図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。特別図柄表示装置61の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。なお、確変は、特別遊技中に実行される抽選やゲームなどで所定の条件を満たしたときに実行されるようにしてもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる擬似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。前述したように、特別図柄の変動と装飾図柄の変動は連動する。つまり、特別図柄の変動パターンとして長い変動パターンが選択された場合、実質的に同じ長さの変動時間で変動する装飾図柄の変動パターンが選択される。したがって、後述する擬似連続変動パターンのように装飾図柄の変動時間の長い変動パターンが選択される場合には、長い変動パターンの特別図柄が選択されていることになる。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限はたとえば4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数、たとえば100回に至るまで継続される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンのデータを保持する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。たとえば、ノーマルリーチと呼ばれるリーチパターンはリーチパターンの中でも比較的変動時間が短い。また、ロングリーチやスーパーリーチと呼ばれるリーチパターンはストーリー展開を伴う演出が行われることが多く比較的変動時間が長い。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
本実施例のパターン記憶手段130は変動パターンの形態として、単変動パターンと擬似連変動パターンを含む。単変動パターンは、当否抽選手段112による当否抽選の結果を1回の演出で表示する単変動演出を実行する。また、擬似連変動パターンは、当否抽選手段112の当否抽選の結果を擬似的な複数回の演出で表示するとともに演出を表示することにより当否抽選の結果が当たりである可能性が高いことを示唆する擬似連続変動演出を実行する。単変動パターンと擬似連変動パターンの詳細は後述する。
パターン記憶手段130が保持する変動パターンには様々な演出の形態が含まれる。たとえば、所定の画像を背景として装飾図柄190のみが変動表示されて停止タイミングが来たら停止する通常演出を含む。また、当否抽選手段112の当否抽選の結果が当たりである可能性を予告的に示唆する予告演出を含む。予告演出は、図柄変動中にたとえば特別なキャラクタを登場させて大当たりを期待させたり、期待感を高めるような直接的なメッセージを表示する演出を含むことができる。なお、予告演出は、演出表示装置60の表示している画面が見た目で変化しているような演出を実行するパターンでもよい。たとえば、背景を変えたり背景の色を変えたりしてもよいし、通常表示されている装飾図柄やキャラクタの色や形態を変化させてもよい。
演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
演出決定手段132は、前回演出記憶手段200と演出変更手段202を含む。前回演出記憶手段200は、当否抽選手段112による抽選の結果として今回表示する現演出の前の演出、つまり前回表示した前演出の演出内容を記憶する。前演出の内容を記憶して現演出と比較することにより、演出変更手段202は演出決定手段132で選択された現演出の内容と前演出の内容が相互に関連性を有するか否かを判定することができる。演出変更手段202は、前演出と現演出の間で所定の条件が満たされた場合に、現演出の単変動演出の内容を変更するか否か決定する。そして変更する旨が決定された場合、前演出の単変動演出の内容と現演出の単変動演出の内容の連続性が擬似連の擬似的な複数回の演出の内容の連続性と実質的に同じになるように現演出の内容を変更する。つまり、前演出と現演出の連続する演出により擬似連が表示されているかのように見える演出を実現する。演出変更手段202は、現演出の内容を変更する場合、変更後の単変動演出の内容と、擬似連が実行されていることを示唆する示唆演出を含む演出の内容が実質的に同じになるように現演出の内容を変更する。