JP5026958B2 - リコンビナーゼポリメラーゼ増幅 - Google Patents

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Description

(発明の背景)
DNAの増幅能力は、現代の生物学的および医学的研究の中心にある。これは、ほとんどの分子生物学手法が、アッセイの感度を増大するために、またはさらなる処理に充分な材料を準備するために多量の同一分子を含有する試料に依存するためである。種々の核酸増幅手法のうち、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、その感度と効率のため、短い核酸配列の増幅において最もよく用いられている。
PCRは、非常に有用であるが、いくつかの様式において制限もある。PCRの第1の制限は、高温での多数回の熱融解(変性)サイクルと、その後の低温度でのハイブリダーゼーションおよび伸長に依存することである。効率を最大限にするため、およびノイズを最小限にするため、複数回の反応での複雑な温度制御が必要である。これには、特殊材料で構成された迅速な加熱/冷却ブロック(例えば、金めっき銀ブロック)を制御可能なサーモサイクラー、または試料を温度制御ゾーン間で移動させるロボット機構の使用が必要とされる。生理学的塩条件でのDNAの融解に必要とされる高温のため、PCR手法では、サイクルごとに新鮮なポリメラーゼを添加すること、または耐熱性ポリメラーゼを使用することのいずれかが必要である。新鮮なポリメラーゼを添加するためのアプローチは自動化されておらず、したがって、労力がかかり、エラー(例えば、混入物(莢雑物)、チューブの脱落、標識エラー)が生じやすい。さらにまた、酵素の添加および各反応物を個々に混合する必要性が、酵素添加PCR方法を小規模に適用することが制限されるという大きな欠点を提示する。
新鮮なポリメラーゼの添加を伴う方法と比べ、PCRにおける耐熱性ポリメラーゼの使用は、最も広く実施されている。このアプローチは、耐熱性ポリメラーゼが限定数の生物にしか見られず、好熱性生物が用いる複製機構は充分理解されていないという欠点から困難を受ける。耐熱性ポリメラーゼの利用可能な範囲は、DNA修復および/またはラギング鎖合成に関与する単一のポリペプチドポリメラーゼ酵素に限定される。DNA修復および/またはラギング鎖ポリメラーゼは、発揮される連続的合成能(processivity)が不充分である(分布的合成)ため、DNA増幅のための選択肢として不充分である。一部、修復および/またはラギング鎖ポリメラーゼ(例えば、Taq、Pfu、Ventポリメラーゼ)を用いる結果として、および熱融解後、阻害性の二次または三次核酸構造の形成により、現行のPCRプロトコルでは、数千より長い塩基対の配列は容易に増幅されない。より長い鋳型の信頼性のある合成(および増幅)は、ポリメラーゼ、およびずっと高いレベルの連続的合成能、鎖置換および二次構造分解を集約的に示し、熱変性されたDNAを冷却時に形成し得る阻害性高次核酸構造の形成を制限する補助酵素性複合体に依存する。
PCRの第2の制限は、水性環境におけるオリゴヌクレオチド(PCRプライマー)と変性された鋳型DNA(すなわち、増幅対象のDNA)との溶液ハイブリダーゼーションに依存することである。PCR反応が有効であるためには、耐熱性ポリメラーゼが、PCRが温度において急速な活性の低下を有するため、短時間で行なう。さらに、迅速なターンアラウンドに重要な特徴である短時間での効率的なハイブリダーゼーションでは、PCRを高濃度オリゴヌクレオチドを有する環境において行なうことが必要である。高濃度のオリゴヌクレオチドはまた、溶液中に依然として存在する熱変性された相補鎖との競合において、標的配列とオリゴヌクレオチドとの迅速な相互作用を確実にする。高濃度オリゴヌクレオチドプライマーは、特に、標的配列のコピー数がDNA分子の複合混合物中に少なく存在する場合、問題を引き起こし得る。これは、例えば、ゲノムのPCRにおいて、1つの遺伝子座内の遺伝的多型を測定する場合であり得る。
高いオリゴヌクレオチド濃度の使用に伴う問題の1つは、複合DNA混合物において一部のみマッチする配列でミスプライミングの程度が増大されることである。ミスプライミングは、PCRにおいてプライマー配列が鋳型核酸に完全に相補的でない場合でさえ起こる鋳型DNAへのプライマーのハイブリダーゼーションをいい、これは核酸の非特異的増幅をもたらし得る。ミスプライミングによるノイズは、オリゴヌクレオチド濃度および出発DNAの全体的な複雑性とともに増加する。また、ミスプライミングの可能性は、標的配列のコピー数が減少するにつれて増加する。ミスプライミングの条件が有利である場合(すなわち、高いオリゴヌクレオチド濃度、高い複雑性、低いコピー数)、誤って増幅された配列は、主反応産物となり得る。したがって、標的配列を試料DNAから、過剰なミスプライミングバックグラウンドのない、ミスのない増幅のための条件およびオリゴヌクレオチドを同定するのが困難となり得る。したがって、PCRを用いるさらなる不都合点は、複雑な配列混合物からのミスのない割合の標的DNA増幅の成功が限定的であることである。
PCRによって発生する特異性の問題および鋳型融解問題に対する解決法の1つは、細菌のRecAリコンビナーゼタンパク質、またはその原核生物および真核生物の類縁体の生物学的特性に依存する方法を用いることである。このようなタンパク質は、単鎖DNA(ssDNA)を被覆してフィラメントを形成し、次いで、これが、二本鎖DNA(dsDNA)を配列相同性の領域についてスキャンする。相同配列がある場合、核タンパク質フィラメント鎖は、短いハイブリッドとDループとして知られる被置換鎖バブルとを生成しているdsDNAを侵入する。Dループ内のフィラメント鎖の遊離の3’末端は、DNAポリメラーゼによって伸長され、新たな相補鎖が合成され得る。相補鎖は、伸長されるにしたがって元の対合鎖を置き換える。オリゴヌクレオチド対を、PCRで用いるのと同様にして用いることにより、熱融解(熱サイクリング)をなんら必要とせずに、標的DNA配列を類似な様式で増幅することが可能となるはずである。これは、これまでPCRにおいて使用不可能であった熱不安定性ポリメラーゼの使用を可能にし、ハイブリダーゼーションの代わりに鋳型スキャニングおよび鎖侵入による忠実度および感度を増大させるという両方の利点を有する。
核酸のインビトロ増幅のためのRecAおよびそのホモログの使用は、以前に報告されている(Zarling et al.に対する特許文献1、本明細書において「Zarling」という)が、この方法および結果は限定的である。Zarling法は、二本鎖DNAの指数関数的増幅を達成するにはその能力が限定的であるという重大な短所を有する。Zarling法が指数関数的増幅を達成できないのは、ATPではなくATPγSの使用をする仕様によるものであり得る。Zarling法は、より安定なRecA/ssDNAフィラメント構造がもたらされるため、RecA核タンパク質フィラメントの合成においてATPの代わりにATPγSの使用を要求する。通常、フィラメントは5’→3’方向に合成され、RecAがATPを加水分解すると、同じ5’→3’方向に自発的に分解する。このプロセスは、合成および分解が同時に起こり、合成されるフィラメントの量が平衡状態であるという点で動的である。非加水分解性ATPアナログであるATPγSが使用された場合、ATPγSの加水分解およびフィラメントの5’→3’分解が阻害される。鎖交換の前および後の両方におけるRecA/ATPγSフィラメントの大きな安定性は、該標的化方法(すなわち、Zarling法)では有用であるが、DNA増幅には不利かつ非実用的である。
Zarling法では、鎖侵入に関与するRecAタンパク質は、鎖交換後に交換された物質の二本鎖部分と会合した状態のままである。この相互作用は、新たに形成された二本鎖が、RecAの高親和性部位に結合するため起こる。被置換鎖は、別の単鎖DNA結合タンパク質(SSB)(例えば、大腸菌SSB)に結合しない限り、異なる低親和性部位を占める。構造変化をもたらすためにATPを用いた場合、自発的5’→3’分解が起こり得るが、交換複合体は かなり安定であり得、ATP依存性分解を刺激するさらなる因子が必要となり得る。自発的か刺激誘導型かどうかとは無関係に、ATPγSの存在下では、RecAフィラメントの5’→3’分解が阻害される(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3).
このようなRecA/dsDNA複合体は、続いて侵入および合成のラウンドを開始するのに用いるRecA/ssDNAプライマー複合体によって標的化される正確な部位である。実際、RecAが結合した状態では、中間体はポリメラーゼに接近し得ず、dsDNAは、RecA/ssDNAプライマー複合体によって確実にはそれ以上侵入され得なくなり、したがって、この点から増幅可能でなくなる。さらに、このような鋳型からの合成は、RecAのない鋳型の他方の末端開始された場合に起こり得、これは、最終的に、結合RecAの物理的置換をもたらし得る。しかしながら、多くのポリメラーゼがこのような様式でRecAを置換し得るのか否かは明らかでない。またさらに、その合成ラウンドの開始部位は、代わりに今度は「ブロックされる」。かかる状況では、増幅は、時間に対して線形であるにすぎず、主に単鎖DNA増幅産物を生成する。
したがって、記載のZarling法は、良くても、各鋳型から少量のssDNAコピーの生成が起こり得るに過ぎない。Zarling法によって潜在的に示される線状増幅は、被置換鎖が継続的にRecA上の第2の相互作用部位に結合し、単鎖DNAが遊離されないため、SSBの存在下でのみ起こる(非特許文献4)。これは、おそらく、なぜ、Zarling法でSSBを含む場合にさらなるより高速移動性の断片が観察されたかを説明する。このようなさらなる断片は、最も置換されやすい単鎖断片であった。したがって、Zarling法では、よくても、単鎖DNAの線状増幅のみが起こる。したがって、当該技術分野において、改善されたリコンビナーゼ依存性DNA増幅方法の必要性が存在する。
本発明は、DNAの熱融解または耐熱性成分の何らかの必要性を回避する2つの新たな増幅ストラテジーを利用するものである。また、これらのストラテジーはZarling法の非効率性を解決する。Zarlingストラテジーの場合のように、これらの方法は、細菌のRecAタンパク質、またはその原核生物および真核生物の類縁体、特に、ファージT4 uvsXタンパク質生物学的特性に依存する。しかしながら、Zarling法とは対照的に、これらの方法は、dsDNAの指数関数的増幅を達成するために考案されたものである。これらの方法は、これを、ATP−γ−S負荷非動的なフィラメントではなく動的なリコンビナーゼ/DNAフィラメントの存在下、同時に高い組換え活性の維持をなし得る環境において、標的核酸内の標的化可能な配列の迅速な再生を行なうことにより達成する。さらにまた、重要なことには、組換え中間体からの伸長の概念は、以前に、Zarlingアプローチ、およびまたAlberts実験室(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)ならびにその他(非特許文献8;非特許文献9;特許文献2)の両方において、概念および限定的な実施の検討が行なわれたが、いずれの記載も、これまでに、1012倍の出力の増幅能を有する極めてすばらしい特異的で感度のよい指数関数的DNA増幅を可能にする実用的な方法を教示していない。これは、高いリコンビナーゼ/フィラメント活性を補助するこの必要な環境の確立(インビトロ環境における大量の必要な単鎖DNA結合タンパク質の存在下では極めて難しいことが示されている)、およびこの環境が、完全に成分の厳密な組合せに依存性であるためである。これは、最も重要で意外なことには、非常に特異的なクラウディング剤を含み、これは、インビトロ系の挙動を顕著で本質的に予測不可能な様式で改変する。この特定容量占有剤に関する系の挙動の顕著で非常に予測不可能な改変は、おそらく、これがフラクタル様反応速度論、相分離効果または生化学的系において他のさらなる特性をもたらす能力を反映している。迅速かつ高度に幾何級数的なDNA増幅、ならびに他の使用のためのインビトロでの高い持続性かつ動的な組換え活性をもたらす条件を可能にするかかる正確な条件を特定することにより、本発明では、新たなインビトロ分子的手法の創出を可能にする。本発明者らは、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)のような条件を可能にして行なう記載の増幅方法について言及する。本発明者らは、本明細書において、この高活性で持続性だが動的な組換え環境に基づくまたさらなる方法を想定しており、これは、おそらく後にやがて実用化されよう。本発明は、この新たなアプローチの創出を可能にし、何十年もの研究にもかかわらず、インビトロ手法のための広範囲のリコンビナーゼが使用される適用は、ATP−γ−Sの使用に依存する非常に限定的な数のものは別として、他になかった現行の環境とは対照的であるはずである。
本発明において、本発明者らは、さらに進んで、RPA反応が、反応生成物の動的な検出に充分に組み込まれ得ることを示す。これにより、RPA反応が、リアルタイム解析の2つの一般的な基準を達成することが確認される。第1に、生化学的センサー、例えば、感知用色素(SYBR緑または「第3の」プローブなど)は、RPA反応環境に適合性である。かかる適合性は、RPAは、色素またはプローブの結合挙動を妨げ得る飽和量のDNA結合タンパク質用いるため、些細な仮定ではない。逆に、核酸への色素またはプローブの結合は、DNA結合タンパク質の活性によって妨げられていたかもしれない。第2に、リアルタイム定量的適用において用いるためには、RPAは、相当な範囲の出発鋳型量にわたって、標的DNAの指数関数的DNA増幅を示すのに必要であり、指数関数的増幅をセンサー系全体の検出範囲内の濃度まで容易に維持し得る。
また、本発明において、本発明者らは、RPA反応を制御するアプローチ、潜在的に同調させる態様を開示する。現行のRPAの構成では、DNA標的化フェーズとDNA合成フェーズとの間に時間的分離はない。RPAでは、律速試薬をすべての試料に同時に供給するか、または反応物を非許容温度で合成されない限り、RPAのすべての反応が正確に同じ瞬間に開始するのを確実にすることは困難である。本発明者らは、侵入を充分間隔を空けた短いバーストに制限することにより、RPA反応が開始され得、プライミング活性の個々の「ラウンド」が調整され得るアプローチを示す。リコンビナーゼ活性を短い制限されたバーストに制限するかかるアプローチにより、増幅が改善され得る。RPAにおいてDNA侵入を制御するための方法の1つは、遊離ATPの濃度の調整によるものであり得る。充分なATPまたは過剰のADPの非存在下では、リコンビナーゼ/DNAフィラメントが分解され、組換えが停止する。ケージ化ATPは、recA負荷を補助しないが、続いて、非ケージ物質が補助する[非特許文献11]。したがって、RPA反応におけるケージ化ATPアナログの使用(これは、光によるパルスにおいて脱保護され得、したがって、リコンビナーゼ活性のバーストを可能にする)は、RPA反応の侵入フェーズを制御するための有効な手段であるはずである。あるいはまた、ATP濃度は、別の方法、例えば、外部供給源からの反応物への周期的なATPの添加によって、または反応物中でATPの周期的な増加をもたらすことができる生化学的オシレータを確立することにより、周期的に制御され得る。
本発明において、本発明者らは、5’配列設計により如何にして理想的なリコンビナーゼ/ssDNA負荷を達成するかの知識を拡張し、DNA増幅反応に加えて、重要であるこの安定で動的な組換え環境が使用され得る状況の範囲を拡大する。本発明者らは、さまざまな分子的適用において、本発明の場合以外では熱的または化学的融解、または他の二本鎖標的化アプローチを必要とし得る任意のプロセスの古典的なハイブリダイゼーション工程に取って代わるために、如何にしてこの特有の構成を使用し得るかについて記載する。特に、合成オリゴヌクレオチドの存在下での安定で動的な組換え環境の使用は、他の酵素系との組合せにおいて、熱的または化学的融解の必要性がないこと、ならびにより広範囲の酵素の使用および熱サイクリング設備の回避が同時に可能であることにより、上記のポリメラーゼ系よりも有用である。
米国特許第5,223,414号明細書 国際出願公開第02/086167号パンフレット Paulus,B.F. and Bryant,F.R.Biochemistry(1997)36,7832−8 Rosselli,W. and Stasiak,A.J Mol Biol(1990)216,335−52 Shan,Q.et al.,J Mol Biol(1997)265,519−40 Mazin,A.V. and Kowalczykowski,S.C.EMBO J(1998)17,1161−8 Formosa T,Alberts BM.J Biol Chem(1986)May 5;261(13):6107−18 Morrical and Alberts J Biol Chem.(1990)Sep 5;265(25):15096−103 Morrical SW, Wong ML, Alberts BM. J Biol Chem.(1991)Jul 25;266(21):14031−8 Salinas F,Jiang H,Kodadek T.J Biol Chem.(1995)Mar 10;270(10):5181−6 Morel,P.,Cherny,D.,Ehrlich,S.D. and Cassuto,E.(1997)J Biol Chem 272,17091−6. Benkovic,S.J.,Valentine,A.M. and Salinas,F.(2001)Annu Rev Biochem 70, 181−208. Butler BC,Hanchett RH,Rafailov H,MacDonald G(2002)Investigating Structural Changes Induced By Nucleotide Binding to RecA Using Difference FTIR.Biophys J 82(4):2198−2210
(発明の概要)
本発明は、RPAと称するDNAの増幅方法を提供し、以下の工程を含む。第1に、リコンビナーゼ因子を、第1および第2の核酸プライマーと接触させ、第1および第2の核タンパク質プライマーを形成する。第2に、第1および第2の核タンパク質プライマーを二本鎖標的配列に接触させて、前記第1の鎖の第1の部分に第1の二本鎖構造を形成させ、そして前記第2の鎖の第2の部分に二本鎖構造を形成させ、前記第1の核酸プライマーおよび前記第2の核酸プライマーの3’末端が、所与の鋳型DNA分子で互いに向かって配向される。第3に、前記第1および第2の核タンパク質プライマーの3’末端はDNAポリメラーゼによって伸長され、第1および第2の二本鎖核酸ならびに核酸の第1および第2の被置換鎖を生成させる。最後に、第2および第3の工程を所望の増幅度に達するまで反復する。
本発明はまた、ネステッドRPA法を提供する。ネステッドRPAでは、核酸の第1の領域をRPAによって増幅させ、第1の増幅された領域を形成させる。次いで、完全に第1の増幅された領域内にある核酸の第2の領域をRPAを用いて増幅し、第2の増幅された領域を形成させる。このプロセスは、必要なだけ多く反復され得る。例えば、完全に第2の領域内にある核酸の第3の領域は、第2の増幅された領域からRPAによって増幅され得る。上記のような1、2および3ラウンドのRPAに加え、本発明では、少なくとも4、好ましくは少なくとも5ラウンドのネステッドRPAもまた想定される。
本発明はまた、RPAを用いた遺伝子型の検出方法を提供する。この方法は、正常または疾患状態、素因、または疾患状態の素因の欠如を検出するための遺伝子型特定に有用である。さらに、RPAは、ゲノム(例えば、病原体のゲノム)の存在を検出するために使用され得る。この使用では、該方法は診断および検出に有用である。
本発明はまた、有効な増幅反応を確立するのに必要なリコンビナーゼ、単鎖結合タンパク質、ポリメラーゼ、およびヌクレオチドの性質および濃度を詳細に示す。本発明は、さらに、標的DNAの性質、長さ、および標的化オリゴヌクレオチドの組成、ならびに種々の条件下での増幅に最適な内部オリゴヌクレオチド長に関する詳細な実施可能性を提供する。本発明は、感度のよい、強力な、最適なシグナル対ノイズ比特性を有する組換えポリメラーゼ増幅系の確立に寄与するさらなる成分の包含または修飾された成分の使用を提供する。特に、1種類より多いリコンビナーゼの使用を示し、リコンビナーゼ大腸菌recAおよびT4バクテリオファージuvsX、ポリメラーゼ(例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウ断片、Bst ポリメラーゼ、φ−29 ポリメラーゼ、Bacillus subtilis Pol I(Bsu))の遺伝子操作および修飾されたアナログの実用性、ならびに大腸菌およびT4(gp32タンパク質)由来の単鎖DNA結合タンパク質の実用性を詳細に示す。
改変された協同性および/または鎖同化特性を有する形態のgp32の実用性を示す。また、最適な反応環境の確立を助長するための、T4 uvsYタンパク質、および最も具体的には分子クラウディング剤、特に、PEG化合物(Carbowax 20Mとしても知られる)の使用を示す。さらに、本発明では、増幅挙動を改善するための、DNA代謝に関与する他の酵素(例えば、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼおよびヌクレアーゼ)の効果および可能な使用を詳細に示す。本発明はまた、線状増幅を生成するスーパーコイルまたは線状鋳型に標的化されるプライマーの反復的な侵入/伸長に最適化された条件の使用、およびDNA配列決定のための本方法の使用を含む。また、本発明では、何らかの様式で標識されたオリゴヌクレオチドを、特定の産物種に指向し、結果としての反応体の出現または性質の変化を測定することによる反応の特異的増幅産物の検出における、リコンビナーゼの使用を記載する。
本発明はまた、とりわけ診断適用のためのRPA法の実施を改善するためのデータおよびアプローチを提供する。高い感度および特異性の試験のためのオリゴヌクレオチド長、塩基組成の注意深い設計、および修飾された主鎖糖残基に基づくストラテジーの使用。本発明者らはまた、オリゴヌクレオチドを核タンパク質フィラメントとしての異なる活性と組合せ、シグナル対ノイズ比を改善するためのアプローチを開示する。また、ゲル電気泳動を不要にし、場合によっては、「第3の」特異的オリゴヌクレオチドを用いる産物検出の方法を開示する。本発明者らは、緩衝化試料のみで再構成した場合、周囲温度で少なくとも10日間保存され得、増幅活性を保持し得る活性な凍結乾燥物の構成を開示する。
本発明はまた、定量的リアルタイム適用におけるRPA法の使用を可能にする許可データを開示する。本発明者らは、SYBR緑またはSYBR金の蛍光核酸結合色素の適切な希釈物がRPA反応と適合性であり、産物の蓄積ののモニタリングを可能にすることを示す。産物は、見かけ上指数関数的に、閾値検出レベルに達した後での定量を可能にするのに充分な時間継続して蓄積される。本発明者らは、このアプローチを用い、出発鋳型量の少なくとも4または5オーダーの大きさにわたってRPAが定量的であることを実験的に示す。多くのパラレル反応の同時開始は、反応ミックスを氷上で確立し、次いで、試料を反応温度(33〜39℃)に同時にシフトすることにより達成される。あるいはまた、パラレルRPA反応は、他の手段、例えば、ATPまたはケージ化オリゴヌクレオチドプライマーの光誘発性脱ケージ化などによって同時に開始され得る。本発明者らは、RPA系と適合性であり得る他の産物特異的リアルタイムモニタリングアプローチを詳細に示す。本発明者らはまた、実験室および非実験室状況の両方で廉価で携帯型の実施が可能となり得る低出力固相状態構成要素で構成された、リアルタイムRPAデバイスの全体的な組成を記載する。
本発明はまた、必要な補助性ヌクレオシド三リン酸補因子(例えば、ATPなど)の存在を、反応中、限定された期間に制御することにより達成される、RPA反応の制御方法を開示する。化学的ケージ化ヌクレオチド三リン酸を使用する場合、光保護基の脱ケージ化波長に対応する規定の光のバースト照射により、遊離ATPのパルスを生成させ得る。次いで、放出されるATPが、単鎖DNA(ssDNA)へのリコンビナーゼタンパク質の結合を可能にし、続いて、リコンビナーゼ−ssDNA複合体の相同性検索および鎖交換活性を許容する。あるいはまた、ATPを、周期的に反応物に添加してもよい。経時的に、ATPの濃度は、リコンビナーゼ加水分解または過剰のATPおよびADPを加水分解するために特別に添加された他の反応成分による加水分解のいずれかの加水分解の結果として減少する。したがって、ATP濃度の減少および/またはADP濃度の増加によって規定される一定時間の後、リコンビナーゼ分子は、機能を停止し、DNAから解離する。続いて脱ケージ化波長の光のパルスを送達し、新たなATPを放出させてもよく、または新たなATPを添加し、再度リコンビナーゼ活性を起始させてもよい。このようにして、相同性検索およびプライミングの一連の期間の制御が可能となり、その結果、伸長の開始が段階的に行なわれる。
RPA反応の侵入フェーズを制御するための第2の方法として、本発明者らは、一方のプライマーによって誘発される活性を他方から分離するためのアプローチについて記載する。この方法では、1つのプライマー標的部位でのリコンビナーゼ媒介性侵入およびそのプライマーからの合成の終了を利用する。これにより、単鎖被置換DNAが生成され、次いで、これは修飾され、これによって合成のリコンビナーゼ媒介性開始を補助することができない、第2の対向プライマー用鋳型として使用され得る。これにより、おそらく、ポリメラーゼの衝突によって生じる対立が回避される。
本発明はまた、サイズ分画の必要なく、増幅産物の多型性の性質を評価するためのアプローチを開示する。増幅反応生成物は、リコンビナーゼおよび/または単鎖DNA結合タンパク質および他のアクセサリー分子の作用により、最初は単鎖または二本鎖のいずれかの特徴の固定化されたプローブと二本鎖ハイブリッドを形成することが許容される。リコンビナーゼ作用の動的環境において存在し、かつ多種多様なさらなる酵素性成分の活性に対して補助的である、産物とプローブ間で形成される不完全なハイブリッドを不安定化させる方法を記載する。生成されるハイブリッドは、分子的相互作用の有無を示すために用いられる多くの標準的なアプローチの1つにより検出される。
また、本発明では、他の触媒活性を伴って安定で持続性の動的な組換え環境を補助し、したがって、鎖侵入およびssDNAと二本鎖間での対合形成が、他の代謝酵素、特に、熱的または化学的融解を用いる系において従来のアプローチ、ならびに同等ではないが達成し得る他のプロセスでは必要であり得る非好熱性酵素の存在下で連続的に起こるのを可能にする、決定されたインビトロ条件の組合せを記載する。本発明者らはまた、最適化された配列を所望の配列内の特に5’末端に含めることにより、安定で動的な組換え系において高活性が可能となるようにオリゴヌクレオチドの設計を改善する知見を記載する。
本発明の他の実施形態、目的、態様、特徴、および利点は、添付の説明および特許請求の範囲から明らかとなろう。
(発明の詳細な説明)
本発明は、標的核酸ポリマーの増幅のための方法の1つであるリコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(RPA)を提供する。また、本発明は、高いリコンビナーゼ活性が高度に動的な組換え環境において維持されており、ATPによって補助される一般的なインビトロ環境を提供する。RPAの利点の1つは、二本鎖鋳型の熱融解を必要とせずに行い得ることである。したがって、高価なサーモサイクラーの必要性も排除される。本発明では、RPAが標的核酸ポリマーの指数関数的増幅を可能にするように構成され得る2つの関連するストラテジーを記載する。
当該技術分野の現状および内容を説明するため、本明細書の至るところに種々の特許、特許出願公開公報および科学文献を引用する。それらの開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(lsRPA))
リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(lsRPA)では、単鎖または部分的に単鎖の核酸プライマーを、相同な二本鎖または部分的に二本鎖の配列にリコンビナーゼ因子を用いて標的化させ、これによりDループ構造が形成され得る。Dループの一部である侵入性単鎖プライマーを用い、ポリメラーゼ合成反応を開始させる。単一のプライマー種が標的核酸配列を、多数回の二本鎖侵入の後、合成を行なうことにより増幅する。2種類の対向するプライマーが用いられる場合、断片(標的配列)の増幅が達成され得る。LsRPAを、簡単に図1および2に示す。
増幅対象の標的配列は、本発明の方法のいずれにおいても、好ましくは二本鎖DNAである。しかしながら、本発明の方法は二本鎖DNAに限定されない。何故なら、他の核酸分子(例えば、単鎖DNAまたはRNAなど)は、当業者が機知の方法を用いることにより二本鎖DNAに変えることができるためである。好適な二本鎖標的DNAはゲノムDNAまたはcDNAであり得る。本発明のRPAでは、標的核酸が、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1,000倍、さらにより好ましくは少なくとも10,000倍、最も好ましくは少なくとも1,000,000倍に増幅され得る。
標的配列は、リコンビナーゼ因子の補助により増幅される。リコンビナーゼ因子は、単鎖DNA(ssDNA)を被覆してフィラメントを形成し得、次いで二本鎖DNA(dsDNA)を、配列が相同性の領域についてスキャンし得る酵素である。相同配列がある場合、核タンパク質フィラメント(リコンビナーゼ因子を含む)鎖は、短いハイブリッドとDループとして知られる被置換鎖バブルとを生成しているdsDNAに侵入する。好適なリコンビナーゼ因子としては、大腸菌RecAタンパク質、T4 uvsXタンパク質、または任意の門由来の任意の相同なタンパク質もしくはタンパク質複合体が挙げられる。真核生物RecAホモログは、同定するため、この群の第1の構成員にちなんで一般的にRad51と称される。他の非相同なリコンビナーゼ因子、例えば、RecTまたはRecOなどが、RecAの代わりに使用され得る。リコンビナーゼ因子は、一般的に、ATP、ATPγSまたは他のヌクレオシド三リン酸およびそのアナログの存在を必要とする。リコンビナーゼ因子は、反応環境において使用されることが好ましい。標的化部位の再生は、1回のDループ刺激合成の直後に起こり得る。リコンビナーゼ分解が関与する完全な組換え事象では、増幅の失速、または一方の末端から他方への一方向合成の周期化によって引き起こされる、ssDNAの非常に非効率な線状増幅が回避される。
また、当然、上記のリコンビナーゼ因子の任意の誘導体および機能的アナログも、それ自体がリコンビナーゼ因子としての機能を果たし得、これらの誘導体およびアナログもまた、本発明の実施形態として想定される。例えば、recAの組換え特性のいくつかの態様を保持していることが示されているrecA由来の低分子ペプチドが使用され得る。このペプチドは、大腸菌recAの残基193〜212を含み、単鎖オリゴの対合形成を媒介し得る(Oleg N.Voloshin,Lijang Wang,R.Daniel Camerini−Otero,Homologous DNA pairing Promoted by a 20−amino Acid Peptide Derived from RecA.Science Vol.272 10 May 1996)。
ATPγSの使用は、効率的な増幅と両立しないことがあり得る安定なリコンビナーゼ因子/dsDNA複合体の形成をもたらすため、リコンビナーゼ因子/ssDNAプライマー複合体を負荷および維持するために、ATPおよび補助酵素を用いることが好ましい。あるいはまた、ATPγSの使用の制限は、ATPγSに結合したrecAを交換複合体から外すことができるさらなる反応成分の使用によって解決され得る。この役割は、RuvA/RuvB複合体などのヘリカーゼによって果たされ得る。
用語「核酸ポリマー」または「核酸」は、本説明において用いる場合、広く解釈され得、DNAおよびRNAならびに他のハイブリッド形成性核酸様分子、例えば、置換された主鎖を有するもの、例えばペプチド核酸(PNA)、モルホリノ主鎖の核酸、ロックされた(locked)核酸または修飾された塩基および糖を有する他の核酸が挙げられる。
構造的にRNAと類似するLNAモノマーは、ヌクレオチド糖環の2位の酸素をその4位の炭素に連結するメチレンリンカーを有する二環式化合物である。LNA ポリマーは、標準的な塩基対合形成規則に従うが、その物理的特性によって、ミスマッチ識別適用用途に適している。LNAは、Exiqon(Denmark)またはProligo(USA,Colorado)から入手可能である。
本発明の一実施形態は、RPAを行なう方法に関する。該方法は、2つの工程を含む。第1の工程では、以下の試薬:(1)少なくとも1種類のリコンビナーゼ;(2)少なくとも1種類の単鎖DNA結合タンパク質;(3)少なくとも1種類のDNAポリメラーゼ;(4)dNTPまたはdNTPとddNTPの混合物;(5)クラウディング剤;(6)バッファー;(7)還元剤;(8)ATPまたはATPアナログ;(9)少なくとも1種類のリコンビナーゼ負荷タンパク質;(10)第1のプライマー、および任意選択で第2のプライマー;ならびに(11)標的核酸分子を、反応において合わせる。第2の工程では、該試薬を所望の増幅度に達するまでインキュベートする。
リコンビナーゼは、uvsX、recAまたは両者の組合せであり得る。また、リコンビナーゼは、その活性を改善させるために酸性残基のC末端欠失を含み得る。本明細書に開示した任意のリコンビナーゼ濃度が使用され得るが、好ましいリコンビナーゼ濃度は、例えば、0.2〜12μM、0.2〜1μM、1〜4μM、4〜6μM、および6〜12μMの範囲であり得る。
単鎖DNA結合タンパク質は、大腸菌SSBもしくはT4 gp32またはこれらのタンパク質の誘導体もしくは組合せであり得る。gp32誘導体としては、少なくとも、gp32(N)、gp32(C)、gp32(C)K3A、gp32(C)R4Q、gp32(C)R4T、gp32K3A、gp32R4Q、gp32R4Tおよびそれらの組合せが挙げられ得る(図13を参照)。DNA結合タンパク質は、1μM〜30μMの濃度で存在し得る。
DNAポリメラーゼは、真核生物のポリメラーゼであってもよい。真核生物のポリメラーゼの例としては、pol−α、pol−β、pol−δ、pol−εならびにその誘導体および組合せが挙げられる。原核生物のポリメラーゼの例としては、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウ断片、バクテリオファージT4 gp43 DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus ポリメラーゼIラージフラグメント、φ−29 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Bacillus subtilis Pol I、大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAポリメラーゼII、大腸菌DNAポリメラーゼIII、大腸菌DNAポリメラーゼIV、大腸菌DNAポリメラーゼVならびにその誘導体および組合せが挙げられる。好ましい実施形態では、DNAポリメラーゼは、10,000単位(ユニット)/ml〜10単位/ml、例えば5000単位/ml〜500単位/mlの濃度である。別の好ましい実施形態では、DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くものである。また別の好ましい実施形態では、DNAポリメラーゼは鎖置換特性を含む。
本発明の方法において言及されるタンパク質はいずれも、その誘導体も含むと理解される。このようなタンパク質としては、少なくとも以下のもの:リコンビナーゼ、ポリメラーゼ、リコンビナーゼ負荷タンパク質、単鎖DNA結合タンパク質、アクセサリー因子、RecA/ssDNA核タンパク質フィラメント安定化剤などが挙げられる。これらのタンパク質の誘導体としては、少なくとも、C末端タグ、N末端タグ、またはC末端タグおよびN末端タグを含む融合タンパク質が挙げられる。好適な配列タグの非限定的な例としては、6−ヒスチジン(6×−ヒス;HHHHHH;配列番号:82)、c−mycエピトープ(EQKLISEEDL;配列番号:83)、FLAG(登録商標)オクタペプチド(DYKDDDDK;配列番号:84)、プロテインC(EDQVDPRLIDGK;配列番号:85)、Tag−100(EETARFQPGYRS;配列番号:86)、V5エピトープ(GKPIPNPLLGLDST;配列番号:87)、VSV−G(YTDIEMNRLGK;配列番号:88)、Xpress(DLYDDDDK;配列番号:89)、および血球凝集素(YPYDVPDYA;配列番号:90)が挙げられる。好適なタンパク質タグの非限定的な例としては、β−ガラクトシダーゼ、チオレドキシン、ヒスパッチチオレドキシン、IgG−結合ドメイン、インテイン−キチン結合ドメイン、T7遺伝子10、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、およびマルトース結合タンパク質(MBP)が挙げられる。当業者には、配列タグおよびタンパク質タグが、例えば、精製および/または同定目的のために互換的に使用され得ることが理解されよう。したがって、本明細書で用いる場合、用語「ヒス(His)タグ」および「ヘキサヒスチジンタグ」は、当該技術分野で知られ、このパラグラフに示したすべての好適な配列タグおよびタンパク質タグを包含する。
DNTPとしては、例えば、dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPが挙げられる。リーディング鎖/ラギング鎖RPAでは、ATP、GTP、CTP、およびUTPもまた、RNAプライマーの合成に含め得る。また、ddNTP(ddATP、ddTTP、ddGTPおよびddCTP)は、断片ラダーを生成させるために使用され得る。dNTPは、各NTP種の1μM〜200μMの濃度で使用され得る。dNTPとddNTPの混合物は、dNTP(lμM〜200μM)の1/100〜1/1000のddNTP濃度で使用され得る。
RPAで用いられるクラウディング剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストランおよびフィコールが挙げられる。クラウディング剤は、反応物の1%〜12容量%または1%〜12重量%の濃度であり得る。あらゆるPEGが有用であるが、好ましいPEGとしては、PEG1450、PEG3000、PEG8000、PEG10000、分子量15000〜20,000のPEG化合物(Carbowax 20Mとしても知られる)、およびそれらの組合せが挙げられる。
RPAにおけるバッファー溶液は、Tris−HClバッファー、Tris−酢酸塩バッファー、またはそれらの組合せであり得る。バッファーは、10〜100mMの濃度で存在し得る、緩衝化されたpHは、6.5〜9.0であり得る。バッファーは、Mgイオン(例えば、Mg酢酸塩の形態で)を、1〜100mM(5〜15mMの濃度が好ましい)の濃度でさらに含有し得る。好ましいMg濃度の一例は10mM(Mg濃度またはMg酢酸塩濃度)である。
使用される還元剤としては、DTTが挙げられる。DTT濃度は1mM〜10mMであり得る。
ATPまたはATPアナログは、ATP、ATP−γ−S、ATP−β−S、ddATPまたはそれらの組合せのいずれかであり得る。好ましいATPまたはATPアナログ濃度は1〜10mMである。
リコンビナーゼ負荷タンパク質としては、例えば、T4uvsY、大腸菌recO、大腸菌recRならびにこれらのタンパク質の誘導体および組合せが挙げられ得る。これらのタンパク質の好ましい濃度の一例は0.2〜8μMである。
使用されるプライマーは、DNA、RNA、PNA、LNA、モルホリノ主鎖核酸、ホスホロチオレート主鎖核酸およびそれらの組合せから作製されたものであり得る。これらにおけるそれらの組合せは、単一の核酸分子を示すものであり得、1個以上の別の塩基に連結された1個の塩基の1個以上を含有し得る。このような分子の好ましい濃度は、25nM〜1000nMの範囲であり得る。好ましい一実施形態では、プライマーは、その3’末端の2つの塩基間に非リン酸結合を含有し得、3’→5’ヌクレアーゼ活性に対して抵抗性である。別の実施形態では、プライマーは、ロックされた核酸をその3’の最後の塩基または3’の最後から2番目の塩基に含有し得る。例えば、配列5’−AGT−3’の核酸では、Tが3’最後の塩基であり、Gが3’の最後から2番目の塩基である。プライマーは、少なくとも20塩基長または少なくとも30塩基長であり得る。好ましい一実施形態では、プライマー20〜50塩基長である。別の好ましい実施形態では、プライマー20〜40塩基長、例えば、30〜40塩基長である。
プライマーは、標的核酸分子に相補的でないさらなる5’配列を含有し得る。このような 5’配列は、例えば、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有し得る。プライマーは、単鎖3’末端を有する部分的に二本鎖であり得る。
また、任意の本発明の方法の任意の核酸は、検出可能な標識で標識されたものであり得る。検出可能な標識としては、例えば、蛍光色素、酵素、蛍光消光剤、酵素阻害剤、放射性標識およびそれらの組合せが挙げられる。
標的核酸は、単鎖または二本鎖であり得る。単鎖核酸は、本発明の方法において二本鎖核酸に変換され得ることがわかっている。標的核酸は、スーパーコイルまたは線状であり得る。増幅対象の配列(標的核酸)は、他の配列間の中間に存在するものであり得る。増幅対象の配列はまた、線状核酸の一方の末端に存在するものであり得る、一実施形態では、標的核酸は線状であり、非標的核酸に連結されていない。換言すると、標的核酸が線状である場合、これは、以下の形式:
1.[非標的核酸]−[標的核酸] −[非標的核酸]
2.[非標的核酸]−[標的核酸]
3.[標的核酸]−[非標的核酸]
4.[標的核酸]
のいずれかであり得る。
上記の構成は、単鎖核酸および二本鎖核酸の両方を表すことが意図されることに注意されたい。「1」は、2つの末端を有する線状標的核酸分子であって、非標的核酸分子に両方が連結されていることを示すものであり得る。「2」は、2つの末端を有する線状標的核酸分子であって、一方が非標的核酸分子に連結されていることを示すものであり得る。「3」は、線状核酸分子(非標的核酸を有しない)である標的核酸分子として示され得る。
別の実施形態では、標的核酸は、ポリメラーゼによって二本鎖核酸に変換されるか、加熱または化学的処理の作用によって変性される二本鎖核酸に変換される単鎖核酸であり得る。
標的核酸は、反応中、任意の濃度、例えば、10,000コピー未満、1000コピー未満、100コピー未満、10コピー未満または1コピーであり得る。反応容量は、5μl、10μl、20μl、30μl、50μl、75μl、100μl、300μl、1ml、3ml、10ml、30ml、50mlまたは100mlであり得る。
反応物は、5分間〜16時間、例えば、15分間〜3時間または30分間〜2時間インキュベートさせ得る。インキュベーションは、所望の増幅度に達するまで行なわれ得る。所望の増幅度は、10倍、100倍、1000倍、10,000倍、100,000倍または1000000倍の増幅であり得る。インキュベーション温度は、20℃〜50℃、20℃〜40℃、例えば、20℃〜30℃であり得る。本発明の方法の利点の1つは、温度が重要でなく、正確な制御は好ましいが、絶対的に必要でないことである。例えば、現場環境では、試料を身体の隙間(crevice)に入れることにより、RPAを室温または体温付近(35℃〜38℃)に維持することで充分である。さらにまた、RPAは、鋳型核酸の温度誘導性融解なしで行なわれ得る。
本発明の別の実施形態では、RPAは、アクセサリー因子をさらに含む。このアクセサリー因子としては、DNAに対して、それぞれ巻き解き、弛緩、および解離活性を有するヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、リゾルベースおよびそれらの組合せが挙げられる。また、アクセサリー因子としては、RuvA、RuvB、RuvC、RecG、PriA、PriB、PriC、DnaT、DnaB、DnaC、DnaG、DnaXクランプ負荷体、ポリメラーゼコア複合体、DNAリガーゼおよびスライディングクランプおよびそれらの組合せが挙げられ得る。スライディングクランプは、大腸菌β−二量体スライディングクランプ、真核生物のPCNAスライディングクランプ、またはT4スライディングクランプgp45およびそれらの組合せであり得る。加えて、アクセサリー因子としては、β−クランプ、DnaXクランプ負荷体、およびポリメラーゼコア複合体からなるDNAポリメラーゼIIIホロ酵素複合体が挙げられ得る。このような後者のアクセサリー因子は、リーディングおよびラギングRPAの実行を可能にし得る。
別の実施形態では、RPAは、RecA/ssDNA核タンパク質フィラメント安定化剤の存在下で行なわれ得る。かかる安定化剤の例としては、RecR、RecO、RecFおよびそれらの組合せが挙げられる。このような安定化剤は、0.01μM〜20μMの濃度で存在し得る。安定化剤の他の例としては、uvsX/ssDNA核タンパク質複合体を安定化させるT4 uvsYタンパク質が挙げられる。
RPAの他の構成要素としては、ATP再生のための系(ADPをATPに変換)が挙げられる。かかる系は、例えば、クレアチンリン酸およびクレアチンキナーゼであり得る。
また、RPA反応は、ADPをAMPから再生させるための系およびピロリン酸塩をリン酸塩(ピロリン酸塩)に変換するための系を含み得る。
好ましい一実施形態では、上記のRPA反応は、大腸菌成分により、recA、SSB、recO、recRおよび大腸菌ポリメラーゼを用いて完全に行なわれる。
別の好ましい実施形態では、RPA反応は、T4成分により、uvsX、gp32、uvxY、およびT4ポリメラーゼを用いて行なわれる。
好ましい一実施形態では、RPAは、以下の試薬:(1)0.2〜12μMの濃度のuvsXリコンビナーゼ;(2)1〜30μMの濃度のgp32単鎖DNA結合タンパク質;(3)500〜5000単位/mlの濃度のBacillus subtilis DNAポリメラーゼIラージフラグメント(Bsuポリメラーゼ);(4)1〜300μMの濃度のdNTPまたはdNTPとddNTPの混合物;(5)1%〜12%(重量または容量基準)の濃度のポリエチレングリコール;(6)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;(7)1mM〜10mMの濃度のDTT;(8)1mM〜10mMの濃度のATP;(9)0.2μM〜8μMの濃度のuvsY;(10)第1のプライマー、および任意選択で第2のプライマー(これらのプライマーは50nM〜1μMの濃度である);ならびに(11)少なくとも1つのコピーの標的核酸分子を合わせることにより行なわれ得る。反応物が合成された後、これを、所望の増幅度に達するまでインキュベートする。これは、通常、2時間以内、好ましくは、1時間以内、例えば50分間である。
本発明の利点の1つは、RPA用試薬(おそらく、クラウディング剤およびバッファーは例外)は、使用前に、フリーズドライ(すなわち、凍結乾燥)され得ることである。フリーズドライ試薬は、活性を維持するために冷蔵を要しないという利点をもたらす。例えば、RPA試薬のチューブは、室温で保存し得る。この利点は、冷蔵の利用が限定される現場条件で特に有用である。
一実施形態では、RPA試薬は、チューブの底面上、またはビーズ(もしくは別の型の固相支持体)上にフリーズドライさせ得る。RPA反応を行なうため、凍結乾燥試薬の組成に応じて、バッファー溶液中でクラウディング試薬と共に、または単に緩衝化溶液もしくは水中でこの試薬を再構成させる。次いで、標的核酸または標的核酸を含有することが疑われる試料を添加する。また、再構成された液が試料DNAを含有していてもよい。再構成された反応物を充分な時間インキュベートし、増幅された核酸が存在する場合に検出される。
検出は、任意の方法、例えば、アガロースまたはPAGEゲルでの電気泳動後、臭化エチジウム染色を用いるなどして行なわれ得る。
任意の本発明の方法において、使用前にフリーズドライさせ得る試薬は、少なくとも、リコンビナーゼ、単鎖DNA結合タンパク質、DNAポリメラーゼ、dNTPもしくはdNTPとddNTPの混合物、還元剤、ATPまたはATPアナログ、リコンビナーゼ負荷タンパク質、ならびに第1のプライマー、および任意選択で第2のプライマー、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
好ましい一実施形態では、試薬は、構成したとき以下の濃度:(1)0.2〜12μMの濃度のuvsXリコンビナーゼ;(2)1〜30μMの濃度のgp32単鎖DNA結合タンパク質;(3)500〜5000単位/mlの濃度のT4 gp43 DNAポリメラーゼまたはBsuポリメラーゼ;(4)1〜300μMの濃度のdNTPまたはdNTPとddNTPの混合物;(5)1mM〜10mMの濃度のDTT;(6)1mM〜10mMの濃度のATP;(7)0.2μM〜8μMの濃度のuvsYを有するように試薬を合わせることにより合成される。任意選択で、第1のプライマーおよび任意選択で第2のプライマーは、再構成されたときそれらの濃度が50nM〜1μMとなり得る場合に添加され得る。試薬は、使用前にフリーズドライさせる。フリーズドライ性能および寿命を改善するため、トレハロース糖などの安定化剤をフリーズドライさせた混合物中に、例えば、再構成された反応物中、20mM〜200mM、最も最適には40mM〜80mMで含めてもよい。所望により、凍結乾燥試薬は、使用前、1日間、1週間、1ヶ月または1年以上保存させ得る。
使用時、試薬を、バッファー(a)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;および(b)1%〜12%(重量または容量基準)の濃度のポリエチレングリコール、または(c)水により再構成する。プライマーは、フリーズドライする前に添加しない場合、この段階で添加し得る。最後に、標的核酸または標的核酸を含有することが疑われる試料を添加し、反応を開始させる。標的または試料、核酸は、早期の抽出工程または加工処理工程の結果として再構成バッファー中に含有され得る。反応物を、所望の増幅度に達するまでインキュベートする。
本明細書のどこかに記載した任意のRPA反応条件がフリーズドライさせ得る。例えば、以下の試薬は、構成したとき、以下の濃度:(1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;(2)600ng/μl gp32;(3)20ng/μl BsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;(4)200μM dNTP;(5)1mM DTT(6)3mM ATPまたはATPアナログ;(7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY;(8)50nM〜300nMの第1のプライマーおよび50nM〜300nMの第2のプライマー;(9)80mM酢酸カリウム;(10)10mM酢酸マグネシウム;(11)20mMクレアチンリン酸;(12)50ng/μl〜100ng/μlクレアチンキナーゼを有するように各試薬を合わせることによって合成され得る。試薬は、チューブの底面上、またはマルチウェル容器のウェル内でフリーズドライされ得る。試薬は、移動相固体支持体、例えばビーズもしくは細片、またはウェルで乾燥またはこれらに結合させ得る。
使用時、試薬の入ったチューブを、(1)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファーおよび1%〜12%(重量または容量基準)の濃度のポリエチレングリコールで再構成し得る。試薬が乾燥されているか、移動相固体支持体に結合されている場合、支持体をチューブ内に落とし入れて再構成してもよい。上記のように、プライマーは、試薬の一部として乾燥させてもよく、または再構成後に添加してもよい。最後に、標的核酸または標的核酸を含有することが疑われる試料を添加し、反応を開始させる。反応物を、所望の増幅度に達するまでインキュベートする。
別の例として、以下の試薬を、各試薬を、構成したとき、以下の濃度:(1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;(2)300〜1000ng/μl gp32;(3)10〜50ng/μl BsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;(4)50〜500μM dNTP;(5)0.1〜10mM DTT;(6)3mM ATPまたはATPアナログ;(7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY;(8)50nM〜1000nMの第1のプライマーおよび50nM〜1000nMの第2のプライマー;(9)40mM〜160mM酢酸カリウム;(10)5mM〜20mM酢酸マグネシウム;(11)10mM〜40mMクレアチンリン酸;(12)50ng/μl〜200ng/μlクレアチンキナーゼを有するように合わせることより合成し得る。これらの試薬をフリーズドライし、保存する。使用時、試薬を、1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファーおよび1%〜12%(重量または容量基準)の濃度のポリエチレングリコールにより再構成する。上記(8)のプライマーは、フリーズドライ前に除き、再構成後に加えてもよい。RPAを開始するため、標的核酸または標的核酸を含有することが疑われる試料を添加する。反応物を、所望の増幅度に達するまでインキュベートする。
本発明の別の実施形態は、RPAを行なうためのキットを含む。該キットは、RPAに関して上記した任意の試薬を上記の濃度で含み得る。該キットの試薬はフリーズドライさせてもよい。例えば、該キットは、(1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;(2)300ng/μl〜1000ng/μl gp32;(3)10ng/μl〜50ng/μl BsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;(4)50μM〜500μM dNTP;(5)0.1〜10mM DTT;(6)1mM〜5mM ATPまたはATPアナログ;(7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY;(8)50nM〜1000nMの第1のプライマーおよび50nM〜1000nMの第2のプライマー(任意選択);(9)40mM〜160mM酢酸カリウム;(10)5mM〜20mM酢酸マグネシウム;(11)10mM〜40mMクレアチンリン酸;(12)50ng/μl〜200ng/μlクレアチンキナーゼを含み得る。
好ましい実施形態では、RPAは、DNA合成開始後にリコンビナーゼ因子/dsDNA複合体の効率的な分解を促進し得るいくつかの補助酵素を用いて行なう。このような補助酵素としては、3’→5’分解を刺激できるもの、および5’→3’分解を補助できるものが挙げられる。
補助酵素には、RecAを3’→5’方向に置換し得、リコンビナーゼ因子/dsDNA複合体の3’→5’分解を刺激し得るいくつかのポリメラーゼが含まれる(Pham et al.,2001)。このようなDNAポリメラーゼとしては、大腸菌PolVおよび他の種の相同なポリメラーゼが挙げられる。通常、大腸菌の一生において、RecAの3’→5’方向の置換は、SSB、スライディングクランプおよびDNAポリメラーゼと協調したSOS−損傷−標的化合成の一部として起こる。大腸菌においてこの活性に不可欠なポリメラーゼは、PolVであり、これは、最近見出されたポリメラーゼのスーパーファミリー(UmuC,DinB,Rad30およびRevlが含まれる)の一構成員であり、そのインビボ機能は、損傷DNA鋳型のコピーである。RPAに重要であるRecAフィラメントのインビトロ3’→5’分解は、PolI、PolIIIまたはPolIV単独では触媒され得ない。PolVのみが、SSBと協調して、測定可能なATP非依存性3’→5’RecA/dsDNA分解活性を有する。実際には、PolVは、該ポリメラーゼの前方へとDNAから3’→5’方向にRecAを押して除去する(Pham et al.,2001;Tang et al.,2000)。PolVまたは機能的ホモログを含めると、増幅効率が改善され得る。
他の補助酵素としては、ヘリカーゼと呼ばれる一類型の酵素が挙げられ、これは、dsDNAからのRecAの分解を促進するために使用され得る。これは、5’→3’および3’→5’の両方向での分解を促進する。ヘリカーゼは、インビボ組換えプロセスの不可欠成分であり、組換え中間体の分枝点の1つの場所から別の場所への移動、鎖の分離、およびDNAに結合した成分の分解および再循環を行なう機能を果たす。侵入/合成の第1のラウンドがRPAで起こった後、2つの新たなDNA二本鎖が、さらなる合成ラウンドのためにプライマーが結合するはずである部位に結合したRecAの存在によって「マーク」される。かかる状況では、dsDNAは、5’→3’方向のATP加水分解依存性解離(これは、限定的であり得る)または何らかの活発なプロセスによる3’→5’解離のいずれかによって、活発に置換されるまで、RecAまたはホモログの高親和性部位を占める傾向にある。中間体からのRecAの分解を刺激するために理想的なヘリカーゼ複合体は、大腸菌タンパク質RuvAおよびRuvBからなる。RuvAB複合体は、分枝点移動を促進し、RecAタンパク質を解離してRecAの再循環を可能にする(Adams et al.,1994)。通常、RuvAB複合体は、組換え中間体、特にホリデイジャンクション様構造に標的化される。作用時、RuvAB複合体はDNAを取り囲み、強制的にRecAをDNAからATP誘発性に転座させる(Cromie and Leach,2000;Eggleston and West,2000)。このRecA解離活性は、RecAにより結合された、ホリデイジャンクションをもたないスーパーコイルdsDNAを用いて示された(Adams et al.,PNAS 1994)。RuvAB複合体は、DNAで覆われたRecA内の分岐構造を認識し得る。RPA混合物中へのRuvABの取込みにより、鎖の交換および置換後、dsDNAからのRecAの解離が促進され、同じ部位から複製された鋳型の新たな合成が可能になる。加えて、RuvAB複合体は、RuvCと協調して機能を果たし得、最終に、ホリデイジャンクションが切断され、消失する。RPA反応混合物に添加されるRuvCにより、侵入部位で形成されるホリデイジャンクションなどの複雑な構造を消失させ得る。リゾルベース活性(例えば、RuvCによって提供されるもの)は、標的化オリゴヌクレオチドが部分的に二本鎖である場合、特に重要である。かかる状況では、逆転の分枝点移動によりホリデイジャンクションが生成され得、次いで、これは、RuvABC複合体により消失され得、明白に分離された増幅産物が生成される。
さらに他の補助酵素としては、大腸菌RecGタンパク質が挙げられる。RecGは、分枝構造の分解を刺激し得る。インビボでこのタンパク質は、リーディング鎖およびラギング鎖の両方を巻き解き、複製フォークを引き戻して4方向ジャンクションを生成させるのを誘導することにより、DNA損傷部位で複製フォークを逆転する機能を果たす。(Cox et al.,2000;Dillingham and Kowalczykowski,2001;Singleton et al.,2001)。インビボでは、かかるジャンクションは、鎖スイッチングの基質としての機能を果たし、損傷バイパスを可能にする。インビトロでは、RecGは、Dループに結合し、逆転の分枝点移動を誘発することにより、Dループ構造の減少をもたらす。RecGは、二本鎖エレメントをいずれかの一端にを有するジャンクションを優先させ、したがって、単鎖領域および二本鎖領域の両方の標的化部位に相同な、部分的に二本鎖の標的化オリゴヌクレオチドが理想的であり得る。これにより、逆転の分枝点移動およびホリデイジャンクションの形成が刺激され得、これは、RuvABC複合体によって消失され得る。インビボでは、RecGおよびRuvABは競合し、分枝点移動が両方向で誘発されるため、異なる組換え結果をもたらし得る(McGlynn and Lloyd,1999;McGlynn et al.,2000)。いずれの場合も、該タンパク質は、RecAで被覆されたジャンクションDNAを標的化し、これを活発に分解する。
