JP5042600B2 - シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池用の多結晶シリコン基板の作製に用いられるシリコンインゴットの製造方法に関し、特に、窒素不純物および炭素不純物を含むシリコン原料を用いてシリコンインゴットを製造する方法に関する。
現在、太陽電池の基板の材料としてはシリコンが最も多く用いられている。シリコンインゴットを製造するための原料としては、比較的低コストである、半導体用シリコンの製造過程で生じた多結晶シリコンのスクラップや単結晶引き上げの際に発生したスクラップなどが主に使用されており、太陽電池基板専用のシリコン原料製造プロセスは、量的・コスト的に未だ確立されているとはいえない。
また、近年の太陽電池の普及拡大に伴って、太陽電池基板用シリコン原料の需要が増加している。上記のような低コスト原料の供給が不足する場合には、高価な半導体用原料を使用せざるを得ない場合があるが、このことは、太陽電池の製造コストを引き上げる要因の一つとなっている。
こうした事情により、太陽電池基板用のシリコン原料の安定供給が熱望されている。
太陽電池用の多結晶シリコン基板は、一般的に、キャスティング法と呼ばれる方法で製造されたシリコンインゴットを切り出すことによって製造される。(例えば、特許文献1参照)。キャスティング法とは、石英やグラファイトなどからなり、内壁にα-窒化珪素を主成分とする離型材を塗布した鋳型に、シリコン融液を流し込み、これを冷却固化することによってシリコンインゴットを形成する方法である。このシリコンインゴットの底部や側部などの端部を除去し、所望の大きさに切断することで得られる柱状体を所望の厚みにスライスすることで、多結晶シリコン基板が得られる。
また、太陽電池基板用のシリコンは、半導体用シリコンほどの高純度を要求されるわけではない。そこで、純度の低い金属シリコンから不純物を精製除去して太陽電池用シリコン原料を得る方法や、これまでは不純物を多く含むため廃棄されていた、キャスティング法で得られたシリコンインゴットの切断によって発生した端材を再利用する方法などが研究されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。これらの原料には不純物として金属が多く含まれているため、該金属の偏析係数が小さいことを利用して鋳型底部から上方に一方向凝固させることによって金属不純物を精製する方法が、一般的に用いられている。
特開平11−180711号公報 特開平10−324514号公報 特開平10−324515号公報
キャスティング法によって作製されたシリコンインゴットから多結晶シリコン基板を得る場合、切削によりインゴットの端部を除去することで、体積相当分で該シリコンインゴットの約半分が廃棄されている。
シリコンインゴットの端部を太陽電池用の基板として使用しないのは、当該底部や側部については、鋳型内壁部に塗布されていたα-窒化珪素を主成分とする離型材が大量に付着しているためである。インゴットの頭部については、離型材の付着はないものの、高温のシリコン融液中に離型材から溶出していた窒素原子が凝固過程で高濃度に濃縮されることで生成・析出する針状β-窒化珪素の再析出領域となっていることがその理由である。
なお、インゴットの底部,側部,頭部には、遷移金属不純物も多く含まれるが、これらはその極端に小さな偏析係数(10-5〜10-7)を利用して凝固過程で偏析させることが可能であるので、例えば通常のポリシリコンと組み合わせて使用することなどが可能である。
ここで、窒素原子を不純物として含むシリコン融液を鋳型の下方から一方向凝固させる際の、シリコンインゴットの頭部部分における窒化珪素の析出現象を説明する。図9は、凝固開始後の固化率(元の融液全体に対する固化部分の比率)と融液中の窒素原子濃度(不純物濃度)との関係を示す図である。
シリコン融液中での窒素原子の飽和溶解度は1×1017(atoms/cm3)であるが、シリコンの凝固の際の窒素原子の偏析係数が7×10-4と金属並みに小さい為に、固化率が0.9以下の範囲では、つまりは、凝固を開始してから形成される大半の凝固領域においては、窒素原子の濃度は1×1015(atoms/cm3)未満になる。この値は室温での窒素の飽和濃度である5×1015(atoms/cm3)よりも小さいので、固化率0.9が以下の領域では、β-窒化珪素の析出は起こり得ない。しかしながら、固化率が0.9を超えると、融液中の窒素原子濃度が急激に上昇して固相に取り込まれる量が増加する。窒素原子濃度が飽和濃度である5×1015(atoms/cm3)を超えた以後は、飽和濃度を超える分の窒素原子が冷却過程においてβ-窒化珪素として析出することになる。
また、係る針状β-窒化珪素は高濃度に析出するとシリコン融液中に溶存している炭化珪素の析出サイトとして働くため、針状β-窒化珪素の析出領域には炭化珪素析出物も共存している場合が多い。尚、シリコン融液中に混入している炭素は、高温での溶解・凝固を遂行する為に不可欠なグラファイト部品であったり、カーボン繊維部品等に由来している。
