本発明は、自動二輪車(モーターサイクル)等用として適したクラッチ装置に関し、さらに詳しくは、ライダー(運転者)によるクラッチレバーの手動操作に応じて発生される油圧を用いてクラッチ機構の断接作動を行わせるように構成されたクラッチ装置に関するものである。
自動二輪車等において、操作ハンドルの左側に手動操作されるクラッチレバーを設け、ドライバーが左手でクラッチレバーを握ってクラッチ機構の断接操作を行うようにした構成が一般的に用いられている。このようなクラッチ装置においては、通常はクラッチ機構はバネ力等を受けて接続状態にされており、スタート時および変速時にライダーがクラッチレバーを手で握って操作してクラッチ機構を解放し且つ接続させる操作を行うようになっている。このため、クラッチ機構を接続させるバネ力に抗してこれを解放させるに必要な手握力が必要であり、握力が小さな女性ライダー等にとって操作力の軽減は期待されるところである。特に大きなクラッチ容量が必要でクラッチ接続力が大きい大型の自動二輪車において、このような操作力の軽減は有効であると言える。
このようなことから、例えば、特許文献1乃至特許文献4には、クラッチ機構の解放のためのクラッチレバー操作をアシストする装置を設ける構成が開示されている。これらのうち、例えば特許文献1に係るアシスト装置においては、エンジン内を強制潤滑する加圧オイルをプランジャに作用させ、このプランジャによりクラッチ機構を解放するためのプッシュロッドを解放側に押圧させて、解放側へのアシスト力(すなわち、クラッチレバーを手握操作する側へのアシスト力)を得るように構成されている。
特開平8−133169号公報
特許第2874481号公報
特開平6−117450号公報
特開2005−248976号公報
このようにアシスト装置を用いれば上述したような問題を軽減することができるが、特許文献1に開示のアシスト装置はエンジンの潤滑圧を用いてアシスト力を得る構成であり、エンジン回転、油温等の影響を受けてアシスト力が変動するため、安定したアシスト力を得ることが難しいという課題がある。
また、特許文献2に開示のアシスト装置は、モータ駆動する回転体にクラッチレバーに繋がるクラッチケーブルを巻き付け、クラッチレバーの操作によるクラッチ機構の解放時にアシスト装置によりクラッチレバーの操作力をアシストするような構成になっている。このように、従来のアシスト装置は、クラッチレバーが操作された場合にこの操作力をアシストする構成となっているため、クラッチレバーを操作せずにシフトペダルの操作のみでシフトチェンジを行う、いわゆるオートクラッチ機能を使用する場合には、このようなアシスト装置によるアシスト力を用いてクラッチ機構を解放させることができなかった。
さらに、従来のアシスト装置においては、アシスト力の大きさが一定に設定されているが、アシスト力が手握力に対して大きく設定されている場合には、手握力に対して小さく設定されている場合よりもクラッチレバーの操作時にライダーに作用するレバー反力が小さく、ライダーによってはクラッチレバーのレバー操作が軽く感じるため物足りない場合があった。このため、ライダーの好みに応じてアシスト力の大きさを設定変更できるような構成、例えば、手が大きいライダーや握力の大きいライダーの場合にはアシスト力の大きさを小さく設定できるような構成が望まれていた。
本発明はこのような課題に鑑み、ライダーの好みに応じてアシスト力の大きさを設定変更できるような構成のアシスト装置を備えたクラッチ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係るクラッチ装置は、エンジンの回転駆動力を車輪に伝達する動力伝達経路中に設けられて回転駆動力の伝達を断接するクラッチ機構と、クラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチアクチュエータと、操作ハンドル上に備えられて運転者により操作されるクラッチレバーと、クラッチレバーの操作に応じて電動モータを駆動することによりアシスト油圧を発生させるアシスト圧発生装置とを備え、アシスト圧発生装置により発生されたアシスト油圧をクラッチアクチュエータに供給し、アシスト油圧をアシスト力として用いてクラッチレバーの操作に応じてクラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチ装置である。その上で、アシスト圧発生装置は、電動モータにより回転駆動されるアシスト用クランクシャフト(例えば、実施形態におけるクランクシャフト234)と、アシスト用シリンダ(例えば、実施形態におけるモータアクチュエータ40)とを有し、電動モータにより回転駆動されるアシスト用クランクシャフトのクランク部(例えば、実施形態における従動クランクシャフト234b)により駆動されてアシスト用シリンダのピストン部材(例えば、実施形態におけるピストン42)がシリンダ室内で往復運動されてアシスト油圧を発生するように構成され、アシスト用クランクシャフトが操作力伝達部材(例えば、実施形態におけるクラッチケーブル59)を介してクラッチレバーに連結され、クラッチレバーの操作に応じたクラッチ機構の断接作動を行わせる操作力が操作力伝達部材を介して伝達されることによりアシスト用クランクシャフトが回転駆動されることが可能である。
さらに、上記構成のクラッチ装置において、クラッチアクチュエータが、アシスト油圧により押圧されアシスト油圧をクラッチ機構に伝達してクラッチ機構を解放作動させる押圧部材(例えば、実施形態におけるプッシュロッド18)を有して構成されているのが好ましい。
また、前記課題を解決するために本発明に係るクラッチ装置は、エンジンの回転駆動力を車輪に伝達する動力伝達経路中に設けられて回転駆動力の伝達を断接するクラッチ機構と、クラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチアクチュエータと、操作ハンドル上に備えられて運転者により操作されるクラッチレバーと、クラッチレバーの操作に応じて作動されてクラッチアクチュエータへ供給するクラッチ作動油圧を発生させるクラッチ作動油圧発生装置と、クラッチレバーの操作に応じて電動モータを駆動することによりアシスト油圧を発生させるアシスト圧発生装置とを備え、アシスト圧発生装置により発生されたアシスト油圧をクラッチアクチュエータに供給し、アシスト油圧をアシスト力として用いてクラッチレバーの操作に応じてクラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチ装置であって、クラッチアクチュエータが、クラッチレバーの操作に応じたクラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチ作動油圧がクラッチ作動油圧発生装置に繋がるクラッチ作動油路を介して供給されるクラッチ作動油圧入力部(例えば、実施形態における入口ポート324a,424a)と、クラッチレバーの操作に応じたクラッチ機構の断接作動を行わせるアシスト油圧がアシスト圧発生装置に繋がるアシスト油路を介して供給されるアシスト油圧入力部(例えば、実施形態における入口ポート326a,426a)とを有する。
さらに、上記構成のクラッチ装置において、クラッチアクチュエータが、クラッチ作動油圧およびアシスト油圧のうちの少なくともいずれか1つにより押圧されクラッチ作動油圧およびアシスト油圧のうちの少なくともいずれか1つをクラッチ機構に伝達してクラッチ機構を解放作動させる押圧部材(例えば、実施形態におけるプッシュロッド18)を有する。
本発明に関するクラッチ装置によれば、アシスト圧発生装置を構成し電動モータにより回転駆動されるアシスト用クランクシャフトが操作力伝達部材を介してクラッチレバーに連結され、クラッチレバーの操作に応じたクラッチ機構の断接作動を行わせる操作力が操作力伝達部材を介して伝達されることによりアシスト用クランクシャフトが回転駆動されることが可能である。このため、例えば走行中に電動モータの電源の供給が遮断され電動モータを駆動させてアシスト圧を発生させることができなくなるような事態が発生しても、クラッチレバーの操作によりアシスト圧を用いずにクラッチ機構を断接作動させて支障無く走行することが可能である。
さらに、クラッチアクチュエータに供給されるアシスト油圧を、作動油のような流体を介してクラッチ機構に作用させるのではなく、押圧部材を介してアシスト油圧をクラッチ機構に伝達させるような構成となっているため、クラッチ機構の解放作動までの時間を作動油のような流体を介する場合よりもより短くすること、すなわち、タイムラグをほとんど生じないようにすることが可能である。
また、クラッチ機構の断接作動を行わせるクラッチアクチュエータが、クラッチ作動油圧発生装置により発生されたクラッチ作動油圧が供給されるクラッチ作動油圧入力部と、アシスト圧発生装置により発生されたアシスト油圧が供給されるアシスト油圧入力部とを有して構成されていることにより、以下のような効果が達成可能である。すなわち、クラッチ作動油圧入力部のみに油圧を供給してライダーによるクラッチレバーのレバー操作のみによりクラッチ機構の断接作動を行わせるマニュアルモード(後述の実施例では、アシストクラッチモードの側に設定されている場合において、アシスト力設定つまみ91が「0レベル」に設定された状態)と、アシスト油圧入力部のみに油圧を供給してアシスト油圧のみによりクラッチ機構の断接作動を行わせるオートクラッチモードと、クラッチ作動油圧入力部およびアシスト油圧入力部のいずれにも油圧を供給してクラッチ作動油圧およびアシスト油圧の双方によりクラッチ機構の断接作動を行わせるアシストモードとを、適宜切り変えることが可能である。例えば、路面の状況、道路事情(渋滞時)あるいはライダーの手の大きさ、握力等ライダーの要求に合わせて上記のモードを切り換えることにより、快適な走行(渋滞時にはオートクラッチモードに設定する等を行って)が可能である。
さらに、クラッチアクチュエータが、クラッチ作動油圧入力部およびアシスト油圧入力部の2つの入力部を有して構成されている場合においても、供給される油圧を作動油のような流体を介してクラッチ機構に作用させるのではなく、押圧部材を介してクラッチ機構に伝達させるため、クラッチ機構の解放作動までの時間を作動油のような流体を介する場合よりもより短くすること、すなわち、タイムラグをほとんど生じさせないようにすることが可能である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
