満、例えば10モル%未満、例えば2モル%未満である。
<水素の管理>
水素は脱水素環化生成物の主成分であるため、芳香族成分を回収した後、未反応のメタンを脱水素環化工程へ送り返す前に、供給原料の利用度を最大にし、生成物中の水素含量を減らすために、生成物を水素除去工程へ送る。
一般に、水素除去工程は、脱水素環化生成物中の水素の少なくとも一部を、好ましくは一酸化炭素、および/または、二酸化炭素などの酸素含有化合物と反応させて、水と、最初の脱水素環化生成物と比較して減少した水素含有率の第2の生成物を発生させる。
水素除去工程には好ましくは、(i)メタン化反応、および/またはエタン化反応、(ii)フィッシャー−トロプシュ合成工程、(iii)CからCのアルコール、特にメタノール、およびその他の酸素含有化合物(iv)中間体にメタノールまたはジメチルエーテルを用いる軽質オレフィン、パラフィン、および/または、芳香族の合成工程、および/または、(v)水素の選択的燃焼工程が含まれる。
これらの工程は効率が最大になるように順次行われ、例えばC+成分に富む生成物を得るために最初にフィッシャー−トロプシュ合成工程を行ない、次に高い水素の転化率を得るためにメタン化反応を行うことができる。
一般に、以下に説明するように、水素除去工程では炭化水素が発生し、この場合、副生物の水を除去した後炭化水素の少なくとも一部を脱水素環化工程へ送り返すことができる。
例えば、水素除去工程で発生した炭化水素がパラフィンとオレフィンを含む場合、脱水素環化工程へ送り返される炭化水素には、炭素数が6以下、例えば炭素数が5以下、例えば炭素数が4以下、例えば炭素数が3以下のパラフィンまたはオレフィンが含まれる。水素除去工程で発生した炭化水素が芳香族を含む場合、脱水素環化工程へ送り返される芳香族には、好ましくは単環の芳香族が含まれる。
<メタン化、エタン化>
ひとつの実施形態では、水素除去工程には、以下の式で表される反応が含まれ、脱水素環化生成物中の水素の少なくとも一部と、二酸化炭素とにより、メタン、および/または、エタンが発生する。
Figure 0005051924
用いられる二酸化炭素は、天然ガスの一部、好ましくは脱水素環化工程へ送られる供給原料と同じ天然ガスの一部とすることができる。二酸化炭素がメタンを含む供給流の一部である場合は、供給流のCO:CHを、1:1から0.1:1の範囲に保つことが好ましい。二酸化炭素を含む供給流と脱水素環化生成物の混合は、ガス状の供給原料をジェットエジェクターの入り口に供給することにより行うことができる。
メタンまたはエタンを発生させる水素除去工程は、通常は、目的の反応6または反応7に要求される化学量論比に近いH:COモル比を用いる。しかし、二酸化炭素を含有する第2の生成物、または水素を含有する第2の生成物を発生させたい場合には、化学量論比から少しずらすことができる。
メタンまたはエタンを発生させる水素除去工程は、金属成分、特に遷移金属またはその化合物を含む2機能性で、無機担体に担持された触媒の存在下で行なうことができる。適切な金属成分には、銅、鉄、バナジウム、クロム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、タングステン、イリジウム、白金、金、ガリウムと、これらの組合せ、および化合物が含まれる。
無機担体は、シリカ、アルミナ、またはシリカ−アルミナなどのアモルファス材料であり、脱水素環化触媒で挙げられたものなどである。さらに、無機担体は、ミクロポーラス、またはメソポーラスな結晶性の材料でもよい。適切なポーラスな結晶性の材料には、脱水素環化触媒に挙げられたアルミノシリケート、アルミノホスフェートや、シリコアルミノホスフェートが含まれる。
メタンおよび/またはエタンを発生させる水素除去工程は、温度が約100℃から約900℃、例えば温度約150℃から約500℃、例えば温度約200℃から約400℃、圧力が約200kPaから約20000kPa、約500kPaから約5000kPa、重量空間速度が約0.1時間−1から約10000時間−1、約1時間−1から約1000時間−1の広い範囲で操業することができる。
二酸化炭素の転化率は、一般に、20から100%の間で、好ましくは90%を超え、例えば99%を超える。この吸熱性反応は、複数の触媒床で行われ、触媒床間で除熱され、さらに、上流側の触媒床は反応速度を大きくするため高温で操業され、下流側の触媒床は熱力学的転化率を大きくするため低温で操業される。
この反応の主な生成物は、水と、H:COのモル比により、メタン、エタン、と高級アルカン、さらに不飽和Cと高級炭化水素である。さらに、二酸化炭素の一部が水素化されて一酸化炭素が生じることが好ましい。水を除去した後、メタン、一酸化炭素、未反応の二酸化炭素と高級炭化水素を、脱水素環化工程に直接供給し、さらに芳香族化合物を生成させることができる。
<フィッシャー−トロプシュ合成工程>
別の実施形態では、水素除去工程は、フィッシャー−トロプシュ合成により、脱水素環化生成物中の水素の少なくとも一部を一酸化炭素と反応させて、CからCのパラフィンとオレフィンを生成させる反応を含む。
フィッシャー−トロプシュ合成工程はよく知られており、例えば、本願に参照として組み込まれる米国特許第5348982号、第5545674号が参照される。
この製造プロセスには水素と一酸化炭素の反応が含まれ、モル比が約0.5:1から4:1、好ましくは約1.5:1から2.5:1、温度が約175℃から約400℃、好ましくは約180℃から約240℃、圧力が約1から約100バール(100から10000kPa)、好ましくは約10から約40バール(1000から4000kPa)と、一般に、担持され、または担持されていない第VIII族、Fe、Ni、Ru、Coなどの非貴金属、ルテニウム、レチウム、ハフニウム、ジルコニウム、チタンなどの促進剤を含有または含有しないフィッシャー−トロプシュ触媒が存在する条件で行われる。
担体が用いられるときは、耐火性の、例えば第IVB族の金属、すなわち、チタン、ジルコニウムの金属酸化物、またはシリカ、アルミナ、またはシリカ−アルミナを用いることができる。
