JP2008077073A - 液晶配向制御突起用感光性組成物、液晶配向制御突起、及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶配向制御突起用感光性組成物、液晶配向制御突起、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】バックライトからの光に対して充分な遮光性を有し、且つ液晶表示の信頼性に悪影響を与えることのない液晶配向制御突起を形成する。
【解決手段】少なくとも2種、好ましくは3種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含む液晶配向制御突起用感光性組成物。少なくとも2種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長500〜600nmの領域にある有機顔料と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料とを含むことが好ましく、特に、少なくとも3種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長400〜500nmの領域にある有機顔料と、波長500〜600nmの領域にある有機顔料と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料とを含むことが好ましい。異なる有機顔料の最大吸収波長の差は10nm以上であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直配向(VA、Vertical Aligned)型液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)、詳しくは配向分割垂直配向(MVA、Multi−Domain Vertical Alignment)型LCDに用いられる液晶配向制御突起用感光性組成物に関する。本発明はまた、この液晶配向制御突起用感光性組成物を用いて形成された液晶配向制御突起と、この液晶配向制御突起を備える液晶表示装置に関する。
近年、薄型で且つ消費電力の少ない液晶表示装置を大画面テレビに利用する液晶テレビの技術が実用化され、急速にその市場が立ち上がろうとしている。それに伴い、従来のブラウン管を用いたテレビに比べて劣っていた液晶テレビの低い視野角の改良が、強く求められている。
液晶表示装置の視野角を改善試みとして、従来、透明電極上に液晶配向制御突起を形成し、この突起のスロープを利用して液晶を局所的に傾け、一画素内で液晶を多方向に分割配向させるMVA(Multi−Domain Vertical Alignment)が開発されている(例えば、特許文献1,2)。
ここで用いられる液晶配向制御突起は、通常キノンジアジドとノボラック樹脂からなるポジ型レジストで形成されるのが一般的であり、信頼性にも優れている(例えば、特許文献3)。
また、フォトスペーサーとの一括形成を念頭に置いた光重合性のネガ型レジストも各種提案されている(例えば、特許文献4〜6)。
ところで、MVA方式は、電圧をかけていない場合に液晶が基板面に対して垂直に配向し、光を通さない所謂ノーマリーブラックタイプであるが、液晶配向制御突起がある部分では、液晶が突起の表面に対して垂直になるため、ガラス基板面に対しては傾いた状態にあり光が漏れてしまい、このために黒色が美しく映し出されない。これは高コントラストが追求されるテレビ等においては好ましくなく、従って、これを防止するために、液晶配向制御突起を遮光性にすることが求められてきている。
液晶配向制御突起を遮光性にするために、通常ブラックマトリックスに用いられているようなカーボンブラックやチタンブラック等を液晶配向制御突起用感光性組成物に添加することが考えられるが、これらは誘電率が高く、液晶と隣接する液晶配向制御突起に用いるには、液晶駆動へ悪影響を与える恐れがある。また、チタンブラックは金属不純物も多く、表示ムラなどの懸念材料でもある。
一方で、長時間にわたって電圧を印加したときに残像が残る現象(焼きつき)を改善する目的で、液晶配向制御突起用感光性組成物に導電性フィラーを添加して、液晶配向制御突起の体積抵抗率を1.0×1012Ω・cm以下といった低い数値に下げる技術が知られており(例えば、特許文献7)、この導電性フィラーとしてカーボンブラックやチタンブラックも列記されている。
しかしながら、このようなものでは、導電性フィラーを含むことによって、絶縁が不充分な液晶配向制御突起が存在することにより、液晶の印加にムラが生じ、結果的にそれが表示ムラにつながり、好ましくない。
特開2005−300724号公報 特開2006−11359号公報 特開2004−333963号公報 特開2001−222003号公報 特開2002−236371号公報 特開2003−248323号公報 特開2002−122858号公報
本発明は、このような問題点を解決するためのものであって、バックライトからの光に対して充分な遮光性を有し、且つ液晶表示の信頼性に悪影響を与えることのない液晶配向制御突起を形成し得る液晶配向制御突起用感光性組成物と、この液晶配向制御突起用感光性組成物を用いた液晶配向制御突起及び液晶表示装置を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、少なくとも2種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含む液晶配向制御突起用感光性組成物によって得られる、誘電率の値が2〜7であり、さらには体積抵抗率の値が1.0×1013〜1.0×1016Ω・cmである液晶配向制御突起によって、この課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明(請求項1)の液晶配向制御突起用感光性組成物は、少なくとも2種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含むことを特徴とする。
請求項2の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1において、少なくとも2種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)とを含み、該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と該有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差が10nm以上であることを特徴とする。
本発明(請求項3)の液晶配向制御突起用感光性組成物は、少なくとも3種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含むことを特徴とする。
請求項4の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項3において、少なくとも3種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長400〜500nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(400〜500)」と称す。)と、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)とを含み、該有機顔料(400〜500)の最大吸収波長と該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長との差、及び、該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と該有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差がそれぞれ10nm以上であることを特徴とする。
請求項5の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし4のいずれか1項において、形成される液晶配向制御突起の波長450nm、550nm、610nmの光の透過率が、厚さ1μmあたりいずれも30%以下であることを特徴とする。
請求項6の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂がフェノール性水酸基を有し、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする。
請求項7の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂がアクリル系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする。
請求項8の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項7において、アクリル系樹脂がフェノール性水酸基を含有することを特徴とする。
請求項9の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂がノボラック系樹脂及び/又はポリビニルフェノール系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする。
請求項10の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂がエポキシアクリレート系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする。
請求項11の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項6ないし10のいずれか1項において、光重合開始剤がオキシムエステル系化合物であることを特徴とする。
請求項12の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし5のいずれか1項において、アルカリ可溶性樹脂がノボラック系樹脂及び/又はポリビニルフェノール系樹脂を含み、さらに該組成物がo−キノンジアジド基含有化合物を含むことを特徴とする。
請求項13の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし12のいずれか1項において、該組成物がさらに、架橋剤を含むことを特徴とする。
請求項14の液晶配向制御突起用感光性組成物は、請求項1ないし13のいずれか1項において、液晶配向制御突起と共にスペ−サーを同時に形成させるためのものであることを特徴とする。
本発明(請求項15)の液晶配向制御突起は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
請求項16の液晶配向制御突起は、請求項15において、誘電率の値が2〜7であり、且つ膜厚1μmあたりのOD値が0.3〜3であることを特徴とする。
本発明(請求項17)の液晶配向制御突起は、誘電率の値が2〜7であり、且つ膜厚1μmあたりのOD値が0.3〜3であることを特徴とする。
請求項18の液晶配向制御突起は、請求項15ないし17のいずれか1項において、体積抵抗率の値が1.0×1013〜1.0×1016Ω・cmであることを特徴とする。
本発明(請求項19)の液晶表示装置は、請求項15ないし18のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起を備えることを特徴とする。
本発明によれば、液晶と近接していても表示ムラや焼き付きなどの液晶表示の信頼性に対する問題がなく、しかも、バックライトの光を充分に遮光し得る液晶配向制御突起が提供され、これにより、高コントラストの液晶表示装置を実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容には特定されない。
[液晶配向制御突起用感光性組成物]
まず、本発明の液晶配向制御突起用感光性組成物(以下、単に「感光性組成物」と称することがある。)について詳細に説明する。
本発明の感光性組成物は少なくとも2種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を構成成分とすることを必須要件とする。また、必要に応じて、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、架橋剤、o−キノンジアジド基含有化合物、光酸発生剤、架橋剤、密着向上剤、現像促進剤、その他、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤等の固形成分を添加することができる。
本発明の感光性組成物は、後述の液晶配向制御突起の形成方法に従って、基板への塗布、乾燥、露光、現像の画像形成の手順で液晶配向制御突起を形成することに使用される。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含むことを意味し、(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基なども同様の意味であり、「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。また、本発明において「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸を含む(共)重合体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体を意味する。