このような経緯によってβ-窒化珪素や炭化珪素を含有しているために、インゴットの頭部部分は太陽電池用の基板に供されることはなく、廃棄されているのが現状である。
なお、切り出した該頭部部分を原料として再利用しようとシリコンの融点である1420℃に加熱保持した場合、β-窒化珪素は融点を持たず1900℃でようやく分解するという高温安定型の物質であるために、該温度では分解せずにシリコン融液中を浮遊するようになる。しかも、シリコン融液中を浮遊する窒化珪素は、融液中に溶存している窒素を取込みながら更に大型化する。そのため、このように窒化珪素が浮遊した状態でシリコン融液を凝固させた場合は、上述のような析出物のない窒素原子溶存状態からの凝固とは異なり、固化率が0.9以下の領域にも窒化珪素異物が含有されることになる、という問題がある。
また、このような異物を内部に包含した状態で作製されたインゴットから半導体基板を切り出す場合、係る異物の存在が、加工時の厚み不良や異物不良を生じさせるため、工程歩留りは著しく低いレベルに留まってしまうという問題がある。さらに、炭化珪素も不純物として含まれているために、係る半導体基板で太陽電池を作製したとしても、異物部分で大きなリークが発生し、変換効率の優れた太陽電池を形成することができないという問題もある。
すなわち、窒化珪素や炭化珪素が析出しているシリコンインゴット端材については、その有効な利用方法がないのが現状である。これは、資源の有効活用という観点から見ても望ましいものではなく、これらのシリコンインゴット端材を原料として再利用することができれば、太陽電池用シリコン原料の安定供給の一助として期待することができる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、窒素不純物および炭素不純物を含むシリコン原料からこれら不純物が好適に除去されたシリコンインゴットを製造する方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、るつぼの内部においてシリコン融液を維持しつつ、前記るつぼの外周部から印加した移動磁界と前記移動磁界が作用することにより前記シリコン融液に生じた渦電流との相否作用によって前記シリコン融液に渦回転状態を発生させることによって、前記シリコン融液に混入している異物のうちシリコン融液よりも比重の大きい異物を前記るつぼの内壁部に集積させる集積工程と、前記るつぼの内壁部の温度を低下させることによって前記るつぼの内壁部に集積した前記異物を含む凝固層を形成する凝固層形成工程と、前記凝固層が形成された状態で前記るつぼに残存しているシリコン融液を鋳型に注湯する注湯工程と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記シリコン融液よりも比重の大きい異物が、窒化珪素及び炭化珪素であることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1または請求項2に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記集積工程においては前記渦回転状態を1時間以上保持する、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記集積工程におけるシリコン融液の回転速度が10〜100rpmの範囲である、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記集積工程以前の前記シリコン融液が窒化珪素の固体不純物を含んでいる、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記シリコン融液が、キャスト法により作製したシリコンインゴットから除去された、窒化珪素を含む端材を融解することによって得られたものである、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記注湯工程の後、前記凝固層が残存している状態で前記るつぼに新たな原料を投入して前記凝固層を前記新たな原料ともども溶解させる再溶解工程、をさらに備え、前記再溶解工程を行った後に、前記集積工程、前記凝固層形成工程、および前記注湯工程を繰り返す、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記シリコン融液の表面に向けて不活性ガスを噴出させることによって、前記シリコン融液に混入している前記異物のうち前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を前記るつぼの注ぎ口近傍に集積させるガス噴出工程と、前記注ぎ口近傍に前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物が集積した状態で前記るつぼを傾動させて前記シリコン融液の一部を前記注ぎ口から排出することで前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を除去する排出除去工程と、をさらに備え、前記排出除去工程を行った後に前記集積工程を行う、