ひとつの実施形態では、この触媒は、例えばコバルトまたはルテニウム、好ましくはコバルトを含む非シフト触媒であり、レニウムまたはジルコニウムを促進剤として有し、好ましくは、コバルトとレニウムがシリカまたは酸化チタン、好ましくは酸化チタンに担持されている。
別の実施形態では、炭化水素合成触媒は、ZSM−5上のCu、Cu/Zn,または、Cr/Znなどの金属を含み、この製造プロセスは大量の単環の芳香族炭化水素を生成するように操業される。
このような製造プロセスの例は、Jose Erenaの「Study of Physical Mixtures of Cr‐ZnO and ZSM−5 Catalysts for the Transformation of Syngas into Liquid Hydrocarbons」; Ind. Eng. Chem Res. 1998年, 37, 1211−1219ページに記載されており、本願に参照として組み込まれる。
フィッシャー−トロプシュ液、すなわち、C+は回収され、軽いガス、例えば未反応の水素、CからCまたはCの成分および水は、より重い炭化水素から分離される。より重い炭化水素は製品として回収されるか、あるいは、さらに芳香族生成物を発生させるために脱水素環化工程に送られる。
フィッシャー−トロプシュ反応に必要な一酸化炭素は、全部または一部がメタンを含有する供給原料中にあるか、供給原料とともに供給され、脱水素環化工程で副生物として発生する。必要であれば、追加の一酸化炭素を、二酸化炭素を含有するガス、例えば天然ガスをシフト触媒に供給し、次に示す逆水性ガスシフト反応により一酸化炭素を発生させることができる。
Figure 0005051924
および次の反応
Figure 0005051924
<アルコール合成>
さらに別の実施形態では、水素除去工程には、脱水素環化生成物中の少なくとも一部と、一酸化炭素とによりC1からC3のアルコール、特にメタノールを生成させる反応が含まれる。
メタノールや他の酸素含有化合物を合成ガスから製造することはよく知られており、例えば、米国特許第6114279号、第6054497号、第5767039号、第5045520号、第5254520号、第5610202号、第4666945号、第4455394号、第4565803号、第5385949号に開示されており、本願に参照として取り込まれる。
一般に、用いられる合成ガスは、水素(H)と炭素の酸化物(CO + CO)のモル比が、約0.5:1から約20:1の範囲、好ましくは2:1から約10:1の範囲であり、任意に二酸化炭素が全合成ガスの重量に対し、好ましくは50%を超えない量で存在する。
メタノール合成工程に用いられる触媒は、銅、銀、亜鉛、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ガリウム、パラジウム、オスミウムおよびジルコニウムから成るグループから選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含有する。
この触媒は、酸化銅のような、銅がベースの触媒であり、任意に、銀、亜鉛、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ガリウム、パラジウム、オスミウム、およびジルコニウムから成るグループから選択される、少なくとも1つの元素の酸化物が存在することが好ましい。この触媒は、酸化銅を含有し、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、クロム、およびジルコニウムから成るグループから選択される、少なくとも1つの元素の酸化物が存在することが好ましい。
ひとつの実施形態では、メタノール合成触媒は、酸化銅、酸化亜鉛、および酸化アルミニウムから成るグループから選択される。より好ましくは、この触媒には銅と亜鉛の酸化物が含まれる。
メタノール合成は、広い温度および圧力範囲で行うことができる。適切な温度は、約150℃から約450℃、例えば約175℃から約350℃、例えば約200℃から約300℃の範囲である。適切な圧力は、約1500kPaから約12500kPa、例えば約2000kPaから約10000kPa、例えば約2500kPaから約7500kPaの範囲である。
重量空間速度は、用いられる製造プロセスにより異なるが、一般に、触媒床を通過するガスの重量空間速度は、約50時間−1から約50000時間−1、例えば約250時間−1から約25000時間−1、より好ましくは約500時間−1から約10000時間−1の範囲である。
この吸熱反応は、複数の触媒床と触媒床間での除熱を備える固定床または流動床で行うことができ、さらに、上流側の触媒床は反応速度を大きくするため高温で操業され、下流側の触媒床は熱力学的転化率を大きくするため低温で操業される。
生成するメタノール、および/またはその他の酸素含有化合物は別の製品として販売することができ、また、脱水素環化工程で生成した芳香族化合物のアルキル化に用いてキシレンなどにし、付加価値を高めることができる。
また、特にエチレンとプロピレンなどの低級オレフィンの製造用の供給原料に用いることができる。メタノールからオレフィンへの転化はよく知られた製造プロセスであり、例えば米国特許第4499327号に開示されており、本願に参照として組み込まれる。
<水素の選択的燃焼>
また別の実施形態では、水素除去工程には、水素の選択的燃焼が含まれ、これは、水素を含む生成物を酸素と反応させ、かつ、生成物中の炭化水素が酸素と反応して一酸化炭素、二酸化炭素、および/または、酸化された炭化水素が発生しないようにして、水またはスチームを生成させる工程である。
一般に、水素の選択的燃焼は、酸素の一部を水素に放出する金属酸化物などの、酸素を含む物質の存在下で行われる。
適切な水素の選択的燃焼方法は、本願に参照として組み込まれる米国特許第5430210号に開示されており、反応条件化で炭化水素と水素を含む第1ストリームと、酸素を含む第2ストリームとを、酸素を含まないガスを浸透させない膜を隔てて接触させるものであり、この膜は水素を選択的に燃焼させる金属酸化物からなり、水素の選択的燃焼で生じた生成物を回収する。一般に、金属酸化物は、ビスマス、インジウム、アンチモニー、タリウム、および/または、亜鉛の金属酸化物の混合物である。
