JP5033430B2 - 液晶配向制御用突起形成用組成物 - Google Patents

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本発明は、垂直配向液晶表示型カラーフィルタの液晶配向制御用突起を形成する際に用いられる液晶配向制御用突起形成用組成物、およびこれを用いて形成されたカラーフィルタに関するものである。
液晶表示装置は、カラーフィルタ側の透明基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御してカラーフィルタの透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
近年、電圧が印加されていない状態で液晶分子が基板面に垂直に配列されており、電圧が印加されると液晶分子がいろいろな方向に倒れる垂直配向液晶表示装置が提案されている。この垂直配向液晶表示装置は、従来より使用されている捩れネマッチック方式の液晶表示装置と比較して、コントラスト比、応答速度等の面で優れている。また、液晶分子が倒れる方向を、多数の方向にする場合には、効果的に広高視野角を実現することができる、という利点も有する。
このような液晶が倒れる方向を多数の方向とする垂直配向液晶表示装置としては、例えば図2に示すように、透明電極層3および対向する液晶駆動側基板12に形成された第2電極層11の表面に、液晶配向制御用突起14を形成し、電圧を印加した際の液晶13の配向方向を制御する方式(以下、MVA方式ともいう。)が提案されている(例えば特許文献1等)。
上記垂直液晶配向制御装置では、液晶が垂直に配向した状態、すなわち電圧を印加しない状態で黒表示が行われることとなる。しかしながら上記MVA方式では上記液晶配向制御用突起が形成されていることから、液晶配向制御用突起の周囲の液晶は電圧を印加していない状態で完全に垂直に配向しない。そのため黒表示時にバックライト光が漏れ、黒表示部と白表示部とのコントラストが小さくなり、良好な表示特性が得られにくいという問題があった。
良好な表示特性を得る為、このようなコントラストの問題を解消する方法として、液晶配向制御用突起に遮光性を付与して光の透過率を下げることにより、バックライト光の漏れを防ぐ方法が一般的に知られている。このような遮光性を有する液晶配向制御用突起は、顔料を含有させた感光性レジストを用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。
ここで、上記液晶配向制御用突起の形成には、通常ポジ型レジストが用いられている。ネガ型レジストを用いた場合、液晶表示装置に電圧を印加後、電圧を除去した際に、液晶配向制御用突起の周囲の液晶の向きが電圧印加前の状態と同じ方向に戻りづらい、すなわち焼きつきが生じてしまうからである。これは、ネガ型レジストでは架橋点間距離が短く、また用いられている樹脂の特性等から電圧を印加した際に発生した電子やイオンが逃げ難いこと等により生じると推測される。なお一般的に用いられているポジ型レジストでは、上記焼きつきが生じ難いことが確認されている。
しかしながら、ポジ型レジストに顔料を含有させて遮光性を有する液晶配向制御用突起を形成した場合、顔料が露光光を吸収してしまうため、深部まで光が到達せず、露光部分における反応(露光部分が現像液に対して可溶となる反応)が不十分となり、製版性が悪くなるといった問題があった。
特開2003−75839号公報
そこで、液晶表示装置に用いた際、焼きつき等が生じることが少なく、かつ良好な表示特性とすることが可能な液晶配向制御用突起の形成に用いられる液晶配向制御用突起形成用組成物の提供が望まれている。
本発明は、下記一般式(1)で表されるフェノールノボラック酸変性樹脂と、末端にフェノール基を有するフェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび末端に酸基を有する酸含有(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも重合させたフェノール含有アクリル共重合体樹脂と、下記一般式(2)で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物と、有機顔料とを含有することを特徴とする液晶配向制御用突起形成用組成物を提供する。
Figure 0005033430

(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数である。)
Figure 0005033430

(式(1−1)中、Rは、(CH α 、C 、(C )−(COOH) で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
Figure 0005033430
(式(2)中、R、R、R、R、R、およびR10は、
(CHβO、(C10COO)β
で示される基のいずれかである。またβは0〜5の範囲内の整数である。)
本発明においては、上記各材料が混合されていることから、焼きつき等の不具合のないネガ型レジストを用いた液晶配向制御用突起形成用組成物とすることができる。このため、有機顔料の添加量を増加させることができ、遮光性の高い液晶配向制御用突起を形成することができる。よって、液晶配向制御用突起を液晶表示装置に用いた際、黒表示時においてバックライト光の漏れが生じた場合であっても、見た目の輝度を下げることができ、表示特性を良好なものとすることができる。
また、本発明においては、上記フェノールノボラック酸変性樹脂およびフェノール含有アクリル共重合体樹脂のπ電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができることから、焼きつきが生じにくいものとすることができる。さらに、上記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物によって液晶配向制御用突起中の架橋点間距離を広いものとし、電子やイオン等が通りやすいものとすることによっても、焼きつきが生じ難いものとすることができる。
上記発明においては、下記一般式(3)で示される光硬化性メラミン樹脂を含有することが好ましい。
Figure 0005033430

(式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、−CHOCH−CH O(CH ) γ OCOC で示される基のいずれかである。またγは1〜4の範囲内の整数である。)
