図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動時間短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、ミッション制御手段200を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンデータを保持する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
ミッション制御手段200は、当否抽選が当たりとなるための達成条件として演出内容の状態が所定の態様を呈すべきことを遊技者へ提示する演出であるミッション演出を実行する。本実施例においては、すべての遊技の最中に何らかのミッション演出がつねに演出表示装置60の画面に表示され、そのミッション演出が常時継続される。したがって、従来の「10回転以内に4でリーチをかけろ!」のようにミッション達成の期限が設定される形式の達成条件ではなく、例えば「4でリーチをかけろ!」のように期限設定のない形式の達成条件が表示される。
図4は、図3のミッション制御手段200を詳細に示すブロック図である。ミッション制御手段200は、ミッションデータ保持手段202、ミッション決定手段204、ミッション表示手段206を含む。ミッションデータ保持手段202は、ミッション演出における達成条件がそれぞれ定義された複数のミッションデータを保持する。複数のミッションデータのそれぞれに定義された達成条件には、例えば「4でリーチをかけろ!」のようにリーチを出現させることとそのリーチを構成する図柄の種類を指定する内容や、「左に4を止めろ!」のように出現させる停止図柄とその停止位置を指定する内容などが含まれる。各ミッションデータは、達成条件選択のために実行される抽選の抽選値と対応付けられたテーブルの形で用意されてもよい。
ぱちんこ遊技機10の電源投入後に最初にミッション演出を表示する場合、ミッション決定手段204は、複数のミッションデータからいずれかを選択することにより、ミッション演出において提示する達成条件を決定する。ミッション表示手段206は、決定された達成条件をミッション演出の形で図柄表示装置へ表示させる。その後、ミッション決定手段204は、当否抽選手段112によって当否抽選が実行なされるたびに、表示中の達成条件を他の達成条件に変更するか否かを抽選で決定する。ミッション決定手段204は、達成条件を変更する旨の決定をしたときに、変更後に表示すべき達成条件を複数のミッションデータの中から抽選で決定する。このように、達成条件には達成期限が特に設けられず、一度表示された達成条件は次の新たな達成条件に変更されるまで継続的に演出表示装置60の画面に表示される。
達成条件の変更は、演出上は図柄変動における停止図柄態様が特定の停止態様となったことを契機になされるものと位置づけられる。そのため、演出決定手段132は、達成条件を変更する決定がなされたときの図柄の停止態様を、達成条件の変更がなされることを示唆する特定停止態様に決定する。特定停止態様は例えば「123」のような特定の図柄組合せであり、その特定停止態様で図柄が停止したときに、ミッション表示手段206は特定停止態様の後の図柄変動において表示する達成条件を新たな達成条件に変更する。これにより、外観上はその特定停止態様にて図柄が停止したときに達成条件が変更される手順となる演出を実現できる。
以上は当否抽選が外れであった場合を主に想定したミッション演出の処理である。一方、当否抽選が当たりであった場合は、以下の通り処理する。すなわち、ミッション決定手段204は、当否抽選の結果が当たりであった場合にも、達成条件を変更する旨を決定をする。この場合、ミッション決定手段204は、抽選を経ることなく達成条件の変更を決定するとともに、図柄決定手段114で決定された図柄および変動パターンに合致する内容を持つ達成条件を複数のミッションデータから選択する。例えば、特別図柄「7」で大当たりとなる場合、変更後の新たな達成条件として「7でリーチをかけろ!」の内容を持つミッションデータを選択する。
演出決定手段132は、当否抽選が当たりの場合の変動パターンとして擬似連続変動パターンを選択する。擬似連続変動パターンは、1回の当否抽選に対して擬似的に複数回の図柄変動がなされるように見せる演出である擬似連続変動演出を表示させるパターンである。擬似連続変動演出における擬似的な複数回の図柄変動の合間には、図柄の変動表示の最終的な停止態様とは異なる態様にて一時的に図柄停止したように見せる停止態様である半停止態様が挟まれている。したがって、擬似連続変動演出においては、変動開始、変動半停止、擬似的な変動開始、変動停止、の順で擬似的に連続して2回以上変動しているかのように見せることができる。演出決定手段132は、半停止態様のときに特定停止態様が表示されるよう決定する。演出表示制御手段134は、変更する決定がなされた場合、擬似連続変動演出を表示させて特定停止態様での半停止態様にて表示させた後で再び図柄を変動させてから最終回の変動において最終的な停止態様として当たりを示す停止態様を表示させる。ミッション表示手段206は、半停止態様が特定停止態様にて表示された後に擬似的に開始される次の図柄変動での達成条件を他の達成条件に変更する。