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、前記シリコン融液の表面に向けて不活性ガスを噴出させることによって、前記シリコン融液に混入している前記異物のうち前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を前記るつぼの注ぎ口近傍に集積させるガス噴出工程と、所定の吸引手段によって前記注ぎ口の近傍に集積した前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を吸引除去する吸引除去工程と、をさらに備え、前記吸引除去工程を行った後に前記集積工程を行う、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項の発明によれば、シリコン融液中に存在する例えば窒化珪素や炭化珪素などの析出物であるシリコン融液よりも比重の大きい異物が好適に除去されたシリコンインゴットを作製することができる。
特に、請求項および請求項の発明によれば、シリコン融液中に窒化珪素の固体不純物が混入している場合でも、該不純物固体が好適に除去されたシリコンインゴットを作製することができる。
特に、請求項の発明によれば、端材に由来する窒化珪素などの窒素不純物や炭化珪素などの炭素不純物がシリコン融液中に混入している場合でも、これらの不純物が好適に除去されたシリコンインゴットを作製することができる。
特に、請求項の発明によれば、るつぼを損傷させることなく、シリコンインゴットの作製を継続的に行うことができる。
特に、請求項および請求項の発明によれば、シリコン融液の表面に浮遊している不純物を、集積工程の実施に先立ってあらかじめ除去しておくことができるので、より好適に不純物が除去されたシリコンインゴットを作製することができる。
<第1の実施の形態>
<装置構成>
本発明の第1の実施の形態に係るシリコンインゴットの製造方法は、従前に太陽電池用シリコン基板の作製を行った際に切断除去された端材部分をシリコン原料として主に用いて、シリコンインゴットを製造する方法であって、これら不純物が好適に除去されたシリコンインゴットを得ることができる方法である。
図1は、係る製造方法を実現する溶解装置の一例としての溶解装置20の上面模式図である。図2は、溶解装置20の側断面模式図である。溶解装置20は、図1および図2に示すように、溶解るつぼ11と、サポートるつぼ12と、スターラー10と、ヒーター8とを主として備える。なお、図1では図示の単純のため、サポートるつぼ12およびヒーター8は省略している。
溶解装置20は、ヒーター8で加熱することにより、溶解るつぼ11内部に投入されたシリコン原料を融解させてシリコン融液を得る装置である。
溶解るつぼ11は、シリコン融液内に不純物が混入しないように、高純度石英または高純度黒鉛などで形成されてなる。溶解るつぼ11には、シリコン融液を鋳型41(図3など参照)に注湯する際に用いる注ぎ口14が設けられてなる。また、サポートるつぼ12は、溶融るつぼ11がシリコンの融点以上の高温に加熱されることで軟化して変形するのを防ぐべく、溶融るつぼ11を保持するるつぼである。サポートるつぼ12は、黒鉛などで形成される。
溶融るつぼ11およびサポートるつぼ12は、一度に溶解させるシリコン原料を内包できるのに十分な寸法を有するよう構成される。内部のシリコン融液に、後述するような、実質的に効果的な渦回転を発生させ得るものであれば、形状,寸法に特段の限定はない。なお、シリコン原料の一度の溶解量は、およそ1kgから250kgの範囲であるのが一般的である。例えば、端材原料10kgを融解させる場合であれば、溶解るつぼ11として、開口部の直径が200mm、高さが200mmの石英製るつぼを用いるのが、端材原料70kgを融解させる場合であれば、開口部の直径が700mm、高さ600mmの石英製のるつぼを溶解るつぼ11として用いるのが、それぞれ好適な一例である。いずれの場合も、それぞれの石英製るつぼに見合う大きさの黒鉛製のサポートるつぼ12が選択され、用いられることになる。
ヒーター8は、溶融るつぼ11およびサポートるつぼ12の下部に設けられた下部ヒーター8aと、溶融るつぼ11およびサポートるつぼ12の上部に設けられた上部ヒーター8bとからなる。ヒーター8としては、例えば、抵抗加熱式や誘導加熱式のヒーターを用いることができる。溶解るつぼ11に投入されたシリコン原料をヒーター8によって所定の温度に加熱することにより、シリコン原料は融解されシリコン融液30となる。好ましくは、ヒーター8は、図示しない制御手段によって所定の加熱温度で加熱を行うように制御される。
スターラー10は、図1に示すように、溶解るつぼ11の外周の約半分強の部分を取り囲むように、溶解るつぼ11の側壁面に沿って設けられている上面視U字型の鉄心1と、鉄心1に所定の間隔で設けられた誘導コイル2とを有する。また、スターラー10は、図示しない通電手段をさらに備えており、該通電手段によって誘導コイル2に交番電流を流すことで、図1に示すように、矢印3の向きに移動磁界を発生させることができる。すなわち、スターラー10は、いわゆる渦巻スターラーである。