ここではまず、本発明の第1の実施の形態について説明する。本発明に係るクラッチ装置を備えた自動二輪車の全体外観を図2に示している。この自動二輪車は、メインフレームMFと、メインフレームMFの前端部に斜め上下に延びる軸を中心として回動自在(操舵自在)に取り付けられたフロントフォークFFと、フロントフォークFFの下端に回転自在に取り付けられた前輪FWと、フロントフォークFFの上端に左右に延びて一体に取り付けられたステアリングハンドルSHと、フロントフォークFFの上部の周囲を前側および左右側方から覆ってメインフレームMFの前部に取り付けられたフロントカバーFCと、メインフレームMFの後部に枢結されて後方に延びて上下に揺動自在なスイングアームSAと、スイングアームSAの後端に回転自在に取り付けられた後輪RW等を備えて構成される。なお、メインフレームMF上には、燃料タンクFT、ライダー用シートRS、排気マフラーEM等が図示のように設けられている。
さらに、フロントカバーFCに覆われた内部空間に位置してエンジンおよび変速機が一体となったパワーユニット(図示せず)が取り付けられている。このパワーユニットを構成する変速機TMの一部(エンジン回転がクラッチCLを介して入力される入力シャフト側の部分)を図3に示している。変速機TMは、ハウジングHGにベアリング3a,3bを介して回転自在に支持された入力シャフト2の上に複数のドライブギヤ4を配置し、これらドライブギヤ4を、ハウジングHGに回転自在に支持された不図示の出力シャフトの上に配置された複数のドリブンギヤ(図示せず)と噛合させて構成され、図示しない変速機機構により動力伝達するギヤ列を選択するようになっている。入力シャフト2と同軸上に、エンジンのクランクシャフト上に設けられたギヤと噛合しエンジン回転が伝達されて回転駆動されるエンジン駆動ギヤ1と、エンジン駆動ギヤ1と入力シャフト2とを断接するクラッチ機構CLとが配置されている。
クラッチ機構CLは、エンジン駆動ギヤ1と結合されて一体回転するドライブ部材11と、入力シャフト2とスプライン結合されて一体回転するドリブン部材12と、ドライブ部材11の内周に沿って軸方向に移動可能且つ一体回転するように取り付けられた複数のセパレータプレート13と、ドリブン部材12の外周に沿って軸方向に移動可能且つ一体回転するように取り付けられるとともにセパレータプレート13の間にそれぞれ挟まれて設けられたフリクションプレート14と、ドリブン部材12の側端にボルト16aにより保持された押圧スプリング16により図3における左方に押圧されて取り付けられた押圧部材15とを有して構成される。
押圧部材15は外周側において、セパレータプレート13およびフリクションプレート14に軸方向に対向し、押圧スプリング16の付勢力を受けてこれら両プレート13,14を軸方向左方に押圧し、これらを摩擦係合させる。この結果、エンジン駆動ギヤ1に伝達されるエンジン回転駆動力は、ドライブ部材11から摩擦係合した両プレート13,14を介してドリブン部材12に伝達され、入力シャフト2を回転駆動させる。入力シャフト2の回転は上述した変速機TMにより変速され、図示しないチェーン機構を介して後輪RWに伝達され、後輪RWが回転駆動され、自動二輪車が走行駆動される。
このようにクラッチ機構CLは、通常は押圧スプリング16の付勢力を用いて接続状態となるように構成されている。そして、ライダーがステアリングハンドルSHの左側手握部6に左手を掛けたままクラッチレバー5を握って引き寄せる操作を行うことによりクラッチ機構CLを解放して、エンジン駆動ギヤ1から入力シャフト2への回転駆動力伝達を遮断するように構成されている。このようにクラッチ機構CLの断接作動を行わせるためのクラッチ装置の構成について、以下に説明する。
クラッチ機構CLを解放するには、押圧部材15を押圧スプリング16の付勢方向と反対方向(図3における右方向)に移動させてセパレータプレート13およびフリクションプレート14を押圧させる力を解放してこれらの摩擦係合を解放すればよい。この作動を行わせるための構成として、押圧部材15の内周部にベアリング17aを介してプルロッド17が配設されており、入力シャフト2の中心軸に沿って貫通する連通孔2a内を延びて配設されたプッシュロッド18の先端がこのプッシュロッド18の長手軸方向と同一軸上に設けられたプルロッド17に当接している。なお、プッシュロッド18の基端はクラッチスレーブシリンダ21を構成するクラッチスレーブピストン23と当接している。これらクラッチスレーブシリンダ21、プッシュロッド18、プルロッド17さらには後述するクラッチ作動入力アッセンブリ80からなる構成をクラッチアクチュエータ20と称する。
クラッチ機構CLには、クラッチレバー5から延びるクラッチケーブル59の端部に繋がるクラッチ作動入力アッセンブリ80が取り付けられている。このクラッチ作動入力アッセンブリ80は、クラッチケーブル取付部材81、取付ピン82、クラッチアーム83、シャフト部材84等を有して構成される。
クラッチケーブル59の端部は、断面略U字状のクラッチケーブル取付部材81に取り付け固定され、このクラッチケーブル取付部材81は、取付ピン82によりクラッチアーム83の一端側に取り付けられている。また、上下に延びる略円柱状のシャフト部材84が、クラッチアーム83の他端側に形成されたシャフト嵌挿孔83aに嵌挿されている。シャフト部材84は、その上下に延びる長手軸方向を回動中心として回動可能である。シャフト部材84にはプルロッド17の一端を嵌挿するプルロッド嵌挿孔84aが形成されている。プルロッド17の先端には他の部分よりも径の小さい縊部17bが形成されており、この縊部17bがプルロッド嵌挿孔84aに嵌挿され、縊部17bよりも先端側であって縊部17bに比べて径の大きいプルロッド端部17cがシャフト部材84内部に入り込んでいる。このため、クラッチケーブル59が引かれるとクラッチアーム83を介してシャフト部材84が回動し、シャフト部材84の回動とともにプルロッド端部17cが図3における右方向に引っ張られ、プルロッド17全体が図3における右方向に移動して、押圧部材15が押圧スプリング16の付勢に抗して右方向に移動し、クラッチ機構CLが解放される。
シャフト部材84の下端部の外周にはリターンスプリング85が巻き付けられ、リターンスプリング85の一端はシャフト部材84に固定され他端はハウジングHGに固定されている。このため、クラッチケーブル59が引かれた状態から戻されると、リターンスプリング85の付勢力により、シャフト部材84がクラッチケーブル59が引かれたときとは逆方向に回動し、プルロッド17が図3における左方向に戻され、押圧スプリング16の付勢力によりセパレータプレート13およびフリクションプレート14が摩擦係合する。すなわち、クラッチケーブル59の引き戻しをすることで、プルロッド17を可動させてクラッチ機構CLの断接作動が行われる。
本実施例では、上記のようなクラッチケーブル59の引き戻しのほか、以下のような構成により、クラッチ機構CLの断接作動が行われる。クラッチスレーブシリンダ21は、クラッチスレーブシリンダケース22と、このクラッチスレーブシリンダケース22のシリンダ孔内に嵌挿配設されたクラッチスレーブピストン23と、シリンダ孔内においてクラッチスレーブピストン23に囲まれて形成されるクラッチスレーブ油圧室24内に配置されたスプリング25とから構成される。クラッチスレーブシリンダケース22にはクラッチスレーブ油圧室24に連通する入口ポート24aが設けられており、クラッチスレーブシリンダ21は入口ポート24aからアシスト油圧ライン47を介して供給されるアシスト油圧をクラッチスレーブ油圧室24内に受けるようになっている。このようにクラッチスレーブ油圧室24内にクラッチ作動油圧が供給されると、クラッチスレーブピストン23が軸方向に押圧されて移動し、プッシュロッド18を図3における右方向に押圧移動させる。この結果、プッシュロッド18がプルロッド17を右方向に押圧移動させてクラッチ機構CLを解放させることができる。なお、スプリング25はクラッチ作動油圧が供給されていない状態でプッシュロッド18の遊びをなくすためのものである。
次に、アシスト油圧ライン47にアシスト油圧を供給する装置構成について説明する。この装置は、クラッチレバー5の操作に応じてアシスト圧を発生させるアシスト圧発生装置30を備えて構成される。なお、図2に示すように、アシスト圧発生装置30はフロントカバーFCの内側に位置してメインフレームMFに取り付けられている。
ここで、アシスト圧発生装置30の構成および作動について、図4〜図10を併用して説明する。アシスト圧発生装置30は、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けて駆動する横置きされた電動モータ31と、アイドラギヤ33bを介して電動モータ31の回転駆動力を受けて回転駆動されるクランクシャフト34を有したクランクケース32と、クランクケース32に対して電動モータ31の側に配設された第1回転角度センサ39と、クランクケース32の中央部から上方に延びて設けられたモータアクチュエータ40と、モータアクチュエータ40に配管45aを介して繋がったリザーバタンク45とを有して構成される。
クランクシャフト34の下方には、クランクケース32に固定されて略水平に延びるアイドラ軸33a及びこのアイドラ軸33aに対してベアリング33cを介して回転自在に軸支されたアイドラギヤ33b,33dが設けられている。アイドラギヤ33bは、略水平に延びる電動モータ31の回転軸31aの先端に設けられたギヤ部31bと噛合し、アイドラギヤ33bと一体形成されたアイドラギヤ33dがクランクシャフト34のギヤ部34gと噛合している。電動モータ31が回転すると、電動モータ31の回転駆動力がアイドラギヤ33b,33dを介してクランクシャフト34に伝達される。