また、本発明において「モノマー」とは、いわゆる高分子物質に相対する意味であり、狭義の単量体(モノマー)の外に、二量体、三量体、オリゴマー等も含む意味である。
以下、本発明の感光性組成物を構成する各成分について説明する。
[1]有機顔料及び顔料分散液
[1−1]有機顔料
本発明の感光性組成物を構成する有機顔料としては、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料など各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系、ピロール系などの有機顔料が挙げられる。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、2、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。これらの中では、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254であり、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254である。
これら赤色顔料の最大吸収波長は、概して500〜600nmである。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。これらの中では、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6であり、さらに好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:6である。
これら青色顔料の最大吸収波長は、概して600〜800nmである。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。これらの中では、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36である。
これら緑色顔料の波長400〜800nmにおける最大吸収波長は、概して600〜800nmである。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。これらの中では、好ましくは、C.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくは、C.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180である。
これら黄色顔料の波長400〜800nmにおける最大吸収波長は、概して400〜500nmである。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。これらの中では、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71である。
これらオレンジ顔料の波長400〜800nmにおける最大吸収波長は、概して450〜550nmである。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。これらの中では、好ましくは、C.I.ピグメントバイオレット19、23であり、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
これら紫色顔料の波長400〜800nmにおける最大吸収波長は、概して500〜600nmである。
本発明の感光性組成物は、上記のような各種の有機顔料を、少なくとも2種含有している必要があり、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)からそれぞれ選ばれた有機顔料を含むことが好ましい。この場合、有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差は10nm以上、特に20nm以上であることが好ましい。
さらに、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長400〜500nmの領域にある有機顔料(有機顔料(400〜500))と、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)とからそれぞれ選ばれた有機顔料を含むことがより一層好ましい。この場合、有機顔料(400〜500)の最大吸収波長と有機顔料(500〜600)の最大吸収波長との差、及び有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差は、それぞれ10nm以上、特に20nm以上であることが好ましい。
含有される有機顔料の組み合わせが上記の条件から外れた場合、液晶配向制御突起を通過するバックライトからの光を、その波長によっては充分に遮光することができず、液晶表示装置のコントラストに悪影響を与える。
本発明の感光性組成物中の全固形分に対する有機顔料の合計の割合は、通常1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。有機顔料の割合が少なすぎると液晶配向制御突起が充分に遮光できず、コントラストに悪影響を与え、逆に有機顔料の割合が多すぎると、液晶配向制御突起として良好な形状を形成し難くなる。なお、本発明において「全固形分」とは、液晶配向制御突起用感光性組成物に含まれる成分のうち、後記する溶剤成分以外の全成分を意味する。
[1−2]溶剤
本発明に用いる有機顔料は、通常、溶剤、分散剤、必要に応じてその他成分と共に液中に分散させ、顔料分散液として液晶配向制御突起用感光性組成物の調製に用いるのが、取り扱い上有利である。
顔料分散液に用いる溶剤(分散媒)としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン
、ソルベッソ#150、(n,sec,t−)酢酸ブチル、ヘキセン、シェルTS28ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアルコール、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジエトキシエタン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
本発明の有機顔料を顔料分散液として用いる場合の顔料分散液全体における溶剤の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%とする。溶剤が99重量%を超える場合は、顔料、分散剤などが少なくなり過ぎて分散液を形成するには不適当である。一方、顔料分散液の溶剤含有量の下限は、粘性などを考慮して、通常70重量%、好ましくは75重量%である。
[1−3]分散剤
分散剤としては、高分子分散剤及び/又は顔料誘導体が好適に用いられる。
高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等を挙げることができる。このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)社製)等を挙げることができる。これらの高分子分散剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
顔料分散液の全固形分に対する高分子分散剤の割合は、通常10〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。顔料分散液中の高分子分散剤の割合が多すぎると、相対的に顔料の割合が減るため着色力が低くなり、色濃度に対して膜厚が厚くなりすぎる傾向があり、逆に高分子分散剤の割合が少なすぎると、分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が起きる危険性がある。
一方、顔料誘導体としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソイドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、
インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料の誘導体が挙げられるが、本発明においては、使用する顔料と同系統の誘導体を用いるのが好ましい。これらの顔料誘導体は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
顔料誘導体の置換基としては、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が挙げられ、これらの置換基は顔料骨格に直接、又はアルキル基、アリール基、複素環基等の連結基を介して結合されている。顔料誘導体の置換基としては、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。また、これらの置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。
顔料誘導体の好適な具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、アゾ顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
顔料分散液の全固形分に対する顔料誘導体の割合は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。顔料分散液中の顔料誘導体の割合が少なすぎると分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が起きる危険性があり、逆に多すぎても分散安定性への寄与は飽和し、却って色純度の低下を招くことがあり好ましくない。
本発明においては、分散剤として前記した高分子分散剤と顔料誘導体とを併用しても何ら差し支えない。
[1−4]その他の成分
本発明に係る顔料分散液に必要に応じて配合されるその他の成分としては特に制限はないが、本発明の顔料分散液は、バインダ樹脂としての後述のアルカリ可溶性樹脂の一部を含むものであっても良く、このようなバインダ樹脂を含むことにより、本発明に係る顔料分散液を製造する際の分散安定性を高めることができる。
この場合、バインダ樹脂の添加量は、顔料分散液中の全有機顔料に対して5〜100重量%、特に10〜80重量%とすることが好ましい。バインダ樹脂の添加量が、顔料分散液中の全有機顔料に対して5重量%未満では分散安定性を高める効果が不十分であり、100重量%を超えると、顔料濃度が低下するため、十分な色濃度が得られない。
[1−5]有機顔料の粒度分布
本発明に係る顔料分散液において、顔料の粒径は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、さらに好ましくは80nm以上であり、通常500nm以下、好ましくは350nm以下、さらに好ましくは250nm以下である。また、粒度分布の半値幅は、250nm以下、特に150nm以下、とりわけ100nm以下であることが好ましい。
なお、ここで顔料の粒径とは、レーザー回折・散乱法などによる粒度分布計により求めた平均粒径の値をさす。また、粒度分布の半値幅は、この粒度分布における山の最大値の半分になるところの横軸の中をさす。
[1−6]顔料分散液の製造方法
上記の粒度分布を実現するために、本発明に係る顔料分散液の製造方法としては種々の方法を採用することができるが、硬質球(ビーズ)を衝突させて顔料を分散させるビーズミル法が特に好適に用いられる。
ビーズミル法で用いるビーズは、ガラス製、ジルコニア(ZrO)製、クロム製等の
ものがあるが、中でも比重が重く、摩耗粉等のコンタミが少ないジルコニア製ビーズが好適である。また用いるビーズの平均粒径は通常30〜500μm、好ましくは30〜300μmである。ビーズの平均粒径が30μm未満では、ビーズ重量が軽く、衝突エネルギーが小さくなり分散能力が低下する。ビーズの平均粒径が500μmより大きいと、ビーズ間の空隙体積が大きく顔料の微粒子化が困難である。また、ビーズ重量が重く、顔料に過度の衝突エネルギーが加わり、顔料の粒径を30〜500nmの範囲内にすることが困難である。
分散処理に用いる分散機としては、上記ビーズを用いることができる分散機であれば良く、特に制限を受けないが、例えばバッチ式でGetzmann社製「TORUSMILL」、連続式でアシザワ社製「アジテータミル」、浅田鉄工社製「ピコミル」、コトブキ技研工業社製「アペックスメガ」等が挙げられる。
顔料分散液の調製方法には特に制限を受けないが、顔料分散液の製造工程中に上記分散設備による分散を行う。例えば、初めに分散液組成物として前述した顔料、分散剤、溶剤、及び必要に応じてバインダ樹脂等を予め混合して液状とする。この配合液を上記分散機を用いてビーズにより分散処理を行い、所望の顔料分散液を得る。
