JP4732219B2 - 高純度シリコン製造方法及び高純度シリコン製造装置 - Google Patents

高純度シリコン製造方法及び高純度シリコン製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、容易かつ短時間に高純度多結晶シリコンを得ることができる高純度シリコン製造方法、及び高純度シリコン製造装置に関する。
ソーラー発電や、ICチップにシリコンを用いる場合には、高純度の多結晶シリコンを用いることが不可欠である。例えば、ソーラー発電に用いるシリコンでは、99.9999%の純度が必要であり、ICチップに用いるシリコンでは、99.999999999%の純度が必要となる。
従来、高純度多結晶シリコンを得るために、以下のような高純度シリコン製造方法が、主に用いられている。すなわち、まず、不純物の多い金属シリコンを塩酸で溶融して三塩化シランを生成する。次に、この三塩化シランを蒸留分留して高純度の三塩化シランガスを得る。その後、この三塩化シランガスを、水素ガスとともに、1000℃程度に加熱されたシリコン電極部を備えた加熱反応炉内に加えて還元し、シリコン電極部に高純度多結晶シリコンを育成成長させる。
また、別の製造方法として、以下のような高純度シリコン製造方法が知られている。すなわち、まず、不純物の多いシリコンを高温容器内にて加熱溶解して溶融シリコンを得る。その後、長時間かけて溶融シリコンを自然沈殿させる。次に、溶融シリコンを冷却凝固させて高純度多結晶シリコンと、不純物含有シリコン(不純物が混在しているシリコン)とからなるシリコン生成物を生成する。最後に、高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを切断除去する。
しかしながら、上述した従来の高純度シリコン製造方法を用いて高純度多結晶シリコンを得るには、煩雑な作業を行う必要があり、かつ多くの時間を必要とする。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、遠心力を利用して、溶融シリコンを、高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離し、これを冷却してシリコン生成物を生成することによって、容易かつ短時間に高純度多結晶シリコンを得ることができる高純度シリコン製造方法、及び高純度シリコン製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、作業ボックス内で回転可能な容器内に、シリコン原料を投入する投入工程と、作業ボックス内を真空にし、シリコン原料を真空雰囲気下におく真空工程と、前記容器を真空雰囲気下で加熱して、容器内のシリコン原料を溶融して溶融シリコンを生成する溶融工程と、前記容器を真空雰囲気下で回転軸線を中心として高速回転させて、溶融シリコンを容器内で高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離する遠心分離工程と、作業ボックス内に冷却不活性ガスを供給して、容器内の溶融シリコンを冷却することによって、容器内で高純度多結晶シリコンと不純物含有シリコンとからなるシリコン生成物を生成する冷却工程と、容器からシリコン生成物を取り出し、高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去する除去工程と、を備えたことを特徴とする高純度シリコン製造方法である。
本発明は、シリコン生成物は低密度不純物含有シリコンと、高密度不純物含有シリコンと、これら低密度不純物含有シリコンと高密度不純物含有シリコンとの間に位置する高純度多結晶シリコンとからなり、除去工程は、高純度多結晶シリコンから低密度不純物含有シリコンを除去する低密度シリコン除去工程と、高純度多結晶シリコンから高密度不純物含有シリコンを除去する高密度シリコン除去工程とを有することを特徴とする高純度シリコン製造方法である。
本発明は、作業ボックスと、作業ボックス内に配置され、シリコン原料が投入される容器と、作業ボックスに連結され、当該作業ボックス内を真空にすることによって、前記容器内に配置されたシリコン原料を真空雰囲気下におく真空ポンプと、作業ボックス内に配置され、前記容器を外方から覆い、当該容器を加熱することによって容器内のシリコン原料を溶融して溶融シリコンを生成する加熱部と、前記容器を保持するとともに、当該容器を回転軸線を中心として高速回転させて、溶融した溶融シリコンを容器内で高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離する遠心分離機と、前記作業ボックスに連結され、当該作業ボックスに冷却不活性ガスを供給して、前記容器内の溶融シリコンを冷却することによって、高純度多結晶シリコンと不純物含有シリコンとからなるシリコン生成物を生成する冷却用不活性ガス導入部と、を備えたことを特徴とする高純度シリコン製造装置である。