上記光硬化性メラミン樹脂を含有させることにより、光硬化性メラミン樹脂のπ電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができ、焼きつきが生じにくいものとすることができるからである。
また、上記発明においては、上記有機顔料が、赤色有機顔料、青色有機顔料および紫色有機顔料からなる群から選択される1種類以上の有機顔料であることが好ましい。これにより、人間の視覚特性上、明るく感じる緑色を透過させないものとすることができる。このため、液晶表示装置において、黒表示時の見た目の輝度を低いものとすることができ、表示特性を良好なものとすることができる。
さらに上記発明においては、上記発明においては、液晶配向制御用突起を形成した際、上記液晶配向制御用突起における波長530nm〜580nmの範囲内の光の透過率が40%以下であることが好ましい。上記範囲内の波長の光の透過率を抑えることにより、人間の視覚特性上、明るく感じる緑色の透過を抑えることができるため、良好な表示特性を得ることができるからである。
また本発明は、上記記載の液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成された液晶配向制御用突起を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。本発明によれば、液晶配向制御用突起が上記液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成されたものであるため、液晶表示装置に用いた際、焼きつきが生じにくく、かつ良好な表示特性を得ることが可能となる。
本発明によれば、液晶表示装置に用いた際、焼きつきが生じることがなく、かつ良好な表示特性を得ることが可能な液晶配向制御用突起を形成することができるという効果を奏する。
本発明は、垂直配向液晶表示型カラーフィルタの液晶配向制御用突起を形成する際に用いられる液晶配向制御用突起形成用組成物およびカラーフィルタに関するものである。
A.液晶配向制御用突起形成用組成物
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、下記一般式(1)で表されるフェノールノボラック酸変性樹脂と、末端にフェノール基を含有するフェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび末端に酸基を有する酸含有(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも重合させたフェノール含有アクリル共重合体樹脂と、下記一般式(2)で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物と、有機顔料とを含有することを特徴とするものである。
Figure 0005033430
(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数である。)
Figure 0005033430
(式(1−1)中、Rは、(CH α 、C 、(C )−(COOH) で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
Figure 0005033430
(式(2)中、R、R、R、R、R、およびR10は、
(CHβO、(C10COO)β
で示される基のいずれかである。またβは0〜5の範囲内の整数である。)
一般に、液晶配向制御用突起を形成する際、ネガ型レジストを用いた場合、焼きつき等の不具合が生じるため、ポジ型レジストが用いられていた。しかしながら、このようなポジ型レジストに有機顔料を添加した場合、露光光が深部まで到達せず、露光部分における反応が不十分となり、製版性の面で問題があった。
一方、本発明においては、上記各材料が混合されていることから、焼きつき等の不具合のないネガ型レジストを用いた液晶配向制御用突起形成用組成物とすることができる。このため、有機顔料の添加量を増加させることができる。これは、ネガ型レジストの硬化反応は連鎖反応であることから、有機顔料を多く含有させて遮光性を高くした場合であっても、露光光が未到達の部分も硬化させることができ、製版性が損なわれることがないからである。このような理由から、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、有機顔料を多く含有させることが可能となり、遮光性の高い液晶配向制御用突起を形成することができる。よって、液晶配向制御用突起を液晶表示装置に用いた際、黒表示時にバックライト光が漏れた場合であっても、見た目の輝度を下げることができ、良好な表示特性を得ることができる。
また本発明においては、上記フェノールノボラック酸変性樹脂、およびフェノール含有アクリル共重合体樹脂が用いられていることから、これらの樹脂のπ電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができ、焼きつきが生じにくいものとすることができる。
またさらに、上記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物が用いられていることから、形成された液晶配向制御用突起中の架橋点間距離を広いものとすることができ、電子やイオン等が通りやすいものとするができる。このことからも、液晶表示装置に用いた際、焼きつきが生じ難い液晶配向制御用突起とすることができる。
以下、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物に用いられる各材料について説明する。
1.フェノールノボラック酸変性樹脂
まず、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物に用いられるフェノールノボラック酸変性樹脂について説明する。本発明に用いられるフェノールノボラック酸変性樹脂は、フェノールノボラック樹脂を酸変性したものであり、下記一般式で示されるものである。
Figure 0005033430
(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数であり、中でもnが2〜50の範囲内、特に2〜30の範囲内とされることが好ましい。)
Figure 0005033430
(式(1−1)中、Rは、(CH α 、C 、(C )−(COOH) で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