なお、ビーズの使用量には特に制限はないが、分散処理に用いる分散機のベッセル容積の50〜90体積%程度とすることが好ましい。このビーズ充填量が少な過ぎると分散処理により所望の粒度分布の顔料分散液を得るのに時間を要し、多過ぎると機械負荷が大きくなると共に、ビーズの破損が起こり、顔料の粒径分布が広がる。
なお、このような平均粒径30〜500μmのビーズを用いた分散処理の前工程として、ロールミル、ニーダー、或いは平均粒径500μmを超える大粒径ビーズによる分散処理等の前処理を行っても良い。また調製された顔料分散液にさらに後処理を行っても良い。後処理法としては例えば特殊機化社製「T.K.フィルミックス」、スギノマシン社製「アルティマイザー」等による処理が挙げられる。
[2]アルカリ可溶性樹脂
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はないが、例えばアクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等が挙げられる。
[2−1]アクリル系樹脂
アクリル系樹脂としては、アルカリ可溶性を確保するために側鎖又は主鎖にカルボキシル基又はフェノール性水酸基を有する単量体を含む必要がある。中でも好ましいのは、高アルカリ性溶液での現像が可能な、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂などである。中でも特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸を含む(共)重合体又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体である。これらのアクリル系樹脂は、現像性、透明性などに優れ、種々の単量体と組合せて性能の異なる共重合体を得ることができ、かつ、製造方法が制御し易い利点がある。
本発明に係るアクリル系樹脂は、例えば、次に挙げる単量体を主成分とする(共)重合体である。
即ち、この単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに酸(無水物)を付加させた化合物などが挙げられる。
上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、コハ
ク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル等が挙げられ、酸(無水物)としては、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などが挙げられる。
これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートも、酸(無水物)も、いずれも1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記の単量体と共重合させることができる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体類、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和基含有カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル類、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させた化合物類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のアクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル類などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
特に、基板上の塗布膜の強度を向上させるのに好ましいアクリル系樹脂として、次に挙げる単量体(a)の少なくとも1種と次に挙げる単量体(b)の少なくとも1種とを共重合させたアクリル系樹脂が挙げられる。
単量体(a):スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミドなどのフェニル基を有する単量体
単量体(b):(メタ)アクリル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、又は、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル
アクリル系樹脂の製造に際して、単量体(a)は、通常10〜98モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%、単量体(b)は、通常2〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%の割合で使用され
る。
また、アクリル系樹脂としては、側鎖にエチレン性二重結合を有するアクリル系樹脂を含むことが好ましい。かかるアクリル系樹脂の使用により、本発明の感光性組成物の光硬化性が向上するので、液晶配向制御突起の解像性や基板との密着性を一層向上させることができる。
アクリル系樹脂の側鎖にエチレン性二重結合を導入する方法としては、例えば、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報などに記載されている方法、即ち、
(1) アクリル系樹脂が有するカルボキシル基に、グリシジル基やエポキシシクロヘキ
シル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物を反応させる方法
(2) アクリル系樹脂が有する水酸基にアクリル酸クロライド等を反応させる方法
などが挙げられる。
具体的には、カルボキシル基や水酸基を有するアクリル系樹脂に、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライド等の化合物の1種又は2種以上を反応させることにより、側鎖にエチレン性二重結合基を有するアクリル系樹脂を得ることができる。中でも、カルボキシル基や水酸基を有するアクリル系樹脂に、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートのような脂環式エポキシ化合物を反応させたものが好ましい。
上述のように、予めカルボキシル基又は水酸基を有するアクリル系樹脂に、エチレン性二重結合を導入する方法としては、カルボキシル基や水酸基を有するアクリル系樹脂のカルボキシル基や水酸基に対して通常2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%のエチレン性二重結合を有する化合物を結合させる方法が好ましい。また、カルボキシル基の含有量は、酸価として5〜200mg−KOH/gの範囲が好ましい。酸価が5mg−KOH/g未満の場合はアルカリ性現像液に不溶となり、また、200mg−KOH/gを超える場合は現像感度が低下することがある。
なお、本発明に用いるアクリル系樹脂は、フェノール性水酸基を含有することが好ましく、特に芳香族性水酸基を側鎖に有するビニル単量体、具体的にはo,m,p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、o,m,p−ヒドロキシスチレン、o,m,p−ヒドロキシフェニルマレイミド等を共重合成分の一部に用いたアクリル系樹脂を用いることは有効である。このような成分を含む樹脂は、光重合性組成物としては感度的には不利であるものの、現像性や基板接着性、耐薬品性などに特徴が持たせられるため、露光時の光が遮蔽され、基板面での重合率が低くなりがちな本発明の液晶配向制御突起用感光性組成物には、処方によっては非常に有効である。
上記のアクリル系樹脂のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で1,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合は均一な塗布膜を得るのが難しく、また、100,000を超える場合は現像性が低下する傾向がある。
[2−2] ノボラック系樹脂
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂及びその誘導体(ノボラック系樹脂)を用いることができる。
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、サリチル酸、フロログルシノール等のフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂である。
フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との反応は、無溶媒下又は溶媒中で行われる。
また、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させたレゾール樹脂も使用可能である。
さらに、フェノール類は必要に応じて置換されていても良いし、例えばフェノール類以外の芳香族化合物を混合して重縮合させても良い。
得られる樹脂の骨格構造が同じであれば、これらの製造法は重縮合に限定されるものではない。
ノボラック樹脂はその誘導体(ノボラック系樹脂)とすることにより様々な機能を付与することができる。
例えば、アルカリ溶解性を高めるために、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の一部に、カルボン酸を付加させても良くカルボン酸の例としては、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、及びそれらの無水物等が挙げられる。
ノボラック系樹脂にはこの他にも、様々な機能を持たせるために必要に応じてノボラック樹脂のフェノール性水酸基の一部を置換させることが可能であり、例えば一例として、グリシジルメタクリレートを付加させて側鎖に二重結合を持たせることなどが挙げられる。
ノボラック系樹脂のゲルパーミエイションクロマトグラファイー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下「MW」という)は、1,000〜20,000であり、好ましくは1,000〜10,000であり、さらに好ましくは、1,000〜8,000である。MWが1,000未満では電気信頼性が低下し、10,000を超えると現像性が低下する。
[2−3] ポリビニルフェノール系樹脂
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂としては、ポリビニルフェノール樹脂及びその誘導体(ポリビニルフェノール系樹脂)を用いることができる。
ポリビニルフェノール樹脂は、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、m−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレン等のヒドロキシスチレン類(なお、これらは、ベンゼン環に塩素、臭素、沃素、弗素等のハロゲン原子、或いは炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い。)の1種或いは2種以上、又は、さらに、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、(メタ)アクリル酸〔なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド等のアクリル酸誘導体類等の共単量体の1種或いは2種以上を、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させたヒドロキシスチレン類の単独重合体或いは共重合体等が挙げられる。
ポリビニルフェノール樹脂はその誘導体(ポリビニルフェノール系樹脂)とすることにより様々な機能を付与することができる。
例えば、アルカリ溶解性を高めるために、ポリビニルフェノール樹脂のフェノール性水酸基の一部に、カルボン酸を付加させても良く、カルボン酸の例としては、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、及びそれらの無水物等が挙げられる。
ポリビニルフェノール系樹脂のMWは、2,000〜50,000であり、好ましくは2,000〜20,000である。MWが2,000未満では電気信頼性が低下し、20,000を超えると現像性が低下する。
[2−4]エポキシアクリレート系樹脂
本発明で用いるエポキシアクリレート系樹脂としては、例えばエポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸無水物を反応させることによりアルカリ可溶性を付与するなどの方法で得られたものが挙げられる。かかる反応生成物は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレート」が代表例であるので、慣用に従いこのように命名したものである。
