JP5049596B2 - カテーテルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
この潤滑性は、カテーテル本体の管腔を介して患者の生体内の所定部位に外部から薬剤等を注入したり、生体内の体液等を排出したり、他の治療器具を通過させるために必要である。
このように、カテーテル本体の管腔内表面を形成する材料としてフッ素樹脂、特にPTFEを用いる例は多い。
そこで近年では、電子線等の放射線による滅菌方法が注目されつつある。この方法によれば、毒性がなく、滅菌に要する処理時間も短時間である。
これは、PTFEは1kGy以上の電離放射線の照射により劣化し、γ線、電子線滅菌等で汎用される滅菌線量である25kGy前後の吸収線量においては、機械特性が極端に劣化するからである。
例えば、上記の内層にPTFEを用いた特許文献1記載のカテーテルに放射線滅菌を適用した場合、PTFEは破断伸度が著しく低下するので、カテーテル本体を屈曲しただけで内層に剥離やクラックを生じてしまう。
(10)前記カテーテル層が、前記カテーテルの管腔内表面を構成することを特徴とする上記(1)ないし(9)の何れかに記載のカテーテル。
(11)細長い管を有するカテーテルであって、前記細長い管が、管腔と壁とを画定している基端部と、末端部とを有し、前記壁が、該末端部と該基端部との間で実質的に均一な厚みの管状断面を有し、かつ、ETFEとPTFEとを99:1〜45:55の質量比で含有する組成物からなるカテーテル。
(12)ETFEとPTFEとを99:1〜45:55の質量比で混合し、管状態に成形するステップと、
得られた前記管状体の上に補強層と樹脂層を形成し、カテーテルを形成するステップと、
前記カテーテルを密封包装するステップと、
前記密封包装されたカテーテルを、放射線滅菌するステップとを有することを特徴とするカテーテルの製造方法。
図1は本発明のカテーテルを血管カテーテルに適用した場合の全体構成例を示す平面図である。血管等の管腔内に挿入される先端部分は断面図として記載されている。以下、図1の右側を「基端」、左側を「先端」として説明する。
例えば、上記の図1に示した本発明の好適実施例であるカテーテル1であれば、そのカテーテル本体(チューブ)の全長は800〜1500mmであり、管壁の厚さは0.02〜0.5mmである。
ハブ4に関しても、通常のものを用いることができる。
一般的に広く利用されているETFEは、TFE/エチレンのポリマー組成が50/50〜60/40モル%程度であり、ほぼ交互共重合体である。また、その結晶性に基づくストレスクラッキングの発生を解決するために、次に示す第三成分を含有している。つまり、一般に広く利用されているETFEは、この第三成分を含む三元共重合体である。さらに、そのMFR(メルトフローレート:溶融時の流動性)は、3〜45g/10分であり、密度は1.70〜1.75g/cm3である。
本発明では、このような一般に広く利用されているETFEを好ましく用いることができる。
その溶融粘度は、5000〜100000poiseであり、密度は2.13〜2.22g/cm3である。
また、ディスパージョンであれば、更に微細かつ均質なPTFE粒子の分散状態を得られることから、管壁厚さの小さいもの(1μm〜40μm)を得やすくなるという点で好ましい。乾燥パウダー状のETFEおよびPTFEとしては、モールディングパウダー、ファインパウダーが市販されており、これらを好ましく用いることができる。
従って、本発明のカテーテルを用いれば、カテーテル本体の管腔を介して患者の生体内の所定部位に外部から薬剤等を注入したり、生体内の体液等を排出したり、他の治療器具を通過させることを、容易に行うことができる。また、本発明のカテーテルに対して、毒性がなく滅菌に要する処理時間も短時間である放射線による滅菌方法を適用することができる。
これらの照射温度、照射線量も限定されず、通常、医療用品の滅菌として適用する程度であればよい。例えば、照射雰囲気は室温(約23℃)であり、照射線量は1〜100kGy、好ましくは15〜60kGyである。
この有機物としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリビニル、シリコーン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本発明の組成物は、この有機物を、前記ETFEと前記PTFEとの合計質量に対して、0.1〜10質量%の比率で含有することができる。
この添加剤としては、例えば、生体に害を及ぼさない顔料、染料、X線造影剤(硫酸バリウム、タングステン、酸化ビスマス等)、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、粘度好物、チタン酸カリウム繊維等)、充填材(カーボンブラック、シリカ、アルミナ、酸化チタン、金属粉、木粉、籾殻等)、耐熱安定剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等を挙げることができる。