クランクシャフト34は、ギヤ部34gがアイドラギヤ33dと噛合してベアリング36aにより回転自在支持された、いわゆるクランクウェイト状の(略扇形状の)駆動クランクシャフト34aと、この駆動クランクシャフト34aに回転軸方向に延びて形成された嵌合穴34dと嵌合される嵌合軸34cを有し、ベアリング36bにより回転自在支持された従動クランクシャフト34bとからなる。
駆動クランクシャフト34aにおける従動クランクシャフト34bと反対側には、コネクタジョイント35を介して第1回転角度センサ39が取り付けられ、クランクシャフト34の回転角度が検出される。従動クランクシャフト34bの嵌合軸34cは、ベアリング37を介してモータアクチュエータ40を構成するピストン42に一体に繋がって下方に延びるピストンロッド42aの下端が当接している。また、図6および図7に示すように、クランクシャフト34の回転軸と略平行に延びるようにして、略円柱状のストッパーピン38が配設されている。駆動クランクシャフト34aは、その端面34eがストッパーピン38と当接する位置(図6および図7参照)から端面34fがストッパーピン38と当接する位置までの間で往復回転運動を行えるように構成されている。
モータアクチュエータ40は、クランクケース32と一体に結合されて上方に延びたシリンダケース41と、このシリンダケース41のシリンダ孔内においてピストン42に囲まれて形成される油圧室43内に配設された押し下げスプリング44とを有して構成される。ピストン42に一体に繋がって下方に延びるピストンロッドの下端部は、上述したように、従動クランクシャフト34bと当接している。また、リザーバタンク45は配管45aを介して開口ポート45b,45cにおいてシリンダケース41の中間部に接続している。このため、リザーバタンク45内の作動油を開口ポート45b,45cを介してシリンダ孔内に供給できるようになっている。ピストン42の上部外周にはプライマリーカップ46aが密着するようにして装着され、ピストン42の上下方向中央部外周にはセカンダリーカップ46bが同じく密着するようにして装着されている。これらプライマリーカップ46aおよびセカンダリーカップ46bは、リザーバタンク45から供給される作動油がピストン42とシリンダケース41の内壁との間からピストン42の下方に向かって漏れ出ないようにするためのものである。
ここで、さらに詳細に説明すると、図9に示すように、クランクシャフト34の端面34eがストッパーピン38に当接している状態においては、ベアリング37に下端が当接するピストンロッド42aは、その下死点の位置に位置する。この状態では、ピストン42のプライマリーカップ46aのシール面の上端が配管45aの開口ポート45cよりも下側であって開口ポート45bよりも上側に位置して、油圧室43が配管45aを介してリザーバタンク45と連通する(図10参照)。この結果、リザーバタンク45内の作動油が油圧室43内に供給される。
ここで、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けた電動モータ31の駆動により駆動クランクシャフト34aが図9における矢印C方向に回動し、駆動クランクシャフト34aの端面34fがストッパーピン38と当接すると(図9において2点鎖線で示す)、ベアリング37に下端が当接するピストンロッド42aは、押し下げスプリング44の付勢に抗して上動し、下死点よりも長さDだけ上方の上死点の位置に位置する。この上動により、ピストン42の上端が開口ポート45cを通りすぎて開口ポート45cが閉塞され、油圧室43内の作動油がピストン42の上動に対応して圧縮されて昇圧される。
ここで、プライマリーカップ46aとシリンダケース41との密着部がピストン42の上動により開口ポート45cを通り過ぎるまでは、この開口ポート45cを介して配管45aの側に流れ出る作動油もあるため油圧室43内の作動油の昇圧は緩やかとなり、開口ポート45cを通り過ぎた後に油圧室43内の作動油の昇圧が急峻となる。すなわち、図10の拡大図において示すように、長さEがピストン42の無効ストロークとなっている。このようにして油圧室43内の作動油が圧縮されて昇圧されると、油圧室43内の作動油がアシスト油圧ライン47を介してクラッチアクチュエータ20に供給される。
さらに、この状態から、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けて電動モータ31が反転駆動され、駆動クランクシャフト34aが矢印Cとは逆方向に回転駆動されると、押し下げスプリング44の付勢によりピストン42が下動し、その下死点の位置にまで戻される。すなわち、電動モータ31の駆動により駆動クランクシャフト34aが矢印Cおよび矢印Cとは逆方向に回動すると、ピストン42は図9における長さDをストロークとして上下動することになる。そして、油圧室43内の作動油のアシスト油圧ライン47を介したクラッチアクチュエータ20への供給と、リザーバタンク45内の作動油の油圧室43内への供給とが行われる。
次に、上述したようなプルロッド17を作動させてクラッチ機構CLを解放するための操作を行うクラッチレバー5周辺の構造について、図11乃至図14を用いて説明する。
クラッチレバー5はクラッチレバーピボット51aを回動中心として回動自在にクラッチレバーブラケット52に取り付けられている。クラッチレバーブラケット52の基端側は、取付ボルト56によりクラッチレバーブラケット52およびブラケット取付ホルダ53がハンドルパイプ54を挟持した状態でブラケット取付ホルダ53に締結されている。クラッチレバー5は、ライダーが左手で握るようにして操作されて、図11において矢印Aで示す方向に回動するように構成されている。図11において実線で示す状態のクラッチレバー5を、クラッチレバーピボット51aを回動中心として矢印A方向に回動させると、クラッチレバー5は図11において2点鎖線にて示すように左側手握部6に近接する状態になる。
クラッチレバー5の基端部には、クラッチケーブル59の端部をクラッチレバー5に取り付けるためのケーブル取付部5aが内部に向けて凹んで形成されている。端部がケーブル取付部5aに取り付けられたクラッチケーブル59は、固定ねじ58a及び調整ねじ58bに通されて上述の変速機TM側のクラッチケーブル取付部材81に繋げられる。このため、クラッチレバー5を矢印A方向に回動させると、クラッチケーブル59が引かれてクラッチケーブル取付部材81を取り付けたクラッチアーム83(図3参照)が回動し、上述したような機構によりクラッチ機構CLを解放させることが可能である。固定ねじ58aは、調整ねじ58bにより調整されたクラッチケーブル59をその調整された状態に固定するものである。固定ねじ58aを緩めた状態で調整ねじ58bを回せば、クラッチレバー5を矢印A方向に回動させた場合にクラッチアーム83の回動が開始するまでのクラッチレバー5の回動量を調整することができる。すなわち、調整ねじ58bを用いた調整により、クラッチ機構CLの解放作動開始までのクラッチレバー5の遊びの量を調整することが可能である。
図12に示すように、クラッチレバーピボット51aの下端にはこれと同心に第2角度センサ57が取り付けられている。第2角度センサ57の回転部57aに回転アーム57bが一体に取り付けられ、これがクラッチレバー5に圧入されてクラッチレバー5の下面から下方に突出する略円柱状の係合ロッド55と係合している。このため、クラッチレバー5が操作されてクラッチレバーピボット51aを中心として回動すると、係合ロッド55およびこれに係合した回転アーム57bを介して回転部57aが同様に回転し、第2回転角度センサ57によりクラッチレバー5の操作角度(クラッチレバー5の回転量)を検出できる。
以上の構成において、図1に示すように、電動モータ31の駆動はコントロールユニット90から駆動制御ライン95を介して送られる制御信号に基づいて制御され、この制御を行うため、コントロールユニット90には、第1回転角度センサ39からのクランクシャフト34の回転角度検出信号と、第2回転角度センサ57からのクラッチレバー操作角度信号とが信号ライン90a,90bを介して入力される。また、自動二輪車におけるライダーの操作可能な位置にアシスト力設定つまみ91が設けられて、アシスト力設定つまみ91の手動操作によりモータアクチュエータ40において発生するアシスト力を0〜3段階の4段階に設定することができるようになっており、このアシスト力設定信号も信号ライン90cを介してコントロールユニット90に送られるようになっている。なお、アシスト力設定は、「0レベル」ではアシスト力を付与せず、「1レベル」から「3レベル」にかけてアシスト力を段階的に大きくするようになっている。
以上のように構成されたクラッチ装置において、クラッチレバー5の操作に伴う作動について説明する。まず、アシスト力設定つまみ91により「0レベル」、すなわちアシスト力を付与しない設定が行われた場合の作動について説明する。
この設定レベルでクラッチレバー5が操作されて矢印A方向に回動されると、クラッチレバー5の回転角度は第2回転角度センサ57により検出され、その検出信号情報が信号ライン90bを介してコントロールユニット90に入力される。ここで、アシスト力設定つまみ91からの「0レベル」信号も信号ライン90cを介して入力されているので、コントロールユニット90はクラッチレバー5の回転角度信号が入力されてもこれを無視し、電動モータ31に駆動信号ライン95を介した駆動信号を送ることなく、これは静止保持される。このため、モータアクチュエータ40からクラッチスレーブシリンダ21に油圧が供給されることもなく、クラッチスレーブピストン23は、スプリング25の付勢を受けて左動した状態で保持される。
また、クラッチレバー5の操作によりクラッチケーブル59が引かれてクラッチアーム83が回動し、これによりシャフト部材84が回動する。シャフト部材84が回動するとプルロッド17が引かれてクラッチ機構CLの解放が行われる。このように、アシスト力設定つまみ91により「0レベル」が設定された状態では、クラッチレバー5の回動操作によるライダーの操作力のみによりクラッチ機構CLの解放作動がなされる。すなわち、電動モータ31を駆動させずに、電動モータ31から独立してクラッチ機構CLを解放させてエンジンの動力伝達を切断することが可能である。