演出決定手段132は、当否抽選の結果が当たりとなった場合、達成条件を満たす演出内容が表示されるように装飾図柄の停止図柄態様を決定する。例えば、特別図柄「7」で大当たりとなる場合、変更後の新たな達成条件として「7でリーチをかけろ!」の内容が表示されるとともに、装飾図柄の停止図柄態様としては「777」を選択する。これにより、「7でリーチをかけろ!」の達成条件を持つミッションに対して実際に図柄「7」のリーチが発生してミッションが達成し、その結果として「777」での大当たりが出現するといった手順の演出を実現できる。
以上のように、本実施例においては抽選結果が当たりであったか否かにかかわらず達成条件の変更が決定され得るので、当たりのときにだけ達成条件が変更されるのと比べて変更頻度は高まる。また、変更後にすぐに大当たりとなる場合もあることから、変更のたびに遊技者に期待感を抱かせることができるとともに、そうした機会を多くすることができる。また、アットランダムのタイミングで達成条件が変更されることを最初からミッション演出の前提としている。そのため、大当たりが発生したときに達成条件の「追加」といった無理な辻褄合わせを必ずしもする必要がなく、それまでの演出過程から違和感を生じさせることなく演出を変更することができる。結果的に、ミッション演出中にその達成条件が変更されなければ大当たりは発生しないといった偏った傾向も生じにくく、達成条件が変更されない間の大当たりに対する期待感の減退を抑制することができる。達成条件を変更することでミッション演出に変化を加えることもでき、ミッション演出を継続的に表示し続ける場合にもその内容に遊技者の注意や関心をより多く向けさせることができ、ミッション演出の演出的効果を高めることができる。
なお、本実施例では、当否抽選が当たりであった場合の変動パターンとして擬似連続変動パターンを選択する例を説明したが、当否抽選が外れであった場合の変動パターンとしても擬似連続変動パターンを選択することがあってもよい。その場合の半停止態様は、特定停止態様以外の態様にて表示されてもよいし、達成条件の変更が伴うことを前提に特定停止態様にて半停止が表示されてもよい。
また、特定停止態様での半停止態様を表示する手法として擬似連続変動演出以外の演出を用いてもよい。例えば、図柄の変動表示を最終的に停止させる前に特定停止態様にて半停止させ、その後に一部の図柄のみを再変動させてから最終的な停止図柄態様にて停止させる手法である。このとき、当否抽選が当たりであれば、最終的な停止図柄態様としては当たり停止態様を表示させることとなる。
図5は、通常状態でのミッション演出および図柄変動の表示内容を模式的に示す。本図の例では、演出表示装置60の画面上部の領域にミッション表示210として「指令:4でリーチをかけろ!」の文字列が表示される。この場合に選択されているミッションデータには「4でリーチをかけろ!」の文字列が達成条件として含まれる。ミッション表示210の表示内容は、達成条件が変更されるまで継続的に同じ領域に表示され続ける。
図6は、ミッション演出における達成条件を変更する場面の画面表示内容を模式的に示す。本図は、当否抽選が当たりであった場合の半停止態様または当否抽選が外れであった場合の停止図柄態様として、特定停止態様である「123」の図柄組合せが表示されている状態である。このとき、ミッション演出における達成条件の変更が発生したことを遊技者に告げるために「ミッションチェンジ!」の文字列が画面中央付近に表示される。演出表示装置60の画面上部の領域にミッション表示210は、図5における「4でリーチをかけろ!」の文字列から「7でリーチをかけろ!」の文字列に変更される。この場合に新たに選択されたミッションデータには「7でリーチをかけろ!」の文字列が達成条件として含まれる。
図7は、主に当否抽選が外れであった場合の図柄変動と達成条件変更の過程を時系列的に示すタイムチャートである。まず、最初の当否抽選では、外れ判定と達成条件を変更しない決定がされ、それとほぼ同時に図柄変動が開始され(S200)、変動パターンにしたがった変動時間が経過した後に図柄変動が停止される(S202)。所定の変動間隔の時間が経過し、次の当否抽選では、外れ判定と達成条件を変更する決定がされ、図柄変動が開始される(S204)。変動パターンにしたがった変動時間が経過した後に、特定停止態様にて図柄変動が停止され(S206)、達成条件が変更され(S208)、次の図柄変動が開始される(S210)。このように、図柄変動が繰り返される中で、所定の確率にてたびたびS204のような達成条件変更の決定がなされ、S208のような達成条件変更が表示される。