原料となるエポキシ樹脂として、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂、下記式(I)で示されるエポキシ樹脂等を好適に用いることができる(特許第2878486号公報参照)。また、上記のフェノール系のエポキシ樹脂は、フェノールの水酸基が全てエポキシ基に置換されている必要はなく、むしろ一部水酸基が残っている方が、液晶配向制御突起の形状形成や電気特性的に有利であったりもする。
Figure 2008077073
原料となるエポキシ樹脂のMwは、通常200〜20万、好ましくは300〜10万の範囲である。分子量が上記範囲未満であると皮膜形成性に問題を生じる場合が多く、逆に、上記範囲を越えた樹脂ではα,β−不飽和モノカルボン酸の付加反応時にゲル化が起こりやすく製造が困難となるおそれがある。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸及びメタクリル酸であり、特にアクリル酸が反応性に富むため好ましい。
エステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、アクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、アクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、アクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−サクシノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル、メタクリル酸−2−フタロイルオキシエチル、メタクリル酸−2−ヘキサヒドロフタロイルオキシエチル、クロトン酸−2−サクシノイルオキシエチル等を挙げられ、好ましくは、アクリル酸−2−マレイノイルオキシエチル及びアクリル酸−2−フタロイルオキシエチルであり、特にアクリル酸−2−マレイノイルオキシエチルが好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルとエポキシ樹脂との付加反応は、公知の手法を用いることができ、例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で反応させることができる。
エステル化触媒としてはトリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量は、原料エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。α,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸無水物との反応も不十分となる。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、この使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はそのエステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
なお、本発明においては、製造工程としてエポキシ樹脂を経由しなくても、最終的な樹脂の構造が同じであれば本発明においては、それもエポキシアクリレート樹脂の範疇であると定義する。その例としては、例えばノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物を反応させて得られる樹脂が挙げられる。
この不飽和基含有エポキシ化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ビニルなどが挙げられる。
これらのうち、特にグリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物の反応には公知の方法を用いることができる。例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、ノボラック樹脂に不飽和基含有エポキシ化合物を付加することができる。なお、この付加反応もノボラックの水酸基に全て不飽和基含有エポキシ化合物を付加させる必要はなく、ある程度水酸基を残した方が電気特性や液晶配向制御突起の形状形成には有利である傾向がある。
上記付加反応における触媒の使用量は、反応原料混合物(ノボラック樹脂と不飽和基含有エポキシ化合物との合計)に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.3〜5重量%である。また、反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジン等)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.03〜5重量%である。
α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルが付加したエポキシ樹脂、或いはノボラック樹脂に不飽和基含有エポキシ化合物を反応させた上記の様な樹脂に、さらに付加させる多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、特に好ましい化合物は、無水テトラヒドロフタル酸及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、α,β−不飽和カルボン酸又はそのエステルの付加反応と同様な条件下で継続反応させることにより得ることができる。多塩基酸無水物の付加量は、生成するエポキシアクリレート系樹脂の酸価が10〜150mg−KOH/gの範囲となる量が好ましく、さらに20〜140mg−KOH/gの範囲となる量が特に好ましい。樹脂酸価が上記範囲未満であるとアルカリ現像性に乏しくなり、また、上記範囲を超えると硬化性能に劣る傾向が認められる。
[2−5]カルボキシル基含有エポキシ樹脂
カルボキシル基含有エポキシ樹脂としては、例えば、ポリエポキシ化合物又はエポキシ樹脂のエポキシ基にα,β−不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基が開環付加されて形成されたエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されていると共に、その際生じた水酸基に多価カルボン酸もしくはその無水物のカルボキシル基が反応して形成されたエステル結合を介して残存するカルボキシル基が付加されたものが挙げられる。
ここで、そのエポキシ樹脂としては、例えば前記フェノール性水酸基含有樹脂のフェノール基にエピクロロヒドリン、エピプロモヒドリン、ヒドロキシメチルエポキシ等をアルカリ又は酸触媒等により反応付加させたもの等が挙げられ、具体的にはビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールフルオレンジグリシジルエーテル及びその繰り返し単位を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
また、そのα,β−不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、及び、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、その多価カルボン酸若しくはその無水物としては、例えば、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、及びそれらの無水物等が挙げられる。中で、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、又はヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、テトラヒドロフタル酸無水物が特に好ましい。
以上の中で、本発明においては、感光性組成物としての感度、解像性、及び基板に対する密着性等の面から、エポキシ樹脂がフェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリフェノールとエピクロロヒドリンとの重縮合樹脂、ビフェノールフルオレンジグリシジルエーテル及びその繰り返し単位を有するエポキシ樹脂であり、α,β−不飽和モノカルボン酸が(メタ)アクリル酸であり、多価カルボン酸もしくはその無水物がテトラヒドロフタル酸無水物、又はコハク酸無水物であるものが特に好ましい。具体的には、例えばビフェノールフルオレンジグリシジルエーテルにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物を付加させた後、さらにテトラヒドロフタル酸無水物を開環付加させたものが挙げられる。なお、「ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物」は、(メタ)アクリレート基が部分付加反応した構造を有する。
また、酸価が20〜200mg−KOH/gであるものが好ましく、30〜180mg−KOH/gであるものがさらに好ましい。
また、MWが、2,000〜200,000であるものが好ましく、3,000〜150,000であるものがさらに好ましい。
本発明におけるカルボキシル基含有エポキシ樹脂は、従来公知の方法により製造できる。具体的には、前記エポキシ樹脂をメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤に溶解させる。次いでトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、又は、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン等の燐化合物、又は、トリフェニルスチビン等のスチビン類等の触媒の存在下、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン等の熱重合禁止剤の共存下に反応させる。反応は、前記α,β−不飽和モノカルボン酸を、エポキシ樹脂のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.7〜1.3化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量となる量で加え、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で付加反応させる。引き続き、多価カルボン酸もしくはその無水物を前記反応で生じた水酸基の1化学当量に対して通常0.1〜1.2化学当量、好ましくは0.2〜1.1化学当量となる量で加えて、前記条件下で反応を続ける等の方法により製造することができる。
以上のカルボキシル基含有エポキシ樹脂の構成繰り返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2008077073
[2−6] カルボキシル基含有ウレタン樹脂
カルボキシル基含有ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物、1分子中に1個以上の水酸基と1個以上の酸基を有するヒドロキシ酸化合物及び必要に応じて1分子中に2個以上の水酸基を含有する化合物、必要に応じて1分子中に1個の水酸基を含有する化合物をそれ自体公知の方法で反応させて得られる実質的に遊離のイソシアネート基を有さないウレタン樹脂である。上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族系ジイソシアネート化合物として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート等が挙げられ、脂環式系ジイソシアネート化合物として、例えば、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、芳香族ジイソシアネート化合物として、例えばキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等が挙げられ、その他のポリイソシアネート類として、例えば、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ルなどのポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が過剰量となる量のポリイソシアネート化合物を反応させてなる付加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などのビューレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等が挙げられる。
また、この他にもフェノール性水酸基を有するアクリル酸誘導体の共重合体樹脂、フェノール性水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂等を本発明のアルカリ可溶性樹脂として使用することができる。