次に、アシスト力設定つまみ91により「1〜3レベル」のいずれかのレベルが設定された場合の作動について説明する。この設定レベルでクラッチレバー5が操作されて矢印A方向に回動されると、「0レベル」に設定された場合と同じようにプルロッド17が引かれてクラッチレバー5の回動操作によるライダーの操作力によりクラッチ機構CLの解放が行われる。また、クラッチレバー5の矢印A方向への回動とともにその回転角度が第2回転角度センサ57により検出され、その検出情報信号が信号ライン90bを介してコントロールユニット90に入力される。このとき、コントロールユニット90はこのように入力されたクラッチレバー5の回転角度信号に応じて電動モータ31に駆動信号を送り、これを回転駆動する。これにより、上述したクランクシャフト34が回転駆動されてモータアクチュエータ40からクラッチスレーブシリンダ21にアシスト油圧が供給される。
なお、このとき、クランクシャフト34の回転角度が第1回転角度センサ39により検出され、その検出信号が信号ライン90aを介してコントロールユニット90に送られる。これを受けたコントロールユニット90は、クランクシャフト34の実際の回転角度位置を算出し、電動モータ31の駆動補正を行う。すなわち、第1角度センサ39からの信号をフィードバック情報として用いて、クラッチレバー5の操作に応じた正確なアシスト力が得られるように、電動モータ31の駆動制御を行う。
このようにして電動モータ31が駆動されてモータアクチュエータ40からクラッチスレーブシリンダ21にアシスト油圧が供給されると、このアシスト油圧を受けてクラッチスレーブピストン23が図3において右動され、プッシュロッド18を右方向に押圧する。この押圧力がクラッチレバー5の操作をアシストする力となり、ライダーが操作するクラッチレバー5の操作力が軽減される。この場合において、コントロールユニット90は、設定レベルに応じて電動モータ31の駆動制御内容を変え、クラッチレバー5の操作に対応するアシスト力のゲイン調整を行う。具体的には、設定レベル1ではゲインを小さくして、アシスト力を比較的小さく抑え、設定レベル3ではゲインを大きくして、アシスト力が大きくなるように電動モータ31の駆動制御を行う。
次に、本発明の第2の実施の形態について図15乃至図23を参照して説明する。ここでは、上記実施例1とは相違する部分を中心に説明する。本実施例におけるクラッチ機構CLを解放するには、上記実施例1と同様に押圧部材15を押圧スプリング16の付勢方向と反対方向(図17における右方向)に移動させてセパレータプレート13およびフリクションプレート14を押圧させる力を解放してこれらの摩擦係合を解放するが、この作動を行わせるための構成が実施例1とは異なる。
押圧部材15を移動させるための構成として、押圧部材15の内周部にベアリング17aを介して受け部材217が配設されており、入力シャフト2の中心軸に沿って貫通する連通孔2a内を延びて配設されたプッシュロッド18の先端がプッシュロッド18の長手軸方向と同一軸上に設けられた受け部材217に当接している。なお、プッシュロッド18の基端はクラッチスレーブシリンダ21を構成するクラッチスレーブピストン23と当接している。これらクラッチスレーブシリンダ21、プッシュロッド18および受け部材217からなる構成をクラッチアクチュエータ220と称する。
本実施例におけるクラッチ機構CLには、実施例1とは異なり、シャフト部材84やプルロッド17といったクラッチケーブル59に繋がるものが取り付けられておらず、クラッチレバー5から延びるクラッチケーブル59は、クラッチ機構CLの側には取り付けられていない。本実施例においてはクラッチケーブル59は、後述する従動クランクシャフト234bの端部側に取り付けられるクラッチケーブル取付部材281に取り付けられている。
クラッチスレーブシリンダ21の構成は上記実施例1と同様であり、クラッチスレーブシリンダケース22の入口ポート24aからアシスト油圧ライン47を介して供給されるアシスト油圧をクラッチスレーブ油圧室24内に受けるようになっている。クラッチスレーブ油圧室24内にクラッチ作動油圧が供給されると、クラッチスレーブピストン23が軸方向に押圧されて移動し、プッシュロッド18を図17における右方向に押圧移動させる。この結果、プッシュロッド18が受け部材217を右方向に押圧移動させてクラッチ機構CLを解放させることができる。
次に、アシスト油圧ライン47にアシスト油圧を供給する装置構成について説明する。この装置は、クラッチレバー5の操作に応じてアシスト圧を発生させるアシスト圧発生装置230からなる。なお、図16に示すように、アシスト圧発生装置230はフロントカバーFCの内側に位置してメインフレームMFに取り付けられている。
アシスト圧発生装置230は、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けて駆動する横置きされた電動モータ31と、アイドラギヤ33bおよび駆動ギヤ241を介して電動モータ31の回転駆動力を受けて回転駆動されるクランクシャフト234を有したクランクケース32と、クランクケース32に対して電動モータ31の側に配設された第1回転角度センサ39と、クランクケース32の中央部から上方に延びて設けられたモータアクチュエータ40と、モータアクチュエータ40に配管45aを介して繋がったリザーバタンク45とを有して構成される。
クランクシャフト234の下方には、クランクケース32に固定されて略水平に延びるアイドラ軸33a及びこのアイドラ軸33aに対してベアリング33cを介して回転自在に軸支されたアイドラギヤ33b,33dが設けられている。アイドラギヤ33bは、略水平に延びる電動モータ31の回転軸31aの先端に設けられたギヤ部31bと噛合し、アイドラギヤ33bと一体形成されたアイドラギヤ33dが駆動ギヤ241と噛合している。
駆動ギヤ241の内周にはワンウェイクラッチ240が嵌合されている。また、クランクシャフト234は、ワンウェイクラッチ240の内周に嵌合されベアリング36aにより回転自在支持された駆動クランクシャフト234aと、この駆動クランクシャフト234aに回転軸方向に延びて形成された嵌合穴234dと嵌合される嵌合軸234cを有し、ベアリング36bにより回転自在支持された従動クランクシャフト234bとからなる。駆動クランクシャフト234aには、2つのストッパ面234e,234fがラジアル方向に突出形成されている。
ワンウェイクラッチ240は、駆動クランクシャフト234aが駆動ギヤ241に対して反対の回転方向に相対回転するのを規制し、駆動クランクシャフト234aが駆動ギヤ241に対して同一の回転方向に相対回転するのを許容する。このため、電動モータ31が回転すると、回転駆動力がアイドラギヤ33b,33dを介して駆動ギヤ241に伝達され、ワンウェイクラッチ240により駆動ギヤ241および駆動クランクシャフト234aが一体回転する。すなわち、電動モータ31の側から駆動クランクシャフト234aの側へは電動モータ31の駆動力が伝達される。一方、駆動クランクシャフト234aが駆動ギヤ241に対して同一の回転方向に相対回転することは許容されるため、駆動クランクシャフト234aは駆動ギヤ241に対して自由回転(空転)し、駆動クランクシャフト234aの側から電動モータ31の側への駆動力の伝達は行われない。
駆動クランクシャフト234aの従動クランクシャフト234bと反対側には、コネクタジョイント35を介して第1回転角度センサ39が取り付けられ、クランクシャフト234の回転角度が検出される。従動クランクシャフト234bの嵌合軸234cは、ベアリング37を介してモータアクチュエータ40を構成するピストン42に一体に繋がって下方に延びるピストンロッド42aの下端が当接している。また、図20および図21に示すように、駆動クランクシャフト234aの外周側から駆動クランクシャフト234aの回転軸に向けて略水平に延びるようにして、略円柱状のストッパーピンボルト238が配設されている。駆動クランクシャフト234aは、そのストッパ面234eがストッパーピンボルト238と当接する位置(図20および図21参照)からストッパ面234fがストッパーピンボルト238と当接する位置までの間で往復回転運動を行えるように構成されている。
従動クランクシャフト234bは外部からの異物の侵入を防止するダストシール232aを通してクランクケース32の外部に延びており、クランクケース32の外部に延びた従動クランクシャフト234bのアーム嵌合部234gが、レバーアーム283の嵌挿孔283aに嵌挿されている。固定ナット284がアーム嵌合部234gの端部に設けられており、アーム嵌合部234gに嵌合されたレバーアーム283がアーム嵌合部234gから抜けないようになっていて、レバーアーム283の回動とともに従動クランクシャフト234bが一体に回動する。レバーアーム283の先端側にはクラッチケーブル取付部材281が取付ピン282により取付固定されている。クラッチケーブル取付部材281には、クラッチレバー5から延びるクラッチケーブル59の端部が取り付けられている。クラッチケーブル59が引かれてクラッチケーブル取付部材281とともにレバーアーム283が回動すると、これとともに従動クランクシャフト234bがクラッチケーブル取付部材281の回動方向と同じ方向に回転する。
モータアクチュエータ40の構成は、実施例1と同様であり、ピストン42に一体に繋がって下方に延びるピストンロッド42aの下端部は、従動クランクシャフト234bと当接している。また、リザーバタンク45は配管45aを介して開口ポート45b,45cにおいてシリンダケース41の中間部に接続している。このため、リザーバタンク45内の作動油を開口ポート45b,45cを介してシリンダ孔内に供給できるようになっている。
クラッチケーブル59が引かれるとレバーアーム283を介して従動クランクシャフト234bが回転し、ピストン42が押し下げスプリング44の付勢に抗して上動して、油圧室43内の作動油がアシスト油圧ライン47を介してクラッチアクチュエータ20に供給される。クラッチアクチュエータ20に作動油が供給されると、受け部材217が図17における右方向に移動して、押圧部材15が押圧スプリング16の付勢に抗して移動し、クラッチ機構CLが解放される。