上記フェノールノボラック酸変性樹脂は、フェノールノボラック樹脂のOH基が、上記カルボキシル基を末端に有する基(一般式(1−1)で表される基)と置換されていることから、現像液に対する溶解性を有するものとすることができ、液晶配向制御用突起形成用組成物をネガ型のレジストとして用いることが可能となる。上記一般式(1−1)で表される基の中でも本発明においては、RがC、(C)−(COOH)であることが好ましく、特にCであることが好ましい。
また本発明においては、R、R、およびRのうちの、1つまたは2つがOH基以外の基とされることが好ましい。
また上記フェノールノボラック酸変性樹脂の分子量は500〜10000の範囲内、中でも500〜7500の範囲内、特に500〜5000の範囲内とされることが好ましい。フェノールノボラック酸変性樹脂の重量平均分子量が上記範囲より大きいと、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物の粘度が高くなり、塗布性が悪くなる場合がある。また、上記フェノールノボラック酸変性樹脂の重量平均分子量が上記範囲より小さいと、露光および現像の際に、上記フェノールノボラック酸変性樹脂が流れ出てしまう可能性があるからである。
なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ測定装置(東ソー(株)製 HLC-8220GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定した値である。また分子量標準物質としてポリスチレンを用いて換算するものとする。
上記フェノールノボラック酸変性樹脂は、金属触媒下においてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂とカルボン酸無水物とを加温反応させることで製造できる。
本発明においては、上記フェノールノボラック酸変性樹脂が液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分中に1質量%〜60質量%程度、中でも5質量%〜50質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起を形成した際に、焼きつきが生じることの少ないものとすることができるからである。また上記量より多い場合には、液晶配向制御用突起形成用組成物の硬化性が低下し、製版性が悪くなる可能性があるからである。
2.フェノール含有アクリル共重合体樹脂
次に、本発明に用いられるフェノール含有アクリル共重合体樹脂について説明する。本発明に用いられるフェノール含有アクリル共重合体樹脂は、末端にフェノール基を有するフェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび末端に酸基を有する酸含有(メタ)アクリレートモノマーの共重合体、または上記フェノール基含有(メタ)アクリレートモノマー、酸含有(メタ)アクリレートモノマー、およびこれらと共重合可能な(メタ)アクリレートモノマーの共重合体である。
上記フェノール含有アクリル共重合体樹脂に用いられる、末端にフェノール基を有するフェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、4−ヒドロキシフェニルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミドが挙げられる。上記の中でも4−ヒドロキシフェニルアクリレートが用いられることが好ましい。
また上記フェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーは、フェノール含有アクリル共重合体中に5モル%〜60モル%程度、中でも10モル%〜40モル%程度含有されることが好ましい。これにより、フェノール含有アクリル共重合体樹脂中のπ電子結合によって、焼きつきが生じ難いものとすることができるからである。
また上記フェノール含有アクリル共重合体樹脂の製造に用いられる末端に酸を有する酸含有(メタ)アクリレートモノマーとして具体的には、アクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。
また上記酸含有(メタ)アクリレートモノマーは、フェノール含有アクリル共重合体中に5モル%〜60モル%程度、中でも10モル%〜40モル%程度含有されることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起の現像液に対する溶解性を良好なものとすることができるからである。
また本発明に用いられるフェノール含有アクリル共重合体樹脂の製造に用いられる他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレートが挙げられる。上記(メタ)アクリレートモノマーは、フェノール含有アクリル共重合体樹脂中に5モル%〜60モル%程度、中でも10モル%〜40モル%程度含有されることが好ましい。
また上記フェノール含有アクリル共重合体樹脂の分子量は5000〜30000の範囲内、中でも5000〜15000の範囲内とされることが好ましい。フェノール含有アクリル共重合体樹脂の重量平均分子量が上記範囲より高いと、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物の粘度が高くなり、塗布性が悪くなる場合がある。また、上記フェノール含有アクリル共重合体樹脂の重量平均分子量が上記範囲より小さいと、液晶配向制御用突起形成用組成物の硬化性が低下する可能性があるからである。なお、重量平均分子量の測定方法は、上記と同様の方法とすることができる。
本発明においては、上記フェノール含有アクリル共重合体樹脂が液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分中に1質量%〜60質量%程度、中でも5質量%〜50質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起を形成した際に、焼きつきが生じることの少ないものとすることができるからである。また上記量より多い場合には、液晶配向制御用突起形成用組成物の硬化性が低下し、製版性が悪くなる可能性がある。
3.ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物