図3は、本実施の形態に係るシリコンインゴットの製造方法に用いる凝固装置の一例としての凝固装置40の側断面図である。凝固装置40は、鋳型41と、鋳型保持台42と、冷却板43と、上部ヒーター44とを主として備える。
凝固装置40は、溶解装置20で作製されたうえで鋳型41に注湯されたシリコン融液30を冷却して凝固させ、シリコンインゴットを生成する装置である。
鋳型41は、シリコン融液30を凝固させる際の容器となるものであり、上方に向かって開放された開放部を有し、溶解装置20から出湯されたシリコン融液30をこの開放部によって受けるとともに、その内部においてこのシリコン融液30を保持しつつ、下方から上方へ向けて一方向凝固させる役割を有する。鋳型41は、酸化珪素、窒化珪素、黒鉛などによって形成される。鋳型41には、底面部と側面部が一体となったいわゆる一体型鋳型を用いてもよいし、底部を構成する一つの底面部材と、側部を構成する複数(例えば四つ)の側面部材とを含んで構成され、分割、組立が自在な、いわゆる分割鋳型を用いてもよい。鋳型41は、鋳型41を安定に保持する鋳型保持台42の上に設けられる。
鋳型41の内面には、シリコン融液30が凝固する過程で鋳型41の内壁にシリコンインゴットが融着するのを抑止するため、離型材層(不図示)を設けることが望ましい。離型材層の材質としては、例えば、窒化珪素、炭化珪素、酸化珪素などが好適である。離型材層を設ける方法としては、上述の物質の粉末をPVA(ポリビニルアルコール)などの有機バインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合して攪拌してスラリーとし、鋳型41の内壁に塗布する方法などが知られている。係る場合、へら、刷毛、ディスペンサー等で該スラリーを容易に塗布できるので好ましい。また、組立式の分割鋳型の場合であれば、あらかじめ鋳型を構成する各部材の内面側にスクリーン印刷等で塗布しておいたものを組み立てて鋳型を形成するようにしてもよい。この場合、鋳型41を構成する各部材を繰り返して使用できるようになる。
また、鋳型41の外周部に、カーボンフェルト等の炭素素材などからなる断熱材層(不図示)を設ける態様であってもよい。断熱材層の材質、厚み等を選択することにより、鋳型41内に注湯されたシリコン融液30の凝固速度、凝固時間を制御することができる。
冷却板43は、鋳型41の底部、または、鋳型保持台42の下面に接触し、鋳型41内のシリコン融液30を底部から冷却するものである。冷却板43としては、例えば、中空の金属板等の内部に水あるいはガスを循環させる等の構造のものを用いることができる。
また、上部ヒーター44は、鋳型41およびその内部のシリコン融液30を上方から加熱するために設けられてなる。上部ヒーター44には、例えば、カーボンヒーターなどを用いることができる。
なお、溶解装置20と凝固装置40とを図示しない真空容器内に配置し、不活性ガス等の還元雰囲気下で用いるようにすることが、シリコン融液への不純物の混入やシリコンの酸化を防ぐ点で望ましい。
<シリコンインゴットの作製>
次に、溶解装置20および凝固装置40を用いて行うシリコンインゴットの作製について説明する。
まず、従前に太陽電池用シリコン基板の作製を行った際に切断除去された端材部分を、シリコン原料として溶解るつぼ11の中に所定の量だけ投入し、これをヒーター8によってシリコンの融点である1420℃以上の温度に加熱する。加熱温度は、1500℃とするのがその好適な一例である。これにより、溶解るつぼ11の中でシリコン原料が融解し、シリコン融液30となる。なお、シリコン原料中には、窒化珪素や炭化珪素などの不純物が相当程度含まれているので、シリコン融液30には、加熱によっても溶解しないそれら不純物固体などの異物等31が存在している。
このようにシリコン原料を融解し、図2に示すように溶解るつぼ11の内部にシリコン融液30を存在させた状態で、スターラー10によって図1に示す矢印3の向きに移動磁界を発生させると、シリコン融液30には渦電流5が誘導されるとともに、フレミングの左手の法則に従って、シリコン融液30に対しては矢印4のように溶解るつぼ11の周方向に推進力Fが作用する。これにより、シリコン融液30全体が、矢印6の向きに回転し、溶解るつぼ11内でシリコン融液30の渦回転状態が生じることになる。ここで、推進力4の大きさは、次の(1)式で表される。
F=K・τ・f・B2/ρ・・・・・・・・(1)
ただし、
B:シリコン融液に作用する磁束密度;
τ:ポ―ルピッチ(誘導コイル2の間隔);
f:印加周波数;
ρ:シリコン融液に固有抵抗;
k:スターラーの形状係数;
である。
推進力Fによるシリコン融液30の回転は、その発生当初はシリコン融液30内の異物を攪拌するよう作用する。そのため、渦回転状態の保持時間、すなわち推進力Fを作用させる時間が短い場合には、シリコン融液30内に異物等31が均一に拡散してしまう。しかし、窒化珪素および炭化珪素の比重はシリコン融液30の比重よりも大きいことから(窒化珪素=3.196、炭化珪素=3.22、シリコン融液=2.54)、渦回転状態を一定時間保持すると、異物等31に作用する遠心力によって異物等31が溶解るつぼ11の内壁部分に集積してゆくことになる。