図23(a)に示すように、駆動クランクシャフト234のストッパ面234eがストッパーピンボルト238に当接している状態においては、ベアリング37に下端が当接するピストンロッド42aは、その下死点の位置に位置する。この状態では、ピストン42のプライマリーカップ46aのシール面の上端が配管45aの開口ポート45cよりも下側であって開口ポート45bよりも上側に位置して、油圧室43が配管45aを介してリザーバタンク45と連通する。この結果、リザーバタンク45内の作動油が油圧室43内に供給される。
ここで、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けた電動モータ31の駆動により駆動クランクシャフト234aが図23(a)における矢印H方向に回動し、駆動クランクシャフト234aのストッパ面234fがストッパーピンボルト238と当接すると(図23(a)において2点鎖線で示す)、ベアリング37に下端が当接するピストンロッド42aは、押し下げスプリング44の付勢に抗して上動し、その上死点の位置に位置する。この上動により、ピストン42の上端が開口ポート45cを通りすぎて開口ポート45cが閉塞され、油圧室43内の作動油がピストン42の上動に対応して圧縮されて昇圧される。このようにして油圧室43内の作動油が圧縮されると、油圧室43内の作動油がアシスト油圧ライン47を介してクラッチアクチュエータ20に供給される。
さらに、この状態から、コントロールユニット90からの駆動信号の入力を受けて電動モータ31が反転駆動され、駆動クランクシャフト234aが矢印Hとは逆方向に回転駆動されると、押し下げスプリング44の付勢によりピストン42が下動し、その下死点の位置にまで戻される。すなわち、電動モータ31の駆動により駆動クランクシャフト234aが矢印Hおよび矢印Hとは逆方向に回動すると、ピストン42は長さJをストロークとして上下動することになる。そして、リザーバタンク45内の作動油の油圧室43内への供給と、油圧室43内の作動油のアシスト油圧ライン47を介したクラッチアクチュエータ20への供給が行われる。
なお、上述したような受け部材217を作動させてクラッチ機構CLを解放するための操作を行うクラッチレバー5周辺の構造については、上記実施例1と同様である。
以上の構成において、図15に示すように、電動モータ31の駆動はコントロールユニット90から駆動制御ライン95を介して送られる制御信号に基づいて制御され、この制御を行うため、コントロールユニット90には、第1回転角度センサ39からのクランクシャフト234の回転角度検出信号と、第2回転角度センサ57からのクラッチレバー操作角度信号とが信号ライン90a,90bを介して入力される。また、実施例1と同様に、アシスト力設定つまみ91の手動操作によりモータアクチュエータ40において発生するアシスト力を0〜3段階の4段階に設定することができるようになっている。
以上のように構成されたクラッチ装置において、クラッチレバー5の操作に伴う作動について説明する。まず、アシスト力設定つまみ91により「0レベル」、すなわちアシスト力を付与しない設定が行われた場合の作動について説明する。
この設定レベルでクラッチレバー5が操作されて矢印A方向に回動されると、クラッチレバー5の回転角度は第2回転角度センサ57により検出され、その検出信号情報が信号ライン90bを介してコントロールユニット90に入力される。ここで、アシスト力設定つまみ91からの「0レベル」信号も信号ライン90cを介して入力されているので、コントロールユニット90はクラッチレバー5の回転角度信号が入力されてもこれを無視し、電動モータ31に駆動信号を送ることなく、これは静止保持される。
また、クラッチレバー5の操作によりクラッチケーブル59が引かれると、レバーアーム283が回動しクランクシャフト234が回動してモータアクチュエータ40のピストン42が上動し、モータアクチュエータ40からクラッチ作動油圧ラインを介してクラッチスレーブシリンダ21に油圧が供給される。クラッチスレーブシリンダ21に油圧が供給されると、プッシュロッド18が押されてクラッチ機構CLの解放が行われる。このように、アシスト力設定つまみ91により「0レベル」が設定された状態では、電動モータ31を駆動させずに、クラッチ機構CLを解放させる。
次に、アシスト力設定つまみ91により「1〜3レベル」のいずれかのレベルが設定された場合の作動について説明する。この設定レベルでクラッチレバー5が操作されて矢印A方向に回動されると、その回転角度は第2回転角度センサ57により検出され、その検出情報信号が信号ライン90bを介してコントロールユニット90に入力される。このとき、コントロールユニット90はこのように入力されたクラッチレバー5の回転角度信号に応じて電動モータ31に駆動信号を送り、これを回転駆動する。これにより、電動モータ31によりクランクシャフト234が回転駆動されてモータアクチュエータ40からクラッチスレーブシリンダ21にクラッチ作動油圧が供給される。
なお、このとき、クランクシャフト234の回転角度が第1回転角度センサ39により検出され、その検出信号が信号ライン90aを介してコントロールユニット90に送られる。これを受けたコントロールユニット90は、クランクシャフト234の実際の回転角度位置を算出し、電動モータ31の駆動補正を行う。すなわち、第1角度センサ39からの信号をフィードバック情報として用いて、クラッチレバー5の操作に応じた正確なアシスト力が得られるように、電動モータ31の駆動制御を行う。
このようにして電動モータ31が駆動されてモータアクチュエータ40からクラッチスレーブシリンダ21にクラッチ作動油圧が供給されると、このクラッチ作動油圧を受けてクラッチスレーブピストン23が図17において右動され、プッシュロッド18を右方向に押圧する。この押圧力がクラッチレバー5の操作をアシストする力となり、ライダーが操作するクラッチレバー5の操作力が軽減される。この場合において、コントロールユニット90は、設定レベルに応じて電動モータ31の駆動制御内容を変え、クラッチレバー5の操作に対応するアシスト力のゲイン調整を行う。具体的には、設定レベル1ではゲインを小さくして、アシスト力を比較的小さく抑え、設定レベル3ではゲインを大きくして、アシスト力が大きくなるように電動モータ31の駆動制御を行う。
次に、本発明の第3の実施の形態について図24乃至図31を用いて説明する。ここでは、上記実施例1と相違する部分を中心に説明する。
本実施例におけるクラッチアクチュエータ320を構成するクラッチスレーブシリンダ321は、第1ケース322aおよび第2ケース322bからなるクラッチスレーブシリンダケース322と、第1ケース322aのシリンダ孔内に嵌挿配設されプッシュロッド18の端部に当接する第1クラッチスレーブピストン323bと、第2ケース322bのシリンダ孔内に嵌挿配設された第2クラッチスレーブピストン323aと、第1ケース322aのシリンダ孔内において第1クラッチスレーブピストン323bに囲まれて形成されるクラッチスレーブ油圧室326内に配置されたリターンスプリング325とから構成される。第1クラッチスレーブピストン323bとプッシュロッド18との間には、外部からの異物の侵入を防止するダストシール327が設けられている。
第1ケース322aにはクラッチスレーブ油圧室326に連通する入口ポート326aが設けられており、クラッチスレーブシリンダ321は入口ポート326aからアシスト油圧ライン47を介して供給されるアシスト油圧をクラッチスレーブ油圧室326内に受けるようになっている。また、第2ケース322bには第2ケース322bのシリンダ孔内において第2クラッチスレーブピストン323aに囲まれて形成されるクラッチスレーブ油圧室324に連通する入口ポート324aが設けられており、クラッチスレーブシリンダ321は入口ポート324aからクラッチ作動油圧ライン27を介して供給されるクラッチ作動油圧をクラッチスレーブ油圧室324内に受けるようになっている。
第1ケース322aにおけるクラッチスレーブ油圧室326に連通する嵌挿孔には、エア抜きボルト328が嵌挿締結され、同様に第2ケース322bにおけるクラッチスレーブ油圧室324に連通する嵌挿孔には、エア抜きボルト328が嵌挿締結されている。これらエア抜きボルト328は、クラッチスレーブ油圧室324,326に供給される作動油に混入した気泡をクラッチスレーブ油圧室324,326の外に逃がし、第1クラッチスレーブピストン323bおよび第2クラッチスレーブピストン323aへの作動油の押圧力の低下を防止するためのものである。
このように本実施例においては、クラッチスレーブシリンダ321は第1ケース322aおよび第2ケース322bを有して構成されるが、モータアクチュエータ40によるアシスト油圧を利用せずにクラッチマスターシリンダ70(詳細は後述する)からクラッチ作動油圧ライン27を介して供給されるクラッチ作動油圧のみを利用してクラッチ機構CLを作動させる場合には、第1ケース322aを取り付けずに第2ケース322bを直接クラッチ機構CLの側に取り付けるようにしてもよく、また必要に応じて第1ケース322aを取り付ける(第1ケース322aをクラッチ機構CLの側と第2ケース322bとで挟むようにして)ことが可能であるため、クラッチスレーブシリンダ321の構成の変更を簡単に行うことが可能である。
上記のようなクラッチスレーブシリンダ321の構成の下、クラッチスレーブ油圧室324内にクラッチ作動油圧が供給されると、第2クラッチスレーブピストン323aが軸方向に押圧されて移動し、この移動により第1クラッチスレーブピストン323bが押されてプッシュロッド18を図26における右方向に押圧移動させる。また、クラッチスレーブ油圧室326内にアシスト油圧が供給されると、第1クラッチスレーブピストン323bが軸方向に押圧されて移動し、プッシュロッド18を図26における右方向に押圧移動させる。すなわち、クラッチスレーブ油圧室324およびクラッチスレーブ油圧室326のうちのいずれか、もしくは、クラッチスレーブ油圧室324およびクラッチスレーブ油圧室326のいずれにも油圧が供給された場合、プッシュロッド18が受け部材317を右方向に押圧移動させてクラッチ機構CLを解放させることができる。
