JP5051168B2 - 窒化物分散Ti−Al系ターゲット及びその製造方法 - Google Patents

窒化物分散Ti−Al系ターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物分散Ti−Al系ターゲット及びその製造方法の改良に関する。
従来より、Ti−Al系ターゲットは、アークイオンプレーティングやスパッタリングにより薄膜を形成する際等に使用されていた。このようなTi−Al系ターゲットの製造法は、原料であるTiとAlとを溶解して鋳造する溶解法と、Ti粉末とAl粉末の混合粉またはこれらの合金粉を加圧焼成する粉末冶金法とがあった。
上記溶解法では、ターゲットの組成を均一化できるが、製造時の歩留まりを高くできないという問題がある。そこで、下記特許文献1及び特許文献2では、粉末冶金法によるTi−Al合金スパッタリングターゲットの製造方法が開示されている。
特開2008−56957号公報 特開2008−106287号公報
上記従来の粉末冶金法においては、ターゲット材中に単体の金属Ti及び低融点金属のAlが分散している。このため、アークイオンプレーティング等の成膜中にアークスポットがターゲット上を高速で動き回ったときに、低融点のAlが始めに溶かされ、その後、Tiが溶かされてターゲット表面が波立ち、その際にターゲットから溶滴の状態でターゲット成分が飛散する。この結果、飛散した溶滴が膜に付着してドロップレットとなり膜の品質を低下させる等の問題があった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、アークイオンプレーティング等により形成した薄膜にターゲット成分からなるドロップレットが形成しにくい窒化物分散Ti−Al系ターゲット及びその粉末冶金法による製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの発明は、Ti及びAlからなる金属間化合物とTi及びAlを含む窒化物とが含まれ、前記Ti及びAlからなる金属間化合物はTiAl,TiAl,TiAl,TiAlのいずれか1種以上であり、前記Ti及びAlを含む窒化物がTiAlNであり、さらにSi,W,B,V,Zr,Nb,Crの1種または2種以上を15原子%以下含有しており、前記Ti AlNは、前記Ti及びAlからなる金属間化合物を含む混合粉を非酸化性雰囲気中で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で加熱して形成したことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットにおいて、Al/(Ti+Al)により算出されるAlの含有率が45〜65原子%であることを特徴とする。
請求項記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法の発明は、Ti粉末とAl粉末と窒化物粉末との混合粉をアルミニウムの融点未満の温度で加熱し、前記混合粉中のAlをTiと反応させ、Ti及びAlからなる金属間化合物としてTi Al,TiAl,TiAl ,TiAl のいずれか1種以上を形成させる熱処理工程と、前記Ti及びAlからなる金属間化合物を含む混合粉を非酸化性雰囲気中で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で加熱してTi及びAlを含む窒化物としてTi AlN前記金属間化合物と共存させて形成させるとともに加圧焼結する加圧焼結工程と、を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記加圧焼結工程が、ホットプレス焼結または熱間等方圧焼結であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項または請求項記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記非酸化性雰囲気が、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気または真空中のうちのいずれかであることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項3から請求項のいずれか一項に記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記窒化物粉末が、TiN粉末、およびまたはAlN粉末であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項3から請求項のいずれか1項に記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記窒化物粉末が、Si,VN,ZrN,NbN,CrN,CrNのいずれか1種以上を含有していることを特徴とする。