たとえば、擬似連であることを示す示唆演出が背景色を通常色の「青」から「赤」に変える演出である場合、演出変更手段202は現演出の単変動演出においても背景色を示唆演出と同様な「赤」に変化させる。また、示唆演出がBGMを変化させる演出の場合、演出変更手段202は現演出の単変動演出において同様にBGMを変化させる。また、擬似連であることを示す示唆演出が特定のキャラクタやアイテムを表示する演出の場合、現演出の単変動演出において同様なキャラクタやアイテムを表示する。このような演出の変更は、示唆演出を含む変動パターンを準備しておき変動パターン全体を差し替えることで実施できる。また、示唆演出を現演出に追加することで実施してもよい。示唆演出を含む変動パターンのデータや示唆演出として追加するキャラクタやアイテムのデータは、パターン記憶手段130に保持してもよいし、別途準備した示唆演出用の記憶手段に記憶させてもよい。
本実施例の場合、演出変更手段202には現演出の単変動演出の内容を変更するか否か決定するための複数の条件が設定されている。
1つ目の条件は、現演出が前演出の終了から所定の時間以内に実行される予定であることである(以下、時間条件という場合もある)。ここでいう所定の時間は、擬似連において擬似的な演出が連続的に実行される場合の時間間隔と実質的に同じかそれ以下であり、連続表示される単変動演出が視覚的にほぼ連続して実行されている演出に見える時間間隔であることが好ましい。なお、保留制御手段116に保留球が保持されていれば、前演出の終了後に現演出が連続して表示されるので前述した時間条件は満たされる。つまり、保留制御手段116の保留球の保持状態を示す情報を参照すれば条件成立か否かを判定できる。また、保留球の有無に拘わらず、前演出の終了後所定時間以内に当否抽選手段112が当否抽選の結果を出せば時間条件が成立したことになるので、当否抽選手段112からの情報を参照して時間条件の成立の有無を判定してもよい。なお、この時間条件が満たされない場合、つまり、始動口62への入球が滞り前演出の終了後現演出が始まるまで間隔が空いてしまった場合、現演出の内容を変更しても擬似連が実行されているようには見えないので、この場合演出変更手段202は現演出の変更処理を行わない。
2つ目の条件は、現演出及び前演出がいずれも単変動演出であることである(以下、単変動条件という場合もある)。もし、現演出または前演出が擬似連である場合に現演出の演出を擬似連に見えるように変更してしまうと、既に擬似連としてまとまりのある演出になっているものを乱してしまう虞がある。このような場合には現演出の変更を避けることが望ましい。前演出が単変動演出であるか否かは、前回演出記憶手段200の保持内容を参照することにより判定できる。
3つ目の条件は、現演出と前演出の内容が所定の条件を満たすことである(以下、演出内容条件という場合もある)。たとえば、前演出の内容と現演出で表示しようとする内容において、同じキャラクタが登場する演出であったり、通常とは異なる同じ背景色の演出であったり、同じメッセージを含む演出、同じ図柄の組合せや同じ図柄を含む場合などに所定の条件が満たされたとすることができる。なお、同じ図柄の組合せとして、あと1つ同じ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ演出も含まれる。また、同じメッセージとして「リーチ」を示すメッセージも含まれる。ところで、上述の2つの条件は比較的容易に成立する。したがって、3つ目に条件を設けない場合、現演出の内容の変更が頻繁に行われる。その結果、単変動演出の連続表示により擬似連のように見える演出が頻繁に表示されて、本当の擬似連が通常の演出と何ら変わらない期待度の高くない演出と思われやすくなる虞があり演出上好ましくない。その一方で、上述した3つ目の条件が成立するのは、あくまで演出決定手段132による演出選択処理の結果に依存するので、演出変更手段202により現演出の変更が適度に実施される保証はない。そこで、本実施例の場合、演出決定手段132は、前演出として前述した3つ目の所定の条件を満たす単変動演出を選択している場合、現演出を選択する場合に前演出が所定の条件を満たさない場合より高い確率で所定の条件を満たす単変動演出を選択することができる。つまり、前演出でリーチ演出を表示していた場合、現演出でもリーチ演出を表示しやすくする。このような処理を実行することにより、3つ目の条件の成立の可能性が確保され、現演出の内容の変更が適度に実行できる。