本発明は、シリコン生成物中の高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去する除去部を更に設けたことを特徴とする高純度シリコン製造装置である。
本発明は、遠心分離機が、回転軸線上に延在する回転駆動部と、当該回転駆動部に直交して連結され、回転駆動部とともに回転軸線を中心として高速回転する回転アームと、当該回転アームの先端に揺動自在に設けられ、前記容器を保持する容器保持部とを有することを特徴とする高純度シリコン製造装置である。
本発明は、加熱部が、作業ボックス内で上下方向に移動し、前記容器を外方から覆う加熱位置と、前記容器から離れる待機位置とをとることができることを特徴とする高純度シリコン製造装置である。
本発明によれば、溶融シリコンを、遠心力によって、高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離した状態のまま冷却して、高純度多結晶シリコンと、不純物含有シリコンとからなるシリコン生成物を生成することができる。そして、シリコン生成物の高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去することにより、容易かつ短時間に高純度多結晶シリコンを得ることができる。
実施の形態
以下、本発明に係る高純度シリコン製造装置の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
図1に示すように、高純度シリコン製造装置は、作業ボックス15と、作業ボックス15内に配置され、シリコン原料R(図2(a)−(c)参照)が投入される石英ガラスからなる容器1と、作業ボックス15に連結され、当該作業ボックス15内を真空にすることによって、容器1内に配置されたシリコン原料Rを真空雰囲気下におく真空ポンプ2と、作業ボックス15内に設けられ、容器1を外方から覆い、当該容器1を加熱することによって容器1内のシリコン原料Rを溶融して溶融シリコンMを得る加熱部3と、作業ボックス15内に設けられ、容器1を保持するとともに、当該容器1を回転軸線Cを中心として高速回転(5000回転/分)させて、溶融した溶融シリコンMを容器1内で高純度溶融シリコン31と、不純物含有溶融シリコン(不純物が混在している溶融シリコン)35とに分離する遠心分離機10とを備えている。
なお、容器1内で生成される不純物含有溶融シリコン35は、低密度不純物含有溶融シリコン(高純度溶融シリコン31より低密度の不純物が混在している溶融シリコン)35a及び高密度不純物含有溶融シリコン(高純度溶融シリコン31より高密度の不純物が混在している溶融シリコン)35bからなっている(図2(f)参照)。
また図1に示すように、作業ボックス15には、当該作業ボックス15に、例えばArガス、CO2ガスといった冷却不活性ガスを供給して、容器1内の溶融シリコンMを冷却することによってシリコン生成物Pを生成する不活性ガスボンベ(冷却用不活性ガス導入部)6が連結されている。
なお、このシリコン生成物Pは、高純度溶融シリコン31が凝固した高純度多結晶シリコン21と、低密度不純物含有溶融シリコン35aが凝固した低密度不純物含有シリコン(高純度多結晶シリコン21より低密度の不純物が混在しているシリコン)25aと、高密度不純物含有溶融シリコン35bが凝固した高密度不純物含有シリコン(高純度多結晶シリコン21より高密度の不純物が混在しているシリコン)25bとからなっている(図3(a)(b)参照)。また高純度多結晶シリコン21は、低密度不純物含有シリコン25aと、高密度不純物含有シリコン25bとの間に位置している。
また図3(b)に示すように、シリコン生成物P中の高純度多結晶シリコン21から、低密度不純物含有シリコン25a及び高密度不純物含有シリコン25bを切断して除去するウォータージェット装置(除去部)41が設けられている。このウォータージェット装置41は、作業ボックス15の外方に設けられ、作業ボックス15の外方へ取り出された容器1からシリコン生成物Pを取り出した後に、このウォータージェット装置41によってシリコン生成物Pが切断される。なお、以下、除去部としてウォータージェット装置41を用いた態様で説明するが、これに限ることなく、除去部としてダイヤモンドカッター(図示せず)を用いても良い。
次に遠心分離機10について更に詳述する。図1に示すように、遠心分離機10は、回転軸線C上に延在し、回転軸線Cを中心として高速回転する回転駆動部11と、当該回転駆動部11の上部に直交して連結され、回転駆動部11とともに回転軸線Cを中心として高速回転する回転アーム12と、当該回転アーム12の先端に揺動自在に設けられ、容器1を保持する容器保持部13とを有している。なお、この容器保持部13はグラファイトから形成されている。