RPA反応混合物に有用な他の補助酵素は、ATPおよびSSBの存在下でのRecA核タンパク質フィラメントの継続的な生成を可能にするものである。適切な時点でのRecAの除去を可能にするためには、RPA反応においてATPγSではなくATPを用いることが好ましい。残念ながら、ATPにより形成されるRecA/ssDNAフィラメントは、自発的に5’→3’方向に解重合し、この場合必要であるSSBの存在下で、有意な割合での再重合は起こらない。この問題に対する解決策は、RecO、RecR、あるいはRecFタンパク質の使用である。あるいはまた、T4 uvsX 核タンパク質フィラメントを安定化させるため、uvsYタンパク質が同様にして使用され得る。SSBおよびATPの存在下では、RecA/ssDNAフィラメントは解離する(Bork et al.,2001;Webb et al.,1995;Webb et al.,1997;Webb et al.,1999)。RecA/ssDNAをRecOおよびRecRタンパク質の存在下でインキュベートした場合、この解離は起こらない。実際、RecRタンパク質は、該フィラメントと会合したままであり、その構造を無限に安定化させる。ssDNAがSSBに結合された場合であっても、RecRおよびRecOの存在下、RecAのフィラメントは置換性SSBを再合成する。T4ファージ系では、同様の特性はuvsYタンパク質に帰属する。したがって、要すれば、RecOおよびRecRの存在下でATPを用いてRecA/ssDNAフィラメントの完全性を維持することにより、またはuvsYの存在下でuvsX/ssDNAフィラメントの完全性を維持することにより、ATPγSの使用不要にすることが可能である。RecFタンパク質は、見かけ上、反対の様式でRecOおよびRecR系と相互作用する。RecFはRecRと競合し、フィラメント分解をインビトロで誘発する傾向にある。すべての3つの成分はインビボで一緒に、侵入性構造の生成を制御する一方、ssDNAのRecA被覆の程度を制限する機能を果たすようである。別の好ましい実施形態では、RecFを適切な濃度でRPA反応に含め、インビボプロセスの動力学特性を再現させる。また、RecFは、侵入が起こった後、RecA被覆中間体の解離を助長し得る。
上記のように、ATPγSではなくATPの使用および/または置換性のポリメラーゼおよびヘリカーゼ(例えば、RuvA/RuvB複合体)、RecO、RecRおよびRecFの使用、あるいはまたT4 uvsXリコンビナーゼとuvsYタンパク質との使用は、標的化部位の継続的な再生を誘発することにより、二本鎖DNAの指数関数的増幅を可能にするはずである。しかしながら、この方法は、依然として、2つの反対の標的化部位で生じ得る開始速度の差に対して応答性である。かかる差異は、増幅効率の低下、および一部の単鎖DNAの生成をもたらし得る。PCR方法では、温度サイクルにより、いずれか一方からの調和された合成がもたらされるため、このような複雑な状況が大きく回避される。別の実施形態では、まさに記載のようなPCR状態と同様の状況が、42℃では非機能性であるが、25〜37℃の範囲のより低温では機能するRecAの温度感受性(ts)変異体を用いることにより誘導され得る(Alexseyev et al.,1996;Hickson et al.,1981)。この場合、いずれかの末端からの合成は、許容温度を周期的に低下させ、次いで、反応を、変異RecAタンパク質の機能に非許容性だが、その他の成分には許容性の温度まで上昇させることにより、同期化され得る。RPAを、tsRecA変異体を用いて反応温度サイクルとの組合せで行なうことにより、生成されるDNA分子の数を制御することができる。これは、温度サイクルを提供するためのある種の機構を必要とするが、その温度は、好熱性生物由来タンパク質の使用を必要とし得るものより充分低い。実際、かかる反応サイクルを制御するには、簡単な化学系または携帯型低出力温度サイクルデバイスで充分であり得る。
RPAでは、すべての他の今日の核酸増幅方法のように、ポリメラーゼを用いて鋳型核酸分子のコピーを生成させる。組込みが、新たな合成部位と隣接する二本鎖核酸の短い伸長鎖の末端糖上の遊離3’−ヒドロキシル部分を必要とすることは、大部分の核酸ポリメラーゼにとって必要不可欠である。この二本鎖核酸の伸長鎖は、典型的には、鋳型上で、プライマーと呼ばれるポリメラーゼ合成反応の開始部位として役立つ短い相補配列によって形成される。場合によっては、合成反応をプライミングするために3’修飾(例えばスルフヒドリルなど)が使用され得る。鋳型と塩基対合し、ポリメラーゼによって伸長されるプライマー核酸は、RNAまたはDNAであり得る、インビボではゲノムDNAの複製中、プライマーゼ酵素によって、RNAプライマー配列が鋳型DNA上に新たに合成される。典型的には、インビトロ反応では、プライマーを、多くの場合化学的合成される短い単鎖DNA(または修飾したDNAもしくはRNA)として供給し、通常、オリゴヌクレオチドプライマーとよばれる。プライマーは、多くの場合、特異的配列であるが、ランダムプライマーもまた使用され得る。プライマーは、その特異的塩基対合形成能力によって、相補配列に標的化される。オリゴヌクレオチドプライマーと標的核酸間のハイブリッド形成は、典型的には、溶液中にて、自発的アニーリングを可能にする塩、pHおよび温度条件下での両者のインキュベーションによって形成される。
PCRの場合、オリゴヌクレオチドプライマーは、2つの主な理由により、通常、大過剰である。第1に、高濃度により迅速なアニーリングが誘発される。第2に、融解、アニーリングおよび伸長のラウンドにより反応が進行するにつれて、プライマーが消費され、限定的となる。PCRで標的化される核酸は、多くの場合、最初は二本鎖特性であり、そうでない場合は、最初の合成サイクル後、二本鎖となる。かかる二本鎖分子は、大部分の原核生物および真核生物のタンパク質の酵素性活性および安定性に適切な温度および溶媒条件では、新たなオリゴヌクレオチドをアニーリングすることができない。したがって、増幅サイクルを可能にするためには、元の鋳型および新たに合成された鎖を、まず、アニーリングが再度起こり得る前に分離しなければならない。実際には、これは熱融解によって成される。PCRでは、少なくとも80℃の温度が、100塩基対より大きい長さの大部分の二本鎖核酸分子の熱融解に必要とされる。ほとんどのPCRプロトコルにおいて、90〜100℃の温度がDNAの融解に適用される。かかる温度では、希少な耐熱性酵素のみ使用が可能である。このようなポリメラーゼは、典型的には、好熱性原核生物由来のものである。
RPAの利点は、熱融解なしで、二本鎖鋳型からの伸長のための遊離3’−OHを保有する二本鎖核酸の短い伸長鎖の形成が可能なことである。これは、大腸菌由来のRecAタンパク質(または他の門由来のRecA類縁体、例えば、T4 uvsXタンパク質)を用いることにより達成される。ATP、dATP、ddATP、UTP、ATPγS、あるいは他の型の可能性あるヌクレオシド三リン酸およびこれらのアナログの存在下では、RecAまたはuvsXは、単鎖DNAの周囲に核タンパク質フィラメントを形成する。次いで、このフィラメントは二本鎖DNAをスキャンする。相同配列が位置付けられる場合、リコンビナーゼは、鎖侵入反応およびオリゴヌクレオチドと標的DNAの相同な鎖との対合形成を触媒する。元の対合形成鎖は鎖侵入によって置換され、該領域内に単鎖DNAのバブルができる。
RecAタンパク質は、市販の供給源から得られ得る。あるいはまた、これは、標準的なプロトコル、例えば(Cox et al.,1981;Kuramitsu et al.,1981)に従って精製したものであり得る。RecAホモログは、好熱性生物、例えば、Thermococcus kodakaraensis(Rashid et al.,2001)、Thermotoga maritima(Wetmur et al.,1994)、Aquifex pyrophilus(Wetmur et al.,1994)、Pyrococcus furiosus(Komori et al.,2000)、Thermus aquaticus(Wetmur et al.,1994)、Pyrobaculum islandicum(Spies et al.,2000)、およびThermus thermophilus(Kato and Kuramitsu,1993)から精製されている。また、RecAは、他の原核生物、例えば、Salmonella typhimurium(Pierre and Paoletti,1983)、Bacillus subtilis(Lovett and Roberts,1985)、Streptococcus pneumoniae(Steffen and Bryant,2000)、Bacteroides fragilis(Goodman et al.,1987)、Proteus mirabilis(West et al.,1983)、Rhizobium meliloti(Better and Helinski,1983)、Pseudomonas aeruginosa(Kurumizaka et al.,1994)、真核生物、例えば、Saccharomyces cerevisiae(Heyer and Kolodner,1989)、Ustilago maydis(Bennett and Holloman,2001)、例えば、脊椎動物、例えばヒトRad51(Baumann et al.,1997)およびXenopus laevis(Maeshima et al.,1996)、ならびに植物、例えば、ブロッコリー(Tissier et al.,1995)から精製されている。また、本発明者らは、ここに、大腸菌recA、およびT4 uvsXタンパク質が、C末端のヘキサヒスチジンタグを用いて過剰発現培養物から精製され得、依然として生物学的に活性な状態であることを示す。これは、組換えタンパク質の作製に、非常に実用的である。
記載の明瞭化のため、リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅方法(lsRPA)は、4つのフェーズに分割され得る。
(1)配列標的化)
RPAは、RecAまたは機能的ホモログ(例えば、T4 uvsXタンパク質など)で被覆された合成オリゴヌクレオチドを用いた配列標的化により開始される。指数関数的増幅を可能にするためには、2つのかかる合成オリゴヌクレオチドは、それらの遊離3’末端が互いに向かって配向されるように使用し得る。このようなオリゴヌクレオチドおよびリコンビナーゼタンパク質を含む核タンパク質フィラメントは、複合体DNA内の標的を、迅速かつ特異的に同定する。いったん標的化されると、リコンビナーゼタンパク質は鎖交換を触媒し、その結果、Dループ構造が形成される。効率的な増幅のための手順には、ATPγSではなくATPを用いることが必要であり得る。ATPを用いる場合、RecO、RecR,および/またはRecFの分子が効率的な増幅に不可欠であることが示され得、またはuvsXリコンビナーゼを用いる場合は、uvsYタンパク質が使用され得る。
(2)DNA合成の開始)
DNAポリメラーゼは、侵入性オリゴヌクレオチドと鋳型DNA間のハイブリッドを検出し、これに結合し、ハイブリッドにおいて露出された遊離3’−ヒドロキシルからのDNA合成を開始する。この3’−ヒドロキシルの露出および続くDNA合成は、鎖交換によって形成された二本鎖ハイブリッドからのリコンビナーゼタンパク質の分解を必要とすることがあり得る。この分解が達成されるためには、おそらく、侵入複合体からのリコンビナーゼの自発的分解を補助し得るATPを用いることが必要であり得る。さらに、分解は、反応混合物中に含める他のタンパク質(例えば、RuvA、RuvB、RuvC、recG、他のヘリカーゼ)または他の刺激成分(これらは、リコンビナーゼを鎖交換産物から外す機能を果たし得る)の使用によって刺激/増強され得る。
(3)鎖置換DNA合成およびレプリコン分離)
DNAポリメラーゼが、侵入性オリゴヌクレオチド、またはそれらの部分的に伸長された産物の遊離3’−ヒドロキシルを用いて鋳型DNAの相補的コピー合成すると、該ポリメラーゼは、反応物中に含まれた単一の鎖結合タンパク質(SSB)で被覆されたものであり得る単鎖DNAと置換される。理想的な構成では、標的核酸配列の両末端でのオリゴヌクレオチドの侵入が同様の時間枠内で起こり、その結果、同じ鋳型核酸上の2つのポリメラーゼがまず互いに向かって進行する。これらの伸長している複合体が互いに出合うと、元の鋳型は簡単に離れ落ち、ポリメラーゼは、鎖置換の必要なく合成を継続し、今度は、SSB結合ssDNA鋳型をコピーする。立体障害のため、両ポリメラーゼが出合うと、ポリメラーゼは一時的に鋳型から分離された状態となり得、2つの鋳型鎖の分離が可能となる。
(4)合成の終了および再侵入)
いったん鋳型鎖が離れると、ポリメラーゼは、鋳型の末端までの伸長を終了し得る(または、最初の鋳型が所望の産物より長い場合は、第2の対向標的化部位としての機能を果たす配列を通過する)。指数関数的増幅を可能にするためには、新たな産物が、元の鋳型と同様に、両方の標的化末端からの様式で標的化および複製されることが必要である。新たに合成された標的化部位は、標的化リコンビナーゼ/オリゴヌクレオチドフィラメントに自由に利用可能である。また、合成のプライミングに最初に使用された部位は、反応において、鎖交換産物からのリコンビナーゼの分解に有利な条件の使用の結果として遊離状態のはずである。この後者の部位での再侵入は、該ポリメラーゼが第2の標的化部位を通過して合成され、この第2の部位でプライミングされ、そして第1の部位に戻るのに要した時間より短い時間で起こると、単鎖DNAが主要産物でなくなり、指数関数的増幅が起こる。多数の合成複合体が同じ鋳型上で機能すると、非常に短い増幅時間が達成され得る可能性が生じる。
(リーディング鎖/ラギング鎖同時合成を用いたリコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(RPA))
(リーディング鎖RPA)lsRPAの本発明者らの記載において、本発明者らは、標的化配列を再生し、したがって、二本鎖DNAの指数関数的増幅を可能にする能力を有する多成分系について詳細に示す。Zarling法とは異なり、lsRPAは、単鎖DNAの線状産生を回避する。この問題を解決するため、単鎖産物の可能性および同時末端開始の必要性を完全に回避する別のアプローチがある。この方法は、必然的に、より複合的な反応混合物を伴う。それにもかかわらず、この場合、必要とされる成分はすべて、充分理解されており、単一の系に合成されやすいはずである。この系は、細胞の正常な複製サイクル中に起こる事象を反復し、リーディング鎖/ラギング鎖連結型合成を可能にする。この方法リーディング鎖/ラギング鎖RPAを、簡単に図1および3に示す。
正常なインビボ複製、二本鎖DNAは、同時に2つの鎖に分離され、両者ともコピーされ、複製機構によって2つの新たな二本鎖DNA分子がもたらされる。この「機構」は、リーディング鎖合成を、短いRNAプライマーがプライマーゼ酵素によって鋳型核酸上に合成される従来の5’→3’ラギング鎖合成と対にする。ラギング鎖合成中、オカザキ断片と呼ばれる短い断片のDNAが生成され、これは、互いにライゲートして連続するラギング鎖を形成する。この同時リーディング−鎖/ラギング−鎖合成は、原核生物のゲノム全体の複製を担い、真核生物の生物も同様である。この系の不可欠成分は同定されており、生化学的にキャラクタライズされている。該成分はインビトロで合成されされ得、リーディング−鎖合成のみを用いて起こり得るものより効率的な増幅を達成する。
複製「機構」の不可欠成分は、現在、大腸菌およびある種の他の生物(例えば、T4ファージなど)について充分キャラクタライズされている。この機構は、PolIIIホロ酵素(Glover and McHenry,2001;Kelman and O’Donnell,1995)およびプライモソーム(Benkovic et al.,2001;Marians,1999)を含む。PolIIIホロ酵素は10種類のポリペプチド成分で構成されている。各ホロ酵素は、2つの非対称に配向されたコア構造を含有し、各々は、ポリメラーゼ(αサブユニット)および2つのさらなるコア成分εサブユニット(これは3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する)およびθサブユニットからなる。コア複合体に加え、別の組のポリペプチドが、ホロ酵素に連続合成能を提供し、リーディング鎖/ラギング鎖合成を対にする。β−二量体スライディングクランプは鋳型DNAを取り囲み、複合体を鋳型に極めて高親和性で付加させる。スライディングクランプは、τ2’γδδ’χψポリペプチドサブユニットを含むDnaXクランプ負荷体によってDNA上に負荷される。
記載の明瞭化のため、RPA法は、4つのフェーズに分割され得る。実際、すべてのフェーズは、1回の反応で同時に起こる。
(1)配列標的化)
RPAは、RecAまたはT4 uvsXまたは機能的ホモログで被覆された合成オリゴヌクレオチドを用いた配列標的化により開始される。かかる核タンパク質フィラメントは、複合体DNA内の標的を、迅速かつ特異的に同定する。いったん標的化されると、RecAまたはuvsXタンパク質は鎖交換を触媒し、その結果、Dループ構造が形成される。効率的な増幅のための手順には、ATPγSではなくATPを用いることが必要であり得る。しかしながら、リーディング鎖合成とラギング鎖合成の連携は、合成開始後に非常に迅速にリコンビナーゼが外されることの必要性を不要にし得る。ATPを用いる場合、RecO、RecR、およびRecFを細菌のrecAリコンビナーゼとともに用いる必要があり得、またはT4 uvsYタンパク質が、T4 uvsXタンパク質の場合の効率的な増幅に不可欠であることが示され得る。
2)プライモソーム合成
プライモソームはDループで合成され得る。通常、大腸菌では、Dループ構造はRecAによって、インビボでの損傷DNAを救済する機構の一部として、または他の形態の組換え中に形成される。RecA媒介性鎖交換およびプライモソーム合成の組合せ作用の目的は、複製フォークを生成させることである。複製フォークは、分離された鋳型DNA鎖およびレプリソームを含む核タンパク質構造である。レプリソームは、ポリメラーゼホロ酵素複合体、プライモソーム、および両方の鋳型DNA鎖を同時に複製するのに必要とされる他の成分からなる。プライモソームは、複製フォーク進行に必要なDNA巻き解きおよびオカザキ断片プライミング機能の両方を提供する。同様のプライモソーム合成が、gp59およびgp41タンパク質によって指向されるT4ファージの組換え中間体において起こる。
プライモソーム合成は、遺伝的および生化学的解析により大腸菌において集中的に研究されている。このプロセスに必要な最小の組のポリペプチドはよく知られており、精製された成分として存在する。プライモソーム合成タンパク質は、PriA、PriB、PriC、DnaT、DnaC、DnaB、およびDnaGである。これらのタンパク質は、インビトロでプライモソーム複合体をバクテリオファージΦX174 DNA上で合成するのに充分であることが示されている(Kornberg and Baker,1992;Marians,1992)。PriAは、ΦX174染色体上のプライモソーム合成部位(PAS)に結合する。次いで、PriB、DnaT、およびPriCが、順次にPriA−DNA複合体に結合する。PriBは、PASにおいてPriAを安定化し、DnaTの結合を助長するようである(Liu et al.,1996)。PriCは、合成反応全体に対して部分的にのみ必要とされる。PriCを反応から除くと、プライミングが3〜4倍低下する(Ng and Marians,1996a;Ng and Marians,1996b)。細菌では、PriCの機能はPriBと遺伝学的に重複する。次いで、DnaCがDnaBを複合体内にATP依存的様式で負荷する。このPriABC−DnaBT複合体は、染色体において転座を行なう能力がある。DnaGプライマーゼは、一過的に複合体と相互作用し、RNAプライマーを合成し得る。
大腸菌での複製中、DnaBおよびDnaGは、それぞれ、ヘリカーゼおよびプライマーゼとしての機能を果たす。これらの2つの成分は、PolIIIホロ酵素と会合してオカザキ断片用のプライマーを合成するために継続的に必要とされる。したがって、DnaBおよびDnaGは、複製フォークと関連する移動性プライモソームのコア成分である。記載のその他のプライモソーム成分は、DNA上でのプライモソームの合成、および二量体ポリメラーゼの会合に不可欠である。プライモソーム合成タンパク質は、RecAおよび鎖交換によって形成される組換え中間体における複製フォークの再確立に必要とされる。PriAは、DNA合成のための能力であるレプリソームの合成を組換え中間体において開始し得る。Dループをインビトロで標的化することは、PriA、PriBおよびDnaTの混合物により可能であり、その結果、これらはDnaBおよびDnaCを組み込む能力をもつ。いったんプライモソームがDループに形成されると、複製開始のために残存しているものはすべて、ホロ酵素複合体を該部位に負荷する。あるいはまた、ファージT4系では、gp59ヘリカーゼ負荷体タンパク質が漸増し、gp41複製性ヘリカーゼをDループ構造に呼び込む(recruit)。
(3)フォーク合成およびDNA合成の開始)
複製フォークは、プライモソーム合成部位で合成される。大腸菌では、Dループの侵入鎖上の遊離3’末端の存在により、先に記載のDnaXクランプ負荷体複合体が刺激され、β−二量体がこの部位に合成され、スライディングクランプとして作用する。ホロ酵素および2つのコア単位は、骨格τサブユニットによって一緒に連結されている。τサブユニットはまた、β−二量体、クランプ負荷体、およびプライモソームのDnaBヘリカーゼ成分のための相互作用表面を有する。このような多重相互作用は、2つの非対称に連結されたコアポリメラーゼ複合体を用いてリーディング鎖およびラギング鎖の両方の合成を調和させるのに必要である。uvsYおよびgp32タンパク質ならびに他の成分を伴うT4ファージgp59/41タンパク質では、gp44およびgp62タンパク質によって助長されるスライディングクランプgp45の調和合成によってレプリソーム合成が開始される。
大腸菌では、プライモソームプライマーゼDnaGが短いRNAプライマーを、巻き解かれたラギング鎖DNA鋳型上で合成する。ホロ酵素の存在下では、クランプ負荷体がRNA/DNA二本鎖を認識し、第2のβ−二量体クランプをこの部位上に負荷する。活性なプライモソームの存在およびτサブユニットとDnaBとの相互作用は、同時リーディング鎖/ラギング鎖合成を確実にするのに重要である。この相互作用がないと、ポリメラーゼは、連結されずにプライモソーム部位から離れる。
これで複製フォークが合成される。今度は、リーディング鎖およびラギング鎖の両方の合成が同時に起こり、DnaBヘリカーゼが鋳型鎖を、接近しているホロ酵素から分離する。ラギング鎖ホロ酵素コアが、1〜2キロベース長のオカザキ断片を生成させる。ラギング鎖ポリメラーゼは、いったん先のRNAプライマーに遭遇すると、β−クランプから解離し、新たに合成されたクランプ(リーディング鎖の前面付近に負荷される)から合成が開始される。リーディング鎖コアに物理的に固定されているため、同じラギング鎖ホロ酵素コアが再使用される。
β−二量体クランプ、コアサブユニットおよびクランプ負荷体間には、動的な相互作用が存在する。それらの親和性は、物理的環境に応じて入れ替わり得る。オカザキ断片の末端で「廃棄」されたβ−二量体は、クランプ負荷体、または存在し得る過剰δサブユニットによる能動的な除去によって再利用され得る。
オカザキ断片の末端のRNAプライマーは、DNAポリメラーゼIの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって除去される。次いで、DNAリガーゼがオカザキ断片同士を連結し、連続的なラギング鎖を形成する。
4)フォークの集合および終結
RPAでは、複製は2つの遠隔部位で開始され、複製フォークは、互いに向かって配向される。複製フォークが1点に集中すると、2つの元の鋳型鎖は、各フォークの後方および前方の両方において完全に分離された状態となり、互いから解離する。次いで、各フォークのリーディング鎖コアは合成を終了し、残存するRNAプライマーがプロセッシングされ、最終生成物が2つの二本鎖分子となる。本発明者らには、かかるアプローチによって、DNAが数メガベース(Mb)程度に増幅されることは当然予測され得る。本開示では、メガベースは、メガ塩基対も包含する。PolIIIホロ酵素の既知の合成速度に基づき、本発明者らには、複製フォークが、1Mb断片の場合でおよそ1Mb/1000秒、すなわち、およそ15〜20分間/サイクルの速度で進行すること予測され得る。
最終的な考慮事項は、DNAの迅速な指数関数的増幅が達成される機構である。このプロセスの重要な点は、ヘリカーゼ、リゾルベースならびにRecO、RecRおよびRecFタンパク質の混合物の使用により、標的化部位の効率的な再侵入を可能にすることである。適切な条件下では、再侵入およびプライモソーム合成は、ホロ酵素がフォーク合成部位から離れた後、短時間で可能であるはずである。DNAは、多くの点で単に分岐された状態であるため、継続的な侵入は問題を示さないはずである。各分枝は、接近しているフォークに遭遇すると、自然に消失する。この条件では、たった1回DNAが複製されるのに要する時間と同様の時間内で、膨大な量の増幅を達成することが可能であり得る。しかしながら、合成終了前でのヌクレオチド枯渇を回避するため、標的化オリゴヌクレオチドの濃度を制限することは重要であり得る。
ホロ酵素複合体に加え、複製機構では、プライモソームとして知られる別の複合体が用いられ、これは、ラギング鎖を合成し、複製フォークを前方に移動させる。プライモソーム複合体は、DnaBにコードされるヘリカーゼおよびDnaGにコードされるプライマーゼを含む。最後に、ホロ酵素およびプライモソームのタンパク質に加え、複製には、単鎖DNA結合タンパク質(SSB)、大腸菌DNAポリメラーゼIおよびDNAリガーゼの活性が必要とされる。これらの後者の2つの成分は、オカザキ断片のプロセッシングに必要とされる。
(ネステッドRPA)
別の実施形態では、RPA増幅は、本明細書において「ネステッドRPA」という方法で行なわれ得る。希少な配列の検出における困難さは、標的配列に対して非標的が高比率であり得ることである。RPAが標的DNAと非標的DNAとの間を識別し、標的配列のみを増幅する能力は、感度の改善の重要な側面である。非標的と標的との識別は、プライマーおよび反応条件の特異性を反映する。反応が特異的であるほど、生成される特異的標的配列の相対量が多くなり、産物の検出が容易になる。したがって、特異性が増大すると、感度も増大し得る。
感度および特異性の改善の必要性は、ネステッドRPAを用いることにより対処され得る。ネステッドRPAは、DNAの第1の領域の第1のRPAを伴う。次いで、反応混合物を、例えば、10、20、30、40、50、75、または100倍以上に希釈して第1のプライマー対の濃度を低下させ、第2のプライマー対を反応混合物中に導入し、RPAが反復される。本発明の一実施形態によれば、第2のプライマー対は、第1のプライマー対に対して内部となり、第1のRPA産物のサブ配列が増幅されるように設計される。この方法により特異的増幅が増大する、すなわち、非特異的バックグラウンド増幅産物が低減され、したがって、感度が増大する。かかる非特異的増幅産物は、隣接プライマーに対して偶然部分相同性となることにより生じるが、ネステッドプライマーに対して増幅が継続されるのに充分な相同性をも有することはあり得ない。RPAの検出および特異性は、第2のプライマー対の一方または両方を、第2のプライマー対の一方または両方により増幅されたプライマーのみが検出されるように標識することにより、さらに改善され得る。
ネステッドRPAは、2組のプライマーの使用に限定されない。当然、特異性または感度を増大させるために、より多くの組のプライマーが使用され得る。したがって、3、4または5対のプライマーが使用され得る。さらにまた、本発明の別の実施形態として、図4に示すように、異なる組のプライマーが共通のプライマーを共有し得る。
図4において、プライマーセットは、順次使用するように設計されている。例えば、第1のRPAは、プライマーセット1を用いて行なわれ、第1のRPAの増幅産物を用いる第2のRPAは、プライマーセット2を用いて行なわれ、第2のRPAの増幅産物を用いる第3のRPAは、プライマーセット3を用いて行なわれ、第3のRPAの増幅された配列を用いる第4のRPAは、プライマーセット4を用いて行なわれ、最後に、第4のRPAの増幅産物を用いて行なわれる第5のRPAは、プライマーセット5を用いて行なわれる。この場合、プライマーセット1、2および3は、共通のプライマーであるプライマー(a)を共有する。プライマー3、4および5は、共通のプライマーであるプライマー(b)を共有する。
ネステッドRPAは、記載のRPA法の任意の2つ、およびその2つの方法の任意の特定の順序での組合せを用いて行なわれ得る。すなわち、RPAは、リーディング鎖RPAのみによって、リーディング鎖/ラギング鎖RPAのみによって、またはリーディング鎖RPAとリーディング鎖/ラギング鎖RPAとの任意の特定の順序での組合せによって行なわれ得る。
任意の本発明のRPA法の利点の1つは、増幅産物のサイズである。PCRなどの現行の増幅方法は、上限が約10Kbに制限されるが、RPA法は、核酸領域を数百メガベースまで増幅できる。リーディング鎖/ラギング鎖RPAでは、増幅対象の標的配列のサイズは、数百メガベース、例えば、500メガベース未満、300メガベース未満、100メガベース未満、70メガベース未満、50メガベース未満、25メガベース未満、10メガベース未満、5メガベース未満、2メガベース未満、1メガベース未満、500kb未満、200kb未満、100kb未満、50kb未満、25kb未満、または10kb未満、5kb未満、2kb未満、1kbなどであり得る。lsRPAでは、標的配列のサイズは、メガベース範囲内、例えば、5メガベース未満、2メガベース未満、1メガベース未満、500kb未満、200kb未満、100kb未満、50kb未満、25kb未満、または10kb未満、5kb未満、2kb未満、1kb未満であり得る。
(リコンビナーゼ媒介性増幅反応の再構成および可能性のための一般的な考慮事項)
lsRPAおよびリーディング/ラギングRPAはともに、オリゴヌクレオチドプライマーを標的化するリコンビナーゼタンパク質の同様の使用に依存するが、これらは、増幅中に新たな娘二本鎖が形成される様式が異なる。リーディング/ラギングRPAでは、リーディング鎖およびラギング鎖が同時に合成される完全な複製フォークが確立され、その結果、2つの新たな二本鎖が同時に形成される。リーディング鎖RPA(lsRPA)では、リーディング鎖合成のみが起こり、その結果、合成により、産物として1つの二本鎖および1つの被置換単鎖DNAが生成される。
RPAでは、鎖交換後に開始されるDNA合成は、ポリメラーゼによってなされる。新たに合成される鎖の伸長中、ポリメラーゼは、単独または放出鎖の置換を媒介できるヘリカーゼとの組合せのいずれかで、放出鎖を置換し得るはずである。侵入性プライマーの伸長は、最終的に、放出鎖の単鎖DNAとしての解放をもたらす。幾何級数的な増幅が起こること、および反応が膨大な二本鎖DNAを生成することを確実にするためには、この被置換単鎖DNAが、反対方向からのDNA合成の鋳型として役立つことが必要である。これは、lsRPAを用いる増幅のための中心的な考慮事項である。2つの他の中心的な考慮事項は、用いるポリメラーゼ種、および飽和レベルの単鎖結合タンパク質の存在下で効率的に機能する安定で動的なリコンビナーゼ系の存在である。これらの考慮事項は、リーディング/ラギングRPAおよびlsRPAの両方に重要である。
(A)被置換鎖からの二本鎖DNAの生成の確保)
lsRPAにおける第2のDNA鎖の生成は、いくつかの方法の1つにおいて達成され得る。
1)被置換単鎖DNAが、単純に、第2の「対向」標的化オリゴヌクレオチドの侵入および伸長により置換された相補鎖にハイブリダイズし得る。あるいはまた、被置換単鎖DNAは、第2の「対向」オリゴヌクレオチドと直接ハイブリダイズし得る。かかるハイブリダイゼーション事象は、自発的に起こり得るか、またはDNA結合タンパク質、例えば、リコンビナーゼまたは単鎖DNA結合タンパク質などの鎖同化活性によって媒介され得る。ハイブリダイゼーション後、ポリメラーゼは、遊離3’末端から伸長し、二本鎖産物を生成させる。これを効率的に行なうためには、反応環境は、相補的単鎖DNAのハイブリダイゼーションが可能なものでなければならず、状況は、常にRPA反応の他の態様と適合性であるとは限らことに注意されたい。環境によっては、オリゴヌクレオチドと、大部分のDNA結合タンパク質との相互作用が不可能な修飾された主鎖とのハイブリダイズが、使用され得る。
2)鎖置換合成が、同時に反対のオリゴヌクレオチドプライマーから同じ鋳型において始まる場合、この2つの集合性複製複合体は、最終的に鋳型の中央のどこかで出合う。これらの集合性複合体が互いに通過できる場合、鋳型鎖は分離し、各複合体は、二本鎖鋳型ではなく単鎖をコピーすることにより複製を終了し、さらなる鎖置換は必要とされない。
3)放出鎖がヘアピンを形成する能力を有する場合、自己プライミングする第2の鎖の合成が起こり得る。この活性は、一末端でヘアピンと共有結合により連結された二本鎖をもたらし得、これは、さらなる侵入/伸長反応のための標的となり得る。この状況は、種々の長さおよび構造を有する産物が生成されるため、多くの適用にとって理想的ではない。しかしながら、これは、検出アッセイ、例えば、一部の診断試験では許容され得る。さらにまた、最初の数ラウンドの侵入/伸長後、大部分の放出鎖が自己プライミングできるように、プライマーを操作することが可能であり得る。この様式の二本鎖DNA形成は、非常に効率的であり得る。
これらの3つの一般的なプロセスのうちどれがlsRPA反応において支配的であるかは、多くの要素に依存する。最も重要な要素は、標的内での離れている2つのオリゴヌクレオチドプライマーの間隔、侵入速度、およびオリゴヌクレオチドと鋳型との配列である。
第2の一般的な形式のRPAであるリーディング/ラギングRPAでは、実質的な単鎖DNAの生成は、完全な複製フォークが侵入部位で確立されることにより回避される。完全な複製フォークは、リーディング鎖およびラギング鎖(これは、放出鎖に相当し得る)の両方の同時コピーを可能にする。リーディング/ラギングRPAは、単鎖DNAの生成が回避される点で洗練されているが、完全な複製フォークを生成させるのに多数の異なるタンパク質が必要とされる。それでもなお、RPA反応の最適化のほとんどの態様は、lsRPAおよびリーディング/ラギングRPAの両方に当てはまる。
(B)ポリメラーゼまたはポリメラーゼ/ヘリカーゼ系の選択)
lsRPA法は、いくつかの点でPCRと類似する。どちらの方法も、標的DNAにおいて互いに向かって指向される3’末端に関して配向される対のオリゴヌクレオチドプライマーを用い、どちらの方法も、反応生成物が後続のラウンドのDNA合成の標的として使用されることにより幾何級数的な増幅を達成する。しかしながら、反応組成において根本的な差がある。例えば、RPAでは、標的DNAは合成前で二本鎖であるが、PCRでは、鎖の熱分離後、単鎖である。RPAでは、DNA合成は、必然的に、鎖置換できるDNAポリメラーゼまたはポリメラーゼ複合体を用いなければならない。さらにまた、一部コピーされた鎖は、鋳型を介して被置換鎖と物理的に会合するため、ポリメラーゼが一時的に鋳型から解離した場合、新たな鎖の3’末端、および最終的に新たな鎖全体が、分枝点移動の作用またはバブル移動として知られる別の現象の作用によって失われるというリスクがある。これは、理想的に連続的合成能のポリメラーゼがRPA反応に使用されることを示唆する。また、集合性複製複合体が、ポリメラーゼの解離なしで容易に互いに通過することができない場合、一部のプロセッシング性のポリメラーゼは、一部の鋳型でのRPA反応を阻害し得ることを考慮することは重要である。まとめると、ポリメラーゼの理想的な選択は、具体的なRPA反応の正確な形式および目的、特に、増幅対象の産物のサイズに依存する。
(C)ノイズ抑制環境における安定で持続性の活性なリコンビナーゼ活性の確立 )
第3の考慮事項は、如何にして、低温度で見られる異常プライマーアニーリングによって生じるノイズを抑えつつ、安定だが動的なリコンビナーゼ活性を確立するかである。これは、見かけ上、両立しないいくつかの要件が均衡する反応環境確立することを意味する。効率的なRPAのためには、リコンビナーゼタンパク質は、標的二本鎖DNAをスキャンするオリゴヌクレオチド/リコンビナーゼフィラメントに合成しながら、活性な状態を維持しなければならない。このような複合体はまた、鎖交換終了後、DNA合成を許容するために分解されなければならない。これは、単鎖DNAタンパク質高含有環境で起こるはずである。このようなタンパク質は、二次構造を融解することにより、異常オリゴヌクレオチド挙動を抑制しながら、組換えおよびDNA合成を刺激することが必要である。基本的に、リコンビナーゼおよび単鎖結合タンパク質は、オリゴヌクレオチド結合に対して競合状態にある。該単鎖結合タンパク質は、合成中の効率的な鎖置換を可能にするのに必要であるが、これらは、リコンビナーゼよりも単鎖DNAに対して高い親和性を有し、より協同的に結合するため、組換え活性が抑制される。
機能的リコンビナーゼ/複製反応環境の確立は、ヌクレオチド補因子を必要とする。RecA、および他のリコンビナーゼは、フィラメントを単鎖DNA上で合成し、相同性検索を行ない、鎖交換を終了するためにヌクレオチド補因子、例えばATPなどを必要とする。本発明者らは、ATP−γ−Sなどの非加水分解性アナログは、RPAと不適合性であり得ると推測した。何故なら、ATP−γ−Sの存在下で形成される3−鎖DNA/recA中間体の極めて高い安定性により、プライマー標的での再侵入が抑制され得、したがって、効率的な増幅が抑制され得るためである。これらは、組換え中間体へのポリメラーゼの任意の有用な接近を抑制することさえあり得る。大腸菌recAを用いてDNAを増幅する以前の試み(Zarling et al)は、おそらく、記載の反応においてATP−γ−Sによって制限された。
反応におけるATPの要件、およびリコンビナーゼ−複合体が動的に形成され、かつ分解されるという事実は、主に、重要な反応成分間での複雑な相互作用および競合により、さらなる複雑性をもたらす。特に、単鎖結合タンパク質、例えば、大腸菌単鎖結合タンパク質(大腸菌SSBまたはT4ファージgp32タンパク質など)は、放出鎖を収集するそれらの能力および二次構造を単鎖DNAに融解し、したがって、リコンビナーゼ負荷を増強する能力の両方のため、recAおよびホモログによる組換えを刺激するのに必要である。RPAでは、単鎖結合タンパク質が、被置換DNA鎖に結合して安定化し、好ましくない分枝点移動を抑制することにより、DNA合成をさらに刺激することがあり得る。
単鎖結合タンパク質が明白に必要であるにもかかわらず、これらのタンパク質は、一般的に、単鎖DNAに対してrecAまたはuvsXなどのリコンビナーゼよりも相当高い親和性を有し、リコンビナーゼ/DNAフィラメントの核生成を阻害し得る。またさらに、ATPの存在下で形成されるフィラメントが末端依存性分解を受けるに従い(Bork,Cox and Inman J Biol Chem.2001 Dec 7;276(49):45740−3)、かかるフィラメントは、単鎖結合タンパク質によって急速に飽和され、反応開始直後に不活化されることがあり得る。したがって、効率的なRPAには、反応成分の不活化を抑制する条件が、強力な増幅の確立することにおいて重要である。
本発明者らは、ATPおよび大腸菌単鎖結合タンパク質SSBの存在下で大腸菌recAタンパク質、またはgp32の存在下でT4 uvsXタンパク質を用いて、潜在的に安定な反応組成を予測した。本発明者らは、recO、recR、およびおそらくrecFタンパク質(Bork,Cox and Inman EMBO J.2001 Dec 17;20(24):7313−22)の存在は、予め負荷したrecAフィラメントが安定化され、かつrecAが、SSB結合オリゴヌクレオチド上で成功裏に核生成を行ない得る環境をもたらし得ることを提案した。同様のリコンビナーゼ負荷系は、他の生物において報告されている(例えば、バクテリオファージT4の組換え/複製/修復系)。T4 リコンビナーゼuvsXは、第3の成分uvsYタンパク質の作用により、T4単鎖DNA結合タンパク質gp32で被覆された単鎖DNA上に負荷され得る(Morrical and Alberts J Biol Chem.1990 Sep 5;265(25):15096−103)。興味深いことに、インビボでのこの組換え系の主な役割は、複製成分を組換え中間体、例えば、Dループにて合成することにより、組換え依存性DNA合成を可能にすることである(Formosa and Alberts Cell.1986 Dec 5;47(5):793−806)。このプロセスは、合成オリゴヌクレオチドの侵入によって作製させるDループによって誘発されるRPAにおいて起こるはずであるものと類似する。3つの成分uvsX、uvsYおよびgp32間の相互作用に加え、これらの成分と、複製機構(例えば、ポリメラーゼ、クランプ負荷体、プライマーゼ/ヘリカーゼおよびddaヘリカーゼとの間の相互作用もまた存在する(Reddy,Weitzel and Von Hippel,Proc Natl Acad Sci U S A.1993 Apr 15;90(8):3211−5.,Hacker and Alberts,J Biol Chem.1992 Oct 15;267(29):20674−81)。これらの要素を総合すると、T4 組換え/複製機構の成分は、おそらく、大腸菌同等物よりも、RPAにさらにより理想的であり得ることが示唆される。
recOおよびrecRまたはuvsYなどのリコンビナーゼ負荷タンパク質の使用に加え、リコンビナーゼ活性と単鎖DNA結合タンパク質の活性との間の適切な均衡を作り出すためには、他の方法がある。リコンビナーゼおよび単鎖DNA結合タンパク質のDNA結合および/または協同性の挙動は、変異によって調節され得る。また、異なる供給源由来のリコンビナーゼは異なる特性を有する(Eggler,Lusetti and Cox,J Biol Chem.2003 May 2;278(18):16389−96.Epub 2003 Feb 20,Villemain et al.,J Biol Chem.2000 Oct 6;275(40):31496−504)。これは、ある範囲のリコンビナーゼおよび単鎖DNA結合タンパク質活性が利用され得ることを示唆する。一組の最適化実験において変異タンパク質または異なる種由来のタンパク質を使用すると、競合するリコンビナーゼおよび単鎖結合活性の最適比の特定がもたらされ得る。最終的に、この活性は均衡され得、その結果、2つのDNA結合種のDNA会合/解離が、充分なリコンビナーゼ活性を単鎖DNA結合タンパク質の充分なDNA融解活性と一緒にし、その必要な機能も果たすことを可能にする。また、ミスプライミングによるノイズの低減も、オリゴヌクレオチド配列設計、反応バッファー、部分的に修飾されたオリゴヌクレオチドの使用、部分二本鎖オリゴヌクレオチドの使用、または他の特異的反応成分(以下に詳述)の添加などのパラメータの最適化により達成され得る。
ここに、本発明者らは、RPA法を検証する実験の結果を提供する。特に、本発明者らは、DNA増幅を補助できる反応組成の説明および実証を提供する。本発明者らは、比較的短い合成オリゴヌクレオチドが、特異的配列を標的化ため、およびDNA合成の開始を補助するために使用され得ることを実証する。本発明者らは、ある種のリコンビナーゼの特定の型および濃度、単鎖結合タンパク質、ATP、およびオリゴヌクレオチド濃度の要件を記載する。本発明者らは、さらに、クラウディング剤(例えば、ポリエチレングリコールなど)、リコンビナーゼ負荷因子および/または改変され生化学的活性を有する変異タンパク質を含めることにより、所望の速度挙動を伴って、活発で動的な組換え系を補助する反応環境の最適化およびモジュレーションについて記載する。本発明者らは、少なくとも分布性ポリメラーゼ(例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウ断片)の存在下で、増幅プライミング部位間の間隔を最適化した場合、増幅効率に実質的な改善がみられることを確立する。本発明者らは、オリゴヌクレオチドプライマーの非特異的分解を回避するために、ポリメラーゼエキソヌクレアーゼ活性とオリゴヌクレオチド保護剤間の均衡が採用されなければならないことを確立する。本発明者らは、線状(または弛緩)DNA基質内に組み込まれた配列の増幅は比較的非効率的である(少なくとも、クレノウなどの非常に分布性ポリメラーゼの場合)が、線状DNA基質の末端に向かって指向される増幅反応は非常に有効であることを示す。本発明者らは、熱的または化学的融解法または制限酵素消化法を含むlsRPA反応においてより効率的に増幅される標的DNAを調製する方法を提供する。本発明者らはまた、単鎖結合タンパク質の性質は、効率的なRPA反応確立するのに重要である証拠を提供し、この論理的根拠を提供する。さらにまた、本発明者らは、ノイズを低減するため、および比較的低温または周囲温度で部分二本鎖オリゴヌクレオチドまたは完全もしくは部分的にリン酸塩主鎖を欠くオリゴヌクレオチドの使用によって行なわれる増幅反応を最適化するための改善および新規なアプローチを提案する。本発明者らはまた、DNA代謝に関与する他の酵素およびタンパク質が、RPA反応影響を及ぼし得、一部は、反応効率および特異性を改善するように構成され得る証拠を提供する。これらとしては、トポイソメラーゼ(これは、組換え/複製中間体を弛緩させ得、組み込まれた配列の標的化助長し得る)、およびヘリカーゼ、例えば、T4 ddaヘリカーゼまたはT4 gp41(これは、特に、非鎖置換ポリメラーゼが使用される場合、ポリメラーゼ開始および伸長効率を改善し得る)が挙げられる。最後に、本発明は、priAおよびruvA/Bヘリカーゼが、増幅効率を最適化するするのに使用され得る活性を有することを示す。
(RPA試薬および反応パラメータの選択)
リーディング鎖RPA、リーディング鎖/ラギング鎖RPA、およびネステッドRPAの詳細は、上記した。このセクションでは、任意の上記の3つの方法のための試薬およびパラメータの選択を記載する。
RPAの利点の1つは、RPAの増幅産物が他の分子生物学手順に使用され得る二本鎖DNAであることである。したがって、RPAは、分子生物学における他の方法と組合せ得る。例えば、RPAの出発材料は、PCRで増幅した断片であり得る。あるいはまた、RPAの産物がPCRで使用され得る。
必要であれば、任意の本発明の方法におけるRPA産物を精製してもよい。例えば、ネステッドRPA法では、増幅産物を、各RPA工程後で後続のRPA工程前に精製し得る。核酸の精製方法は、当該技術分野で知られており、少なくとも、フェノール抽出、核酸沈殿(例えば、塩およびエタノールにより)、カラムクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除、イオンカラム、親和性カラムなど)またはこれらの手法の任意の組合せが挙げられ得る。
上記のように、RPAに使用されるプライマーは、「二本鎖」または「二本鎖構造を形成できる」ものであり得る。これらの用語は、反応溶液(例えば、RPA反応溶液またはPCR反応溶液)中で二本鎖状態で存在するDNA分子をいう。PCR溶液の組成は公知である。RPA反応の組成は、この詳細説明のセクションおよび実施例に示す。
プライマーは、リコンビナーゼ因子の存在下での標的DNAへのハイブリダーゼーションのための単鎖領域を有し得る。単鎖領域は、例えば、約10塩基、約15塩基、約20塩基、約25塩基、約30塩基、約40塩基、および約50塩基であり得る。さらに長い領域、例えば、約75塩基、約100塩基、約150塩基以上を使用してもよいが、必要ではない。単鎖領域の選択は出発核酸の複雑さに依存し、そのため、例えば、ヒトゲノムは、より長いプライマーを必要とし得るが、プラスミドは、ずっと短いプライマーを必要とし得る。
二本鎖DNA内の2つの核酸鎖は、完全に相補的である必要はない。例えば、二本鎖DNAの二本鎖領域は、配列が1%まで異なり得る。すなわち、2つの核酸鎖の配列は、100塩基中1塩基だけ異なり得、溶液中で、なお二本鎖状態で存在し得る。相補配列において1%差を有する核酸は、この開示の目的のため、二本鎖DNAと想定する。
また、標的核酸(すなわち、本発明のRPA法によって増幅される核酸)は、部分的に二本鎖および部分的に単鎖であり得る。例えば、図5の任意の構成の核酸が、本発明の標的核酸として好適であり得る。上記のように、標的核酸はRNAであり得る。RNAは、公知の方法を用いて二本鎖cDNAに変換することができる。この二本鎖cDNAを標的核酸として使用し得る。図5に示すように、鋳型核酸は、3’突出端、5’突出端または平滑末端から選択される末端の任意の組合せを有し得る。
本発明のlsRPA法は、少なくとも以下の工程を含む。第1に、リコンビナーゼ因子を、2種類の核酸プライマー(本明細書において第1および第2のプライマーという)に接触させ、2種類の核タンパク質プライマー(本明細書において第1の核タンパク質プライマーおよび第2の核タンパク質プライマーという)を形成させる。
第2に、第1および第2の核タンパク質プライマーを鋳型核酸に接触させ、二本鎖構造を第1の鎖の第1の部分、および第2の二本鎖構造を第2の鎖の第2の部分に形成させる。2種類のプライマーは、図6Aに示すように、ハイブリダイズするとき、これらが互いを指向するように設計する。あるいはまた、プライマー1およびプライマー2は、図6Bに示すように、異なる標的核酸にハイブリダイズし得る。
第3に、核タンパク質プライマーを、それらの3’末端で伸長させ、第1および第2の二本鎖核酸を生成させる(図7A)。プライマーが異なる標的核酸にハイブリダイズする場合、プライマーの伸長により被置換鎖が生成する(図7B)。この場合、プライマー伸長により生じた2つの被置換鎖がハイブリダイズし、新たな二本鎖鋳型核酸を形成し得る(図7C)。
工程2および3は、所望の増幅度に達するまで反復される。このプロセスは、標的核酸へのプライマーハイブリダーゼーションおよび伸長を連続的に進行させることが可能である点で、動的なプロセスである。本発明の利点の1つは、増幅が、反応の開始後、温度サイクルまたは酵素添加を必要とせずに、連続的に行なわれることである。
一実施形態では、工程2および3を少なくとも5回反復する。好ましくは、少なくとも10回反復する。より好ましくは、少なくとも20回、例えば、少なくとも30回反復する。最も好ましくは、この2つの工程を少なくとも50回反復する。増幅工程(例えば、工程2および3)の複数回反復のため、本発明のRPAは、好ましくは、プライマー/標的核酸比は少なくとも100:1、好ましくは少なくとも300:1、最も好ましくは少なくとも1000:1で開始する。すなわち、標的核酸の1回コピーにつき、少なくとも100、300または1000コピーのプライマーが存在する。
任意選択の工程において、全体的な増幅効率を増大させるため、充分なラウンドの増幅後、一定時間後、さらなる成分を反応に加えてもよい。一実施形態では、このさらなる成分は、以下の:リコンビナーゼ因子、1種類以上のプライマー、ポリメラーゼ、および1種類以上のさらなる因子(以下の別のセクションに記載)のうちの1種類以上のであり得る。
好ましい実施形態では、少量割合の第1のRPA反応物が、後続のラウンドまたはRPA増幅のための鋳型DNAの供給源として用いられる。この方法では、第1のRPA増幅反応は、標的核酸上で行なわれる。第1のRPA反応後、全反応物の少量割合が、後続のラウンドのRPA反応のための標的核酸の代用として用いられる。その割合は、例えば、第1の反応物の約10%未満であり得る。好ましくは、その割合は第1の反応物の約5%未満であり得る。より好ましくは、その割合は第1の反応物の2%未満であり得る。最も好ましくは、その割合は最初の反応物の1%未満であり得る。
RPAに使用されるプライマーは、好ましくはDNAであるが、PNAおよびRNAもまたプライマーとしての使用に好適である。実際には、DNA複製では、DNAポリメラーゼは、ゲノムDNAをRNAプライマーから伸長させることに注意されたい。
合成オリゴヌクレオチドは、DNAプライマーとしての機能を果たし得、RecAまたはそのホモログによる核タンパク質フィラメントの形成のための基質として使用され得る。15ヌクレオチド程度の短い配列は、二本鎖DNAを標的化することができる(Hsieh et al.,1992)。かかるオリゴヌクレオチドは、標準的なホスホロアミデート化学合成法または他の方法に従って合成され得る。場合によっては、修飾塩基および/またはリンカー主鎖化学合成法が望ましく、機能的であり得る。さらに、オリゴヌクレオチドを、その末端の5’または3’のいずれかに、種々の目的の機能を果たす基、例えば、蛍光基、消光剤、保護(ブロック)基(可逆性またはそうでない)、磁性タグ、タンパク質などで修飾してもよい。場合によっては、単鎖オリゴヌクレオチドは、鎖侵入のために使用され得、別のある場合では、部分的のみ単鎖核酸が、使用され得る(侵入性核酸の配列の5’伸長鎖が既にオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしている)。
本発明の別の実施形態では、プライマーは、標的核酸に相同でない5’領域を含み得る。本発明の方法は、プライマーが標的核酸に完全に相補的でない場合であっても、機能的であるばずであることに注意されたい。プライマーは、さらなる配列をその5’末端に有することにより非相補的であり得る。このようなさらなる配列は、例えば、制限エンドヌクレアーゼ認識部位の配列または配列決定プライマーに相補的である配列であり得る。制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、増幅された配列のその後の切断に有用であり得る。制限エンドヌクレアーゼ認識部位の外側の核酸を切断する制限エンドヌクレアーゼの使用もまた想定される。配列決定プライマーに相補的である配列は、市販のプライマーまたは市販の配列決定装置を用いた増幅産物の迅速なDNA配列決定を可能にし得る。
核タンパク質フィラメントの形成は、ATP、ならびに補助タンパク質(例えば、RecO、RecRおよびRecF)、またはT4タンパク質の場合はuvsYの存在下での、RecAタンパク質またはそのホモログとのプライマー(オリゴヌクレオチド)のインキュベーションによって行なわれ得る。37℃で、RecAバッファー(20mM Tris−HCl pH 7.5、10mM MgCl、2mM ATP、2mM DTTおよび100μg/mlウシ血清アルブミン)中にてインキュベートすると、RecAは、らせん状フィラメントをssDNA上に形成し、6個のプロトマー/1巻きを有する。該DNAは、該タンパク質らせんの内部に位置する。dsDNAの存在下では、RecA/ssDNA核タンパク質フィラメントは、少なくとも10bp/時間の速度でDNAをスキャンし得る。スキャニングの様式は明らかでないが、(>10bp/秒)の速度であり、これは、主溝の一側面に沿って容易に接近し得るわずかに数塩基対の初期物質のみを含むものであり得る。成功裏の結合は、三重らせん状中間体への移行をもたらし得、これは、次いで、鎖侵入および置換が続き、Dループが形成される。かかる連結分子は、らせん状フィラメントの形成について上記のものと同様の条件下で形成され得、したがって、ssDNA、相同なdsDNA、RecA、ATP、補助タンパク質ならびに好適なバッファー条件および温度条件の存在下では、連結分子が自発的に形成される。ATPが使用される場合、合成は、可逆的であり平衡に達するが、RecA/ssDNAフィラメントは、SSBの存在下であっても、補助タンパク質RecOおよびRecRによって安定化され得る。あるいはまた、T4 uvsXタンパク質は、uvsYタンパク質の存在下で安定化され得る。耐熱性タンパク質の場合、インキュベーションの温度は、より高温であり得る。ATPの継続的な供給が必要とされる場合、標準的なATP再生系を反応物中に含めてもよい。
DNAポリメラーゼは、侵入性鎖の遊離3’−ヒドロキシルを用い、新たなヌクレオチドの組込みによりDNA合成を触媒し得る。いくつかのポリメラーゼは、侵入性鎖の3’−ヒドロキシルを用いて合成を触媒し、同時に、合成が起こるにつれて他の鎖に置換し得る。例えば、大腸菌ポリメラーゼIIまたはIIIは、侵入されたDループを伸長させるために使用され得る(Morel et al.,1997)。また、大腸菌内のSOS−損傷−標的化変異に通常使用される大腸菌ポリメラーゼVが使用され得る(Pham et al.,2001)。このようなポリメラーゼはすべて、それらの相互作用およびβ−二量体クランプ、ならびに単鎖DNA結合タンパク質(SSB)および他の成分との協同により高度に連続的合成能となり得る。また、原核生物、ウイルスおよび真核生物由来の他のポリメラーゼも、侵入性鎖を伸長させるために使用され得る。
本発明の別の実施形態では、プライマーは、部分的に二本鎖、部分的に単鎖で少なくとも1つの単鎖は3’突出端であり得る。この実施形態では、図8Aに示すように、プライマーは侵入性鎖および非侵入性鎖を含み得る。この場合、侵入性鎖が標的DNAにハイブリダイズして伸長された後、これは、図8Bに示すように、第2のプライマーの標的核酸としての機能を果たす。第2のプライマーの伸長により、図8Cに示すように、非侵入性鎖が置換され得る。この実施形態では、標的核酸が増幅されるにつれて、プライマー1の非侵入性鎖が置換される。プライマー1およびプライマー2の両方が部分的に二本鎖プライマーである場合、標的核酸が増幅されるにつれて、プライマー1およびプライマー2の両方の非侵入性鎖が溶液中に蓄積される。
本発明の一実施形態では、RPA反応において少なくとも2つのプライマーが、部分的に二本鎖および部分的に単鎖であり、各々は、二本鎖領域を形成するのに充分に相補的な配列を有する侵入性オリゴヌクレオチド鎖と非侵入性オリゴヌクレオチド鎖とのハイブリダーゼーションによって生成される。好ましくは、この2つのオリゴヌクレオチド鎖は、関連する領域にわたって充分に相補的であり、RPA反応条件において二本鎖構造を形成し得る。
本発明の一実施形態では、プライマー(単鎖および部分的に二本鎖プライマーを含む)は、検出可能な標識で標識されている。蛍光消光剤もまた、検出可能な標識とみなされることに注意されたい。例えば、蛍光消光剤を蛍光色素に接触させ得、消光の量を検出する。検出可能な標識は、伸長反応を妨げないようなものでなければならない。プライマーが、侵入性鎖および非侵入性鎖を有する部分的に二本鎖である場合、検出可能な標識は、侵入性鎖の伸長反応を妨げ得ないような様式で結合されていなければならない。部分的に二本鎖プライマーの非侵入性鎖は伸長されないため、非侵入性鎖の標識に対して制限はないが、唯一の例外は、非侵入性鎖上の標識が侵入性鎖の伸長反応を妨げてはならないことである。標識されたプライマーは、増幅産物のより迅速な検出という利点をもたらす。また、非組込み標識、すなわち、伸長されていない標識オリゴヌクレオチドの検出は、反応の状態のモニタリングを可能にする。
RPA反応のモニタリングは、例えば、一部の割合のRPA反応物の取り出し、非組込み画分の単離、および非組込みプライマーの検出を伴い得る。非組込みプライマーのサイズは50bp未満、40bp未満、30bp未満または25bp未満であり得、増幅産物のサイズは1Kb超、2Kb超、5Kb超または10Kb超であり得るため、組込みプライマーと非組込みプライマーとの間に大きなサイズ差がある。非組込みプライマーの単離は、サイズ排除クロマトグラフィー、例えば、スピンカラムなどを用いて速やかに行なわれ得る。プライマーが標識されている場合、スピンカラムおよび測定(例えば、蛍光または放射能)を含むモニター手順が1分未満で行なわれ得る。伸長されたプライマーを未伸長プライマーから分離するための別の方法は、PAGEの使用を伴う。例えば、伸長されたプライマーは未伸長プライマーから、ゲル電気泳動によって5分間未満で分離され得る。伸長されたプライマーを分離するためのまた別の方法は、固定化されたオリゴヌクレオチドの使用を伴う。例えば、増幅されたDNA配列内に特有に見られる配列に相同なオリゴヌクレオチドが、プライマー伸長によって特異的に生成された核酸を捕捉するために使用され得る。このような捕捉オリゴヌクレオチドは、チップまたは他の基材上に固定化させてもよい。捕捉オリゴヌクレオチドによる伸長されたオリゴヌクレオチドの捕捉は、必要により、RecAタンパク質媒介法、または伝統的な溶液ハイブリダーゼーションによって行なわれ得る。