本実施例の場合、さらに、演出変更手段202による現演出の変更の頻度を調整するために上述した3つの条件が成立した場合、4つ目の条件となる所定の基準が満たされるか否かを検討する。所定の基準を満たすか否かは抽選により決めてもよいし、当否抽選手段112の当否抽選の結果を参照してもよいし、過去の演出内容を参照してもよい。たとえば、現演出を変更するか否を決定する抽選の結果を基準にする場合、変更する旨を示す当たり確率を変化させることにより、現演出が変更される頻度を調整できる。たとえば、全て当たりとすれば、実質的に上述の3つの条件が成立することにより現演出の変更が確定する。また、当たりとなる確率を低くすれば、現演出の変更を伴う演出の発生の規則性を薄くすることができて遊技性が向上する。ただし、確率が低すぎると現演出の内容の変更が行われにくくなるので、たとえば50%程度の確率を設定することが望ましい。また、当否抽選手段112の当否抽選の結果を参照する場合、当否結果が当たりのときには変更する確率が高く設定された抽選テーブルを参照して現演出を変更するか否か決定し、外れのときには変更する確率が当たりのときより低く設定された選択テーブルを参照して現演出を変更するか否か決定することができる。また、過去の演出内容を参照する場合は、たとえば前回演出記憶手段200で過去の演出の内容を複数保持できるようにすればよい。たとえば、過去20回の演出における演出変更手段202の変更確率が50%未満であれば、変更する確率が高く設定された抽選テーブルを参照して現演出を変更するか否か決定する。50%以上の場合、変更する確率が前述のものより低く設定された抽選テーブルを参照して現演出を変更するか否か決定するようにできる。
そして、現演出を変更する旨が決定された場合、演出変更手段202は、前演出の単変動演出の内容と現演出の単変動演出の内容の連続性が擬似連の擬似的な複数回の演出の内容の連続性と実質的に同じになるように現演出の内容を変更する。そして、演出表示制御手段134は変更後の内容で現演出を表示させる。
演出変更手段202は現演出の内容を変更する旨の決定がなされた場合、パターン記憶手段130に保持された示唆演出のいずれかを選択して現演出の変動パターンと差し替える処理や現演出の変動パターンに追加する変更処理を実行する。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
前述した単変動パターンは、1回の当否抽選の結果に対して1回の図柄変動を表示する変動パターンであり、遊技中定常的に選択される変動パターンである。図4(a)〜図4(e)は、リーチ演出を伴う単変動パターンが選択されたときに演出表示装置60に表示される表示内容の推移を示している。本実施例では、3個の装飾図柄190を「左図柄」、「右図柄」、「中図柄」の順に停止させて当否抽選の結果を表示する例を示す。なお、単変動パターンは予告演出を含んでもよい。図4(a)〜図4(e)の例は、予告演出を表示する場合を示している。まず、演出の開始とほぼ同時に3個の装飾図柄190が変動し(図4(a))、その変動表示中に予告演出を示す予告演出画像194を表示する(図4(b))。この例の場合、通常登場しないキャラクタとメッセージの表示により当否抽選の結果が当たりである可能性が通常より高いことを予告的に示唆している。そして、「左図柄」の停止(図4(c))、「右図柄」の停止及び「リーチ」表示(図4(d))が実行され、最後に「中図柄」が停止して(図4(e))図柄変動が完了する。図4(a)〜図4(e)の変動表示は、特別図柄の変動が開始されてから停止するまでの間に実行される。つまり、1回の当否抽選の結果を表示する間に図4(a)〜図4(e)の変動表示が実行される。なお、リーチ状態を経ないで停止図柄が表示される場合は、図4(d)において、「左図柄」と「右図柄」が異なる装飾図柄190となり、「リーチ」のメッセージが表示されない。また、予告演出を伴わない図柄変動の場合、図4(b)の表示が省略される。また、この例では予告演出画像194は「左図柄」の停止前に表示されているが、装飾図柄190の変動中であればどのタイミングで表示されてもよい。また、ロングリーチやスーパーリーチと呼ばれる変動時間が長い変動パターンの場合、各場面を跨ぐような長い予告演出が表示されてもよい。