また加熱部3は円筒状をなし、図1に示すように、加熱部3の下方には、上下方向に駆動自在な上下移動シリンダー7が設けられている。このため、この上下移動シリンダー7によって加熱部3を、上方へ移動させるだけで容器1を外方から覆う加熱位置3Aをとることができるとともに(図2(c)(d)参照)、下方へ移動させるだけで容器1から離れる待機位置3B(図2(b)(e)参照)をとることができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち高純度シリコン製造方法について述べる。
まず、遠心分離機10の容器保持部13によって保持された容器1内に、シリコン原料Rを投入する(投入工程51)(図2(a)及び図4参照)。このとき、遠心分離機10は作業ボックス15内に配置されている(図2(a)参照)。
次に、作業ボックス15に連結された真空ポンプ2によって、作業ボックス15内を真空にし、シリコン原料Rを真空雰囲気下におく(真空工程52)(図2(b)及び図4参照)。このとき、作業ボックス15内は、0.01〜0.001気圧になっている。
次に、上下移動シリンダー7によって加熱部3を上方へ移動させ、加熱部3を待機位置3Bから遠心分離機10の容器保持部13に保持された容器1を外方から覆う加熱位置3Aまで移動させる(加熱位置移動工程53)(図2(c)及び図4参照)。
次に、加熱部3によって容器1を真空雰囲気下で加熱して、容器1内のシリコン原料Rを溶融して溶融シリコンMを生成する(溶融工程54)(図2(d)及び図4参照)。このとき、シリコン原料R(又は溶融シリコンM)を真空雰囲気下で加熱するため、シリコン原料R(又は溶融シリコンM)が大気中の酸素などと不用な化学反応を起こすことはない。
次に、上下移動シリンダー7によって加熱部3を下方へ移動させ、加熱部3を容器1から離れる待機位置3Bに移動させる(待機位置移動工程55)(図2(e)及び図4参照)。
次に、遠心分離機10によって、容器1を真空雰囲気下で回転軸線Cを中心として高速回転させて、溶融した溶融シリコンMを容器1内で高純度溶融シリコン31と、不純物含有溶融シリコン35とに分離する(遠心分離工程56)(図2(f)及び図4参照)。
具体的には、回転駆動部11及び回転アーム12を、回転軸線Cを中心として高速回転させることによって、容器保持部13が、回転軸線Cに対して垂直となるよう揺動し、この容器保持部13が回転軸線Cを中心として高速回転する(図2(f)参照)。このようにして、容器保持部13によって保持された容器内の溶融シリコンMが、回転軸線C周りに高速回転され、溶融シリコンMに遠心力が働く。
このとき、高純度溶融シリコン31より密度の高い不純物に対して、高純度溶融シリコン31より大きな遠心力が働くため、当該密度の高い不純物は回転軸線Cから離れるよう移動し高密度不純物含有溶融シリコン35bを形成し、他方、高純度溶融シリコン31より密度の低い不純物に対して、高純度溶融シリコン31より小さな遠心力が働くため、当該密度の低い不純物は回転軸線C近づくよう移動し、低密度不純物含有溶融シリコン35aを形成する。なお、作業ボックス15内は真空雰囲気下になっているので、溶融シリコンMの温度が下がって、溶融シリコンMが凝固してしまうことはない。
次に、不活性ガスボンベ6によって、作業ボックス15内に冷却不活性ガスを供給して、容器1内の溶融シリコンMを冷却する(冷却工程57)(図2(g)及び図4参照)。このことによって、容器1内で、低密度不純物含有溶融シリコン35aから低密度不純物含有シリコン25aが生成され、高密度不純物含有溶融シリコン35bから高密度不純物含有シリコン25bが生成され、これら低密度不純物含有シリコン25aと高密度不純物含有シリコン25bとの間に高純度溶融シリコン31から高純度多結晶シリコン21が生成される。そして、これら高純度多結晶シリコン21、低密度不純物含有シリコン25a及び高密度不純物含有シリコン25bからなるシリコン生成物Pが生成される(図3(a)(b)参照)。
次に、遠心分離機10を停止した後(図2(h)参照)、シリコン生成物Pを収納した容器1を作業ボックス15から取り出す。その後、容器1からシリコン生成物Pを取り出す。
次に、ウォータージェット装置41によって、高純度多結晶シリコン21から低密度不純物含有シリコン25aを除去する(低密度シリコン除去工程58a)(図3(b)参照)。その後、同様にウォータージェット装置41によって、高純度多結晶シリコン21から高密度不純物含有シリコン25bを除去する(高密度シリコン除去工程58b)。