上述のアルカリ可溶性樹脂は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明で用いるアルカリ可溶性樹脂は、特にフェノール性水酸基を持つ樹脂を含むことが、電気信頼性上特に好ましい結果をもたらす傾向にある。
本発明の感光性組成物中の全固形分に対するアルカリ可溶性樹脂の割合は、通常10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%である。この範囲よりもアルカリ可溶性樹脂の割合が多過ぎると液晶配向制御突起を形成させるに充分な感度が確保されず、少な過ぎると液晶配向制御突起の好ましい形状が形成されない。
[3]エチレン性不飽和化合物
本発明の感光性組成物のひとつのタイプとして、有機顔料、アルカリ可溶性樹脂と共にエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含む、光重合性感光性組成物が挙げられる。
本発明の光重合性感光性組成物に用いるエチレン性不飽和化合物としては重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と略称する)が好ましい。かかるエチレン性化合物は、本発明の感光性組成物が活性光線の照射を受けた場合、後記する光重合開始剤系の作用により付加重合して硬化する。
上記のエチレン性化合物としては、例えば、(a)不飽和カルボン酸、(b)不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル類、(c)脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類、(d)芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類、(e)不飽和カルボン酸と多価カルボン酸、及び脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物などの多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル類、(f)ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物などが挙げられる。
(a)不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸等が挙げられる。
(b)不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c)脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル類が挙げられる。さらに、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
(d)芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類としては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
(e)不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル類は、必ずしも単一物である必要はなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物などが挙げられる。
(f)ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物などが挙げられる。
上記した以外のエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物などが挙げられる。
これらエチレン性化合物は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
エチレン性化合物の割合は、本発明の感光性組成物の全固形分に対し、通常5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。エチレン性化合物の割合がこれより少ない場合、充分な画像形成と基板密着性が維持できず、一方これより多くなった場合、液晶配向制御突起としての良好な形状を形成することが困難になる。
[4]光重合開始剤系成分
本発明の液晶配向制御突起用感光性組成物が、上述のエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤系成分を配合するのが好ましい。なお、本発明において光重合開始剤系成分とは、光重合開始剤、加速剤、及び増感色素等の付加剤が併用されている混合物を意味する。
光重合開始剤系成分を構成する光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン系化合物、特開2000−80068号公報に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
本発明で用いることができる光重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
2−トリクロロメチル−5−(2′−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−(6″−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2′−クロロフェニル)−4,5−ビス(3′−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2′−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2′−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4′−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4′−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、P−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6−ジ−プルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,4−ジ−フルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジェニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジェニル−Ti−2,6−ジ−フルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等のチタノセン誘導体;
2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等のα−アミノアルキルフェノン系化合物;
この他、本発明に用いる光重合開始剤としては、特にオキシムエステル系化合物を好適に用いることができる。具体的なオキシムエステル系化合物として、下記一般式(II)、好ましくは下記一般式(III)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2008077073
((II)式中、R12は、それぞれ置換されていても良い、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシキシカルボニルアルカノイル基、又は炭素数2〜10のアミノカルボニル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基又は炭素数7〜20のフェノキシカルボニル基を示す。)
Figure 2008077073
((III)式中、R11aは、それぞれ置換されていても良い、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールチオアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7〜20のフェノキシカルボニル基を示す。
11bは、置換されていても良い芳香環基を示す。
なお、R11aは、R11bとともに連結基を介して環を形成しても良く、その場合の連結基は、それぞれ置換基を有していても良い、炭素数1〜10のアルキレン基、−(CH=CH)−、−(C≡C)−あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、xは0〜3の整数)。
12aは、一般式(II)におけるR12と同義である。)
上記一般式(II)におけるR12及び上記一般式(III)におけるR12aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、又は炭素数3〜8のシクロアルカノイル基が挙げられる。
また、上記一般式(III)におけるR11bの芳香環基とは、芳香族炭化水素環基とヘテロ芳香環基を総称するものであり、好ましくは置換されていても良いカルバゾイル基、置換されていても良いチオキサントニル基、置換されていても良いフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なオキシムエステル系化合物としては具体的には、以下に例示される様な化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2008077073
Figure 2008077073
これらのオキシム系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2000−80068号公報や、特開2006−36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。
本発明においては、光重合開始剤と共に加速剤を組み合わせて用いることもできる。その加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。
光重合開始剤及び加速剤は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
上記光重合開始剤系成分(光重合開始剤、加速剤を用いる場合は光重合開始剤に加速剤を合わせたもの)の配合割合は、本発明の感光性組成物の全固形分中、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは0.7〜10重量%である。この配合割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させることがある。
光重合開始剤系成分には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素、特開2004−252421号公報に記載のスルホイミノ系化合物、特開2004−212958号公報に記載のアミノカルボスチリル系化合物、特開2002−169282号公報、特開2004−191938号公報等に記載のメロシアニン系化合物、特開2002−268239号公報等に記載のチアゾリデンケトン系化合物、特開2005−62415号公報等に記載のイミド系化合物、特開2005−208561号公報等に記載のトリフェニルアミン系化合物、特開2005−208561号公報等に記載のカルバゾール系化合物等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、さらに好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物であり、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。これらの増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の感光性組成物に増感色素を用いる場合の増感色素の配合割合は、感光性組成物の全固形分中通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。
[5]架橋剤及び光酸発生剤
本発明の感光性組成物には、さらに架橋剤を加えることができ、架橋剤の添加により電圧保持率などの電気信頼性が向上するという効果が得られる。
架橋剤としては、例えばメラミン又はグアナミン系の化合物が挙げられる。これら架橋剤としては、例えば、下記一般式(IV)で示されるメラミン又はグアナミン系の化合物を挙げることができる。
Figure 2008077073
(式中、Rは−NR又はアリール基を表し、Rが−NRの場合はR、R、R、R、R及びRの一つ、そしてRがアリール基の場合はR、R、R及びRの一つが−CHORを表し、R、R、R、R、R及びRの残りは互いに独立に、水素又は−CHORを表し、ここにRは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、アリール基としては典型的にはフェニル基、1−ナフチル基又は2−ナフチル基であり、これらのフェニル基やナフチル基には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基が結合していても良い。アルキル基及びアルコキシ基は、それぞれ炭素数1〜6程度であることができる。Rで表されるアルキル基は、上記のなかでも、メチル基又はエチル基、とりわけメチル基であるのが一般的である。