次に、本発明に用いられるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物について説明する。本発明に用いられるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物は、下記一般式(2)で示されるものであり、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を変性することにより得られるものである。
Figure 0005033430
(式(2)中、R、R、R、R、R、およびR10は、
(CHβO、(C10COO)β
で示される基のいずれかである。またβは0〜5の範囲内の整数である。)
本発明において、上記R、R、R、R、R、およびR10は、上記の中でも
(CHβ
(βは0〜5の範囲内の整数)とされることが好ましく、特にβが1〜3の範囲内の整数とされることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起が形成された際、液晶配向制御用突起中の樹脂の架橋点間距離を十分なものとすることができるからである。上記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物として具体的には、東邦化学工業製DPT−25E(商品名)等が挙げられる。
本発明においては、上記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物が液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分中に5質量%〜80質量%程度、中でも20質量%〜60質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起をネガ型として用いた際に、露光により良好な硬化性を得ることが可能となるからである。
4.有機顔料
次に、本発明に用いられる有機顔料について説明する。本発明においては、液晶配向制御用突起に遮光性を付与するための遮光性材料として有機顔料が用いられる。有機顔料を用いることにより、液晶の配向を乱すおそれの少ないものとすることができるからである。このような有機顔料としては、形成される液晶配向制御用突起に遮光性を付与することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的に着色層等を形成する際に用いられる有機顔料等とすることができ、例えば赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料および黄色顔料等が挙げられる。
本発明においては、上記有機顔料として、中でも赤色有機顔料、青色有機顔料および紫色有機顔料からなる群から選択される1種類以上の有機顔料を用いることが好ましく、特に上記有機顔料として赤色有機顔料および青色有機顔料を混合させたもののみ、紫色有機顔料を単独、または赤色、青色および紫色有機顔料を混合させたもののみで用いることが好ましい。これにより、人間の視覚特性上、明るく感じる緑色を透過させないものとすることができるため、見た目の輝度を下げることができ、表示特性を良好なものとすることができるからである。また、後述するように波長530nm〜580nmの範囲内の光の透過率を抑えることが好ましく、上記範囲内の光の透過率を効果的に抑えることが可能となるからである。
また、上記赤色有機顔料として好ましいものは、赤色有機顔料を20質量%含有する測定用樹脂膜の光の透過率が、545nmにおいて25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下となり、また610nmにおいて90%以上であり、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上となる赤色有機顔料であることが好ましい。
また、上記青色有機顔料として好ましいものは、上記青色有機顔料を20質量%含有する測定用樹脂膜の光の透過率が、435nmにおいて80%以上、より好ましくは82%以上、さらに好ましくは85%以上となり、また545nmで45%以下、より好ましくは42%以下、さらに好ましくは40%以下となる青色有機顔料であることが好ましい。
さらに、上記紫色有機顔料として好ましいものは、上記紫色有機顔料を20質量%含有する測定用樹脂膜の光の透過率が、435nmで65%以上、より好ましくは67%以上、さらに好ましくは70%以上となり、また545nmで40%以下、より好ましくは37%以下、さらに好ましくは35%以下となる紫色有機顔料であることが好ましい。
波長435nm、545nmおよび610nmは、一般的な液晶表示装置のバックライト光のピーク波長であることから、各波長において、上記透過率を示す赤色有機顔料、青色有機顔料および紫色有機顔料を用いることにより、形成された液晶配向制御用突起を液晶表示装置に用いた際、液晶配向制御用突起がバックライト光を一定以上透過させないものとすることができる。したがって、黒表示の際、バックライト光の漏れを少ないものとすることができ、良好な表示特性を得ることができる。
なお、上記測定用樹脂膜とは、アクリル樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体)、アクリル架橋体(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)および、上記有機顔料を上述した量含有してなる、膜厚1.0μmの樹脂膜である。上記測定用樹脂膜は、予め上述したアクリル樹脂とアクリル架橋体の比率が4対6となるように配合したクリアレジストおよび有機顔料を分散した有機顔料分散体を準備し、有機顔料濃度が20%となるように配合して有機顔料体含有樹脂組成物を調製する。その組成物をスピンコート法で焼成後膜厚が1.0μmとなるように塗布し、オーブンにて230℃30分間焼成を行い測定用樹脂膜を作製する。上記透過率は、オリンパス光学工業(株)製分光測色計OSP−SP200により測定することができる。
また、上記赤色有機顔料として具体的には、ジケトピロロピロール系顔料もしくはアンスラキノン系顔料であることが好ましい。このような赤色有機顔料としては、例えばPR(ピグメントレッド)177またはPR254等を挙げることができる。
また、上記青色有機顔料として具体的には、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系顔料およびアンスラキノン系顔料からなる群から選択される顔料であることが好ましい。このような青色有機顔料としては、例えばPB(ピグメントブルー)15:6等を挙げることができる。