上述のように、本実施の形態によれば、溶融シリコンMを、遠心分離機10の遠心力によって、高純度溶融シリコン31と、不純物含有溶融シリコン35とに分離した状態のまま冷却するため、容易かつ短時間に、不純物含有シリコン25と高純度多結晶シリコン21とからなる分離したシリコン生成物Pを生成することができる。そして、シリコン生成物Pの高純度多結晶シリコン21から不純物含有シリコン25を除去することにより、高純度多結晶シリコン21を容易かつ確実に得ることができる。
本発明による高純度シリコン製造装置を示す構成図。 本発明による高純度シリコン製造方法を説明するための図。 本発明による高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去する工程を説明するための図。 本発明による高純度シリコン製造方法のフロー図
符号の説明
1 容器
2 真空ポンプ
3 加熱部
6 不活性ガスボンベ(冷却用不活性ガス導入部)
10 遠心分離機
11 回転駆動部
12 回転アーム
13 容器保持部
15 作業ボックス
21 高純度多結晶シリコン
25 不純物含有シリコン
25a 低密度不純物含有シリコン
25b 高密度不純物含有シリコン
31 高純度溶融シリコン
35 不純物含有溶融シリコン
35a 低密度不純物含有溶融シリコン
35b 高密度不純物含有溶融シリコン
41 ウォータージェット装置(除去部)
51 投入工程
52 真空工程
54 溶融工程
56 遠心分離工程
57 冷却工程
58 除去工程
C 回転軸線
R シリコン原料
M 溶融シリコン
P シリコン生成物

Claims (6)

  1. 作業ボックス内で回転可能な容器内に、シリコン原料を投入する投入工程と、
    作業ボックス内を真空にし、シリコン原料を真空雰囲気下におく真空工程と、
    前記容器を真空雰囲気下で加熱して、容器内のシリコン原料を溶融して溶融シリコンを生成する溶融工程と、
    前記容器を真空雰囲気下で回転軸線を中心として高速回転させて、溶融シリコンを容器内で高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離する遠心分離工程と、
    作業ボックス内に冷却不活性ガスを供給して、容器内の溶融シリコンを冷却することによって、容器内で高純度多結晶シリコンと不純物含有シリコンとからなるシリコン生成物を生成する冷却工程と、
    容器からシリコン生成物を取り出し、高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去する除去工程と、
    を備えたことを特徴とする高純度シリコン製造方法。
  2. シリコン生成物は低密度不純物含有シリコンと、高密度不純物含有シリコンと、これら低密度不純物含有シリコンと高密度不純物含有シリコンとの間に位置する高純度多結晶シリコンとからなり、
    除去工程は、高純度多結晶シリコンから低密度不純物含有シリコンを除去する低密度シリコン除去工程と、高純度多結晶シリコンから高密度不純物含有シリコンを除去する高密度シリコン除去工程とを有することを特徴とする請求項1記載の高純度シリコン製造方法。
  3. 作業ボックスと、
    作業ボックス内に配置され、シリコン原料が投入される容器と、
    作業ボックスに連結され、当該作業ボックス内を真空にすることによって、前記容器内に配置されたシリコン原料を真空雰囲気下におく真空ポンプと、
    作業ボックス内に配置され、前記容器を外方から覆い、当該容器を加熱することによって容器内のシリコン原料を溶融して溶融シリコンを生成する加熱部と、
    前記容器を保持するとともに、当該容器を回転軸線を中心として高速回転させて、溶融した溶融シリコンを容器内で高純度溶融シリコンと、不純物含有溶融シリコンとに分離する遠心分離機と、
    前記作業ボックスに連結され、当該作業ボックスに冷却不活性ガスを供給して、前記容器内の溶融シリコンを冷却することによって、高純度多結晶シリコンと不純物含有シリコンとからなるシリコン生成物を生成する冷却用不活性ガス導入部と、
    を備えたことを特徴とする高純度シリコン製造装置。
  4. シリコン生成物中の高純度多結晶シリコンから不純物含有シリコンを除去する除去部を更に設けたことを特徴とする請求項3記載の高純度シリコン製造装置。
  5. 遠心分離機は、回転軸線上に延在する回転駆動部と、当該回転駆動部に直交して連結され、回転駆動部とともに回転軸線を中心として高速回転する回転アームと、当該回転アームの先端に揺動自在に設けられ、前記容器を保持する容器保持部とを有することを特徴とする請求項3記載の高純度シリコン製造装置。
  6. 加熱部は、作業ボックス内で上下方向に移動し、前記容器を外方から覆う加熱位置と、前記容器から離れる待機位置とをとることができることを特徴とする請求項3記載の高純度シリコン製造装置。
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