図4は、シリコン融液30全体が推進力Fを受けて回転する状態にあるときの溶解装置20の側断面模式図である。シリコン融液30中に浮遊する異物等31は、矢印32で示すように、シリコン融液30の外周に、つまりは溶解るつぼ11の内壁近傍に向けて移動し、そこで集積するようになる。
具体的には、スターラー10により推進力Fを与えることでシリコン融液30に十分な渦回転状態が発生した段階から、この状態を1時間以上保持することで、異物等31が溶解るつぼ11の内壁近傍に集積する状態が実現される。保持時間が1時間未満であると、シリコン融液30中に浮遊する異物等31が十分に溶解るつぼ11の内壁に集積しない。一方、保持時間は長くすればする程、シリコン融液30中に浮遊する異物等31は溶解るつぼ11の内壁に集積されるが、スターラ10の駆動電力をそれだけ消費することになるため、コストアップを招来し、好ましくない。よって、保持時間は1時間〜3時間とすることが好適である。
また、このような異物等31の集積が好適に実現されるシリコン融液30の回転速度の範囲は、10〜100rpmである。従って、スターラー10により発生させる移動磁界は、シリコン融液30にこの回転速度の範囲での回転が生じるように調整される。シリコン融液30の粘性が小さいために、これよりも小さい回転速度では、異物等31の集積に効果的な渦が生成されない。逆に、100rpmを超える回転力を与えた場合、シリコン融液30が溶解るつぼ11から溢れ出してしまうことになって好ましくない。
上述した保持時間が経過し、溶解るつぼ11の内壁(シリコン融液30の外周部分)に異物等31が十分に集積した時点で、ヒーター8の出力を低下させる。図5は、この時点における溶解装置20の側断面模式図である。ヒーター8の出力を低下させると、溶解るつぼ11の内壁部の温度が低下し、図5に示すような凝固層34が、溶解るつぼ11の内壁部に沿って形成される。凝固層34は、当該部分に集積していた異物等31を多く含んで形成されるので、溶解るつぼ11の中央部分に残存するシリコン融液30中からは、係る異物等31が好適に除去されていることになる。
凝固層34が形成された後、スターラー10によるシリコン融液30の回転を停止させる。シリコン融液30の渦回転が無くなったのを確認した上で、溶解るつぼ11の中のシリコン融液30を注ぎ口14から鋳型41へと矢印13のように注湯する。図6は、溶解るつぼ11から鋳型41へシリコン融液30を注湯する様子を模式的に示す図である。ただし、図示の簡単のため、鋳型41以外の凝固装置40の構成要素の図示は省略している。なお、図6においては、溶解装置20全体を傾動させて注湯する態様を図示しているが、必ずしもこれは必須ではなく、溶解るつぼ11のみを傾動させる態様であってもよい。
このように、凝固層34が形成した後にシリコン融液30を鋳型41へと注湯することで、鋳型41内には、シリコン原料として用いた端材に含まれていた窒化珪素や炭化珪素といった不純物をほとんど含まないシリコン融液30が供給されたことになる。
シリコン融液30が鋳型41に供給されると、冷却板43による鋳型41の底部からの抜熱と上部ヒーター44による上部からの加熱とによって、高さ方向に温度分布を付与されつつ、鋳型41の底部から上部に向かってのシリコン融液30の凝固が進行する。図示しない制御手段によって上部ヒーター44によるシリコン融液30の表面の加熱温度を制御することで、鋳型41の下方から上方に向けた温度勾配をより緻密に制御することができる。
係る凝固が完了することで、シリコンインゴットが作製されたことになる。作製されたシリコンインゴットにおいては、端部にこそ鋳型41に塗布した離型材に由来する不純物が含みはするものの、シリコン原料に由来する窒化珪素や炭化珪素といった不純物を含む異物等はあらかじめ好適に除外されているので、係る異物等を内部に包含してはいないことから、端部を除去しさえすれば、残る(通常は柱状体である)部分から、太陽電池用として好適なシリコン基板を切り出すことができる。
一方、注湯後の溶解装置20においては、溶解るつぼ11の傾動を元の位置に戻し、かつ、まだ高温の状態で、溶解るつぼ11に上部から新しい端材原料をリチャージし、溶解るつぼ11の内壁部に残っている凝固層34ともども該端材原料を融解させたうえで、上述した処理を繰り返すことが可能である。すなわち、シリコン融液を回転させることにより、リチャージした端材材料に由来する不純物を先の凝固層34に含まれていた不純物ともども溶解るつぼ11の内壁に集積させ、その後、凝固層に包含させるようにすることで、再び、異物が除外されたシリコン融液を得ることができる。凝固装置40において、係るシリコン融液を凝固させることで、上記と同様のシリコンインゴットが作製できる。係る溶解と凝固とを繰り返し行うことで、溶解るつぼ11を損傷させることなく、端材原料からのシリコンインゴットの作製を継続的に行うことができる。