本願に参照として組み込まれる米国特許第5527979号には、触媒酸化によりアルカンを脱水素して、アルケンを製造する方法が開示されている。
この方法では、アルカンの脱水素によるアルケンの生成の反応平衡と、脱水素で生じた水素の選択的燃焼の反応平衡とが同時に生じ、脱水素反応の平衡をさらにアルケンが生じる方向へずらす。特に、アルカン供給原料は、第1反応器において、平衡脱水素触媒上で脱水素され、第1反応器からの酸素を随伴する生成物は、水素の選択的燃焼の選択的触媒として用いられる金属酸化物が備えられた、第2反応器へ送られる。
平衡脱水素触媒は白金と、ビスマス、アンチモニー、インジウム、亜鉛、タリウム、鉛、およびテルルまたはこれらの混合物などの金属酸化物の選択的燃焼触媒を含有する。
本願に参照として組み込まれる2004年8月5日出願の米国特許公開公報第2004/0152586号には、クラッキング反応器からの生成物中の水素含有量を低減させる方法が開示されている。
この方法では、(1)少なくとも1つの酸性固体クラッキング触媒と(2)少なくとも1つの金属を含む選択的水素燃焼成分を用いており、選択的水素燃焼成分は、
(a)以下のi)からiv)からなるグループから選択される金属の組み合わせと、
i)少なくとも1つの周期律表の第3族金属と、少なくとも1つの周期律表の第4−15族金属と;
ii)少なくとも1つの周期律表の第5−15族金属と、少なくとも1つの周期律表の第1,2、および4族金属と;
iii) 少なくとも1つの周期律表の第1,2族金属と、少なくとも1つの周期律表の第3族金属と、少なくとも1つの周期律表の第4−15族金属と;
iv)2以上の周期律表の第4−15族金属。
(b)少なくとも酸素と硫黄のいずれかを含み、前記酸素と硫黄のいずれかは、それ自体の結合と金属との結合の両者を含むものである。
この発明の水素の選択的燃焼反応は、一般に、温度が300℃から850℃の範囲、圧力が1atmから20atm(100から2000fcPa)の範囲で行われる。
<芳香族生成物の回収、処理>
脱水素環化工程の主生成物はベンゼンとナフタレンである。これらの生成物は、一般に溶剤抽出した後に分留して脱水素環化生成物から分離され、直接汎用化学品として販売される。あるいは、ベンゼンとナフタレンの一部または全部はアルキル化され、例えば、トルエン、キシレン、アルキルナフタレン、および/または、水素化されて、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジヒドロナフタレン(ベンジルシクロヘキサン)、テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、ヘキサヒドロナフタレン(ジシクロヘキサン)、オクタヒドロナフタレン、および/または、デカヒドロナフタレン(デカリン)が製造される。
<芳香族のアルキル化>
ベンゼンやナフタレンなどの芳香族のアルキル化は周知であり、一般に、酸性触媒の存在下で、オレフィン、ハロゲン化アルキルのアルコールと、気相または液相の芳香族種とを反応させて行う。適切な酸性触媒には、中孔径のゼオライト(すなわち、米国特許第4016218号に示されたコンストレイントインデックス(Constraint Index)が2から12のもの)であって、骨格がMFI型(例えばZSM−5やシリカ)、MEL型(例えばZSM−Il)、MTW型(例えばZSM−12)、TON型(例えばZSM−22)、MTT型(例えばZSM−23)、MFS型(例えばZSM−57)、およびFER型(例えばZSM−35)および、ZSM−48型、また、大孔径のゼオライト(すなわち、コンストレイントインデックスが2未満のもの)であって、例えば、骨格がBEA型(例えばゼオライトベ−タ)、FAU型(例えばZSM−3、ZSM−20、ゼオライトX、Y、 超安定化Yと脱アルミ化Y)、MOR型(例えばモルデナイト)、MAZ型(例えばZSM−4)、MEI型(例えばZSM−18)およびMWW型(例えばMCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−I、ITQ−I、ITQ−2、MCM−36、MCM−49およびMCM−56)のものが含まれる。
この発明のひとつの実施形態では、ベンゼンは脱水素環化生成物から回収され、エタン化/メタン化を行う水素除去工程の副生物として得られたエチレンなどのオレフィンでアルキル化される。一般に、気相中でエチレンによりベンゼンのアルキル化を行う反応条件は、温度が華氏650度から900度(343から482℃、圧力がほぼ大気圧から3000psig(100から20800kPa)、エチレン基準の重量空間速度が0.5時間−1から2.0時間−1、ベンゼン:エチレンのモル比が1:1から30:1.である。
液相中でベンゼンをエチレンでアルキル化するときの反応条件は、温度が華氏300度から650度(150から340℃)、圧力が最大3000psig(20800kPa)、エチレン基準の重量空間速度が0.1時間−1から20時間−1、ベンゼン:エチレンのモル比が1:1から30:1.である。
ベンゼンのエチル化は、少なくとも一部が液相の状態で行い、触媒には、ゼオライトベータ、ゼオライトY、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−13、ZSM−5、MCM−36、MCM−49およびMCM−56の内の、少なくともいずれか1つを用いることが好ましい。
ベンゼンのエチル化は、脱水素環化/水素除去工程製造プロセスの工場で行うことができ、あるいは、ベンゼンを別の場所へ輸送してエチルベンゼンに転化することもできる。得られたエチルベンゼンは販売され、あるいは、例えばスチレンの製造や、公知の方法による混合キシレンの製造の前駆体に用いられる。