さらに、上記紫色有機顔料として具体的には、ジオキサジン系顔料もしくはキナクリドン系顔料であることが好ましい。このような紫色有機顔料としては、例えばPV(ピグメントバイオレット)23等を挙げることができる。
これらの有機顔料を用いることにより、より緑色の透過を防ぐことが可能な液晶配向制御用突起を形成することができるため、上記液晶配向制御用突起を液晶表示装置に用いた際、良好な表示特性を得ることができるからである。また、これらの有機顔料を用いることにより、上述した各有機顔料における透過率を上記範囲内とすることができ、さらに形成される液晶配向制御用突起の透過率を後述する好ましい範囲内とすることができるからである。
上記赤色有機顔料と青色有機顔料とを混合させて用いる場合、上記赤色有機顔料と青色有機顔料の比としては、赤色有機顔料の含有量(質量)を1とした際に、青色有機顔料の含有量(質量)が0.2〜5の範囲内、中でも0.5〜4の範囲内とすることが好ましい。これにより、緑色の透過をより効果的に防ぐことが可能な液晶配向制御用突起を形成することが可能となるからである。また、後述する液晶配向制御用突起の透過率を実現することが可能となるからである。
また本発明においては、上記有機顔料が液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分中に5質量%〜30質量%程度、中でも10質量%〜20質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、遮光性の高い液晶配向制御用突起を形成することができ、液晶表示装置に用いた際、表示特性を良好なものとすることができるからである。また、後述する液晶配向制御用突起の透過率を実現可能とすることができるからである。
5.その他の材料
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、上記フェノールノボラック酸変性樹脂、フェノール含有アクリル共重合体樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物、および有機顔料を含有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜他の材料を含有していてもよい。通常、上記各材料とともに、光重合開始剤、界面活性剤、密着助剤、溶剤等が用いられることとなる。
また本発明においては、特に上記材料とともに、下記一般式(3)で示される光硬化性メラミン樹脂を含有することが好ましい。
Figure 0005033430
(式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、−CHOCH−CH O(CH ) γ OCOC で示される基のいずれかである。またγは1〜4の範囲内の整数である。)
上記光硬化性メラミン樹脂を含有することで、上記光硬化性メラミン樹脂のπ電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができ、焼きつきが生じにくいものとすることができるからである。
以下、光硬化性メラミン樹脂、光重合開始剤、界面活性剤、密着助剤、および溶剤について説明する。
(光硬化性メラミン樹脂)
本発明に用いられる光硬化性メラミン樹脂は、下記一般式(3)で示されるものである。
Figure 0005033430
(式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、−CHOCH−CH O(CH ) γ OCOC で示される基のいずれかである。またγは1〜4の範囲内の整数である。)
本発明においてR11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、全て光反応性の基であってもよいが、通常上記のうち1つ〜5つ程度、中でも2つ〜4つ程度が光反応性の基とされることが好ましい。これにより、製版性を良好なものとすることができるからである。
上記光硬化性メラミン樹脂として具体的には、三和ケミカル(株)社製ニカラックMX−302(商品名)等が挙げられる。
本発明においては、上記光硬化性メラミン樹脂が液晶配向制御用突起形成用組成物中に1質量%〜50質量%程度、中でも5質量%〜30質量%程度含有されていることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起形成用組成物の製版性を良好なものとすることができ、焼きつきが生じにくいものとする事ができる。
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、一般的なものを用いることができ、例えばミヒラーズケトン等のラジカル型光重合開始剤や、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨウドニウム塩等のカチオン型光重合開始剤などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用することもできる。
また、このような光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせて用いることができる。光増感剤としては、一般的なものを使用することができ、例えばN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらの光増感剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は、液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分中に、1質量%〜30質量%の範囲内、中でも5質量%〜20質量%の範囲内含有されることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起形成用組成物の硬化性を十分なものとすることができるからである。
(界面活性剤)
また本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、必要に応じて、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物の塗布性を向上させるため、あるいは塗膜の現像性を向上させるため用いられる。