もしくは、注湯し終えた溶解るつぼ11を元の位置に戻した後、ヒーター8出力を上昇させて溶解るつぼ11を加熱し、溶解るつぼ11の内壁に形成された凝固層34を融解させ、これにより得られる、析出物および異物の濃縮した融液を、別の鋳型に注湯することによって廃棄する態様であってもよい。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、シリコン原料として窒化珪素や炭化珪素といった不純物を含む端材を用いているにもかかわらず、これらの不純物をほとんど含まない太陽電池用シリコン基板を切り出し可能なシリコンインゴットを作製することができる。換言すれば、不純物を含む端材材料を原材料として用いた、太陽電池用シリコン基板用のシリコンインゴットの製造が実現できる。
<第2の実施の形態>
上述の実施の形態では、凝固層34に取り込むことで異物等31のシリコン融液からの除去が実現されているが、これに加えて、係る凝固層34の形成に先立って異物等31をある程度除去しておく態様であってもよい。
図7は、係る態様を実現する溶解装置120の構成を模式的に示す側断面図である。なお、溶解装置120の構成要素であって第1の実施の形態に係る溶解装置20と同様の作用効果を奏する構成要素については、図7において同一の符号を付すとともにその説明を省略する。なお、図7においては、溶解装置120が下部ヒーターに代えて側面ヒーター8cを備える態様を例示しているが、第1の実施の形態に係る溶解装置20と同様に下部ヒーター8aを備える態様であってもよい。また、第1の実施の形態に係る溶解装置20が下部ヒーター8aに代えて側面ヒーターを備える態様であってもよい。
本実施の形態に係る溶解装置120は、図示しないガス供給源からの供給を受けて、アルゴンなどの不活性ガスを溶解装置120の内部に噴出させるガス噴出手段15を備える。ガス噴出手段15は、溶解るつぼ11にシリコン融液30が存在する場合にシリコン融液30の表面近傍に不活性ガスを吹き付け可能な高さに、かつ、溶解るつぼ11の内壁近傍であって、注ぎ口14とは反対側に設けられる。
係るガス噴出手段15からの不活性ガスの吹き付けは、シリコン原料の融解処理時に溶解るつぼ11外部からのシリコン融液30内への不純物の混入や溶解を防ぐ目的で行われるが、ガス噴出手段15からの不活性ガス噴出方向を適宜に調整することで、係る吹き付けが、同時に、シリコン融液30内に生じる対流に乗ってシリコン融液30の表面を浮遊している異物等31を、注ぎ口14の側に集積させるという効果を併せ持つようにすることができる。なお、係る対流は、ヒーター8で加熱することや不活性ガスを吹き付けることによりシリコン融液に生じる温度分布に起因して生じるものである。
ガス噴出手段15からの不活性ガスの吹きつけで異物等31が注ぎ口14の側に集積している状態が実現されているのであれば、溶解るつぼ11を傾動させて、注ぎ口14から近傍のシリコン融液を微量、黒鉛や酸化珪素からなる所定の容器に排出することで、注ぎ口14に集積していた異物等31は容易に除去される。
なお、シリコン融液の表面における不純物の浮遊状態は、シリコン原料の融解状態を確認するために溶解装置120の設けられた図示しない覗き窓などから目視で確認することが出来る。
第1の実施の形態で説明したような、シリコン融液30の回転と凝固層34の形成を利用した異物等の除去に先立って、係る態様での異物等の除去を行うことにより、さらに良好に不純物が除去されたシリコンインゴットを作製することが可能となる。
なお、ガス噴出手段15からの不活性ガスの吹きつけは、シリコン原料の融解に先立ち、溶解装置120内の雰囲気を該不活性ガス雰囲気に置換する目的で行うようにしてもよい。
<第3の実施の形態>
第2の実施の形態に係る溶解装置120は、ガス噴出手段15からの不活性ガスの吹きつけによって注ぎ口14の近傍に集積した異物等を、注ぎ口14から微量のシリコン融液を排出することで該シリコン融液ともども除去する態様であったが、注ぎ口14の近傍に集積した異物等を除去する態様はこれに限定されるものではない。
図8は、第2の実施の形態とは異なる態様で係る除去を実現する溶解装置220の構成を模式的に示す側断面図である。溶解装置220は、溶解るつぼ11の注ぎ口14の上方に吸引手段16をさらに備えているほかは、第2の実施の形態に係る溶解装置120と同様の構成を有している。
溶解装置220においては、上述したように対流によってシリコン融液の表面へ浮遊した異物等31が注ぎ口14の近傍に集積された状態において、吸引手段16によって集積した異物等31を吸引することで、シリコン融液からの異物等31の除去が実現される。
第1の実施の形態で説明したような、シリコン融液30の回転と凝固層34の形成を利用した異物等の除去に先立って、係る態様での異物等の除去を行うことにより、さらに良好に不純物が除去されたシリコンインゴットを作製することが可能となる。
<変形例>
なお本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
例えば、上記説明では、スターラー10は渦巻スターラーであるが、これに代わり、溶解るつぼ11のるつぼの底面側に炉底式スターラーを設ける態様であってもよい。この場合、スターラーをるつぼの中心に配置するのではなく、偏位して配置してもよい。