本発明の別の実施形態では、二本鎖プライマーは、プライマーの2つの鎖の分離が検出され得るように標識され得る。上記のように、多数回のラウンドの伸長後、部分的に二本鎖プライマーの侵入性鎖および非侵入性鎖は分離される。この分離後、非侵入性鎖は、RPA反応に関与しない。この特性が、いくつかの様式で、RPA反応を検出およびモニターするために使用され得る。
この適用いおいて、検出可能な標識は、蛍光標識または酵素であり得、そして標識消滅剤(標識インヒビターともいう)は蛍光消光剤または酵素阻害剤であり得る。このような場合では、標識は、蛍光または酵素阻害によって検出される。標識の検出可能性は、蛍光標識が使用される場合は蛍光であり得、酵素が使用される場合は、酵素活性であり得る。
第1の方法では、侵入性鎖が標識で標識されたものであり得、非侵入性鎖が、検出可能な標識消滅剤で標識されたものであり得る。部分的に二本鎖プライマー上の標識消滅剤(標識インヒビター)の付近の標識は、高度に検出可能でないものであり得る。RPA後、侵入性鎖は非侵入性鎖から分離され得、したがって、標識および標識消滅剤は分離され得る。この分離は、標識をより検出可能にし得る。したがって、検出可能な標識の量の増加の測定により、RPA反応がモニターされ得る。
第2の方法は、侵入性鎖が標識消滅剤で修飾され、一方、非侵入性鎖が標識が修飾される以外は、第1の方法と同様である。次いで、RPAを進行させ、標識が標識消滅剤から分離されるという結果(方法1と同じ)を伴う。したがって、標識の全体的な検出可能性が増大し得る。
第3の方法は、二本鎖プライマーの一方の非侵入性鎖を標識で標識することを含む。また、第2の二本鎖プライマーの非侵入性鎖を標識消滅剤で標識する。2つの非侵入性鎖は、互いに相補的となるように設計する。この構成では、RPA反応は、最初は蛍光である。RPA反応が進行するにつれて、2つの非侵入性鎖は置換されて分離し、これらは、相補的となるように設計されているため、互いにハイブリダイズする。これらがハイブリダイズする場合、標識および標識消滅剤が互いに接近され、反応の蛍光が減少する。RPA反応の進行は、標識検出可能性の減少をモニターすることにより測定され得る。
第4の方法では、第1および第2の二本鎖プライマーの非侵入性鎖が第1の標識および第2の標識で標識される。また、2つの非侵入性鎖は、互いに相補的となるように設計される。第3の方法のように、RPA後、2つの非侵入性鎖は互いにハイブリダイズして、2つの標識の近接がRPA反応の進行を反映する。2つの標識の近接は、例えば、直接観察または非侵入性鎖の単離によって測定され得る。上記のように、プライマーおよび他の低分子核酸の単離は、サイズ排除カラム(スピンカラムを含む)またはゲル電気泳動によって行なわれ得る。
本発明の別の実施形態では、プライマーの一方または両方の非侵入性鎖は、第2の領域核酸に相同であり、そのため、プライマーは、核酸の第2の領域にハイブリダイズしてプライマーDNA合成を行ない得る。この方法を用い、第1のRPAのプライマー由来の非侵入性鎖を用いる第2のRPA反応が開始され得る。第2のRPAの産物をモニターし、第1のRPAの進行が測定され得る。
本発明のまた別の実施形態では、非侵入性鎖は、非侵入性鎖の配列に特異的なバイオセンサーによって検出される。例えば、バイオセンサーは、非侵入性鎖に相補的な核酸配列を有する表面であり得る。バイオセンサーにより、非侵入性鎖の結合に起因する特性がモニターされ得る。この特性は検出可能な標識であり得る。
任意の本発明の方法に好適な検出可能な標識としては、酵素、酵素基質、補酵素、酵素阻害剤、蛍光マーカー、発色団、発光マーカー、放射性同位体(例えば、放射性ヌクレオチド)、および結合対の一構成員が挙げられる。より具体的な例としては、フルオレセイン、フィコビリンタンパク質、テトラエチルローダミン、およびβ−galが挙げられる。結合対としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、抗原/抗体、リガンド/レセプター、ならびに該結合対のアナログおよび変異が挙げられ得る。
本発明のリコンビナーゼ因子は、RecA、uvsX、RadA、RadB、Rad51、またはこれらのタンパク質の機能的アナログもしくはホモログであり得る。所望により、リコンビナーゼは温度感受性(本明細書において「ts」という)リコンビナーゼ因子であり得る。tsリコンビナーゼが使用される場合、RPA反応は、ある1つの温度(許容温度)で開始され、別の温度(非許容温度)で終了し得る。許容温度の組合せは、例えば、25℃/30℃、30℃/37℃、37℃/42℃などであり得る。好ましい実施形態では、tsタンパク質は可逆的である。可逆的tsタンパク質の活性は、非許容温度から許容温度にシフトされると、回復される。
好ましい実施形態では、RPAは、ATP、ATPアナログ、または別のヌクレオシド三リン酸の存在下で行なわれる。ATPアナログは、例えば、ATPγS、dATP、ddATP、または別のヌクレオシド三リン酸アナログ(例えば、UTP)であり得る。
RPA反応物に添加され得る他の有用な試薬としては、ヌクレオチド三リン酸(すなわち、dNTP、例えば、dATP、dTTP、dCTP、dGTPならびにその誘導体およびアナログ)およびDNAポリメラーゼが挙げられる。リーディング/ラギングRPAに有用な他の有用な試薬としては、NTP(ATP、GTP、CTP、UTPならびにその誘導体およびアナログ)が挙げられる。RPA反応の利点の1つは、使用されるポリメラーゼの類型に対して制限がないことである。例えば、真核生物および原核生物の両方のポリメラーゼが使用され得る。原核生物のポリメラーゼとしては、少なくとも、大腸菌pol I、大腸菌pol II、大腸菌pol III、大腸菌pol IVおよび大腸菌polVが挙げられる。真核生物のポリメラーゼとしては、例えば、pol−α、pol−β、pol−δ、およびpol−εからなる群より選択されるマルチプロテインポリメラーゼ複合体が挙げられる。
本発明の別の実施形態では、RPA法は、ポリメラーゼプロセッシング性または忠実度を改善するために、アクセサリー成分の存在下で行なわれる。真核生物および原核生物の両方のアクセサリー成分が使用され得る。好ましくは、アクセサリー成分は、大腸菌由来のアクセサリータンパク質である。有用なアクセサリータンパク質としては、単鎖結合タンパク質、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、およびリゾルベースが挙げられる。他の有用なアクセサリータンパク質としては、大腸菌β−二量体スライディングクランプ、真核生物のPCNAスライディングクランプおよびT4スライディングクランプgp45からなる群より選択される、スライディングクランプが挙げられる。他のアクセサリー成分としては、β−クランプ、DnaXクランプ負荷体およびポリメラーゼコア複合体からなるDNAポリメラーゼIIIホロ酵素複合体が挙げられる。さらに他のアクセサリー成分としては、RuvA、RuvB、RuvC、およびRecGが挙げられる。さらなる成分の使用により与えられる特性により、PCRなどの現行の方法で以前は成功裏に標的化されなかった大きなDNAの増幅が可能となり得る。
別の実施形態では、RPAは、リコンビナーゼ/ssDNA核タンパク質フィラメントを安定化させるために使用される因子の存在下で行なわれる。例えば、該因子は、RecR、RecO、RecF、もしくはこれらのタンパク質の組合せ、またはT4成分が使用される場合は、T4 uvsYタンパク質であり得る。また、生化学的相互作用を好都合な様式で調節するために分子クラウディング剤が使用され得る。他の有用な因子としては、PriA、PriB、DnaT、DnaB、DnaC、およびDnaGが挙げられる。
本発明の利点の1つは、RPA反応が、PCR反応と比べて低い温度で行なわれ得ることである。例えば、RPA法は20℃〜50℃で行なわれ得る。好ましくは、RPA法は45℃未満で行なわれる。より好ましくは、RPA法は40℃未満で行なわれ得る。さらにより好ましくは、RPA法は35℃未満で行なわれ得る。最も好ましくは、RPA法は30℃未満で行なわれ得る。RPA法がこのような低い温度で行なわれ得る理由の1つは、RPAが、鋳型核酸の温度誘導性融解なしで行なわれ得るからである。さらに、PCRとは異なり、絶対温度の制御は必要でなく、温度は、RPAに有害に影響することなく変動し得る。例えば、変動の量は、上記規定の温度範囲内の任意の点であり得る。また、二本鎖DNAの融解に必要な温度も、本発明の方法には存在しない不都合点である早期の酵素不活化に寄与する。
RPAは、遺伝子型の有無を試験するために行なわれ得る。試験対象の遺伝子型は、疾患または疾患に対する素因と関連し得る。あるいはまた、遺伝子型は、正常な表現型または疾患に対する特別な抵抗性を付与する表現型と関連し得る。上記に開示した遺伝子型は、任意の標準的な遺伝子バリアント、例えば、点変異、欠失、挿入、逆位、フレームシフト変異、交差事象、または遺伝子配列の多重コピーの有無(例えば、ミニ染色体の存在)であり得る。
遺伝子型を検出する方法の1つは、RPA反応においてプライマー対間の間隔を検出することである。プライマー対間の間隔は、増幅された配列のサイズを反映する。該方法では、2種類のプライマーが、標的領域(例えば、遺伝子など)全体に存在するように選択される。次いで、RPAを、プライマー対を用いて行ない、RPA産物を解析する。解析は、増幅産物のサイズまたは配列の測定を伴い得る。DNA配列のサイズの測定方法としては、少なくとも、アガロースゲル、PAGEゲル、質量分析、パルスフィールドゲル、遺伝子チップ、スクロース沈降などの手法が挙げられ、公知である。多くのDNA配列決定方法およびそれらのバリアントがあり、例えば、ジデオキシ末端および変性ゲル電気泳動を用いるSanger配列決定(Sanger,F.,Nichlen,S.& Coulson,A.R.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75,5463−5467(1977))、化学的切断および変性ゲル電気泳動を用いるMaxam−Gilber配列決定(Maxam,A.M.& Gilbert,W.Proc Natl Acad Sci USA 74,560−564(1977))、ピロ配列決定検出(DNAポリメラーゼ反応中、ピロリン酸塩(PPi)が放出される)(Ronaghi,M.,Uhlen,M.& Nyren,P.Science 281,363,365(1998))、およびオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダーゼーションによる配列決定(SBH)(Lysov,L,Florent’ev,V.L.,Khorlin,A.A.,Khrapko,K.R.& Shik,V.V.Dokl Akad Nauk SSSR 303,1508−1511(1988);Bains W.& Smith G.C.J.Theor.Biol 135,303−307(1988);Drnanac,R.,Labat,L,Brukner,I.& Crkvenjakov,R.Genomics 4,114−128(1989);Khrapko,K.R.,Lysov,Y.,Khorlyn,A.A.,Shick,V.V.,Florentiev,V.L.& Mirzabekov,A.D.FEBS Lett 256.118−122(1989);Pevzner P.A.J Biomol Struct Dyn 7,63−73(1989);Southern,E.M.,Maskos,U.&Elder,J.K.Genomics 13,1008−1017(1992))である。
遺伝子型の検出方法の1つは、特定の遺伝子型に特異的であるプライマーを用いることである。例えば、プライマーは、ある1つの遺伝子型が効率的に増幅されるが、別の遺伝子型は非効率的か全く増幅されないように設計され得る。一実施形態では、プライマーは、ある1つの遺伝子型(例えば、遺伝的疾患の遺伝子型)に相補的であるが別の遺伝子型(例えば、正常な遺伝子型)にはそうでない3’配列を含み得る。
測定された対象の遺伝子型は、疾患、例えば、活性化された癌遺伝子存在;ハンティングトン疾患の遺伝子の存在または抗癌遺伝子の非存在などを示すものであり得る。
プライマーの3’塩基は、RPA反応の特異性および効率の決定に特に重要である。プライマーは、3’塩基が、ある1つの遺伝子型に相補的であるが、別の遺伝子型には相補的でないように設計され得る。これにより、ある1つの遺伝子型の効率的なRPAおよび第2の遺伝子型の非効率的なRPA(あれば)が可能になる。この方法は、プライマー対の一方のプライマーのみが、異なる表現型(異なる増幅効率を有することにより)を識別し得る場合に有効であることに注意されたい。好ましい実施形態では、RPA反応において両方のプライマーが異なる遺伝子型を識別し得る。この上記の例では、プライマーは、その3’末端の1つの塩基によって、ある1つの遺伝子型に相補的であるが、第2の遺伝子型には相補的でない。好ましい実施形態では、プライマーは、その3’末端の少なくとも1つの塩基によって第2の遺伝子型に相補的でない。好ましくは、プライマーは、その3’末端の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の塩基によって第2の遺伝子型に相補的でない。最も好ましくは、プライマーは、完全に非相補的であるか、第2の遺伝子型にハイブリダイズし得ないが、第1の遺伝子型にはハイブリダイズし得る。
上記の方法の一部では、増幅産物の有無は、遺伝子型の有無の表示を提供する。このような場合、RPA反応は、本明細書に至るところに記載した方法によってモニターされ得る。
好ましい実施形態では、遺伝子型特定のためのRPA反応では、患者の遺伝子型に関係ない配列が増幅される。しかしながら、患者の遺伝子型は、増幅された配列の特徴を改変する。例えば、増幅され配列は、異なるサイズ、または別の遺伝子型ではなく、ある1つの遺伝子型のための配列であり得る。このように、RPA反応は、増幅反応が成功裏に行なわれたこと示すための内部対照を含有する。当然、1種類以上のさらなる対のプライマーを、RPA反応の実施の対照としてを含むRPA法も想定される。
別の実施形態では、RPA反応は、核酸分子の有無を測定するために使用され得る。
核酸分子は、任意の生物に由来し得る。例えば、試料の微生物組成が、種々の微生物の核酸に指向される一連のRPA反応を用いることにより測定され得る。RPAは、微生物の検出に特に有用である。一実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、寄生虫および真菌から選択される。さらなる実施形態では、病原体は、インフルエンザ、風疹、水痘−帯状疱疹、肝炎A、肝炎B,他の肝炎ウイルス、単純疱疹、ポリオ、天然痘,ヒト免疫不全ウイルス、ワクシニア、狂犬病、エプスタイン−バー、レトロウイルス、およびライノウイルスから選択されるウイルスである。別の実施形態では、病原体は、大腸菌、ヒト結核菌、サルモネラ、クラミジアおよび連鎖球菌属から選択される細菌である。またさらなる実施形態では、病原体は、Plasmodium、Trypanosoma、Toxoplasma gondii、およびOnchocercaから選択される寄生虫である。しかしながら、本発明を上記の特定の属および/または種に限定することを意図しない。
ここに、本発明者らは、RPAによるDNAの効率的な増幅を可能にする反応条件の規定を補助するデータを提示する。
(単鎖DNA結合タンパク質)
単鎖DNA結合タンパク質は、RPA反応に必要とされる。このようなタンパク質は単鎖DNAに結合し、二次構造を解き、放出鎖置換を助長し、分枝の移動を抑制する。RPAでは、それらの活性が、いくつかの異なる期(フェーズ)において必要とされる。本発明者らは、2種類の単鎖DNA結合タンパク質の大腸菌SSBおよびバクテリオファージT4 gp32の活性を調べた。T4 gp32は、本発明者らの手技で最も有用であることが示された。さらにまた、本発明者らは、ヘキサヒスチジン(ヒス)ペプチドタグをN末端またはC末端に含めることにより、このタンパク質のいくつかの異なる形態を作製し、先に記載されたいくつかの点変異を調べた。gp32改変体の活性を図21に概略的に示す。
(gp32の改変体形態)
T4 gp32タンパク質は、RPA反応に潜在的に有用ないくつかの特徴を有する。主なgp32は、比較的小さなDNA結合部位(8〜10ヌクレオチド)を有し、広範囲の塩濃度下で同様の結合特性を示し、モノマー間で高い(制限のない)協同性を示す(Scheerhagen et al.,J Biomol Struct Dyn.1986 Apr;3(5):887〜98;Kuil et al.,Biophys Chem.1988 Dec;32(2−3):211〜27)。対照的に、大腸菌SSBタンパク質は、塩濃度に伴って変化するいくつかの異なるDNA結合様式を有し、これらはすべて比較的大きなDNA結合部位(32、56または65ヌクレオチド)を有し(Ferrari et al.,J Mol Biol.1994 Feb 11;236(1):106〜23)、複雑な協同性挙動が存在する(LohmanおよびFerrari,Annu Rev Biochem.1994;63:527−70)。合成オリゴヌクレオチドを用いる場合、放出鎖の初期サイズは小さいため、本発明者らは、gp32タンパク質の特性はRPAに最適であろうと推論した。本発明者らは、N−末端ヒスタグを有するgp32(gp32(N))を発現させ、精製した。最初の実験では、本発明者らは、gp32(N)が、大腸菌recAリコンビナーゼと異種系で合わせた場合であっても、大腸菌SSBタンパク質と少なくとも同程度に機能することを見出した(図12)。これは、gp32がモノマーサブユニットの間で極めて高い協同性を示し、recAは、そのgp32の存在下でオリゴヌクレオチド結合に関して有効に競合し得ることは起こりえないようであったので、驚くべき結果である。しかしながら、本発明者らがgp32(N)の挙動を非タグ化gp32比較した場合、本発明者らは、これら2種類のタンパク質は、等価な挙動を示さないことを見出した。N−末端ヒスタグは、モノマー間の協同性に必要とされる場合、gp32タンパク質の「B」ドメインに直接隣接するため、本発明者らは、gp32(N)が協同性を減衰させたにちがいないと推論した。従って、本発明者らは、C−末端ヒスタグを有するgp32タンパク質(gp32(C))を作製し、そして3位のリシンからアラニンへの変化(K3→A)、または4位のアルギニンからグルタミンへの変化(R4→Q)もしくは4位のアルギニンからトレオニンへの変化いずれか(R4→T)を有する以前に公表された変異体に従うgp32(C)の点変異形態を、作製した(図21)。このような3種類の点変異タンパク質は、漸減する協同性を示す(図22)(Villemain,et al.J Biol Chem.2000 Oct 6;275(40):31496−504)。本発明者らは、これらのタンパク質の能力を2つの異なる濃度で、線状化した鋳型に対して、侵入/伸長反応を補助するために、バクテリオファージT4 uvsXタンパク質および大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片との組合せで試験した(図22)。まず、本発明者らは、gp32(C)が、いずれの濃度でも他のgp32改変体よりもずっと少ない産物をもたらすこと(図22でgp32(N)と比較)およびこの産物が、gp32(N)とは対照的にもっぱら完全長であることに注目する。本発明者らは、これらの結果を一連の点変異対立遺伝子により得られたの結果と比較した場合、gp32(N)タンパク質が、gp32(C)R4→T(これは、協同性が有意に減衰されたと報告された)で得られたプロフィールに非常に類似することに注目した。これは、gp32(N)のN末端ヒスタグが、Bドメインの機能を点変異と同様の様式で妨げることを示唆する。
いくつかの他の関連の観察結果がある。第1に、最大の協同性、すなわち、gp32(C)>gp32(C)K3Aを示すと考えられているタンパク質は、あまり産物を産生しないようである。第2に、gp32(C)およびgp32(C)K3Aについて、より少ない一本鎖結合タンパク質タンパク質を使用した場合により多くの増幅産物が生成され、このことは、より多くのタンパク質を使用する場合にラン−オンアッセイにおいてより多くの産物を生成するgp32(N)およびgp32(C)R4Tとは対照的である。総合すると、このような観察結果は、ある説明を示す。gp32種は、徐々により協同性となる場合、オリゴヌクレオチドに対してより安定なフィラメントを徐々に形成し、リコンビナーゼが負荷する(load)ことを徐々により困難にする。従って、協同性が最も高いgp32種が用いられると、リコンビナーゼを負荷したフィラメントの利用可能性が大いに制限される。gp32の濃度が上昇する場合、リコンビナーゼが負荷することは、gp32単鎖DNA結合活性によってさらに抑制される。これと一致して、gp32の協同性が漸減するにつれて、増幅産物の量が増加する。このことは、リコンビナーゼで被覆されたフィラメントの形成の実質的な増加と一致する。比較的非協同性gp32モノマーは、オリゴヌクレオチドを被覆する可能性が低く、リコンビナーゼuvsXがその代わりに種を供給する(seed)のを可能にする。本発明者らは、gp32(N)およびgp32(C)R4Tの場合、DNAラン−オンアッセイにおいて、gp32(N)またはgp32(C)R4Tが増加するにつれて、より多くの産物が生成されることに注目する。この対照は、より多くの協同性gp32改変体を用いた結果である。可能性の1つは、鎖交換反応の間またはその反応後、組換えおよび合成中間体を安定化させるためにgp32が必要とされることである。これが起こり得るのは、gp32協同性が非常に減衰されて、もはや反応のこれらの態様に関与しなくなり得るため、またはリコンビナーゼがgp32の漸増から外れて(out−titrate)、反応を停止させるためである。増幅の結果 対 ラン−オンアッセイの結果の対照性は、協同性の最適量が、最も協同性gp32改変体が有する量より少ないものであり得ることを示す。従って、RPA変異gp32改変体(協同性の減衰を有する)では、これらが、より高レベルのリコンビナーゼ負荷を可能にするため、最も適切であり得る。しかしながら、gp32協同性の減衰は、gp32活性の少ない環境で起こり得るミスプライミング事象によって生じるノイズに対してバランスをとらなければならない。
最後に、7.5μgと15μgのgp32(C)K3Aを用いたとき、RPAにおいて生成される産物の量に実質的な差がある。7.5μgレベルは、より弱い協同性変異体を用いた結果により類似する。37℃で2時間保持した反応過程中、場合によって最も可能性が高いことは、反応物中、単鎖ラン−オン産物の量は、gp32がそれ以上有効には単鎖DNAを飽和しない点まで増加する。かかる状況では、2つのことが起こり得る。第1は、相同性検索フィラメントの数の急速な増加が、侵入速度の有意な上昇をもたらし得る。次いで、放出鎖を安定化させるgp32の欠如が、安定化されていないクレノウによる多くの不完全な伸長をもたらし、おそらく、より高速のバブル移動をもたらし、新生鎖を鋳型から分離させ得る。従って、より多くの合成鎖が完全長となり得なくなる。
(多重侵入/伸長反応におけるgp32機能のモデル)
本発明者らは、前に、recAおよびgp32(N)を伴う非相同性系では、所与の鋳型からの1回より多いサイクルの侵入および伸長を可能にするためにポリエチレングリコールが必要とされることに注目した。ここでは、本発明者らは、この観察結果を合理的に説明し、なぜ、複数回のDNA末端標的化が、特異的型の単鎖DNA結合タンパク質を必要とするのかを説明するためのモデルについて記載する。gp32活性が、鎖交換プロセス中に放出鎖を安定化させるために必要であることは明白である。これが起こらなければ、リコンビナーゼが分解されるにつれて、放出鎖がその相補鎖と再ハイブリダイズし、侵入オリゴヌクレオチドと置換される。鎖交換後、単鎖DNA結合タンパク質に対して異なる要件を出し得る2つの状態のうちの1つ状態で、放出鎖が存在し得る。これらの2つの状態は、一本鎖検索DNAと二本鎖標的DNAとの間の関係の結果として生じる。組換え事象が線状二本鎖DNAの一端まで延び得、そして放出鎖がその相補鎖から一端で完全に除去されることが可能ならば、放出鎖は、一端において非拘束的となる。この非拘束的状態では、インカミングDNA鎖およびその相補鎖を含む新規二本鎖が、巻き戻されてB形DNAを形成する。このことは、対合形成反応の間に標的DNAが侵入リコンビナーゼフィラメントの活性によって巻かれた状況にあるため、必要である。非拘束的放出鎖は、単鎖DNA結合タンパク質に容易に結合し得、これにより、分枝の移動が発生し、侵入鎖が除去されることが抑制される。
あるいはまた、組換え事象が、標的二本鎖の末端まで延びない場合(組み込まれた配列が標的化される場合に起こり得る)、放出鎖は、組換え領域の上流および下流相補鎖と物理的に連結されているため、位相的に拘束される。かかる中間体は非常に不安定である。なぜなら、新生された二本鎖が巻き戻され得ず、放出鎖もその周囲で巻き戻させないままであるからである。また、放出鎖は、両末端で拘束されているため、これは、エネルギー的に不安定であり、新規ハイブリッドは、相当伸びた鎖(strain)に置かれる。従って、この状況の単鎖DNA結合タンパク質の活性には、インカミング鎖を放出し、元の二本鎖を巻き戻す相当な駆動力があるため、さらに高度な要求が課される(図6)。
反復鎖侵入および線状DNA標的の伸長に有効な条件を確立するための取り組みにおいて、本発明者らは、少なくとも分配性ポリメラーゼ(例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIのKlenow断片)を用いた場合、線状配列の末端に標的化したオリゴヌクレオチドのみが、鋳型完全長まで容易に伸長されることに注目した。本発明者らは、特定の条件下で、例えば、recAをgp32(N)または大腸菌SSBとともに用いた場合、侵入と伸長とが1ラウンドだけ、各標的鋳型上で容易に起こり得ることを見出した。この観察は、いくつかの異なる環境下で起こり、完全に解放される放出鎖(らせん接合)または位相的に拘束される中間体(並行接合)のいずれかをもたらす、侵入事象の結果を考慮することにより理解され得る。最後に、本発明者らは、特定の他の条件であって、単一の鋳型からの複数回の侵入と伸長とに許容性のある、RPA反応の理想的に適した状況を特定した。本発明者らは、この観察を強化し、最適なRPA反応が設計され得る枠組みを構成するための本発明者らのデータに基づくモデルを提案する。このモデルは、異なる反応環境の下でgp32タンパク質の挙動を考慮し、gp32挙動を他の反応成分の効果とともに示す(図29)。
このモデルは、標的二重鎖の末端と、初めに標的に対して5’突出端を有する侵入オリゴヌクレオチドとの間の、組換え事象の性質および結果を概略的に示す。この状況は、本発明者らが試験した実験環境典型例である。この出発状況にもかかわらず、最初のサイクル以外のすべてのサイクルで、標的二重鎖DNAの5’末端に並ぶ5’末端を有する侵入オリゴヌクレオチドを含む。これを、本発明者らは、バックファイヤー合成と称する状態である。なぜなら、標的DNA相補鎖が、第1のラウンド中、伸長され得る3’末端を有して、その侵入プライマーの突出領域をコピーするからである。gp32(N)タンパク質(PEGの非存在下)を用いて行なった実験は、一旦標的が5’末端においてオリゴヌクレオチドに対して端を揃える(flush)と(すなわち第1ラウンド後)、後続の侵入/伸長サイクルは、非常に非効率となるか、またはまったく起こらないことを示す。初期の実験では、ラン−オン産物 対 出発鋳型についてほぼ等モル量を示すのみであった。なぜ、このようなことが起こったのか?。
本発明者らは、この再侵入/伸長のブロックは、侵入するオリゴヌクレオチドが、稀に完全にリコンビナーゼによって被覆されるため生じると考える。従って、標的の5’平滑末端への完全な交換もまた非常に稀に起こり、対応する放出鎖が拘束された状態のまま存在する(図13)。この交換は最初は不完全であり、中間体は不安定である。これは、位相的に拘束された放出鎖の存在下では、新たな二本鎖をB−DNAらせんへと弛緩させることが可能でないことに起因する。かかる不安定な中間体は、リコンビナーゼが取り外されるにつれて、元の二重鎖に巻き直し、侵入鎖を放出する傾向を有する。
しかしながら、本発明者らは、gp32(N)の存在下でポリエチレングリコールなどのクラウディング剤を含める場合、後続の侵入/伸長が起こることを見出した。1つの可能性は、このような条件下では、不安定な中間体が、gp32(N)によって一時的に安定化され、その結果、伸長が起こり得ることである。ポリエチレングリコールは、障害のあるgp32(N)の不充分な協同性を部分的にレスキューする用に作用し、他の場合では不安定なこれらの中間体の安定化を可能にする可能性がある。この結論は、N−末端にヒスタグを有するgp32が協同的に減衰されることを示す本発明者らのデータ、および分子間の相互作用の有効性を増強しこれによってモノマー間のより不十分な相互作用を部分的に構成するクラウディング剤の公知の能力の両方によって、支持される。本発明者らは、最初、この実験は、別途既報(Lavery PE,Kowalczykowski SC.J Biol Chem.1992 May 5;267(13):9307−14)のように、recAフィラメントがPEGの存在下でより十分になることを示すことにより最良に説明され得ると考えたが、このことは、行き止まり(dead−end)の1回ラウンドのみの侵入から、生産的な多重ラウンドの侵入/伸長への、観察されたスイッチングを充分に説明していないと考えた。
末端指向標的での完全長の多重ラン−オンのPEG刺激と、真に組み込まれた標的でのずっと不十分な活性との差は(図15)、上記に示したような中間体の一時的な安定化は、実質的な伸長をもたらすのに、単独では不十分であることを示す。これが、組み込まれた標的でのラン−オンアッセイの場合であれば、末端指向標的での再侵入において同様な機能が果たされるが、これはその場合ではない(図15)。あるいはまた、効率間の差は、gp32が中間体を一時的に安定化させると仮定することにより説明され得、その中間体においてインカミングオリゴヌクレオチドの5’伸長部は対合形成されておらず遊離であり、おそらく長さに依存してgp32で被覆さえされる。この未交換セグメントがgp32で被覆されていない場合、またはgp32が容易に解離し得る場合(これは、協同性のない場合であり得る)、オリゴヌクレオチドの最も5’側の部分は、分枝の迅速な移動により、対合形成されるようになり得る(図29、シナリオ1)。実際、DNA末端において、実際に組み込まれる配列と再侵入との間に差がある(図15)。組み込まれる標的に関して、放出鎖の非拘束的解放をもたらす二次的な分枝の移動は、末端が遠すぎるため起こり得ない。
従って、本発明者らは、小さなDNA結合サイズ、およびサブユニット間の高い協同性により、gp32タンパク質が、拘束された並行接合構造を充分な時間安定化させることによって複数の侵入伸長反応を可能にすることが、可能にされると結論付け得る。可能性のある種々の結果が存在する(図29)。最初は交換されなかった5’末端のオリゴヌクレオチドの最後の小さなセクションが、分枝の移動事象を介してハイブリダイズされるようになるか、または放出鎖上でのgp32の取り外しが、分枝の移動を介して侵入/伸長オリゴヌクレオチドが減少されるようになるを可能にする。あるいはまた、放出鎖上へのリコンビナーゼの負荷および再侵入により、インカミング鎖が放出される(バブル移動)。分枝の移動によるハイブリダイゼーションが起こると、拘束されない構造が生じ、これは、容易に安定化され伸長され得る。gp32の取り外しまたはバブル移動のいずれかが起これば、新たに伸長する鎖は、それが完全に伸長される前に消失するというかなりのリスクが存在する。大きな結合部位を有する単鎖DNA結合タンパク質(大腸菌SSBなど)、または乏しい協同性を有するもの(gp32(N)など)がPEGの非存在下で使用されると、一時的な安定化は起こらず、そして侵入オリゴヌクレオチドは、伸長されずに排出される。
従って、このモデル、および種々のg32形態の存在下でのリコンビナーゼ負荷フィラメントの頻度に関する初期の結論に基づき、本発明者らは、増幅反応の種々の要件を最良に満たす、リコンビナーゼとgp32分子の活性とのバランスが突き止められなけばならないと結論付ける。本発明者らは、RPA反応の異なる反応期における単鎖DNA結合タンパク質の必要性および効果について、以下のように、要約することができる。
(フェーズ(期)1)
単鎖DNA結合タンパク質は、リコンビナーゼ負荷が一貫して起こり得るように二次構造を解くことにより、リコンビナーゼ負荷のための単鎖DNAの調製を補助し得る。従って、単鎖DNA結合タンパク質の解く活性は望ましく、また、プライマーの非特異的アニーリングを止めること(silencing)において1つの役割を果たす。しかしながら、このことにもかかわらず、過剰のレベルのタンパク質および過剰の協同性は、侵入に利用可能なリコンビナーゼ負荷フィラメントの数を有意に減少させ得る。
(フェーズ2)
単鎖DNA結合タンパク質は、リコンビナーゼがバラバラになると、放出鎖を収集し、インカミングオリゴヌクレオチドの自発的排出を抑制する。
並行接合の不安定性とは、組み込まれた配列において侵入が起こることを意味し、オリゴヌクレオチド末端が二本鎖末端と端を揃えた(flush)(増幅のほとんどのサイクル中で起こり得る)場合を含む。これは、多くの状況で有意な協同活性が必要とされ得ることを意味する。一般に、このフェーズのこの反応は、高度に協同性の単鎖DNA結合タンパク質の余剰分から恩恵を受ける。
(フェーズ3)
単鎖DNA結合タンパク質は、DNA合成中に形成される、置き換えられる鎖に結合する。フェーズ2のように、この置き換えられる鎖は、非拘束であっても位相的に拘束されていてもよく、このような2つの環境は、単鎖DNA結合タンパク質に対して異なる要求を課す。
(フェーズ4)
RPA反応の特定の構成では、置換された単鎖の放出鎖は、パートナーオリゴヌクレオチドにハイブリダイズして後続の新たな二重鎖の生成を可能にしなければならない。多くの単鎖DNA結合タンパク質は、相補鎖がアニーリングするの抑制するが、T4 gp32タンパク質は、相補的DNAの再アニーリングを助長する。従って、バクテリオファージT4 gp32タンパク質は、このフェーズに理想的なタンパク質である。
(オリゴヌクレオチド長)
RPAで使用される比較的短い合成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、どれだけ有効にrecAまたは他のリコンビナーゼが使用され得るかを支持する証拠は、ほとんど発表されていない。また、かかる短いDNAオリゴヌクレオチドがリコンビナーゼにより能動的に負荷された状態で維持される、安定な反応環境が形成され得るか否かは明らかでない。recAを用いて行なわれる研究のほとんどでは、比較的大きな基質、例えば、単鎖形態および二本鎖形態のバクテリオファージM13ゲノム(数千残基)を、ドナーDNAおよびアクセプターDNAとして用いる。リコンビナーゼ活性の実験アッセイは、多くの場合、中間体の形成、または完結した組換え事象から構成され、電気泳動移動または電子顕微鏡によって測定される(Harris LD,Griffith J.J Biol Chem.1987 Jul 5;262(19):9285−92)。いくつかの実験では、短いオリゴヌクレオチドの使用が記載されている。15ヌクレオチドほどの短い配列は、非加水分解性補因子アナログATP−γ−Sの存在下で、recAとともに機能的相同性検索複合体を合成することが示されているが、短いオリゴヌクレオチドとATPとを組み合わせた調査は、明瞭でない(Hsieh P,Camerini−Otero CS,Camerini−Otero RD.Proc Natl Acad Sci U S A.1992 Jul 15;89(14):6492−6)。リコンビナーゼの相同性検索機能は、鎖交換を終了し侵入複合体から解放して、ポリメラーゼなどの他のDNA代謝タンパク質による接近を可能にするのには、必ずしも充分でとは限らない。実際、研究により、recAは、検索に必要とされる15ヌクレオチドよりかなり長いオリゴヌクレオチド長で、低ATP加水分解速度(DNA結合活性と機能的リコンビナーゼ活性との組合せの有用なインジケータ)と高加水分解速度との間での移行を示すことが示されている。さらにまた、ヌクレオチド補因子の型は、かかる加水分解の移行が起こる長さに影響するようである(Katz FS,Bryant FR.Biochemistry.2001 Sep 18;40(37):11082−9)。また、バクテリオファージT4 リコンビナーゼuvsXは、短いオリゴヌクレオチドに対して種々の特性を示すことが示されており、塩基組成に対していくらか感受性を示す(Formosa T,Alberts BM.J Biol Chem.1986 May 5;261(13):6107−18)。このことにも関わらず、uvsXおよびrecAはともに、ATPなどの加水分解性ヌクレオチドの存在下で、ほぼ30塩基対以上の単鎖基質により組換え事象行なうことができ、これは、かかる短い合成標的化オリゴヌクレオチドの使用が合理的であることを示す(Salinas F,Jiang H,Kodadek T.J Biol Chem.1995 Mar 10;270(10):5181−6;Formosa T,Alberts BM.J Biol Chem.1986 May 5;261(13):6107−18)。
線状化DNA標的の末端と相同性の33残基を有するオリゴヌクレオチドは、大腸菌のクレノウ断片によって伸長し得る対合形成中間体を形成し得る(図9)。この実験などは、33ヌクレオチド程度の短い相同性の長さは、ATPの存在下でリコンビナーゼ/ssDNAフィラメントを適切な標的に指向させ、完全な鎖交換を可能にするのに充分であることを示す。同様の結果が、バクテリオファージT4 uvsXタンパク質を用いた場合に見られる。
最小のオリゴヌクレオチド長の要件に加え、オリゴヌクレオチドが、組換えに必要とされる最小の長さを超えてかなり伸長された場合、少なくとも分布性ポリメラーゼが使用される場合、侵入/伸長効率の進行的な低下がみられ得る。可能性の1つは、リコンビナーゼ/ssDNAフィラメントの性質にある。リコンビナーゼにより被覆されたフィラメントは、リコンビナーゼがランダム種を組み込み(seed)、次いでそのフィラメントを5’−3’方向に伸長させると、5’範囲の被覆の分布があるため、その被覆まで種々の5’範囲を有する。ほぼ25〜30ヌクレオチド未満が被覆される場合、鎖交換には核タンパク質フィラメントが不十分であるので、組換えはほとんど起こり得ない。これより多くのものが被覆されると、組換えの観点からは潜在的に有益であるが、交換に必要とされる最小の長さを超えて10〜20より大きい残基が添加されると、益々より活性なフィラメントが充分な長さのDNAのリコンビナーゼを有して交換を可能にするが、gp32が結合するのに充分な5’非被覆DNAを維持し、このことは5’末端の協同性結合を介して、分枝の移動フェーズを抑制し得、放出鎖が非拘束的となるのを抑制し得る可能性がある。この考えと一致して、本発明者らは、複数回の侵入事象の刺激は、Tester(テスター)3 bioと比べてより長いオリゴヌクレオチドプライマーTester 1 bioオリゴヌクレオチドであまり明白でなかったことに注目する(図15)。これらのオリゴヌクレオチド間の唯一の差は、第1のものが、相同な最初の33残基の先に25個のさらなる突出端ヌクレオチドを有するが、第2のものは、15個だけのさらなる残基を有することである。この説明とは無関係に、この実験観察により、最適最大の長さが存在し得ることを主張する。
短い方のオリゴヌクレオチドが効率的なRPAに最良であると思われる他の理由がある。RPA反応に使用される比較的低温度では、オリゴヌクレオチドの安定な二次構造においてかなりの増加があり、また、プライマー対の間での不適切なハイブリダイゼーションの大きな可能性がある。単鎖DNA結合タンパク質が全体的に過剰であるにも関わらず、ATPの存在下でリコンビナーゼにより形成される核タンパク質フィラメントの不安定性によって示される反応の動的な性質は、タンパク質の存在する(オンである)オリゴヌクレオチドとタンパク質のない(オフである)オリゴヌクレオチドとの一定のサイクル移行、および非被覆の非保護のオリゴヌクレオチドについて、定常状態の濃度が存在し得ることを意味する。従って、短いオリゴヌクレオチドの使用は、所望されない分子内相互作用および分子間相互作用の可能性を低減させるはずである。
本発明者らのデータは、オリゴヌクレオチドの最適長が、30ヌクレオチド〜50ヌクレオチドの間にあること、および漸増的により大きいオリゴヌクレオチドは、侵入/伸長の速度を低下させ得ることを示す。しかしながら、オリゴヌクレオチドの長さを、検索オリゴヌクレオチドの3’領域内または5’領域内の二重鎖領域に適合するように延ばすことが望ましいこともあり得る。従って、本発明の一態様では、好ましいプライマー長は約30塩基〜約50塩基の間である。これらの基準の少なくとも1つに適合するプライマーサイズの例としては、30塩基〜45塩基の間、30塩基〜40塩基の間、30塩基〜35塩基の間、35塩基〜40塩基の間、40塩基〜45塩基の間、および45塩基〜50塩基の間のプライマーが挙げられる。上記で参照したプライマーサイズが好ましいが、30塩基未満の最適プライマー長を有するリコンビナーゼおよび/または単鎖結合タンパク質もまた可能であり、想定される。
(オリゴヌクレオチド組成、配列および単鎖/二本鎖特性)
(1)組成および配列)
インビトロDNA合成反応での使用、特にPCRにおける使用のためのオリゴヌクレオチドを設計するためのソフトウェアは、充分確立されている。RPA法の考慮事項は類似であり、オリゴヌクレオチドの融解温度の最適化、オリゴヌクレオチド内のヘアピン形成の回避、および所与の反応に存在する他のオリゴヌクレオチドとの相補性に対する選択が挙げられる。RPAは、比較的低温度で行なわれるため、かかる考慮事項は潜在的により重要になる。本発明者らは、RPA反応において伸長されたプライマー産物の蓄積を観察し、これは明らかに、鋳型非依存的でありそして使用するプライマーの組合せに依存的である。生成される異常産物のサイズは、これらがプライマー二量体であるか、または単一のオリゴヌクレオチドの自己プライミングの結果を示す。このような好ましくないプライマーアーティファクトは、PCRなどの他の方法でよく知られている。従って、好ましくない副反応が回避されるオリゴヌクレオチドプライマー対を設計することは重要である。本発明者らは、ヘアピンを形成し得るオリゴヌクレオチドは、RPA反応において誤って自己プライミングし得ることを観察した。
オリゴヌクレオチド配列設計の最適化の他に、プライマー二量体形成を低減または排除するためのさらなるアプローチがある。本発明者らは、反応ノイズが、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼを用いることによって有意に低減され得ることを観察した。これは、ミスプライミングが、ポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性によって短くなったオリゴヌクレオチドに起因し得ることを示す。従って、3’−5’エキソヌクレアーゼ編集(editing)活性、ピロホスホリル分解(pyrophosphorylysis)、または任意の他の同様の編集活性は、ノイズ源であり得る。エキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼの使用およびピロホスファターゼによるピロリン酸塩の除去に加え、最後の結合および/または最後から2番目の結合において非加水分解性主鎖を有する合成オリゴヌクレオチドの使用は、反応ノイズを低減するのに有益であり得る。代替的な主鎖が、相当な範囲の利用可能な化学物質、例えば、ホスホロチオレート、モルホリノ、ロックした(locked)核酸、またはペプチド核酸などから選択され得る。
(2)単鎖/二重鎖特性)
また、オリゴヌクレオチドの3’末端で異常伸長を阻止することも、ハイブリッドの形成に関して標的化オリゴヌクレオチドの3’領域と効率的に競合し得る短いコンペティターオリゴヌクレオチドを設計し、これを含めることによって達成され得る。このようなアプローチは、種々の様式で構成され得る。
1)標的化オリゴヌクレオチドの最も3’側の残基に対して完全が相補鎖を含む短い独立したオリゴヌクレオチドが使用され得る。このオリゴヌクレオチドは、反応温度で、中程度に効率的に標的化オリゴヌクレオチドとハイブリッドを形成し得るのに十分な長さであり得る。これは6〜15の間の残基長であり得る。この短いオリゴヌクレオチドは、その3’末端にブロック基(例えば、ジデオキシ糖または他の3’ブロック基)を有することにより伸長不能である。また、このオリゴヌクレオチドは、編集活性による3’−5’方向の塩基の除去を阻止するため、主鎖結合の最後および/または最後から2番目において非リン酸結合を必要とし得る。大部分のタンパク質被覆されていない標的化オリゴヌクレオチドは、この短いオリゴヌクレオチドと二重鎖を形成し得るが、これは、RPA反応の速度および効率を有意には減少させないはずである。第1に、低RPA反応温度では、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされていないオリゴヌクレオチドとの間に平衡が存在し得るため、常に、一群の利用可能な遊離した融解された標的化オリゴヌクレオチドが存在する。このオリゴヌクレオチドは、反応物中の他のランダム配列よりも良好なコンペティターであるため、他の一過的な相互作用対して好都合である。第2に、単鎖DNA結合タンパク質(例えば、recA、uvsX、gp32および大腸菌SSB)は、二重鎖DNAを融解する傾向にあり、従って、タンパク質が結合していない場合にハイブリッドがその反応温度で比較的安定であっても、それらのハイブリッドはオリゴヌクレオチドの単鎖部分に結合して二重鎖の領域へと協同的に伸長する場合に、その二重鎖の融解が起こる可能性があり、これによって二重鎖状態は、裸のオリゴヌクレオチド上にのみ存在する傾向にある。最後に、リコンビナーゼは、単鎖DNA領域と二本鎖標的との間で開始される鎖交換を、両DNAが二本鎖である領域の中へと伸長させる能力を有する。これは、ATP依存性の分枝の移動活性であるようである。総合すると、これらの考慮事項は、短い二本鎖領域は、RPA反応の速度を有意に低下させないはずであるが、その代わりに、標的化プライマーの3’領域への結合に関して、反応に利用可能な他のオリゴヌクレオチド配列よりも良好なコンペティターであることにより、タンパク質被覆されないオリゴヌクレオチドから生成されるプライマー二量体または他のアーティファクトの形成を抑制するように作用するはずであることを示す。エキソヌクレアーゼ欠損ポリメラーゼが使用される場合、このオリゴヌクレオチドを、最後の3’ヌクレオチドよりもむしろ、その最後から2番目において、そのオリゴヌクレオチドの最も5’側の塩基が対合するように設計することが、最適であり得る。なぜなら、多くのポリメラーゼが完全な平滑末端へとさらなる塩基を付加する傾向にあるからである。
2)第2のアプローチでは、標的化オリゴヌクレオチドは、最初の標的DNAには存在しない5’突出端を有し、この突出端は、同じ標的化オリゴヌクレオチドの3’末端の配列に正確な逆相補的であり、おそらく、最も3’側の塩基のみが対合形成していないままである(図35パートD)。この相補的オリゴヌクレオチドの長さは、比較的短いが、反応物中に存在する他のオリゴヌクレオチド配列よりずっとより良好なコンペティターであるのに充分長くなければならない。例えば、6〜10ヌクレオチドが最適であり得る。第1のアプローチについて上記のように、この構成は、任意の他の配列よりもずっとより効率的に自身に対してヘアピン構造を形成する、任意の非被覆オリゴヌクレオチドをもたらすことがあり得る。設計では、標的化オリゴヌクレオチドの5’末端ではなく、オリゴヌクレオチドの3’塩基または最後から2番目の3’塩基を、完全な塩基−対合形成環境に置くので、これは、末端が平滑である場合に多くのポリメラーゼによってしばしば触媒される単一の残基の添加以外では、伸長され得ない。この状況では、ポリメラーゼの編集活性を無処置のままにしておくのがよいことがあり得る。このようなヘアピン形成オリゴヌクレオチドは、タンパク質負荷フィラメントの活性を阻止することなく、裸のオリゴヌクレオチドの誤った活動を抑制し得る。
しかしながら、このアプローチを採用するためのいくつかの重要な考慮事項がある。第1に、リコンビナーゼ負荷が、二本鎖部分の初期融解なしで部分的に二本鎖の裸のオリゴヌクレオチドにおいて直接開始される場合、リコンビナーゼは、最適であり得るほど5’末端の近くまでは標的化オリゴヌクレオチドを伸長し得ない。第2に、増幅反応が第1のラウンドより多く継続される場合、先の合成ラウンドで生成された産物の能動的な置換があり、完全な置換が起これば、被置換鎖のまさに3’末端(これは、すぐ隣の配列に相補的である)は、ヘアピンとなり得、速やかに自己プライマーになる。このような迅速な自己プライミング事象は、DNA合成、および新規な二本鎖DNAの形成をもたらし、両方の鎖が一端でヘアピンによって連結され得る。これは、さらなるラウンドの侵入/合成のための基質となり、二量体様産物、およびおそらくより多くの複合体産物の形成をもたらし得る(図35を参照)。本発明者らは、この状況は、診断試験に完璧に許容可能であり得ると予測する。増幅された配列はすべて、真正標的DNAの存在に依存性であり、特有のオリゴヌクレオチド間配列を含有するため、および自己プライミング事象は、効率的に機能させるために遺伝子操作され得るため、これは、診断アッセイの理想的な形式を示し得る。本発明者らは、既に、特異的標的から見かけ上生成される単位長さの増幅DNA断片より大きい生成を行ない、この機構が、特異的オリゴヌクレオチド設計の非存在下で作用し得るのではないかと考える。同様の活性が報告されているが、この場合、活性は、単一の非常に大きな単鎖DNAを用い、全く異なる様式で開始された(Morrical SW,Wong ML,Alberts BM.J Biol Chem.1991 Jul 25;266(21):14031−8)。
3)最終アプローチでは、3’末端をブロックした別個の短いオリゴヌクレオチドが、アプローチ1に記載のようにして使用される。しかしながら、この場合、標的化オリゴヌクレオチドの5’末端と短いコンペティターオリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端との間の連結が遺伝子操作される(図35パートBおよびC)。このアプローチは、コンペティターオリゴヌクレオチドが標的化オリゴヌクレオチドに近接して固定されることにより、この反応において、任意の他の配列を有するこのオリゴヌクレオチドの効率的な競合が確保されること以外は、アプローチ1と同様である。
(ポリメラーゼ選択)
RPAに使用され得るDNAポリメラーゼはたくさんある。しかしながら、所与の適用に最適なRPA形式を設計する際に考慮すべきいくつかの基準がある。本発明者らは、RPA反応において活性を有するいくつかの異なるポリメラーゼを同定し、どの特性が種々の環境に特異的利点をもたらすのかを推測した。刺激的な結論の1つは、非相同性系由来のポリメラーゼが有効に使用され得ることである。本発明者らは、以下に、RPAに最も関連するポリメラーゼ活性を記載する。
(ポリメラーゼ連続的合成能)
ポリメラーゼ連続的合成能(プロセッシビティー)は、DNA鋳型との各個々の相互作用において触媒された、組込み事象の代表的な数値として測定される。分子生物学適用において使用されているポリメラーゼ酵素の多くは、多くの場合、その主な役割がDNA修復およびオカザキ断片の連続合成である大腸菌DNAポリメラーゼIの機能的アナログであるため、高度に連続合成的ではない。連続的合成能は、RPAにとって、PCRよりも不可欠な考慮事項である。RPAでは二本鎖鋳型を使用するため、分配性ポリメラーゼは、接合を有する部分的にコピーされた鎖をもたらし、これは、分枝の移動によって排出され得る。また、本発明者らは、バブル移動は、さまざまなRPA構成で起こり得ることを示す証拠を有する。バブル移動において、鋳型DNAの親鎖は、複製複合体のすぐ後ろで再ハイブリダイズし、新たに合成された鎖の放出をもたらし、この鎖は、元の組換え事象の放出鎖の代わりに単鎖DNAとして遊離している。この再ハイブリダイゼーションは、以前に、T4 組換え/DNA合成系において報告されており、uvsXリコンビナーゼによる放出鎖の被覆および後続の再侵入を伴うと考えられている。あるいはまた、非協同性単鎖DNA結合タンパク質の存在下で、モノマーは放出鎖の一方の末端から徐々に失われ得、5’−3’方向に進む進行的な分枝の移動をもたらし得、複製複合体に追従し得る。
従って、ポリメラーゼが時期尚早に鋳型から解離すると、バブル移動または分枝の移動は、不完全な単一鎖として鋳型から分離される新たに合成された鎖をもたらし得る。これは、かかる切断型産物が、反対側から生成される同様の産物との生産的なハイブリッドを形成するのに短すぎる場合、これらの好ましくない短い産物は直線的に蓄積されるため、RPA反応にとって破滅的であり得る。T4単鎖DNA結合タンパク質gp32は、好ましくない分枝の移動を軽減し得る。しかしながら、RPAでは、大きなDNA断片を効率的に増幅するために、可能な場合は、比較的連続合成性のポリメラーゼまたはポリメラーゼ複合体の使用が求められ、。現在、チオレドキシンとの複合体において一般に使用されているいくつかの単純なポリメラーゼ、例えば、φ−29 DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼおよびT7 DNAポリメラーゼは連続合成性であることがわかっている。しかしながら、比較的プロセッシング性のポリメラーゼの既知の類型のうちのすべてが、RPAに好適なさらなる特性の組合せを有し得るわけではない;φ−29ポリメラーゼは、これまで、幾何級数的なRPA増幅を補助できるとは示されておらず、おそらく、組換え中間体上への効率的な負荷ができないことによる。T7 DNAポリメラーゼは、有効であるのに充分な鎖置換活性を欠く。対照的に、本発明者らは、バチルス属由来の関連するPol I酵素(例えば、Bacillus subtilis PolI(Bsu))は、相対的に連続合成性であることおよびエキソヌクレアーゼのない(エキソヌクレアーゼマイナス)状態をBstポリメラーゼと共有するが、30〜37℃範囲の温度において最適な溶解性および活性のプロフィールを保持していることにより、最適な特性を示し得ると推測した。さらに、スライディングクランプを包含するマルチサブユニット複製複合体(例えば、バクテリオファージT4、大腸菌などに由来のもの)が使用され得るが、現行のRPA反応について優れたシグナル:ノイズおよび反応速度論特性を維持する有効なインビトロ反応においてこれらの成分すべてを組み立てることは、依然として難題である。本発明者らは、Bstポリメラーゼと関連するB.subtilis由来のポリメラーゼIを精製した。このポリメラーゼは、容易に過剰産生され、大腸菌からN−末端の6ヒスチジン(hexhistidine)タグを用いて精製され、RPAに対する理想的な生化学的特質を有するようである。
最後に、分配性ポリメラーゼがRPAにより適切であり得るいくつかの状況がある。多くの構成では、DNA合成は、対向する末端から開始され、複製複合体は互いに向かって移動し、複合体同士の衝突の可能性があり、どちらもそれ以上は進行しない膠着状態がもたらされる。これは、一方のポリメラーゼを鋳型から一時的に解離させること、または使用するポリメラーゼが解離なく有効に互いを通過できることのいずれかを必要とする。RPAの理想的なポリメラーゼに対する種々の要件の結果、本発明者らは、実験的証拠が最良の指針であることを示し、これまでに、ユーバクテリウム属由来、特にバチルス属由来のPol Iクラス酵素が、現在、最良の特性を有することを示している。
(DNAポリメラーゼと関連する存在する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性)
多くのDNAポリメラーゼは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、一部はまた、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性も有するが、これは、ポリメラーゼが前方に移動するにつれて、置換ではなく、一方のDNA鎖の消化が鎖進行的にもたらされるため、おそらくRPAにおいて好ましくない。3’−5’エキソヌクレアーゼは、潜在的に利点を有すると同時に明白な不都合点を有する。一方では、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、複製反応の忠実度を増大させ、また、組込み間違いの地点でのポリメラーゼの失速を抑制し得る。高忠実度の増幅は多くのDNA適用に望ましい。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性はまた、大きなDNA断片の増幅に適切であり得る。組込み間違いによる失速は、効率的な増幅を阻害し得る。
このような3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の明白な利点にもかかわらず、いくつかの不都合点がある。本発明者らは、3’−5’エキソヌクレアーゼを有するポリメラーゼを用いた場合、遊離オリゴヌクレオチドが末端依存性分解に供され得ることを観察した。これは、比較的協同性の飽和量のgp32タンパク質を一部のポリメラーゼ(例えば、クレノウ断片)と共に用いることにより大幅に抑制され得るが、強力なエキソヌクレアーゼを有する酵素(例えば、T4 DNAポリメラーゼまたはφ−29 DNAポリメラーゼ)を用いる場合、gp32は不十分なようであり、オリゴヌクレオチドは完全に分解されるようである。これらのデータにより、反応におけるエキソヌクレアーゼ活性の有効性を少なくともある程度に制限することは好都合であることを論じる。
本発明者らは、一部のポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が、反応中のノイズに実質的に寄与し得ることを見出した。RPA反応に使用される比較的低温では、反応中、非被覆単鎖DNA分子が、不適切なハイブリッドを低相補性で他のDNAと形成する有意な傾向がある。かかるハイブリッドは、DNAポリメラーゼ伸長をプライミングする。伸長が起こるためには、最後の塩基または最後の2つの塩基が正しくその相補鎖と対合形成されなければならない。オリゴヌクレオチド内またはオリゴヌクレオチド間の不十分に相補性のセグメントは、低温度で弱いハイブリッドを形成し得、これらは、稀に、良好なハイブリッド適合性によりまさに3’末端で合わさる。それでも、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の存在下では、対合形成していない最も3’側の塩基は、正しく対合形成された3’末端が形成されるまで切断され、これは、通常、正しくない塩基がポリメラーゼによって挿入された場合に起こる。本発明者らのデータは、分枝の移動またはバブル移動によって置換された部分的に伸長された鎖は、3’末端を対合形成していないままに残して自身に対して折り返らされ(フォールドバック)得、この末端はトリミングされ、従って、不適切なポリメラーゼ伸長が促進されることを示す。従って、RPAに使用されるポリメラーゼからエキソヌクレアーゼ活性を制限または除去する充分な理由がある。オリゴヌクレオチド分解を抑制する方法は他にもあり、これもまた使用され得る。
(3’末端への接近)