請求項1から請求項3の発明によれば、アークイオンプレーティング等により形成した薄膜にドロップレットが生成することを抑制することができる。
請求項4の発明によれば、窒化物分散Ti−Al系ターゲットにより製造した膜の耐酸化性と耐摩耗性をバランスよく向上することができる。
請求項5の発明によれば、窒化物分散Ti−Al系ターゲットにより製造した膜の耐酸化性または耐熱性を向上することができる。
請求項6から請求項11の発明によれば、アークイオンプレーティング等により形成した薄膜にドロップレットが生成することを抑制することができる窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造できる。
40Ti−50Al−10TiNの組成の混合粉に熱処理工程及び加圧焼結工程を実施した後の組織写真を示す図である。 50Ti−50Alの組成からなるターゲットを用い、アークイオンプレーティングにて成膜された膜の表面形態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法は、Ti(チタン)粉末とAl(アルミニウム)粉末と窒化物粉末との混合粉をアルミニウムの融点未満の温度で加熱し、上記混合粉中のAlをTiと反応させて、Ti及びAlからなる金属間化合物を形成させる熱処理工程と、Ti及びAlからなる金属間化合物を含む混合粉を非酸化性雰囲気中で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で加熱してTiAlを含む窒化物を形成させるとともに加圧焼結する加圧焼結工程と、を有することを特徴とする。
上記熱処理工程において、加圧圧力は、10MPa以上200MPa以下とするのが好適である。10MPaより低圧であると、ターゲットの相対密度が低くなり、200MPaより高圧では、加圧装置のコストが高くなり、また、後述する加圧焼結工程において用いられる高温高圧に耐えられる型材がないという問題がある。また、その際の温度は、アルミニウムの融点未満の温度、例えば450℃以上660℃未満とするのが好適であり、加熱時間は0.1時間以上とするのが好適である。上記温度範囲とするのは、熱処理工程の実施中に、上記混合粉中の金属Alが溶解し、流失して窒化物分散Ti−Al系ターゲットの組成がずれることを防止するためである。また、この熱処理工程で、混合粉中のAlをTiと反応させ、Ti及びAlからなる金属間化合物とする。これにより、以後の加圧焼結工程でAlが溶出することを防止できる。また、加熱時間を0.1時間以上とするのは、TiとAlとを十分に反応させるためである。
また、上記加圧焼結工程では、加圧圧力を上記10MPa以上200MPa以下に維持した状態で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度、例えば700℃以上1400℃以下の温度で焼成するのが好適である。焼成時間は0.1時間以上20時間以下とするのが好適である。この加圧焼結工程により、上記熱処理工程の後に混合粉中に残存していた単体の金属Tiが反応し、Ti及びAlからなる金属間化合物となる。また、同工程では、Ti及びAlを含む窒化物を形成させることができる。
以上に述べた熱処理工程及び加圧焼結工程には、例えばホットプレス、熱間等方圧焼結法(HIP焼結)等の方法を使用することができる。また、上記2段階の工程により混合粉中のTiとAlと窒化物粉末とが反応し、X線回折パターンにより、Ti及びAlからなる金属間化合物とTi及びAlを含む窒化物が同定される。ここで、上記Ti及びAlからなる金属間化合物は、例えばTiAl,TiAl,TiAl,TiAl等であり、これらのいずれか1種以上により上記金属間化合物の相が形成される。また、上記Ti及びAlを含む窒化物は、例えばTiAlNとすることができる。
図1(a)、(b)には、40Ti−50Al−10TiNの組成の混合粉に熱処理工程及び加圧焼結工程を実施した後の組織写真が示される。図1(a)が、600℃×5時間の熱処理工程後の組織写真であり、TiAl,Ti及びTiNの結晶相が確認できる。また、図1(b)が、1300℃×1時間の加圧処理工程後の組織写真であり、TiAl及びTiAlNの結晶相が確認できる。