この発明の方法の別の実施形態では、アルキル化剤はメタノールまたはジメチルエーテル(DME)であり、脱水素環化生成物から回収されたアルキル化されたベンゼン、および/または、ナフタレンに適用され、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、および/または、ジメチルナフタレンの製造に用いられる。メタノールまたはジメチルエーテルをベンゼンのアルキル化に適用する場合、2,2ジメチルブタンの圧力60torr(8kPa)、温度120℃で測定した2,2ジメチルブタンに対する拡散係数が0.1から15秒−1になるような条件で、スチーミングにより改質処理されたZSM−5、ゼオライトベータ、ITQ−13、MCM−22、MCM−49、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48などのゼオライトを含む触媒の存在下で行うことができる。このような方法はパラ−キシレンの製造に対する選択性があり、本願に参照として組み込まれる米国特許第6504272号に開示されている。
メタノールをベンゼンのアルキル化に用いる場合、ZSM−5、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−13、MCM−36、MCM−49、またはMCM−56からなる触媒を用いて行なうことができる。このような方法は2,6−ジメチルナフタレンの製造に対する選択性があり、例えば、本願に参照として組み込まれる米国特許第4795847号、第5001295号に開示されている。
この発明の方法で、メタノールまたはDMEをアルキル化剤に用いる場合、別の供給源から供給するか、あるいは、その少なくとも一部を、脱水素環化工程からの生成物の一部または全部に、二酸化炭素を含有する天然ガスなどの供給ガスを添加して、その場で生成させることができる。特に、芳香族成分を分離する前に、脱水素環化生成物を逆シフト反応器へ送り、生成物中の一酸化炭素濃度が高くなるような条件下で、例えば前述の反応5,8のようにして、二酸化炭素を含有する供給ガスと反応させる。
さらに、メタンと二酸化炭素、および/または、スチームを逆シフト反応器へ送って合成ガスを発生させ、この合成ガスを脱水素環化反応の生成物の一部に混合して、アルキル化反応で要求されるH/CO/COモル比に調整する。
一般に、逆シフト反応器は、遷移金属が担体に担持された触媒、例えばFe、Ni、Cr、Zn、アルミナが、シリカ、酸化チタンに担持された触媒を備え、温度が500℃から1200℃の範囲、例えば温度が600℃から1000℃の範囲、例えば温度が700℃から950℃の範囲、圧力が1kPaから10000kPaの範囲、例えば2000kPaから10000kPaの範囲、例えば3000kPaから5000kPaの範囲で行なわれる。
容積空間速度は使用する製造プロセスにより異なるが、一般に、触媒を通過するガスの容積空間速度は、50時間−1から50000時間−1、例えば250時間−1から25000時間−1、より好ましくは500時間−1から10000時間−1である。
逆シフト反応器からの生成物は、次に下記の反応が生じる条件で操業されるアルキル化反応器へ送られる。
Figure 0005051924
アルキル化反応器の適切な反応条件には、温度が100℃から700℃の範囲、圧力が1から300気圧(100から30000kPa)、および、芳香族炭化水素の重量空間速度が0.01時間−1から100時間−1が含まれる。
適切な触媒はコンストレイントインデックスが1から12の、ZSM−5などのモレキュラーシーブを含み、一般に、銅、 クロム、および/または、酸化亜鉛などの1以上の金属成分または金属酸化物が併用される。
アルキル化触媒がモレキュラーシーブを含むときは、反応11で発生するキシレン異性体の主成分がパラキシレンになるように、モレキュラーシーブの拡散性を改質する。
拡散性の改質に適した方法には、スチーミングや、反応器内または反応器外で、シリコン化合物、コークス、MgO、などの金属酸化物、および/またはPを、モレキュラーシーブの表面または開口部に堆積させる方法などである。また、活性金属をモレキュラーシーブに組み入れて、より反応性の高い化学種、例えばオレフィンを飽和させることが好ましい。オレフィンは、副生物として生じるものであり、触媒の不活性化を起こす。
アルキル化反応器からの生成物は分離セクションへ移送され、ここで芳香族生成物は、好ましくは溶剤抽出法により、水素やその他の低分子量から分離される。
次に、芳香族生成物は、ベンゼン留分、トルエン留分、C留分、ナフタレンやアルキル化されたナフタレンを含む重質分留分に分留される。
次に、C芳香族留分は、結晶化、または吸着製造プロセスへ送られ、価値のあるパラ−キシレンを分離し、残余の混合キシレンは販売されるか、さらにパラ−キシレンを製造するために、異性化ループへ送られる。トルエン留分は販売されるか、アルキル化反応器へ送り返されるか、あるいはトルエン不均化装置、好ましくは追加のパラ−キシレン製造の準備のための選択的トルエン不均化装置へ送られる。
<芳香族の水素付加>
アルキル化工程に加え、あるいはアルキル化工程に代えて、脱水素環化生成物中の芳香族化合物の少なくとも一部が水素化されて、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジヒドロナフタレン(ベンジルシクロヘキサン)、テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、ヘキサヒドロナフタレン(ジシクロヘキサン)、オクタヒドロナフタレン、および/または、デカヒドロナフタレン(デカリン)が製造される。これらの生成物は、燃料や中間体に用いられ、テトラリンとデカリンについては、脱水素環化工程の生成物から芳香族化合物を抽出するときの溶剤に用いられる。
水素化は、脱水素環化生成物の分離処理をした後に、脱水素環化反応で生じた水素の一部を用いて行なわれるが、必ずしも必要ではない。