侵入後に形成される組換え中間体は、DNAポリメラーゼに接近可能でなければならない。標的化オリゴヌクレオチドの3’末端付近の構造は、それ以外は単鎖DNAとハイブリダイズした(PCRの状況である)オリゴヌクレオチドの3’末端と等価ではない。その代わり、侵入オリゴヌクレオチドの3’末端のすぐ下流またはやや下流で鋳型鎖にハイブリダイズする放出鎖が、ポリメラーゼ負荷をブロックし得る。さらに、放出鎖が拘束されているか拘束されていないかは、ある種のポリメラーゼが成功裏に負荷を与える能力に影響を与え得る。特定のポリメラーゼがこのような状況において有効に機能を果たし得るか否かは、実験的により取り組まなければならない。本発明者らは、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、およびBacillus stearothermophilusから精製されたBst DNAポリメラーゼは、かかる組換え中間体に負荷を与え、伸長させ得ることを見出している。また、T4 ddaヘリカーゼおよびT4 gp41ヘリカーゼなどのヘリカーゼが、組換え中間体を連続合成し、鋳型と放出鎖を交換事象の下流で分離させ、他のポリメラーゼが使用されるのを可能にする機能を果たし得るが、これらのヘリカーゼもまた、RPAの他の側面を妨げ得る(下記参照)。最後に、RPA反応において相乗的に作用するポリメラーゼの混合物(例えば、一方のポリメラーゼが組換え中間体の3’末端への接近に効率的であり、他方は、連続合成性の鎖置換合成活性を有する)用いることは有益であり得る。
(協同性成分の相互作用)
本発明者らは、異種系由来の酵素性成分を種々のRPA形式において一緒に有効に組合せ得ることを示した。例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、Bacillus stearothermophilusのBst DNAポリメラーゼ、およびBacillus subtilisポリメラーゼIのラージフラグメントはいずれも、バクテリオファージT4 gp32タンパク質の存在下で、バクテリオファージT4のuvsXリコンビナーゼにより生成される組換え産物を伸長させ得る。これは、大腸菌Pol Iと類似するポリメラーゼの類型が、一般的にRPA反応において有効であることを示唆し、これは、それらの修復活性に必要とされる組換え中間体への接近と組合せた、それらの鎖置換酵素としての異なる特性を反映し得る。さらにまた、組換え中間体の伸長が、広く異なる構造群に由来するポリメラーゼによって容易に媒介され得ることは不確実である。バックファイヤー合成によって安定化される末端指向組換え中間体により初期に示されたにもかかわらず、本発明者らは、φ−29 ポリメラーゼを用いてRPA反応を誘発することはできなかった。これは、この酵素が組換え中間体上に容易に負荷され得ないことを反映し得る。同じ生物由来のタンパク質を一緒に用いた場合、さらなる相乗効果があり得る。例えば、バクテリオファージT4成分(例えば、uvsYおよびuvsX、ならびにgp32)の間に物理的相互作用があることが知られている。このことは、他の成分に拡張され得、例えば、T4ポリメラーゼは、gp41ヘリカーゼと、物理的にgp32と機能的に相互作用する(FormosaおよびAlberts PNAS 80,2442−2446,1983)。しかしながら、RPA効率を向上させるために同じ生物由来の成分を使用することは、一見魅力的であるにもかかわらず、本発明者らは、T4ポリメラーゼによる連続合成性のDNA合成に用いられる一部のヘリカーゼは、本発明で確立した有効なRPA環境と容易には組合せられ得ないことを見出した。初期の実験により、T4 ddaヘリカーゼを含めることは、RPA環境においてオリゴヌクレオチドの被覆を崩壊させ、過剰のプライマーノイズをもたらし、RPA反応の感度を妨げることが示された。これは、以前に公表された報告[差込参照:JBC.1991 May 25;266(15):9712−8 Inhibition of protein−mediated homologous paring byb a DNA helicase.Kodadek T]と一致する。
(複製複合体衝突の解決)
いくつかの形式のRPAでは、例えば、大きなDNA産物が所望される場合、連続合成性のポリメラーゼが最適な選択であり得る。しかしながら、この条件では、複製複合体が同じ鋳型で互いに集中する有意な可能性がある。複製複合体は、直接対面して(head−to head)動かなくなる状態になり、その結果、いずれも通過することができないという危険がある。この状況で最も有用なのは、連続合成性で、かつ衝突を解決できるポリメラーゼであり、φ29 DNAポリメラーゼについて実証されているとおりである(Elias−Arnanz M,Salas M.EMBO J.1997 Sep 15;16(18):5775−83)。あるいはまた、かなり高頻度に解離させる分配性能力と組合せた有用な複製実行を可能にするための、連続的合成能の理想的なレベルの微細だが重要な均衡も、この問題を解決し得る。
(リコンビナーゼ)
本発明者らは、大腸菌recAタンパク質およびバクテリオファージT4 uvsXタンパク質の両方をRPA実験においてアッセイした。これらのタンパク質はともに、一部の限定的なタンパク質配列相同性を共有し、共通の先祖から進化したと考えられる。これらのタンパク質の核タンパク質フィラメントの結晶学および電子顕微鏡研究では、ATPおよびADPが結合した両方の状態で形成されたらせんのピッチの点で保存されたフィラメント構造が示され、これは、それらの作用機構において顕著な類似性を示す。さらにまた、すべての原核生物は、recAに高度に相同なタンパク質を有し、このことは、リコンビナーゼの主要な活性が、進化を通じて保存されていることを示す。従って、1つのリコンビナーゼからわかることは、別のものに当てはまり得、または置き換えられ得る。
しかしながら、それらの類似性に加え、RPAに関連してrecAとuvsXとの間に差異があり、組換え/複製機構のさらなる成分がRPA反応に使用されるため、生物特異的タンパク質−タンパク質相互作用は反応効率に対して有意な影響を有し得る。uvsXのヌクレオチド加水分解速度はrecAのものより10〜20倍大きく、これは、組換え反応がより加速された速度で行なわれ得ることを示す(Formosa T,Alberts BM.J Biol Chem.1986 May 5;261(13):6107−18.)。加水分解速度の増加は、いくつかの様式でRPA反応に有益であり得る。
1)オリゴヌクレオチドに対してuvsXのより動的なターンオーバーは、核タンパク質フィラメントの全体的な再生を増加させ、侵入オリゴヌクレオチドの最も5’末端へのほぼ完全なリコンビナーゼの覆いをもたらし得る。
2)成功裏の組換え事象によるリコンビナーゼのより迅速な完全さおよび分解は、より効率的なポリメラーゼの接近を可能にする。
3)より活性なリコンビナーゼは、より柔軟な核タンパク質フィラメントを生成する。
uvsXとrecAとの間の別の大きな差は、uvsXが、ATPをADP+リン酸塩に、およびAMP+ピロリン酸塩に加水分解するが、recAおよび他のリコンビナーゼはそれをしないことである(Formosa T,Alberts BM.J Biol Chem.1986 May 5;261(13):6107−18.)。この差の生物学的な重要性はわかっていないが、活性はRPA効率に影響を与え得る。例えば、ATPおよびADPにより形成される核タンパク質フィラメントのピッチは異なり、ADPへのATPの加水分解はフィラメント全体の柔軟性と関連する。AMP結合uvsXは、異なるピッチを採用し、異なる柔軟性を有し得ることがあり得る。
バクテリオファージT4リコンビナーゼuvsXは、バブル移動として知られる合成後のDNA置換の様式を刺激する。バブル移動では、uvsXは放出鎖上に組立られ、放出鎖の再侵入を媒介し、従って、新たに合成された鎖を置換する。この様式は、新たに合成された鎖を置換することにより、位相的に拘束された領域の長さが限定的となるため、生物学的重要性を有し得る。このプロセスは、recAに関しては報告されていないが、起こる可能性がある。それでも、バブル移動のいくつかの態様は実際のuvsXとrecAとの間の差異を示す。例えば、バブル移動モデルにより、uvsX結合DNAは、侵入DNAまたは部分的に伸長されたDNAの末端まで伸長するが、この構造は、依然として伸長のためのポリメラーゼによる接近が可能であることあり得ることが示されている(Formosa T,Alberts BM.Cell.1986 Dec 5;47(5):793−806)。これは、recAについては確実には観察されておらず、何らかが存在するとすると、それと反対であり得る証拠がある(Xu L,Marians KJ.J Biol Chem.2002 Apr 19;277(16):14321−8)。uvsXフィラメントおよびrecAフィラメントが、リコンビナーゼ解離を伴って、またはこれなしで、3’末端におけるポリメラーゼ負荷を促進するそれぞれの能力において、どれだけ類似しているかは明らかでない。本発明者らは、uvsX(C)とrecA(C)との間の差異が有するという考えと一致して、それらの差異がRPA効率に影響し得るということを見出した。recAに関する本発明者らの所見とは反対に、uvsXは、N−末端タグ化gp32をポリエチレングリコールの非存在下で使用した場合であっても、末端構造標的に対する複数回の侵入を媒介し得る(図23)。従って、uvsXは、RPAにおける使用により最適であり得る。
バクテリオファージT4 uvsXリコンビナーゼは、十分に特徴付けられた、そのパートナー負荷タンパク質uvsYとの相互作用を有する。大腸菌recOおよびrecRがuvsYの機能的アナログであり得ることを示す報告にもかかわらず、本発明者らは、RPA反応の有意な改善を観察しなかった。これは、本発明者らのタンパク質調製物に伴う問題に起因し得るか、または大腸菌SSBでなく異種gp32の使用に起因し得る。
最後に、uvsXは、本発明者らが最適な単鎖DNA結合タンパク質であると示したgp32と、より良好な挙動を示し得る。なぜならこれらuvsXとgp32とは、協調して機能するように進化し、関連する相互作用を有し得るためである。実際、uvsXおよびバクテリオファージT4組換え依存性複製機構の他の成分(例えば、ddaヘリカーゼ)は、最適RPA反応の確立に有用であり得る既知のタンパク質−タンパク質相互作用を有する(Hacker KJ,Alberts BM.J Biol Chem.1992 Oct 15;267(29):20674−81)。
RPAに対するuvsXの見かけ上の利点にもかかわらず、有用であり得る大腸菌recAの特徴がある。recA核タンパク質フィラメントはより安定であることが報告されており、このことは一部の環境において実用的であり得る。ATP加水分解速度が低いほど、持続性のATP再生系の確立に対して負荷がより少なくなり、AMPおよびピロリン酸の生成がないことは、これらの副生成物の再生および処理の必要性を不要にする。また、他のrecAホモログがRPAに最適である活性を有する場合があり得る。
(動的な組換え系の確立)
RPAを強化するため、反応を、充分な数の活性な被覆された相同性検索リコンビナーゼ/DNAフィラメントを供給するように構成することは重要である。また、相同性検索の終了後、フィラメントは、効率的に分解されるか、あるいはそれ以外に処理され、DNAポリメラーゼおよび他の成分の負荷を可能にしなければばらない。また、オリゴヌクレオチド融解の助長、および置換された放出鎖の収集の両方のために、充分な量の単鎖DNA結合タンパク質が存在することは不可欠である。最終的に、強力なRPAでは、連続合成性の鎖置換DNA合成が必要となる。このような要件の基礎をなすことは、リコンビナーゼと単鎖DNA結合タンパク質の二者間の競合である。
単鎖DNA結合タンパク質の存在下で、リコンビナーゼ負荷DNAフィラメントは不安定であることは広く知られている。ヌクレオチド補因子の加水分解は、相同性検索に厳格には必要とされないという所見と合わせると、recAをフィラメント上に負荷し、安定な相同性検索複合体を生成させるために、ヌクレオチドの非加水分解性ヌクレオチドアナログ、例えば、ATP−γ−Sの使用につながる。ATP−γ−Sを用いるrecA媒介性増幅方法は報告されている(Zarling et al.)が、広くは使用されていない。本発明者らは、以前に、この方法の欠陥を特定し、これは、本発明者らの実験結果において観察され得る。Zarling et al.の方法は、おそらく失敗に終わる。なぜなら、リコンビナーゼ負荷フィラメントが動的で分解可能である必要があり、かつ、他のATP−加水分解依存性事象が、鎖交換を完了し、DNAポリメラーゼ他の成分の侵入オリゴヌクレオチドの3’末端への負荷を可能にする必要があるためである。ATP−γ−Sの使用、ならびに他の修飾(例えば、リコンビナーゼのC末端からの酸性配列の除去など)は、DNAに対して一定の一般的な高親和性をもたらし、これは、鎖交換および侵入複合体からの解離を抑制し得る。従って、ATP−γ−S負荷recAフィラメントは、組換え事象において、異常に長時間、標的部位上に有効にロックされた状態になる。従って、非加水分解性ヌクレオチドアナログは、一般的に、リコンビナーゼ媒介性複製および増幅に許容性でない。その代わりに、リコンビナーゼ負荷を補助できるATPまたは他の加水分解性ヌクレオチドが使用されなけれならない。ATPの場合、リコンビナーゼは、定常的にオリゴヌクレオチドと結合し、また、これから解離しており、単鎖DNA結合タンパク質と競合状態である。本発明者らは、この競合がもたらす問題に、一般的に2つの様式により取り組んだ;第1に、uvsXに特異的なリコンビナーゼ負荷タンパク質uvsYタンパク質を含めること、第2に、変異および/またはクラウディング剤を含めることによって、gp32とリコンビナーゼuvsXおよびrecAとの協同性挙動を調節すること。しかしながら、リコンビナーゼの全体的な負荷/非負荷活性を調節するために、限定的な量の非加水分解性アナログ(例えば、ATP−γ−S)、またはリン酸化不能なアナログ(例えば、ADP−β−S)を含め得ることは、可能である。
(さらなる反応成分)
いくつかの特定の反応成分は、RPA反応有効性に対して有意な影響を有する。
(ポリエチレングリコール)
ポリエチレングリコール(PEG)は、組換え/DNA合成に対して著しい効果を有する。第1に、本発明者らは、PEGが、例えば、recAをgp32(N)と組合せた場合に起こる複数回の侵入/伸長サイクルの回数に影響することを見出した。また、本発明者らは、PEGが、いくつかの異なる様式で構成した増幅反応を刺激することを見出した(図15、実施例3)。また、いくつかの構成において、PEGにより、形成される産物長さ分布が改変されることがわかった(図28)。まとめると、ポリエチレングリコール、およびおそらく他の同様のクラウディング剤は、gp32とリコンビナーゼの協同性に影響し、ポリメラーゼの連続的合成能に影響し、溶液中でのハイブリダイゼーション速度およびオリゴヌクレオチドの挙動に影響し得る。これらは、反応体を相分配することおよび/またはフラクタル様反応速度論の進行を引き起こすことにより、細胞様環境に入れ得る。さらにまた、ポリエチレングリコールの鎖長は重要であるようである。試験したもののうち、平均分子量1450および15,000〜20,000のPEG(PEG「化合物」)が最良の結果をもたらすことがわかった。gp32機能、特に、協同性が減衰されたgp32改変体の機能におけるPEGによる助長は、上記に詳述した。また、PEGはリコンビナーゼ負荷フィラメントの安定性を増大させ得、増大された持続性により、RPA有効性が増大し得る。最も重要なことには、本発明者らは、ポリエチレングリコール(PEG 1450では不十分で、PEG化合物では非常に効率的)を用いずには、微量の試料を検出可能なレベルまで増幅できる増幅条件の確立を完全にはできていない。おそらく、他の因子もRPA反応を刺激し得る。しかしながら、この効果は、ポリビニルアルコールを用いた予備実験では明白でなかった。従って、ポリエチレングリコール、より詳しくはPEGの特定の改変体の特異的特徴は必須であり得る。
どのような様式でPEG化合物(carbowax 20M)が、かかる有意な刺激性効果を発揮するのかは不明である。容量排除が反応速度に影響を及ぼし得る様式の反応速度論モデルにより、クラウディング成分と比較した試験下において、基質および酵素の分子量が大きく強調され得る。しかしながら、本発明者らが試験した2番目に最も有効な薬剤PEG1450もまた最小であり、PEG1450とPEG化合物との間のポリエチレングリコール中間体による刺激は、あまり有効でなかった。従って、本発明者ら平均鎖長のみに加えた特性が、これらの薬剤の効果に不可欠であるのではないかと考える。例えば、特定の相転移は、異なるPEGで種々の温度で起こり得る。また、PEGのアルコール基は、例えばタンパク質とのさらなる相互作用もたらし得、またはイオン環境に影響し得ることが知られている。本発明者らは、5%PEG化合物(室温で保存中、7.0未満のpHを示す)を、RPAに使用されるTris−緩衝化溶液に添加すると、pHの急激な上昇が引き起こされることに注目する(データ示さず)。
結果として、現在、実験による確認以外に、どの容量排除剤が、高レベル動的組換え環境および特にRPAを刺激する適正な特性を有するかを調べるための公式化された様式は、存在しない。
(ATP再生系成分)
ATP再生系は、リコンビナーゼが、核酸に結合したとき、極めて高いATP加水分解速度を有するので、持続性の組換え反応を可能にするのに非常に重要である。特に、uvsXタンパク質はrecAより10〜20倍高い加水分解速度を有し、1分当たりモノマー当たりATP 200分子を消費し得る。いくつかの系が利用可能であり、本発明者らは、クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸系を常套的に使用した。uvsXを用いる場合、生成されるAMPはATPに変換されなければならない。本発明者らは、AMP1分子とATP1分子とを2つのADP分子に変換するニワトリのミオキナーゼを使用した。次いで、ADPをATPに、クレアチンキナーゼ/クレアチンリン酸系を用いて変換する。ATPの不十分な再生は反応速度を低下させ、検出可能なレベルの産物が蓄積される前に反応が停止することがあり得る。
(ピロホスファターゼ)
DNA合成中、およびuvsXを用いた場合にATPがAMP+PPiに加水分解されるため、ピロリン酸塩(PPi)が蓄積される。反応物中のPPi蓄積は、いくつかの有害な結果を有し得る。有意なピロリン酸塩蓄積は、許容され得ない速度の加ピロリン酸分解をもたらし、それにより、ポリメラーゼの合成反応が逆方向に誘発され、最も3’側のヌクレオチドを二本鎖鋳型から除去する。これは、好適な二本鎖領域が現れて迅速な伸長が可能になるまで、ポリメラーゼの編集活性が3’−末端を元にトリミングする傾向にあるため、許容され得ないレベルのプライマーノイズ、または放出鎖の好ましくない自己プライミングのレベルの上昇をもたらし得る。さらに、ピロホスファターゼ蓄積は、リコンビナーゼの阻害およびポリメラーゼ合成反応の遅延をもたらす。
(シグナルの改善:RPA反応の設計によるノイズ)
RPAは、高い感度および特異性を示す。しかしながら、標的をまったく含有しない試料は、多くの場合、プライマーにのみ由来する産物を生成させる。かかる現象は、他の方法では珍しいことではない。例えば、PCR法では、最終的に非特異的産物、例えば、いわゆる「プライマー二量体」が生成される。RPAは、小さなアンプリコンがインキュベーション期間内で多数回の倍増を達成するのを可能にするサイクル制御がないため、いくぶん、かかるプライマー関連性アーティファクトがもたらされる傾向がある。反応産物の電気泳動により、シグナルとノイズの容易な分離が可能になる。しかしながら、簡単な非実験室用の診断用産物では、他のアプローチを採用しなければならない。従って、本発明者らは、かかる非ゲル診断試験を、充分な信号対ノイズで機能させるため、および検出を容易に行なうためのアプローチを開示する。本発明者らはまた、周囲温度で多くの日数保存し得る(非実験室での容易な使用のための必要条件)反応凍結乾燥物の組成物を開示する。
(RPA系における信号対ノイズ比)
DNA増幅系は、一般的に、真の標的から開始されないDNAの増幅が起こり得るという事実に対処する。この「ノイズ」は、特に、見かけ上標的が少ない条件下では、許容される感度および増幅の評価方法に対して制限を与え得る。初期のRPA構成は、優れた感度を提供するが、本発明者らは、リコンビナーゼを主とする系の新規な特性により、特異性を改善するためのこれまで利用されていないアプローチ、および新規な産物検出スキームの開発に適合性となると考える。
PCRと同様に、RPA増幅反応は、一般的に、所望の標的DNAに隣接する2つのオリゴヌクレオチドを組み合わせることにより確立される。PCRの場合のように、倍増事象が起こり、指数関数的なDNA増幅が確保され、約150〜400bpの断片について1012倍もの多量の増幅が可能になる。
30〜35残基で、標準的な設計アルゴリズムに許容され得るプライマーを試験すると、大部分は、標的を高い感度および特異性で増幅する(図41)。例えば、かかる「良好な」プライマーは、2〜3コピー/マイクロリットルの出発標的濃度から標的を成功裏に増幅し得、有意なレベルの正確なアンプリコンを生成させ得る。しかしながら、このコピー密度未満では、良好なプライマーでさえ、ノイズ(スミア、ラダー形成および/またはウェルの染色)を生じる傾向にあり、これは、すべての反応産物のゲル電気泳動によってアッセイされる(図41を参照)。このような産物は、見かけ上、純粋にプライマー起源のものである(しかし、侠雑大腸菌DNAが存在することがあり、理論的には、高度に非効率的な偽アンプリコンを特定している可能性がある)。
場合によっては、標的DNAは、特に希少なものでないこともあり得、例えば、ヒト個体の限定的なSNPプロフィールを調べることが所望され、適量の血液試料が容易に得られ得る場合である。他方、病原体用の一部の試験では、ほんの数コピーを実用上非常に有用であるように検出することが必要であり得、特に、この状況を、標的の完全な非存在と明白に識別することが必要であり得る。
コピー数が非常に低レベルか全く無い実験において生成されるノイズのレベルおよび性質を調べるための本発明者らの取り組み、ならびにプライマーの長さおよび組成を調べる他の実験により、いくつかの重要な観察が明らかとなった。本発明者らは、これらが、RPAを用いる理想的な高感度のよい携帯型診断系の開発を助長すると考える。
第1に、本発明者らは、およそ30残基未満のオリゴヌクレオチドが、RPAにおいてあまり有効でなく、顕著に低「ノイズ性」となり、25〜26に縮小すると、可視性ノイズは全く生じないことを見出した(図45および52を参照)。それでも、より短いオリゴヌクレオチドは依然として、少なくとも、ハイブリダーゼーションに基づく伸長が可能であり(図52を参照)、これらの(リコンビナーゼ媒介性)RPA事象における「活性」は、おそらくゼロではなく、代わりに、縮小とともに徐々に減少する(図45)。これにより、ある程度の活性/ノイズ調整が可能になる。
第2に、本発明者らは、5’伸長部のさらなる少数の残基以外は同一であるプライマーが、ノイズの程度の有意な多様性を示し(すべてが>30残基の場合であっても)、これは、最も5’側の塩基(1つまたは複数)の性質こそが、ノイズの機構および尤度において有意な役割を果たすことを示唆することに注目する(図42、45および47を参照)。
第3に、ロックされた核酸(LNA)糖を最も3’側の末端に有するプライマーは、ゲル電気泳動によって測定される場合のノイズを低減/排除する。また、これは、「標準的な」ポリメラーゼ濃度で、一方のみを用いた場合では産物の量をわずかに低下させ、両方を用いた場合では有意に低下させるが、ポリメラーゼ濃度を増加させる場合に充分に活性が維持されている。そして高ポリメラーゼ濃度下では、ノイズは依然として抑制されているようである。
最後に、低い標的濃度ノイズは、試料DNAではなくプライマーに、大部分が/単独に由来するようであり、従って、本発明者らはこのノイズを「プライマー体操」と称する。このことは、試料DNAがゼロに減少させる実験から明白である。従って、プライマー同士が相互作用し得る限定的な機構に着目し、それらプライマー自身の間にこの問題に対する解決策を見出すことが可能である。どのようにしてノイズが生じ得るのかは、以下のセクションに詳細に記載する。この解析の重要な結論は、核タンパク質フィラメント組換え/プライミング活性の低下が、真のアンプリコン生成よりもプライマーノイズ生成に対してより深刻に影響を及ぼし得ることである。
(プライマーノイズが生じ得る方法の解析)
PCRまたは従来のハイブリダーゼーションを伴う他の方法とは異なり、RPAが、活性な相同性検索複合体としてATP加水分解を行なう伸長された核タンパク質フィラメントの形成に依存性であることは、オリゴヌクレオチド活性を決定するパラメータに対して、以前、インビトロ増幅反応では見られなかった様式で影響を及ぼし得る。本発明者らは、オリゴヌクレオチド活性の上記の30残基未満での急速な低下が、組換え速度の低下を反映していること、そしてこれのことがおそらくは、別途、大腸菌recAリコンビナーゼの場合のATP加水分解の長さ依存性に関して行なった所見(Bianco PRおよびWeinstock GM)に対応することを、示す。特に、短い配列の長さおよび組成は、ATP加水分解に影響することが示された。ほぼ30残基以上は、最大ATP加水分解(1モルのDNA結合recAに対するATPのモル数)に必要とされ、この場合、recAは、合成オリゴヌクレオチドに結合されており、より短い配列は、約15残基まで、存在しなくなるまで加水分解速度の著しい低下を示す。本発明者らは、低増幅挙動の観察結果を、ATP加水分解に関する以前のデータと関連させた。なぜなら、核タンパク質組換え活性がATP加水分解速度によって影響されると考える明白な論理的根拠があるためである。ある意味では、本発明者らが観察した最低速度のオリゴヌクレオチドは、非加水分解性ATP−γ−Sと結合されたものであって、交換終了(分解されたらせん接合の形成)の速度がほぼゼロのものである(Riddles PWおよびLehman IR)。本発明者らはまた、ATP−γ−SがRPA反応を有効に害すること(Piepenburg et al.)を証明した。本発明者らは、核タンパク質フィラメントにおける高速のATP加水分解は「高速」プライマーの活性を支持し、低速のATP加水分解は「低速」プライマーの活性を支持する。これらは、主に、単位時間内に完了する完全な組換え事象の平均数を異にする。単純に解釈すると、ATP−加水分解は、フィラメントの動的活性に必要とされる。30残基未満のオリゴヌクレオチドは、より安定な、非動的となり、最終的に、ATP−γ−Sを用いた場合に生じるロックされた状態になり、交換を完了できなくなる(「低速」オリゴヌクレオチドは、配列を容易に位置づけ得るが、容易に分解されて完了およびポリメラーゼ接近を可能にすることができない)。
(真の産物およびノイズに関する核タンパク質フィラメント活性への依存性の生じ得る差)
なぜ低活性な「低速」オリゴヌクレオチドを選択することに何らかの利点があり得るのかを理解するため、本発明者らは、どのようにしてプライマー「体操」ノイズが生じ得るのかを探究することが必要である。短縮したオリゴヌクレオチドはノイズを、特異的シグナルよりも高速で低減し得るのか?真の標的およびノイズ産物の両方で見られる増幅のうちの幾何級数的フェーズとは異なり、出発プライマー由来のノイズ性標的の初期形成フェーズは、おそらくより複雑であり、おそらくかなり低速である。図43に、本発明者らは、個々のプライマーが幾何級数的な増幅能力を有する構造に変換された状態となり得る2つの一般的な機構を詳細に示した。図示したどちらのストラテジーも、単一のプライマー種由来のアンプリコンの形成を示す。どちらの場合も、第1の工程は、3’−末端での短いヘアピンの形成によるオリゴヌクレオチドの自己プライミングを伴なう。ストラテジー1では、生じるヘアピンは、有意なミスマッチのため、幾何級数的増加(geometric)フェーズにおいて容易に増幅しない。幾何級数的増加フェーズのアンプリコンになる代わりに、これらは、ストラテジー2に記載するものとより類似した工程により進行する必要があり得る。この場合、第1の自己プライミング事象の後、元のオリゴヌクレオチドの5’末端に対する逆相補体が関与する第2のものが続く。かかるモデル作製からいくつかの簡単な見解がある。第1は、2つ型の事象が起こらなければならないことであり、オリゴヌクレオチドの3’末端からの伸長がなければならず、次いで、第2の同様の3’ヘアピンおよび伸長がなければならず、これは、元のオリゴの5’末端に対する逆相補体が関与する。幾何級数的フェーズを進行する第1の事象の非常に希少で不安定な性質は、大部分のオリゴが、SSBまたはリコンビナーゼ(これらは、ssDNAに結合したときDNA融解活性を有する)のいずれかで被覆された場合、最も強く阻害されることになることに注意されたい。逆に、自発的に分解する動的なリコンビナーゼフィラメントは、オリゴヌクレオチドの全部または一部が被覆されていない時間枠を作りだす。従って、この非常に稀な限定的工程は、プライマーATP加水分解速度に対して、動態性に対して、および外挿によるオリゴヌクレオチド長に対して、感度がよいものであり得る。従って、オリゴヌクレオチドを短縮することは、特に有効でノイズを抑制し得、真の標的増幅速度の低速化を正当化してその増幅速度の低速化を達成するためのするのに充分である。
このような最終の幾何級数的増幅フェーズのアンプリコンは、逆の反復配列である。これは、一方から生じる侵入/伸長が、自身において直ちに折り返して長いヘアピンを形成する鎖を置換することを意味する。この分子は、親と類似のものに変換し戻されるために、リコンビナーゼ作用によって標的化されなければならないが、真の標的は、溶液ハイブリダーゼーションをさらに使用し得る。これは、リコンビナーゼに基づく侵入の際に、プライマーのアーティファクトが、幾何級数的な増幅を達成することをさらに必要とし、その結果、これらは、おそらく、組換え速度のさらなる低下によって急速に抑制される。さらに、内部反復配列の存在は、さらに長く、より多様な型のこのようなアンプリコンが急速に生じ得ることを意味し、これは、ゲルのほぼ上端まで泳動するスミアまたはラダーの共通の表現型と一致する。
第3の見解は、指数関数的増幅中にDNAの所与の種が倍増するのに要する時間が、組換え速度とポリメラーゼによる鋳型のダウン合成に要する時間との組合せであることである。プライマーノイズ産物(少なくとも初期に)は非常に小さいため、DNA合成に要する時間は非常に短く、そのため、主な速度制限は組換え速度であり得る。従って、核タンパク質組換え速度の減少とともに一般的な増幅の遅延は、長いものより短いアンプリコンにより深刻に影響を及ぼし、従って、一般的に、真のアンプリコンに好都合である。
本発明者らは、上記の観察を利用し、異なる長さ、組成および濃度のプライマーを組み合わせる方法を考案し、高度に感度のよい特異的な反応を得る。
(一次オリゴヌクレオチド設計:)
上記の4つの観察は、ある程度、直接的なオリゴ設計原理に有用である。
(オリゴヌクレオチド長)
最適なプライマー長は、およそ30残基であり得、場合によっては、数残基短いものが優れた信号対ノイズ比をもたらす。平均プライマー長を短くするとノイズ生成が減少し、26〜28量体を用いると、完全に非存在となるようである(図45)。標的の増幅もまた減少するが、本発明者らは、ノイズは、シグナルよりも急速に減少するのではないかと考える。どのようにしてノイズが生じ得るかの以前の解析では、本発明者らは、なぜ、プライマーノイズが正しいアンプリコンよりも、組換え速度の減少によって影響され得るかには、いくつかの理由があると結論づけている。
(最も5’側配列の最適化)
最も5’側残基の伸長部以外は、同一の配列を有するオリゴヌクレオチドの活性を比較することにより、本発明者らは、オリゴヌクレオチドノイズの程度の有意な多様性が観察されることに注目した(図42、45、47を参照)。可能性の1つは、これが、純粋に、上記のように、核タンパク質活性に対する長さの多様性の効果を反映していることである。しかしながら、これは、比較対象のプライマーがすべて30残基以上である場合での唯一の理由であり得る。例えば、図42では、オリゴヌクレオチドNEST−1およびJlは、Jlがいくつかのさらなる5’残基を含有する以外は同一である。よりノイズ性,であるどころか、このオリゴヌクレオチドはノイズ性が低いが、非常に良好に増幅する。この場合などに基づき、本発明者らは、2つの他の同様の機構を提案する。第1には、オリゴヌクレオチドを指数関数的に増幅可能にすることは、最も5’側配列の逆相補的な鎖によるプライミング事象を必要とし得、この事象は、不可欠に、5’末端の塩基の正確な配列に依存する。これは、最も5’側塩基の変化がノイズ生成の有意な多様性をもたらし得ることを意味する。第2に、オリゴヌクレオチドが30塩基より大きい場合であっても、5’配列の塩基組成でさえ、プライマーの組換え活性に影響を及ぼし得る。これを補助する証拠は、伸長鎖ホモポリマーからなる5’タグをプライマーに添加すると、その結果が観察される実験に由来する。図47は、1回のランのC残基またはG残基がオリゴヌクレオチドJlおよびK2に付加され、続いて、すべての生じ得る修飾オリゴヌクレオチドおよび非修飾オリゴヌクレオチドを、単独または生じ得る組合せで含有する増幅反応が確立された実験を示す。驚くべきことに、既に、非常に感受性で特異的であると決定されているこのようなオリゴヌクレオチドは、このような特定の伸長鎖ホモポリマーを添加することによって改善されなかった。代わりに、1回のランのシトシンを5’末端に添加すると、これは、単独でインキュベートした場合、非特異的産物の産生の増加をもたらすが、グアノシンの伸長鎖は逆の効果を有し、単独で放置すると、オリゴヌクレオチドが非常に静的となることが観察された。また、元の親の非修飾オリゴヌクレオチドの組合せとは別に、見かけ上、成功裏に正しい産物を生成する唯一の対合は、2つのシトシンテイルオリゴヌクレオチド(すなわち、最もノイズ性のオリゴヌクレオチド)の組合せであった。このような観察を正当化し得る説明の1つは、5’末端のシトシンの伸長鎖が、結果として生じる核タンパク質フィラメントをより活性にするが、グアノシンはあまりそうしないことである。まとめると、長さなどのオリゴヌクレオチド組成は、速度挙動に影響を及ぼし得、さらなる無関係の配列5’末端は、この点において有意な影響を有し得る。最適なプライマーは、5’配列設計に対する合理的なアプローチにより見い出され得る。いくつかの異なる最も5’側塩基も試行され得、最良の選択が使用され得る。さらに、タグがその配列が標的に無関連である5’末端に配置され得ることがあり得るが、逆相補鎖からのヘアピンプライミングのスナップバックに対する抵抗性を付与する。多くのオリゴヌクレオチドに作用する最適な配列の決定が可能であり得る。反応成分の存在下でオリゴヌクレオチドのATP加水分解速度の測定もまた、最適プライマー対の設計において有用であること証明し得、すべてが同一の増幅速度挙動を共有するプライマーミックスの作製可能にし得る。長さなどの、このような観察結果および改善は、これらが、リコンビナーゼ誘発性増幅系の特異的特徴および根本的な生化学に依存するため、他の系では明白ではないだろう。
(ロックされた核酸、リボース、または他の糖修飾)
ロックされた核酸(LNA)は、連鎖がリボースの糖環の2’および4’炭素が遺伝子操作されたヌクレオチドである。かかる糖を、最も特別にはまさに3’位置に含有するオリゴヌクレオチドは、PCRアッセイ成功裏に使用されており、正しい3’塩基対合の識別を有意に改善することが示されている(Vester B. and Wengel J.を参照)。本発明者らは、LNA残基は、オリゴヌクレオチド内の多すぎる位置に存在しないならば、RPA系により耐容性であり得ると予測した。これらは、PCR増幅の特異性を増加させることが知られているため、RPA系におけるシグナル−ノイズを良好に改善し得る。
最も3’側の位置にホスホロチオレート連鎖を用いた以前の実験では、RPAにおいて機能を適正に証明することができず、顕著によりノイズ性であった(データ示さず)。本発明者らは、これを、糖−リン酸塩主鎖と相互作用するuvsXおよびgp32の両方が、このような主鎖に結合し得ず、深刻に異常な反応挙動をもたらしたことの反映と解釈した。しかしながら、gp32結合は、RNAおよびDNAに結合するその能力によって示されるように、糖にあまり依存性でない(改変された低協同性を有するにもかかわらず)(Kowalczykowski SC et al.)。従って、本発明者らは、正常なリン酸塩基を保持しているLNA糖はgp32との機能性を維持し得ると予測した。
本発明者らは、ロックされた核酸糖を最も3’側の位置に有するオリゴヌクレオチドを増幅反応に用いる実験を行なった。糖修飾を有するが有しない同一のオリゴヌクレオチドを有する反応物と、1つの修飾オリゴヌクレオチドおよび1つの非修飾オリゴヌクレオチドを伴なう反応物間の比較を行なった。実験に基づくと、一方または両方のオリゴヌクレオチドがロックされた核酸残基を3’位置に有する場合、RPAは、DNAを増幅し得るようである。注目すべきことには、3’末端のLNAヌクレオチドの存在は、「標準的な」ポリメラーゼ濃度下で産物蓄積を有意に低下させ、見かけ上、関連するノイズを排除した。非常に低いノイズおよび産物の低減は、成功裏の組換え頻度の低下、ポリメラーゼ離脱の低減、またはその組合せのために生じ得る。どのような理由であれ、この所見に基づくと、ロックされた核酸を一方または両方のプライマーに使用することがノイズを有意に低減または排除するが、真の産物の許容され得る増幅速度が維持されることは、合理的である。本発明者らは、ポリメラーゼ濃度を数倍(約30〜40ng/μlから150ng/μlに)増加させると、産物レベルが高いレベルに戻り得るが、ノイズレベルは等速度では上昇しないことを見出した。
同様に、他の糖修飾された残基は、ある程度の頻度でオリゴヌクレオチド中にで存在する場合、改善された信号対ノイズ挙動を示し得る。例えば、リボース、2’−O−メチル修飾、非環式糖、あるいは他のものが有用であることが示され得る。
(核タンパク質フィラメントを差次的活性と組み合わせることにより信号対ノイズを改善するアプローチ)
プライマーからの組換えおよび/または伸長の速度を、それらの長さ、塩基組成および分布および修飾糖(あるいは他の主鎖修飾)の使用に基づいて制御するできることは、最適信号対ノイズ特性により増幅反応により設計する機構を示す。本発明者らが想定している好都合に使用されるオリゴヌクレオチド組合せストラテジーには、2つの一般的な方法がある。第1は、単一のチューブネスティングが起こるストラテジーであり、第2のものは、より従来型のオリゴヌクレオチドと、真のアンプリコンが容易に形成されるが、ノイズ性アンプリコンは単一のオリゴヌクレオチドしか伴なわないように対合形成された非ノイズ性オリゴヌクレオチドを用いるものである。
(単一チューブネスティング)
ネスティングは、第1の増幅をアウタープライマー対を用いて行ない、次いで、第2の増幅をインナープライマー対を用いて行なうことにより、改善された感度および信号対ノイズが可能となるプロセスである。その最もよく見られる状況では、このアプローチは、PCR法との組合せで使用されている。主に、第1のラウンドでは、標的がランダムDNAより効率的に増幅され、その結果、第1の増幅後、バックグラウンドに対して明白なアンプリコンが得られるには均一性が不充分であっても、なお、比較的非常に高含有状態であるため、第1のものに対して内部であるプライマーによる第2の増幅では、非常に明瞭な結果が容易にもたらされる。実際には、これは、通常、1つの増幅の実施、次いで、小部分を新たなチューブへの取り出し、および内部「ネステッド」プライマーによる第2の増幅の実施に依存する。
ネスティングの概念は、別途において見られるが、本発明者らの結果は、関与するプライマーすべてを単一の反応で合わせる魅力的な代替ネスティングアプローチを示す。論理的根拠は、インナーおよびアウターオリゴヌクレオチド対が組換えおよび/または伸長速度において差次的に活性であり、異なる濃度で存在することである。例えば、アウター対は高速組換え/伸長速度を有するように、インナー対は低速組換え/伸長速度を有するように構成され得る。また、アウター対は低濃度(だが、なお許容され得る活性には充分に高濃度)で存在させ得るが、インナー対は高濃度で存在させ得る。次いで、何が起こり得るか?単離において、インナー対は、ミスはないが、望ましい時間枠内で許容され得る増幅度が達成され得ないようなかなり低速で増幅され得る。対照的に、単離において、アウター対は、ある程度のプライマーノイズにもかかわらず、高速で増幅され得るが、消耗により、かなり低濃度で停止し得る。しかしながら、組合せると、これらの2つの挙動は、うまく潜在的に相補的であり得る。実際には、アウタープライマー対は、一般的に、高速で、30残基長より大きく、3’末端が非修飾であり、おそらく、「高速性」を促進するさらなる5’残基を含有するものであり得る。インナープライマーは低速であり得、これは、おそらく、縮小すること、3’末端をLNAなどで修飾すること、低速性配列を5’末端に付加することなどにより付与される。
(非ノイズ性/ノイズ性核タンパク質対)
本発明者らが得た実験データは、プライマー誘発性スミアまたはラダーの大部分は、一方のプライマー種のみに由来する配列を含有することを示す(図46を参照)。真実ならば、この事実単独で、反応に使用した2種類のプライマーが産物に物理的に会合しているか否かを単に調べることにより、シグナルをノイズと識別する簡単なアプローチが示される。従って、本発明者らは、これが、非常に静的なオリゴヌクレオチドを高速の(よりノイズ性)オリゴヌクレオチドと組み合わせることによりさらに改善され得ることを示す。静的なオリゴヌクレオチド、例えば、短いオリゴヌクレオチドは、よりノイズ性のものとともに存在している場合、依然として効率的に機能し得る(ハイブリダーゼーション反応において機能し得るものとする)(図52を参照)。しかしながら、これらが、単に、その反応速度論がリコンビナーゼ促進型ノイズ増幅と非常に異なる正常なハイブリダーゼーションにより増幅に関与しているだけの場合、ノイズには関与しない状態で維持され得、より高速なオリゴヌクレオチド単独が関与する。
(第3のプライマーおよび検出プロトコル)
プライマーが上記の体操単独に主として関わる可能性は、増幅が効率的に起こったか否かを調べるためのを簡単なアプローチを示す。簡単な非ゲル検出形式の1つは、一方が色素もしくは酵素または他の容易に検出可能な基で標識されたオリゴヌクレオチド、および他方が固定化可能な基、例えば、ビオチンで標識されたものを用いるものであり得る。(図5Oパート1を参照)。従って、主反応の反応期の前、その間、またはその後に、固定化可能なオリゴヌクレオチドを表面に固定化させ得、反応の最後に、この表面を適切なバッファーで洗浄し得る。他方の標識されたプライマーが固定化可能なプライマーと同時会合した場合(これは、容易に測定され得る)、産物の増幅が起こっている。
これ以上に、本発明者らは、真の産物増幅に対するさらなるレベルのストリンジェンシーがもたらされ得るさらなる方法を想像する。簡単なさらなるアプローチは、表面上に液相アンプリコンを捕捉する機能を果たす「第3の」プライマーを伴なう。このプライマーでは、静的なもの(例えば、上記のような短いオリゴ)に遺伝子操作されること、または反応の反応後期でのみ系に添加されることのいずれかによってノイズの発生が抑制され得る。この第3のプライマーは、新規な内部配列を標的化し得るが、標的を、別途記載の「バックファイヤー」合成により固定し、崩壊性分枝の移動を回避し得ない(図50、パート2および3)。
(RPA反応物の凍結乾燥)
非実験室用または患者の近くでの診断用および法医学的試験を構成するため、周囲安定性試薬を提供することが必要である。明白な方法の1つは、これを、反応物を凍結乾燥することにより達成することであり、試料DNA、あるいは、独立して安定であり、試料とともに添加され得る任意の他の成分(例えば、試料核酸を溶解するために使用されるバッファー)のみが除外される。
凍結乾燥は、充分確立された方法であるが、反応系のすべての成分が成功裏に同じ条件下で同時に凍結乾燥および再構成される保証はない。本発明者らは、RPA反応物を種々の最終反応成分により、またはなしで凍結乾燥することを試みた。図53は、本発明者らが成功裏に、試料DNAおよび一部のバッファー成分以外のすべてを含有するRPA反応物(これは、周囲温度で安定に保存され得、試料DNAの再構成に使用され得る)の凍結乾燥をなし得たことを示す。これらの実験において、二糖の糖トレハロースは、凍結乾燥物安定化させ、少なくとも10日間、室温での保存を可能にするために必要であることがわかる。
(RPA反応のリアルタイム反応速度論解析)
DNA増幅反応の反応速度論解析を行なうことが可能なことは、同様の反応の単に末端−点解析と比べ、非常に大きな実用性を提供する。1つには、これは、試料中に存在するDNAまたはRNAのコピー数の測定を可能にし、研究、医療、および環境試験での適用に多くの用途を有する。直接的な定量適用に加え、動的反応産物検出は、他の問題に対する優れた解決策、例えば、改変され蓄積反応速度論によって一ヌクレオチド多型性対立遺伝子の識別を可能になることなど、および非ゲル系形式標的の有無を評価する機構をもたらす。
RPAは、熱サイクリングを不要とすることにより特異的DNA標的を増幅するPCRの優れた代替法を提供する。RPAでは、必要とされる機器はあまり高価でなく、非実験室設備で行なうことがより簡単になる。
現在、DNA蓄積のリアルタイム解析は、PCRとの組合せで、もっとも広く使用されている。PCRは、産物検出閾値に達した後、数回のサイクルまでDNAの指数関数的増幅を示し、種々の蛍光系センサーが使用される場合は比較的廉価な光学機器を用いて行ない得る。従って、所与の試料が検出可能性閾値を超えるサイクル数を、対照試料の同等の結果との組合せで評価することは、身元不明の試料中に存在するコピー数の値決定を可能にする。いくつかのセンサーアプローチが報告されており、多くが現在、使用されている。蛍光副溝結合色素が使用され得、これは、いったんDNAに結合すると、強い蛍光を発する。かかる色素の例としては、SYBR金およびSYBR緑(Wittwer et al.[1])が挙げられる。さらなる他のアプローチが成功裏に実施されており、これらは、標的特異性の付加から、さらに大きい感度および特異性を可能にする(特に、初期試料試料、低標的レベルで)感知までに至る。簡単な形式の一例は、各々、フルオロフォアで標識された、アンプリコンの隣接する内部配列認識する2つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。標的が存在する場合、2つのフルオロフォアは、互いに接近して位置した状態になり、蛍光蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が起こり、これは、好適な励起および発光フィルターにより検出され得る(Wittwer et al.1997 [2])。他の好ましい系では、プローブが、フルオロフォアおよび消光剤の存在と組み合わせて用いられる。一部の方法では、標的アンプリコンへのハイブリダイゼーションは、ヘアピン会合フルオロフォアおよび消光剤の分離を引き起こし、従って、蛍光を増加させる。別の方法では、プローブのハイブリダイゼーションは、5’−3’エキソヌクレアーゼを有する接近しているポリメラーゼの作用により評価され、これは、プローブを攻撃し、フルオロフォアと消光剤の永続的な分離をもたらす(いわゆる「Taqman」プローブ) [Heid CA,Stevens J,Livak KJ,Williams PM.,Real time quantitative PCR.Genome Res.(1996) 6:986−94]。これらのアプローチなどの実施は広く文書化されている。
PCR反応中、いくつかの異なる一時的に独立した反応期が確認され得る。すべてのDNAは、すべてのDNA鎖を融解するのに使用される高温(例えば、94℃)で単鎖である。続いて、増幅プライマーは、第2の低温、例えば、50〜65℃でアニーリングされ得る。最後に、主に二本鎖産物が生成するプライマーの伸長が、典型的には70〜75℃で行なわれる。PCRの制御されたサイクル性により、サイクル中の特定の異なる点でDNAの蓄積レベルを評価することが所望および必要とされる。これは、合成段階の最後で行なわれ得る。あるいはまた、用いるアプローチに応じて、別の時点で別の(第4の)温度で蛍光を測定することが望ましい場合もある。
PCRとは異なり、RPA反応は、主に、単一の温度で作業を行なうように構成される。RPAの現行の構成は、反応期がなく、従って、試料中には、完結した種々の反応「段階」が同時に存在する(フェーズ決定は、理論的には、例えば、ATPの制御された脱ケージ化などのアプローチによって得られ得る)。このように任意の所与の瞬間にフェーズ決定がない結果として、二本鎖DNA、単鎖DNA(例えば、被置換鎖およびオリゴヌクレオチドなど)、ならびに不均一な性質の中間体(例えば、三重らせん中間体および/または相同性検索複合体)の混合物が生じやすい。反応混合物の不均一性にもかかわらず、一般的な場合、定常状態レベルの二本鎖DNA、あるいは単鎖DNAは、反応中、産物が蓄積されるにつれて増加する。これに基づくと、産物蓄積の測定に対する直接的なアプローチが容易に使用され得ることは、合理的なようである。
ここで、本発明者らは、RPAと適合性で、蓄積される反応産物リアルタイム検出を可能にするSYBR緑およびSYBR金色素の量を記載する。また、これは、配列特異的モニタリングプロトコルがRPAと適合性である場合である。かかるアプローチとしては、2つの蛍光標識されたオリゴヌクレオチドの使用(これらは、ハイブリダイゼーションすると、蛍光蛍光共鳴エネルギー移動を行なう)または二重標識プローブの使用(例えば、ハイブリダイゼーションがFRETの改変をもたらすまで、もしくは関連するヌクレアーゼ活性によって分離されるまで消光されているもの)が挙げられ得る。本発明者らは、ある種のポリメラーゼのいわゆる5’−3’エキソヌクレアーゼ活性に依存する「Taqman」アプローチは、このようなヌクレアーゼが、実際には、RPA反応を阻害する構造特異的FLAPエンドヌクレアーゼであるため、RPA反応に使用され得ない証拠を提供する。さらにまた、プローブの天然ヘアピン形成特性が不可欠であるある種のアプローチ(例えば、分子ビーコン)は、プローブが、単鎖DNA結合タンパク質およびリコンビナーゼの存在下で融解状態である可能性のため、RPAにおいてはあまり成功裏ではない。
図54は、SYBR金およびSYBR緑染色がRPAと適合性であるか否かを調べるための実験の結果を示す。SYBR金を用いた初期の実験は、SYBR金色素の種々の希釈物を供給ストック(DMSO中、分子プローブから10,000×ストックで示す)から作製し、ヒトアポリポタンパク質B遺伝子座の断片を増幅するプライマーを用いて行なった(図1A、B)。反応は、最終濃度が1×(ストックから1:10,000)または0.4×(ストックから1:25,000)の場合、明白に阻害されるが、0.2×(ストックから1:50,000)では有意に観察されなかった。この0.2×の濃度を、次いで、同じ2つのヒト特異的プライマー確立した50マイクロリットル反応物の希釈列において最大濃度として、全ヒトゲノムDNAの2つの(低)標的濃度(2または20コピー/マイクロリットル出発コピー密度)で使用した(図54 C)。マスターミックスを氷上で合成し、アリコートを、氷温まで冷却した96−ウェルマイクロプレートのウェル内に入れた。いったん混合したら、本発明者らは、プレートを、ステージを37℃に設定した蛍光マイクロプレートリーダーに移した。リーダーは、485nmでの励起、528nmでの発光、1分間隔で1時間にわたって蛍光の読みが収集されるように設定した。同じ実験において、SYBR緑色素は、同じ程度(D)に希釈し、同様の試料において同時にアッセイした。この実験で、SYBR金またはSYBR緑を用いたリアルタイムRPA反応の構成に関連するいくつかの重要な要素が明らかになった。第1に、SYBR金内での検出時間の直接比較する実験は、見かけ上、1:50,000倍希釈物でさえ、高希釈物と比べて反応を遅延させることを示す。実際、1:100,000または1:80,000では、有意により高速の反応反応速度論が得られ、従って、先の末端−点解析で許容され得ると思われた1:50,000よりも良好な量のSYBR金が使用されるようであり得る。しかしながら、最大希釈物で得られた相対最大の蛍光シグナルは、低希釈物よりも有意に小さく、これは、色素が限定的になることを示す。また、SYBR金の最大希釈でさえ、バックグラウンドを超えて蛍光を増加させ、SYBR緑実験における試料よりも後に検出され、すべてのSYBR金濃度での全体的な蛍光シグナルはSYBR緑の場合よりもずっと小さかった。対照的に、SYBR緑試料は、すべての場合で、SYBR金実験の場合よりも早期に検出された。結論として、本発明者らは、両方の色素がリアルタイムRPAにおいて使用され得るが、SYBR緑のほうが、標準的な解析よりロバストなようであることを示す。1:50,000〜1:100,000の最終希釈物で良好に機能を果たすようであるが、さらに濃縮した試料(1:50,000)では、全体的により高い蛍光およびより長い検出可能な指数関数的反応期が得られ、これは、1:50,000希釈がこれらの実験において最良であることを示す。また、本発明者らは、より高いSYBR緑濃度で成功裏にアッセイしたが、最終的に阻害が起こり得るという一部の示唆が見られた。本発明者らは、1:50,000〜1:25,000は、動的リアルタイムRPAアッセイに最適SYBR緑濃度であることを示す。
図55は、系の、異なるコピー数のDNA標的(B.subtilisゲノムDNA中に存在)間での識別能力を測定する2つの実験の一例を示す。500,000、50,000、5,000、500、50または0コピーのB.subtilis DNAの鋳型分子の開始数を種々の試料中に存在させ、増幅を、B.subtilis SpoOB遺伝子座特異的プライマーBsJlおよびBsK2を用いて行なった。多くの独立した実験において、系は、図56に示す代表的な実験と同様のプロフィールを、成功裏にもたらした。指数関数的反応期曲線間の間隔は、定量的な系に必要とされる10倍コピー数希釈物間で同様であることに注意されたい。本発明者らは、RPAは、出発鋳型数の大きさの少なくとも4次数にわたって定量的であると結論付けるが、より大きな範囲にわたる定量的結果も生じ得る。第2のB.subtilis漸増実験(図55C)において、最大標的濃度の漸減は意外に早期であることに注意されたい。後の実験は、これが、ほぼ倍レベルを用いた後の実験(図56)と比べ、比較的低レベルのgp32およびuvsXがこれらの実験において使用された結果として、散発的に生じ得ることを示す。
本発明者らはまた、SYBR緑RPA系が、いくつかのヒトDNA希釈物を増幅することにより、ある範囲のヒトDNAの出発鋳型コピーをモニターする能力を同様に調べた。図57は、かかる解析の結果を示す。予測されたとおり、データは予測されたプロフィールフィットし、これは、RPAが定量的な様式での挙動を示し、SYBR緑で容易にアッセイされ得ることを示す。同様の追跡効果が、最大標的試料で観察されたが、後の実験で修正された(このとき、より高量のgp32およびuvsXを使用した)(図57 CとBを参照、末端−点産物レベル全体で付随物が増加する)。
本発明者らは、蛍光色素を用い、RPA反応の反応速度論をモニターすることが可能であること、およびこれは、さらに試料中の特異的標的の量を示すために使用され得ることを示す。最も簡単な解釈は、二本鎖DNAが、SYBR緑蛍光の検出限界を超える質量点まで、RPA反応において指数関数的様式で蓄積されることである。しかしながら、SYBR緑RPA反応の蛍光プロフィールがさらなる活性を反映していることはあり得る。例えば、RPA産物は、一部の環境下で、他の産物との組換え反応に関与し、そのSYBR緑結合挙動が充分理解されていない複合体中間体もたらし得る。また、産物蓄積の反応速度論プロフィールは、出発コピー数と部分的にのみ関連する反応熟成現象の結果として改変され得る。これは、これらの早期実験の一部において最大コピー数試料で観察される偽早期蛍光追跡の基礎となり得るが、uvsXおよびgp32レベルを増加させた後の実験では、この現象は回避された。
本発明者らは、いくつかの場合において、水分制御により、同様の時間枠内で試料の最低濃度(典型的には、1コピー/マイクロリットル開始密度またはそれ未満)に対してリンス処理が開始されるようであるが、水分制御産物の蓄積の反応速度論は、標的含有試料(より低速の倍増時間を示すより浅い指数関数的反応期を有する)とは異なるようであること観察した。この観察は、おそらく、アンプリコンが有するRPA系における合成速度を低下させる構造的特性(例えば、内部反復配列)によるものである。本発明者らは、前に、プライマー誘発性アンプリコンが、多くの場合、1回の二本鎖倍増に、真の標的アンプリコンに充分であり得る1ラウンドではなく、2ラウンドの侵入/合成を必要とし得る逆の反復配列構造を含有する傾向があり得る可能性に関して述べた。この現象の起源とは無関係に、本発明者らは、高性能のデータ解析ソフトウエアおよび好適な実験内部対照により、このノイズが特定され、真の標的増幅の反応速度論挙動と識別され得ると推測する。さらにまた、本発明者らは、異なるアンプリコン間で、検出に達するのに要した時間内、および曲線の傾きにおいていくつかの異なる多様性を観察した。これは、異なるプライマーの活性の多様性、および異なるアンプリコンの種々の長さおよび配列組成は、平均倍増時間がアンプリコン間で異なり得ることを示すため、予測され得る。この基準単独による蛍光プロフィールの傾きは、異なる型のアンプリコン間で異なり得、これは、解析に有用に使用され得る。
ここで行なった実験は、RPA反応反応速度論は、試料中の標的DNAの存在を評価するのに要する時間を、後のゲル電気泳動と比べて減少させるために使用され得ることを示す。本発明者らがここで用いた実験設備は、使用した96ウェルプレートは厚手のプラスチック製であり、蛍光光度計上の加熱したプレートは、試料ウェルと直接接触していないため、理想とは程遠い。本発明者らは、50μl容量反応がこの条件下の温度に達するのに5分間までを要し、おそらく100μl容量では、8分間と推測する。最適化されたデバイスでは、このような長いラグ時間は存在し得ない。従って、本発明者らは、臨床的に重要な量のヒトDNA(例えば、1000〜3000コピー、約3ng〜9ng)の増幅は、 容易にほぼ30分間以内に、適切な設備により、ここに示した典型的な条件を用いて評価され得ると推測する。96ウェルプレートおよび従来の蛍光光度計を用いるこのような実験の制限にもかかわらず、このようなパイロット実験は非常に有望であり、RPA反応の反応速度論のモニタリングが定量を追跡可能なアプローチをもたらすこと、およびこの定量が、DNAレベルを少なくとも5次数の大きさにわたって評価するために実用的に行なわれ得ることを示す。
(ATP濃度に媒介されるRPA反応制御)
RPAは、多目的な方法であるが、反応においてリコンビナーゼが活性な場合に、正確に制御する特徴を組込むことによって改善され得る。かかる制御は、ケージ化ATPの光分解によるATPの周期的な解放によって得られ得る。あるいはまた、ATPまたは他のヌクレオシド三リン酸の反応濃度を、反復的な手動添加または生化学的オシレータの使用によって周期的に調節し得る。
ケージ化ATPは、DNA結合および大腸菌recAタンパク質のリコンビナーゼ機能いずも補助することができない[Butler BC,Hanchett RH,Rafailov H,MacDonald G(2002) Investigating Structural Changes Induced By Nucleotide Binding to RecA Using Difference FTIR.Biophys J 82(4):2198−2210]。しかしながら、光分解後、解放されたATPは、リコンビナーゼ機能を可能にする。これまで研究されたすべての原核生物のリコンビナーゼは、一次配列相同性および構造的相同性を有するrecAタンパク質の直接ホモログである。またさらに、研究されたすべてのrecAホモログ(真核生物のホモログを含む)は、リコンビナーゼ機能を可能にするためにATPへの結合を必要とする。本発明者らは、従って、同様の現象が、T4 uvsXおよび他のリコンビナーゼによって相応に媒介されると予測する。
リコンビナーゼ作用の調節におけるヌクレオチドの役割は、比較的充分文書化されている。原核生物のリコンビナーゼ、例えば、大腸菌recAおよびT4ファージuvsXの場合、リコンビナーゼは、ATPをADPに加水分解する(uvsX の場合はAMP)。加水分解は、リコンビナーゼがDNAに結合している限り、高活性で起こっている。ADP結合状態は、DNAに対する親和性がより低く、一般的に、DNAからのフィラメント分解(および改変され核タンパク質フィラメントピッチ)と関連する。典型的なインビトロ条件下では、ATPは、ADPに対して過剰で比較的高濃度に維持され、核タンパク質フィラメントにおけるATPへのADPの迅速な交換による早期分解の抑制が確保される。従って、反応中のリコンビナーゼは、ATP:ADP比に応答し、ADP濃度がATP濃度を超える場合、ある程度、核タンパク質フィラメントの正味分解が起こる。