図1(a)において、熱処理工程段階での組織は空隙(図で黒く表示されている部分)が多く、組織を構成している相は、TiとAlからなる金属間化合物(TiAl等)と、原料として使用したTi、TiNを含んでいる。その後、加圧処理を施すと、図1(b)に示されるように、加圧処理工程後の組織には空隙が認められず、緻密な組織となる。また、組織を構成している相には、単体の金属Alや金属Tiは認められず、TiとAlからなる金属間化合物とTiとAlを含む窒化物とを含んでいる。ここで、組織中に分散したTiAlN相は、製膜時のドロップレットの生成を抑制する効果を有する。
図2(a)、(b)には、50Ti−50Alの組成からなるターゲットを用い、アークイオンプレーティングにて成膜された膜の表面形態が示される。図2(a)が、結晶相としてTi+TiAlを含むターゲットを使用した場合であり、図2(b)が、結晶相としてTiAl+TiAlNを含むターゲットを使用した場合である。なお、図2(b)の製膜に使用したターゲットは、図1(b)に例示された組織を有する。
図2(a)に示される、結晶相としてTi+TiAlを含むターゲットを使用した場合に較べ、図2(b)に示される、結晶相としてTiAl+TiAlNを含むターゲットを使用した場合の方がドロップレットが激減することがわかる。また、結晶相としてTiAl+TiAlNを含むターゲットは緻密なため、成膜時、安定した放電状態が得られ、ターゲットが破損するなどの問題は発生しない。
以上に述べたように、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットには、単体の金属Alが存在せず、組織中にTiAlN相が分散しているとともに緻密な組織となっているので、製膜時におけるドロップレットの生成を抑制することができる。本実施形態では、組織中に窒化物相(TiAlN相)が存在するので、窒化物相が存在しない場合に較べて、製膜時におけるドロップレットの生成をより抑制することができる。なお、加圧焼結工程では、上述したように、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で焼成するので、窒化物分散Ti−Al系ターゲットを緻密質とすることができ、多孔質となるのを抑制できる。このため、ターゲットの機械的強度が向上し、製膜時にターゲットの表面と裏面とに生じる大きな温度差により割れが発生することを回避することができる。
また、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットの他の製造方法としては、Ti粉末とAl粉末と窒化物粉末との混合粉を金属カプセルに充填し、この混合粉を加圧しつつ減圧封止する減圧封止工程と、上記減圧封止された混合粉に対して熱間等方圧焼結を施すことにより、上述したTi及びAlからなる金属間化合物とTi及びAlを含む窒化物とを形成する熱間等方圧焼結工程と、を有することを特徴とする。
上記熱間等方圧焼結工程は、上記減圧封止された金属カプセルをアルゴンガス、あるいは窒素ガスなどの圧力媒体を用い、最高150MPaの圧力と400℃以上の温度により加圧加熱処理し、上記混合粉を合成、緻密化させる。上記圧力は50MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましい。また、上記温度は500℃以上がより好ましい。圧力が50MPaより低いかあるいは温度が400℃より低いと緻密な焼結体が得らない。
上記熱間等方圧焼結工程によれば、50MPa以上の高い圧力と400℃以上の温度の相乗効果により、アルミニウムの融点未満の温度で、Ti及びAlからなる金属間化合物とTi及びAlを含む窒化物とを形成でき、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造できる。
また、上記Ti粉末とAl粉末の混合粉の混合比率は、Alを45〜65原子%とするのが好適である。これにより、窒化物分散Ti−Al系ターゲットは、Alを45〜65原子%含有することになる。ここで、Alの含有率は、Al/(Ti+Al)により算出される。Alが45原子%未満になると、窒化物分散Ti−Al系ターゲットを用いてアークイオンプレーティングやスパッタリングにより製造した膜の耐酸化性が低下し、65原子%を超えると、膜が軟化し耐摩耗性を低下させるので、Alの含有率は上記範囲が好適である。ただし、膜の用途によっては、Alの含有率が上記範囲を外れてもよい場合もある。
また、上記Ti粉末とAl粉末とともに混合する窒化物粉末としては、例えばTiN粉末、AlN粉末等を使用することができる。なお、窒化物粉末としてSi,VN,ZrN,NbN,CrN,CrNのいずれか1種以上を使用してもよい。