なお、電動モータ31の回転駆動力によりクラッチスレーブシリンダ321にアシスト油圧を供給するモータアクチュエータ40の構成は、上記実施例1と同様である。
次に、クラッチ機構CLを解放するための操作を行うクラッチレバー5周辺の本実施例における構成について、図28および図29を主に用いて説明する。本実施例では、クラッチ作動油圧ライン27にクラッチ作動油圧を供給するクラッチ作動油圧発生装置50を備えており、このクラッチ作動油圧発生装置50はクラッチレバー5の操作に応じてクラッチ作動油圧を発生させる。クラッチ作動油圧発生装置50は、クラッチレバー5の操作に連動して作動してクラッチ作動油圧を作り出すクラッチマスターシリンダ70を有して構成される。
クラッチマスターシリンダ70は、ステアリングハンドルSH(図25参照)の左側部に固設されたクラッチマスターシリンダケース71と、このクラッチマスターシリンダケース71のシリンダ孔内に嵌挿配設されたクラッチマスターピストン72と、クラッチマスターピストン72を図28、図29において左方に付勢するリターンスプリング74とを備えて構成される。クラッチマスターシリンダケース71のシリンダ孔内においてクラッチマスターピストン72に囲まれてクラッチマスター油圧室73が形成されており、これが連結ポート73aを介してクラッチ作動油圧ライン27に繋がっている。ピストン72の右端部外周にはプライマリーカップ76aが密着するようにして装着され、ピストン72の左右方向中央部よりも左側の外周にはセカンダリーカップ76bが同じく密着するようにして装着されている。これらプライマリーカップ76aおよびセカンダリーカップ76bは、作動油貯留部78から供給される作動油がピストン72とシリンダケース71の内壁との間からピストン72の左方に向かって漏れ出ないようにするためのものである。
クラッチマスターシリンダケース71は、ステアリングハンドルSHに固定されており、ここにクラッチレバー5がピン351aにより回動自在に取り付けられている。クラッチレバーはライダーが左手で握るようにして操作されて、図において矢印Aで示す方向に回動するように構成されている。なお、図28および図29はクラッチレバー5の非操作状態(クラッチ接続状態)を示す。
連結ロッド75が、先端部75aがクラッチマスターピストン72の基端側凹部72a内に入り込んでこれと当接嵌合し、基端部75bはクラッチレバー5の基端部5aに連結されている。但し、クラッチレバー5の基端部5aには上下に貫通する貫通孔53aと側面側から貫通孔53aに貫通して延びる取付スロット53bが形成されているだけで、連結ロッド75の基端部75bは取付スロット53bから挿入されている。
ピン51aの下端には、第2回転角度センサ57が取り付けられている。第2回転角度センサ57の回転部357aに回転アーム357bが一体に取り付けられ、これがクラッチレバー5に圧入されて下方に突出する係合ロッド355と係合している。このため、クラッチレバー5が操作されてピン351aを中心として矢印A方向に回動すると、係合ロッド355および回転アーム357bを介して回転部357aが同様に回転し、第2回転角度センサ57によりクラッチレバー5の操作角度(クラッチレバー5の回転量)を検出できる。
ここで、図28および図29に示すように、クラッチレバー5が操作されていない状態においては、連結ロッド72に左端部が当接するピストン72は、その左死点の位置に位置する。この状態では、ピストン72のプライマリーカップ76aのシール面の右端が開口ポート77bよりも右側であって開口ポート77aよりも左側に位置して、油圧室73が作動油貯留部78と連通する。この結果、作動油貯留部78内の作動油が油圧室73内に供給される。
ライダーの操作によりクラッチレバー5が図28における矢印A方向に回動し、これとともに連結ロッド75が図28および図29において右動すると、連結ロッド75に左端部が当接するピストン72は、リターンスプリング74の付勢に抗して図28および図29において右動し、その右死点の位置に位置する。この右動により、ピストン72の右端が開口ポート77aを通り過ぎて開口ポート77aが閉塞され、油圧室73内の作動油がピストン72の右動に対応して圧縮されて昇圧される。
ここで、プライマリーカップ76aとシリンダケース71との密着部がピストン72の右動により開口ポート77aを通り過ぎるまでは、この開口ポート77aを介して作動油貯留部78の側に流れ出る作動油もあるため油圧室73内の作動油の昇圧は緩やかとなり、当該密着部が開口ポート77aを通り過ぎた後に油圧室73内の作動油の昇圧が急峻となる。すなわち、図29の拡大図において示すように、長さLがピストン72の無効ストロークとなっている。このようにして油圧室73内の作動油が圧縮されて昇圧されると、油圧室73内の作動油がクラッチ作動油圧ライン27を介してクラッチアクチュエータ320に供給される。
図24に示すように、コントロールユニット90には、第1回転角度センサ39からのクランクシャフト34の回転角度検出信号と、第2回転角度センサ57からのクラッチレバー操作角度信号とが信号ライン90a,90bを介して入力される。また、自動二輪車におけるライダーの操作可能な位置にアシスト力設定つまみ91が設けられて、アシスト力設定つまみ91の手動操作によりモータアクチュエータ40において発生するアシスト力を0〜3段階の4段階に設定することができるようになっており、このアシスト力設定信号も信号ライン90cを介してコントロールユニット90に送られるようになっている。
ここで、図30を参照して、クラッチレバー5の操作に伴うコントロールユニット90によるクラッチ機構CL作動時におけるアシスト制御の時間変化について説明する。なお、図30は図示するように、第1回転角度センサ39により検出されるクランクシャフト34の回転量(ピストンロッド42aが下死点の位置に位置する状態からのクランクシャフト34の回転角θ1)の時間変化、第2回転角度センサ57により検出されるクラッチレバー5の操作量(回転角θ2)の時間変化、モータアクチュエータ40の油圧室43内のアシスト油圧P1の時間変化、クラッチマスターシリンダケース71のクラッチマスター油圧室73に発生する作動油圧P2の時間変化およびプッシュロッド18の左動位置(クラッチ作動油圧が供給されていない状態)からの右方向への移動量(ストロークS)の時間変化を示している。プッシュロッド18は押圧力により弾性変位するため、ストロークSはプッシュロッド18に掛かる押圧力に比例したものとなる。
まず、時間t0においてライダーによりクラッチレバー5の回動操作が開始されたとする。図に示すように、クラッチレバー5の回動開始とともに、第2回転角度センサ57の検出に基づくクラッチレバー5の回転角θ2(操作角度)が上昇する(矢印A方向、すなわち平面視反時計方向を正の方向とする)。そして、クラッチレバー5の回動開始後、時間t1経過後に第1クランクシャフト34の回転角θ1が上昇するようにコントロールユニット90により制御される。すなわち、クラッチレバー5の回動開始後、時間t1経過後に電動モータ31の駆動が開始される。
電動モータ31の駆動の開始後、時間t2においてモータアクチュエータ40の油圧室43内のアシスト油圧P1の上昇が開始される。このように、アシスト油圧P1の上昇の開始に電動モータ31の駆動の開始に対するタイムラグL1があるのは、図10を用いて上述したように長さE分だけピストン42の無効ストロークが設定されているため、プライマリーカップ46aが開口ポート45cを通り過ぎるまでは油圧室43内の作動油が昇圧されないからである。
続いて、時間t3においてクラッチマスター油圧室73の作動油圧P2の上昇が開始する。作動油圧P2の上昇の開始にクラッチレバー5の回動操作の開始に対するタイムラグL2があるのは、図29を用いて上述したように長さL分だけピストン72の無効ストロークが設定されているため、プライマリーカップ76aが開口ポート77aを通り過ぎるまでは油圧室73内の作動油が昇圧されないからである。
図30に示すように、プッシュロッド18のストロークSの大きさ(プッシュロッド18に掛かる押圧力)は、アシスト油圧P1と作動油圧P2とを加えたものに比例して推移する。なお、図30におけるストロークSの斜線部は、クラッチスレーブシリンダ321にアシスト油圧ライン47を介して供給されるアシスト油圧が供給されず、クラッチマスターシリンダ70からクラッチ作動油圧ライン27を介してクラッチ作動油圧のみが供給される場合のプッシュロッド18のストロークSの大きさである。このようにストロークSは、アシスト油圧が供給されない場合と比較して大きくなる。
ここで、クラッチマスター油圧室73の作動油圧P2の上昇に先んじて、モータアクチュエータ40の油圧室43のアシスト油圧P1が上昇するように、コントロールユニット90によって制御される。これは、作動油圧P2がアシスト油圧P1よりも先に上昇するように制御されると、クラッチレバー5の回動操作の回動操作時にライダーが受ける作動油圧P2によるレバー反力がアシスト油圧P1の上昇開始により急激に減少するため、ライダーがアシスト油圧P1の上昇開始時に急にクラッチレバー5が軽くなるような違和感を感じることから、これを防止するためである。本実施例のように、アシスト油圧P1が作動油圧P2よりも先に上昇するように制御されることで、アシスト油圧P1の上昇の開始時点においては作動油圧P2が未だゼロレベル(大気圧)であるため、レバー反力の急激な減少を防止することができる。
図30に示すように、時間t4においてプッシュロッド18のストロークSは最大となり、ライダーが後述するシフトペダル61を踏み込むことによるギヤシフトが行われる。その後、時間t4およびt5間でクラッチレバー5の操作が若干戻され、時間t5およびt6間でクラッチレバー5の回転角θ2が一定に保持され、時間t6およびt10間で緩やかにクラッチレバー5が戻される。