RPA反応は、リコンビナーゼが合成単鎖オリゴヌクレオチド上に負荷され、相同性検索活性を行なう作用に依存する。リコンビナーゼの記載の活性は、ヌクレオシド三リン酸(最も明白にはATP)の存在に依存性である。リコンビナーゼがDNA結合状態のとき、これらは、ヌクレオシド三リン酸を高速で加水分解し、例えば、T4 uvsXタンパク質は、タンパク質1分子あたり37℃で、1分間に200分子のATPを単鎖DNA上で加水分解することが知られている(しかし、より短いオリゴヌクレオチドでの速度はより多様性であり得る)。従って、特に、オリゴヌクレオチドがほぼマイクロモル濃度で存在する場合、大部分のオリゴヌクレオチドがリコンビナーゼフィラメントと会合する活性な組換え反応を維持するためのATPの大量供給の必要性がある。
典型的なRPA反応中で起こり得る反応ヌクレオチドレベルの不安定性が考慮される。一対のオリゴヌクレオチドを使用し、各々1μM反応の濃度でオリゴヌクレオチドは35残基長である場合、リコンビナーゼで10%飽和のオリゴヌクレオチドでは、結合リコンビナーゼ濃度はほぼ2.8μMである(3〜5%PEG化合物中10%飽和の値は、本発明者らの実験の結果とほぼ一致するが、わずかに、高いか低いこともあり得る)。これは、公表された加水分解速度に基づくと、毎分、ATPの0.56mM溶液を同等量のADPに変換し得る。従って、反応を開始するのにATPの3mM溶液を使用し、ATP再生系が存在しない場合、わずか3分間後に、ADP濃度がATPと等しいレベルに上昇し得、リコンビナーゼは不活性となり得る。
本発明者らは、0.6μMの全オリゴヌクレオチド濃度、およびほぼ3μMのuvsX濃度を常套的に使用した。このuvsXのすべてがオリゴヌクレオチドに結合するならば、ATPのほぼ0.6mM溶液は3分間で消費され、オリゴヌクレオチドに対して反応速度200モル量/分が得られる。しかしながら、本発明者らのデータ(限定的な加水分解データ)に基づくと、単鎖DNAに対するuvsX分子の完全な結合が、本発明者らの典型的なRPA条件下で達成されることはありそうにない。しかしながら、形式的には、1モノマーあたりの加水分解速度が、本発明者らが用いたオリゴヌクレオチド長さで低くなることはあり得る。このような代替例は、場合によっては、本発明者らが、再生系の存在なしで、標的DNAを臭化エチジウム染色レベルによって検出可能なレベルまで増幅できたという事実によって示される。他の実験では、このレベルの増幅を達成するのにほぼ30分間を要することが示され、演繹により、本発明者らは、最大のわずか0.15mM ATPは、おそらく、各3分の期間(レベルの4分の1)で消費されたと計算する。
反応におけるuvsY有効濃度の解析は、予測される化学量論と一致する。本発明者らは、uvsXタンパク質と比べて等モル濃度のほぼ半分のuvsYをを常套的に使用した。公表したデータは、uvsYタンパク質は、おそらく、6量体としての機能を果たすことを示す。これがそうであり、1つの6量体が負荷に必要とされ、各負荷フィラメントを安定化させるとすれば、1個のオリゴヌクレオチド(30〜35量体)につき、ほぼ12〜14個のuvsX分子の必要性があり得るが、オリゴヌクレオチド1個あたり6個のuvsY分子が必要であり得、すなわち、ほぼ半分のモル濃度である。この実験的に測定された最適が、uvsXに対して等モル濃度の半分のuvsYが必要とされるという理論的推測を充分満足させる。
まとめると、0.6μMオリゴヌクレオチド、3μM uvsXおよび1〜3μM uvsYを用いる典型的なuvsX−補助RPA反応におけるADPへのATPの変換は、約50μM/分であり、それ以上ではない。反応中、1分間にuvsX分子あたり、ほぼ16分子のATPが加水分解される。この数字は、すべてのuvsX分子がssDNAに結合してATPを200分子/uvsX/分で加水分解すると予測した場合より6倍すくなく、おそらく、ほんの一部の割合のuvsXが任意の一時点で結合していること、加水分解速度が短いオリゴヌクレオチドで低いこと、および/または再生のない反応物において、ADPレベルが上昇すると、加水分解速度有意に低下することのいずれかを反映している。本発明者らは、最後の要素が最終的に重要となり得るが、大部分の反応において、これは、主要な要素ではないことを示す。
典型的なRPA反応におけるATPの消費速度を実験的に推測したが、ここで、ATP濃度のどのサイズのパルスが、リコンビナーゼ活性の好適なバーストを刺激するために使用する必要があり得るかの推定が依然として残る。これを行なうため、本発明者らは、特定のリコンビナーゼのKmをある程度推定する必要がある。
recAによるATP加水分解のKmは、20μMであると報告されている。従って、活性促進されるには、リコンビナーゼ系に解放される必要がある遊離ATPは比較的少ない。これがまたuvsX、についても真であると仮定すると、反応濃度をゼロから50ΜmMまで変化させるATPのパルスは、ADPレベルが1:1比まで蓄積される時間まで、相同性検索充分に補助し得る。標準条件下では、これはほぼ30秒間であり得、最終的に、25μM ADPおよび25μM ATPをもたらし得る。リコンビナーゼ活性の30秒間のバーストは、1ラウンドの侵入が起こるのに必要とされるものよりも長いものであり得る。ATPのさらなるパルスは、リコンビナーゼ活性のさらなるバーストを容易にもたらし得る。例えば、50μM上昇のさらなるパルスは、25μM ADPと比べ、ATPレベルを75μMに上昇させ得る。30秒後、ATPレベルは50μM ATPおよび50μM ADPに平衡化し、反応は、再度、停止する。さらなるパルスは、ATPを100μMに、およびADPを50μMに上昇させ、30秒後、さらに各々75μMで平衡化される。従って、過剰ATPの30秒間のバーストが、50μM バースト中に解放され、リコンビナーゼ活性のバーストを補助し得る。もちろん、ADPおよびATPの絶対濃度全体を変化させることは、反応挙動に影響を及ぼすことがあり得、調整が必要となり、おそらく、わずかに、ATPより大量のパルスが各ラウンドでの解放に必要であり得る。それでも、3mMのケージ化ATPの出発濃度(本発明者らの先の実験で使用したものと同様)および50μMのパルスでは、60の独立したパルスを補助することが可能であるのは明白である。ADP濃度の全体的な増加を担うためにバーストサイズを進行的に増加させる必要があったとしても、30サイクルで対応できることがかなり起こり得る。さらにまた、ADPは反応物から、ADP代謝酵素を反応物中に含めることによって除去され得る。これは、ADPの加水分解、あるいはまた、ATPへのADPの再生および一定の供給源ATP活性代替消費(例えば、NADH生成など)を含み得る。
ケージ化ATPは、容易に市場で入手可能であり、最近、脱ケージ化を誘発するのに使用され得る廉価な低出力デバイスが入手可能となっている。光発光ダイオード(LED)の進歩は、波長365nmの光を生成させるための小さな廉価な低出力供給源の開発をもたらした。本発明者らは、かかるデバイスを、携帯型で電池式の低出力加熱セルに組み込むことを想定している。あるいはまた、短期間のリコンビナーゼ活性が、小容量のさらなるATPの添加を単に反復することにより、またはオシレータ系(例えば、ホスホフルクトキナーゼオシレータなど)を用いることにより生成され得る。
(非対称なプライマーの使用によって媒介されるRFA反応制御)
一方向RPA反応は、単一のプライマー標的部位から誘発され得る。対向プライマーの非存在下では、かかる反応では単鎖DNAが生成される。本発明者らは、3’ロックされた核酸(LNA) [Di Giusto DA,King GC(2004) Strong posisional preference in the interaction of LNA oligonucleotides with DNA polymerase and proofreading exonuclease activities:implications for genotyping assays.Nucl Acids Res 32(3):e32]ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、特定のポリメラーゼ、例えば、Bacillus stearothermophilusおよびBacillus subtilisポリメラーゼIによるリコンビナーゼ媒介性伸長のプライマーとしての機能を果たし得ないが、他のポリメラーゼ、例えば、E.coliクレノウ断片プライマーとしての機能を果たすことを見出し、これは、かかる3’LNAキャッププライマーが、標的単鎖DNAにハイブリダイズすると、ポリメラーゼ伸長反応においてプライマーとしての機能を果たし得ることを示す以前のデータと一致する。本発明者らはまた、すべてのポリメラーゼが組換え中間体から開始できるわけではないようであり、おそらく、一部のポリメラーゼでは、単鎖DNAのより長い伸長鎖が、プライマーと結合していることが必要とされることを反映していることを見出した。例えば、本発明者らは、φ−29ポリメラーゼは、組換え中間体からの合成を開始できないことを見出した。しかしながら、また、本発明者らは、これが、3’LNAキャッププライマーから合成され得る証拠を有する。最後に、公表された報告と一致して、本発明者らは、所与のリコンビナーゼでは、リコンビナーゼ補助鎖交換が効率的に起こるのに必要とされる最小のプライマー長があることを見出した。具体的には、27〜30塩基対より短いオリゴヌクレオチドは、uvsXには不充分な基質である。それでも、20〜27ヌクレオチド程度の短いプライマーは、ハイブリダイゼーション媒介性プライミングを補助するのに完全に充分であり得る。従って、長いプライマーと短い方のプライマーを組合せることにより、一方プライマーは侵入誘発性伸長に、他方はハイブリダイゼーション誘発性伸長に使用されるように、RPA反応を偏向させることができる。
総合すると、このような事実は、反応が、合成が一方から開始され、これが通過した場合にのみ、第2の部位が反対の合成を開始するような様式で合成され得る、さまざまな構成を示唆する。例えば、RPA反応は、一方のプライマーが通常のオリゴヌクレオチドであり、対向プライマーが3’LNAキャップオリゴヌクレオチドであるように構成され得る。同じ反応に、3’LNAキャップオリゴヌクレオチドを使用し得ないが、侵入構造から作用するポリメラーゼを、3’LNAキャップオリゴヌクレオチドを使用し得るが、ハイブリダイゼーション構造のみから作用するものと混合する。リコンビナーゼ媒介性侵入および通常のプライマーからの伸長により、単鎖DNA分子が生成され、次いで、これは、3’LNAキャップ対向プライマーがその標的部位とハイブリダイズすると、第2のポリメラーゼによる合成の鋳型としての機能を果たし得る。あるいはまた、ハイブリダイゼーションにおいてのみ機能を果たす短い第2のプライマーは、非対称なプライマー使用を確実にすることもあり得る。オリゴヌクレオチドの長さおよび性質の他の構成も、種々のポリメラーゼとともに、所望の効果をもたらすために使用され得る。従って、非対称なプライマーの使用は、複製フォーク衝突による任意の妨害を解決するはずである。しかしながら、通常のプライマーからの合成により置換された単鎖DNAの再侵入を回避するため、リコンビナーゼ活性を制御することもまた、必要であり得る。
非対称なプライマーの組合せおよびATPレベルの制御は、長い(>10kb)DNAを増幅するのに充分な条件を提供し得る。長いDNAの増幅効率に影響を及ぼし得る他の要因の1つは、他の鋳型DNA、他の非鋳型DNA、およびRPA反応そのものの産物、例えば、被置換単鎖DNAによる妨害である。リコンビナーゼが置換された単鎖DNAと会合し、鋳型DNAにおける侵入反応を媒介し得る可能性に加え、単鎖DNAと試料由来の他の非鋳型DNAが、標的鋳型DNAにより不適切にハイブリダイズし、効率的な複製を妨げ得る可能性もある。このような問題を一部回避するため、少なくとも最初の数ラウンドの複製で、空間的に鋳型DNAを固定し、他の長いDNAとの会合を抑制することが有用であり得る。これを達成する簡便な手段の一例は、RPA反応物を、平均孔径を、小さなRPA成分(例えば、酵素およびプライマーなど)の自由な移動が許容されるが、長いDNAの自由な移動は許容されないように調整したゲルマトリックス(例えば、ポリアクリルアミドゲル)中で合成することである。低い出発濃度の試料DNAは、物理的に分離されており、互いに会合することができないが、小さいRPA成分は、比較的自由に鋳型分子会合する状態である。Churchおよびその協働者らは、ポリアクリルアミドゲルをこのようにしてPCRおよび協働に使用して、空間的に分子されたアンプリコン(2次元に分離可能であり、ポリメラーゼコロニーまたはポロニーとして知られる)をもたらすことを報告している[Mitra R,Church G(1999) In situ localized amplification and contact replication of many individual DNA moleciles.Nucl Acids Res 27(24):e34i−vi]。典型的には、ポロニーは、異なる鋳型からアンプリコンをイメージングするために使用され、そのため、顕微鏡スライド上で作製される。しかしながら、長いDNAの増幅では、個々のポロニーを分離し、従って、反応物が任意の適切な容器内で合成され得ることが必要であり得る。
ポロニーアッセイ自体は、PCRではなくRPAの使用から恩恵を被り得る。PCRの使用には少なくとも2つの問題がある。第1は、ポロニーは、通常、顕微鏡スライド上で作製され、ガラスは不充分な熱伝導体であるため、PCRに必要とされる時間は、通常のバルク反応期PCRよりも有意に長くなり得る。これは、増幅産物の拡散が、かなり大きなポロニーサイズ、高密度ハイスループットアッセイとの不適合性をもたらすことを意味する。第2に、PCRは、鋳型DNAの熱融解を必要とするため、90℃を超える温度が伸長期間に必要とされる。このような高い温度は拡散速度を増大させ、平均ポロニーサイズをさらに増大させる。低い一定の温度を伴なうRPAは、このような問題の両方を解決する。
(多型性状態の所与のアンプリコンの同定を可能にするためのRPA動的な組換え環境の使用)
規定の核酸配列の有無は、試料核酸と以前に性質が測定されている核酸プローブとでハイブリッドを形成させた後、かかる相互作用を検出する適切な方法を行なうことにより測定され得ることは、広く実証されている。例えば、DNA、RNAまたは他の主鎖オリゴヌクレオチドが空間的に分離され、支持体に固定化されているマイクロアレイは、広く使用されている。次いで、試料中の相同配列の有無が、適切なバッファーおよび固定化されとプローブと試料核酸間でのハイブリッド形成を可能にする温度条件下で、試料を共インキュベートすることにより測定される。この場合、試料およびプローブは、ともに、ハイブリダイズできるように完全または部分的に融解状態で提供される。標識が試料中に組み込まれている場合は、続いて、相互作用が定量され得る。
配列特異的ハイブリッドを形成させる代替アプローチが報告されており、この場合、関与する核酸の一方は、最初は二本鎖であり、三重鎖タンパク質含有ハイブリッドが、リコンビナーゼ酵素、例えば、大腸菌recAの作用によって、非加水分解性ヌクレオシド三リン酸アナログの存在下で形成される(米国特許第5,460,941号および米国特許第5,223,414号を参照)。また、リコンビナーゼを用いるが、四重鎖構造を形成させることにより無タンパク質組換え中間体を安定化させることを追求する代替法が報告されている(米国特許第5,273,881号を参照)。しかしながら、このようなアプローチは、方法および結果(以下にさらに詳述)の両方において、本明細書に記載のものとは異なる。
多くの場合、ハイブリッド形成のプロセスは、標的の存在と非存在が識別され、さらに、完全にマッチしているか否かを調べるのに充分な忠実度である。例えば、短いプライマー(例えば、7〜18ヌクレオチド長)は、ハイブリダーゼーション条件をストリンジェントに制御すると、完全な相補鎖と不完全な相補鎖を識別し得る。しかしながら、核酸が長く、完全なハイブリッドと不完全なハイブリッド間に少しだけ多様性がある場合(例えば、100以上の領域に数ヌクレオチド)、かかる改変体と完全なマッチ間でハイブリダーゼーション効率に充分に大きな差が存在することは起こりにくい。
本発明は、増幅反応産物と、規定の位置(個々の位置の各々はを示す純粋な集団の断片を含有し、既知の反復長さの1つが集団内に存在する)に存在させた予め合成および固定化したプローブ核酸とでハイブリッドを形成させることによる試料核酸の多型性状態の測定に関する。
組換えポリメラーゼ増幅(RPA)法によって増幅されるDNA配列は、以下の理由により、かかるハイブリッド−形成系アッセイの理想的な標的である。第1に、RPA法を、例えば、増幅プライマーの比率を変えることにより、ほどんど二本鎖DNA産物、またはほとんど単鎖DNA産物が生成させるように構成することが可能である。第2に、RPA反応物は、二本鎖DNAを熱的に融解する必要なく、最初は二本鎖のDNAと単鎖DNA間のハイブリッドの会合を、可能にするのに必要な成分すべてを含有する。従って、さらなる試料の取り扱いは、ほとんど必要とされない。
リコンビナーゼ、およびリコンビナーゼの継続的な存在を伴なう不十分に規定されていない「三重らせん」中間体の状態の関連する相補的核酸のハイブリッドを安定化させるATPの非加水分解性アナログ、例えば、ATP−γ−Sの使用を用いる他の方法が報告されている。しかしながら、かかるアプローチは、このような高度に安定な構造は動的でなく、他の因子による接近に対する反応産物の有意な抵抗性を提示するため、本明細書に記載の状況では機能しない。結果として、リコンビナーゼの非加水分解性ATPアナログとの使用は、有意な程度のミスマッチ含むDNA間の極めて安定なハイブリッドの形成をもたらし、従って、配列間の効率的な識別が許容されない。対照的に、本明細書に記載のアプローチでは、ATPまたは他の加水分解性アナログを利用する動的な系を用い、この場合、ハイブリッドは容易に不安定化され、かつ生成される。正味の結果は、完全な相補鎖の相互作用の大幅な富化である。
好ましい実施形態では、RPA反応またはその付随物の終了後、反応混合物をプローブ分子のアレイに、各増幅された多型性DNAが第1の場合において全く同じか相補的な配列を含有する正確な固定化プローブ核酸に配置されるように接触させる。この初期のハイブリッド形成反応が充分な効率または忠実度で起こらなければ(非常に類似した配列の場合にそうあり得る)、リコンビナーゼ誘発性反応の動的な性質により、ミスマッチが解消されるはずである。これは、不完全なハイブリッドがバブルおよび非二本鎖特性を含有するためであり、これは、完全なマッチと比べ、このようなハイブリッド上へのリコンビナーゼの再負荷を助長し、ハイブリッド崩壊速度の増加を引き起こす機能を果たす。新たな二本鎖形成事象の発生が許容され、完全なハイブリッドが形成された場合のみ、これらは、さらなる反応に対して比較的に抵抗性となる。実際には、STR反復単位の可能な数すべてが反復の順に整列されると、最後には、正確なマッチでピークとなり、直接隣接部では弱くなり、さらに遠くでは非存在となるハイブリッドの形成の勾配がもたらされ得る。ミスマッチバブルのサイズが増大するた、リコンビナーゼが単鎖バブル領域上に負荷される傾向が進行的に大きくなる(図58および59)。
さらに、動的なリコンビナーゼ系が、完全なハイブリッドと不完全なハイブリッドを識別するのに充分に特異的でない場合、さらなるハイブリッド崩壊性成分を反応中に含め得る。かかる因子としては、限定されないが、ヘリカーゼ、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、ポリメラーゼ、および他のDNA結合因子が挙げられる。特定の形態のDNAまたは構造を選択的に標的化し、ミスマッチまたはバブルと相互作用し、分解するが、完全なハイブリッドには作用しない種々のヘリカーゼおよびヌクレアーゼを存在させる。例えば、大腸菌PriAヘリカーゼは、単鎖DNAが二本鎖DNAに隣接して露出した領域と相互作用し、これは、STRハイブリダーゼーションにおいて起こり得る反復数のミスマッチにおいて起こり得、続いて、DNAを3’→5’方向に巻き戻す作用を行ない得る。かかる不安定化により、リコンビナーゼのこのような分離され鎖上への再負荷を許容し、代わりに新たな代替ハイブリッドの形成が許容され得る。経時的に、かかる機構では、正確な標的とプローブ間のみのハイブリッドを富化させ得る。同様に、大腸菌、DnaBの複製ヘリカーゼは単鎖DNA上に負荷され、PriAとは反対に、二本鎖DNAを5’−3’方向に巻き戻す。バクテリオファージT4のddaヘリカーゼは単鎖DNA上に負荷される。ddaヘリカーゼは、非常に強力なため、その経路において他のDNA結合タンパク質を置換し得る。ddaヘリカーゼは、非常に高度に親和性のストレプトアビジン−ビオチン相互作用を崩壊させることが示されており(ビオチンがオリゴヌクレオチドの3’末端にある場合)、従って、ddaヘリカーゼは、表面上の固定化されたプローブ複合体不安定化させるために使用され得る(Byrd and Raney,2004)(Morris and Raney,1999)。
あるいはまた、大腸菌RuvAおよびRuvB遺伝子産物は、二本鎖DNAを包囲し、DNAに沿って分枝点を誘発し得るヘリカーゼを形成する。このようにして、バブルは、鋳型の末端に「押し込まれ」、充分な不安定化を引き起こし、リコンビナーゼ負荷ならびに他の事象を可能にし得る。二本鎖特性の不完全性を標的化し得るヌクレアーゼとしては、例えば、ミスマッチまたはバブルで二本鎖DNAにニック形成し得るSlヌクレアーゼが挙げられ得る。構造特異的特性を有する他のかかるヌクレアーゼがある。かかるニックは、鎖置換ポリメラーゼ伸長を開始させる機能を果たし得る。あるいはまた、ヌクレアーゼがプローブDNAを切断する場合、経時的に、後に生じるシグナル完全なハイブリッドが形成された時点でのみ残存するような、固定化部位から解放される化学基または酵素性基を有することが可能である。
従って、必要な成分組み合わせることにより、完全なハイブリッドが有意に支配的であり、不完全な部位が枯渇されるか、または検出不可能となる環境を作り出すことが可能であるはずである。このアプローチに重要なことは、完全なハイブリッドおよび不完全なハイブリッドの安定性が、異なる多型性特徴を有する反応産物の感度のよい識別を可能にするように、ハイブリッドが形成および崩壊され得る動的環境の確立である。この環境は、記載のようなgp32、uvsX、uvs Y、PEG化合物およびATP再生系を含む動的/安定なリコンビナーゼ系によって理想的に提供される。
生産的なハイブリッドの有無または固定化部位からの標識の減少(例えば、上記のヌクレアーゼアプローチを参照)は、標準的な方法によって測定され得る。これらとしては、DNA標的またはDNAプローブ上に固定化された酵素の基質を用いた末端点における反応物のインキュベーションが挙げられる。他の検出アプローチも可能であり、別途広く報告されている。
(分子的手法における広範な使用のための動的な持続性のリコンビナーゼ環境)
本発明者らは、低い一定の温度で核酸の大規模に幾何級数的な増幅を可能にすることを念頭に、動的なリコンビナーゼ活性に完璧な環境の確立に取り組んだ。しかしながら、確立された環境は、他の酵素との組合せで明白に使用され得、または実際にはそれらなしで、さまざまな状況において、一般的に古典的なハイブリダイゼーション反応と置き換え得る。例えば、分子的クローニング手順は、大きなトラクトのDNAを互いに、熱融解よりもずっとより有効に組換え、アニーリングする可能性を利用したものであり得る。また、インビトロ分子的プロセスに使用され得る多くの他の酵素は、大部分の中等温度好性の酵素と適合性の低温環境の恩恵を被り得る。かかる酵素としては、ポリメラーゼに加え、らせん変形(ゆがみ)認識ヌクレアーゼ(例えば、Slヌクレアーゼ)、FLAPエンドヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、塩基修飾または除去酵素、リアーゼ、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、リガーゼ、逆転写酵素、RNase H活性、リゾルベース、RNAポリメラーゼ、および核酸に作用するか、または、これらと相互作用する任意の他の酵素が挙げられ得る。これらはまた、インビトロ系に適当なDNA代謝酵素に加え、検出プロトコルに使用される他の酵素、例えば、アルカリホスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼを伴ない得る。安定で動的な組換え系特有の特性と他の触媒活性の組合せにより、潜在的に非常に多数の新たな方法および適用が可能になる。
完全に低温動的な酵素性ハイブリダイゼーション系を他の酵素系と組み合わせることの重要な影響の認識に加え、本発明者らは、RPAを用いた実験に基づき、短いオリゴヌクレオチドプライマーを用いる高度に活性な組換えの合成に最適な配列知識を確立した。本発明者らは、非常に活性なプライマーが、特にピリミジン高含有分布によってキャラクタライズされたことに注目した。グアノシン残基は、対照的に、本発明者らが解析した最も活性なオリゴヌクレオチドにおいて不十分に提示されるようであり、先の結果では、オリゴヌクレオチドの5’末端に付加されると、これらは、その活性が低下することが示された。
本開示では、本発明者らは、オリゴヌクレオチドの5’末端へのDNA配列の付加の影響を試験する反応の動的なモニタリングの実験結果を報告する。それ以外は同一であるオリゴヌクレオチドのまさに5’伸長部への配列の付加は、RPAにおけるその活性に対して有意な効果を有する。本発明者らは、これらの観察結果は、単鎖、あるいは二本鎖、DNA上のリコンビナーゼの負荷挙動の反映と最良に解釈されることを示す。これらはまた、ssDNA上でのリコンビナーゼの規定のフェーズ決定の制御に役割を有する。
出発点として、本発明者らは、反応速度論研究(非リアルタイム)および一般的な観察により、一部のプライマー対は、他よりも迅速なDNA増幅を媒介できることに着目した。具体的には、迅速なプライマーは、ヒトSTRマーカーCSF1POと特定され、これは、ほぼ30秒間の平均倍増を有するようであり(開始から検出可能な産物蓄積までの単位時間の平均倍増として概算した)、検出可能なレベルの産物を数千コピーの標的から初めて15分間以内に生成できるようであった(図67を参照)。他のプライマー対は、同様の結果を達成するのに、典型的には20〜35分間要した。本発明者らは、この多様性源を知るために追求した。(図67を参照、データ示さず)。
CSF1POプライマーのDNA配列の解析により、これらは、比較的ピリミジン高含有であり、また、グアノシンはかなり少ないことが明らかになった。この観察結果は、本発明者らが、シトシンまたはグアノシン残基の伸長鎖のオリゴヌクレオチドの5’末端へのどのような付加が、RPAにおけるそれらの挙動に影響するかを調べた先の実験から得られた一部のデータと相関した。図68に、リアルタイム増幅実験を示す。Bacillus subtilis 胞子形成遺伝子座SpOB(JlおよびK2という)に特異的なプライマーを用いてB.subtilis ゲノムDNA由来の断片を増幅する。図67に示す実験では、本発明者らは、グアノシンの伸長鎖が全体的に「静的」反応を有するが、付加されたシトシンの伸長鎖は、「ノイズ性」増幅反応を有することに注目した。本発明者らは、この実験を反復し、反応をリアルタイムでをモニターし、所見を図68に示す。結果は、付加され塩基は、まさに最後に、速度挙動およびおそらくプライマーの活性に影響するという考えと一致した。すべての塩基がゲノム標的とマッチするプライマーJlおよびK2は、まず、SYBR緑色素で検出可能なこの実験で30分間をやや過ぎて産物を生成する(より高速の反応速度論は、後の実験で観察され、従来のマイクロプレートリーダーを用いた場合、これらの実験において起こったような非最適温度傾斜により、多様性が起こったかもしれない)。標的DNAを有する試料、および有しない試料は、この実験において、産物蓄積の少しの遅延、および改変体蓄積反応速度論によって識別可能であった。さらなるシトシン残基付加されたプライマーJl(C)およびK2(C)は、有意により高速なDNAの明白に増幅可能であった。しかしながら、本発明者らは、(プライマー誘発性)アーティファクトの蓄積は、標的DNAの場合と同様の時間幅において発生し、非付加プライマーよりも顕著に不充分に分離されることに注目した。本発明者らは、Cテイルプライマーは、単純により高速のプライマーであると推測する(しかし、この場合「よりノイズ性」でもある)。逆に、G残基が付加されたプライマーの蓄積反応速度論は、非常に不充分であり、明白に特定可能な予測された最終産物は、90分間のゲル電気泳動であっても観察されなかった。
本発明者らの結果に基づき、このような所見を公表された研究を合わせると、配列−組成は、プライマー上へのリコンビナーゼ−負荷に影響し得、ピリミジンがこの負荷プロセスを助長し得るとう推測に至る。公表された研究は、この範囲で対立している。一部の研究では、大腸菌組換えホットスポットにおいて高含有なGおよびT残基に対して組換えプロセスよりもrecA結合が優先する場合が作製された(Tracy and Kowalczykowski)。逆に、蛍光異方性を用いて行なわれたrecA負荷動力学特性の研究では、驚くほど異なる結論がもたらされた(Bar−Ziv and Libchaber)。この場合、recA核生成に対する障壁(核タンパク質フィラメント形成の低速フェーズ)は、組成に対して非常に感度がよく、ピリミジンに対する強く好都合な偏向が示された。このような後者の観察は、本発明者らの観察結果とさらに一致し得る。実際、RPAがかなり短いオリゴヌクレオチドを用いる傾向になると、有効な増幅挙動をもたらすのに、リコンビナーゼ核生成事象がどれだけ重要であるかがよりわかりやすくなる。迅速な核生成が、許容され得るレベルのフィラメント負荷を可能にするのに非常に望ましいだけでなく、さらに、これが、フィラメントのまさに5’末端方向で優先的に起こることが重要である。5’末端が核生成に不充分な基質である場合、内部配列はかなり良好であるが、大部分のフィラメントは、部分的にのみ負荷され、そのため、RPAにおいて適正に機能しない可能性がある。かかる部分的に負荷されたフィラメントは、ATPを適正に加水分解する負荷が不充分であり得、鎖交換を効率的に受けることができず、フィラメントの活性なプールから有効に誘出され得ない。さらに悪いことには、これらは、DNAと相同性検索複合体を形成することにより「毒」反応となり得、正常な動的な挙動を受けることが不可能になり得(これらが、加水分解を促進するのに必要な長さに満たないな場合)、標的DNAを非生産的な複合体に拘束し得る、これは、ATP−γ−Sを用いた場合に起こる。
ピリミジンは良好な核生成部位であるという考えと一致する本発明者らの初期の結果、およびこの単独で観察された多様性の説明となる魅力的な可能性にもかかわらず、本発明者らは、上記のアッセイはいずれも本発明者らが用いている実験系と真に等価でないことを指摘しなければならない。フィラメントの負荷、非負荷、加水分解挙動などはすべて、増幅状況において協調して関連し、多数の要素が役割を果たし得る。また、リコンビナーゼフェーズ決定は、プライマーの活性の決定において役割を果たし得ること、およびこれは、特定の位置での優先的な核生成(以前にrecAについて報告された現象)によって確立されることがあり得る(Volodin et al.;Volodin and Camerini−Otero)。この場合、核生成は、5’末端で優先的に起こり得、フィラメント全体に対する拘束されたフェーズが確立され得、フィラメント長さは、最後のタンパク質を3’末端に最も望ましい負荷で配置するために完全な長さを有することが必要であり得る。上記のような増幅状況と関連するさらなる複雑性に加え、これらの先の研究はすべて、T4 UvsXタンパク質ではなく大腸菌RecAタンパク質を用いて行なわれ、これらのタンパク質は一次配列レベルにおいて有意に多様であるため、RecA研究の結論全てをUvsXタンパク質に外挿することが可能でない場合がある。それでも、配列組成、特に5’配列組成の重要性を認識し、本発明者らは、まさに5’末端への付加にどの配列が最も有効であるかをさらに深く解析し始めた。すなわち、本発明者らは、この系におけるリコンビナーゼの理想化された「着陸部位」および/または一般的な増幅およびインビトロプロセスのための他の有益な特性と関連する部位の決定を追求した。またさらに、本発明者らは、リコンビナーゼのフェーズ決定が、活性全体に有意な役割を果たし得、これが、オリゴヌクレオチドの組成および正確な長さによって影響される予測した。
本発明者らは、より大きな主活性の刺激において、チミジン残基の伸長鎖、またはシトシンとチミン(ピリミジン)の混合物を付加することが、シトシン残基の伸長鎖と同程度に有効であり得るか否かを調べた。この解析の結果を図69に示す。興味深いことに、1回の実行においてチミンをオリゴヌクレオチドのまさに5’末端に付加すると、この実験では、増幅速度挙動が改善されなかった。実際、むしろ反対に、プライマーをチミン付加と組み合わせることにより、この実験では、非常に不充分な増幅挙動がもたらされた。本発明者らはまた、付加された配列が、シトシンとチミンの混合物であるプライマーを表示のようにして試験した。種々の組合せでのこのようなプライマーの挙動は、かなり多様で複雑であった。例えば、本発明者らは、この産物の一貫している(が証明されていない)単鎖同等物のさらなるバンドの存在に注目した。注意深い解析は、異なる組合せで、この生じ得る単鎖バンドの移動挙動は、第1の型または第2の型のいずれかであること、およびこれは、用いるプライマーと相関することを示す。簡単には、本発明者らは、これらの反応において、ある1つまたは他のプライマーがより活性となり、反応において非対称性、および親の非付加オリゴヌクレオチドでは見られない単鎖DNA蓄積の発現をもたらしたではないかと考える。この結果を合理的に説明することは困難であるが、本発明者らは、この実験では、より多くのシトシンが存在する場合は、より活性のようである若干の傾向にもかかわらず、チミンの伸長鎖は有効でなく、混合ポリマーもあまり有効でないと結論付け得る。
本発明者らの次の実験では、オリゴヌクレオチドの末端にまたさらに残基を付加し、それらの挙動をリアルタイム解析において比較した。この場合も、いったん、プライマー間に多様性が見られ、この実験では、対照として、各プライマーをそれ自身においてインキュベートしたことを含めた。興味深いことに、本発明者らは、ここで使用した非常に低濃度の標的(1コピー/マイクロリットル開始密度)で、単一のプライマーによって生じたノイズは、プライマー対を用いた場合に観察された産物DNAの蓄積と同様の時間枠内のようであることに注目した。さらにまた、これは、先に試験したオリゴヌクレオチドK2(C)で非常に明白であり、Jlオリゴヌクレオチドと組合せた場合、非常に迅速な増幅を担う。これは、オリゴヌクレオチドを個々にそれらのノイズ生成速度についてモニターすることが、それらの活性全体の測定において有用であることを示唆する。最後に、不可解なことに、K2(C)よりもたった1塩基対短いオリゴヌクレオチドである図70の一連のうちのオリゴヌクレオチド9は、この強力かつ迅速な増幅挙動を欠いていた。この研究で使用したオリゴヌクレオチドはHPLC精製しなかったが、本発明者らは、それでも、大部分のオリゴヌクレオチドは完全長形態であると推測する(製造業者により提供されたゲルの写真に基づく)。そのまま受け止めると、この驚くべき観察結果は、5’末端のC残基の数(5から6に変化)が、このオリゴヌクレオチドの一部の構造的特徴の有意な変換点であることを反映していると解釈すべきか、または一部のフェーズ決定挙動のさらなる影響を反映していると解釈され得るかのいずれかである。この後者の場合、本発明者らは、5’配列がフェーズ決定および第1のUvsXモノマーの堆積に強く影響し、このフェーズ決定が3’末端までずっと維持されると推測する。おそらく、最も3’側のUvsXモノマーが完全にオリゴヌクレオチドの末端上に存在しているか否か、または各UvsXモノマーがその最大の数の主鎖残基に結合するのを許容するにはわずかに多すぎるか少なすぎる塩基対が存在するか否かは、組換えの進行が効率的に終了する可能性に充分影響し得る。また、これは、3’末端から突出している数塩基の「スペア」がある場合、プライマーノイズの増強を充分助長し得るため、バックグラウンドに影響に影響し得る。
結論として、本発明者らは、ここに、RPAおよび他のリコンビナーゼ誘発性の方法における最良の性能を引き出すのに、オリゴヌクレオチドの長さおよび配列組成がいかに重要であり得るかを示した。さらに、本発明者らは、非標的配列が5’オリゴヌクレオチドの末端に付加してRPAにおけるその活性を調節し得ることを正式に示す。
DNA増幅に加え、リコンビナーゼ系(加水分解性ATPアナログを含む)およびこの状況においてDNA分子の高負荷を確保する成分が、他の記載のハイブリダイゼーションアプローチの代用として使用され得る。
(RPA反応における混入物の制御)
RPAは非常に敏感な検出方法であるため、本発明者らは、他の超感受性の増幅プロトコル(例えば、PCRなど)で見られるキャリーオーバー混入物(莢雑物)の問題に直面した。本発明者らは、ここに、dUTPが、RPA反応において部分的または完全にdTTPの代用として使用され得、従って、先のRPA反応の産物を真の試料標的と識別する簡単な方法が提供されることを示す。RPA反応物をそれらの開始時にdUTP脱グリコシル化酵素を不活化する目的で熱処理すること(PCRプロトコルでは、混入物制御の場合に行なう)は望ましくないため、本発明者らは、脱グリコシル化酵素阻害剤を反応物と混合し、開始を可能にする代替アプローチを提案する(図61および62を参照)。
(逆転写RPA)
特異的RNA分子の存在の検出が所望される環境では、これを検出するためにRPA使用することが可能であるが、逆転写酵素活性を用いてRNAが、まずDNA形態に変換される。最も簡便なのは、逆転写およびRPAがすべての単一の均一な環境で行なわれる場合であろう。本発明者らは、逆転写RPA反応(RT−RPA)が単一のチューブ環境内で逆転写酵素を反応環境中に含め、他の若干の変形(ゆがみ)を伴なうことにより行なわれ得ることを示す(図60を参照)。
(側方流動(ラテラルフロー)膜を用いた増幅反応の直接的な検出および評価)
RPAの特徴は、携帯型易利用性診断用一体型製品の構成が理想的に適合される。ある一連の場合、特異的DNA増幅反応が起こったか否かの評価は、定量的解析の必要性が中程度にすぎない場合、2つの標識プライマーが物理的にアンプリコン内で会合しているか否かを評価する簡単な形式によって行なわれ得る。本発明者らは、ここに、この簡単な着想が、有効であり、特に、広く使用されている手法側方流動ストリップ系がこの役割を果たすのに理想的であることを示す。RPA反応物は、このような系のための試料ランバッファーと直接混合し得、アンプリコンの存在を、数分以内で測定し得る(図63を参照)。
(RPAとの生物学的試料の粗調製物の適合性)
本発明者らは、ここに、血液の単純なライセートが直接RPA反応において使用され得ることを示す。これは、RPA系を含む診断用産物の形式が、RPA反応物への直接添加前で、試料の処理ほんのわずかしか必要し得ない可能性を提供する(図64を参照)。
(安定で持続性の動的な組換え環境における蛍光プローブの挙動)
本発明者らは、ここに、RPAに使用される動的な組換え環境の存在により、PCRなどの他の手法における同等の環境と比べて、蛍光プローブの挙動を改変することを示す。最も特別には、フルオロフォアおよび消光剤を含有する二重標識プローブが使用され、オリゴヌクレオチド内で2つの基を分離している塩基の数はより少ないのがよく、おそらく、これは、飽和DNA結合タンパク質が、遊離した溶液中でB型二本鎖DNAとオリゴヌクレオチド存在するランダムコイルの両方の状態に対してプローブに伸長するためである(図73)。さらにまた、本発明者らは、かかるプローブとそれらの標的DNAとの二本鎖ハイブリッドを特異的にプロセッシングするために使用され得る重要な酵素を同定した。このようなアプローチは、リアルタイム「第3の」プローブストラテジーがRPAに関して構成されるはずであるアプローチ、およびPCRにおいて充分確立されたアプローチ、例えば、「Taqman」アプローチ、分子ビーコンなどとどのように違うのかを教示する。特に、本発明者らは、「Taqman」アプローチは、おそらく、大腸菌Pol Iなどの酵素と会合する5’ヌクレアーゼが、RPA反応を抑制するFLAPエンドヌクレアーゼ活性を有するため、RPAでは使用され得ないと決定した。
(参考文献)
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本明細書に示したように、本発明者らは、リコンビナーゼ−誘発配列標的化を鎖置換合成と組み合わせたインビトロDNA増幅系を開発した。これにより、全体的な熱的、化学的または酵素的鋳型融解なしで、DNA増幅が可能になる。反応は感度がよく、特異的で、試料DNAの前処理なしで37℃で操作される。1012倍もの増幅が1〜1.5時間以内に観察される。10コピー未満の所与の標的DNAが、複雑な試料中において、簡単な一工程反応で検出され得る。この方法は、さまざまな適用のためのPCRの理想的な代替法であり、非常に携帯しやすいDNA診断用系を可能にする。
本発明の好ましい実施形態を、より充分に示すために実施例を示す。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲の限定と解釈されるべきでない。
実施例1: リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(lsRPA)の一例
DNA配列は、図1に示すリコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(RPA)法に従うリーディング鎖合成を用いて増幅され得る。図1は、RecA/プライマー負荷を示す。鋳型DNAおよび/またはポリメラーゼの添加前、RecAおよびSSBは、単鎖オリゴヌクレオチドプライマーへの結合に関して競合する。RecRおよびRecOの存在下では、RecAは、単鎖プライマー上に選択的に安定化され、RecOおよびRecRとの複合体状態のRecA核タンパク質フィラメントを形成する。この複合体は、二本鎖DNAを侵入し、オリゴヌクレオチドプライマー相同な部位にDループを形成する能力を有する。あるいはまた、RecA、RecOおよびRecRを、反応混合物へのSSBの導入前に、オリゴヌクレオチドプライマー上に前負荷し得る。
以下は、大腸菌recAおよび大腸菌recOおよびrecRの安定化因子により組立られるRPA反応物の生じ得る組成を詳細に示す:
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反応物は、最終濃度がD−ループ形成/分解成分、ポリメラーゼ/ヘリカーゼ/リゾルベースミックス、およびDNAポリメラーゼおよび/または必要であれば最後に添加される鋳型を有する反応バッファーを満足するように合成する。例えば、D−ループ形成/分解成分およびポリメラーゼ/ヘリカーゼ/リゾルベースミックスの2倍濃縮溶液を1倍反応バッファー中で作製してもよい。反応は、2つの成分の各々(1倍反応バッファー中)を等容量で混合することにより開始され得る。任意選択で、上記のように、DNAポリメラーゼまたは鋳型(標的DNA)を最後に添加してもよい。反応物を、反応体がすべて消費されるまでの充分な時間インキュベートする。典型的なインキュベーション時間は、1時間、2時間、3時間、5時間、10時間または一晩(約16時間)の範囲であり得る。迅速な温度変化のため小容量を必要とするPCRとは異なり、RPAの反応容量に対する制限はない。1つの容器において、25μl、50μl、100μl、1ml、10mlおよび100mlまたはそれ以上の反応容量で行なわれ得る。インキュベーション温度は、典型的な実験室温度、例えば、25℃、30℃、または37℃であり得る。
鋳型DNAおよび/またはポリメラーゼの添加前、リコンビナーゼおよびSSBは、単鎖オリゴヌクレオチドプライマーに対する結合に関して競合する。RecRおよびRecOの存在下では、RecAは、単鎖プライマー上で選択的に安定化され、RecOおよびRecRとの複合体状態のRecA核タンパク質フィラメントを形成する。この複合体は競合して、二本鎖DNAを侵入し、オリゴヌクレオチドプライマーに相同な部位にDループを形成する能力を有する。あるいはまた、RecA、RecOおよびRecRを、反応混合物へのSSBの導入前に、オリゴヌクレオチドプライマー上に予め負荷し得る(図1)。
侵入鎖は、ポリメラーゼによって5’→3’方向に伸長される。Dループが形成されて合成が進行するにつれて、置換された単鎖DNAがSSBで被覆された状態になる。二本鎖DNAからのRecA解放が、5’→3’方向にATP加水分解により、またはヘリカーゼ/リゾルベース活性またはポリメラーゼ活性の結果として起こり得る(図2A,B)。新たなラウンドの侵入/合成が連続的に起こる。第3のラウンドの鎖−侵入/合成は、その末端が2つの対向するプライマー部位に対応する、解放された個々の産物を解放する。このような断片は、すぐに主要反応産物となり、高レベルまで蓄積される。各合成複合体が鋳型の末端まで進行すると、RecAタンパク質は、ポリメラーゼ活性またはヘリカーゼ(例えば、RuvABなど)またはリゾルベース(例えば、RuvCなど)の活性のいずれかにより置換される。いったん、プライマー、ATP、デオキシヌクレオシド三リン酸または任意の他の限定的な成分が消費され、反応が停止する。
温度感受性リコンビナーゼ変異体を含めることにより、制御されたDNA合成の開始が可能になる。かかる状況では、開始反応を25〜37℃で行ない、Dループの形成を可能にする。伸長反応は、RecA媒介性二本鎖侵入に非許容性である42℃で行なう。サイクル数により反応産物の量が決定される。長時間の伸長フェーズにより、再侵入を妨げることなく、極めて長い鎖のDNAの増幅が可能になる。
(実施例2:ネステッドRPA)
RPA反応は、実施例1に記載のようにして行なう。反応物の一部、10分の1(1/10)および100分の1(1/100)の一部を取り出し、第2のラウンドのRPAでのDNA鋳型の代わりに使用する。LsRPA、リーディング/ラギングRPA、およびその組合せが、ネステッドRPAに使用され得る。
(実施例3:同時リーディング鎖/ラギング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅)
DNA配列は、同時リーディング鎖/ラギング鎖合成を用い、図2に示すリコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(RPA)法に従って、増幅され得る。この図は、lsRPAを具体的に示す。図2Aは、RecA/プライマー核タンパク質フィラメントが二本鎖鋳型DNAに侵入し、相同な標的部位と優先的に会合することを示す。Dループが形成され、合成が進行すると、置換された単鎖DNAは、SSBで被覆された状態になる(図2A)。二本鎖DNAからのRecA解放がATP加水分解によって、5’−3’方向に、またはヘリカーゼ/リゾルベースもしくはポリメラーゼ活性の結果として起こり得る(図2A)。合成が継続されるにつれて(図2B)、ポリメラーゼは、SSBが結合した被置換単鎖鋳型に出合う。二本鎖標的部位は、RecA/プライマー核タンパク質フィラメントによって再侵入される。後続のラウンドのlsRPAは、再侵入された部位から進行する(図2B)。
以下は、大腸菌由来成分を用いたレプリソーム媒介性増幅の同様の成分を詳細に示す。反応物は、以下の組成により合成する。
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反応物は、すべての試薬の最終濃度が上記のとおりとなるように組立てる。従って、例えば、各々の成分(Dループ形成/分解成分、ヘリカーゼ/リゾルベースミックス、プライモソーム複合体、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素複合体、ラギング鎖ミックス)の5倍濃縮溶液を、1倍反応バッファー中で作製する。次いで、この5つの溶液を一緒に等容量で混合し、反応を開始させる。この反応物を、反応体がすべて消費されるまでの充分な時間インキュベートする。典型的なインキュベーション時間は、1時間、2時間、3時間、5時間、10時間または一晩(約16時間)の範囲であり得る。上記のように、RPAの反応容量に対する制限はない。1つの容器において、25μl、50μl、100μl、1ml、10mlおよび100mlまたはそれ以上の反応容量で行なわれ得る。インキュベーション温度は、典型的な実験室温度、例えば、25℃、30℃、または37℃であり得る。
図3は、開始(図3A)、合成(図3B)、およびポリメラーゼ増幅(図3C〜3D)を示す。第1に、プライモソームがRecA核タンパク質フィラメント侵入によって形成されるDループ上に負荷される(図3A)。プライモソームがRNAプライマーの伸長鎖を合成する。最後に、プライモソームがクランプ負荷体を呼び寄せ(recruit)、これが、スライディングクランプ二量体および非対称なDNAポリメラーゼコアの両方を呼び寄せる(図3A)。合成は、リーディング方向およびラギング方向の両方において同時に起こる。最終的に、ラギング鎖合成が停止し、ラギング鎖クランプが負荷解放される(図3B)。リーディング鎖の合成は、ラギング鎖合成の新たな部位が形成されるまで継続される(図3B)。リーディング鎖合成は継続され、一方で、ラギング鎖合成の新たな部位が形成される。ラギング鎖合成は前のオカザキ断片に戻って継続され、そこでラギング鎖クランプが負荷解放される(図3C)。DNAポリメラーゼIはRNAプライマーを除去してギャップ内に入り、一方、DNAリガーゼは、2つのオカザキ断片を連結して連続的なラギング鎖を形成する(図3D)。
(実施例4:非相同性成分大腸菌recA(C)およびT4 gp32(N)の合成を用いた増幅環境の確立)
図18は、recA(C)をgp32(N)と、オリゴヌクレオチドであるTester3bio(5’ビオチン標識を有する)およびSizer(サイザー)1、Sizer2、Sizer3、Sizer4またはTester2の対の存在下で組合せた実験の結果を示す。これらの後者の非ビオチン化オリゴヌクレオチドは、共通のTester3bioオリゴヌクレオチドから進行的にさらに遠くなるように配置した。鋳型は、プラスミドから解放されるおよそ300bpの線状DNA断片であった。Tester3bioは、この断片の一方の末端に相補的となり、この配列に対して相対的な5’突出端を含むように設計した。
反応バッファーには、酢酸マグネシウムを10mMで(DNAへのrecA結合を補助するのに必要とされる)、および3mM ATPを含めた。また、クレアチンリン酸およびクレアチンキナーゼ、ならびに200μMのdNTPSおよび大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ(Klenow)断片を含むATP再生系を含めた。PEG化合物は、表示したとおりに用いた。大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミドに由来する二本鎖鋳型DNA(0.5fmol)を出発標的として使用した。Sizerl、Sizer2、Sizer3、およびSizer4のオリゴヌクレオチドは、鋳型の他方の末端を認識しなかった。代わりに、このようなオリゴヌクレオチドをTester3bioと、それらの相対的な3’末端間の間隔の漸増を伴なって対向するように配置した。
37℃で2時間のインキュベーション後、Tester2、3および4を使用した場合、正確なサイズの特異的断片の実質的な増幅が存在した。最良の条件(Sizer2使用)では、本発明者らは、増幅産物は出発鋳型より10倍多いと推測した。
(実施例5:大腸菌recA(C)およびバクテリオファージT4 gp32(N)の非相同性合成を用いた増幅産物の性質および反応の感度)
図19は、オリゴヌクレオチドであるTester3bio(5’ビオチン標識を有する)およびSizer2の対の存在下、実施例1で用いたものと同様の条件下で、recA(C)をgp32(N)と組合せた実験の結果を示す。PEG化合物またはPEG 1450は、表示したとおりに用い、0.5fモルの鋳型を出発鋳型量として用いた。この実施例では、鋳型の進行的な希釈を調べた。あるいはまた、本発明者らは、プライマーと重複する末端を有しない線状化出発鋳型(大腸菌ruvB遺伝子のClaI消化物を有するプラスミドを用いることにより)、およびクレノウ断片の希釈物の使用を探究した。正しいサイズの断片の増幅が、すべてのレーンで起こり、PEG化合物の存在下の0.5fモル出発鋳型の場合が最も強かった。
このような最適な反応の産物をアガロースゲル上で電気泳動させ、臭化エチジウムで染色した場合、正確なサイズの二本鎖DNAの明白なバンドが観察された。この試料を、電気泳動前にBbvCl制限酵素で処理した場合、予期されたゲル移動度の増加が起こり、予期されたとおりの単一の切断物であることと一致した。正確なサイズの産物の増幅は、100倍またはそれ以上の出発鋳型希釈物で観察されたが、産物は存在度が低く、メインバンドより小さい短い産物のラダーを含む。同様のパターンは、非切断鋳型を用いる場合、または鋳型を用いない場合に観察された。本発明者らは、このような研究で用いられるタンパク質は、1回のカラム精製でヌクレアーゼの使用なしで精製されるため、大腸菌ゲノムDNA(天然に、ruvB遺伝子を有する)有意に混入していると推論した。従って、本発明者らは、この試験系では、感度が十分高い場合に偽陽性がもたらされると考える。
(実施例6:gp32(N)およびuvsX(C)の合成を用いた増幅環境の確立)
図24は、オリゴヌクレオチドであるTester3bioおよびSizer2の存在下で、uvsX(C)をgp32(N)と組合せた実験の結果を示す。この実験における鋳型DNAは、実施例1および2で使用した大腸菌ruvB遺伝子保有プラスミドのEcoRV消化物であった。Tester3bioは、およそ300塩基対断片の一方の末端を認識し、標的配列の末端に相対的な5’突出端を含んだ。Sizer2は、この鋳型の他方の鎖を認識した。このオリゴヌクレオチドは組み込まれた配列に指向され、その結果、その3’末端がTester3bioの末端から約3回半のらせん状回転となった。
PEG1450の存在下では、本発明者らは、反応の2時間以内に予期された断片の増幅を観察した。増幅が起こった場合、オリゴヌクレオチド集団のほぼすべてのが消費され、これは、3〜5×10増幅を示す。反応成分を図24に示す。一部の試料にはさらなる成分を含めた。本発明者らは、この反応に含めた200μM ADP−β−Sがこの条件下で形成される産物の量をわずかに増加させることを見出した。逆に、この場合で使用した条件下では、大腸菌トポイソメラーゼIを含めることは、DNA増幅に対して抑制的であった。使用した条件下で、本発明者らには、uvsX(C)δタンパク質の増幅は検出されなかった。しかしながら、PEG1450はこれらの試料に含めず、また、uvsX(C)は、PEG1450を含まないこの条件下で増幅されなかった。
(実施例7:T4組換えタンパク質を用いたヒトゲノムDNAからの標的の増幅)
図30は、数個のプライマー対を用いて特異的DNA断片をヒトゲノムDNAから増幅した実験の結果を示す。反応には、バクテリオファージT4 gp32(C)K3A、uvsX(C)およびuvsY(N)タンパク質、ならびにエキソヌクレアーゼ欠損クレノウ断片、ならびにADPおよびAMPを変換させるATP再生系を構成するタンパク質を含めた。特異的DNA断片を検出するため、本発明者らは、電気泳動により分離した反応産物をナイロン膜に移し、次いで、特有の非プライマー内部配列を認識するビオチン化プローブとハイブリダイズさせた。
3つのプライマー対を用い、各場合において、ゲノムDNA投入なし、10,000コピーの非切断ヒトゲノムDNA、および10,000コピーのHpaII切断ゲノムDNA(これは、プライマー対の少なくとも一方の末端に生成させる)間の比較を行なった。すべての場合で、所望のDNA配列の特異的増幅が起こったが、その効率は、プライマー対間、および非切断と切断DNAの間で多様性を示した。すべての場合で、DNA試料の事前のHpaII消化は必須ではなかったが、増幅効率は改善された。すべての場合で、投入ゲノムDNAは重要であった。最良の増幅(レーン4に示す)では、本発明者らは少なくとも1011分子と推測し、これは、およそ10程度の増幅を示す。
(実施例8:複合体DNA−ヒトゲノムDNAを標的化した場合のlsRPAの感度)
図31は、数個のプライマー対を用いて特異的DNA断片をヒトゲノムDNAから増幅した実験の結果を示す。反応には、バクテリオファージT4 gp32(C)K3A、uvsX(C)およびuvsY(N)タンパク質、ならびにエキソヌクレアーゼ欠損クレノウ断片を含め、ADPおよびAMPを変換させるATP再生系を含めた。特異的DNA断片を検出するため、本発明者らは、電気泳動により分離した反応産物をナイロン膜に移した。次いで、特有の非プライマー内部配列を認識するビオチン化プローブとハイブリダイズさせた。
3つのプライマー対を用い、各場合において、出発鋳型なし、およびおよそ10、100、1000、3000、および10,000コピーのゲノム標的間の比較を行なった。すべての場合で、少なくとも1000コピーのゲノム標的を用いた場合に明白な増幅が検出された(100コピーの最良のプライマー対で弱いシグナルが見られる)。本発明者らは、このようにして構成したlsRPA反応中では、非常に複雑な標的からのDNAの増幅が、少なくとも1000コピー(潜在的にはさらに高い)感度で可能であると結論付けた。
(実施例9:反応中での真の産物の蓄積とプライマー(鋳型非依存的)アーティファクト間の競合)
図32は、一対のプライマーを用いて特異的DNA断片をヒトゲノムDNAから増幅した実験の結果を示す。反応には、バクテリオファージT4 gp32(C)、uvsX(C)およびuvsY(N)タンパク質、ならびにエキソヌクレアーゼ欠損クレノウ断片、ならびにADPおよびAMPを変換させるATP再生系を構成するタンパク質を含めた。PEG 1450は、10%w/vで含めた。オリゴヌクレオチドの1つは、すべての反応産物が増幅の最後に観察され得るように5’−ビオチンを含んだ。試料を1時間目、2時間目および3時間目に採取し、どれだけ反応が進行したかを観察した。試料の1つでは、最小の量のuvsY(N)を用いた場合(50ng/μl)、正確な断片の増幅が観察された(レーン4の矢印を参照)。この断片はBstXIによって、予期されたサイズの断片に切断され、これは、主に二本鎖であったことを示す。しかしながら、断片は、反応中、同時に蓄積される見かけ上鋳型非依存性のバンドよりも存在度が低かった。このようなバンドのサイズおよび鋳型非依存性性質は、これらがプライマーアーティファクト、例えば、プライマー二量体および/またはスナップバック合成産物であることを示した。特異的断片の増幅の欠如は、50ng/μlより高いuvsY(N)濃度で、反応が最適以下で起こったことを示した。これは、後の実験で確認された。
(実施例10:プライマーアーティファクトを厳密に制限または排除するため、および複合体鋳型から、感度が良くノイズの無い増幅を可能にするための反応組成の最適化)
図36は、一対のプライマーを用いて特異的DNA断片をヒトゲノムDNAから増幅した実験の結果を示す。反応には、バクテリオファージT4 gp32(C)、uvsX(C)およびuvsY(N)タンパク質、ならびにエキソヌクレアーゼ欠損クレノウ断片、またはBstポリメラーゼ、ならびにADPおよびAMPを変換させるATP再生系を構成するタンパク質を使用した。オリゴヌクレオチドの1つは、すべての反応産物が増幅の最後に観察され得るように5’−ビオチンを含んだ。増幅された断片を、反応物の少量の試料をアクリルアミドゲル上で泳動させることによりサイズによって断片を分離した後、可視化した。この実験では、非切断ヒトゲノムDNAを0コピー、45コピーから漸増させ、次いで、標的コピー数を2880まで倍増させた。この実験では、2つのポリメラーゼ種の各々について、バッファーおよび温度の両方に関してわずかに異なる条件を用いた。クレノウ断片を用いた反応を37℃で行ない、一方、Bstポリメラーゼを用いた反応は42℃で行なった。バッファー組成の詳細を図での説明に示す。