水素化方法は公知であり、一般に、アルミナまたはシリカ担体に担持されたNi、Pd、Pt、Ni/Mo、または硫化Ni/Mo触媒が用いられる。水素化方法の一般的操業条件は、温度が華氏約300から約1000度(150から540℃)、例えば華氏500から700度(260から370℃)の範囲、圧力が50から2000psig(445から13890kPa)、例えば100から500psig(790から3550kPa)の範囲、重量空間速度が0.5時間−1から50時間−1、例えば2時間−1から10時間−1の範囲で行なわれる。
炭素−炭素間の二重結合の一部を残す部分水素化も、ポリマー重合やその他の下流での化学反応用の物質を製造するために望ましい。部分水素化方法は公知であり、一般に、貴金属、好ましくはルテニウムを含み、La‐ZnOなどの金属酸化物に担持された触媒を用いて行なわれる。均一な貴金属触媒も使用することができる。
部分水素化の例は、本願に参照として組み込まれる米国特許第4678861号、第4734536号、第5457251号、第5656761号、第5969202号、および第5973218号に開示されている。
別の水素化方法には、アルキルベンゼンを製造するためのナフタレンの低圧下でのクラッキングが含まれ、アモルファスなアルミノシリケート、または、ゼオライトX、ゼオライトY、またはゼオライトベータなどのゼオライトに担持された、硫化Ni/Wまたは硫化Ni触媒を用いて行なわれる。
ナフタレンの低圧下でのクラッキングの適切な反応条件には、温度が華氏300から1000度(150から540℃)、例えば華氏500から700度(260から370℃)の範囲、圧力が50から2000psig(445から13890kPa)、例えば100から500psig(790から3550kPa)の範囲、重量空間速度が0.5時間−1から50時間−1、例えば2時間−1から10時間−1の範囲で行なわれる。
この発明について、添付図面と以下の非限定的実施例により詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る、メタンを芳香族に転換する脱水素環化反応系の概略を表す図である。この実施形態の脱水素環化反応器は、2基の連結された移動床反応器11,12を備える。この反応器では、粒子状触媒はひとつの反応器から隣接する反応器へ向けて一方向に送られ、一方、供給原料は反応器間を逆方向に送られる。
加熱された触媒が、ライン13から反応器11の上部近傍に設けられた入口へ送られ、次いで、温度が下がった触媒が、反応器11の底部近傍に設けられた出口14から入口15を経て、反応器12に送られる。触媒は、反応器12の底部近傍に設けられた出口から、ライン16を経て反応器12の外へ送られる。
メタン供給17は、ライン17を経て反応器12の底部近傍に供給される。反応生成物と未反応のメタンは、反応器12の上部近傍に設けられた出口18から流出し、ライン18を経て、反応器11の底部近傍の入口から反応器11へ供給される。
最終生成物は、反応器11から、反応器11上部近傍に設けられた出口からライン20を経て、回収される。
一般に、加熱された触媒は反応器11に温度約850℃で供給され、温度が下がった触媒は、温度約600℃で反応器11から送り出される。
図1には、容器毎に分離されたゾーンを図示しているが、2つのゾーンは、1つの容器内に、適切な分離体により2つのゾーンが画成されるようにして形成してもよい。当業者であれば、反応系は2つ以上の転送移動床、例えば3つ,4つ,または5つの連結された転送移動床の反応器またはゾーンでもよいことが理解できるであろう。
当業者であれば、本願の実施形態には、すべての可能性のある装置または製造プロセスの変形例が記載されていないことが理解できるであろう。さらに、工業的、商業的、または実験的目的のためには、多くの設備、装置または製造プロセスの構成要素が必要である。
これらの設備、装置または製造プロセスの構成要素の非限定的例は、蒸留カラム、分留カラム、熱交換器、ポンプ、バルブ、圧力計、温度計、気液分離装置、原料および生成物の乾燥および/または処理装置、クレイ処理装置、原料および生成物の貯蔵設備、製造プロセス制御製造プロセスおよびステップなどである。
本願の要旨を理解するために不要な設備、装置またはステップは図示していないが、この発明の種々の側面を説明するために、これらに言及することがある。また、これらの装置は、製造プロセスの状況によっては、異なる場所に設けられることがある。
以下の例は、本願の製造プロセスの2つの下記の有益な効果を説明するためのものである。
(a)改善された生成物選択性:コークスの生成の減少と、高付加価値製品(ベンゼン、トルエン、およびナフタレン)の増加。コークスの選択性が低下することにより、2つの効果が得られる:原料の利用率の向上と、触媒の不活性化速度の低下。
(b)触媒の循環速度が低下することにより、触媒の損耗率が低下するとともに、反応器、反応器の内壁、配管、その他の設備の磨耗率が低下する。
<実施例1>
予め湿潤させたNHZSM−5担体(Si/Al比28)にアンモニウムヘプタモリブデート(ammonium heptamolybdate)溶液を含浸させて、Mo/ZSM−5触媒を調製した。次に、120℃で2時間乾燥させ、最後に空気を流通させながら500℃で6時間焼成した。モリブデンの名目上の担持率の目標は2.7wt%(触媒の全重量に対する金属のwt%)であった。しかし、モリブデン担持率の微小な目標からのズレは、得られる結果に影響しない。
各Mo/ZSM−5触媒の試料(焼成後)をペレット化し、粉砕して粒径30〜60メッシュに篩分けた。
Mo/ZSM−5触媒の触媒性能試験は、石英ウールを用いて、固定床を形成するようにした石英反応器中で行った。
メタンをベンゼンに転化する脱水素環化反応における触媒の性能試験を、メタン95wt%とアルゴン5wt%を含む原料を用い(アルゴンは内部標準として用いた)、重量空間速度(メタン基準)を1.2hr−1として、種々の温度条件で行った。
全ての試験データは、138kPa−a(20psia)で採取し、数理的モデル化はこの圧力を用いて行った。反応生成物の分析は、質量分析器とガスクロマトグラフィーを用い、メタン、ベンゼン、トルエン、エチレン、ナフタレン、水素、およびアルゴンの濃度を分析して行った。