(実施例1)
溶解装置20および凝固装置40を用い、第1の実施の形態に係る方法でシリコンインゴットを作製した。さらに、該シリコンインゴットから多結晶シリコン基板を切り出し、その評価を行った。
開口部の直径が700mm,高さが600mmの石英るつぼを溶解るつぼ11として用い、サポートるつぼ12には、黒鉛製のものを用いた。
該石英るつぼの中に従前の太陽電池用のシリコン基板の作製時に除去された端材原料70kgを投入し、ヒーター8で加熱溶解した。なお、また、ヒーター8には黒鉛製抵抗加熱ヒーターを用いた。
端材原料が完全に溶解した後、スターラー10による推進力Fの付加を開始した。シリコン融液の回転速度が50rpmとなるように印加電力を調整した。シリコン融液に定常的な渦回転が生成してから2時間保持した後、上部ヒーター8aの出力を低下させて、溶解るつぼ11の内壁部のシリコン融液を凝固させた後、スターラー10による渦回転を停止させた。なお、るつぼ内壁部でシリコン融液が凝固している様子は、シリコン融液が渦回転運動しているために容易に確認可能であった。シリコン融液の渦回転が無くなったのを確認した上で、溶解るつぼ11を傾動させて鋳型41へシリコン融液41を注湯した。
鋳型41への注湯の完了後、溶解るつぼ11の傾動を元の位置に戻し、上部ヒーター8の出力を再度上昇させて、溶解るつぼ11の内壁部に形成されている凝固層を再融解させた。再融解によって得られた、異物の濃縮した融液を、別の鋳型へ注湯することによって廃棄した。
その一方で、鋳型41内に溶湯を注湯した後、上部ヒーター44によってシリコン融液表面の温度を制御しつつ、鋳型41の底部から上部にかけてシリコン融液の一方向凝固を行い、多結晶シリコンインゴットを得た。
得られた多結晶シリコンインゴットの端部を除去した後、所定の厚みにスライスして、複数枚の多結晶シリコン基板を得た。
以上の手順によるシリコンインゴットの作製および多結晶シリコン基板の作製を、20回行った。
その結果、全20回の全てにおいて、安定的に90%以上の歩留まりで多結晶シリコン基板を得ることができた。また、各回において良好に得られた多結晶基板に存在する10μm以上の大きさの異物を画像解析装置でカウントし、平均異物量を算出したところ、約2個/cm2であった。
(比較例1)
スターラー10よる回転を与えない他は、実施例1と同様の手順で、シリコンインゴットの作製と多結晶シリコン基板の切り出しを20回行った。
その結果、本比較例では、20回の内、5回で、シリコン基板をスライスする際に、異物の存在によって切削工具が破損する現象が発生した。また、多結晶シリコン基板の歩留まりの各回の平均は、約50%であった。また、平均異物量は約17個/cm2であった。
以上より、実施例1に係る方法を用いることで、従前の太陽電池用のシリコン基板の作製時に除去された端材を原料としてシリコンインゴット、さらには太陽電池用の多結晶シリコン基板を作製する場合であっても、異物が好適に除去された良好なシリコンインゴットおよび多結晶シリコン基板を作製できることが確認された。
(実施例2)
実施例1では、溶解るつぼ11の内壁部に形成されている凝固層を再融解して廃棄したが、実施例2においては、第1の実施の形態に係る方法でいったんシリコンインゴットを作製した後、溶解るつぼ11に新しい端材原料をリチャージし、溶解るつぼ11の内壁部に残っている凝固層ともども該端材原料を融解させて再びシリコン融液を得た。係るシリコン融液を鋳型41へ注湯し、上部ヒーター44によってシリコン融液表面の温度を制御しつつ、鋳型41の底部から上部にかけてシリコン融液の一方向凝固を行うことによって、多結晶シリコンインゴットを得た。
得られた多結晶シリコンインゴットの端部を除去した後、所定の厚みにスライスして、複数枚の多結晶シリコン基板を得た。
以上の手順による、新しい端材原料をリチャージすることによるシリコンインゴットの作製および多結晶シリコン基板の作製を、7回繰り返した。
その結果、初めの4回においては、安定的に90%以上の歩留まりで多結晶シリコン基板を得ることができた。また、各回において良好に得られた多結晶基板に存在する10μm以上の大きさの異物を画像解析装置でカウントし、平均異物量を算出したところ、約2〜7個/cm2であった。しかしながら、5回目以降においては、歩留まりが90%未満となり、また、平均異物量は約10個/cm2以上となった。すなわち、異物等が内壁部に残存している溶解るつぼ内に新しい端材原料をリチャージする場合であっても、4回のリチャージまでは、異物が好適に除去された良好なシリコンインゴットおよび多結晶シリコン基板を作製できることが確認された。
第1の実施の形態に係る溶解装置20の上面模式図である。 溶解装置20の側断面模式図である。 第1の実施の形態に係る凝固装置40の側断面図である。 シリコン融液30全体が推進力Fを受けて回転する状態にあるときの溶解装置20の側断面模式図である。 保持時間が経過後、ヒーターの出力を低下させた時点での溶解装置20の側断面模式図である。 溶解るつぼ11から鋳型41へシリコン融液30を注湯する様子を模式的に示す図である。 第2の実施の形態に係る溶解装置120の構成を模式的に示す側断面図である。 第3の実施の形態に係る溶解装置220の構成を模式的に示す側断面図である。 凝固開始後の固化率と融液中の窒素原子濃度との関係を示す図である。