このような最適化された条件下での反応効率に注目すべきかつ重要なことは、PEG化合物を5%最終重量/容量で両方の場合で含めた。両方のポリメラーゼは正確な断片を有効に増幅し、場合によっては、利用可能なプライマーの大部分を利用した。クレノウ断片に使用した条件下では、感度は非常に高く、0コピーレーンにおいてさえ弱いシグナルが観察され、おそらく、これは、直接隣接するレーン内に存在する45コピー未満を表す量のヒトDNAによる混入を反映している。ここで示された感度レベルでは、使用した装置に由来する微量レベルの混入を排除することは困難であり、このことは陰性対照においても、シグナルをもたらした。クレノウ媒介性増幅で用いたものと同様の条件の常套的な使用は、多数のプライマー対のノイズの無い増幅に有効なことが、後の実験で証明された。これは、この条件が、このセットのタンパク質成分を伴なう反応に最適なものに近いことを示した。
(実施例11:クローンおよびタンパク質の作製のための実験方法)
すべてのクローンを、大腸菌、T4ファージ、B.subtilisまたはPhi−29ファージからのPCR増幅産物のクローニングにより構築した。増幅に使用したすべてのストック生物は、DSMZの公の供給元から入手した。タンパク質発現に用いたクローン化したDNAは、一般的に、断片のPCR増幅中にNまたはC末端のいずれかにヘキサヒスチジンペプチドタグが挿入されるpETペクター(例えば、pET−21)にか、またはB.subtilis由来のPol I(Bsuポリメラーゼ)の場合はpQEペクター(例えば、pQE31)にクローン化した。この開示では、N末端タグを含有するすべてのタンパク質を(N)が続くタンパク質名、例えば、gp32(N)で示すか、またはタグをC末端に含有する場合は、(C)が続く名称、例えば、gp32(C)で示す。さらに、本発明者らは、他の場合では修飾タンパク質を作製するために、数個のクローンを構築した。これらとしては、天然タンパク質の最後の17アミノ酸残基の欠失を有するrecA(C)(recA(C)δl7で示す)が挙げられる。同様の形態のT4 UvsX(C)タンパク質を作製し、UvsX(C)δ21で示す。また、本発明者らは、リジン3またはアルギニン4のいずれかを修飾しているgp32の変異形態を構築した。
すべてのタンパク質を、大腸菌において過剰発現させ、従来のプロトコルを用いて精製した。タンパク質は、一般的に、標準的な手順によって、ニッケルレジンにおいて1M NaClおよびリン酸塩バッファー中で精製した。タンパク質は、250mMイミダゾールにより溶出し、適切なバッファー中に透析した。所内で作製したクローンから産生されたタンパク質には、大腸菌recA(C)、大腸菌SSB(N)、大腸菌PriA(N)、大腸菌PriB、大腸菌PriC、大腸菌DnaB、大腸菌DnaC、大腸菌DnaC810、大腸菌DnaT、大腸菌RuvA、大腸菌RuvB、T4ファージUvsX(C)、T4ファージUvsX(N)、T4 gp32(N)、T4 gp32(C)、T4 gp32(C)K3A、T4ファージgp32(C)R4Q、T4ファージgp32(C)R4T、T4ファージgp32、T4ファージgp32 K3A、T4ファージgp32R4Q、T4ファージgp32R4T、T4ファージUvsY(N)、T4ファージUvsY(C)、T4ファージgp43、T4ファージgp43(exo−)、大腸菌クレノウ断片、大腸菌クレノウexo−が含まれる。タグ無しgp32タンパク質を、DΕAΕセファロースアニオン交換の後、単鎖DNAセルロースマトリックスへの結合を伴なう2−カラム手順によって精製した。
(RPA反応に用いたDNA)
本発明者らは、数個の異なる標的DNAおよび多数のオリゴヌクレオチドをこの研究において使用した。鋳型の関連する部分の配列、およびオリゴヌクレオチドの配列を以下に示す。
(大腸菌RuvB遺伝子標的)
RuvB遺伝子のΕcoRV断片の配列を以下に示す。
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この研究において記載したこの鋳型を標的化するオリゴヌクレオチドの配列を以下に示す。
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この研究において標的化されるヒトアンギオテンシン変換酵素の一部の配列を以下に示す。
Figure 0005026958
下線は、一部の実験で一部のDNAの調製においてHpaIIにより標的化されたHpaII制限部位である。
ヒトACE遺伝子の一部を標的化するために使用したオリゴヌクレオチドの配列を以下に示す。
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(実施例12:実験結果および解析)
図9は、二本鎖DNA標的および標的化オリゴヌクレオチドの性質について調べた結果を示す。スーパーコイル鋳型または線状化DNAのいずれかを用いた実験は、recAが、ポリメラーゼ伸長を最も容易にスーパーコイルDNA上で、または線状化DNAの末端で補助できる中間体の形成を触媒することを示した。ビオチン化オリゴヌクレオチド、Tester3bioを、スーパーコイル標的DNA、またはEcoRVもしくはClaIで線状化した標的鋳型のいずれかとともにインキュベートした実験の結果を示す。これにより、それぞれオリゴヌクレオチドまたは組み込まれた配列と重複する末端が生成された。反応溶液は、20mM Tris−酢酸塩pH 7.9、10mM Mg−酢酸塩、13μg recA、1μg 大腸菌SSB、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.2μMTester3bio、3mM ATP、200μM dG、dCおよびdT;1mM dA、50Uクレノウ、0.5pモル鋳型、120ng recO、120ng recR、0.5μM dnaB、および0.5μM dnaC810を含んだ。大腸菌recOおよびrecRタンパク質、ならびにdnaBおよびdnaC810タンパク質をこの実験に含めたが、これらは、結果に有意に影響しなかった。37℃で2時間の反応後、反応物を沈殿させ、6%変性ゲル上で泳動させ、、ナイロン膜に移し、ストレプトアビジン−HRPとともにインキュベートした後、ECLを行ない、反応性物質を検出した。各反応において、0.5pモルの鋳型を用いた。ゲル上にサイズおよび量の対照として、0.5pモルのビオチン化PCR断片(標識CON)を含めた。他の反応成分および条件を図に示す。
図10は、バックファイヤー(backfire)合成を示す。バックファイヤー合成は、リコンビナーゼ−被覆された5’突出端を有する標的化オリゴヌクレオチドが、好適なポリメラーゼおよびdNTPの存在下で二本鎖DNA末端に侵入する場合に起こる。この新たな二本鎖領域は、後続の分枝点移動に対して安定であり、他の適用の基礎として利用され得る。フォワードファイヤー(forward fire)は、侵入オリゴヌクレオチドの伸長であり、これもまた、これらの反応において起こる。線状化された標的DNAの末端に対する5’突出端を有するオリゴヌクレオチドTester3を種々の鋳型とともにインキュベートする場合に形成される中間体におけるポリメラーゼの活性を検出する実験の結果を示す。
パートAでは、使用される鋳型は、生成される二本鎖PCR産物であり、その結果、該産物は、ビオチン標識を、標的化オリゴヌクレオチドに相補的な鎖の5’末端に有する。その他の点では、この断片は、この研究において別途使用し、Tester3bioオリゴヌクレオチドの標的である大腸菌RuvB遺伝子を保有するプラスミドから解放されるEcoRV断片と類似する。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、7.5μg recA、1μg SSB、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3μMTester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、0.5pモル ビオチン化鋳型を含んだ。必要に応じて、本発明者らは、0.5μM ruvA および0.5μM ruvB;または1μM ruvAおよび1μM ruvB;または1.5μM ruvAおよび1.5μM ruvBを含めた。最終容量は30μlとした。インキュベーションを、1時間37℃で行なった。recAの存在下では、標的のビオチン化鎖は16塩基伸長され、組換え中間体がポリメラーゼによって接近可能であり、ポリメラーゼが侵入オリゴヌクレオチドの突出端領域を転写したことが予測され得る。
パートBでは、反応物を、鋳型をビオチン化せず、侵入オリゴヌクレオチドをビオチン化する以外は、同様にして反応を構成する。この実験では数個のポリメラーゼを調べ、修飾されていないクレノウ断片のみで産物の有意な産生が得られた。この実験では、本発明者らはまた、Tester3標的化部位のすぐ下流の標的を認識するように設計した小さなオリゴヌクレオチドを含めて調べた。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、10μg recA、1μg SSB、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3μMTester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、0.5pモル非ビオチン化鋳型を含んだ。必要に応じて、本発明者らは、5μlの事前に負荷した安定なATPγSオリゴヌクレオチドを含めた。最終容量は30μlとした。インキュベーションを、1時間37℃で行なった。本発明者らは、リコンビナーゼを安定的に負荷する試みにおいて、ATP−γ−Sの存在下で、recAとともに事前にインキュベートした。事前に負荷した溶液は、10mM Mg−酢酸塩、2.5μg recA、50μM ATPγS、および0.15μM オリゴヌクレオチドを含んだ。前負荷溶液は、Tester3bio侵入/伸長混合物に添加した。すべての場合で、産物の収量は、この予備混合物質を含めることによって減少した。本発明者らのデータに基づき、本発明者らは、反応物中のATP−γ−Sの存在(最終濃度約8μM)は中程度に阻害性であったと考える。この実験の目的は、Tester3標的化部位のすぐ下流に形成された安定な三重鎖ハイブリッドの存在がこのような侵入を分枝点移動に対して安定化させ得るか否かに取り組むことであった。
図11は、バックファイヤー合成の使用を示す。バックファイヤー合成は、直接的なフォワードファイヤー以外の適用に使用され得る分枝点移動抵抗性の基礎がもたらされるため、有用であり得る。ニック形成酵素標的部位の導入、RNAポリメラーゼプロモーターの導入、および連続的侵入/合成/切断事象による短いdsDNA断片の線状生成などの、数個の例をここに示す。制限酵素部位をさらなる突出端配列内に含めた場合、好適な線状化断片の標的化の後、バックファイヤー合成により、制限酵素のための二本鎖標的が生じる。該酵素は、次いで、配列を切断し、短い二本鎖DNAと、さらなる侵入事象の標的となる長い二本鎖DNAを放出し得る。
図11Bでは、標的化オリゴヌクレオチドの5’突出端を、バックファイヤー合成が起こるべきよう設計し、ニック形成エンドヌクレアーゼの標的を生成させる。ニック形成エンドヌクレアーゼ、例えば、BbvClaまたはbの存在下では、好適なポリメラーゼ、例えば、クレノウ断片は、ニックから伸長し得、DNA鎖を置換し得る。多数の鎖が、連続的なニック形成および単一の鋳型からの伸長によってラン−オフされ得る。図11Cでは、バックファイヤー合成によって二本鎖に変換される5’突出端は、RNAポリメラーゼプロモーター、例えば、ファージT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の配列を含有する。必要なポリメラーゼおよび好適なヌクレオシド三リン酸の存在下では、転写がプロモーターの下流で開始され得、図示したRNAが生成され得る。非鋳型鎖内の破断の存在により、首尾よい伸長の抑制は予測されない。RNA産物は、一部の形態の増幅反応において、または他の目的のために使用され得る。
図12は、単鎖結合タンパク質がリコンビナーゼ侵入およびプライマー伸長を助長することを示す。大腸菌SSBおよびN−末端Hisタグを有するバクテリオファージT4 gp32(gp32(N))はともに、recA媒介性侵入/伸長を線状DNA鋳型上で刺激することができる。0.5pモルの標的鋳型(大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミドから解放されたEcoRV断片)を、鋳型の一方の末端と重複するTester3bioオリゴヌクレオチドとともにインキュベートした実験の結果を示す。大腸菌SSBタンパク質またはT4 gp32(N)タンパク質のいずれかを、反応を刺激するために含めた。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、6μg recA、8.8μg gp32または1μg SSB、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3mMTester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、0.5pモル鋳型を含んだ。必要に応じて、本発明者らは、120ng recOおよび120ng recRを含めた。最終容量は30μlとした。インキュベーションを、1時間37℃で行なった。他の反応成分および条件は図に示す。この図はまた、プライマーと標的DNAの一般的な関係を示す。大腸菌recOおよびrecRタンパク質を含めた反応では、この条件下でそれらの付加による効果はほとんどみられなかった。侵入および伸長は、すべての場合で進行したようであり、gp32(N)は、大腸菌SSBよりもさらに良好に合成を刺激したようであったが、この実験では、これをより高い濃度で使用した。
図13は、線状鋳型の末端標的化の際の侵入および伸長のための最小のオリゴヌクレオチド長または突出端の要件を示す。0.5pモルの標的鋳型(大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミドから解放されたEcoRV断片)を、いずれかのTester3bioオリゴヌクレオチドとともにインキュベートした実験の結果を示す。このオリゴヌクレオチドは、鋳型の一方の末端、または鋳型の他方の末端から突出しておらず、わずか18残基長であるGen2bioオリゴヌクレオチドと重複する。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.2μMTester3bioまたはGen2bio、10mM dATP、3mM ATP、200μM dNTP混合物、50UクレノウまたはPhi29ポリメラーゼ、13μg recA(C)、1μg 大腸菌SSB、および0.5pモル鋳型を含んだ。最終容量は30μlとした。インキュベーションは、2時間37℃で行ない、2μlの反応物をゲルの各レーンにロードした。他の反応成分、条件、およびプライマーと標的DNAの一般的な関係を図に示す。侵入および伸長は、クレノウ断片の存在下で効率的に進行したようであり、Phi29ポリメラーゼではあまり効率的でなく、Gen2bioプライマーとクレノウ断片ではあまり良好でないようであった。本発明者らは、最小のプライマー長および/または鋳型に対する突出端は、効率的な侵入および伸長を刺激するのに必要とされると結論付けた。
図14は、並行(A−E)接合およびらせん(F−H)接合を示す。並行接合では、DNAとのリコンビナーゼフィラメントの相互作用が、巻き戻しを刺激する(図14A)。巻き戻された領域は、相同性検索とともに移動する(図14B)。相同性が見られる(図14C)。リコンビナーゼは解離し、新たな二本鎖が再び巻くことを試みる(図14D)。トポロジーが拘束されているため、「放出」鎖は、新たな二本鎖の周囲で再び巻くことを強いられる(図14E)。この状態は、きわめて不都合かつ不安定であり、常にはSSBにより管理され得ない(図14E)。らせん接合では、DNAとのリコンビナーゼフィラメントの相互作用が、巻き戻しを刺激する(図14F)。鎖交換がDNA末端と重複する場合、「放出」鎖が自由になり、リコンビナーゼが解離し、入ってくるオリゴおよびその相補鎖が再び巻かれるにつれ、「放出」鎖が弛緩され得る(図14G)。これにより、非拘束産物が形成され、単鎖DNA結合タンパク質が分枝点移動を抑制する(図14H)。
この図では、核タンパク質フィラメントが、線状化された二本鎖の末端に配置された相同配列により鎖交換を開始したとき(図の右側)と、またはいずれの端部でも相同性を欠く二本鎖内で鎖交換を開始したとき(図の左側)で起こり得る事象を比較する。左側からはじめると、いったん核タンパク質フィラメントが正しい配列に配置されると、これは、検索DNAをその相補鎖と対合形成させ、元の二本鎖の一方の鎖は対合形成していない。実際、交換複合体は3つの鎖からなり、これらは比較的巻かれて(under−wound)おり、リコンビナーゼによって安定化されている。リコンビナーゼが5’→3’方向に分解し始めると、巻かれた三重鎖中間体は不安定になる。新たな二本鎖が弛緩DNAの正常な立体配置を回復するためには、回転しなければならない。しかしながら、そうする際に、上流および下流でその元のパートナーに連結されるため、これは放出鎖と同時に回転しなければならない。このことは、同じ回転数をもたらすはずだが、新たな二本鎖の周囲で長い方の経路が採用されるため、放出鎖を過剰に巻くことをもたらす。このことは、エネルギー的に好ましくない。したがって、単鎖結合タンパク質が、非常に安定なDNA相互作用を伴ってかかる構造を任意の有意な時点で存在させるのを可能にするには要件が存在する。あるいは、図の右側は、交換が二本鎖の末端を含む場合、交換により放出鎖の完全な解放が一端で引き起こされ得、それゆえ組換えに関与する他方の鎖に拘束されない自由な回転を可能にし得ることを示す。これは、リコンビナーゼ分解後、新たな二本鎖が自由に再び巻くことができ、単鎖DNA結合タンパク質は自発的分枝点移動の抑制にのみ必要とされる安定な状況をもたらす。
図15は、クラウディング剤(crowding agent)の効果を示す。ポリエチレングリコールの存在下では、gp32(N)およびrecAリコンビナーゼは、標的化オリゴヌクレオチド内に5’突出端を許容し得る鋳型末端を再生する必要なく、多重侵入事象を単一の鋳型上で媒介し得る。図15Aは、Tester1bio、またはTester3bioオリゴヌクレオチド(これらは、鋳型に対する5’突出端の長さにおいて異なる)のいずれかを、大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミドから解放されたEcoRV断片、またはこのプラスミドのClaI消化物とともに、10%PEG 8000の存在下または非存在下でインキュベートした実験の結果を示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、10.6μg recA、8.8μg gp32、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3mMTester3bioまたはTesterlbio、3mM ATP、200μM dNTP混合物、50Uクレノウ、および0.5pモル鋳型(図に示した種)を含んだ。必要に応じて、本発明者らは、120ng recOおよび120ng recRを含めた。PEG8000は表示のとおりに含めた。最終容量は30μlとした。インキュベーションを、1時間37℃で行なった。
示した図は、2つの可能な鋳型に対するオリゴヌクレオチドの関係を表す。特に、両方のオリゴヌクレオチドは、ClaI断片内に組み込まれた配列を認識した。各場合で、0.5pモルの鋳型を使用し、他の条件は表示のとおりに行なった。両方のプライマーは、侵入/伸長をEcoRV鋳型上で刺激した。シグナル強度に基づくと、1つの標的鋳型につき、およそ1回の伸長が起こった。しかしながら、10%PEG 8000の存在下では、完全に伸長された断片の強度は、PEGの非存在下よりも有意に大きく、0.5pモルの対照ビオチン化PCR産物よりも強かった。最も強いシグナルは、Tester3bioオリゴヌクレオチドで見られた。このとき、本発明者らは、鋳型1つにつき、少なくとも10回の侵入/ラン−オンが起こると推測した。
図15Bにおいて、本発明者らは、侵入/伸長の刺激を10%w/vの種々の市販のポリエチレングリコールにおいて比較した。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、10.6μg recA、8.8μg gp32、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3mMTester3bioまたはTesterlbio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、および0.5pモルRV鋳型を含んだ。PEG種は表示のとおりに含めた。刺激の程度に有意な多様性が観察された。PEG化合物(MW=15,000〜20,000)が最も有効であり、次はPEG1450であるようであった。
図16は、リーディング鎖RPAを用いた末端標的化された増幅の効果を示す。数回のラウンドの侵入および伸長を含む増幅が示され、0.05pモルの鋳型から少なくとも10倍の増幅が達成された。この実験では、本発明者らは、増幅反応を確立するためにオリゴヌクレオチドプライマー対を用いた。使用したオリゴヌクレオチドと、大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミド由来のEcoRV断片(これは、鋳型として使用した)との関係を概略的に示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、6μg recA、8.8μg gp32(N),27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3mMTester3bio、0.3mMの種々のオリゴヌクレオチド、3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG化合物、50Uクレノウ、および0.5pモル鋳型を含んだ。さらなるタンパク質を表示のとおりに使用した。
Tester3bioには、出発鋳型に対する16−ヌクレオチド突出端を含めたが、Tester2には、21−ヌクレオチド突出端を含め、鋳型の他方の末端に標的化した。ホスホ−1をホスホロチオレートバックボーンを有するオリゴヌクレオチドとして使用した。このオリゴヌクレオチドは15残基長であり、標的末端から突出していなかった。ホスホ−1は、リン酸塩バックボーンを欠いたため、リコンビナーゼまたは単鎖DNA結合タンパク質と相互作用しないと予測された。しかしながら、これは直接的な溶液ハイブリダイゼーションでは機能することが予測された。0.5pモルのDNAのシグナル強度を示すため、ビオチン化PCR産物の対照断片を使用し、これはまた、正確なサイズの出発鋳型であった。反応産物を6%変性ゲル上で泳動させ、ナイロンに移し、ストレプトアビジン−HRPと結合させた後、増強化学発光を行ない、反応のビオチン化産物を明らかにした。
すべての場合で、ビオチン化Tester3bioによる成功裏の侵入および伸長が起こった(完全に伸長された産物の存在によりわかる)。該産物は、オリゴヌクレオチド上の突出端の存在により、対照よりも移動度がわずかに低速であった。さらにまた、シグナル強度は少なくとも0.5pモル対照と同程度であったので、数回のラウンドの侵入/ラン−オンについての証拠が存在した。(本発明者らは、反応をわずか0.05pモルで開始した)。対照よりもほぼ37ヌクレオチド大きい産物の有意な蓄積があった。これは、先に対向プライマーからコピーされ、かつこの対向プライマーに由来する突出端を含む鎖上に伸長したTester3bioから生じていると予測された。両者の同じゲルの曝露を示す。
通常DNA代謝に関与する種々の異なるタンパク質を含めることは、さまざまな効果を有した。DNAジャイレースおよびトポイソメラーゼI(ヒト)は増幅産物の収量を減少させ、トポイソメラーゼは、より短い伸長産物の生成を著しく低下させた。大腸菌ruvAおよびruvBを含めることもまた、産物形成の全体的な低下をもたらした。大腸菌priAは、形成産物の量を増加させ、形成されるより短い産物の数を有意に増加させた。大腸菌dnaBおよびdnaC810タンパク質を含めることは、産物の形成量をわずかに増加させた。ホスホ−1オリゴヌクレオチドを含有する反応において、Tester3bio単独と比べて有意に強いシグナルが検出されたことに注意されたい。これは、ホスホ−1が、被置換鎖とハイブリダイズし、二本鎖DNAの形成をもたらし得ることを示した。
図17は、リーディング鎖RPAおよびクレノウ合成能力を示す。この実験では、本発明者らは、出発鋳型のさらに100倍希釈物を用いたこと以外、図16に示したものと同様の様式で増幅反応を確立する試みにおいてオリゴヌクレオチドプライマー対を用いた。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、6または12μg recA、8.8または14.3μg gp32、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3または0.9μMTester3bio、0.3または0.9μMTester2、3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG化合物、50Uクレノウ、および0.5pモル鋳型を含んだ。最終容量は30μlとした。インキュベーションは、2時間37℃で行なった。使用したオリゴヌクレオチドと大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミド由来のEcoRV断片(これは、標的鋳型として用いた)との関係を概略的に示す。Tester3bioには、出発鋳型に対する16−ヌクレオチド突出端を含めたが、Tester2には、21−ヌクレオチド突出端を含め、鋳型の他方の末端に標的化し、突出端内にEcoRI部位をコードする。0.5pモルのDNAのシグナル強度を示すため、ビオチン化PCR産物の対照断片を使用し、これはまた、正確なサイズの出発鋳型であった。反応産物を6%変性ゲル上で泳動させ、ナイロンに移し、ストレプトアビジン−HRPと結合させた後、増強化学発光を行ない、反応のビオチン化産物を明らかにした。
オリゴヌクレオチド、gp32(N)およびrecA(C)の濃度を変化させ、本発明者らはまた、Tester2突出端によって組み込まれる追加配列の一部を切断し得るEcoRI制限酵素を含めることが反応に対して何らかの効果を有するか否かを調べた。ほとんどの場合、断片の予測したサイズの増幅について、いくらか制限された程度の証拠があったが、短いDNA断片の生成が主にみられた。本発明者らは、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウ断片の乏しい合成能力(10〜50ヌクレオチド)が、短い断片を生成させる大半の相互作用をもたらす(これは、標的鋳型の低い濃度でより有意である)ため、真の完全長産物の比較的乏しい蓄積が、このようなより薄い鋳型濃度で起こり得ると推測した。
図18は、RPAプライマーの間隔依存性を示す。先の結果の結論として、本発明者らは、プライマー対間の間隔の減少が、増幅効率の増加をもたらし得るか否かの証明を試みた。これを試験するため、本発明者らは、一連のオリゴヌクレオチド、Sizer1、2、3および4を使用し、これらを、Tester3bioオリゴヌクレオチドの3’末端からの間隔が広くなるように配置した。すべてのSizerオリゴヌクレオチドは、図の右下に示すEcoRI突出端を含んだ。標的DNAの配列、大腸菌ruvB遺伝子を保有するプラスミド由来のEcoRV断片、および使用したオリゴヌクレオチドの位置を示す。反応溶液は、10 mM Mg−酢酸塩、6μg recA、8.8μg gp32、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3μMTester3bio、0.3μMの種々のオリゴヌクレオチド、3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG化合物、50Uクレノウ、5U EcoRI、および0.5pモル鋳型を含んだ。最終容量は30μlとした。反応溶液は2時間37℃でインキュベートした。他の反応条件を図に示す。
0.5pモルのDNAのシグナル強度を示すため、ビオチン化PCR産物の対照断片を使用し、これはまた、正確なサイズの出発鋳型であった。反応産物を6%変性ゲル上で泳動させ、ナイロンに移し、ストレプトアビジン−HRPと結合させた後、増強化学発光を行ない、反応のビオチン化産物を明らかにした。予測した長さの特定の断片が、Sizer2、3および4を使用した場合、0.5fモルの出発鋳型から効率的に増幅された。産物の長さが長くなるにつれ、産物の収量はいくぶん減少した。Sizerlを使用した場合、予測したサイズの産物はほとんど生成されないか、または全く生成されない。レーン4は、約4×10倍の増幅を含むと推測した。このプライマーは、25ヌクレオチドのみの最も狭いオリゴヌクレオチド間隔を含んだ。これは、オリゴヌクレオチドの末端間を分離するのに必要とされる最も狭い間隔があることを示唆したが、他の説明(例えば、乏しいプライマー挙動)でもまた、この結果が説明され得る。実験は、鋳型DNAを含有しない数個の試料を含んだ。Sizer2の場合、ほぼ予測したサイズのかすかなバンドが、外来DNAの非存在下でも観察される。さまざまなデータに基づき、本発明者らは、このことがかなりの量の大腸菌ゲノムDNAによる本発明者らのタンパク質調製物の混入に起因すると考える。
図19は、RPA産物が、主に二本鎖であることを示す。RPA反応により二本鎖DNA産物が生成され得、これは、アガロースゲル電気泳動および制限酵素切断によって証明される。しかしながら、この場合で使用した条件下では、出発鋳型を0.5fモル未満に大幅に減少させると、反応効率の有意な減少がみられた。さらに、水のみの対照で観察されたシグナルにより、大腸菌DNAのかなりのゲノム混入が示唆された。この実験では、本発明者らは、図10に詳細に示す0.5fモル以上の希釈量の断片を、Tester3bioおよびSizer2とともに表示した条件下でインキュベートした。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、6μg recA、8.8μg gp32、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3μMTester3bio、0.3μM Sizer2,3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG化合物、50Uクレノウ、および0.5pモル鋳型または図に示す希釈物を含んだ。最終容量は30μlとした。
本発明者らは、DNA対照を含めず、鋳型の連続希釈物を含め、PEG 1450および希釈クレノウ断片を用い、組み込まれた鋳型(図1および7に詳細に示すClaI断片)により反応を開始して調べた。反応産物の画分(1/10)を6%変性ゲル上で泳動し、ナイロンに移し、ストレプトアビジン−HRPと結合させた後、増強化学発光を行ない、反応のビオチン化産物を明らかにした(図19A)。さらなる画分(3/10)をフェノール抽出し、沈殿させ、2%アガロースゲル上で泳動させ、臭化エチジウムで染色した(図19B)。最後の画分(3/10)をBbvClで切断し、相当する非切断DNAと並行して2%アガロースゲル上で電気泳動した(図19C)。
レーン2(図19A)は、5×10倍の増幅を含むと推測し、これは、1013分子の最終産物に相当した。0.5fモルの出発鋳型の存在下では、予測したサイズ断片の極めて確固とした増幅が見られ、これは、変性ゲル電気泳動によって証明された。さらにまた、一部の試料をアガロース上で電気泳動させると、正確に二本鎖DNA産物についての正しいサイズの強い明白なバンドが観察された。この産物はBbvClによって切断され得、予測したサイズよりわずかに小さい断片が得られた。100倍以上に希釈した鋳型により、有意に低い強度のバンド、および大量の予測した長さより短い断片がもたらされた。これは、変性ゲル電気泳動およびアガロースゲル電気泳動によって決定した。同様のパターンがClaI切断DNAを使用した場合、またはDNAを使用しなかった場合で観察された。本発明者らは、この条件下で、閾値未満の量のDNAを使用した場合、最適以下の増幅反応がみられ、これが不均一な産物をもたらすことを考え、さらに、本発明者らの試料に、ここで使用した本発明者らの組換えタンパク質作製に使用した単一工程精製手順由来の大腸菌ゲノムDNAが大量に混入していることを考える。
図20は、recA C−末端切断型変異の活性を示す。C末端酸性ペプチドの欠失を有するRecAタンパク質(recA(C)Δ)は、線状鋳型ラン−オンアッセイでの鎖交換および伸長の促進において活性的である。しかしながら、最適なタンパク質濃度は、recA(C)タンパク質よりも低いというある程度の示唆があった。この実験は、別途記載の大腸菌recAタンパク質のC末端切断型形態が、侵入/伸長反応において成功裏に使用され得るか否かに取り組む。大腸菌recA(C)タンパク質または大腸菌recAΔ17(C)タンパク質(これは、17個のC−末端酸性残基を欠く)のいずれかを用いた一方向ラン−オンアッセイの結果を示す。プライマーと鋳型の関係ならびに他の実験条件を示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、27mMクレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.3μMTester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、0.5pモルRV鋳型、およびrecA種を含み、量は図のとおりとした。PEGは表示のとおりに含めた。最終容量は30μlとした。溶液は2時間37℃でインキュベートした。反応は、10%PEG1450を用いて、またはなしで、および表示した量のそれぞれのリコンビナーゼを用いて行なった。両方のリコンビナーゼは、侵入/伸長を成功裏に補助したが、ここで使用した条件下では、必要とされるタンパク質の最適量は異なるようである。
図21は、修飾gp32タンパク質を示す。この研究に使用したT4 gp32タンパク質および種々の修飾および変異の位置の概略図を示す。
図22は、gp32タンパク質の活性を示す。有意な多様性により、gp32協同性が、侵入/伸長の反応速度に対してかなりの効果を有することが確認され、さらに、gp32(N)が協同性の有意な減少を示し、これはN−末端Bドメインの機能による妨害と矛盾しないことが確認される。線状ラン−オンを、鋳型として大腸菌RuvB遺伝子を保有するプラスミドのEcoRV断片、およびTester3bioオリゴヌクレオチドを用いて生成させた実験の結果を示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、400nM Tester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、10Uニワトリミオキナーゼ、8μg C−タグ uvsX、7.5または15μg gp32(各種)、50Uクレノウ、および0.5pモル鋳型を含んだ。PEGは含めなかった。最終容量は30μlとした。溶液は2時間37℃でインキュベートした。反応物は、uvsX(C)および表示した種々のgp32形態を含んだ。この実験では、各gp32形態の2つの濃度を使用した。反応産物を解析するため、全容量(30μl)の2μlをゲル上に負荷した。
すべての場合で、完全長ラン−オンと一致する長さまで伸長されるオリゴヌクレオチドの伸長産物が生成された。本発明者らは、この実験では、時折観察されたゲルアーティファクトがみられたことに注目した。本発明者らは、低速の移動度のかすかなバンドを観察した。これは、PCR対照断片レーンでも見られた。gp32(C)タンパク質を用いた場合、最小量の産物が形成された。このことは、低レベルのリコンビナーゼ負荷フィラメントのみが反応物中に存在することを許容することと一致する。15μgでは7.5μgと比べてより少量の産物が形成され、より高濃度ではリコンビナーゼ負荷効率が低下するという概念と一致する。
gp32(C)K3Aタンパク質は、2番目に最も協同性である形態であると予測された。これと一致して、15μgのタンパク質を使用した場合、制限された数の完全長産物が生成された。しかしながら、ラン−オンの数は、gp32(C)のいずれかの量で観察されたものより多かった。これは、より多量のリコンビナーゼ負荷フィラメントが反応物中に存在すること、およびより高速の侵入/伸長を示す。7.5mgのgp32(C)K3Aを使用した場合、形成された産物の量に劇的な変化がみられた。説明の1つは、この反応での侵入/伸長の速度の増大が、単鎖DNAラン−オフによりgp32(C)K3Aが漸増傾向から外れること(out−titration)をもたらし得ることである。この条件では、大部分のオリゴヌクレオチドがuvsX(C)で被覆された状態になり、高い侵入速度をもたらし得、放出鎖の安定化およびgp32での被覆ができなくなり得る。これは、短い切断型産物をもたらし得、その一部は、自身で折りたたまれ、自己プライミングし、さまざまな他のこのような産物に形成され得る。これは、gp32(C)K3Aの侵入/伸長の速度がこのタンパク質の場合、gp32(C)よりも著しく高いことを示した。
15μgの各タンパク質を用いた場合に生成された産物の強度を比較することにより、本発明者らは、gp32(C)K3Aを含有する反応物が、gp32(C)のおよそ10倍の侵入/伸長速度を有すると推測した。この実験で試験したその他のgp32タンパク質はすべて、gp32(C)K3Aを使用した場合で見られた同様のパターン、および大量の産物をもたらした。これは、15μgの関連タンパク質を使用した場合であってもそうであり、これらはすべて、gp32(C)またはgp32(C)K3Aのいずれよりも低い協同性を示したことを示す。しかしながら、注目すべきことに、gp32(N)およびgp32(C)R4Tはともに、7.5μgのタンパク質のみを使用した場合、15μgと比べて有意に少ない産物を生成した。これは、他方のタンパク質による状況と対照的であった。これに基づき、本発明者らは、gp32(N)およびgp32(C)R4Tが同程度の協同性を有することを示す。先の研究では、gp32K3Aおよびgp32R4Qが同様の協同性であることが示された。しかしながら、本発明者らのデータは、gp32(C)R4Qが、侵入/合成の補助におけるその挙動に関してgp32(C)K3Aおよびgp32(C)R4Tの間の程度の協同性であることを示す。
図23は、uvsXを用いた侵入および伸長を示す。この実験は、バクテリオファージT4 uvsXタンパク質のC末端切断型形態が、侵入/伸長反応において成功裏に使用され得るか否かに取り組むものである。uvsX(C)タンパク質または21個のC−末端酸性残基を欠くuvsXΔ21(C)タンパク質のいずれかを用いた一方向ラン−オンアッセイの結果を示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.4μM Tester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ、1 Uニワトリミオキナーゼ、uvsX(C)またはuvsXΔ21(C)、8.8μg gp32(N)、および0.5pモルRV鋳型を含んだ。最終容量は30μlとした。溶液は2時間37℃でインキュベートし、2μlの反応混合物をゲルの各レーンにロードした。鋳型とオリゴヌクレオチドの関係および他の実験条件を図に示す。反応は、表示した量のそれぞれのリコンビナーゼを用いて行なった。
両方のリコンビナーゼは、侵入/伸長を成功裏に補助した。しかしながら、この場合で使用した条件下では、必要とされるタンパク質の最適量は異なるようである。uvsX(C)の場合、試験した範囲内のタンパク質濃度で、侵入/伸長の速度は進行的に増加した。しかしながら、uvsXΔ21(C)タンパク質では、速度は、高濃度で抑制され、全体的なレベルの産物の産生は、この条件下でより低かった。同様の反応でのrecA媒介性侵入/伸長とは対照的に、uvsX(C)は、ポリエチレングリコールの添加を必要とせずに、多重侵入/伸長事象を刺激するようであった。
図24は、uvsX(C)を用いたRPAを示す。この実験では、uvsX(C)をgp32(N)と、オリゴヌクレオチドであるTester3bioおよびSizer2の存在下で合せた。この実験における鋳型DNAは、実施例1で使用した、EcoRVで消化された大腸菌ruvB遺伝子保有プラスミドであった。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、400nM Tester3bio、400nMSizer2、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、10μg(1X)または20μg(2X) C−タグ uvsX、8.8μg gp32(N)を含んだ。必要に応じて、本発明者らは、0.2mM ADPβS、10μg大腸菌トポイソメラーゼI、10%PEG 1450、および10μg uvsXΔ21(C)を含めた。Tester3bioは、およそ300塩基対断片の一方の末端を認識し、標的の末端に対する5’突出端を含んだ。Sizer2はこの鋳型の他方の鎖を認識し、組み込まれた配列に対して、その3’末端がTester3bioの末端から約3回半のヘリックス状のターン(turn)となるように指向された。
PEG1450の存在下では、本発明者らは、予測された断片の増幅を2時間以内に観察した。増幅が起こった場合、オリゴヌクレオチド集団のほぼすべてが消費され、これは、3〜5×10の増幅を示す。反応成分は表示している。一部の試料には追加の成分を含めた。本発明者らは、200μM ADP−β−Sが、この条件下で生成される産物の量をわずかに増加させることを見出した。逆に、ここで使用した条件下では、大腸菌トポイソメラーゼIの添加により増幅が抑制された。使用した条件下で、uvsXΔ21(C)タンパク質による増幅は検出されなかった。しかしながら、PEGl450をこれらの試料に含めず、uvsX(C)は、PEG1450を含まないこれらの条件下ではいずれも増幅しなかった。
図25は、野生型gp32 対 修飾gp32を示す。バリアントuvsX(C)タンパク質を測定すると、天然のタグ無しgp32とは質的に異なっていた。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、300nM Tester3bio、300nM Sizer2、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、300ng/μl uvsX(C)、300ng/ml gp32(タグ無し)または100、200、300、400、500、もしくは600ng/ml gp32(C)、表示のとおりのPEGを含んだ。反応物は2時間37℃でインキュベートした。タグ無しgp32および漸増gp32(C)の存在下、PEG1450の存在下または非存在下のいずれかで行なった増幅反応物間の比較を示す。本発明者らは、gp32(C)が機能するためにPEGが反応に必要とされるが、これは、タグ無しgp32の場合はそうでないことを観察した。しかしながら、PEGは、反応期間中に形成された産物の量を、いずれの場合でも有意に増加させた。PEGの存在下であっても、タグ無しgp32は、gp32(C)よりもわずかに多くの産物を漸増曲線の各点で一貫して生成するようであった。
図26は、gp32の漸増およびuvsYの効果を示す。gp32の漸増により、タグ無しgp32を使用した場合のgp32の最小量の要件およびuvsY(N)タンパク質の要件が明らかになった。図26Aに、タグ無しgp32を使用した場合、uvsY(N)タンパク質が増幅に必要とされることを示す実験の結果を示す。反応溶液は、10mM Mg−酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、300nM Tester3bio、300nMSizer2、3mM ATP、200μM dNTP、10%PEGl450、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、300ng/μl uvsX(C)、300ng/μl gp32(タグ無し)、および図に表示したuvsY(N)を含んだ。溶液は2時間37℃でインキュベートした。uvs(Y)タンパク質は、ここに示した濃度範囲にわたって(50〜300ng/μl)機能した。他の実験では、より多量では反応が抑制されることが示された。したがって、最適量は、任意の所与の反応に対して確立されなければならない(おそらく、5〜50ng/μlの間)。
図26Bは、uvsY(N)の存在下または非存在下でのタグ無しgp32タンパク質の漸増の結果を示す。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、300nM Tester3bio、300nM Sizer2、3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG1450、10Uニワトリミオキナーゼ、750ng/μl uvsX(C)、300ng/μl gp32(タグ無し)、および300ng/μl uvsY(N)を含んだ。溶液は2時間37℃でインキュベートした。この場合も、増幅を達成するのにuvsY(N)の必要性があった。さらに、この実験は、最小の量のgp32が必要であることを示す。この実験では、80〜160ng/μl gp32の種々のgp32濃度で、増幅なしから効率的な増幅へのはっきりした移行がもたらされた。gp32の既知の結合部位のサイズ、オリゴヌクレオチドの長さ、およびその濃度の簡単な解析により、この濃度の上昇は、プライマーに対するgp32の化学量論以下のレベルから飽和レベルへの移行を表し得ることが示された。したがって、最も簡単な解釈は、gp32が、放出鎖を収集および安定化させるために過剰のgp32を反応物中に有するために、オリゴヌクレオチドを飽和させることである。
図27は、反応速度およびノイズに影響する要因を示す。高いgp32協同性は、リコンビナーゼフィラメント形成を抑制する(図27A)。また、uvsYは、好ましくないgp32環境においてリコンビナーゼ負荷を増加させる機能を果たす(図27B)。PEGは、協同できないgp32の機能を補助する(図27C)。反応速度は、リコンビナーゼ活性およびgp32の有効性の両方によって影響される(図27D)。侵入後反応期は、協同性gp32の存在下で増強される(図27E)。協同性gp32は、反応ノイズを消すのに有効である(図27F)。
gp32、uvsX、uvsY、およびPEGの予測された効果および相互作用により、結論とともに、反応速度とノイズ間の最適な均衡が達成されなければならないことが示唆された。gp32の協同性の程度を図の上側に示す。高い協同性は、単鎖DNAへの効率的な結合に好都合であり、これは、好ましくないプライミング挙動を抑制することにより反応ノイズを有意に抑制した。高い協同性はまた、組換えおよびDNA合成中の放出鎖の安定化に好都合である。逆に、高い協同性のgp32は、リコンビナーゼに負荷された検索フィラメントを乏しくし、反応速度に大きく影響し得る。
この挙動は、uvsYを反応物中に含めることにより一部解消される。しかしながら、これにより、所望のとおりに高い負荷速度が得られるか否かは、まだ調べる余地がある。協同性が低い修飾されたgp32タンパク質が使用され得る。また、gp32タンパク質およびuvsXタンパク質の協同性は、PEGを含めることによって影響され得る。また、PEGは、反応物の他の成分、例えば、DNAハイブリダイゼーション挙動およびポリメラーゼ合成能力などに有益な結果を有し得るが、時には有害な結果を有し得る。最適な速度は、リコンビナーゼ負荷とgp32機能の均衡が達成される必要があり得るので、表示したように、両端から離れた数個の位置で得られ得る。
図28は、PEGの効果を示す。PEGは、gp32(C)の存在下でのuvsX媒介性線状ラン−オン実験において線状侵入/ラン−オン産物の平均長を減少させることができた。およそ300塩基対の大腸菌RuvBのEcoRV断片の末端に標的化させたTester3bioオリゴヌクレオチドを用いた線状ラン−オン実験の結果を示す。この断片は、開示した実験全体を通して使用し、図の右側に概略的に示す。反応物は、8mgのUvsX(C)により、最終反応容量の30mlで、gp32(C)の存在下で、場合によっては、種々の量のUvsY(N)またはUvsY(C)の存在下で再構成した。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、1Uクレアチンキナーゼ、0.4μM Tester3bio、3mM ATP、200μM dNTP、50Uクレノウ断片、1U ニワトリミオキナーゼ、8μg uvsX(C)、7.5μg gp32(C)または8.8μg gp32(N)、および0.5pモル鋳型を含んだ。最終容量は30μlとした。溶液は2時間37℃でインキュベートし、2μlの溶液を各レーンにロードした。
PEGの非存在下では、多重侵入/ラン−オンサイクルは、各鋳型上で起こったようであり、有意な量の完全長産物の生成が見られた。しかしながら、さらに多くの量のわずかに短い断片が生成され、本発明者らは、これが、自身で折りたたまれ、短いヘアピンを合成し得たわずかに短いラン−オンを構成すると考える。本発明者らは、すべてのバンドが完全伸長を達成しなかった真の侵入/伸長反応の数個の形態に起因して、完全長ではないと解釈した。UvsY(N)およびUvsY(C)は、ともに形成された産物の量をある程度刺激した。PEGがない場合、UvsY(C)は、UvsY(C)よりも有効なようである。これは、本発明者らが得た他の幾何級数的な増幅データとは対照的であり、UvsY(N)のみが効率的な幾何級数的な増幅を補助したことを示す。
最も顕著には、PEGを含めることは、大腸菌recAでの発見とは反対に、このゲル上での産物の全体的な量を減少させるようであった。また、産物の平均長の分布も減少した。これを説明するため、本発明者らは、この条件下でのgp32(C)の協同性(おそらく、既に最大)はPEGによって増大され得ないが、UvsXにより増大され得ることを示す。したがって、比較的過剰な活性のUvsXの挙動は、放出鎖上への迅速な負荷、再侵入、および新たに合成される鎖を追跡し、これをより容易に置換する効率的な「バブル(bubble)移動」をもたらす。したがって、平均産物長は有意に減少する。
図29は、DNA末端指向侵入を示す。末端−標的化およびオリゴヌクレオチド突出端を用いる初回の侵入/合成を示す(図29A)。さらなる約10〜15残基(5’末端)および約30残基(3’末端)は、鎖交換の最小の要件に近い(図29B)。侵入が起こり、その後、非拘束放出鎖の解放、およびバックファイヤー合成が起こる(図29C)。鎖交換を完了させるのに充分被覆された大部分の核タンパク質フィラメントは、放出鎖の完全な非拘束解放を触媒する(図29D)。後続のラウンドの侵入/合成が起こる(図29E)。核タンパク質フィラメントは、標的の末端で交換をほとんど行わないか、または全く行なわない(図29F)。1個のgp32分子が提供されるか、または提供されない(図29G)。この後、リコンビナーゼ負荷(図29H)および分枝点移動(図29I)が続く。
この図は、最初、線状標的鋳型に対する突出端を有する標的化オリゴヌクレオチドが、、鎖交換を行なうための第1の試み、次いで、後続の試みにおいて、どのような挙動を示し得るかを示す。このモデルの目的は、かかる状況が実験的に再構成された場合、第1と後続の侵入間に有意な差があることを示すデータを合理化することである。図の上部は、異なる5’伸長部のカバーを示すリコンビナーゼ負荷されたオリゴヌクレオチドフィラメントを示す。5→3’方向の合成は、まさに3’末端への被覆を有するはずであることを意味する。図に示すように、オリゴヌクレオチドはすべて、最初の標的に対する5’突出端を有する。
リコンビナーゼが、検索オリゴヌクレオチドを鎖交換に関与する配列よりもさらに5’伸長部まで被覆する可能性が高いので、最初の侵入事象は放出鎖の完全な解放をもたらし得る。いったん、放出鎖が遊離されたら、放出鎖はトポロジー的に拘束されず、単鎖DNA結合タンパク質(おそらく、比較的乏しい協同性を有するものさえ)によって容易に安定化され得る。さらにまた、安定性は、二本鎖DNAの3’末端まで伸長して標的化オリゴヌクレオチドのまさに5’末端に相補的な鎖を生成させるポリメラーゼによってももたらされる。本発明者らは、この合成をバックファイヤー合成とよぶ。バックファイヤー合成の結果として、任意の後続の侵入により、伸長された鋳型と整列する。
このような環境下では、大部分のオリゴヌクレオチドは、リコンビナーゼにより、それらのまさに5’末端まで完全に被覆されていない。場合によっては、オリゴヌクレオチドの5’部分を被覆する1種類以上のgp32分子が存在し得る。このようなオリゴヌクレオチドが鎖交換を現在伸長された標的上で行なう場合、放出鎖は、すぐに遊離されにくい。結果として、この事象は、最初は、既に図6に示したトポロジー的に拘束された事象に類似する。このモデルは、単鎖DNA結合タンパク質の協同性が充分でありさえすれば、このような歪んだ不安定な中間体が、ある程度限定的な期間存在し得ることを示す。図の下部において、本発明者らは、このような不安定な中間体に対して何が起こり得るかを追究する。
シナリオ1では、オリゴヌクレオチドの未交換5’伸長部は、標的の対応する二本鎖部分による分枝点移動を受ける。これは、放出鎖のこの部分の完全な解離を容易にもたらし得、これは、次いで、急速に回転し、あらゆる応力を解放し、単鎖DNA結合タンパク質によって安定化され得る(第1の侵入において起こるように)。このような現在安定な基質は、ポリメラーゼ伸長に理想的で比較的安定な集合体である。あるいはまた、シナリオ2では、単鎖DNA結合タンパク質が放出鎖から分解され、分枝点移動が、シナリオ1と反対方向に進行し、その結果、侵入DNAが放出される。シナリオ3では、放出鎖は、リコンビナーゼで被覆された状態になり、再侵入し、オリゴヌクレオチドの放出がもたらされる。このプロセスは、別途記載のバブル移動のプロセスに類似する。リコンビナーゼが遊離放出鎖上にシナリオ1で負荷される場合、バブル移動もまた、起こり得る。本発明者らは、図28に示すようなバブル移動の存在を考慮することにより、最も容易に承諾される実験データを有する。
図30は、複合体試料におけるRPAを示す。この実験では、本発明者らは、RPAの感度、およびDNA末端がRPA反応において複合体DNA標的上に必要であることを調べた。DNA配列の概略図を示す。これは、ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の一部に対応する。3つの異なる組合せのプライマーを用いた。この実験では、uvsX(C)、uvsY(N)およびgp32(C)K3Aの混合物を使用した。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ;300nM Up3プライマー;300nM Down1、2、または3プライマー;3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG1450、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、300ng/μl uvsX(C)、300ng/μl gp32(C)K3A、および50ng/μl uvsY(N)を含んだ。最終容量は30μlとした。溶液を5時間37℃でインキュベートした。反応産物を電気泳動によりアクリルアミドゲル上で分離し、ナイロン膜に移し、特有の内部配列を認識するビオチン化オリゴヌクレオチドで探索した。
RPA反応では、非切断鋳型(ゲノムDNA)および切断鋳型を比較し、プライマー対を比較した。予測したサイズの断片を検出した。すべての場合で、ゲノムDNAを反応に添加しなかった場合、特異的産物はなかったが、DNA(ほぼ10,000コピーの任意の配列に相当)を添加した場合、特異的産物が生成された。RPA前でのDNAのHpaIIによる消化は、オリゴヌクレオチドの1つと重複する少なくとも1つの末端の生成、およびシグナル強度の増加をもたらした。しかしながら、RPAが起こるためにHpaII消化が、必ずしも必須ではなかった。
図31は、RPA感度を示す。この実験では、本発明者らは、複合体DNA標的に対するRPA反応の感度を調べた。ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の一部に対応するDNA配列の概略図を示す。3つの異なる組合せのプライマーを用いた。この実験では、uvsX(C)、uvsY(N)およびgp32(C)K3Aの混合物を使用した。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ;300nM Up3プライマー;300nM Down1、2または3プライマー;3mM ATP、200μM dNTP、10%PEGl450、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、300ng/μl uvsX(C)、300ng/μl gp32(C)K3A、および50ng/μl uvsY(N)を含んだ。最終容量は30μlとした。溶液を5時間37℃でインキュベートし、プローブACE−hybを使用した。反応産物を電気泳動によりアクリルアミドゲル上で分離し、ナイロン膜に移し、特有の内部配列を認識するビオチン化オリゴヌクレオチドで探索した。予測したサイズの断片が検出された。すべての場合で、ゲノムDNAを反応に添加しなかった場合、特異的産物はなかったが、充分なDNAを添加した場合は、特異的産物が生成された。すべての場合で、有意なシグナルを生成させるのに1000コピーで充分であり、一例において、本発明者らは、非常にかすかなシグナルを100コピーで検出することができた。
図32は、RPA感度および鋳型依存性アーティファクトを示す。本発明者らが、複合体DNA標的に対するRPA反応の感度を調べた実験の結果を示す。ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の一部に対応するDNA配列の概略図を示す。増幅の時間経過を、反応試料を1時間、2時間および3時間に採取して行なった。反応産物は、増幅に使用したオリゴヌクレオチドの一方の5’末端に結合されたビオチン残基の存在によって検出された。このようにして、このオリゴヌクレオチドが関与するすべての反応産物(生じ得る任意のアーティファクトを含む)を可視化することが可能であった。本発明者らは、数個の異なる濃度のuvsY(N)タンパク質を試験した。反応溶液は、10mM Mg酢酸塩、27mM クレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ;300nM Up3プライマー;300nM Down1プライマー;3mM ATP、200μM dNTP、10%PEG1450、50Uクレノウ断片、10Uニワトリミオキナーゼ、300ng/μl uvsX(C)、300ng/μl gp32(C)、および50ng/μl uvsY(N)を含んだ。最終容量は30μlとした。溶液を5時間37℃でインキュベートした。50ng/μlのuvsY(N)濃度では、本発明者らは、かすかであるにもかかわらず、3時間のインキュベーション後、正確な産物を直接検出した。この期間中、オリゴヌクレオチドのほぼ2倍の長さのバンドの強い蓄積がみられ、これは、鋳型を含まない試料において同様に蓄積された。これは、おそらくプライマーアーティファクトによるものであった。
図33は、どのようにしてプライマーアーティファクトが生じ得るかを示す。プライマーアーティファクトは、ここに示した誤った自己プライミング事象によって開始する可能性がある。プライマーは、図33Aにおいて生じるようにヘアピンを形成し得るか、または、図33Bにおいて生じるように別のプライマーにハイブリダイズし得る。ポリメラーゼがかかるヘアピンを伸長し得る場合、A*およびB*に見られるような有意なストレッチの二本鎖DNAが形成され得る。このような構造は、他のリコンビナーゼ負荷フィラメントの標的となり、真の標的由来の活性なフィラメントを漸増させ、おそらく、それ自体の増幅の幾何級数的な形態になり得る。
図34は、プライマーアーティファクトの抑制を示す。プライマーアーティファクトノイズを抑制するための数例のストラテジーを概略的に示す。図34Aでは、標的化オリゴヌクレオチドの3’配列に相補的な別の短い3’がブロックされたオリゴヌクレオチドを反応物中に含め、誤ったプライミングをもたらし得る二次構造形成の形成に関して競合させる。図34Bおよび34Cでは、同様の短いブロックされたオリゴヌクレオチドを、(A)のようにして使用しているが、この場合、共有結合が、標的化オリゴヌクレオチドの5’末端と競合する短いプライマーの5’または3’末端との間で操作されている。このようにして、ブロックされたヌクレオチドの5’末端は、標的化オリゴヌクレオチドの5’末端へつながれる(図34A〜B)。図34Dでは、標的化オリゴヌクレオチドの3’領域に相補的な短い配列を、標的化オリゴヌクレオチドの5’領域へ付加する。これは、二次構造形成に関して効率的に競合する。