前述した擬似連続変動パターンは、1回の当否抽選の結果に対してたとえば4回の図柄変動が表示される変動パターンである。擬似連続変動パターンを用いた変動表示において、擬似的な最終回の図柄変動を除き、擬似的な各回の図柄変動は完全に停止するのではなくあたかも停止したような半停止態様で表示される。擬似連続変動パターンにおいても予告演出を含むことができる。図5(a)〜図5(e)は、擬似連続変動パターンの擬似的な変動における装飾図柄190の変動開始から半停止態様までを示している。図5(a)〜図5(d)までは、図4(a)〜図4(d)に示す単変動パターンの変動表示と同じである。擬似連続変動パターンの場合、図5(e)に示すように、「中図柄」の装飾図柄190は表示されるが、その表示は完全停止することなくたとえば上下や左右に揺れ動くような半停止態様で表示される。そして半停止態様が所定時間表示された後に、図6(a)の変動表示状態に移行されて「左図柄」、「中図柄」、「右図柄」の変動が再開される。なお、擬似連続変動パターンの場合、擬似連が実行中であることを遊技者に示唆する示唆演出を2回目以降の擬似的な変動中に表示してもよい。示唆演出は、たとえば図6(a)〜図6(e)に示すように背景色を前回の擬似的な変動時(図5(a)〜図5(e))のときと変える演出とすることができる。また、変動中のBGMを初回の擬似的な変動時と2回目以降の擬似的な変動時で変えてもよい。擬似連続変動パターンの場合、図6(a)〜図6(e)の変動表示が複数回繰り返し実行される。そして、擬似的な最終回の変動表示では図6(d)の表示のあと図6(f)に示すように、「中図柄」の完全停止が行われ、当否抽選の結果が停止図柄の態様で表示される。つまり、擬似的に4回の図柄変動を行う擬似連続変動パターンでは、特別図柄の1回の変動中に図5(a)〜図5(e)や図6(a)〜図6(e)に示すような半停止態様の変動表示が3回実行された後、図6(a)〜図6(d)、図6(f)に示すような変動表示が実行されることになる。この擬似連続変動パターンが実行される場合、保留制御手段116が保持する保留球数の減数は「1」である。なお、擬似連続変動パターンにおいて擬似的な複数回の図柄変動中に表示される装飾図柄190のリーチ図柄は毎回同じものでもよいし異なるものであってもよい。また、必ずしもリーチ態様の表示を行う必要はなく、所定の意味を持つ装飾図柄190の組合せを表示してもよい。この場合、たとえばチャンス目などと称される組合せやオールマイティ的な図柄を含む組合せであってもよい。また、擬似的な図柄変動ごとにばらばらであってもよい。また、予告演出は複数回表示されてもよいし、1回のみでもよい。また表示されなくてもよい。予告演出が複数回表示される場合、毎回同じものであってもよいし異なるものであってもよい。予告演出を複数回表示する場合は表示回数を重ねるごとに期待感が高まるような予告内容とすることが好ましい。なお、上述の説明では擬似的に複数回繰り返される図柄変動を4回として説明したが繰り返し回数は4回以外でもよく、適宜設定可能で、たとえば2回や6回でもよい。
本実施例において、演出変更手段202で現演出の内容を変更する旨の決定が行われた場合、すなわち、上述した3つの条件である時間条件、単変動演出条件、演出内容条件が満たされた場合であって、さらに、4つ目の条件が成立した場合、現演出の内容の変更が行われる。たとえば、前演出として、図4(a)〜図4(e)の演出が表示され、その演出の終了から所定時間内に演出決定手段132により前演出と同様なリーチを伴う演出が現演出として選択された場合、当該現演出を図7(a)〜図7(e)に示すように擬似連の2回目以降の擬似的な演出に見えるように示唆演出を伴う表示に変更する。図7の場合、演出決定手段132が選択した現演出の単変動パターンを示唆演出を含む単変動パターンに差し替えて背景を擬似連が実行されているときと同じになるようにしている。つまり、前演出として図4(a)〜図4(e)の単変動演出が表示されたあとに、直ちに現演出として図7(a)〜図7(e)の単変動演出が表示される。その結果、演出変更手段202により変更が行われた現演出を含む連続演出と擬似連の擬似的な連続演出の区別がし難くなり、擬似連とは異なる演出でありながら擬似連が表示されているかのような演出ができる。なお、この場合、擬似的な変動が2連続した擬似連が表示されたように見える。また、現在の演出が擬似連であるか単変動演出が単に連続して擬似連のように見えている演出かの推測が難しくなり、本当の擬似連か否か見極めるという遊技の面白みが向上できる。
このとき、演出変更手段202が示唆演出を含む単変動パターンを用いて現演出の単変動パターンをまるごと差し替える場合、変更後の現演出を含む連続演出と擬似連との類似性の向上を容易にできる。また、演出変更手段202は擬似連で登場する特徴的なキャラクタの追加や、色彩の追加、BGMの追加などで行うこともできる。これらの追加は現演出の内容の一部分で実行することができる。そのため、変更処理を容易にできる。また、変更内容が現演出の中の一部なので前演出と現演出との繋がりに違和感が出にくく、単変動演出の連続表示で擬似連の擬似的な連続演出と同じように見える演出を容易にできる。