符号の説明
1 鉄心
2 誘導コイル
3 移動磁界の向き(を表す矢印)
4 推進力F(を表す矢印)
5 渦電流
6 シリコン融液の回転方向(を表す矢印)
8 ヒーター
10 スターラー
11 溶解るつぼ
12 サポートるつぼ
14 注ぎ口
15 ガス噴出手段
16 吸引手段
20、120、220 溶解装置
30 シリコン融液
31 異物等
34 凝固層
40 凝固装置
41 鋳型
42 鋳型保持台
43 冷却板
44 上部ヒーター

Claims (9)

  1. るつぼの内部においてシリコン融液を維持しつつ、前記るつぼの外周部から印加した移動磁界と前記移動磁界が作用することにより前記シリコン融液に生じた渦電流との相否作用によって前記シリコン融液に渦回転状態を発生させることによって、前記シリコン融液に混入している異物のうちシリコン融液よりも比重の大きい異物を前記るつぼの内壁部に集積させる集積工程と、
    前記るつぼの内壁部の温度を低下させることによって前記るつぼの内壁部に集積した前記異物を含む凝固層を形成する凝固層形成工程と、
    前記凝固層が形成された状態で前記るつぼに残存しているシリコン融液を鋳型に注湯する注湯工程と、
    を備えることを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  2. 請求項1に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記シリコン融液よりも比重の大きい異物が、窒化珪素及び炭化珪素であることを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記集積工程においては前記渦回転状態を1時間以上保持する、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記集積工程におけるシリコン融液の回転速度が10〜100rpmの範囲である、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記集積工程以前の前記シリコン融液が窒化珪素の固体不純物を含んでいる、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  6. 請求項に記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記シリコン融液が、キャスト法により作製したシリコンインゴットから除去された、窒化珪素を含む端材を融解することによって得られたものである、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記注湯工程の後、前記凝固層が残存している状態で前記るつぼに新たな原料を投入して前記凝固層を前記新たな原料ともども溶解させる再溶解工程、
    をさらに備え、
    前記再溶解工程を行った後に、前記集積工程、前記凝固層形成工程、および前記注湯工程を繰り返す、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記シリコン融液の表面に向けて不活性ガスを噴出させることによって、前記シリコン融液に混入している前記異物のうち前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を前記るつぼの注ぎ口近傍に集積させるガス噴出工程と、
    前記注ぎ口近傍に前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物が集積した状態で前記るつぼを傾動させて前記シリコン融液の一部を前記注ぎ口から排出することで前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を除去する排出除去工程と、
    をさらに備え、
    前記排出除去工程を行った後に前記集積工程を行う、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法であって、
    前記シリコン融液の表面に向けて不活性ガスを噴出させることによって、前記シリコン融液に混入している前記異物のうち前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を前記るつぼの注ぎ口近傍に集積させるガス噴出工程と、
    所定の吸引手段によって前記注ぎ口の近傍に集積した前記シリコン融液の表面に浮遊する前記異物を吸引除去する吸引除去工程と、
    をさらに備え、
    前記吸引除去工程を行った後に前記集積工程を行う、
    ことを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。
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