本発明に用いられる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジアルキルエステル類(例えば、ポリオキシエチレンジラウレートおよびポリオキシエチレンジステアレート)等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップ303、エフトップ352(新秋田化成(株)製);メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173(大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム(株)製);アサヒガードAG710、サーフロンS−382、サーフロンSC−101、サーフロンSC−102、サーフロンSC−103、サーフロンSC−104、サーフロンSC−105、サーフロンSC−106(旭硝子(株)製)等の商品名で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社油脂化学工業(株)製);などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上組合せて用いられる。
界面活性剤の含有量は、液晶配向制御用突起形成用組成物中の固形分に対して、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。
(密着助剤)
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、必要に応じて、密着助剤を含有していてもよい。密着助剤は、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物を透明電極層等の上に塗布した場合、塗膜と透明電極層等との密着性を向上させるために用いられる。このような密着助剤としては、例えばシランカップリング剤などが挙げられる。
密着助剤の含有量は、液晶配向制御用突起形成用組成物中の固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
(溶剤)
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、必要に応じて、溶剤を含有していてもよい。溶剤は、液晶配向制御用突起形成用組成物中の各成分を均一に溶解し、例えば透明電極層上等への塗布を容易にするために用いられる。
本発明に用いられる溶剤としては、液晶配向制御用突起形成用組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
溶剤としては、上記の中でも、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、およびジエチレングリコール類が好ましい。特に、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物では、溶剤を除いた成分が5質量%〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10質量%〜30質量%の範囲内となるように溶剤を配合する。これにより、塗布に適した粘度とすることができる。
(添加剤)
本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、染料などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッソ系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
6.液晶配向制御用突起
次に、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成される液晶配向制御用突起について説明する。
本発明においては、液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて液晶配向制御用突起を形成した際、上記液晶配向制御用突起における530nm〜580nmの範囲内の光の透過率が40%以下、中でも1%〜30%の範囲内、特に1%〜20%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内の波長の光の透過率を抑えることにより、人間の視覚特性上、明るく感じる緑色の透過を抑えることができるため、良好な表示特性が得られるからである。ここで上記透過率は、オリンパス光学工業(株)製分光測色計OSP−SP200により測定することができる。
なお、本発明の液晶配向制御用突起形成用組成物は、少なくとも液晶配向制御用突起の形成に用いるものであればよく、例えば液晶配向制御用突起と柱状スペーサとの一括形成に用いることもできる。
B.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上記記載の液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成された液晶配向制御用突起を有することを特徴とするものである。
本発明のカラーフィルタは、例えば図1に示すように、透明基板1と、その透明基板1上に形成された着色層2と、上記着色層2上に形成された透明電極層3と、上記透明電極層3上の上記着色層2に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起4とを有するものである。なお、液晶配向制御用突起4が上記透明電極層3上の着色層2に対応する領域に形成されているとは、上記透明電極層3を挟んで着色層2と上記各液晶配向制御用突起4とが対応するように形成されていることをいう。
本発明によれば、上記液晶配向制御用突起が上述した液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成されたものであるため、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、液晶配向制御用突起周辺で焼きつきが生じにくいものとすることができる。またこの際、黒表示時に漏れるバックライト光を少なくすることができるため、良好な表示特性を得ることが可能となる。
本発明のカラーフィルタは、通常、透明基板と、この透明基板上に形成された遮光部と、この透明基板上と遮光部上とに形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成された液晶配向制御用突起とを有するものである。上記透明基板、遮光部、着色層および透明電極層は、一般的なカラーフィルタに用いられているものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。以下、本発明における液晶配向制御用突起について説明する。