このように、単変動演出の連続表示により擬似連が発生しているように見せることにより、擬似連に類似する演出が遊技者の目に触れる機会を増加させることができる。また、擬似連が示唆するような大当たりに対する期待感を遊技者に提供できる。また、擬似連に類似する演出が遊技者の目に触れる機会が増加することにより、従来表示される可能性の低い擬似連を体験したかのように見せることができる。その結果、擬似連の発生確率を増大させることなく、擬似連の認識度の向上や擬似連への興味の向上を導くことが可能になり遊技性向上を図ることができる。なお、前述したように、擬似連の場合、擬似的な複数回の図柄変動の間における保留球の減数は「1」であるが、演出変更手段202の変更処理によりあたかも擬似連に見えるような演出にしたときは、図柄変動毎に保留球の減算が行われる。したがって、演出内容の変化や保留球の変化を遊技者に注意深く観察させることにより、擬似連であるか別の演出であるかを推測させるという遊技形態を提供できて遊技性の向上に寄与できる。また、遊技中に演出内容や保留球の残数など様々な情報の確認が要求されるので、遊技中の緊張感を喚起して飽きの来ない遊技を提供できる。
図8(a)〜図8(d)は、いわゆる予告演出を伴わないでリーチ演出のみを伴う擬似連の擬似的な図柄変動を説明する図である。前述したように、擬似連の場合、「左図柄」、「右図柄」の停止に続き「中図柄」が半停止態様で表示される。図9(a)〜図9(d)は、2回目の擬似的な演出の推移を示している。この例の擬似連は擬似的な図柄変動が2回の場合を示している。図9(b)は、擬似連が実行中であることを示唆する示唆演出として、流れ星196が移動している。遊技者は通常登場しない流れ星196が表示されることにより擬似連であることを認識することができる。
図10(a)〜図10(d)及び図11(a)〜図11(d)は、予告演出を伴わないリーチ演出が偶然連続した場合に、演出変更手段202により現演出の内容が変更され、図8(a)〜図8(d)および図9(a)〜図9(d)で示す擬似連のように見える演出が行われる場合を説明する説明図である。この場合、前演出である図10(a)〜図10(d)の変動表示及び現演出である図11(a)〜図11(d)の変動表示はいずれも単変動演出であるので、「左図柄」、「右図柄」の停止に続き「中図柄」が停止態様で表示される。そして、前演出及び現演出はいずれもリーチ演出を伴う単変動演出であり、時間条件も満たしたものとする。演出変更手段202は、4つ目の条件、たとえば、変更するか否かを決定するための抽選に当選して変更する旨が決定された場合には、現演出の内容を変更する処理として、図9(b)において擬似連であることを示唆する示唆演出として流れ星196を現演出に追加する(図11(b))。このように現演出の内容を変更することにより、偶然連続したリーチ演出を伴う単変動演出を用いてあたかも擬似連が実行されているかのように見せることができる。
図12は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図13は、図12におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。判定結果は、メイン表示制御手段118に送信されるとともに、演出決定手段132に送信される。そして、演出決定手段132において現演出の装飾図柄の変動パターンを決定する演出表示決定処理を実行する(S36)。メイン表示制御手段118は当否抽選手段112の判定結果に応じて特別図柄の変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。これを受信した演出表示制御手段134が演出決定手段132の決定した変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S38)。このとき演出決定手段132において現演出の内容を変更する旨の決定がなされている場合には、変更済みの現演出を表示する変動表示が開始される。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS38までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34からS38の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S40のY)、図柄変動表示処理を実行する(S41)。そして、演出表示決定処理で選択した装飾図柄190の変動パターンデータで定められた装飾図柄190の停止タイミングになっている場合(S42のY)、決定された停止図柄で装飾図柄190の変動を停止する(S43)。また、S40において、図柄変動表示が開始されていないときは(S40のN)、S41からS43の処理をスキップする。また、S42において、装飾図柄190の停止タイミングでない場合(S42のN)、S43の処理をスキップする。