上記一般式(IV)で表される相当するメラミン系化合物、すなわち下記一般式(V)で表される化合物には、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンなどが包含される。
Figure 2008077073
(式中、R、R、R、R、R及びRの一つがアリール基の場合はR、R、R及びRの一つが−CHORを表し、R、R、R、R、R及びRの残りは互いに独立に、水素又は−CHORを表し、ここにRは水素又はアルキル基を表す。)
また、一般式(IV)で表されるグアナミン系化合物、すなわち一般式(IV)中のRがアリール基である化合物には、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、トリメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミンなどが包含される。
さらに、メチロール基又はメチロールアルキルエーテル基を有する架橋剤には次のような化合物も包含され、これらを用いることもできる。以下に例を挙げる。
2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、5−エチル−1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−オン(通称N−エチルジメチロールトリアゾン)又はそのジメチルエーテル体、ジメチロールトリメチレン尿素又はそのジメチルエーテル体、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ−1,3,5−オキサジアジン−4−オン(通称ジメチロールウロン)又はそのジメチルエーテル体、テトラメチロールグリオキザールジウレイン又はそのテトラメチルエーテル体。
これらの架橋剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。架橋剤を用いる際の量は、感光性組成物の全固形分100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、特に好ましくは1〜10重量部である。
なお、これら架橋剤は光酸発生剤と共に用いると効果的である。
光酸発生剤とは、紫外線により酸を発生することができる化合物であり、露光を行った際に発生する酸の作用により、例えばメラミン化合物等の架橋剤があることで架橋反応を進行させることとなる。
かかる光酸発生剤の中でも、溶解性、特に溶剤に対する溶解性が大きいものが好ましく、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p−アニシル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ビス(n−ドデシル)ヨードニウム、p−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウムなどのジアリールヨードニウム、あるいはトリフェニルスルホニウムなどのトリアリールスルホニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n−ブチル)トリフェニルボレート等のスルホニウム有機ホウ素錯体類、あるいは、光重合開始剤の項で記載した2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン化合物等は、光照射によりラジカルを発生すると共に酸も発生するため、光重合開始剤として機能するだけでなく、光酸発生剤として機能することができる。
光酸発生剤は以上に挙げたものに限定されるものではない。
これら光酸発生剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて使用しても良く、これらの光酸発生剤を使用する場合、その使用量は感光性組成物の全固形分100重量部に対して0.05〜15重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜10重量部である。これより少なすぎると効果が出ず、多すぎると製版性を下げる結果となる。
[6]o−キノンジアジド基含有化合物
本発明の感光性組成物のもうひとつのタイプとして、有機顔料、アルカリ可溶性樹脂としてのノボラック系樹脂及び/又はポリビニルフェノール系樹脂と供にo−キノンジアジド基含有化合物を含むポジ型感光性組成物が挙げられる。
o−キノンジアジド基含有化合物としては、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸基を有する化合物が好ましく、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸シクロヘキシル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−(ジヒドロアビエチル)−スルホン酸アミド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸−4’−ヒドロキシフェニル−4’−アゾ−β−ナフトール、N,N−ビス(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル)アニリン、1’−(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル)−3’,5’−ジメチルピラゾール、2’−(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルオキシ)−1’−ヒドロキシアントラキノン、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸−2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸−2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドの2モルと4,4’−ジアミノベンゾフェノンの1モルとの縮合物、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドの2モルと4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ジフェニルスルホンの1モルとの縮合物、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドの1モルとプルプロガリンの1モルとの縮合物等が挙げられ、中でも、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸が好ましい。
これらのo−キノンジアジド基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明のポジ型感光性組成物におけるo−キノンジアジド基含有化合物の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。o−キノンジアジド基含有化合物の含有量が少なすぎると、感度不足により充分なパターン形成ができず、多すぎた場合は現像性が悪くなり、抜け不良や地汚れといった問題が見られる。
[7]その他の固形分
本発明の感光性組成物には、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合することができる。これらの成分としては、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像促進剤等が挙げられる。
[7−1]界面活性剤
界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものの1種又は2種以上を用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。
界面活性剤の配合割合は、感光性組成物中の全固形分に対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%、最も好ましくは0.03〜0.3重量%の範囲である。
[7−2]熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等の1種又は2種以上が用いられる。
熱重合防止剤の配合割合は、感光性組成物中の全固形分に対し0〜3重量%の範囲であることが好ましい。
[7−3]可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等の1種又は2種以上が用いられる。
可塑剤の配合割合は、感光性組成物中の全固形分に対し10重量%以下であることが好ましい。
[8]感光性組成物の調製
本発明の感光性組成物を調製するには、前述の本発明に係る顔料分散液に、前述の本発明の感光性組成物の説明で例示した溶剤、アルカリ可溶性樹脂、場合によっては、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、架橋剤、光酸発生剤、o−キノンジアジド基含有化合物及びその他の成分などを所定量混合し、均一な分散液とする。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた感光性組成物を、フィルターなどによって濾過処理することが好ましい。
本発明の感光性組成物において、溶剤の含有量は、前述の顔料分散液における溶剤の含有量と同様の理由から99重量%以下、特に90重量%以下で、70重量%以上、特に75重量%以上であることが好ましい。
[液晶配向制御突起の形成方法]
次に、本発明の液晶配向制御突起用感光性組成物を用いた液晶配向制御突起の形成方法について説明する。
まず、特開2003−33011に記載等に記載の方法により得られるブラックマトリクスとレッド、ブルー、グリーンのカラーフィルターを設け、さらにその上に、透明電極として、例えば150nm厚のITO(インジウムスズ酸化物)を蒸着した通常0.1〜2mmの厚さの透明基板(以下、単に「基板」と称す場合がある。)上に、及び/又は同様にITOを蒸着した対向するTFT基板上に、上述した本発明の液晶分割配向突起用感光性組成物を、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって塗布する。特に、ダイコート法は、塗布液使用量が大幅に削減される;スピンコート法の場合に付着するミスト等の影響が全くない;異物発生が抑制される;等の利点があり、総合的な観点から好ましい。
塗布膜の厚さは、必要とされる液晶配向制御突起の大きさによるが、以下に記載する乾燥後の膜厚として、通常0.2〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは0.8〜3μmの範囲である。
感光性組成物を基板に塗布した後の感光性組成物塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。
予備乾燥の条件は、感光性組成物中の溶剤の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができるが、通常40〜80℃の温度で15秒から5分間、好ましくは50〜70℃の温度で30秒から3分間の範囲で選ばれる。
予備乾燥後の再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い50〜200℃、好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは70〜130℃とされる。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒から10分、好ましくは15秒から5分とされる。乾燥温度は、高いほど基板に対する塗布膜の接着性が向上するが、高すぎるとバインダー樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。
なお、この乾燥工程では、温度を高めないで減圧チャンバー内で行う、減圧乾燥法であっても良い。
画像露光は、感光性組成物の塗布膜上に、マトリクスパターンを重ね、このマトリスクパターンを介し、紫外線または可視光線の光源を照射して行う。上記の画像露光に使用される光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
露光後、ネガ型の感光性組成物の場合は未露光の未硬化部分を、また、ポジ型の感光性組成物の場合は露光されたアルカリ可溶化部分を現像にて除去することにより、画素を形成する。現像は、有機溶剤または界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を使用して行なうことができる。この現像液には、有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