(液晶配向制御用突起)
本発明のカラーフィルタに用いられる液晶配向制御用突起は、上述した液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成されるものであり、通常透明電極層上の着色層に対応する領域に形成される。
本発明においては、上記液晶配向制御用突起形成用組成物を、透明電極層上に塗布し、乾燥させ、露光および現像を行うことにより、液晶配向制御用突起をパターン状に形成することができる。
上記液晶配向制御用突起形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法等を挙げることができる。
塗膜の厚みは、塗布方法、液晶配向制御用突起形成用組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御される。
上記液晶配向制御用突起形成用組成物を塗布した後は、溶剤を除去するために塗膜を乾燥させる。例えばホットプレートやオーブン等を用いて塗膜を加熱することによって乾燥させることができる。
次に、塗膜に所定のパターンのマスクを介して露光を行って、重合反応(硬化反応)させる。
露光に使用される放射線としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、液晶配向制御用突起形成用組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
露光後は、現像液を用いて現像し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで液晶配向制御用突起が形成される。
現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。
また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。現像条件としても一般的な条件であればよい。なお、現像後には、通常現像液の洗浄、乾燥が行われる。
また、現像後に、液晶配向制御用突起が十分に硬化したものとするために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定されるものではなく、一般的な液晶配向制御用突起の形成の際の条件と同様とすることができる。
本発明において用いられる液晶配向制御用突起形成用組成物については、上記「A.液晶配向制御用突起形成用組成物」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にネガ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN-83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像、熱処理して線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックス(遮光部)パターンを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型
感光性樹脂組成物、および青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤色有機顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄色有機顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑色有機顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄色有機顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青色有機顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリックスおよび着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
次に下記組成の液晶配向制御用突起形成用組成物を調製した。
<フェノールノボラック酸変性樹脂Iの合成>
フラスコにクレゾールノボラック樹脂(旭有機材社製EP-4080G)15重量部、シクロヘキサノン85重量部を添加し、攪拌した。均一溶解確認後、60℃まで加温し、触媒としてトリメチル錫ラウレートを0.2重量部加え、更に無水フタル酸を1重量部加え3時間反応させた。その後樹脂濃度が20質量%となるようシクロヘキサノンで調整してフェノールノボラック酸変性樹脂Iを得た。重量平均分子量は4500であった。
<液晶配向制御用突起形成用組成物>
・上記フェノールノボラック酸変性樹脂I 16.5重量部
・フェノール含有アクリル共重合体樹脂(4−ヒドロキシフェニルアクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸)MW:15000 2.1重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性物(東邦化学工業製DPT-25E)
8重量部
・光硬化性メラミン樹脂(三和ケミカル社製 ニカラックMX-302) 2.5重量部
・青色有機顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 3重量部
・青色有機顔料用顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161)1.5重量部
・赤色有機顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
1.6重量部
・赤色有機顔料用顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161)0.8重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 62.0重量部
次いで、上記ガラス基板上に上記液晶配向制御用突起形成用組成物をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像して、液晶配向制御用突起パターンを形成した。
その後、上記ガラス基板上にセルギャップ保持スペーサパターン用の感光性樹脂組成物(JSR(株)製オプトマーNN780)をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像して、スペーサパターンを形成した。このパターンは、ドット形状(下底30μmφ、高さ3.5μm)とした。