図14は、図13におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S44)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S46)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S48)、特別図柄の変動パターンを選択する(S50)。
図15は、図13におけるS36の演出表示決定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄の情報を読み出す(S100)。演出決定手段132は当否判定の結果及び特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定する(S102)。演出決定手段132はこれから表示しようとする現演出が前演出から所定時間内に表示開始されようとする場合(S104のY)、前回演出記憶手段200から前演出の内容を読み出す(S106)。読み出した前演出の内容が擬似連ではない場合(S108のN)、すなわち前演出が単変動演出の場合、さらに、前演出の内容が前述した演出内容条件、たとえばリーチ演出を伴う演出であったり、特定の演出を含む演出であるか否か確認する(S110)。演出決定手段132は前演出が所定の条件を満たす場合、つまり演出内容条件を満たす場合(S110のY)、パターン記憶手段130に保持された変動パターンの選択テーブルのうち演出内容条件を満たす単変動演出の演出パターンを高確率で選択できる選択テーブルを用いて現演出の変動パターンを選択する(S112)。この場合、現演出の変更条件の成立頻度を高くすることが可能になり、擬似連のように見える単変動演出の連続演出の発生頻度を高くできる。その結果、擬似連とは異なる演出でありながら、擬似連の認識度の向上や擬似連への興味の向上に寄与できる。一方、前演出が演出内容条件を満たさない場合(S110のN)、パターン記憶手段130に保持された変動パターンの選択テーブルのうち演出内容条件を満たす単変動演出の演出パターンを低確率で選択する選択テーブルを用いて現演出の変動パターンを選択する(S114)。続いて、演出決定手段132は選択した現演出が演出内容条件を満たす単変動演出の変動パターンであり(S116のY)、前演出及び現演出が演出内容条件を満たす変動パターンである場合(S118のY)、現演出の内容を最終的に変更するか否かを決定する変更実行処理を実行する(S120)。そして、現演出における装飾図柄の変動パターンを確定する(S122)。
なお、S118において、前演出が演出内容条件を満たさない場合(S118のN)、S120の処理をスキップしてS112またはS114で選択された変動パターンを現演出における装飾図柄の変動パターンとして確定する(S122)。また、S116において、現演出用として選択された変動パターンが演出内容条件を満たさない変動パターンであったり、擬似連であった場合(S116のN)、S118、S120の処理をスキップしてS112またはS114で選択された変動パターンを現演出における装飾図柄の変動パターンとして確定する(S122)。
S108で前演出が擬似連である場合(S108のY)、またはS104で現演出が前演出の終了から所定時間以内に開始されない場合(S104のN)、演出決定手段132はパターン記憶手段130に保持された通常使用する変動パターンの選択テーブルを用いて変動パターンを選択し(S124)、S122に移行して現演出における装飾図柄の変動パターンを確定する。なお、この場合、選択される変動パターンは単変動パターンである場合と擬似連変動パターンである場合がある。