クラッチレバー5が元の位置に戻る方向(矢印A方向とは反対の方向)に回動を開始すると、図示するように、時間t7においてクラッチマスター油圧室73の作動油圧P2がゼロレベル(大気圧)にまで降圧され、続いて時間t8においてモータアクチュエータ40の油圧室43のアシスト油圧P1がゼロレベル(大気圧)にまで降圧され、さらに時間t9においてクランクシャフト34の回転角θ1がゼロレベルに戻り、すなわち電動モータ31の駆動が停止し、その後に、時間t10においてクラッチレバー5の操作角度θ2がゼロレベルに戻り、すなわちクラッチレバー5が元の位置に戻ることになる。
クラッチレバー5が元の位置に戻される場合においても、ピストン42の長さEの無効ストロークおよびピストン72の長さLの無効ストロークがあるため、時間t8でアシスト油圧P1がゼロレベルに戻った後、時間t9で電動モータ31の駆動が停止するまでの間にタイムラグL3があり、時間t7で作動油圧P2がゼロレベルに戻った後、時間t10でクラッチレバー5が元の位置に戻るまで停止するまでの間にタイムラグL4がある。
また、クラッチレバー5が元の位置に戻される場合には、モータアクチュエータ40の油圧室43のアシスト油圧P1がゼロレベルにまで降圧される前に、クラッチマスター油圧室73の作動油圧P2がゼロレベルにまで降圧されるように、コントロールユニット90によって制御される。このように制御されることで、アシスト油圧P1がゼロレベルにまで降圧した時点では既に作動油圧P2がゼロレベルにまで降圧されているため、ライダーが受ける作動油圧P2によるレバー反力によりライダーがアシスト油圧P1のゼロレベルへの降圧時点で急にクラッチレバー5が重くなるような違和感を感じるのが防止される。
コントロールユニット90には、上述したような信号ライン90aを介した第1回転角度センサ39からのクランクシャフト34の回転角度検出信号や、信号ライン90bを介した第2回転角度センサ57からのクラッチレバー操作角度信号のほか、信号ライン90dを介してオートクラッチモード切換ボタン92からの切換信号が入力される。このオートクラッチモード切換ボタン92はオンオフ操作可能に構成され、オン操作されるとオートクラッチモードに設定され、オフ操作されるとアシストクラッチモードに設定される。このオートクラッチモード切換ボタン92は、自動二輪車におけるライダーの操作可能な位置に設けられて、ライダーが任意に切換操作可能である。
また、コントロールユニット90には、図示しないエンジンに設けられエンジン回転数Neを検出可能なエンジン回転センサ(不図示)からのエンジン回転信号が入力される。コントロールユニット90は、入力されるエンジン回転数Neに応じてエンジンに燃料および空気を供給する制御を行ってエンジン回転数Neを増加させ、あるいはエンジンへの燃料の供給をカットし点火プラグの点火を停止する制御を行うことでエンジン回転数Neを減少させる。
さらに、コントロールユニット90には、上記のほか、荷重センサ93からの荷重検出信号が荷重信号ライン90eを介して入力される。荷重センサ93は、ライダーが変速機TMのギヤシフトを行おうとして図31に示すようなシフトぺダル61を踏み込んだ場合に伝達される踏込力を検出するためのもので、歪みゲージ式のロードセルで構成される。
図31に示すように、ライダーが踏込操作を行うシフトペダル61を先端側に有した第1シフトアーム62がメインフレームMFに取り付けられたステップホルダSTHに回動軸62aを中心として上下に回動自在に設けられている。第1シフトアーム62は枢結ピン63aにより前後に略水平に延びる第1タイロッド63の一端に枢結されており、第1タイロッド63の他端は枢結ピン63bにより略L字状の連結部材64の一端に取り付けられている。連結部材64は、枢結ピン64aにより回動自在にフロントスプロケットカバーFSCに取り付けられ、連結部材64の他端には略上下に延びる第2タイロッド65の下端部が枢結ピン65aにより枢結されている。第2タイロッド65は略円柱状の荷重センサ93を挟持しており、第2タイロッド65の上端部は枢結ピン65bにより第2シフトアーム66に枢結されていて、第2タイロッド65が略上下に移動可能である。荷重センサ93からはコントロールユニット90に向けて検出信号を送信するための検出ライン90e(配線コード)が延びている。第2シフトアーム66は、ギヤシフトを行わせるための図示しないシフトドラムに繋がるシャフト部材67に取り付けられており、シャフト部材67がその長手軸方向を回動中心として回動すると、第2シフトアーム66はこのシャフト部材67と一体となって上下に揺動する。
このように荷重センサ93周辺が構成されている下で、ライダーがギヤシフトを行わせるためにシフトペダル61を踏み込むと、第1シフトアーム62の下方への揺動とともに第1タイロッド63が後方に移動する。これにともなって連結部材64が回動し第2タイロッド65を下動させる。ここで荷重センサ93は、第2タイロッド65の下動により第2タイロッド65に発生する歪みを検出し、信号ライン90eを介してコントロールユニット90に向けて検出信号を出力する。第2タイロッド65が下動すると第2シフトアーム66が下方に揺動し、これによりシャフト部材67が図31における矢印M方向に回動して図示しないシフトドラムを回転させてギヤシフトを行わせる。このように、シフトペダル61からシフトドラムまでの伝達系の間に荷重センサ93が設けられていることから、シフトドラムによるギヤシフト開始の直前にシフトペダル61の踏込操作を検出することが可能である。
ここで、上記のようにしてコントロールユニット90が荷重センサ93からの検出信号、すなわち、シフトペダル61の踏込操作を検出するように構成されていることから、オートクラッチモード切換ボタン92の切換操作によりオートクラッチモードに設定された場合、シフトドラムによるギヤシフト開始の直前にコントロールユニット90から電気モータ31に向けて制御信号が送られ、モータアクチュエータ40からのアシスト油圧によりクラッチ機構CLの解放が行われる。このため、オートクラッチモードの場合には、クラッチレバー5の回動操作を行わなくてもクラッチCLの解放させて変速機TMによるシフトチェンジを行わせることが可能である。
また、荷重センサ93からの検出信号がコントロールユニット90に入力されている状態では、コントロールユニット90はエンジンへの燃料の供給をカットし点火プラグの点火を停止する制御を行うことで自動的にエンジンの回転数Neを減少させる。このため、シフトペダル61の踏込操作によりギヤシフトが行われている間にエンジンの回転数Neを落とすために図示しないスロットルレバー(右側手握部)をいちいち戻す必要が無く、煩わしい操作が不必要であることからライダーにとって快適に走行することができる。なお、荷重センサ93からの検出信号がコントロールユニット90に入力されていない(シフトペダル61の踏込操作が行われていない)状態では、コントロールユニット90による自動的なエンジンの回転数Neの減少制御は行われないため、シフトペダル61の踏込操作によるギヤシフトが終了すれば、ライダーによるスロットルレバーの操作に応じてエンジン回転数Neの制御が行われる。
一方、オートクラッチモード切換ボタン92の切換操作によりアシストクラッチモードに設定された場合には、クラッチスレーブシリンダ321にはクラッチ作動油圧ライン27を介したクラッチ作動油圧およびアシスト油圧ライン47を介したアシスト油圧の双方が供給され、ライダーによるクラッチレバー5の回動操作およびコントロールユニット90の制御に基づいてプッシュロッド18が押圧移動して、クラッチ機構CLの解放が行われる。
なお、オートクラッチモード切換ボタン92がアシストクラッチモードの側に設定されている場合において、アシスト力設定つまみ91が「0レベル」に設定された状態では、電動モータ31の駆動によって発生するアシスト油圧によるクラッチ機構CLの解放作動はなされず、クラッチレバー5の回動操作によってクラッチ作動油圧発生装置50において発生しクラッチ作動油圧ライン27を介して供給されるクラッチ作動油圧のみによりクラッチ機構CLの解放作動がなされる。
次に、本発明の第4の実施の形態について図32乃至図34を用いて説明する。ここでは、上記実施例3とは相違する部分を中心に説明する。
本実施例におけるクラッチアクチュエータ420を構成するクラッチスレーブシリンダ421は、第1ケース422aおよび第2ケース422bからなるクラッチスレーブシリンダケース422と、第1ケース422aのシリンダ孔内にプッシュロッド18の端部に当接するようにして嵌挿配設されたプッシュロッドガイド423cと、仕切部422cにより内部が2つの部屋に仕切られた第2ケース422bの一方のシリンダ孔内に嵌挿配設された第1クラッチスレーブピストン423aと、第2ケース422bの他方のシリンダ孔内に嵌挿配設された第2クラッチスレーブピストン423bと、第2ケース422bの一方のシリンダ孔内において第1クラッチスレーブピストン423aに囲まれて形成されるクラッチスレーブ油圧室424内に配置されたリターンスプリング425aと、第2ケース422bの他方のシリンダ孔内において第2クラッチスレーブピストン423bに囲まれて形成されるクラッチスレーブ油圧室426内に配置されたリターンスプリング425bとから構成される。なお、プッシュロッドガイド423cとプッシュロッド18との間には、外部からの異物の侵入を防止するダストシール427が設けられている。
第2ケース422bには、クラッチスレーブ油圧室424に連通する入口ポート424aおよびクラッチスレーブ油圧室426に連通する入口ポート426aが設けられている。クラッチスレーブシリンダ421は入口ポート424aからクラッチ作動油圧ライン27を介して供給されるクラッチ作動油圧をクラッチスレーブ油圧室424内に受けるようになっている。また、クラッチスレーブシリンダ421は入口ポート426aからアシスト油圧ライン47を介して供給されるアシスト油圧をクラッチスレーブ油圧室426内に受けるようになっている。
なお、本実施例において、電動モータ31の回転駆動力によりクラッチスレーブシリンダ421にアシスト油圧を供給するモータアクチュエータ40の構成は、上記実施例1と同様である。また、クラッチ作動油圧ライン27にクラッチ作動油圧を供給するクラッチ作動油圧発生装置50の構成については、上記実施例3と同様である。