本発明の組成物は、この添加剤を、前記ETFEと前記PTFEとの合計質量に対して1〜50質量%の比率で含有することができる。
また、本発明のカテーテル本体がこのような外層となる樹脂層を有すれば、後述する補強層をカテーテル本体内に強固に固定できるという効果を奏する。
製造方法は特に限定されないが、例えば次のような方法で製造する。
そして、芯金を抜き取れば、本発明のカテーテル層である円管状成形品を得ることができる。
本発明の製造方法を用いれば、PTFEが有していない放射線に対する耐性を有しながら、PTFEと同等の滑性を有する材料からなるカテーテルを得ることができるので、毒性がなく滅菌に要する処理時間も短時間である放射線による滅菌処理を行なったカテーテルを製造することができる。
次に示す方法により、本発明の実施例および比較例に相当するカテーテル本体を製造した。
まず、パウダー状のETFEとPTFEとを、下記の表1に示す各々の質量比率で十分な時間混合し、均一にした後に、溶融押出機に供給し、溶融した状態の本発明の組成物を製造した。溶融温度は、250℃とした。
上記の方法で製造した全長約1000mmのカテーテル本体から約80mmを切り出し、これに電子線照射装置(ベルギーIBA社製、ロードトロンT−300型)を用いて、吸収線量が33kGyとなるように電子線を照射した。
これは、前述のように、ETFEが45質量%以上存在すれば海相を形成し、電子線照射による強度劣化を抑制することができるが、ETFEが45〜60質量%程度存在する場合には、部分的に効果を発揮しない場合があり、60質量%以上存在する(つまり、PTFEが40質量%未満存在する)場合に、全体として十分な効果を奏するためと考えられる。
この試験結果を表3に示す。
上記の引張試験と同様に、上記の方法で製造した全長約1000mmのカテーテル本体から約80mmを切り出し、これに電子線照射装置(ベルギーIBA社製、ロードトロンT−300型)を用いて、吸収線量が33kGyとなるように電子線を照射した。
その後、室温(23±3℃、50RF)で24時間冷却した後、上記と同様の引張試験を行った。
結果を表4に示す。
上記の方法で製造した本発明のカテーテル本体の摩擦抵抗(静止摩擦係数および動摩擦係数)を、次に示す方法で測定した。概略図を図4に示す。
ここで試験片10が動き出す直前の引張荷重から静止摩擦係数を算出した。また、動き出した後の一定値となった引張荷重から、動摩擦係数を算出した。
この試験結果を表5に示す。
上記の方法で製造した全長約1000mmのカテーテル本体をU字状に固定した。ここで、U字の曲線部分の全長は160mm、曲率半径は50mmとした。
結果を表6に示す。
Claims (11)
- ETFEとPTFEとを、99:1〜45:55の質量比で含有し、かつ耐放射線性を有する組成物からなるカテーテル層を備える、放射線に対する耐性を有するカテーテル。
- 前記質量比が、95:5〜60:40であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
- 前記質量比が、90:10〜80:20であることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテル。
- 前記カテーテル層上に、さらに前記組成物とは異なる樹脂組成物からなる樹脂層を有する請求項1ないし請求項3の何れかに記載のカテーテル。
- 前記カテーテル層と前記樹脂層との間に、さらに補強層を有することを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
- 前記補強層が金属線材からなることを特徴とする請求項5に記載のカテーテル。
- 前記カテーテル層が、前記カテーテルの管腔内表面を構成することを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のカテーテル。
- 細長い管を有するカテーテルであって、前記細長い管が、管腔と壁とを画定している基端部と、末端部とを有し、前記壁が、該末端部と該基端部との間で実質的に均一な厚みの管状断面を有し、かつ、ETFEとPTFEとを99:1〜45:55の質量比で含有し、かつ耐放射線性を有する組成物からなる、放射線に対する耐性を有するカテーテル。
- 前記ETFEと前記PTFEとを90:10〜80:20の質量比で含有する請求項8に記載のカテーテル。
- ETFEとPTFEとを99:1〜45:55の質量比で混合し、管状態に成形するステップと、
得られた前記管状体の上に補強層と樹脂層を形成し、カテーテルを形成するステップと、
前記カテーテルを密封包装するステップと、
前記密封包装されたカテーテルを、放射線滅菌するステップとを有することを特徴とする、医療用に適した滅菌されたカテーテルの製造方法。 - 前記ETFEと前記PTFEとを90:10〜80:20の質量比で混合する請求項10に記載の製造方法。
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