上記のアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミ、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、1種を単独で用いても良く、また2種以上を混合物として使用しても良い。
上記の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記の有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。有機溶剤は、水と混合して使用することもできる。
現像処理の温度は、通常10〜50℃、好ましくは15〜45℃、さらに好ましくは20〜40℃である。また、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などの何れであっても良い。
通常、現像後得られる画像は、5〜20μmの幅の細線再現性が求められ、高画質のディスプレイの要求からより高精細な細線再現性が要求さる傾向にある。
本発明の感光性組成物は、現像後、液晶配向制御突起の形状に必要な断面アーチ状の形状を得るために(後述のスペーサーやオーバーコート等の形成の場合においても、それに必要な形状を得るために)、また、充分な電気信頼性を得るため等の目的で、通常150℃以上、好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、通常400℃以下、好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下で、且つ、通常10分以上、好ましくは15分以上、さらに好ましくは20分以上、通常120分以下、好ましくは60分以下、さらに好ましくは40分以下の加熱処理を施す。
以上の様にして形成させた液晶配向制御突起は底部の幅が通常0.5〜20μm、好ましくは3〜17μm、高さが通常0.2〜5μm、好ましくは0.5〜3μmの断面アーチ状もしくはドーム形状の形状が好ましく、突起の側面が基板面とする角度は通常10〜40°、好ましくは15〜35°である。
また、この様にして得られた液晶制御突起は、波長550nmにおける光の透過率が膜厚1μmあたりの透過率で30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。さらに、特に好ましくは、波長450nm、550nm、610nmでのそれぞれの光の透過率が膜厚1μmあたりの透過率で30%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。この膜厚1μmあたりの透過率は、例えば、液晶制御突起用感光性組成物を基板上に塗布、乾燥し、ネガの場合は所定の露光量にて全面露光、ポジの場合は露光をしないで所定の現像及び加熱処理を施した上で、分光光度計にて、透過率を測定する一方で、別途感光性組成物の膜厚を測定した上で、膜厚1μmあたりの透過率に換算することにより求めることができる。
また、本発明の感光性組成物で形成された液晶配向制御突起のOD値は、膜厚1μmあたり0.3〜3であることが好ましく、特に0.5〜2であることが好ましい。OD値がこれより低い場合は、本発明の効果である充分なコントラスト得られず、これより高い場合は液晶配向制御突起の形状形成が困難となる。
さらに、本発明の感光性組成物で形成された液晶配向制御突起の誘電率は2〜7であることが好ましく、特に好ましくは3〜4.5、さらに好ましくは3〜4である。誘電率がこれより小さいものは製造上困難であり、大きいものは液晶の応答に悪影響を与える。
なお、このような誘電率の値は、遮光成分として有機顔料を採用することではじめて達成されるものであり、カーボンブラックやチタンブラックなどを用いて目的のOD値を得ようとした場合は、これより大きな誘電率値となってしまうので好ましくない。しかしながら、上記範囲に誘電率が収まる範囲であるならば、有機顔料にカーボンブラックやチタンブラックの少量を混合して使用することは可能である。
また、本発明の感光性組成物で形成された液晶配向制御突起の体積抵抗率は1.0×1013〜1.0×1016Ω・cmであることが好ましく、特に好ましくは1.0〜1014〜1.0×1016Ω・cmである。体積抵抗率がこれより小さい場合は、液晶の駆動に乱れが生じる可能性があり、これより大きい場合は焼きつきが発生する懸念がある。なお、例えば特開2002−122858号公報のように焼きつき改善のために、電気抵抗率をあえて1.0〜1012Ω・cm以下に落とすことが知られているが、液晶配向制御突起の絶縁性が落ちると液晶の駆動に乱れが生じる可能性が高くなり好ましくない。本発明は、高体積抵抗率を保ちながら、焼きつきも抑え、さらに遮光性を付与していることに大きな効果がある。
[液晶表示装置(パネル)]
以下に、本発明の感光性組成物を用いて液晶表示装置(パネル)を製造する方法について説明する。
液晶表示装置は、画素層を必要に応じてオーバーコート層で覆い、透明電極を施し、さらに必要に応じて液晶配向制御突起(リブ)やスペーサーを形成させたカラーフィルター上に配向膜を形成した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して製造される。
なおオーバーコートは、段差がある画素層上に施されても、その表面は平滑であることが好ましい。
図1は、このような液晶表示装置の層構成の一例を示す模式的な断面図であり、図中、1はガラス板、2はブラックマトリックス、3は画素着色層(緑色フィルター・青色フィルター・赤色フィルター)、4はオーバーコート層、5はITO透明電極、6は配向膜、7は液晶配向制御突起(リブ)、8はスペーサー、9は液晶、10は絶縁膜、11はTFTを示す。
このような液晶表示装置において、本発明の感光性組成物を用いて液晶配向制御突起(リブ)或いは更にスペーサー等を形成することができる。即ち、カラーフィルター上に本発明の感光性組成物により液晶配向制御突起と、必要な場合はスペーサーを形成し、その上に配向膜を形成した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して液晶表示装置(パネル)を製造することができる。なお、スペーサーとしてビーズタイプのものを使用する場合は液晶層に液晶と共に注入する。また、必要に応じて駆動側基板に液晶配向制御突起を設けても良い。
ここで使用される配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、印刷後は、熱焼成によって硬化処理を行なうことで配向膜が形成される。このようにして形成される配向膜の厚さは数10nm、例えば50〜80nmとされる。
本発明の感光性組成物を用いた液晶配向制御突起(リブ)の形成方法は、前述の通りである。
本発明の感光性組成物を用いて、液晶配向制御突起とスペーサーを同時に形成させる一括形成の場合、それぞれの高さが違うものを一回の塗布で(同一の塗布膜厚で)形成させる必要がある。それにはこれまで提案されてきた様な種々の方法が使用できる。例えば、露光時に用いるフォトマスクに透過率や透過波長が異なるパターンを持たせたり、マスクの開口幅の調整で露光照度に段差を作ったり、表裏両面からの露光を行ったり、複数回パターンの異なるマスクを用いて露光したり、といった方法が挙げられる。
このようにして形成させる液晶配向制御突起は、前述の如く、底部の幅が通常0.5〜20μm、好ましくは3〜17μm、高さが通常0.2〜5μm、好ましくは0.5〜3μmのアーチ状の形状、若しくはドーム状が好ましく、基板面との角度は通常10〜40°、好ましくは15〜35°である。一方、スペーサーは、高さが通常0.5〜10μm、好ましくは1〜9μm、底面積が通常10〜300μm、好ましくは40〜200μmの柱形状であり、基板面との角度は通常15〜110°、好ましくは20〜90°である。
また、このようにして得られた液晶配向制御突起(リブ)やスペーサーは、用途に応じて透明でも着色していても良いが、高コントラストを求める場合は、リブは遮光されている方が好ましい。この様な遮光リブを形成させる場合は前述の顔料などの色材を感光性組成物に混合して用いることとなる。
スペーサーとしては、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルター基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成するタイプと、液晶層に混入させて使用するタイプがあるが、本発明の感光性組成物はフォトスペーサーに併用しても良く、さらに上述の如く、フォトスペーサーと液晶配向制御突起とを同時に形成させるために用いても良い。
近年、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法によって形成させるフォトスペーサを用いることも増えて来ているが、このスペーサ(フォトスペーサ)とリブを同じ感光性組成物で形成させ、さらにはそれを同時に形成させることで、材料・工程(処理時間と場所)の大幅な合理化が期待できる。本発明の感光性組成物はそれをも見据えたものであり、特にスペーサーには圧縮特性が求められるため、樹脂自体の特性や光重合で形成させる場合はその二重結合当量の制御が必要となる。その場合、[0071]段落、[0079]段落、[0085]段落、[0089]段落、[0093]段落等で示した部分などの方法により、二重結合含有成分の導入率を調整することで樹脂の二重結合の量の調整が可能である。
液晶表示装置の対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。
対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10−2Pa以上、好ましくは1×10−3以上、また、通常1×10−7Pa以下、好ましくは1×10−6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
本発明の感光性組成物は、リブが使用されるMVA方式に対して用いられるが、用いる液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでも良い。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られており、これらの何れであっても良いが、本発明においては、垂直配向タイプである必要がある。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、「部」は「重量部」を意味する。
<アルカリ可溶性樹脂−1の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145部を、反応容器内を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここに、スチレン20部、グリシジルメタクリレート57部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製「FA−513M」)82部を滴下し、さらに、120℃で2時間攪拌し続けた。
次いで、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27.0部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7部及びハイドロキノン0.12部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52.0部、トリエチルアミン0.7部を加え、120℃で3.5時間反応させて重合反応液を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂−1のMWは約15000であった。
<アルカリ可溶性樹脂−2>
ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸=50/25/25(モル比)の共重合物。このもののMWは約5000であった。
<アルカリ可溶性樹脂−3>
群栄化学(株)社製「MRG03」(m/p−クレゾールノボラック樹脂(m/p=6/4、MW=3000))
<アルカリ可溶性樹脂−4>
m/p−クレゾールノボラック樹脂(m/p=6/4,MW=3000)284gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート205.7gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下、100℃にて溶解した。次いで、無水コハク酸47.3g及びジエチルアニリン7.1gを加え、100℃で10時間反応を行い、FT−IRにて無水コハク酸が消失したことを確認して反応終了とした。ここへプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート440gを加え、反応液を冷却した。得られた樹脂のMWは4000であった。
<アルカリ可溶性樹脂−5>
日本化薬(株)製「CCR−1171H」(Mw=4000〜5000、酸価=100
mg−KOH/g)
Figure 2008077073
<アルカリ可溶性樹脂−6>