触媒上へのコークス(すなわち、触媒表面から蒸散しない重質の炭素性付着物)の付着速度は、炭素の物質収支から求めた。
さらに、2つの温度水準(750℃と800℃)で、それぞれ原料に水素を6モル%と20モル%添加して、追加のデータを採取した。
これらの実施例において、試験データをSelBTNとSelCokeの2つの値に集約した。
SelBTNは、炭素原子を基準とした平均選択率であり、ベンゼン、トルエン、およびナフタレンを含む生成物中の炭素の総モル数を、反応に供されたメタン中に含まれる炭素のモル数で割った値と定義される。
SelCokeは、炭素原子を基準とした平均選択率であり、反応器中に残存する炭素の総モル数を、反応に供されたメタン中に含まれる炭素のモル数で割った値と定義される。
SelBTNとSelCokeの合計は、100%にはならない。これは、エチレンを主成分とする、他の微量生成物が発生するためである。
熱力学的転化率の正確な実験値を求めることは困難であるが、CONVBL値を求めるために、市販のシミュレーション用ソフトウエア(PROII/6.0、Copyright2003、Invensys Systems Inc社)を利用した。
CONVBL値は、所与の温度と圧力138kPa−a(20 psia)において、メタンをベンゼンおよび水素へ転化する際の、熱力学的に達成可能な最大の転化率と定義される(すなわち、コークス、ナフタレン、エチレンなどの他の副生成物は生じないように、反応をメタンから水素およびベンゼンへの転化反応のみに限定した)。
試験結果と、数理的モデル化の結果を表1に示す。
Figure 0005051924
選択性と転化率の値は、触媒組成の違い、添加副原料(CO、CO、HO、H、O、エタン、プロパンなど)の使用、操業圧力の違い、および/または空間速度の違いにより変化することが理解できよう。
しかし、本願の製造プロセスで得られる改良の程度は異なっても、改良の方向性は同様である。
さらに、以下説明する数理モデル化の計算の前提として、反応器へ供給されるメタンは常に同じ温度(600℃)まで予熱されると仮定し、すべての場合において、メタンの名目上の供給速度を100kg/時間とした。
また、移動床反応器系に供給される触媒の温度が、850℃で一定に保たれると仮定した。この温度を保つために必要な触媒の量を、各反応器の構成毎に、計算により求めた。すなわち、触媒の量は、加熱された触媒は供給原料を600℃から800℃まで加熱するために必要なエネルギーの100%を供給し、さらに、吸熱反応に必要なエネルギーの100%を供給するものとして計算した。
簡素化のため、触媒の熱伝導率、熱拡散率、表面放射率は一定であると仮定した。
表2に、計算に用いた物理定数と触媒の物性値を示した。
Figure 0005051924
種々の反応器の構成についてのモデル化を行なうために、前記のデータ値に最も適合する多項式により、SelBTN、SelCoke、及びConvBLに関する式を求めた。
これらの式を計算により求めるとき、供給原料にHが含まれている場合のデータは使用しなかった。
得られた式とR値を以下に示す。
式1
Figure 0005051924
ここで、Tは温度(℃)であり、すべての例について、R値は、y値の計算値と実測値を比較する決定係数であり、0から1の範囲の数値である。R値が1のとき、試料は完全に相関している、すなわち、y値の計算値と実測値に差が無い。これとは逆に、決定係数が0の場合、回帰式はy値の予測に全く役立たない。
式2
Figure 0005051924
この式では、
式3
Figure 0005051924
ここで、SSは二乗和、SSは回帰変動、SSは誤差二乗和である。
BTNはSelBTNの相関を求めるときの決定係数、
CokeはSelCokeの相関を求めるときの決定係数、
BLはConvBLの相関を求めるときの決定係数である。
これらの式を用いて、種々の反応器の構成により得られる収率を計算した。ここで、YieldBTNは、反応器系内の温度分布に関し積分したSelBTN×ConvBLとし、YieldCokeは、反応器系内の温度分布に関し積分したSelCoke×ConvBLとした。
表1から明らかなように、本願発明の場合、副生成物のHにより反応選択性が改善される。しかし、これらの式では、従来の予測値に対し、本願で得られる改善効果のレベルが評価できるように、選択性の改善効果を除外した。
<移送または上昇流反応器(比較例)>
前記の式を用いると、メタンが600℃、名目供給速度100(kg/時間)で供給され、断熱され漸減する温度分布を有する移送または上昇流反応器の入口温度が850℃の場合、出口温度を800℃に保つために必要な触媒の循環量は3211(kg/時間)であった。
以下の収率と選択性が、計算により求められた。
SelBTN=51%
SelCoke=40%
YieldBTN=12%
YieldCoke= 8.9%
ΔTReaction=−50℃(マイナス50℃)
ΔTCatalyst=−50℃(マイナス50℃)

ここで、ΔTReactionは、生成物の出口温度(すなわち炭化水素製品が反応器系を出る直前に触媒反応が生じる最後の温度)から、炭化水素供給原料の入口温度(すなわち、炭化水素供給原料が反応器系に入った直後に、触媒反応が生じる最初の温度)を引いた値であり、ΔTCatalystは、供給された触媒の温度から、反応器から出る触媒の温度を引いた値である。
<固定床反応器(比較例)>
比較例の固定床反応器の数理モデル化計算の結果は、移送または上昇流反応器よりも劣る結果を示した。これは、固定床の場合、反応の全熱量がメタンを含有する流体から供給される必要があるためである(反応ゾーンに熱を供給するための、移動する触媒は用いなかった)。
従って、固定床反応器では、メタンを含有する流体を所望の出口温度である800℃よりはるかに高い温度まで加熱する必要があり、このため、大きなΔT値となった。すなわち、ΔT値は−60℃以下の負の値であった。
<転送流動床(2つの流動床)>