また、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法においては、使用するTi粉末の粒径が100μm以下であるのが好適である。これにより、窒化物分散Ti−Al系ターゲット中に単体の金属Tiが残存することを容易に回避することができる。なお、Al粉末は熱処理工程で塑性変形し一体化してしまうので、100μm以下のTi粉末を分散させることのできる粒径であればよい。また、熱処理工程及び加圧焼結工程は、酸素濃度が0.1wt%以下の非酸化性雰囲気で行われるのが好適である。これにより、窒化物分散Ti−Al系ターゲット中の、不純物である酸素の濃度を低減することができる。この非酸化性雰囲気は、例えばアルゴン雰囲気、窒素雰囲気または真空中等を使用することができる。
また、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットは、Si,W,B,V,Zr,Nb,Crの1種または2種以上を15原子%以下含有しているのが好適である。これにより、アークイオンプレーティングやスパッタリングで製造した膜の耐酸化性及び耐熱性を向上することができる。また、本実施形態にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットは、不純物である酸素の濃度(酸素含有量)が0.5wt%(重量%)以下であるのが好適である。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
(1)熱処理工程と加圧焼結工程との2段階の工程により窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造し、X線回折法(XRD)により評価した(表1)。また、比較例についても同様に評価した。
Figure 0005051168
表1において、実施例1〜12は、Al粉末とTi粉末と窒化物粉末との混合粉を、金型に充填し、一軸加圧49MPaにて成型し、成形体を得る。この成形体から、ホットプレス法により上記2段階の工程を実施して窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造した。なお、Al粉末とTi粉末と窒化物粉末との混合粉を直接、ホットプレス装置内の型に充填してもよい。ホットプレス装置内の型は黒鉛型や超硬製型がよい。本実施例では黒鉛型を使用した。
表1に示されるように、上記混合粉中のアルミニウム(Al)含有量(Al/(Ti+Al))は、実施例9が45原子%(at%)、実施例10が55原子%、実施例11が60原子%、実施例12が65原子%であり、他の実施例が50原子%である。従って、本実施例では、Al/(Ti+Al)により算出されるAlの含有率が45〜65原子%となっている。また、窒化物であるTiNは、Ti換算で実施例4が20原子%、実施例5が30原子%、実施例6及び実施例7が0原子%であり、他の実施例が10原子%である。また、窒化物であるAlNは、Al換算で実施例6及び実施例8が10原子%、実施例7が20原子%であり、他の実施例が0原子%である。なお、残部(Al、TiN、AlN以外の成分)は、不可避の不純物を除いてチタン(Ti)である。
また、熱処理工程における温度は、全て600℃であり、熱処理時間は、実施例9が3時間、実施例10が6時間、実施例11が7時間、実施例12が8時間であり、他の実施例は5時間である。
また、加圧焼結工程における温度は、実施例1が1100℃、実施例2が1200℃、実施例5、実施例7、実施例8が1400℃、他の実施例が1300℃である。また、熱処理時間は、全て1時間であり、加圧圧力は全て40MPaである。
一方、比較例1,2の製造条件は、次の通りとした。すなわち、上記混合粉中のアルミニウム(Al)含有量は、比較例1及び比較例2いずれも50原子%であり、窒化物であるTiNは、Ti換算で比較例1が10原子%、比較例2が0原子%であり、窒化物であるAlNは、Al換算で比較例1が0原子%、比較例2が10原子%である。また、熱処理工程は実施していない。また、加圧焼結工程における温度は、比較例1が600℃、比較例2が650℃であり、熱処理時間はいずれも1時間であり、加圧圧力はいずれも40MPaである。
以上に述べた各実施例の結晶相は、Ti及びAlからなる金属間化合物として、実施例1がTiAl、TiAl、TiAlを含み、実施例2がTiAl、TiAlを含み、実施例3、実施例6及び実施例8から実施例12がTiAlを含み、実施例4、実施例5及び実施例7がTiAlを含んでいる。また、窒化物として、全ての実施例がTiAlNを含み、この他に実施例1、実施例2、実施例4、実施例5がTiNを含み、実施例7がAlNを含んでいる。
このような各実施例にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットを用い、アークイオンプレーティングにて成膜すると、ドロップレットの少ない膜を形成することができる。これは、結晶相に単体のAlを含まず、また窒化物としてTiAlNを含むためである。