MW4000のメタクレゾールノボラック樹脂120gとグリシジルメタクリレート71gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート191gに溶解し、パラメトキシフェノール0.19g及びテトラエチルアンモニウムクロライド1.9gを加え、90℃で13時間反応させた。ガスクロマトグラフィー分析でグリシジルメタクリレートが1%以下になったことを確認し、テトラヒドロフタル酸無水物45.6g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.6gを加え、95℃でさらに5時間反応させた。IRで酸無水物がなくなったことを確認し、アルカリ可溶性樹脂−6溶液を得た。得られた樹脂のMWは5000であった。
<アルカリ可溶性樹脂−7>
日本化薬(株)製「ZCR−1569H」(MW=4000〜5000、酸価=100
mg−KOH/g)
<光重合開始剤−1>
Figure 2008077073
<光重合開始剤−2>
特開2006−036750号公報記載の方法により下記構造の化合物を合成した。
Figure 2008077073
<光酸発生剤>
Figure 2008077073
<架橋剤−1>
Figure 2008077073
<分散樹脂−1の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35部、1−メトキシ−2−プロパノール8.8部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製「V−59」)1.5部を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、80℃に昇温し、ベンジルメタクリレート10.5部、メチルメタクリレート7.5部、メタクリル酸11.9部を2時間かけて滴下し、さらに、4時間撹拌を行い、重合反応液を得た。得られた分散樹脂−1のMWは12000であった。また、KOHによる中和滴定を行ったところ、酸価は120mg−KOH/gであった。
<顔料分散液−1〜7の調製>
表1に記載の顔料、分散剤「DisperBYT−161」(ビックケミー社製)、前述の分散樹脂−1、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を、表1に記載の重量比で混合した。ここに、これら総重量の3倍量のジリコニアビーズ(平均粒径0.3mm)を混合した後、ステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて、各顔料分散液を調製した。
Figure 2008077073
<実施例1〜8、比較例1〜3>
上記で調製された顔料分散液と、表2に示す成分とを表2に示す割合で配合して感光性組成物を調製した。
各感光性組成物を、150nm厚のITO膜をスパッタ法により成膜したガラス基板(旭硝子社製カラーフィルター用ガラス板「AN100」)上に塗布し、1分間真空乾燥後、ホットプレート上で80℃にて3分間プリベークし、乾燥膜厚1.9μmの塗布膜を得た。
その後、(I)塗布膜側から10μ幅の細線パターンマスクを介して、(II)マスクを介さずに全面を、それぞれ3kW高圧水銀を用い80mJ/cmの露光条件にて画像露光を施した。次いで、0.05重量%の水酸化ナトリウムと0.08重量%のノニオン性界面活性剤(花王(株)製「A−60」)を含有する水溶液よりなる現像液を用い、23℃において水圧0.25MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにてリンスした。シャワー現像時間は、10〜120秒間の間で調整し、感光層が溶解除去される時間(ブレーク時間)の2倍とした。
こうして画像形成されたガラス基板を230℃で30分間ポストベーク(熱フロー)し、(I)液晶配向制御突起を形成させたガラス基板、及び(II)全面にレジストが施されたガラス基板を得た。
得られた各サンプルのうち、(I)液晶配向制御突起を形成させたガラス基板の細線パターンをSEM観察し、全てのサンプルが液晶配向制御突起として好ましいかまぼこ状の形状であることを確認した。
また、得られた各サンプルについて、以下の評価を行って結果を表2に示した。
<透過率>
(II)全面にレジストが施されたガラス基板について、波長450nm、550nm、610nmでの透過率を日立分光光度計にて測定した。
<誘電率・体積抵抗率>
HP(現Agilent)社製LCRメーター4284Aを用いて、(II)ガラス基板の全面に施したレジストの誘電率と体積低効率を測定した。なお、誘電率の測定は1KHz・1Vにて、体積抵抗率の測定はDC5Vにて実施した。
Figure 2008077073
<実施例9、比較例4>
上記で調製された顔料分散液と、表3に示す成分とを表3に示す割合で配合して感光性組成物を調製し、上記実施例1等と同様に形状確認、透過率、誘電率、及び体積抵抗率を測定を実施した。
また、更に以下の評価を行い、これらの結果を表3に示した。なお、いずれのサンプルも、液晶配向制御突起として好ましいかまぼこ状の形状であることを確認した。
<電圧保持率(VHR)の評価>
2.5cm角の無アルカリガラス基板(旭硝子(株)社製AN−100)の片全面にI
TO膜を形成した電極基板Cと、2.5cm角の同ガラス基板の片面中央部に、2mm幅
の取り出し電極がつながった1cm角のITO膜を形成した電極基板Dを用意した。
電極基板C上に、表3の各感光性組成物溶液を塗布し、1分間真空乾燥後、ホットプレート上で80℃にて3分間プリベークし、乾燥膜厚1.8μmの塗布膜を得た。その後、全面を、それぞれ3kW高圧水銀を用い80mJ/cmの露光条件にて画像露光を施した。次いで、0.16重量%の炭酸ナトリウムと、0.046重量%の炭酸水素ナトリウムと0.4重量%のノニオン性界面活性剤(アデカトールPC−8)、及び0.1重量%のプロピレングリコールを含有する水溶液よりなる現像液を用い、26℃において水圧0.1MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにてリンスした。なお、現像時間はまず露光をしないサンプルのレジストが除去される時間(ブレークタイム)を測定し、その時間を1.2倍したものを現像時間とした。
こうして画像形成されたガラス基板を230℃で30分間ポストベークし、全面にレジストが施されたガラス基板を得た。次に、このレジストを覆うように、配向膜用塗料(日産化学(株)製SE−5300)をスピンコート法で塗布し、220℃、60分間の加熱処理を施して、厚み(共通透明電極上の厚み)200Åの配向膜を形成した。
一方、電極基板Dにも同様に厚み200Åの配向膜を形成した。この電極基板Dの外周上に、ディスペンサーを用いて、直径5μmのシリカビーズを含有するエポキシ樹脂系シール剤を塗布した後、電極基板Cのレジストを塗布した面とを、外縁部が3mmずれるように対向配置し、圧着したまま、熱風循環炉内で180℃2時間加熱した。
こうして得られた空セルに、液晶(メルクジャパン社製MLC−6846−000)を注入し、周辺部をUV硬化型シール剤によって封止し、残留電位及び電圧保持率測定用液晶セルを完成した。
上記液晶セルを、アニール処理(熱風循環炉内で105℃、2.5時間加熱)した後、0.6Hzのパルス電圧を、電圧5Vで印加時間16.67msec、スパン500msecの条件で印加し、電圧保持率を(株)東陽テクニカ製「VHR−1」にて測定した。
<残留電位の評価>
上記VHR用と同様の液晶セルに5Vの電圧を1時間印加した後遮断し、電圧遮断後10分経過時の残留電位を測定した。
Figure 2008077073
表2,3より、本発明によれば、遮光性に優れ、しかも、誘電率において、液晶表示に対して影響を及ぼすことのない液晶配向制御突起を形成することができることが分かる。特に、表3より、体積抵抗率を高い水位に維持しつつも残留電位を改善すること、即ち、焼きつきを抑えることができ、しかも電圧保持率にも優れることが分かる。
液晶表示装置の層構成の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 ガラス板
2 ブラックマトリックス
3 画素着色層(緑色フィルター・青色フィルター・赤色フィルター)
4 オーバーコート層
5 ITO透明電極
6 配向膜
7 液晶配向制御突起(リブ)
8 スペーサー
9 液晶
10 絶縁膜
11 TFT

Claims (19)

  1. 少なくとも2種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含むことを特徴とする液晶配向制御突起用感光性組成物。
  2. 少なくとも2種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)とを含み、該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と該有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差が10nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  3. 少なくとも3種の有機顔料、及びアルカリ可溶性樹脂を含むことを特徴とする液晶配向制御突起用感光性組成物。
  4. 少なくとも3種の有機顔料として、波長400〜800nmの領域における最大吸収波長が、波長400〜500nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(400〜500)」と称す。)と、波長500〜600nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(500〜600)」と称す。)と、波長600〜800nmの領域にある有機顔料(以下「有機顔料(600〜800)」と称す。)とを含み、該有機顔料(400〜500)の最大吸収波長と該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長との差、及び、該有機顔料(500〜600)の最大吸収波長と該有機顔料(600〜800)の最大吸収波長との差がそれぞれ10nm以上であることを特徴とする請求項3に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  5. 形成される液晶配向制御突起の波長450nm、550nm、610nmの光の透過率が、厚さ1μmあたりいずれも30%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  6. アルカリ可溶性樹脂がフェノール性水酸基を有し、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  7. アルカリ可溶性樹脂がアクリル系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  8. アクリル系樹脂がフェノール性水酸基を含有することを特徴とする請求項7に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  9. アルカリ可溶性樹脂がノボラック系樹脂及び/又はポリビニルフェノール系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  10. アルカリ可溶性樹脂がエポキシアクリレート系樹脂を含み、該組成物がさらにエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  11. 光重合開始剤がオキシムエステル系化合物であることを特徴とする請求項6ないし10のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  12. アルカリ可溶性樹脂がノボラック系樹脂及び/又はポリビニルフェノール系樹脂を含み、さらに該組成物がo−キノンジアジド基含有化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  13. 該組成物がさらに、架橋剤を含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  14. 液晶配向制御突起と共にスペ−サーを同時に形成させるためのものであることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起用感光性組成物を用いて形成された液晶配向制御突起。
  16. 誘電率の値が2〜7であり、且つ膜厚1μmあたりのOD値が0.3〜3であることを特徴とする請求項15に記載の液晶配向制御突起。
  17. 誘電率の値が2〜7であり、且つ膜厚1μmあたりのOD値が0.3〜3であることを特徴とする液晶配向制御突起。
  18. 体積抵抗率の値が1.0×1013〜1.0×1016Ω・cmであることを特徴とする請求項15ないし17のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起。
  19. 請求項15ないし18のいずれか1項に記載の液晶配向制御突起を備えることを特徴とする液晶表示装置。
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