図8は、主に当否抽選が当たりであった場合の図柄変動と達成条件変更の過程を時系列的に示すタイムチャートである。まず、当否抽選の当たり判定と達成条件を変更する決定がされるのとほぼ同時に図柄変動が開始され(S220)、擬似連続変動パターンにしたがった擬似的な1回目の変動時間が経過した後に図柄変動が特定停止態様にて半停止され(S222)、達成条件が変更される(S224)。所定の変動間隔の時間が経過し、擬似的な2回目の図柄変動が開始され(S226)、擬似的な2回目の変動時間が経過した後に、達成条件に合致する態様でリーチが表示されてミッションが達成される(S228)。最後に大当たり態様にて図柄変動が最終的に停止され(S230)、特別遊技が開始される(S232)。なお、本図の例では擬似的な2回目の変動においてミッションが達成される例を示したが、変形例として擬似的な3回目以降の変動においてミッションを達成させて大当たりを発生させる構成としてもよい。その場合、達成条件の変更タイミングと大当たり発生タイミングとの時間的な接近を回避でき、達成条件の変更直後にしか大当たりは発生しないといった遊技者の経験則が成立してしまうのを阻止できる。これにより、達成条件の変更から複数回の変動にわたって大当たりに対する遊技者の期待を維持することができる。
図9は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図10は、図9におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図11は、図10におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じた装飾図柄の変動パターンを所定のテーブルにしたがって選択し(S52)、ミッション演出の達成条件決定処理が実行される(S54)。なお、S52において、当否抽選が当たりのときは擬似連続変動パターンが選択され、外れのときは擬似連続変動パターンを含むすべての変動パターンからいずれかが選択される。
図12は、図11におけるS54のミッション演出決定処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選が大当たりでない場合(S100のN)、達成条件を変更するか否かを決定するための抽選を実行し(S102)、達成条件の変更が決定されたときは(S104のY)、新たな達成条件を決定し(S106)、装飾図柄の停止図柄組合せを特定停止態様に決定し直す(S108)。達成条件の変更をしない決定がされたときはS106およびS108をスキップする(S104のN)。当否抽選が大当たりであった場合(S100のY)、S102における達成条件を変更するか否かの決定を経ることなく新たな達成条件を決定し(S110)、装飾図柄の変動パターンを擬似連続変動パターンに選択し直す(S112)。
図13は、図10におけるS40の変動表示処理を詳細に示すフローチャートである。まず、変動中の図柄画像を表示する(S150)。変動パターンが擬似連続変動パターンである場合(S152のY)、半停止タイミングに達していれば(S154のY)、図柄変動を半停止表示し(S156)、半停止タイミングでなければS156をスキップする(S154のN)。このとき、達成条件変更の決定がなされていたときは(S158のY)、達成条件の表示を変更し(S160)、決定がなされていないときはS160をスキップする(S158のN)。半停止表示の状態で擬似的な次の変動の再開タイミングに達していれば(S162のY)、擬似的な次の変動を再開させ(S164)、再開タイミングでない場合はS164をスキップする(S162のN)。S152において変動パターンが擬似連続変動パターンでない場合は、S154からS164までの処理をスキップする(S152のN)。次に、リーチタイミングに達したとき(S166のY)、リーチを表示し(S168)、リーチタイミングでなければS168をスキップし(S166のN)、図柄停止のタイミングに達したときは(S170のY)、図柄停止を表示し(S172)、このとき特定停止態様で停止表示されたときは(S174のY)、達成条件の表示を変更し(S176)、特定停止態様でなければS176をスキップする(S174のN)。図柄停止のタイミングでなければ、S172からS176までをスキップする(S170のN)。
図14は、図9におけるS16を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 ぱちんこ遊技機、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 90 遊技効果ランプ、 100 遊技制御装置、 112 当否抽選手段、 114 図柄決定手段、 118 メイン表示制御手段、 130 パターン記憶手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 200 ミッション制御手段。