これに対して、比較例1及び比較例2では、熱処理工程を実施しておらず、かつ加圧焼結工程における温度が低い(比較例1が600℃、比較例2が650℃)ので、ターゲット材は空孔を多く含み、緻密ではなく、結晶相には単体のAl、Tiを含み、また比較例1がTiNを含み、比較例2がAlNを含んでいるが、TiAlNを含んでいない。このため、比較例のターゲットを使用してアークイオンプレーティングにて成膜すると、膜にドロップレットが多数発生し、製膜後、ターゲットはクラックが入っていた。
(2)次に、減圧封止工程と熱間等方圧焼結工程とを有する熱間等方圧焼結法により窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造し、X線回折法(XRD)により評価した(表2)。また、比較例についても同様に評価した。
Figure 0005051168
表2において、実施例13〜16は、Ti粉末とAl粉末と窒化物粉末との混合粉を金属カプセルに充填し、この混合粉を加圧しつつ減圧封止し、上記減圧封止された混合粉に対して熱間等方圧焼結を施すことにより、窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造した。
表2に示されるように、上記混合粉中のアルミニウム(Al)含有量(Al/(Ti+Al))は、いずれも50原子%(at%)である。また、窒化物であるTiNは、Ti換算で実施例16が20原子%であり、他の実施例が10原子%である。なお、残部(Al、TiN以外の成分)は、不可避の不純物を除いてチタン(Ti)である。
また、熱間等方圧焼結(HIP焼結)における温度は、実施例13が400℃、実施例14が500℃、実施例15が600℃、実施例16が650℃である。また、焼結時間は、いずれも1時間である。また、加圧圧力は、実施例13及び実施例15が100MPa、実施例14が150MPa、実施例16が50MPaである。
一方、比較例3−5の製造条件は、次の通りとした。すなわち、上記混合粉中のアルミニウム(Al)含有量は、いずれも50原子%であり、窒化物であるTiNは、Ti換算でいずれも10原子%である。また、HIP焼結温度は、比較例3が350℃であり、比較例4が500℃であり、比較例5が390℃である。焼結時間は、いずれも1時間であり、加圧圧力は、比較例3及び比較例4が40MPaであり、比較例5が50MPaである。
以上に述べた各実施例の結晶相は、Ti及びAlからなる金属間化合物として、実施例13がTiAl、TiAl、TiAlを含み、実施例14がTiAl、TiAlを含み、実施例15がTiAlを含み、実施例16がTiAlを含んでいる。また、窒化物として、全ての実施例がTiAlNを含み、この他に実施例13、実施例14、実施例16がTiNを含んでいる。
このような各実施例にかかる窒化物分散Ti−Al系ターゲットは、結晶相に単体のAlを含まず、また窒化物としてTiAlNを含むので、これを用いてアークイオンプレーティングにて成膜すると、ドロップレットの少ない膜を形成することができる。
これに対して、比較例3から比較例5は、HIP焼結温度及び加圧圧力の少なくとも一方が上記実施例の条件(HIP焼結温度が400℃以上、加圧圧力が50MPa以上)より低くなっている。すなわち、比較例3では、HIP焼結温度が350℃であり、加圧圧力が40MPaであり、いずれも実施例の条件より低くなっている。また、比較例4では、HIP焼結温度は500℃であり、実施例の条件範囲内であるが、加圧圧力が40MPaとなっている。また、実施例5では、加圧圧力は50MPaであり、実施例の条件範囲内であるが、HIP焼結温度が390℃となっている。このため、比較例3〜5は、ターゲット材の結晶相に単体のAl、Tiを含み、またTiNを含んでいるが、TiAlNを含んでいない。このため、各比較例のターゲットを使用してアークイオンプレーティングにて成膜すると、膜にドロップレットが多数発生し、製膜後、ターゲットにはクラックが形成されていた。
(3)次に、熱処理工程と加圧焼結工程との2段階の工程により、添加物としてSi,W,B,V,Zr,Nb,Crまたはその化合物を添加した窒化物分散Ti−Al系ターゲットを製造し、X線回折法(XRD)により評価した(表3)。
Figure 0005051168