図16は、図15におけるS120の変更実行処理を詳細に示すフローチャートである。まず、演出決定手段132は、前演出の単変動演出の内容及び選択した現演出の単変動演出の内容がリーチ演出を伴うものか確認する(S130)。もし、前演出及び現演出の両方がリーチ演出を含む場合(S130のY)、演出決定手段132は、S132の処理をスキップして現演出を変更する旨を高確率で決定する選択テーブルを用いて変更の有無を決定する(S134)。リーチ演出が連続した場合、遊技者はそろそろ大当たりになるのではないかという期待感を抱く傾向がある。それに加えて擬似連と同じような演出が行われることによりさらに大当たりへの期待感を増加させることができるので、遊技性の向上に寄与できる。一方、S130において、前演出がリーチ演出を含まず(S130のN)、当該変動が当たりの場合、つまり現演出が当たり演出の場合(S132のY)、現演出を変更する旨を高確率で決定する選択テーブルを用いて変更の有無を決定する(S134)。大当たりの場合に演出変更手段202によって演出内容が変更されて擬似連と同じように見える連続演出が表示される可能性が高くなることにより、擬似連のように見える単変動演出の連続演出でも大当たりの期待度が高いという特徴を持たせることができる。その結果、単変動演出の連続演出でありながら擬似連との類似性を向上できる。また、擬似連に見えるような演出が遊技者の目に触れる機会が増加し、擬似連の認識度の向上や擬似連への興味の向上に寄与できる。また、S130において、前演出がリーチ演出を含まず(S130のN)、当該変動が外れの場合、つまり現演出が外れ演出の場合(S132のN)、演出決定手段132は現演出を変更する旨を低確率で決定する選択テーブルを用いて変更の有無を決定する(S136)。
演出決定手段132は、S134またはS136で現演出の内容を変更する旨の決定がなされた場合(S138のY)、前演出の演出内容に基づき変更内容を決定する。つまり、前演出と現演出の連続的な表示が擬似連の擬似的な複数回の演出と同等に見えるようにするためにたとえば現演出の背景などの差し替えが必要な場合には(S140のY)、擬似連を示唆する演出を含む示唆演出の変動パターンで現演出の差し替え処理を行う(S142)。また、前演出と現演出の連続的な表示が擬似連の擬似的な複数回の演出と同等に見えるようにするために現演出にたとえばキャラクタやアイテムの追加が必要な場合には(S140のN)、擬似連を示唆する演出を含む示唆演出の表示の追加処理を行う(S144)。
なお、S138において、現演出の内容の変更をしない旨の決定がなされた場合(S138のN)、S140〜S144の処理をスキップしてこのフローを終了する。
図17は、図12におけるS16を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が15に達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
なお、本実施例において、演出内容が変更された現演出は、次の図柄変動のタイミングでは、前演出となりその時に現演出が前述した4つの変更条件を満たす場合、演出内容の変更が行われる。したがって、現演出において4つの変更条件さえ揃えば、擬似的な変動が3回や4回連続する擬似連と同じような連続演出が可能になり、擬似連の発生時と同じような興奮や期待感を遊技者に提供できる。また、擬似連とは異なる演出であるにも拘わらず、単変動演出の連続演出により実際の擬似連と同等の演出ができるので、擬似連の認識度の向上や興味の向上を導くことが可能になり、遊技性の向上に寄与できる。
また、上述した実施例では、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機を例に説明したが、図柄変動中に擬似連及び予告演出が行われる遊技機であれば本実施例を適用できる。たとえば、第1種ぱちんこ遊技機を複数融合させた複合機と呼ばれる遊技機や、第1種ぱちんこ遊技機と第2種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機を複合させた遊技機にも本実施例は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 ぱちんこ遊技機、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 100 遊技制御装置、 112 当否抽選手段、 114 図柄決定手段、 118 メイン表示制御手段、 130 パターン記憶手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 200 前回演出記憶手段、 202 演出変更手段。