図1に図示したものと同様、この実施例は2つの転送流動床に係る。
転送流動床とは、異なる温度で操業される2以上の反応ステージまたは反応ゾーンであって、粒子状触媒が1つのステージから次のステージへ移動し、炭化水素のガスが、触媒の移動とは逆方向に、1つのステージから次のステージへ移動するものを意味する。
2つの触媒転送流動床のシミュレーションでは、1番目の流動床の温度が731℃、2番目の流動床の温度が800℃で、触媒の循環速度は1367kg/hrまで減少し、反応結果が以下のように改善されることが示された。
SelBTN=81%
SelCoke=13%
YieldBTN=18%
YieldCoke= 2.8%
ΔTReaction=+69℃
ΔTCatalyst=−119℃(マイナス119℃)
<転送流動床(3つの流動床)>
3つの流動床のシミュレーションでは、1番目の流動床の温度が690℃、2番目の流動床の温度が753℃、3番目の流動床の温度が800℃で、触媒の循環速度は1020kg/hrまで減少し、反応結果が以下のように改善されることが示された。
SelBTN=85%
SelCoke=10%
YieldBTN=19%
YieldCoke= 2.2%
ΔTReaction=+110℃
ΔTCatalyst=−160℃(マイナス160℃)
<転送流動床(4つの流動床)>
4つの流動床のシミュレーションでは、1番目の流動床の温度が669℃、2番目の流動床の温度が723℃、3番目の流動床の温度が762℃、4番目の流動床の温度が800℃で、触媒の循環速度は900kg/hrまで減少し、反応結果が以下のように改善されることが示された。
SelBTN=86%
SelCoke=9%
YieldBTN=19%
YieldCoke= 2.0%
ΔTReaction=+131℃
ΔTCatalyst=−181℃(マイナス181℃)
<転送流動床(5つの流動床)>
5つの流動床のシミュレーションでは、1番目の流動床の温度が655℃、2番目の流動床の温度が703℃、3番目の流動床の温度が737℃、4番目の流動床の温度が767℃、5番目の流動床の温度が800℃で、触媒の循環速度は838kg/hrまで減少し、反応結果が以下のように改善されることが示された。
SelBTN=87%
SelCoke=8%
YieldBTN=20%
YieldCoke= 1.8%
ΔTReaction=+145℃
ΔTCatalyst=−195℃(マイナス195℃)
上記の例で説明したように、反応ゾーンが多いほどよい結果が得られる。しかし、反応ゾーン(または反応ステージ)の数が増えるほど、反応系の設備投資額は増加する。最適な反応ゾーン(または反応ステージ)の数は、製造プロセスの経済性に依存する。
<実施例2>
数理モデル化により予想された逆温度分布の優位性を検証するため、実験室スケールの装置を組み立てた。
数理モデルは、転送流動床の反応系を指向しているが、実験室スケールの反応器には、外部加熱器により逆温度分布にされた、触媒の固定床を用いた。
この試験で観察されたすべての転化率は、数理モデルで予測された転化率より低い値であった。これは、実験室スケールの反応器が操作される流体力学的条件下では、流体の固定床のバイパス、および/または、逆流が生じたことによる、実験室スケールの装置に伴う不自然な結果であると考えられる。
Mo/ZSM−5触媒を、MoOとしてMoを7.5wt%(触媒の全重量に対する金属のwt%)と、NHZSM−5(Si/Al比が25)担体とを、2時間ボールミル加工し、次に空気中、500℃で5時間焼成して調製した。この触媒をペレット化した後、粉砕し、篩い分けして、20〜40メッシュの粒径とした。
Mo/ZSM−5触媒の触媒性能試験は、内径7mmで、固定床長さが約18cmの、石英製固定床反応器で行なった。不活性な石英粒子(20〜50メッシュ)を固定床の増量材に用い、すべての固定床長さを同じにした。
メタンをベンゼンに転化する脱水素環化反応における触媒の性能試験を、メタン95wt%とアルゴン5wt%の原料を用い(アルゴンは内部標準として用いた)、重量空間速度(メタン基準)を1.2hr−1として、種々の温度条件で行った。
全ての試験反応のデータは、138kPa−a(20psia)で採取した。反応生成物を質量分析器で分析して、生成物の組成を求めた。
10件の触媒性能試験を行ない、相互に比較した。すべての試験で、触媒の活性化は、メタン15vol%、水素80vol%、アルゴン5vol%のガス中で、5℃/分で800℃まで昇温し30分間保持することにより行なった。次いで、触媒のエージングを、反応と再生を5サイクル繰り返すことにより行なった(10件の試験全てに共通)。
このサイクル中の反応は、メタン95vol%、アルゴン5vol%の供給原料中で、800℃、メタン基準の重量空間速度1.4hr−1で、20分間行なった。
このサイクルにおける再生は、供給原料を水素に切り替え、触媒を850℃で10分間加熱し、次に800℃まで冷却して行った(水素に接触させた時間は14分間であった)。
10件の試験の相違点は、メタン95vol%、アルゴン5vol%中で4時間行われた6番目の反応サイクルの条件である。6番目の反応サイクルの条件は、異なる重量空間速度において、触媒床の温度の影響を比較できるように設定した。
具体的には、試験1〜5は、触媒床の温度条件を800℃で一定に保ち、WHSV値を0.25から8hr−1の範囲で変更して行なった。これに対し、試験6〜10は、前記と同じWHSV値の範囲で、温度が、原料入口の650℃から生成物出口の800℃まで、直線的に変化する(逆温度分布)条件で行なった。
表3に、10件の試験の、6番目の反応サイクルにおける触媒性能試験結果を示す。
表3の結果は、逆温度分布で操業した場合、ほとんどの空間速度で、相対的に短い操業時間での選択性が向上し、相対的に長い操業時間では、ベンゼンに対する選択性が安定して長時間持続することを示している。
Figure 0005051924