図35は、被置換鎖の自己プライミングを刺激するためのヘアピンオリゴヌクレオチドの使用を示す。自己プライミングによる増幅を刺激するために、その3’部分に対する完全な相補性を有する5’部分を含むように設計されたオリゴヌクレオチドが、どのように使用され得るかを示すスキームを示す。図の上面に、Aと指定する標的DNAを示す。これは、図の左上および右上に示す2つの標的化オリゴヌクレオチドの一方の標的である異なる末端を有する。このようなオリゴヌクレオチドはともに、それらの5’と3’領域間で相補性を有する(短い矢印で示す)。標的Aは、これらのオリゴヌクレオチド、およびこれらのオリゴヌクレオチドの最も5’側の領域を欠く最初の標的による先の侵入/伸長事象によって生成され得る。図の左側または右側に、それぞれ左または右のプライマーによる標的化によって開始される侵入/伸長事象の結果を続ける。この結果は、最終生成物がわずかに異なる配列であるにもかかわらず、両方の場合で類似する。
図の左側に着目すると、本発明者らは、標的Aを、左プライマーによる侵入および伸長に供すると、Aと同一である新たな二本鎖と、最初の標的の上部鎖に相当する単鎖DNA(Bと指定する)の形成という結果が得られることを観察する。まさに3’領域と隣接配列との相補性の存在により、Bはヘアピンを形成することができ、これは、DNA合成をプライミングし、主に二本鎖産物であるCを生成させる。産物Cは、再度、左オリゴヌクレオチドによって容易に標的化され得る。しかしながら、この場合、単鎖被置換鎖は形成されない。代わりに、元の標的のほぼ2倍の長さを有する産物Dが形成される。この産物は、逆反復配列であり、左オリゴヌクレオチドの標的である2つの配列、および右オリゴヌクレオチドの標的であって中央に位置する1つの配列を含有する。
後続の侵入/伸長事象、被置換鎖間での考えられ得るハイブリダイゼーション事象の発生は、さらに拡大されるかかる「二量体」種、および一般的により複雑な産物の形成を容易にもたらし得る。同様の過程の事象を図の右側に示すが、これは、右プライマーによる侵入/伸長によって開始される。最終二量体産物であるD’は、2つの末端配列が右プライマーの標的であり、中心領域が左プライマーの標的であるため、Dに相当しない。ここに示したものと類似または同一であるプロセスは、ある程度の頻度で、一部の条件下、オリゴヌクレオチドがこれを助長するように計画的に設計しなくても、起こりやすい。それは、多くの場合、単鎖DNAのある程度限定的な自己プライミング能力があるからである。
図36は、プライマーアーティファクトをほとんど含まないか、または全く含まないDNAの増幅を補助する条件を示す。本発明者らが複合体DNA標的に対するRPA反応の感度を調べた実験の結果を示す。ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の一部に対応するDNA配列の概略図を示す。使用したオリゴヌクレオチドは、ビオチン化Angiolbioプライマー、および非ビオチン化Angio3プライマー(その配列を実験方法に示す)である。これらのプライマーは、132bpの二本鎖DNA断片を増幅した。非切断ヒトゲノムDNAを、45コピーから2880コピーまで漸増させた。反応産物は、増幅に使用したオリゴヌクレオチドの一方の5’末端に結合されたビオチン残基の存在によって検出された。このようにして、このオリゴヌクレオチドが関与するすべての反応産物(生じ得る任意のアーティファクトを含む)を可視化することが可能であった。
反応物は、クレノウexo−の場合は2時間37℃でBstポリメラーゼの場合は2時間42℃でインキュベートした。反応には、以下の:50ng/μl uvsY(N)、300ng/μl gp32(C)、100ng/μl uvsX(C)、20mM クレアチンリン酸、3mM ATP、25ミリユニット/μl ミオキナーゼ、100ng/μl クレアチンキナーゼ、200μM dNTP、5%w/v PEG化合物、300nM Angiolbioプライマー、300nM Angio3プライマー、800ng/μlクレノウexo−または1.2ユニット/μl Bstポリメラーゼを含めた。クレノウ媒介性増幅は、20mM Tris 酢酸塩pH 7.9、8mM酢酸マグネシウム、120mM酢酸カリウムの最終組成を含有するU2バッファー中で行なった。Bstポリメラーゼ媒介性増幅は、20mM Tris酢酸塩pH 7.5、6mM酢酸マグネシウム、100mM酢酸カリウムの最終組成のを含有するUlバッファー中で行なった。
(実施例13:ポイントオブユーズ(point of use)適用のためのDNA増幅)
クローンおよびタンパクは、上記の実施例11に記載のようにして作製した。
RPA反応に使用したDNA
本発明者らは、この研究において、数個の異なる標的DNAおよび多数のオリゴヌクレオチドを使用した。オリゴヌクレオチドの配列を以下に示し、実験での鋳型標的を図39Bに示す。大腸菌RuvB遺伝子標的を線状ラン−オンアッセイに使用した(図39B)。この断片を含有する同量のプラスミド鋳型を、EcoRV(ほぼ300bp断片を放出する)または、ClaI(DNAを線状化する)のいずれかで切断した。等モル量の鋳型を、ラン−オン実験に使用した(20nMの各鋳型)。この鋳型のKpnI/ClaI断片の配列を以下に示す。EcoRV断片はこの配列内に組み込まれており、その部位を強調する。
Figure 0005026958
オリゴヌクレオチドTester3bio配列。標的に相同な塩基は太字である。
Figure 0005026958
ヒトDNA
本発明者らは、数個の供給源由来のヒトゲノムDNAを使用した。Promega製の混合集団の男性ゲノムDNAを利用した。また、男性個体試料由来のDNAを図38Aにおいて試験した。個体1および2は父と息子であった。個体2のDNAを、図39Eの実験に使用し、図39Fの実験についてのDNAは別の男性個体であった。ヒトおよびB.subtilisの配列の増幅に使用したオリゴヌクレオチドの配列は、以下の通りである:
Figure 0005026958
Figure 0005026958
Figure 0005026958
標準的なRPA反応の条件は:50mM Tris pH 8.4、80mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、1mM DTT、5%PEG化合物(Carbowax−20 M)、3mM ATP、20mMクレアチンリン酸、100ng/μlクレアチンキナーゼ、600ng/μl gp32;109ng/μl、または125ng/μl、または200ng/μl uvsX;16ng/μl、または25ng/μl、または40ng/μl、または60ng/μl uvsY;20ng/μl Bsuポリメラーゼ、200μM dNTP、および300nMの各オリゴヌクレオチドを含んだ。反応条件C1〜C4は上記され、そして以下の通りである:Cl = 109ng/μl uvsX、16ng/μl usvY;C2 = 125ng/μl uvsX、25ng/μl uvsY;C3 = 200ng/μl uvsX、40ng/μl uvsY;C4 = 200ng/ml uvsX、60ng/μl uvsY。
実験結果
図37は、RPA法の概略図を示す。図37A(i)では、リコンビナーゼタンパク質uvsXは、ATPの存在下で、単鎖オリゴヌクレオチドに協同的に結合する。核タンパク質フィラメントは、ATPをADPに活発に加水分解する。自発的な分解は、単鎖結合タンパク質gp32の競合的結合をもたらし得、uvsYタンパク質およびポリエチレングリコールによって、これは抑制され、再負荷が助長される。図37A(ii)では、相同なDNAが検出された場合、リコンビナーゼフィラメントが鎖交換を触媒する。図37A(iii)では、鎖交換により、検索鎖がその相補鎖とマッチングされ、鎖を置換し、次いで、gp32に結合される。リコンビナーゼが分解する。図37A(iv)では、ポリメラーゼが該構造に接近し、オリゴヌクレオチドを伸長させ、一層多くの元の鎖が置換される。図37B(i)では、2つの対向する標的化核タンパク質複合体が、それらのそれぞれの標的と再結合し、DNA合成が開始される。図37B(ii)では、ポリメラーゼ複合体が互いに出合い、ポリメラーゼの一方が解離する。図37B(iii)では、残ったポリメラーゼが合成を継続し、2つの親鎖を遊離させ、ポリメラーゼは、遊離3’末端に再結合し、したがって、両方の鎖の複製が起こる。図37B(iv)では、新たな標的化事象が起こる。第2のラウンドでは、標的化プライマーの一方が遊離末端を置換する。図37Cでは、DNA末端または組み込まれたDNA配列での鎖交換の産物の比較。
図38Aは、7つの独立したマーカーに対するプライマー対を用いた2つの個体(1および2、父と息子)由来のSTRマーカーの増幅の結果を示す。RPA条件C4を使用した(上記参照)。図38Bは、インビトロ増幅を補助する濃度を決定するための反応成分の漸増を示す。反応物には、プライマーSRY3およびSRY4を0.3μM(SRY遺伝子を標的化)、80mM酢酸カリウム、50mM TrisCl pH 8.4、2mM DTT、5%Carbowax−20M、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、600ng/μl gp32、20ng/μl Bsuポリメラーゼ、および50コピー/μl Y染色体DNAを含めた。ただし、所与の成分が研究中である場合は除く。この特定の産物の有効な増幅に最適な量のgp32、ATP、uvsX、uvsY、PEG、およびBsuポリメラーゼを調べた。ATP−γ−SおよびADP−β−Sは反応を阻害した。
図39Aは、RPA反応のサイズ限界を示す。プライマーApoB4を、表示したサイズの増幅産物を生成することができる対向するプライマーと組合せた。109ng/μl uvsXおよび16ng/μl uvsYを使用したCl以外は、125ng/μl uvsXおよび25ng/μl uvsY(C2)の条件を使用した;15コピー/μlヒトDNAを使用した(30μlの反応物)。C2条件下、いくらかのヘアピン媒介性産物複製が起こり、300bpアンプリコンの一部は、2×および3×単位長さ()に変換された(L. D. Harris, J. D. Griffith, J Mol Biol 206, 19−27(Mar 5, 1989))。
図39Bは、組み込まれた配列または末端配列からの伸長効率を示す。ビオチン化プライマーを、線状化されたプラスミドDNAとともにインキュベートした。ClaI(レーン3)またはEcoRV(レーン1および2)のいずれかで線状化した鋳型を等量(20nM 最終)使用した。プライマーは、切断末端または組み込まれた標的部位のいずれかと重複した(レーン3)。クレノウを含む(レーン2および3)か、または含まない(レーン1)リコンビナーゼ標的化成分とのインキュベーションにより、組み込まれた部位からの限定的な伸長(産物1)、および末端部位からの十分な伸長(産物2)が示される。電気泳動産物をナイロンに移し、化学発光によってビオチンを検出した。弱い共通のバンド(約300bp、レーン1および3)は、この特定のプロトコルに起因するアーティファクトであった。
図39Cは、RPA反応の感度を示す。表示したコピー数のB.subtilisゲノムを、200bp断片を増幅するオリゴヌクレオチドBsA1およびBsB3により増幅した。条件C1を使用した。図39Dは、300bp断片をもたらすプライマーApoB4およびApo300により増幅した、表示したコピー数のヒトDNAを示す。条件C2を使用した。図39E、Fは、単一の個体由来のヒトDNAの結果を示す。DNAを希釈し、表示したコピー数を理論的に含有する試料を、プライマーD18S51 5’および3’(これらは、約300〜360bpのサイズのSTRを増幅する)により増幅した。予測したコピー数2または3では、多数の試料で単一の対立遺伝子()が増幅された。使用した条件は、(E)ではC2および(F)ではC4であった。
図40は、RPA反応の特異性を示す。B.subtilisゲノムDNA由来の380bp断片を増幅するプライマーBsA3およびBsB3を1μgのヒトDNAとともに、100コピーのB.subtilis DNAの添加(+)してか、または添加せず(−)にインキュベートした(図40A)。星印は予測された反応産物の位置を示し、矢印はゲノムDNAの位置を示した。条件C3を使用した。RPAが検出可能な反応産物を生成するのにどのくらいの時間を要するのかを調べるため、一連の増幅反応を、345bp断片を生成するオリゴヌクレオチドApo600bioおよびApo300revを用いて確立した。60コピー/μl(図40B)または6コピー/μl(図40C)のコピー数を用いた。個々の反応は、表示した分間で停止させ、ゲル上で解析した。条件C4を使用した(図40D)。
反応成分の長期保存のため、本発明者らは、RPA反応を凍結乾燥した。反応成分の混合物を、表示した成分、PEGおよびバッファーの非存在下で合成した。物質を凍結乾燥し、次いで、PEGおよびバッファーならびにさらに省略した成分により再構成した。使用したプライマーを示す。PEGおよびバッファー以外のすべての成分は凍結乾燥され得、機能的反応において成功裏に再構成された。標的DNAは、150コピー/μlのヒト男性ゲノムDNAであった(図40E)。ヒトゲノムDNA内の3つの独立した遺伝子座を標的化するオリゴヌクレオチドを、表示されるように、25塩基、28塩基または32塩基の重複プライマー対とともにインキュベートした。32塩基長のプライマーのみ、成功裏に標的を増幅した。他の実験は、30残基のプライマーもまた、標的DNAの増幅に有効であることを示す。
図41は、低標的コピー数でのプライマーノイズを示す。
2つのプライマー、BsA1およびBsB3
Figure 0005026958
(これらは、Bacillus subtilisゲノムのほぼ300bp断片と隣接している)を、水で連続希釈したB.subtilisゲノムDNAとともにインキュベートした。使用した条件は、80mM酢酸カリウム、50mM Tris.Cl pH 8.4、2mM DTT、5%Carbowax 20M、200μM dNTPS、3mM ATP、20mMクレアチンリン酸、50ng/μl クレアチンキナーゼ、300nMの各オリゴヌクレオチド、800ng/μl gp32、120ng/μl uvsX、25ng/μl uvsY、および28ng/μl Bsuポリメラーゼであった。反応物を、90分間37℃でインキュベートした。産物を2.5%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウムで染色した。矢印は、正確なアンプリコンの予測された位置を示す。
図42は、フォワードおよびリバースプライマー候補の選択と、きわめて低い開始コピー密度での結果の試験を組み合わせることによる、最適プライマーの選択を詳述する。
数個のプライマー対を、Bacillus subtilis胞子形成遺伝子座SpoOB内の配列に設計した。このようなプライマーの位置および配置を(B)に以下のとおりに示す:
Figure 0005026958
これらのプライマーを(A)に示したようにして組合せ、以下の条件で90分間、37℃にてインキュベートした:80mM酢酸カリウム、50mM Tris.Cl pH 8.4、2mM DTT、5%Carbowax 20M、200μM dNTPS、3mM ATP、20mMクレアチンリン酸、50ng/μl クレアチンキナーゼ、300nMの各オリゴヌクレオチド、800ng/μl gp32、120ng/μl uvsX、25ng/μl uvsY、および28ng/μl Bsuポリメラーゼ、約2コピー/μl B.subtilisゲノムDNA(連続希釈により概算した)。矢印は、サイズに基づいて予測される断片である、測定された産物の位置を示す。一部のプライマー対では産物が得られたが、スミアまたは数個のさらなるバンドを伴った。数個の組合せでは、予測したサイズの産物が得られなかった。プライマーJ1およびK2では、かなりの量の予測したサイズの産物が得られ、ある程度明確であった。興味深いことに、J1に存在する最も5’側の4つの塩基を欠くNEST1プライマーを同等な反応においてJ1と置き換えると、反応は改善されず、このことは、試験したすべてが30残基長を超えるものであっても、塩基の付加および除去により、プライマー性能が改善され得ることを示す。
図43は、どのようにしてプライマーノイズが生じるかの理論的考察を示す。
(A)オリゴヌクレオチドを示し、その上部に矢印があり、矢印の先端は、オリゴヌクレオチドの3’末端を示す。配列を作製したが、最も3’側の5個の塩基のうち4個は、パリンドロームを形成した。このことは実際面では充分回避され得る。(B)大部分の初期事象は、3’末端が一過的にその5’配列に折りたたまれ、一過的にワトソンクリック塩基対を形成することから構成されることが推測される。(C)偶発的に、ポリメラーゼは、成功裏に完全にこの構造を伸長させて、一端でターン(Hで示す)を有する長い二本鎖ヘアピンをもたらす。配列および元の逆相補鎖の5’−3’方向を、うすい矢印で示す。(D)ストラテジー1では、同一の配列の第2のリコンビナーゼ被覆されたオリゴヌクレオチドが、ヘアピンの相同な二本鎖本体を標的化し、したがって、これをほぐすと推測される。この部分への相補鎖が工程Cで正しく生成されなかったため、ミスマッチが、侵入オリゴヌクレオチドの3’領域で起こる。4つの塩基対のパリンドロームが、偶然に生成されなかった場合、ミスマッチは、ここに示した場合よりさらにより深刻になり得る。(E)ごくまれにポリメラーゼが、この中間体のミスマッチ3’領域を伸長し得、中央部にミスマッチを有する逆反復配列を生成させる。この構造はまた、2つの同一のプライマーが短い3’重複部を形成して、プライマー二量体の形成をもたらす場合の産物に類似し得る。このような構造は、容易に幾何学位相(geometric phase)増幅に入り得ない。(F)ストラテジー2では、(C)で形成された長いヘアピンが一端で少し開かれる。一部の報告により、recAがdsDNAに結合して短い二本鎖の融解を促進し得ることが示されているため、dsDNAへのリコンビナーゼの結合によって、この工程は増強され得る。(G)一過的に融解された3’末端(オリゴヌクレオチドの元の5’末端に逆相補的)が、(B)と同様の様式で折りたたまれ、伸長可能な構造を形成する。(H)ポリメラーゼ伸長により、大きなヘアピンが作られる。この場合、一方の末端は、親オリゴヌクレオチドと同一の二本鎖配列を含有する。(I)別の親オリゴヌクレオチドが、完全な二本鎖標的に侵入する。(J)(I)のポリメラーゼ伸長により、表示した構造を有する大きな逆反復配列が生成する。両方の末端は、完全なプライマー標的部位を含有し、そのため、この構造は、指数関数的に増幅し得る。興味深いことに、逆反復配列構造は、侵入および伸長が一方の末端から起こると、被置換鎖は急速に自身で折りたたまれ、(H)に示す構造を形成する傾向を示すことを意味する。この産物は、構造(J)となるために別の組換え事象を必要とし、したがって、より高度な組換え活性が、特にノイズ増幅に好都合であることが起こり得、低い組換え活性によって強く妨害される。
図44は、RPA反応における信号対ノイズを改善するための、数例のオリゴヌクレオチド設計ストラテジーを示す。
オリゴヌクレオチド設計の局面によるRPA反応の信号対ノイズ比を改善するための、3つの一般的なストラテジーを示す。(1)連続的に短くなるオリゴヌクレオチドを試験し得る。オリゴヌクレオチドが連続的に5’末端から短くなることは、それぞれの核タンパク質フィラメントの活性の低下をもたらし、このことが、標的の倍増時間よりも、ノイズ性アーティファクトの倍増時間に急速に影響することを推測する。低活性核タンパク質フィラメントはまた、場合によっては、より活性なものと有効に組合せ得る。(2)ロックされた核酸または他の修飾糖をプライマーに含め得、その結果、増幅挙動に影響を与える。ロックされた核酸(LNA)糖の構造を示す。(3)オリゴヌクレオチドの挙動は、5’残基(おそらく標的とは無関係)の付加によって改善され得、これは、スナップバック(snapback)プライミングの抑制などの機構により、または核タンパク質組換え活性を改変することによりノイズを抑制する。配列は、ホモポリマーストレッチなどであり得る。理想の配列は、実験的に決定され得る。
図45は、プライマー長の縮小の結果を示す。
(A)実験設計の概略的説明。オリゴヌクレオチド対を、3つのヒト標的に対して合成し、最も5’側の残基を連続的に欠失するプライマーセットを作製した。(完全長プライマーは上記に示した:
Figure 0005026958
より短いプライマーは、最も5’側塩基を欠失させ、表示した最終の長さを得ることにより作製した)。同一の長さのプライマー対を、増幅反応物中で、表示したように組み合わせた。(B)増幅反応は、開始反応物中に50コピー/μlで存在するヒトゲノムDNAにより行なった。3つの標的、STRマーカーD18S51II、ヒトSRY遺伝子の一部、およびヒトアポリポタンパク質B遺伝子座を、オリゴヌクレオチド対により増幅した。オリゴヌクレオチドを、(A)に記載のように、5’末端から連続的に切断し、使用したプライマー対における両方のプライマーの長さは、それぞれのレーンの上部に示す。オリゴヌクレオチドを、30残基よりやや長いものから、30残基よりやや短いものにすると、増幅挙動にかなり急激な低下があることは明らかである。したがって、30残基近辺の長さの多様性を有するオリゴヌクレオチドを比較することは、概して充分特異的だが、バックグラウンドがほとんどないか、または全くない増幅を得るための最適長が明らかとする可能性がある。例えば、2つの29マーは、D18S51 II遺伝子座を増幅するのに充分であり明らかに増幅した。増幅条件は:50mM Tris.Cl pH 8.3、90mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、80mM酢酸カリウム、200μM dNTP、600ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、300nM プライマー、20ng/μl Bsuポリメラーゼ、50コピー/μl ゲノムDNA、90分間37℃であった。
図46は、どのようにして3’LNA残基がRPAにおける増幅の挙動を改変するかを示す。
ヒトACE遺伝子座の一部の増幅を、通常のオリゴヌクレオチドおよび最も3’側の残基がLNA糖を有する対応物の組合せを用いて示す。(A)オリゴヌクレオチドプライマーの互いの関係の概略的な表示。LNA1およびDNA1は、LNA1がLNA糖を最も3’側の位置に含有する以外は同一である。また、LNA2とDNA2も同様に異なる。
Figure 0005026958
(B)RPA反応物は、表示したオリゴヌクレオチドプライマー組合せにより合成した。標準的な反応条件下で、両方のオリゴヌクレオチドが3’LNA含有する場合、産物レベルは有意に減少する。しかしながら、一方のみのオリゴヌクレオチドの置き換えは、反応をあまり大きく抑制しない(レーン2および3)。レーン3のバックグラウンドパターンはレーン4のものと類似するが、2では、これはほぼ存在しないことに注意されたい。これは、バックグラウンドが、主に単一のプライマー種の活性に由来することを示唆する。増幅条件は:50mM Tris.Cl pH 8.3、90mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、80mM酢酸カリウム、200μM dNTP、800ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、300nM プライマー、20ng/μl Bsuポリメラーゼ、50コピー/μl ゲノムDNA、120分間37℃であった。(C)2つのLNA−修飾されたオリゴヌクレオチドが使用される場合、ポリメラーゼのレベルの増加は、確固とした活性の回復をもたらす。LNA1およびLNA2、またはDNA1およびDNA2を、表示した濃度のポリメラーゼの存在下で合わせた。注目すべきことには、DNAプライマーは、使用した最低濃度で高い活性を示し、どちらかといえば、ポリメラーゼ濃度が増加すると、産物のロックはあまり良好でなくなったように見えた。また、50〜100塩基対の短い産物が顕著に見られる。逆に、LNAプライマーは、高いポリメラーゼ濃度でのみ、最適な活性であった。小さな産物はあまり見られず、予測したサイズ以外で見られたものは、関連する産物である可能性がある(下記参照)。増幅条件は:50mM Tris.Cl pH 8.3、90mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、80mM酢酸カリウム、200μM dNTP、800ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、300nM プライマー、43〜1400ng/μl Bsuポリメラーゼ、100コピー/μl ゲノムDNA、120分間37℃であった。(D) LNA−修飾されたオリゴヌクレオチドでは、標的が存在しない場合、バックグラウンドは、あったとしてもほとんどないが、反応条件を最適化すると、真の産物を高いレベルまで効率的に増幅する。200ng/μlのBsuポリメラーゼのポリメラーゼ濃度を使用した。反応は、DNAプライマー対またはLNAプライマー対により、標的の存在下または非存在下で行なった。予測したサイズのかすかなバンドが陰性対照において見られ、混入物の問題を示した。それでも、両方のプライマー対は、標的の存在下で効率的に増幅したが、その非存在下では、DNA対は、有意なノイズ性スミアをもたらした。一方、LNA対では、若干の混入物以外に産物はもたらされなかった。これは、LNAプライマー対が試料中の標的の存在と非存在を明確に識別し得るが、DNAプライマーは、標的の非存在下でプライマー由来の産物を生成することを示す。増幅条件は:50mM Tris.Cl pH 8.3、90mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、80mM酢酸カリウム、200μM dNTP、800ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、300nM プライマー、200ng/μl Bsuポリメラーゼ、50コピー/μl ゲノムDNA、120分間37℃であった。
図47は、プライマーの5’末端へのホモポリマーのストレッチ付加が核タンパク質活性を改変し得ることを示す。
(A)実験に使用した6個のオリゴヌクレオチドの配列を示す。J1およびK2オリゴヌクレオチドは、B.subtilis SpoOB遺伝子座(配列番号:66および69 それぞれ)を標的化し、他に記載のオリゴヌクレオチドはこれらの誘導体であり、示されるように、シトシンまたはグアノシンのホモポリマーストレッチを保有する。このようなオリゴヌクレオチドは、対にしてインキュベートし、どのペアが最も効率的に標的を増幅するかを評価し得る。(B)6つのプライマーを単独またはすべての可能な組合せでインキュベートした結果を示す。反応物は、37℃で2時間インキュベートした。反応条件は、50mM Tris.Cl pH 8.4、2mM DTT、5%Carbowax 20M、80mM酢酸カリウム、200μM dNTPS、3mM ATP、20mMクレアチンリン酸、50ng/μl クレアチンキナーゼ、300nMの各関連するオリゴヌクレオチド、800ng/μl gp32、120ng/μl uvsX、25ng/μl uvsY、および28ng/μl Bsuポリメラーゼ、約1コピー/μl B.subtilisゲノムDNA(連続希釈により概算した)(20μl反応容量)であった。最適なプライマー対はJ1+K2であり、次にJ1C+K2Cであった。一般的に、ホモポリマーのシトシンストレッチは、核タンパク質フィラメントをより活性にし、グアノシンストレッチはあまり活性にしないようであった。
図48は、RPA反応に対するベタインの効果を示す。
増大濃度のベタインが各反応物中に存在するRPA反応を確立した。この実験では、0.5M以上のベタイン濃度は、増幅の程度を低下させた。0.75Mでは、予測された産物バンドが依然として明白に目視可能であったが、一部の試料中に存在するスミアの大部分は抑制された。本発明者らは、信号対ノイズ比を改善するレベルのベタインが使用され得る可能性と一致して、スミアの低減は、産物の低減よりも大いに重要であると考える。増幅条件は:50mM Tris.Cl pH 8.3、90mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、80mM酢酸カリウム、200μM dNTP、600ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、300nMのプライマーApoB4およびApo300(配列番号:20 および21)、40ng/μl Bsuポリメラーゼ、2.5コピー/μl ゲノムDNA、120分間37℃であった。
図49は、異なる核タンパク質活性を有するオリゴヌクレオチドを伴なう組合せストラテジーを示す。
(A)単一の反応入れ子ストラテジーを概説する。活性な核タンパク質フィラメントの外側対は、DNAを急速に増幅するが、このようなプライマーはまた、かなりノイズ性であり得る。外側プライマー対は、比較的低く、ゲルで検出可能なレベルの産物が達成し得ないような充分低い濃度で維持され得る。内側オリゴヌクレオチドは低活性であるが、はるかにノイズが少ない。このような内側オリゴヌクレオチドは高レベルで維持される。活性は、本開示において詳述しているように、長さ、組成およびバックボーン特性を変更することにより調整され得る。外側プライマーは試料中の標的を、例えば100万倍の増幅により急速に富化する。低速だが明瞭な内側プライマーは、ノイズをほとんど/全く生じないが、感受性は低い。外側プライマーによる標的の富化は、適切な時間枠で低速の内側プライマーの作用による確固とした産物蓄積を可能にするのに充分である。(B)活性なプライマーと活性の低いプライマーとを組合せた増幅スキームを示す。活性なプライマーは、低い標的濃度でノイズに関与し得るが、低速オリゴヌクレオチドはアーティファクトに関与せず、そのため、プライマーの会合を反応の最後に試験した場合、標的が試料中に存在するか非存在であるかが明白に測定され得る。
図50は、数例の検出プロトコルを示す。標的の増幅がゲル電気泳動の必要なく評価され得る3つの簡単なストラテジーを概略的に示す。すべての場合において、固相に結合され得、バルク反応体からのその分離を可能にし、洗浄され得るプライマーを利用する。図において、一方のプライマー上のビオチン残基は、これが固定化可能なプライマーであることを表すが、他の結合化学物質も使用され得る。(1)一方のプライマーは固定化可能であり、他方はいくつかの種類の標識、例えば、酵素を含有する。(2)増幅プライマーの一方がなんらかの様式で標識され、この固定化可能なプライマーが第3のプライマーであり、これは、主なアンプリコン内の配列を認識する。この第3のプライマーは、主な増幅中に反応環境中に存在し得るが、例えば、静的であるように設計してもよく(例えば、短くすることにより)、または反応の最後にのみ添加してもよい。(3)第3のプライマーを用いる。しかしながら、この場合、固定化可能なプローブは、増幅プライマーの一方と関連するが、反応の最後にアンプリコンを安定的に捕捉するのを可能にするさらなる5’残基を含有する。なぜなら、反応タンパク質が洗浄除去された場合、アンプリコン内の相補鎖の3’末端のポリメラーゼ伸長する(すなわち、「バックファイヤー」合成)が、分枝点移動に供されない安定な二本鎖を作る)からである。
図51は、第3のプローブ富化ストラテジーを示す。:ビーズ捕捉パートI.第3のプローブが標的由来の真の産物富化する実験ストラテジーの概略
(A)プライマー間の関係の概略的な表示。NEST3−28(GGATGAATAAGCTGCAGCTGATTAAAGG−配列番号:76)プライマーおよびNEST3−26(ATGAATAAGCTGCAGCTGATTAAAGG−配列番号:77)プライマー(これらは、プライマーJ1およびK2(それぞれの上記される配列番号:66および69)によって生成される増幅配列に相同である)の中間に配置されるPstI制限酵素部位を示す。(B)N3−26の5’−ビオチン化型の固定化の図示。これは、ストレプトアビジン被覆磁気粒子に結合させる。(C)捕捉実験のスキーム。オリゴヌクレオチドJ1およびK2を溶液相中で、ビーズ上に固定化したN3−26プライマーとともに合わせる増幅反応を確立する。反応物を90分間インキュベートし20分ごとに軽くたたいてビーズを分散させる。(これらは、5%PEG反応溶液中できわめてゆっくり沈降する)。インキュベーション期間の最後に、磁石を用いてビーズを集め、上清みを除去して解析する。ビーズを2回素早く水で洗浄し、次いで、30分間37℃で、過剰のPstI 酵素とともに適切なバッファー中でインキュベートする。再度、上清みを除去して解析する。
図52は、第3のプローブ富化ストラテジーを示す:ビーズ捕捉II.固相支持体上に固定化した低活性の核タンパク質フィラメントを第3のプライマーとして関与させ得ること、およびプライマーノイズ由来の標的アンプリコンを分離し得ることを示す実験結果。
(A) プライマー間の関係の概略的な表示。N3−28およびN3−26プライマーの中間に配置されるPstI制限酵素部位を示す。(B)B.subtilis DNAの増幅は、2コピー/μlの標的DNAの存在下(下側パネル)または非存在(上側パネル)下で行なった。レーン1は、サイズラダーを含有する。プライマーJ1およびK2は、それらの標的を、数コピーの標的ゲノムDNAの存在下で効率的に増幅する(下側パネル、レーン2)が、試料中の標的の非存在下では、上側パネルレーン2に示されるように、スミアを生じる。オリゴヌクレオチドN3−28およびN3−26は、J1に対して、わずかに3’側の配列に相同であり、同一のセンスである。N3−28は28マーであり、N3−26は、N3−28の最も5’側の2つの塩基を欠く26マーである。N3−28またはN3−26とJ1およびK2プライマーとの同時インキュベーションは、J1/K2産物、および予測されるN3−28/K2またはN3−26/K2産物(下側パネル、レーン3および4)に対応する2つの主産物の生成をもたらす。N3−28を単独でインキュベートすると、ある程度スミアが生じるが、N3−26を単独インキュベートすると、スミアは生じない。本発明者らは、N3−26は、「静的な」オリゴヌクレオチドであり、産物を生成させるために、より活性なプライマーの伸長に由来する被置換鎖に対するハイブリダーゼーションに顕著に依存し得ると推測する。(C)図51に概略的に詳述し、30コピー/μlの開始標的密度を用いて行なった実験の結果。レーン1:サイズマーカー。レーン2および3:標的なし(レーン2)またはあり(レーン3)で行なった完全に液相反応の産物(N3−26を固定化しない)。これは、(A)の上側および下側パネルのレーン4に大体相当する。レーン4および5は、それぞれ、標的なし、または標的ありで増幅インキュベーション後に除去された最初の上清みを含有する。予測されたとおり、標的含有反応物では産物が見られ、N3−26 プライマー(ビーズ上に固定化)の使用に由来する、より小さい産物は見られない。また、予期されたとおり、標的を含まない試料中ではスミアが生じる。レーン6および7は、洗浄したビーズのPstI消化後の上清みを含有する。興味深いことに、標的を含まない試料中にスミアは存在しない。しかしながら、標的試料中にはDNAが存在する。ビーズから解放された産物は、予測されたN3−26/K2産物(PstIによる切断により、レーン3のものよりわずかに高速の移動度)ならびに同時精製された非切断J1/K2産物を含むようである。かかる産物とビーズ固定化された産物およびオリゴヌクレオチドとの間でのハイブリッドの形成が起こり得るため、一部のJ1/K2産物が同時精製されることは、おそらく驚くべきことではない。しかしながら、この物質が、明らかにPstI酵素によって切断されないことは、驚くべきことである。この奇妙な観察結果の理由は不明だが、これらの産物が、消化に対して抵抗性であるハイブリッド内に存在したこと、またはこのような産物の鎖の一方だけにニック形成をもたらしたことを示し得る。
図53は、トレハロースが凍結乾燥物を安定化させ、緩衝化試料以外すべての成分が、少なくとも10日間、室温で活性なままであることを可能にすることを示す。
RPA反応物を、ヒトアポリポタンパク質B遺伝子座に特異的プライマーを用いて合成した。一般的には、最終反応組成は、55mM Tris.Cl pH 8.4、1mM DTT、80mM酢酸カリウム、5%Carbowax 20M、200μM dNTPS、3mM ATP、20mMクレアチンリン酸、100ng/μl クレアチンキナーゼ、300nM ApoB4およびApo300オリゴヌクレオチド(それぞれ、配列番号:20および21)、600ng/μl gp32、200ng/μl uvsX、60ng/μl uvsY、および17ng/μl Bsuポリメラーゼ、約160コピー/μl ヒトゲノムDNAとした。しかしながら、55mM Tris.Cl pH 8.4および80mM酢酸カリウムは、凍結乾燥物中には含めなかったが、再構成中に、DNA試料とともに添加して戻した。さらにまた、特定の成分を凍結乾燥物から除いた。詳細は、以下の通りである。条件A:トレハロース使用なし、Carbowaxは試料DNAとともに添加(凍結乾燥物には含めない)、ポリメラーゼは試料DNAとともに添加。条件B:50mM トレハロースは凍結乾燥物に含める、Carbowaxは試料DNAとともに添加、ポリメラーゼは試料DNAとともに添加。条件C:50mM トレハロースは凍結乾燥物に含める、ポリメラーゼは試料とともに添加。条件D:50mM トレハロースは凍結乾燥物に含める、緩衝化試料DNAのみ再構成で添加。室温でベンチにおいて、特別な保存条件(例えば、乾燥剤の使用など)なしで、3、6、または10日間び保存後、凍結乾燥物の活性を、加えなかった試薬を乾燥ペレットに最終容量50μlで添加することにより試験した。各場合において、反応条件Dは、反応バッファー(55mM Tris.Clおよび80mM酢酸カリウム)中、試料DNAのみを欠いた。トレハロースが凍結乾燥物中に存在する場合のみ、反応物は安定であるが、この場合、反応物は、少なくとも10日間安定な状態であった。試験物質を使い果たしたため、さらに長期間は調べなかったが、可能であり得る。
実施例14:RPA反応はリアルタイムでモニタリングされ得、開始標的コピー数の評価が可能である。
図54は、どのようにしてSYBR金およびSYBR緑蛍光色素を、RPA反応におけるそれらの適合性、およびそれらの反応−モニタリング特性について評価するかを示す。
(A)プライマーApoB4およびApo300の配置(それぞれ、配列番号:20および21)、これらは、ヒトアポリポタンパク質B遺伝子座の断片と隣接する。(B)SYBR金は、RPA反応物中に、1:50,000以上での希釈度で、反応を完全に阻害することなく含め得る。反応物は、50mM Tris pH 8.4、80mM酢酸カリウム、200μM dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、50ng/μl クレアチンキナーゼ、1.5mM ATP、10mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、30mM クレアチンリン酸、300nM ApoB4プライマー、300nM ApoB300プライマー、5%Carbowax 20M、360ng/μl gp32、86ng/μl uvsX、15ng/μl uvsY、35ng/μl Bsuポリメラーゼで構成した。表示した希釈度のSYBR金を反応物中に含めた。(C)RPA反応を、各々、最終容量50μlを有する96ウェルプレート内で確立した。標的DNAおよびSYBR金色素のみを欠く成分のマスターミックスを氷上で確立した。SYBR金の5つの異なる希釈物を試験し、ストックからの最終希釈度は、1:50,000、1:60,000、1:70,000、1:80,000、および1:100,000とした。各希釈について、2および20コピー/マイクロリットルの出発標的コピー密度を調べた。(TE中で予測されるコピー密度まで希釈したヒトゲノムDNA)。いったん反応物を氷上で充分混合し、プレートを、BIO−TEK FLX 800蛍光マイクロプレートリーダーの予備加温プレート(37℃)に移した。読み値を1分ごとに収集し、50μlの水で希釈した300ngのヒトゲノムDNAを装置の感度標準として使用した。データをMicrosoft Excelに転送し、各反応について、相対蛍光(任意)をインキュベーション時間に対してプロットした。(D)SYBR金ではなくSYBR緑をアッセイした以外は、(C)のようにして、実験を確立した。
図55は、リアルタイムRPAが、SYBR緑を用いて、4桁の大きさにわたって定量的挙動を示すことを示す。図55(A)この解析に用いたプライマーの配置。(B)RPA反応を、最終容量50μl/反応容量を有する96ウェルマイクロウェルプレートにおいて、B.subtilis SpoOB遺伝子座J1およびK2に特異的なプライマーを用いて確立した。
Figure 0005026958
規定コピー数のBacillus subtilisゲノムDNAを、96ウェルプレートのウェル内にピペッティングし、氷上で保存した。反応マスターミックスを氷上で混合し、次いで、アリコートをDNA含有ウェル内に入れ、充分混合した。次いで、反応物を、BIO−TEK FLX 800蛍光マイクロプレートリーダーの予備加温プレート(38℃に設定)に移した。反応組成は、50mM Tris pH 8.4、80mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、200μM dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、50ng/μl クレアチンキナーゼ、1.5mM ATP、30mM クレアチンリン酸、300nM BsJ1プライマー、300nM BsK2プライマー、5%Carbowax 20M、360ng/μl gp32、86ng/μl uvsX、15ng/μl uvsY、35ng/μl Bsuポリメラーゼ、ならびにMolecular Probes由来SYBR緑のDMSOストックの1:50,000希釈物とした。2つの対応する実験の結果を(B)および(C)に示す。反応終了後、7μlの反応物を1×スクロースローディングバッファーで希釈し、2%アガロースゲルで分離した(D、E)。最大濃度の標的を使用した場合、蛍光は、予期されたとおり、早期に検出可能となったが、持続性の指数関数的上昇は示さなかったことに注意されたい。これは、反応試薬(この実験では、gp32は、典型的な濃度より低濃度で使用した)の消費により、またはインヒビターの構築などにより生じ得る。後の実験では、これが、gp32/uvsXの漸増不足(undertitration)により生じ得ることを示す。下記参照。また、終点(endpoint)解析ゲル(D)での予測されたバンドのかすかな存在により示される、(B)における産物の混入についてのいくつかの証拠が存在する。
図56は、RPA反応が、少なくとも5桁の大きさのB.subtilisゲノムDNAのコピー数を反応速度論的に評価し得ることを示す。RPA反応を、Bacillus subtilisプライマーJ1およびK2を用いて図55のように確立した。しかしながら、タンパク質試薬の量を以下のとおりに増加させた。:gp32は、600ng/μlで使用し、uvsXは140ng/μlで使用し、uvsYは35ng/μlで使用し、ATPは3mMとした。反応容量を100μl 最終容量まで増加させ、より広い範囲のゲノムDNA濃度を使用した(0.1〜100,000コピー/μl)。より多くのコピー数の試料において初期の痕跡(trail)は観察されなかった。本発明者らは、このことが、先の実験が、いくぶんgp32およびuvsXが漸増不足であったことを反映していると考える。反応終了後、7μlの反応物を、1×スクロースローディングバッファーで希釈し、2%アガロースゲルで分離した。
図57は、リアルタイムRPAが、ヒトゲノムDNAコピー数の多様性に対して定量的応答を示すことを示す。図57(A)ヒトDNA配列を増幅する、ApoB4およびApo300プライマーの配置。
Figure 0005026958
(B)RPA反応を、最終容量100μl/反応容量を有する96ウェルマイクロウェルプレートにおいて確立した。規定コピー数のヒトゲノムDNAを、96ウェルプレートのウェル内にピペッティングし、氷上で保存した。反応マスターミックスを氷上で混合し、次いで、アリコートをDNA含有ウェル内に入れ、充分混合した。次いで、反応物を、BIOTEK FLX 800蛍光マイクロプレートリーダーの予備加温プレートに移した。反応組成は、50mM Tris pH 8.4、80mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、2mM DTT、200μM dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP、50ng/μl クレアチンキナーゼ、1.5mM ATP、30mM クレアチンリン酸、300nM ApoB4プライマー、300nM Apo300プライマー、5%Carbowax 20M、360ng/μl gp32、86ng/μl uvsX、15ng/μl uvsY、35ng/μl Bsuポリメラーゼ、およびMolecular Probes由来のSYBR緑のDMSOストックの1:50,000希釈物とした。実施例2(C)と同様に、最大濃度の標的では、予想外に早期に逸れる(trail off)曲線が得られたことに注目されたい。図55の場合のように、これらの実験は、高い標的濃度での確固とした検出可能な対数期を確保するための精巧さを必要とし得る、uvsX、uvsY、gp32、ATPおよびdNTP濃度条件下で行なった。これは、特定の試薬の濃度が以下の通りである:gp32は600ng/μlで使用し、uvsXは140ng/μlで使用し、uvsYは35ng/μlで使用し、ATPは3mMとしたこと以外は(B)と同様の実験が行なわれた(C)によって支持される。反応終了後、7μlの反応物を1×スクロースローディングバッファーで希釈し、2%アガロースゲルで分離した。
実施例15: 3’LNAキャッププライマーを用いた非対称プライマーRPA
非対称なプライマーRPA法を用いる標的DNAの増幅の一例として、標準的なRPA条件を、2つの違いを伴って用いる。第1に、一方のプライマーは、3’LNAキャッププライマーである。第2に、さらなるポリメラーゼ、φ29を使用する。これは、リコンビナーゼ中間体からの合成を開始することができない。
したがって、増幅条件は以下の通りである:
50mM Tris.Cl pH 7.85
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
15mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP
12ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM オリゴヌクレオチド1,3’LNAキャップ
0.3μM オリゴヌクレオチド2
350ng/μl T4 gp32
100ng/μl T4 uvsX
20ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
20ng/μl φ29ポリメラーゼ(exo−, またはexo−減衰)
インキュベーションは33〜40℃で30分間〜2時間
実施例16:ケージ化(caged)ATPの脱保護を伴うリアルタイムRPAの開始
インプット鋳型DNAを定量化するためのATPパルス(pulsed)RPAの使用の一例として、反応を、いくつかの違いを伴う標準的なRPA反応として構築する。第1に、ATPの代わりにケージ化ATPを使用する。第2に、二本鎖DNA検出試薬、SYBR緑を使用してRPA産物を定量化する。ATPの各パルスで完全な合成が確保されるように、プライマーを、短い(<200bp)反応産物が生成されるように設計する。
したがって、増幅条件は以下の通りである:
50mM Tris.Cl pH 7.85
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
3mM ケージ化ATP
SYBR緑Iの市販のストック(Molecular Probes)の1:50,000希釈物
200μM dNTP
0.3μM オリゴヌクレオチド1
0.3μM オリゴヌクレオチド2
600ng/μl T4 gp32
150ng/μl T4 uvsX
25ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
インキュベーションは33〜40℃
ATP脱ケージ化(uncaging)の各サイクルの前に、SYBR緑I蛍光(494nm 励起最大−521nm 発光最大)を試料中で測定する。検出された蛍光は定量化の基礎となる。1分ごとに、365nmの光の短いパルスをケージ化ATPに適用すると、リコンビナーゼ活性のバーストがもたらされる。各サイクルで測定した蛍光を、次いで、インプット鋳型標準と比較し、インプット試料鋳型の量が測定され得る。
実施例17は、ポロニー(Polony)解析においてRPAの開始を制御するためのケージATPの使用を記載する。
RPAベースのポロニー解析の一例として、ポリアクリルアミドゲルを顕微鏡スライド上に、Churchら[Mitra R, Church G(1999) In situ localized amplification and contact replication of many individual DNA molecules. Nucl Acids Res 27(24):e34i−vi.]に記載のようにして作製する。この解析では、蛍光ヌクレオチドおよび多型標的特異的プライマーを用いる単一塩基伸長による初期増幅後に、異なる多型性産物が検出される。この構成と標準的なポロニー解析との1つの違いは、RPAが一定の低温度でかなり短時間(通常、PCRベースのポロニー反応は3〜7時間要し得る)で行なわれるため、5’アクリダイト(acrydite)修飾されたプライマーの使用が必ずしも必要でなくともよいことである。この実施例では、5’アクリダイト修飾されたプライマーと通常のプライマーの両方を使用する。
PCR「内部拡散(diffuse−in)」ミックスの代わりに、RPA「内部拡散」ミックスを使用し、これは以下のものを含む:
50mM Tris.Cl pH 7.85
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
15mM クレアチンリン酸(構成に応じて含める)
200μM dNTP
3mM ケージ化ATP(構成に応じて含める)
12ng/μl クレアチンキナーゼ(構成に応じて含める)
0.3μM オリゴヌクレオチド1
0.3μM オリゴヌクレオチド2
350ng/μl T4 gp32
100ng/μl T4 uvsX
20ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
次いで、反応を、ATPにより拡散させるか、または元の「内部拡散」ミックスに含まれるケージ化ATPを活性化することのいずれかにより開始する。ポロニーが、33〜40℃で30分間〜2時間でのインキュベーション後に生成される。
増幅後、新たな多型−標的プライマーを蛍光標識されたヌクレオチドとともに内部拡散させ、手動で適用するか、または光分解によるかのいずれかによる追加のATPのパルスにより反応を再び開始させる。合わせた蛍光を、次いで、蛍光顕微鏡測定を用いて定量化し得る。
実施例18:単鎖増幅されたDNAと二本鎖プローブとの間のリコンビナーゼ媒介性ハイブリッド形成を用いたアンプリコン内の多型性反復数の非ゲルベースの測定
この実施例では、STRを、隣接するオリゴヌクレオチドプライマーによって増幅する。STRは、TPOXとして知られるマーカーであり、米国および欧州の両方で法医学的解析に使用される標準的なSTRマーカーセットにより一般的に使用されている。このマーカーは、5’−ACTGGCACAGAACAGGCACTTAGGGAACCC−3’(配列番号92)のプライマー1および5’−GGAGGAACTGGGAACCACACAGGTTAATTA−3’(配列番号93)のプライマー2の配列を有する隣接プライマーによって増幅される。このマーカーは、4ヌクレオチドAATGの反復を有し、この反復は、5〜14回の反復で変動する。
増幅条件は以下の通りである:
50mM Tris.Cl pH 7.85
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
15mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP
12ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM オリゴヌクレオチド1,5’−フルオレセイン−標識
0.05μM オリゴヌクレオチド2
600ng/μl T4 gp32
150ng/μl T4 uvsX
35ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
インキュベーションは33〜40℃で30分間〜2時間
増幅反応では、プライマー不均衡によりある量の単鎖DNAが生成され、この単鎖DNAは蛍光標識される。増幅反応反応の最後に、反応混合物を、空間的に固定化された二本鎖プローブのアレイと直接接触させる。各プローブは、研究中のDNAの既知の多型性形態1つに対応し、この形態が試料中に存在すれば、作製され得るアンプリコンと同じ長さである。
リコンビナーゼを、増幅された単鎖試料DNAに負荷し、相同性検索フィラメントを形成させる。このようなフィラメントは、アレイ支持体表面上に固定化された二本鎖プローブを標的化することができる。リコンビナーゼ被覆された増幅産物とプローブとの間で組換え事象が起こると、増幅産物がもたらされ、プローブ中のその相補鎖とともに増殖的にワトソンクリック塩基対合となり、一方で、元の対合形成された対応鎖は置換され、溶液中に遊離される。試料DNAと不完全にマッチしたプローブとの間でこの事象が開始されると、理想的には、このような組換え事象の完了は抑制され、完全なハイブリッドのみの富化がもたらされる。
反応は動的であり、その結果、プローブと試料間で形成されたハイブリッドは、それ自体が他の標的化DNAの標的となり得る。不完全に形成されたハイブリッドの組換えの完了の低い効率と組み合わせた、この動的な挙動は、プローブ/試料混合物の集団において完全なハイブリッドの富化をもたらすはずである。これは、ヘリカーゼ、例えば、大腸菌PriA(2〜20ng/μl)、大腸菌DnaB(5〜50ng/μl)、大腸菌RuvAB(5〜50ng/μl)、T4ファージddaヘリカーゼ(5〜50ng/μl)、T4ファージgp41(5〜50ng/μl)または適切なヌクレアーゼのいずれかの添加によりさらに増強される。このような因子は、ミスマッチに起因して存在し、完全なハイブリッドよりも不安定であるこのような不完全なハイブリッドをもたらす、ヘリックスの崩壊を利用または増強する。
28〜40℃での適当なインキュベーション期間、例えば、10〜30分間後、反応を、必要であれば、例えば、EDTAまたはカオトロピック剤、例えば、ウレアまたは塩酸グアニジンなどの添加によって終了させるが、このような終了は必ずしも必要でなくてもよい。次いで、アレイを適切な波長の光に曝露し、蛍光を適切なフィルターおよびカメラを用いて記録することにより、プローブと試料間の生産的な相互作用を測定する。
実施例19は、二本鎖の増幅されたDNAと単鎖プローブとの間のリコンビナーゼ媒介性ハイブリッド形成を用いたアンプリコンにおける多型性反復数の非ゲルベースの測定を示す。
上記のように、この実施例は、法医学的に使用されているTPOX STRマーカーの増幅を伴い得る。増幅条件は、増幅プライマーの比が1:1であり得、ともに0.3μMの濃度で使用され得る以外は、実施例18と同じであり得る。増幅反応物を、次いで、研究中のDNAの既知の可能な多型性形態に対応する単鎖プローブのアレイに接触させる。この形式では、リコンビナーゼは優先的にプローブ上に負荷し、次いで、二本鎖試料DNAを検索して、これとのハイブリッドを形成する。実施例18のように、ハイブリッドはが完璧な場合は、これらが理想的には富化され、同様に、ヘリカーゼ(例えば、PriA、recG、DnaB、RuvAB、gp41またはdda)または適切なヌクレアーゼなどの因子を含めることは、この富化を加速および改善すし得る。適当なインキュベーション期間後、必要に応じて、反応を停止させるか、または停止させずに、相互作用を、実施例18に記載されるように可視化する。
実施例20は、リコンビナーゼ媒介性ハイブリッド形成および固定化点から標識を解放する異常発生のヌクレアーゼのプロセッシングを用いるアンプリコンにおける多型性反復数の非ゲルベースの測定を示す。
この実施例では、増幅反応、およびプローブと試料との間のハイブリッド形成は、増幅プライマーが標識を含む必要がないこと以外は、実施例1に記載のようにして行なった。試料の代わりにプローブの一端で標識する。適切なインキュベーション期間後、実施例18および19に記載のように、アレイを、適切なヌクレアーゼで処理し、これにより不完全なDNA二本鎖が切断される。不完全なハイブリッドのバックボーンの切断がなされるので、それゆえ標識が固定化点から遊離される。さらに、DNAポリメラーゼが含まれ得、その結果ニックがヌクレアーゼによって導入されると、ポリメラーゼが鎖置換し、次いで、鎖を置換する様式で合成するよう作用し得る。したがって、標識された鎖が除去される。次いで、アレイを、実施例18に記載されるように定量化し得る。
実施例21は、リコンビナーゼ媒介性ハイブリッド形成および異常発生のヌクレアーゼのプロセッシング、続いてDNA合成標識を用いるアンプリコンにおける多型性反復数の非ゲルベースの測定を示す。
この実施例では、増幅およびハイブリッド形成は、増幅プライマーを必ずしも標識しないこと以外、実施例18または実施例19のいずれかと同様である。ハイブリッド形成期中、バブルにおいてニック形成するか、またはヘリックスを不安的にさせるヌクレアーゼを含めた。標識ヌクレオチドおよび鎖を置換するポリメラーゼの反応物中へこのヌクレアーゼを含めることは、不完全なハイブリッドをもたらし、この不完全なハイブリッドはプロセッシングされて完全なハイブリッド形態となり、このハイブリッド形態は、可視化され得る修飾された標識塩基を含む。
実施例22は、動的な組換え系環境内の不完全なハイブリッドを崩壊させるためのヘリカーゼの使用を示す。
この実施例では、増幅およびハイブリッド形成は、増幅プライマーを必ずしも標識しないこと以外は、実施例18または実施例19のいずれかと同様にして行なう。しかしながら、プローブまたは試料DNAは、標識を含有しなければならない。プローブまたは試料DNAの一端を、高親和性の非共有結合性相互作用(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用)により固相支持体またはビーズへ固定化する。ハイブリッド形成期中、ヘリカーゼ(例えば、T4 ddaヘリカーゼ)またはヘリカーゼの組合せ(例えば、PriAおよびddaヘリカーゼ)または他の混合物を、標的の不完全なハイブリッドに含め、これらを巻き戻し、物理的な崩壊によって高親和性の非共有結合性相互作用の解離を効率的に加速する。適当なインキュベーション期間後、標識された核酸と固相支持体間の会合を測定し、陽性シグナルは完全なハイブリッドが形成されたことを示す。
図58は、原理的に、どのようにして不完全なハイブリッドが、動的な組換え環境において、増強された全体的な二本鎖崩壊を可能にするバブルを有するのかを示す。
短いタンデムリピートの8反復配列を含有し、増幅に使用される特有配列と隣接する、Aに示す二本鎖アンプリコンは、Bにおいて種々の数の反復単位を含有する単鎖プローブオリゴヌクレオチドによって標的化される。ハイブリダーゼーションは、リコンビナーゼ(ここでは図示せず)によって誘発される。Cにおいて、生じる二本鎖ハイブリッドを示し、これらの一部は、ハイブリッド間の非同一反復の数によって引き起こされるバブルを含有する。このようなバブルは、異なる反復配列の数が増えるほど大きくなり、したがって、かかるハイブリッドは、リコンビナーゼまたは他のDNAプロセッシング酵素のより良好な標的となる。