(液晶セルの作製)
上記のように形成したカラーフィルタ表面の透明電極膜上にポリイミドからなる配向膜を形成した。その後、TFTを形成したガラス基板上に垂直配向用液晶を必要量滴下した後、上述して形成したカラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い常温で0.3kgf/cmの圧力をかけながら400mJ/cmの照射量で露光することにより接合してセルを作製し、セルの上部と下部に偏光軸が90度となるように偏光板を貼り付けて液晶セルとした。
[実施例2]
液晶配向制御用突起形成用組成物として下記組成物を使用した以外は実施例1と同様に、カラーフィルタおよび液晶セルを作製した。
<液晶配向制御用突起形成用組成物>
・フェノールノボラック酸変性樹脂I 18重量部
・フェノール含有アクリル共重合体樹脂(4−ヒドロキシフェニルアクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸)MW:15000 2.1重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性物(東邦化学工業製DPT-25E)
9重量部
・青色有機顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 3重量部
・青色有機顔料用顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161)1.5重量部
・赤色有機顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
1.6重量部
・赤色有機顔料用顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161)0.8重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 62.0重量部
[比較例1]
液晶配向制御用突起形成用組成物として下記組成物を使用した以外は実施例1と同様に、カラーフィルタおよび液晶セルを作製した。
<液晶配向制御用突起形成用組成物>
・アクリル共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸)MW:15000 10重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 84.0重量部
[評価]
上述したように作製したカラーフィルタ基板上の液晶配向制御用突起の寸法を光学顕微鏡にて測定した。測定結果を表1に示す。また各液晶セルに60Hz、AC5Vで所定の絵素パターンを2時間通電表示した後、黒表示した際の焼き付きを目視で評価した結果を表1に示す。なお、焼きつきの評価は、絵素パターンが消滅するまでの時間が直ぐであれば◎、10分以内であれば○、それ以外は×とした。
Figure 0005033430

表1から明らかなように、実施例1および2では突起寸法、および焼き付き共に良好な結果を得ることができた。
本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 MVA方式の液晶表示装置を説明するための図である。
符号の説明
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 透明電極層
4 … 液晶配向制御用突起

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるフェノールノボラック酸変性樹脂と、末端にフェノール基を有するフェノール基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび末端に酸基を有する酸含有(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも重合させたフェノール含有アクリル共重合体樹脂と、下記一般式(2)で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート変性物と、有機顔料とを含有することを特徴とする液晶配向制御用突起形成用組成物。
    Figure 0005033430
    (式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数である。)
    Figure 0005033430
    (式(1−1)中、Rは、(CH α 、C 、(C )−(COOH) で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
    Figure 0005033430

    (式(2)中、R、R、R、R、R、およびR10は、(CHβO、(C10COO)βで示される基のいずれかである。またβは0〜5の範囲内の整数である。)
  2. 下記一般式(3)で示される光硬化性メラミン樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶配向制御用突起形成用組成物。
    Figure 0005033430
    (式(3)中、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、−CHOCH−CH O(CH ) γ OCOC で示される基のいずれかである。またγは1〜4の範囲内の整数である。)
  3. 前記有機顔料が、赤色有機顔料、青色有機顔料および紫色有機顔料からなる群から選択される1種類以上の有機顔料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶配向制御用突起形成用組成物。
  4. 液晶配向制御用突起を形成した際、前記液晶配向制御用突起における波長530nm〜580nmの範囲内の光の透過率が40%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の液晶配向制御用突起形成用組成物。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の液晶配向制御用突起形成用組成物を用いて形成された液晶配向制御用突起を有することを特徴とするカラーフィルタ。
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