上記のようなクラッチスレーブシリンダ421の構成の下、クラッチスレーブシリンダ421に供給される作動油圧によるクラッチ機構CLの断接作動の様子について、図33および図34を用いて説明する。
まず、クラッチレバー5が回動操作されていない場合には、クラッチ作動油圧は入口ポート424aに入力されず、クラッチスレーブ油圧室424内にクラッチ作動油圧は供給されない。第1クラッチスレーブピストン423aが移動しないため、プッシュロッドガイド423cは軸方向に移動せず、プッシュロッド18は図33における右方向に押圧移動することはない。また、アシスト油圧は入口ポート426aに入力されず、クラッチスレーブ油圧室426内にアシスト油圧は供給されない。第2クラッチスレーブピストン423bが移動しないため、プッシュロッドガイド423cは軸方向に移動せず、プッシュロッド18は図33における右方向に押圧移動することがなく、クラッチ機構CLを解放は行われない。この状態を図34(a)に示す。
続いて、図34に(a)に示すような状態からクラッチレバー5が回動操作されると、クラッチマスターシリンダ70から供給されるクラッチ作動油圧が入口ポート424aに入力される。このため、クラッチスレーブ油圧室424内の液圧が上昇し、リターンスプリング425aの付勢に抗して第1クラッチスレーブピストン423aが軸方向に移動する。
また、クラッチレバー5が回動操作されると、これとともに第2回転角度センサ57がクラッチレバー5の回動を検出し、この検出信号が信号ライン90bを介してコントロールユニット90に入力されると、コントロールユニット90から信号ライン95を介して電気モータ31に制御信号が出力される。これにより電気モータ31が駆動し、モーターアクチュエータ40の側からアシスト油圧ライン47を介してアシスト油圧が入口ポート426aに入力される。このため、クラッチスレーブ油圧室426内の液圧が上昇し、スプリング425bの付勢に抗して第2クラッチスレーブピストン423bが軸方向に移動する。
図34(b)に示すような第1クラッチスレーブピストン423aの軸方向への移動および第2クラッチスレーブピストン423bの軸方向への移動により、プッシュロッド18が図33における右方向に押圧移動する。このようにして、クラッチレバー5が回動操作された場合、プッシュロッド18が受け部材417を右方向に押圧移動させてクラッチ機構CLを解放させることができる。
また、クラッチレバー5が回動操作された状態から戻されると、すなわち矢印A方向とは逆方向に回動操作されると、入口ポート424aを介したクラッチスレーブ油圧室424へのクラッチ作動油圧の供給が途絶え、クラッチスレーブ油圧室424内の液圧が降下する。また、入口ポート426aを介したクラッチスレーブ油圧室426へのアシスト作動油圧の供給が途絶え、クラッチスレーブ油圧室426内の液圧が降下する。これにより、リターンスプリング425aおよび425bの復元力により、第1クラッチスレーブピストン423aおよび第2クラッチスレーブピストン423bが元の位置に位置するまで左動する(戻される)。第1クラッチスレーブピストン423aおよび第2クラッチスレーブピストン423bが元の位置に戻るとともに、プッシュロッドガイド423aは押圧スプリング16の復元力により左動するプッシュロッド18により押圧されて元の位置に位置するまで左動する。
以上は、オートクラッチモード切換ボタン92がオフ操作されている場合を説明したが、オートクラッチモード切換ボタン92がオン操作(オートクラッチモードの側に操作)された場合は、以下のような制御がなされる。
ライダーがオートクラッチモード切換ボタン92をオン操作すると、オートクラッチモード切換ボタン92からの切換信号がコントロールユニット90入力される。オートクラッチモード切換ボタン92をオン操作されている状態では、ギヤシフトを行おうとしてライダーがシフトぺダル61を踏み込んだ場合に、図示しないチェンジドラムに信号ライン95を介して電気モータ95にコントロールユニット90から制御信号が送られる。これにより電気モータ31が作動し、モーターアクチュエータ40の側からアシスト油圧ライン47を介してアシスト油圧が入口ポート426aに入力される。このとき、入口ポート424aにはクラッチ作動油圧が入力されないため、クラッチスレーブ油圧室424内の液圧は上昇せずにクラッチスレーブ油圧室426内の液圧のみが上昇する。そして、スプリング425bの付勢に抗して第2クラッチスレーブピストン423bは軸方向に移動し、プッシュロッドガイド423cを押圧して右動させ(図34(c)に示す状態)、プッシュロッド18が軸方向に右動することによりクラッチ機構CLが解放される。すなわち、クラッチレバー5を回動操作しなくても、モータアクチュエータ40の側から作動油圧をクラッチスレーブシリンダ421に供給することで、クラッチCLの解放を行わせることが可能である。
オートクラッチモードの状態でライダーがクラッチレバー5を回動操作すると、オートクラッチモードが解除される。これにより、入口ポート424aにクラッチ作動油圧が入力されるため、クラッチスレーブシリンダ421にはクラッチマスターシリンダ70からのクラッチ作動油圧およびモータアクチュエータ40からのアシスト油圧の双方が入力される状態となり、アシストクラッチモード(オートクラッチモード切換ボタン92がオフ操作されている状態)に復帰されることになる。
アシストクラッチモードおよびオートクラッチモードのうちのいずれかにライダーにより任意に設定されるが、例えば渋滞時にはオートクラッチモードに設定すれば、煩わしいクラッチレバー5の回動操作を頻繁に行う必要がなく快適に走行することが可能である。そして、渋滞解消時にはクラッチレバー5の回動操作を行うだけでアシストクラッチモードに復帰させることが可能である。
本発明に係るクラッチ装置の全体構成を示す概略図である。
上記クラッチ装置を備えた自動二輪車の全体外観を示す側面図である。
上記自動二輪車が備えるパワーユニットの一部の構成を示す断面図である。
上記クラッチ装置を構成するモータアクチュエータを示す正面図である。
上記モータアクチュエータの外観を示す斜視図である。
上記モータアクチュエータの内部構成を示す斜視図である。
上記モータアクチュエータの内部構成を示す斜視図である。
上記モータアクチュエータの内部構成を示す、図4におけるB−B断面図である。
上記モータアクチュエータの内部構成を示す断面図である。
上記モータアクチュエータの内部構成を示す断面図と、開口ポート周辺を示す拡大図である。
上記クラッチ装置を構成するクラッチレバー周辺を示す平面図である。
上記クラッチレバー周辺を示す斜視図である。
上記クラッチレバー周辺の内部構造を示す図11におけるF−F断面図である。
上記クラッチレバー周辺の内部構造を示す断面図である。
本発明に係るクラッチ装置の第2の実施の形態における全体構成を示す概略図である。
第2の実施の形態のクラッチ装置を備えた自動二輪車の全体外観を示す側面図である。
第2の実施の形態における自動二輪車が備えるパワーユニットの一部の構成を示す断面図である。
第2の実施の形態におけるモータアクチュエータを示す正面図である。
第2の実施の形態におけるモータアクチュエータの外観を示す斜視図である。
第2の実施の形態におけるモータアクチュエータの内部構成を示す斜視図である。
第2の実施の形態におけるモータアクチュエータの内部構成を示す斜視図である。
第2の実施の形態におけるモータアクチュエータの内部構成を示す、図18におけるG−G断面図である。
(a)は第2の実施の形態におけるモータアクチュエータの内部構成を示す断面図で、(b)はモータアクチュエータを示す側面図である。
本発明に係るクラッチ装置の第3の実施の形態における全体構成を示す概略図である。
第3の実施の形態のクラッチ装置を備えた自動二輪車の全体外観を示す側面図である。
第3の実施の形態における自動二輪車が備えるパワーユニットの一部の構成を示す断面図である。
第3の実施の形態におけるクラッチスレーブシリンダを示す図で、(a)はその左側面図で、(b)は(a)におけるK−K断面図で、(c)はその右側面図である。
第3の実施の形態におけるクラッチマスターシリンダを示す平断面図である。
第3の実施の形態におけるクラッチマスターシリンダを示す側断面図およびその拡大図である。
第3の実施の形態におけるクラッチ機構の断接作動時の各種変数の経時変化を示すグラフである。
第3の実施の形態における自動二輪車に取り付けられた荷重センサ周辺を示す斜視図である。
本発明に係るクラッチ装置の第4の実施の形態における全体構成を示す概略図である。
第4の実施の形態における自動二輪車が備えるパワーユニットの一部の構成を示す断面図である。
第4の実施の形態におけるクラッチスレーブシリンダの作動を示す図で、(a)はクラッチ装置の非作動時を示す図で、(b)はアシストクラッチモード時における作動を示す図で、(c)はオートクラッチモード時における作動を示す図である。
符号の説明
CL クラッチ機構
2 入力シャフト
5 クラッチレバー
6 手握部
17 プルロッド
18 プッシュロッド(押圧部材)
20,220,320,420 クラッチアクチュエータ
21 クラッチスレーブシリンダ(第2のクラッチ作動入力部)
27 クラッチ作動油圧ライン
30,230 アシスト圧発生装置
31 電動モータ
34 クランクシャフト
38 ストッパーピン
39 第1回転角度センサ(レバー回転センサ)
40 モータアクチュエータ(アシスト用シリンダ)
42 ピストン(ピストン部材)
42a ピストンロッド
45 リザーバタンク
47 アシスト油圧ライン
50 クラッチ作動油圧発生装置
57 第2回転角度センサ
59 クラッチケーブル(操作力伝達部材)
70 クラッチマスターシリンダ
80 クラッチ作動入力アッセンブリ(第1のクラッチ作動入力部)
90 コントロールユニット(ゲイン調整装置)
91 ゲイン調整つまみ(ゲイン設定手段)
92 オートクラッチモード切換ボタン
93 荷重センサ
217,317,417 受け部材
234 クランクシャフト(アシスト用クランクシャフト)
234b 従動クランクシャフト(クランク部)
238 ストッパーピンボルト
324a,424a 入口ポート(クラッチ作動油圧入力部)
326a,426a 入口ポート(アシスト油圧入力部)