これらの試験から明らかなように、この製造プロセスは、以下の(a)(b)により、メタンから高級炭化水素、例えば芳香族化合物への転化を、従来提案されている製造プロセスと比較して、より低減された触媒の劣化と機械的損耗、より改善された操作性、より高い選択性、すなわちより少ないコークスの生成、にて行なうことができる。
(a)吸熱反応で自然に生じる温度分布とは逆の、製造プロセス入口の反応温度の方が製造プロセスガス出口の反応温度より低い逆温度分布下にあり、連結された反応ゾーンで反応を行い、
(b)加熱された触媒が連結された反応器の頂部に導入され、温度が低下した触媒が連結された反応器の底部から取り出されることで、触媒が下方に移動する、連続移動床反応器を用いて逆温度分布を達成する。
供給原料は、連結された反応器の底部に供給され、触媒の移動方向とは逆に、連結された反応器の上方へ向けて移動し、供給原料は製造プロセスガス出口で、触媒の最も温度の高い部分と接触する。
本願に係る製造プロセスは、さらに以下の利点を有する。
(a)逆温度分布により、触媒を高温にさらす時間を最小になることで、触媒の寿命が長くなる。逆温度分布は、吸熱反応で自然に生じる温度分布とは逆の、炭化水素ガス入口の反応温度の方が、製造プロセスガス出口の反応温度より低い反応系である。
(b)逆温度分布により、選択性、および/または転化率が最大になる。
(c)供給原料が、より低温でコークスが付着した触媒に先ず接触する逆温度分布により、コークスの生成を増加させることなく、より反応性の高い化学種(C2+)を供給できる等、操業のフレキシビリティが増す。
(d)最も温度が高い触媒を、水素リッチな環境に保つことが可能になり、加熱および/または再生された触媒上でのコークスの生成速度が低減される。
(e)製造プロセスガスを反応器入口から出口にかけて加熱するために必要な熱、および加熱された触媒に製造プロセスガスを直接接触させ吸熱反応を生じさせるために必要な熱の50%以上、好ましくは約100%を供給することにより、供給原料を予備加熱する必要性と、熱移動表面でのコークスの生成が最小になる。
(f)金属学上の課題が軽減される。
(g)触媒を連続して供給することで、触媒の劣化が相殺される。
(h)触媒循環の必要性を低減することにより、(向流熱交換器のように)エネルギー効率が改善され、関連する機器のサイズと触媒の損耗が低減される。および/または、
(i)取り出される触媒に随伴する生成物の量が最小になる。
この発明について特定の実施形態により説明したが、当業者であれば、この発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能なことが分かるであろう。従って、特許請求の範囲を実施例や記載内容に限定することは意図されておらず、むしろ、この発明が属する技術分野の当業者がこの発明と均等と考える特徴を含め、この発明に備わっている特許性のある特徴がすべて特許請求の範囲に包含されるように解釈される。
図1は、この発明のひとつの実施形態によりメタンを高級炭化水素に転換する製造プロセスを表す図である。

Claims (10)

  1. 連結された少なくとも第1および第2反応ゾーンを備える反応器系で、メタンを、芳香族を含む高級炭化水素に転化する製造プロセスであって、
    (a)反応器系にメタンを含む炭化水素原料を供給し;
    (b)反応器系に粒子状触媒を供給し、粒子状触媒は(e)で必要とされる熱の50%より多くを提供し、少なくとも1つの反応ゾーンから粒子状触媒の一部を取除いて補助燃料源を燃焼させて発生させた熱燃焼ガスで加熱ゾーンにおいて粒子状触媒の一部を加熱し、その後粒子状触媒の一部を反応ゾーンに送り返されることを特徴とする
    (c)粒子状触媒の大部分を第1反応ゾーンから第2反応ゾーンへ移動させ、炭化水素原料の大部分を第2反応ゾーンから第1反応ゾーンへ移動させ;
    (d)各反応ゾーンを移動床状態に保ち;
    (e)各反応ゾーンを、少なくとも一部のメタンが、高級炭化水素を含有する第1生成物に転換される反応条件で操業することを含む製造プロセス。
  2. 反応器系が、第1および第2反応ゾーンに連結された少なくとも1つの反応ゾーンをさらに備える、請求項1に記載の製造プロセス。
  3. さらに未反応のメタンを高級炭化水素から分離し、この未反応メタンを各反応ゾーンに再循環させる、請求項1に記載の製造プロセス。
  4. 各反応ゾーンが、最小流動化速度(Umf)の少なくとも1.01倍の空塔速度で操作されるか、又は各反応ゾーンが、流動床の空隙率が95%未満に維持される速度より低い空塔速度で操業される、請求項1に記載の製造プロセス。
  5. 前記粒子状触媒は、モリブデン、タングステン、レチウム、およびZSM−5、シリカ、またはアルミナとこれらとの化合物、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  6. さらに、
    (f)少なくとも粒子状触媒の一部を反応系から取り出し;
    (g)取出された粒子状触媒の少なくとも一部を、再生条件下で再生し;
    (h)再生された触媒の少なくとも一部を反応系に再循環させることを含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  7. 再生条件には、温度が800℃から1200℃であり、再生ガスが水素を含有することが含まれる、請求項6に記載の製造プロセス。
  8. 粒子状物質(粒子状触媒と非触媒粒子)の流速の、炭化水素原料の流速に対する質量比が1:1から100:1である、請求項7に記載の製造プロセス。
  9. 工程(b)がさらに前記反応系に非触媒粒子を供給することを含む、請求項1に記載の製造プロセス。
  10. 各反応ゾーンの反応条件には、温度400℃から1200℃、圧力1kPa−aから1000kPa−a、および重量空間速度0.01時間 −1 から1000時間 −1 が含まれる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の製造プロセス。
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