JP5004195B2 - コールドクルーシブル溶解法 - Google Patents
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Description
水素吸蔵合金、特にBCC型水素吸蔵合金では、含有酸素が特性を低下させることがあり、高温での溶解が必要であるため、一般の酸化性耐火物からなる坩堝を用いて鋳込みを行うと、坩堝からの微量酸素混入が合金の水素吸蔵特性、主に有効水素移動量や水素吸放出の反応速度、耐久性等に悪影響を及ぼすことがある。この点で、酸化性耐火物を坩堝に使用せず坩堝からの酸素汚染がない上記コールドクルーシブル溶解法は水素吸蔵合金の製造に好適に用いることができる。
また、炉底部上には、スターティングブロックを配置して溶湯の抜けを防止しており、該スターティングブロックには、一般に安価な炭素鋼が用いられるが、溶湯と同材料を用いる場合もある(例えば特許文献1)。
また、炉底部を下部材と上部材からなるスターティングタブとした鋳造装置も提案されている(特許文献2参照)。
これに対し、高融点材料などを溶解する場合に、スターティングブロックを溶解材料と同成分によって構成することで、スターティングブロックからの成分溶け出しを回避することができる。ところで、スターティングブロックと鋳塊とは良好な結合性が得られるようにスターティングブロック上面に溝を設ける構造が多いが、溶解時にスターティングブロックを溶かさずに溶湯を溝に流し込む条件は非常に難しく、引抜く時に両者の縁切りが生じやすく、この場合引き抜きが困難になるという問題が依然としてある。また、溶解後も溶湯の溶け込み具合によってはスターティングブロックから鋳塊を外すのが困難な場合もある。
また、上記特許文献2では、スターティングタブの上部材に冷却水室となる中空円筒部を設け、該上部材が溶湯により溶解されるのを防止している。しかし、上部材を十分に冷却すると、上記した溝に溶湯を良好に流し込むことが困難になるという問題が生じるため、上部材の溶解阻止と溝への溶湯流し込みとを両立させることが難しいという課題がある。
また、上記スターティングブロックは、鋳塊製造後に、鋳塊から切り離すことで再使用でき、製造コストの低減効果がある。再使用されるスターティングブロックも組成変動はなく、以降のコールドクルーシブル溶解においても鋳塊を汚染することなく使用することができる。
また、得られた鋳塊を切断して下方部をスターティングブロックとして再利用することが可能であり、これまでのように一度の溶解でスターティングブロックを廃棄する無駄を防ぐことができる。
図1は、コールドクルーシブル溶解装置1を示すものである。
該コールドクルーシブル溶解装置1は、銅製の水冷坩堝2を有し、該水冷坩堝2の外周に誘導加熱コイル3が配設されて溶解炉が構成されている。水冷坩堝2の上方に、脱酸材投入装置4と原料追装装置5とが配置されている。水冷坩堝2の下部側は、上昇、下降が可能な炉底部7で構成されており、該炉底部7は、引き抜き機構8によって昇降される。なお、水冷坩堝2は図示しないが雰囲気調整が可能になっている。
原料追装装置5は、BCC型水素吸蔵合金などの金属原料が収容され、逐次、上記水冷坩堝2内に金属原料を追装することができる。
上記水冷坩堝2内に初装の水素吸蔵合金を装入し、所定の雰囲気に調整した後、前記誘導加熱コイル3への通電によって前記水素吸蔵合金を誘導加熱して溶解する。この際にスターティングブロック6の上部側が同様に溶融する。水素吸蔵合金の溶落後、前記脱酸材投入装置4から脱酸材として収容したYまたはHfを供給し、溶解炉2内の溶湯10に所定の時間間隔で所定量を投入する。
溶解完了後,鋳塊と一体となったスターティングブロックの下部側を初期のサイズに切り離す。このスターティングブロックは,再びコールドクルーシブル溶解に使用することができる。
2 水冷坩堝
3 誘導加熱コイル
4 脱酸材投入装置
5 原料追装装置
6 スターティングブロック
7 炉底部
8 引き抜き機構
10 溶湯
Claims (2)
- 金属原料を追装しつつ該金属原料を溶解させる溶解炉の炉底部を引き抜いて金属鋳塊を製造するコールドクルーシブル溶解法において、前記炉底部上に、前記金属鋳塊の最終組成と略同じ組成からなり、溶解時に脱酸材を投入して脱酸を行った後の前記金属鋳塊の酸素含有量を想定して、該酸素含有量以下の酸素含有量に調整されたスターティングブロックを配置しておき、前記溶解初期には該スターティングブロック上で該スターティングブロックの一部とともに初装の前記金属材料を溶解させ、かつ脱酸材を連続または間欠的に溶湯に投入して脱酸を行い、その後は、前記脱酸を行いつつ前記金属原料を追装しながら該金属原料を溶解して前記引き抜きを行い、引き抜き完了後、前記スターティングブロックとともに製造された金属鋳塊の下方側を切断して、切断後の下方の余部をコールドクルーシブル溶解の際のスターティングブロックに使用することを特徴とするコールドクルーシブル溶解法。
- 前記金属原料がBCC型水素吸蔵合金であることを特徴とする請求項1に記載のコールドクルーシブル溶解法。
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