表3に示されるように、混合粉中のアルミニウム(Al)含有量(Al/(Ti+Al))は、いずれも50原子%(at%)である。また、窒化物であるTiNは、いずれも10原子%である。また、窒化物であるAlNは、いずれも0原子%である。添加した添加物の含有量は、実施例17がSiをSi換算で3原子%、実施例18がBを5原子%、実施例19がZrNをZr換算で10原子%、実施例20がNbNをNb換算で10原子%、実施例21がWを5原子%、実施例22がCrを5原子%、実施例23がVNをV換算で15原子%、実施例24がCrNをCr換算で10原子%、実施例25がCrNをCr換算で10原子%である。なお、実施例24及び実施例25は、添加物として実施例22のCrに代えてCrの窒化物(CrNまたはCrN)が添加された例である。以上の各実施例では、添加物の含有量が15原子%以下となっている。また、熱処理工程における温度は、全て600℃であり、熱処理時間は、全て5時間である。
また、加圧焼結工程における温度は、全て1100℃であり、熱処理時間は、全て1時間であり、加圧圧力は全て40MPaである。
本実施例では、上記添加物を添加することにより、製造した膜の耐酸化性または耐熱性を向上することができる。なお、添加物として添加した物のうち、Si,ZrN,NbN,VN,CrN,CrNは、Ti粉末とAl粉末に混合する窒化物粉末としても機能する。

Claims (7)

  1. Ti及びAlからなる金属間化合物とTi及びAlを含む窒化物とが含まれ、前記Ti及びAlからなる金属間化合物はTiAl,TiAl,TiAl,TiAlのいずれか1種以上であり、前記Ti及びAlを含む窒化物がTiAlNであり、さらにSi,W,B,V,Zr,Nb,Crの1種または2種以上を15原子%以下含有しており、
    前記Ti AlNは、前記Ti及びAlからなる金属間化合物を含む混合粉を非酸化性雰囲気中で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で加熱して形成したことを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲット。
  2. 請求項1記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットにおいて、Al/(Ti+Al)により算出されるAlの含有率が45〜65原子%であることを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲット。
  3. Ti粉末とAl粉末と窒化物粉末との混合粉をアルミニウムの融点未満の温度で加熱し、前記混合粉中のAlをTiと反応させ、Ti及びAlからなる金属間化合物としてTiAl,TiAl,TiAl,TiAlのいずれか1種以上を形成させる熱処理工程と、
    前記Ti及びAlからなる金属間化合物を含む混合粉を非酸化性雰囲気中で、アルミニウムの融点より高くチタンの融点より低い温度で加熱して、Ti及びAlを含む窒化物としてTiAlNを前記金属間化合物と共存させて形成させるとともに加圧焼結する加圧焼結工程と、
    を有することを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法。
  4. 請求項3記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記加圧焼結工程は、ホットプレス焼結または熱間等方圧焼結であることを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法。
  5. 請求項3または請求項4記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記非酸化性雰囲気は、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気または真空中のうちのいずれかであることを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法。
  6. 請求項3から請求項のいずれか一項に記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記窒化物粉末が、TiN粉末、およびまたはAlN粉末であることを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法。
  7. 請求項3から請求項のいずれか1項に記載の窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法において、前記窒化物粉末が、Si,VN,ZrN,NbN,CrN,CrNのいずれか1種以上を含有していることを特徴とする窒化物分散Ti−Al系ターゲットの製造方法。
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