図59は、実施例18に記載される図58のハイブリダーゼーション反応の起こり得る結果を示す。8反復配列を含有する試料DNAを種々の反復数に対応するプローブのアレイとともにインキュベートする。経時的に、ハイブリッドは、完全な反復の数に対して富化されるが、1つまたは2つの反復配列だけ異なるものではそれより少ないが、低い程度で富化される。
図60は、特異的RNA種の存在を評価するために、反応において逆転写できる酵素を含めることにより、どれだけ容易にRPA反応が行なわれ得るかを示す。
規定のコピー数のウイルスMS2 RNA(市販の供給源から)を、表示のような逆転写酵素を含めたRPA反応において、インキュベートした。2つのプライマーを使用し、これらは、表示のMS2配列を認識した。より具体的には、これらのプライマー:
Figure 0005026958
であった。
反応条件は、高い濃度のdNTP(500μM)、DTTの増加、RNaseインヒビターを含めること、および表示した場合に逆転写酵素を含めること以外、標準的であった。条件:
50mM Tris.Cl pH 8.5
10mM 酢酸マグネシウム
10mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
15mM クレアチンリン酸
3mM ATP
500μM dNTP
100ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM MS2UP
0.3μM MS2DOWN
800ng/μl T4 gp32
120ng/μl T4 uvsX
30ng/μl T4 uvsY
70ng/μl Bsuポリメラーゼ
0.13 単位/μl RNaseインヒビター
MuMLV(RNase Hを含む)逆転写酵素 10単位/μl(Promega)
であった。
反応産物をフェノール抽出し、沈殿させ、非変性アクリルアミドゲル上で分離し、その後SYBR−金で染色した。100コピー/マイクロリットルという低いRNA濃度は、この形式において、さらに最適化せずに、容易に検出され得る。
図61は、dUTPが、RPA反応において部分的または完全にdTTPと置き換えるために使用され得ることを示す。したがって、それにより持ち込み混入物を制御するためのストラテジーが提供される。
RPA反応を、以下の条件を用いて確立した:
50mM Tris.Cl pH 8.5
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
100mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
15mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP(dA, dC & dG)
100ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM J1プライマー(B.subtilis DNA用)(配列番号:66)
0.3μM K2プライマー(B.subtilis DNA用)(配列番号:69)
630ng/μl T4 gp32
140ng/μl T4 uvsX
35ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
100コピー/μl B.subtilisゲノムDNA
反応の産物は2%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで染色した。左端のパネルに示したように、dUTPまたはdTTPを異なる反応で使用した。より詳しくは、上側の左端レーンは、200μM dTTPを含み、したがって、標準的なRPA反応の典型例であった。続く6つのレーンもまた、200μM dTTPを含んだが、この場合、dUTPもまた表示した濃度で存在した。下側左端パネルの最後の6つのレーンはRPA反応の産物を含み、これらはdTTPは含まず、表示した濃度(50〜800μM dUTP)のdUTPを使用した。すべての場合において、予測された断片の増幅が起こったが、顕著にdUTPの存在が、生成するアンプリコンの量を減少させ、多くの場合、スナップバック合成が起こったときに見られる「倍増(doubling−up)」現象を抑制した。
右端パネルは、出発物質として、左端パネルの第1の反応物から概略図に示すようなプロセッシング後に生成した産物を用いた結果を示す。より詳しくは、A、B、C、DおよびEとして左端パネルに示す反応物は、以下のようにプロセッシングされた。染色強度およびDNA含量の概算に基づき、推定10分子の各産物を、20分間、1μlの非耐熱性dUTP−デグリコシラーゼの市販の調製物(Roche)とともにインキュベートし、同様の量を未処理のままとし、次いで、最終的に、すべての試料を94℃まで10分間加熱した。この酵素は、10分子の持ち込み混入物に有効に対処するように製造業業者によって品質制御されていた。したがって、本発明者らは、この場合、ストリンジェントな試みを課した。試料を、次いで、200μMの各dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP(上記の条件参照)により正常なRPA条件下で構成されたRPA反応を開始するために使用した。表示のように、dUTP−デグリコシラーゼで未処理の試料は、優れた出発鋳型であったが、処理されたものは、初期にdUTPを使用しなかった場合を除き、極めて悪かった。特に、混合されたブレンド(blend)でさえ有効であった。
図62は、RPA系において、いかにして持ち込み混入物に対処し得るかを示す。
RPA反応においてdUTPを受容する能力は、図示したスキームにしたがって、持ち込み混入物を抑制するために使用され得る。RPA反応は、純粋なdUTP、またはdTTPおよびdUTPミックスを用いて、図61に示すようにして行なわれ得る。RPA反応の開始前、または開始時、大腸菌ウラシルデグリコシラーゼ(UDG)または類似物を、試料とともにインキュベートさせ得、持ち込み物質を攻撃させ得る。次いで、数分後、または反応の開始時、UDGインヒビターを添加し得る。大腸菌UDGの特異的インヒビターは、ウラシルグリコシラーゼインヒビター(UGI)と称されるものとして知られ、Bacillus subtilis由来の9.5kDペプチドであり、市販されている。
図63は、試料中の特異的DNA配列の存在に関する迅速なポイントオブユーズ試験を可能する簡単な一体型使い捨てシステムが、どのようにして、構成され得るかを示す。(A)では、使い捨てRPA反応/側方流動ストリップの概略的な説明を示し、これは、乾燥RPA試薬を含む反応ポーチの近傍でほぼ30〜39℃で送達し得る廉価なヒーター内に配置され得る。プロセッシング/溶解された試料が、適切な容量のポーチ内の内容物を再水和させるために使用され得ること、次いで、このポーチを適切な温度で15〜60分間、必要に応じてインキュベートされ得ることを想定する。続いて、一部または全部の試料を側方流動ストリップの試料パッドに移し得、このストリップは、正確なアンプリコンが形成されたときのみ、ストリップの特定の位置に目に見えるラインが形成されるような様式で構成されている。(B)には、それぞれ、男性および女性のDNAについてRPA反応に使用した2つのオリゴヌクレオチドプライマーの配置を示す。オリゴヌクレオチドSRY3およびSRY4を使用し、一方は5’−フルオレセイン部分を含有し、他方は5’−ビオチン部分を含有した。反応の最後に、50μl反応物の1/500を「泳動バッファー」(Milenia, germany)と混合し、市販の側方流動ストリップ(Milenia, germany)に適用し、その結果、フルオレセインおよびビオチンが同時会合した(すなわち、増幅産物での)産物のみが検出ライン上に目視可能な金粒子の蓄積がもたらされ得る。(C)には、この実験の結果を示す。男性DNAで行なった反応でのみ、シグナルラインが生成され、増幅反応の有効性は、別途、アガロースゲル(データ示さず)において確認した。
図64は、適切な比率の試薬を使用した場合、血中の物質の存在によってRPA反応が抑制されないことを示す。
直接RPA反応物に添加した全血および溶解血液からゲノムDNA断片を増幅する能力を調べた。RPA反応物は、以下のように構成した:
50mM Tris.Cl pH 8.5
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax 20M)
25mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP
100ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM オリゴヌクレオチドApoB4(配列番号:20)
0.3μM オリゴヌクレオチドApoB300(配列番号:21)
420ng/μl T4 gp32
140ng/μl T4 uvsX
35ng/μl T4 uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
(A)では、1μlの水または1μlの新鮮なヒト全血のいずれかを、RPA反応に添加した。産物を2%アガロースゲルで分離した。矢印は、予測されたアンプリコンの位置を示す。非特異的「プライマー」アーティファクトを、水対照および試料中に存在させた。おそらく、標的の非存在または非常に低コピーの標的の結果として起こる。本発明者らは、きわめて少ないコピーのゲノムDNAが血液試料の増幅での増幅に利用可能であると推測する。(B)では、lμlの血液をまず、10mM |Tris、1mM EDTA、120mM NaOH、0.1%SDS(表示のとおり)を含有する溶解溶液lμl、2μl、3μl、4μl、または5μlのいずれかと混合した試料を解析した。各場合で、lμlのそれぞれのライセートをRPA反応の開始に使用した。(したがって、1回の増幅で、より多くのバッファーで溶解したものは、より少ない血液試料を含んだ)。また、同じ実験での、水のみ(レーン1)または500コピーの標的(Promega)に相当する精製DNA(レーン7)を、増幅反応を開始するのに使用した試料も示す。4μlまたは5μlの溶解バッファーを使用した場合、赤血球の溶解は、明白に目視可能であり、溶液は粘性となった。本発明者らは、これらの試料がRPA反応の優れた開始物質になり、おそらく、大部分のDNAが接近可能な鋳型として放出されていることに注目する。
図65は、RPA反応のリアルタイムのモニタリングが、反応を最適化するためにどのようにして使用され得るかを示す。
この場合、RPA反応を、上記のプライマー対J1およびK2、ならびにBacillus subtilisゲノムDNAからなる鋳型(開始密度は1コピー/マイクロリットル)を用いて確立した。酢酸カリウム濃度またはPEG化合物濃度のいずれかを変化させた。他の条件は、特に記載のない限り:
50mM Tris.Cl pH 8.5
10mM 酢酸マグネシウム
2mM ジチオトレイトール
80mM 酢酸カリウム(または、表示の通り)
5% PEG化合物(Carbowax 20M)(または、表示の通り)
25mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP
100ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM オリゴヌクレオチドJ1プライマー(配列番号:66)
0.3μM オリゴヌクレオチドK2(配列番号:69)
620ng/μl T4 gp32
140ng/μl T4 uvsX
35ng/μl T4 uvsY
SYBR緑(Invitrogen)のストックの1:50,000希釈物形態
20ng/μl Bsuポリメラーゼ。
反応の終了時に、反応物の一部を、スクロースローディングバッファーと混合し、そしてアガロースゲル上で分離し、そしてその後、臭化エチジウムで染色した。本発明者らは、高濃度の塩が反応を遅延するが、しかし十分に作用する広範な塩濃度があることに注目する。本発明者らは、4%から9%にPEG濃度を増大させることが、常に早い反応挙動を生じるが、しかし、ゲル系での産物の見掛けは、高いPEG濃度によって不利に影響されたことにも注目する。本発明者らは、高PGE濃度サンプルのスミアの多い外観が、非常に高い組換え活性によって発生されるDNAの進行中のネットワークから生じうることを推測する。これが、ゲル分析にとって望ましくないが、それは、蛍光を使用したリアルタイム分析にとって申し分なく適切でありうる。
図66は、どのようにRPA反応が、マグネシウム濃度によって影響されるかを示す。
リアルタイムRPA反応を、以下のとおりに確立した:
50mM Tris(pH8.5)
示されるとおりの6、10または16mM酢酸マグネシウム
2mM ジチオスレイトール
80mM 酢酸カリウム
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
25mM クレアチンリン酸
3mM ATP
200μM dNTP
100ng/μl クレアチンキナーゼ
0.3μM オリゴヌクレオチドJ1プライマー(配列番号:66)
0.3μM オリゴヌクレオチドK2プライマー(配列番号:69)
600ng/μl T4gp32
120ng/μl T4uvsX
30ng/μl T4uvsY
20ng/μl Bsuポリメラーゼ
SYBR緑(Invitrogen)のストックからの1:50,000希釈物。
マイクロリットル当たりのコピー中の標的DNAであるBacilus subtilisゲノムDNAの出発密度を示す。6mMおよび16mMの酢酸マグネシウム・サンプルにおいて、ある程度の持ち込み混入は、終点でのサンプルをアガロースゲル上で調べて明らかになった。これは、マイクロリットル出発密度当たり0コピーと1コピーの間の分解能が乏しいことを部分的に説明し得る。RPAは、全ての試験されたマグネシウム濃度で有効であるが、しかしマグネシウム濃度が上昇したときよりいっそう早いことに注目する。これらの高マグネシウム・サンプルから得た最終産物は、なお高い品質のように見える(データは示されず)。これは、最大の反応速度を達成するために、10mMより有意に高いマグネシウム濃度(本明細書の大半を通しての基準として使用される)が有用に使用されうることを示す。
図67は、様々なプライマー対/アンプリコンが様々な増幅反応速度を示すことを示す。反応時間への依存性は、オリゴヌクレオチド・プライマーの間で変化し、そして分析は、この現象の根底にある可能な配列の偏りを示す。
2つの異なる時間経過が、異なるプライマー対を使用して行われた。示された変動のレベルが、本発明者らの側でプライマー対の間で観察した挙動の範囲の典型であり、そして観察される速度のただ1つの典型的例(125ng/μl UvsX、45ng/μl uvsYで使用されたCSFプライマー;200ng/μl UvsX、60ng/μl uvsYで使用されたApoプライマー)として示されるにもかかわらず、これらの反応の間の条件は一致しなかった。プライマー配列が示される。プライマーCSF5’(配列番号:32)およびCSF3’(配列番号:33)(ヒトSTR遺伝子座CSF1PO)を標的化する)は、それらが特に迅速な産物蓄積反応速度を示した限りで真に例外的なプライマー対であり、これらは、現在本発明者らが決定した中では最速である。ヒトアポリプロテインB遺伝子座の一部を標的化する、プライマーApoB600(配列番号:46)およびApoB300rev(配列番号:47)は、遅い増幅反応速度を示す。この実験では、この後者の対は、CSFプライマーを用いてわずか20分後に生じる量と同じ量を40分後に生じた。このことと他のものとに基づいて、本発明者らは、典型的な倍増時間は、RPA中の30−35残基の大半のプライマー対について、平均で、約30秒と1分の間で変化することを結論づけた。CSFプライマーは、複数の実験(データは示されず)でも顕著に際立っており、それらが特に有効かつ早いという概念と一致した。両方のCSFプライマーと、この場合には本明細書で使用されるApoプライマーとを比較する、プライマーの組成分析は、グアノシン含有量が、両方のCSFプライマーで低い一方で、Apoプライマーでは平均的であり、そしてシトシン含有量は、両方のプライマーについて三分の一以上である一方で、Apoプライマーについては四分の一以下であることを強調する。これは、速度の可変性に関する有望な組成起点を本発明者らに示唆する。UvsXおよびUvsYでの前述の差、および僅かな変異のdNTP濃度は別として類似の条件下で反応を行った:
50mM Tris(pH8.4)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
20mM クレアチンリン酸
100ng/□l クレアチンキナーゼ
600ng/ml gp32
Apoプライマーについては200□M dNTP;CSFプライマーについては100□M dNTP
300n M各オリゴヌクレオチド。
図68は、付加5’ホモポリマーストレッチが、反応挙動に影響する−シトシンが活性を増大させ、グアノシンがそれを減少させる。
プライマーは示されるとおりであった。J1およびK2(配列番号:66および69)は、Bacilus subtilis SpoOB遺伝子座の一部と相同である。反応条件は、
50mM Tris(pH8.4)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
30mM クレアチンリン酸
100ng/μl クレアチンキナーゼ
420ng/μl gp32
140ng/μl UvsX
35ng/μl UvsY
200μM dNTP
300nMの各オリゴヌクレオチド
35ng/μl Bsuポリメラーゼ
25コピー/μl B.subtilisゲノムDNA
SYBR緑(Molecular probes)のストックから得た1:50,000希釈物
反応体積 50μl、37℃
であった。
プライマーJ1(C)、K(C)、J1(G)、およびK2(G)は、示されるとおり、J1およびK2に相当したが、シトシンまたはグアノシンの付加ストレッチを保有している。反応物を、氷上のマイクロタイタープレート中で確立し、そしてその後、蛍光測定器(FLX800)の加熱ステージに移した。90分後、反応物を、1×スクロースローディングバッファーで希釈して、当初の反応体積の二倍にし、その後この20μlを、直接2%アガロースゲルで泳動した。反応物は、標的DNAを含むか、または標的を含まないかのいずれかであった。本発明者らは、そのプライマーにシトシン残基を付加させることが、早い増幅速度を生じる一方で、グアノシンを付加させると、不完全な増幅を生じることを観察した。シトシン付加プライマーも、非常に迅速に「ノイズ」を増幅した。
図69は、チミンとシトシン残基より構成される付加5’配列が、増幅挙動で明らかな変動を示すことを示す。
プライマーは、示されるとおりであった。J1およびK2(配列番号:66および69)は、Bacilus subtilis SpoOB遺伝子座の一部と相同である。反応条件は、
50mM Tris(pH8.4)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
30mM クレアチンリン酸
100ng/μl クレアチンキナーゼ
420ng/μl gp32
140ng/μl UvsX
35ng/μl UvsY
200μM dNTP
300nMの各オリゴヌクレオチド
35ng/μl Bsuポリメラーゼ
20コピー/μl B.subtilisゲノムDNA
SYBR緑(Molecular probes)のストック由来の1:50,000希釈物
反応体積 50μl、37℃
であった。
増幅反応を、図66で示されるとおりSYBR緑色素を用いてリアルタイムで評価した。条件は、わずか20コピー/μlの出発標的鋳型を使用し、そしてプライマー配列を変化させた以外は同様だった。図68について示されるとおり希釈した後、2%アガロースゲル上で60分間に生じた産物を泳動することによって、終点分析を行った。ホモポリマーチミジン・ストレッチ、または非常にチミジンが豊富なストレッチを含む反応物が、ある程度弱く増幅された。典型的には、少量のDNAを生じ、そして増幅の非対称性が実質的に起こっているというある程度の指標があった。概して、このデータは、シトシン残基が5’配列で好ましいことと一致し、他の測定の困難な現象(おそらく望ましいリコンビナーゼの「位相調整(phasing)」のある程度の効果)が生じている。
図70は、5’付加配列の効果についてのいっそう詳細な研究を示す。
本発明者らは、J1およびK2プライマー(配列番号:66および69)から誘導したなおさらなるプライマーを調べた。これらの大部分は、追加のピリミジン残基を含有するが、しかし1つの対は、まさに5’グアノシン残基を含有する。いくつかのプライマー(このシリーズでは6および12)は、5’ピリミジンを含有したが、しかしそれぞれ5’(J1)または3’末端(K3)で塩基を除去することによって総計33残基に短縮された。したがって、これらのプライマーは、ゲノム標的と相同な30未満の残基を共有した。プライマーを、図69および70で使用したものと類似の条件下でインキュベートした。主要な差は、630ng/mlのgp32を使用し、そしてマイクロリットル当たり、ほんの1コピーの標的ゲノムDNAを使用したことであった。さらに、これらの実験では、本発明者らは、1つのプライマーのみを含有する反応物で生じる増幅の速度も試験した。プライマー対を含有するような反応物では、J1誘導体である1つのオリゴヌクレオチド、およびK2誘導体であるものを含有する対を試験した。誘導体が類似の5’修飾物を含んでいる対を使用した。明らかに、単一のプライマーの増幅速度が、この低い標的密度での2つのプライマーの増幅速度にほとんど類似し、そしてプライマーのノイズが、このきわめて低い標的密度での競合効果として始まる傾向にあることを示した。奇妙なことに、ただ1つのシトシン残基で異なるプライマー8および9は、大きく異なる増幅挙動を示した。このことは、シトシンの最小限のストレッチが高速の活性に要求されるか、またはある程度特異的な位相調整が明らかであることを示しうる。
図71は、配列検出の特異性が、「第三プローブ」の使用によって改善される可能性があり、そしてどのようにフルオロフォア/消光剤の対で機能するように構成されうるかについての数例の戦略を示す。
特異的DNA配列の存在は、3’末端がブロックされている第三のオリゴヌクレオチド・プローブの使用によって検出され得て、したがって、ノイズのある増幅(少なくとも、続くプロセッシングなしに)に関与しない。このような第三のプローブは、アンプリコンと特異的にハイブリッドを形成し得、そしてこのような二本鎖環境では、そのプローブを切断するDNAプロセッシング酵素のための基質になり、フルオロフォアおよび消光剤を分離しうる。リコンビナーゼ環境の特性を考慮すると、フルオロフォアと消光剤とは、約10−12個未満のヌクレオチドにより分離される。候補のヌクレアーゼの選択を列挙し、そしてプローブ中に含まれるであろう修飾塩基、または各ヌクレアーゼに対するプローブのバックボーン特性を示す。
図72は、ヘリックスを歪める(helix−distorting)か、または塩基特異的なヌクレアーゼが、特異的配列を含む多型性を検出するために、どのように使用され得るかを示す。
リコンビナーゼで被覆され、相同性を検索する核タンパク質フィラメントを形成する単鎖DNAが示される。矢印は、このような構造の相互作用を示し、この相同な二本鎖は、単一ヌクレオチド多型性(SNP)に関してそのプローブと同一であるか、または異なる(Gの代わりにA)かのいずれかである。両方の場合で、鎖交換は、首尾よく起こり、そして放出鎖は、単鎖DNA結合タンパク質によって安定化され得る。生じた新たな二本鎖は、完全に相補的であるか、または塩基ミスマッチを含むかのいずれかであり、それは、ヘリックスの局所的な変形(ゆがみ)を生じる。適切な構造特異的ヌクレアーゼの存在下で、変形を含むプローブ/鋳型は、ヌクレアーゼによって、おそらくいずれかの鎖でのニックまたは二重鎖切断のいずれかとして特異的に切断される。他の様式では、類似のアプローチは、プローブ内の修飾塩基(例えば、8−オキソグアニン)を含むことによって、多型性状態であろうとなかろうと関係なく、特異的の配列の存在または不在を検出するために使用されうる。この場合には、大腸菌Fpgタンパク質(8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼ)のような、8−オキソグアニンおよび二本鎖環境に特異的な塩基除去酵素および無塩基部位切断酵素を使用し得る。いずれの場合にも、プローブ分子は、切断で分離されるフルオロフォアと消光剤の両方を含みうる。
図73は、どのようにして二重標識蛍光オリゴヌクレオチドが、飽和リコンビナーゼおよび単鎖DNA結合タンパク質を欠く環境と比較して、RPA環境で異なる特性を示すかを示す。
左上で、RPA環境で使用されるタンパク質の存在または不在下でそれらのオリゴヌクレオチドの蛍光特性を調査する実験で使用されたこれらのプローブが示される。条件は以下のとおりであった:
50mM Tris(pH8.4)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
30mM クレアチンリン酸
100ng/μl クレアチンキナーゼ
200μM dNTP
示されるとおり120nMの各オリゴヌクレオチド
必要に応じて:
630ng/μl gp32
140ng/μl UvsX
35ng/μl UvsY
本発明者らは、オリゴヌクレオチドのみを含むFAMが、DNA結合タンパク質の存在下で僅かに消光され、同様に、フルオロフォアに密接に結合したタンパク質による蛍光のある程度の消光を示すことを観察する。しかし、明らかに対照的には、フルオロフォアと消光剤の両方を含有するオリゴヌクレオチドは、逆の現象を示し、そしてこれは、それらが、長さ10または15の残基であるかどうかによって、明らかに異なる。さらに特に、両方の後者のプローブは、タンパク質の不在下で明らかに消光され、ランダム・コイルの形成が、長さにかかわらず十分な消光を確保するという概念と一致する。しかし、タンパク質の存在下では、この消光は低減される。特に、15マーについての消光は、ほとんどなくなり、そしてそれは、タンパク質の存在下でオリゴヌクレオチドのみを含有するFAMの蛍光レベルに近いと想定する。逆に、10マーは、ほとんど影響されず、そして大きく消光されたままである。15マーに対する消光の減少は、DNA結合タンパク質の存在下で、プローブが、非常に堅いロッド(rod)に伸ばされるという示唆によって最も容易に説明される。例えば、UvsXおよびrecAは、単鎖DNAおよび二本鎖DNAを、等価なB形態のDNAの長さの約1.5倍に伸ばし、そして類似の伸長は、gp32について説明される。したがって、そして遊離溶液の挙動と対照的に、フルオロフォアと消光剤は、RPA環境で大きく分離され、DNA二本鎖ではよりいっそう分離され、さらにそしてハイブリダイゼーションでさらに消光される可能性がある(しかし、この実験では調査されない)。右側に、10マーおよび15マーのプローブが、リコンビナーゼ環境の不在下または存在下、および二本鎖DNAにハイブリダイズした場合に潜在的にどのようなの状態であるかを示す略図を供する。フルオロフォアと消光剤とをより大きな「励起」半径により示し、これらは重なったときに、十分な蛍光共鳴エネルギー移動、および蛍光発生の同時的な減少を導く。
図74は、テトラヒドロフラニル残基を含有するアンプリコン−プローブが、RPA増幅反応での大腸菌Nfo酵素についての基質になり、切断され、そして切断産物が伸長され得ることを示す。
Bacilus subtilisゲノムDNA特異的プライマーJ1およびK2(配列番号:66および配列番号:69)、入れ子プライマーNEST26(配列番号:77)およびビオチンおよびジゴキシゲニン標識プローブTHF−プローブ1(5’−ビオチン−CATGATTGGATGAATAAGCTGCAG−テトラヒドロフラン−TGATTAAAGGAAAC−DIG−3’配列番号:80)(これは、プローブ本体内にテトラヒドロフラニル残基も含有した)を使用して、RPA反応を確立した。このプローブは、J1およびK2プライマーによって増幅される断片に特異的であり、そしてNEST26プライマーの配列を重複する(これら全てのプライマーは、いずれかで検討される)。それ自身でノイズを発生しないプライマーであるNEST26が含まれ、その結果、より小さな入れ子産物(その末端の一方がそのプローブについての標的である)が発生される可能性があり、ちょうどその場合には、プローブは、二本鎖J1/K2アンプリコンへのプローブ浸入から生じるトポロジー的に拘束された環境できわめて不安定であった。反応は以下の条件を有した:
50mM Tris(pH7.9)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
25mM クレアチンリン酸
100ng/μl クレアチンキナーゼ
600ng/μl gp32
120ng/μl UvsX
30ng/μl UvsY
100μM dNTP
200nMのJ1プライマー、K2プライマー、およびNEST26プライマー
100nMプローブ
30ng/μl Bsuポリメラーゼ
1000コピー/μl B.subtilisゲノムDNA、または示されるとおりの水対照。
増幅反応物を、フェノール抽出、沈殿し、そして16.5%変性尿素−PAGEで分離した。分離した産物を、ナイロン膜に移動させ、そしてストレプトアビジン−HRP結合体を使用して産物を検出した。プローブの5’末端をビオチン化したので、これは、未切断、切断および伸長プローブの検出を可能にした。(A)遊離、およびプロセッシングされたプローブの検出。標的断片を増幅し得るRPA環境の存在下で、そのプローブは優先的に伸長された。伸長プローブのサイズは、J1/K2増幅産物の末端に対する伸長と一致し、そして、Nfo切断活性が3’−ヒドロキシルを生じ、次にプローブを「遮断解除(unblocking)」し、そして合成伸長を可能にする。さらなる伸長は、高濃度のNfo酵素が使用されたときに見られた。(B)では、この実験に使用されたプローブの構造が示される。それは、J1およびK2プライマーによって発生されたアンプリコンの一部に相同な配列を含むが、しかし、テトラヒドロフラニル残基を含み、そしてビオチンで5’末端を、そしてジゴキシゲニンで3’末端を標識された(それゆえブロックされている)。(C)では、プローブと所望のアンプリコンとの相互作用、遊離3’末端の切断およびそれに続くポリメラーゼ伸長を介して伸長した産物の生成の根底にあると考えられる事象の順序の概略が示される。この実験では、出発鋳型を欠く反応での見掛けの活性は、RPAの非常に高い感度により、本発明者らの実験室で問題になってきた現象である、先の実験室規模の実験から得たアンプリコンの持ち込み混入から生じると考えられる。支持する証拠は、続く図面で提供される。
図75は、テトラヒドロフラニル残基を含有するアプリコン−プローブが、RPA増幅反応での大腸菌Nfo酵素に対する基質になり、切断され、この切断産物が伸長され得ることを示す。
これらの実験では、テトラヒドロフラニル残基含有アンプリコン特異的プローブの切断および伸長が、特異的であり、そして反応中でのその標的配列の存在に依存し、そしてまた、ブローブ標的と重複する遊離末端を有すること(プローブ/標的組換え中間体の位相的な変形を避けるために)は必須でないという証拠が示される。(A)では、反応設定を、概略的に描く。プライマーJ1、K2、L2、NEST26(配列番号:66、69、71、および77)およびプローブによって標的にされたBacilus subtilis遺伝子座を描いた(実際の配列は、図42Bで示される)。通常は、プライマーJ1およびK2は、この遺伝子座を増幅するために日常的に使用され、したがって、原則的な実験室での混入は、これらの2つのプライマーによって生じる断片である。したがって、本発明者らもまた、数回の実験でJ1とL2とを組み合わせ、この断片を、先のアンプリコンからの持ち込み混入に由来する増幅に供さなかった。(B)では、添加した出発鋳型(ゲノムDNA)の存在下、または不在下での、RPA反応がJ1/K2産物、またはJ1/L2産物のいずれかを増幅するように構成された実験の結果が示される。その反応に含まれるのは、プローブおよび大腸菌Nfoタンパク質である。さらに詳細には、以下の条件を使用した:
50mM Tris(pH7.9)
80mM 酢酸カリウム
10mM 酢酸マグネシウム
2mM DTT
5% PEG化合物(Carbowax−20M)
3mM ATP
25mM クレアチンリン酸
100ng/μl クレアチンキナーゼ
600ng/μl gp32
120ng/μl UvsX
30ng/μl UvsY
100μM dNTP
200nMのJ1プライマー、200nMのK2またはL2プライマー、および200nM NEST26プライマー(レーン1−4);レーン5および6では、J1およびL2プライマーは、300nMであり、そしてNEST26を使用しなかった。
120nM プローブ
30ng/μl Bsuポリメラーゼ
1000コピー/μl B.subtilisゲノムDNA、または示される水対照
増幅反応物を、フェノール抽出、沈殿し、そして16.5%変性尿素−PAGEで分離した。分離した産物を、ナイロン膜に移動させ、そしてストレプトアビジン−HRP結合体を使用して産物を検出した。プローブの5’末端をビオチン化したので、このことは、未切断、切断および伸長プローブの検出を可能にした。(A)遊離、およびプロセッシングされたプローブの検出。標的断片を増幅し得るRPA環境の存在下で、そのプローブは、優先的に伸長されたことに注目する。明らかな伸長が、J1/K2プライマーの対について、標的が添加されない場合に起こる(混入によると思われる)一方で、J1/L2プライマー対が使用されるときに、これが起こらない(非常にかすかなバンドはサンプル交差ローディングのアーティファクトであると思われる)ことにも注目べきである。結局、本発明者らは、プローブ切断/伸長が、特異的な事象であることを推定する。さらに、鋳型J1/K2サンプルなしでの明らかな信号は、その系が、おそらく持ち込み混入から生じる、きわめてわずかな標的に対してでさえ応答性が高いことを示唆する。(C)では、J1とL2プライマーが、標的DNAなしか、またはマイクロリットル当たり1000コピーでの標的DNA(ゲノムDNA)を有するサンプルによりプローブと組合わせて使用された類似の実験の結果が示される。オリゴヌクレオチド濃度は以下の通りである:240nMでのJ1およびL2、ちょうど12nMでのプローブ、およびマイクロリットル当たり約1000ngのNfo酵素を使用した。他の条件は、パート(B)での実験について記述されるとおりである。サンプルを、所定の時間で取出し、そして停止した。サンプルを、フェノール抽出し、沈殿させ、そしてすでに示したとおり変性ゲルで泳動し、ナイロン膜に移動させ、そして上に記述されるとおり検出した。本発明者らは、切断/身長産物が、プローブが12nM程度に低い場合でさえ30分までに検出されうることに注目する。これは、これらの条件下でのNfo作用の反応速度が、リアルタイムで反応を良好にモニタリングするのに十分早いことを示唆する。
図76は、RPA反応のリアルタイム分析のために使用される可能性のある数種の有望な種類のプローブの全般的構造を示す。
RPAで使用するための二重標識プローブが、消光を可能にするのに比較的短い分離距離を必要とすることを示唆するデータを、THF残基含有プローブと二本鎖標的の間の中間体をプロセッシングする際の大腸菌Nfoタンパク質の有効な作用についての本発明者らの知見とを合わせることによって、本発明者らは、数個のプローブ構造を提案する。(A)および(B)では、本発明者らは、フルオロフォアと消光剤の両方が内部で存在し(塩基修飾を通して)、そしてそれらの間に、THF残基が配置されるプローブを示す。フルオロフォアと消光剤との分離は、その基の間の有効なFRETを確保するために10−12残基未満である。そのプローブは、適切な基で、3’末端でブロックされる。THF残基でのNfo酵素による切断は、フルオロフォアと消光剤の共有結合を排除し、最終的に、溶液の蛍光における増大をもたらす。(C)および(D)では、代替的配列が描かれる。この場合には、フルオロフォアまたは消光剤のいずれかは、プローブの3’末端に配置され、したがって伸長をブロックする。他の光吸収部分は、僅かに5’よりの内部連結を介して付着される。THF残基は、これらの2つの基の間に配置され、そして2つの光吸収基は、10−12未満の残基によって隔てられ、DNA結合タンパク質によって伸ばされたときにさえ良好なFRETを確保する。
(考察)
特定のDNA配列を増幅する、in vitro法に対する長く続く必要性が存在する。1980年代後半、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が、主にこの必要性を満たしてきた(R.K.Saiki et al.,Science 239,487−91(Jan 29,1988))。しかしながら、温度サイクル器具の必要性が、研究室の場面の外でのPCRの利用に対して、明らかな障壁となっている。本明細書で記述したように、本発明者らは、鋳型DNAの温度融解に対する必要性を取り除く、RPAと呼ぶ方法を開発した。RPAは、鋳型DNAに対するオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーションを媒介するための、決定的な規定条件下での、in vitroでバクテリオファージT4組換え/複製系の成分を組み合わせている。特に、バクテリオファージT4リコンビナーゼuvsX、単鎖DNA結合(SSB)タンパク質gp32、およびリコンビナーゼローディング因子uvsY、分子クラウディング剤とともに、忠実性の高い、in vitroリコンビナーゼ−媒介DNA標的化が可能になる。この標的化系を、大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtilis)PolIクラスの酵素によって媒介された、鎖置換DNA合成と組み合わせた場合、有効な指数関数的DNA増幅が達成される。
任意のオリゴヌクレオチド配列が、実質的に任意のDNA配列の増幅を可能にする、広い利用性をRPAに与える、相同性検索フィラメント(図37)を形成するリコンビナーゼによって覆われうる。この特徴が、他のin vitroDNA増幅方法に対してのPCRの主要な利点の1つであった(G.T.Walker,M.C.Little,J.G.Nadeau,D.D.Shank,Proc Natl Acad Sci USA 89,392−6(Jan 1,1992);D.Y.Zhang,M.Brandwein,T.Hsuih,H.B.Li,Mol Diagn 6,141−50(Jun,2001);M.Vincent,Y.Xu,H.Kong.EMBO Rep 5,795−800(Aug,2004);J.Compton,Nature 350,91−2(Mar 7,1991))。そのin vivoの役割と類似して、相同性検索フィラメントが、オリゴヌクレオチドの配列と相補的な配列に関して、二本鎖DNAをスキャンする(T.Yonesaki,Y.Ryo,T.Minagawa,H.Takahashi,Eur J Biochem 148,127−34 (Apr 1, 1985);T Shibata,C.DasGupta,R.P.Cunningham,C.M.Radding,Proc Natl Acad Sci USA 76,1638−42(Apr,1979))。合致を発見した場合、リコンビナーゼが、数個の反応を触媒し、プライマーがその相補鎖と対をなし、類似する「放出」鎖が置換され、リコンビナーゼが分離する。これによって、他の反応成分に対して接近可能な「D−ループ」構造が確立される。放出鎖が、交換された領域の両側に連結するので、遊離DNA末端から離れておこる交換事象によって、トポロジー的に歪んだ結合部が生成される(図37C)。
組み込まれた配列によって、不安定である、トポロジー的に拘束された中間体が作製される。DNA末端にて形成された結合部によって、置換された鎖の自由な回転が可能になる(P.W.Riddles,I.R.Lehman,J Biol Chem 260,165−9(Jan 10,1985))。これら2つの構造が異なる安定性を持つので、初期鎖侵入事象の伸長は、続くものよりも効果が少ない(図39B)。オリゴヌクレオチドの遊離3’末端が、大腸菌のクレノウ断片または枯草菌(Bacillus subtilis)DNAポリメラーゼI(Bsu)のような、鎖−置換DNAポリメラーゼによる合成を開始させる。ポリメラーゼの合成および鎖−置換活性が、二本鎖DNAおよび置換単鎖の生成をもたらす。この置換鎖は、直接的なハイブリダイゼーションおよび第二オリゴヌクレオチドの伸長によってか、または侵入事象がすでに反対の末端から起こっている場合には、鎖置換合成によって、のいずれかで複製される。2つの完全な娘二本鎖の発生によって、RPAの一ラウンドが完了する。侵入は、反応を最終的に支配している、末端標的化産物による先の合成反応の産物上で働き続ける。
本発明の方法の開発において、本発明者らは、数個の重要な条件が、最適なRPAが生じるために重要であることを発見した。第一に、飽和量の核酸融解タンパク質(特に、gp32のようなSSB)が、反応中に存在することが必要である。第二に、許容可能な侵入/鎖−交換速度を達成するために、十分な量のリコンビナーゼ負荷プライマーが存在することが必要である。最後に、リコンビナーゼ/単鎖DNAプライマーフィラメントが、動的であり、脱離可能であることが必要である。反応成分の競合する生化学的活性が存在する。たとえば、典型的なin vitro状態で、リコンビナーゼは通常、飽和量の、gp32のようなSSBsによって打ち負かされる。
この問題を克服するために、他の研究者らは、リコンビナーゼ/単鎖プライマーDNA相互作用を安定化する、ATP−γ−Sのような非加水分解性ATPアナログを使用してきた(S.C.Kowalczykowski,J.Clow,R.Somani,A.Varghese,J Mol Biol 193,81−95(Jan 5,1987);A.L.Eggler,S.L.Lusetti,M.M.Cox,J Biol Chem 278,16389−96(May 2,2003);T.Shibata,C.DasGupta,R.P.Cunningham,C.M.Radding,Proc Natl Acad Sci USA 77,2606−10(May,1980))。しかしながら、非加水分解性ATPアナログは、鎖−交換反応を完了し、ポリメラーゼをD−ループに接近可能であるために必要な、リコンビナーゼ/単鎖DNAプライマーフィラメントの動的な活性と不適合である(L.Xu,K.J.Marians,J Biol Chem 277,14321−8(Apr 19,2002);P.W.Riddles,,I.R.Lehman,J Biol Chem 260,170−3(Jan 10,1985);N.Armes,D.Stemple、PCT国際特許第WO03/072805号(ASM Scientific,Inc.,USA 2003))(図38)。
リコンビナーゼ/単鎖プライマーDNA相互作用を安定化させ得る他の方法が存在する。たとえば、uvsYと呼ばれる他のバクテリオファージT4タンパク質が、gp32被覆されたDNA上へのuvsXの負荷を補助することが知られている(L.D.Harris,J.D.Griffith,J Mol Biol 206,19−27(Mar 5,1989))。さらに、分子クラウディング剤もまた、大腸菌recAリコンビナーゼタンパク質の負荷および安定化を促進することが知られている(P.E.Lavery,S.C.Kowalczykowski,J Biol Chem 267,9307−14(May 5,1992))。したがって本発明者らは、uvsYおよび分子クラウディング剤が、動的、ATP−依存系中で、uvsXとgp32間の好ましくない競合を軽減し得るか否かを試験した。
反応成分の漸増によって、規定量のT4 gp32、T4 uvsX、T4 uvsY、ATPおよびPEGが、DNA増幅に必要であることが明らかになった(図38)。実際、T4 uvsYリコンビナーゼ媒介因子タンパク質およびPEG−化合物(Corbowax 20M)が、検出可能な増幅を達成するために必要である。gp32の濃度を減少させると、増幅効率が減じられ、反応産物のスミアとラダー化が発生する。リコンビナーゼuvsXタンパク質は、RPAに対して重要であり、反応速度が高濃度で加速されるが、このことはまたアーティファクトもまた増加させる(図39A)。ATPが反応に重要であり、本発明者らは、ATPの再生系が、ほとんどの反応に対して、産物の検出可能レベルに達するために必要であることを発見した。反対に、ATP−γ−Sは、増幅の強力な阻害剤である。
診断試験のような、日常的なDNA増幅の適用のための有用なツールとするために、RPAは、多様な配列標的に対して感度がよく、特異的であり、適用可能であるべきであり、また、十分な大きさの断片を増幅可能であるべきである。本発明者らはまず、産出可能である産物の大きさを調査した。大きさにして、1000塩基対までの増幅産物が、標準の反応条件を用いて増幅可能であった(図38A)。より大きな増幅産物がまた、RPAを用いて産出しうる。
本発明者らは、入れ子なしの単一段階RPA反応、およびアガロースゲルの従来の臭化エチジウム染色による産物の検出を用いて、もっともストリンジェントな条件下でRPAの感度を試験した。数個の独立したプライマー/標的のセットで、本発明者らは従来のように、10コピー未満の開始二本鎖鋳型を検出した。本発明者らは、もっとも低い検出可能なコピー数での実験間で変化を観察したが、すべての試みが、10コピー未満を検出することにおいて成功した。適切な試料操作にて、RPAが、単一反応において、単一分子から検出可能なレベルまで増幅するために使用可能である。この可能性を探索するために、本発明者らは、数コピーのみが残るまで希釈した、ヒトDNAからの、多型試料タンデムリピート(STR)マーカーを増幅した。本発明者らは、試料DNA中に存在する両方の可能な別々の対立遺伝子に相当する、多数の増幅された産物を産出した(図39E、F)。この対立遺伝子分離効果によって、RPAが、単一分子感度を持ち、したがって、多くの他のDNA増幅方法の感度を超えていることが示される。
増幅された産物の量の解析によって、RPAが、少量の出発鋳型から、1011〜12倍まで、DNA試料を日常的に増幅しうることが示される。最終的な産物レベルは、典型的には、10〜250nMの範囲であり、最も感度の悪い検出プロトコールのためにも十分すぎる量のDNAを生成する。増幅反応の特異性を評価するために、本発明者らは、多くのプライマー対(ほとんどがヒトDNA配列に指向されるもの)を解析した。それぞれのプライマー/鋳型のセットに関して、本発明者らは、予想された産物の大きさ、制限酵素消化パターン、または増幅が特異的であることを示す産物DNA配列を試験した。本発明者らは、本発明者らのデータのもっともよい解釈のために、試料DNAからの、非標的配列の増幅は観察しなかった。本発明者らが観察したアーティファクトは、産物またはプライマーに関連するものである(図39A)。
しばしば診断の場面において、試料中に存在する多量の非標的DNAから、特異性の問題が生じる。たとえば、病原体検出において、血液試料からのヒトDNAが、病原体DNAの検出を干渉しうる。したがって、本発明者らは、多量の無関係なDNA中の、標的DNAの痕跡量を検出するために努めた。本発明者らは、RPAが、1μgのヒトDNAの存在下(すなわち、量にして、ヒトDNAに対して、枯草菌DNAが10倍分の1である)、100コピーの枯草菌DNAから検出可能なレベルまで、標的を増幅可能であったことを発見した。そのような多量の試料DNAにて、本発明者らは、許容可能な反応速度を達成するために、過剰な競合DNAなしでの等価の反応と比較して、uvsXおよびuvsYのレベルを増加させなければならないことを発見した。このことがおそらく、相同性−検索成分の(漸増不足)による。
数組の異なるプライマー/鋳型のセットでの経時的実験にて、本発明者らは、増幅速度が、産物の長さに部分的に依存することを発見した。しかしながら、150〜400塩基対の範囲の断片に関しては、ほとんど同様の速度が観察され、20分以内に、数百から数千の開始コピーから、ゲル検出可能なレベル(〜1012コピー)まで増幅することを可能にする。本発明者らは、本発明者らが、そのような断片に対して、平均して、30秒以下まで、平均「サイクル」時間を減少可能であったことを推定している。最適な短い標的配列と、感度よい検出方法を用いて、本発明者らは、診断増幅/検出アッセイを、1時間以内に良好に実施可能であったと期待する。本発明者らの研究によって、複合試料中の多数の任意のDNA標的に関して、高品質プライマー対が簡単に設計可能であることを示している。本発明者らは、最小オリゴヌクレオチド長を扱い、30ヌクレオチドより小さなオリゴヌクレオチドは十分にDNAを増幅しないが、30〜35ヌクレオチド長は、よいプライマーであり、簡単な合成に十分な長さであることを発見した(図40)。
本明細書で示したように、RPAは、特定のDNA配列を増幅するための、優れた一般的な方法である。本発明者らは、RPA反応を、マイナーグローブ結合色素を用いて、リアルタイムでモニタ可能であり、開始標的コピー数を評価する優れた能力を示している。さらに、多数の標的を、同時に増幅可能であり、配列−特異的リアルタイムセンサー(「第三プローブ」)を、反応環境中に簡単に組み込むことができる。本発明者らは、fpg、NthおよびとりわけNfoのようなDNA修復酵素が、RPA反応中で機能し、好適なプローブと組合せて、配列特異的な様式で、反応の挙動のリアルタイム評価が可能であることを同定し、示した。本発明者らは、蛍光に基づくプローブ系が、従来のPCR反応環境に対して、RPA反応中環境中で明らかに異なる特性を示すか、または同様であることを示している。最後に、本発明者らの初期実験によって、従来の保存および再構築のために、RPA反応の成分を凍結乾燥することが簡単であることが示唆されている(図40)。一定の低温で確実に動作する、この方法を、簡便な保存のために、凍結乾燥可能であり、高感度のための温度サイクリングまたは融解の必要がなく、他の複雑な操作も必要なく、リアルタイムで簡単にモニタリング可能であり、DNA診断、法医学、および他の使用時適用の開発において、有意な突破口を提供する。いったん、持ち運び可能な試料DNA抽出および産物検出システムと統合したならば、RPAは、種々の病原体(たとえば、クラミジア(Clamydia)またはMRSA)に対する簡単に使用できる臨床または家庭用試験キット、ならびに他の適用のための野外キットを可能にするに違いない。
本発明の1つまたはそれ以上の実施様態の詳細は、以上の付加する記述で列記されている。本明細書で記述された同様の、または等価の任意の方法および物質を、本発明の実施または試験にて使用可能であり、好ましい方法および物質がここに記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は、記述および請求項より明らかであろう。
本明細書および付加する請求項において、単数形態には、内容が特に他に明らかな指摘しない限り、複数の参照が含まれる。他の定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同様の意味を持つ。他の言及されない限り、本明細書で使用されるか、または企図される技術は、当業者によく知られている標準の方法である。本明細書で引用されたすべての特許、特許明細書および発行物は、本明細書で参考として援用される。
図1は、RecA/プライマー負荷の略図である。 図2Aは、リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(lsRPA)の連続的な工程の概略図である(パネル(A)において示される)。 図2Bは、リーディング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅(lsRPA)の連続的な工程の概略図である(パネル(B)において示される)。 図3Aは、リーディング鎖およびラギング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅の連続的な工程の概略図である(パネル(A)において示される)。 図3Bは、リーディング鎖およびラギング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅の連続的な工程の概略図である(パネル(B)において示される)。 図3Cは、リーディング鎖およびラギング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅の連続的な工程の概略図である(パネル(C)において示される)。 図3Dは、リーディング鎖およびラギング鎖リコンビナーゼ−ポリメラーゼ増幅の連続的な工程の概略図である(パネル(D)において示される)。 図4は、ネステッドRPAのために選択されるネステッドプライマーの例を示す。 図5は、好適な二本鎖鋳型核酸の例を示す。 図6Aは、標的核酸とのハイブリダイゼーションにおけるRPAプライマー対の種々の方向を、パネル(a)において示す。図6Bは、標的核酸とのハイブリダイゼーションにおけるRPAプライマー対の種々の方向を、パネル(b)において示す。 図7Aは、進行中のRPA反応の概略図を、パネル(A)において示す。図7Bは、進行中のRPA反応の概略図を、パネル(B)において示す。図7Cは、進行中のRPA反応の概略図を、パネル(C)において示す。 図8A〜Cは、(A)二本鎖プライマーの例;(B)プライマー対の第二のメンバーの伸長後およびアニーリング後の二本鎖プライマー;(C)非侵入鎖が置換されたプライマー対の第二のメンバーの伸長後を示す。 図9は、二本鎖DNA標的および標的にするオリゴヌクレオチドの性質についての調査を示す。スーパーコイル鋳型または線状DNAのいずれかを使用する実験は、recAが、スーパーコイルDNAにおいてかまたは線状DNAの末端において最も敏速にポリメラーゼ伸長を支持し得る中間体の形成を触媒することを示唆する。Tester3bioオリゴヌクレオチド(配列番号19)が示される。 図10は、バックファイアー合成を示す。好適なポリメラーゼおよびdNTPの存在下で、5’オーバーハングを有するrecA被覆された標的オリゴヌクレオチドが二重鎖DNA末端に侵入するときに、バックファイアー合成が起こる。この新たな二重鎖領域は、その後の分枝の移動に対して安定であり、他の活性についてのプラットフォームとして使用され得る。侵入オリゴヌクレオチドからの伸長であるフォワードファイアーもまた、起こり得る。 図11は、バックファイアー合成の使用を示す。バックファイアー合成は有用であり得る。なぜなら、バックファイアー合成は、通常のオリゴヌクレオチドプライミングとは異なる用途に使用され得る、分枝の移動に耐性な構造を生成するからである。本明細書中にいくつかの例が示される。この例としては、連続的な侵入/合成/切断事象による、ニック形成酵素標的部位の導入、RNAポリメラーゼプロモーターの導入、および短いdsDNAフラグメントの線状生成が挙げられる。 図12は、一本鎖結合タンパク質がリコンビナーゼの侵入およびプライマー伸長を促進することを示す。大腸菌SSBおよびN末端のヒスタグを有するT4 gp32(gp32(N))はいずれも、線状DNA鋳型においてrecA媒介性の侵入/伸長を刺激する。 図13は、線状の鋳型の末端標的化の間の、侵入および伸長のための最小オリゴヌクレオチド長またはオーバーハングに対する要求量を示す。侵入するオリゴヌクレオチドが線状化された鋳型の末端において標的化される場合、最小のオリゴヌクレオチド長またはオーバーハングが、侵入/伸長が起こるために必要とされる。 図14は、並行接合およびらせん接合を示す。DNA末端または組み込まれる配列が関与する組み換え事象による、並行接合およびらせん接合の形成の概略図である。 図15は、クラウディング剤の効果を示す。クラウディング剤は、反応挙動を改変し得る。ポリエチレングリコール、gp32(N)およびrecAリコンビナーゼの存在下では、標的オリゴヌクレオチドにおける5’オーバーハングを必要とすることなく、複数の侵入事象が単一鋳型上で刺激され得る。 図16は、リーディング鎖RPAを使用する末端標的化増幅を示す。末端指向オリゴヌクレオチド、recA(C)タンパク質、および大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ(Klenow)断片を使用する、標的DNAの増幅である。 図17は、リーディング鎖RPAおよびクレノウ連続的合成能の制限を示す。0.5fmolのみの開始時の鋳型がrecAタンパク質、gp32(N)および大腸菌のクレノウ断片と一緒に使用された場合の、ほぼ300塩基対のフラグメントの制限された増幅である。より短い産物が多く蓄積することは、クレノウ(10〜50ヌクレオチド)の乏しい連続的合成能が、反応の鋳型濃度依存性の根底にあり得ることを示唆する。 図18は、RPAプライマーの空間依存性を示す。大腸菌DNAポリメラーゼIを使用する場合には、RPAのための最適のオリゴヌクレオチド間長さが存在する。鋳型配列(配列番号)およびEcoRIオーバーハング配列(配列番号124)が示される。 図19は、大規模に二本鎖になっているRPA産物を示す。RPA反応は、アガロースゲル電気泳動および制限酵素切断によって証明されるように、二本鎖DNA産物を生成し得る。 図20は、recA C末端切断変異体の活性を示す。C末端酸性ペプチドの欠失を有する変異recAタンパク質(recA(C)Δ)は、線状の鋳型ラン−オンアッセイにおける鎖交換および伸長を促進し得る。 図21は、改変gp32タンパク質を示す。本研究において使用されるバクテリオファージT4 gp32タンパク質、ならびに種々の改変位置および変異位置についての模式図を示す。 図22は、gp32タンパク質の活性を示す。改変したgp32タンパク質は、線状侵入/ラン−オンアッセイにおいて種々の活性を示す。 図23は、uvsXを使用する侵入および伸長を示す。C末端ヒスタグを有する改変したuvsXタンパク質(uvsX(C))、またはC末端の酸性ペプチドの欠失をさらに有するものは、線状の鋳型のラン−オンアッセイにおいて侵入/伸長を刺激する。 図24は、uvsX(C)を使用するRPAを示す。改変したリコンビナーゼuvsX(C)は、gp32(N)、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、およびポリエチレングリコール(PEG)の存在下でDNA増幅を支持し得る。 図25は、改変したgp32を野生型に対して示す。gp32の改変したバージョンのgp32(C)は、未タグの野生型gp32とは定性的に異なっている。 図26は、gp32の漸増およびuvsYの作用を示す。gp32の漸増は、非タグのgp32が使用される場合の、最少量のgp32についての要件およびuvsY(N)タンパク質についての要件を、明らかにする。 図27は、反応速度およびノイズに影響する要因を示す。反応挙動、特に、反応速度およびノイズに影響を与える要因の模式図を示す。gp32、uvsX、UvsYおよびPEGの予想される効果および相互作用が示され、結論として、反応速度とノイズとの間の最適な平衡が突き止められるはずである。 図28はPEGの効果を示す。PEGはgp32(C)の存在下でのuvsX媒介性の線状ラン−オン実験において、線状の侵入/ラン−オン産物の平均長を低下させ得る。 図29は、DNA末端指向性侵入を示す。末端指向性侵入事象の可能性のある結果を描いた模式図が示される。 図30は、複合サンプル中のRPAを示す。ヒトゲノムDNAからの特異的DNA標的の増幅である。 図31はRPA感度を示す。ヒトゲノムDNAからの特異的DNA標的の増幅の感度である。 図32は、RPA感度および鋳型非依存的なアーティファクトを示す。ヒトゲノムDNAからの特異的DNA標的の増幅感度、および競合性の鋳型非依存的プライマーアーティファクトの存在を示す。 図33は、プライマーアーティファクトが起こり得る方法を示す。プライマーアーティファクトが起こり得る、可能性ある機構の模式図が示される。 図34は、プライマーアーティファクトの抑制を示す。プライマーアーティファクトを抑制するための方法を模式的に示す。 図35は、被置換鎖の自己プライミングを刺激するためのヘアピンオリゴヌクレオチドの使用を示す。被置換鎖の自己プライミングを刺激するために、自己相補的なヘアピンオリゴヌクレオチドを意図的に使用した増幅の模式図を示す。 図36は、複合DNA供給源からの高効率のノイズ無しの増幅を可能にする条件を示す。プライマーアーティファクトを低減するかまたは除く最適化した条件の下での、ヒトゲノムDNAからの特異的DNA標的の増幅感度。 図37は、(A)、(B)および(C)に示されるようにRPA方法の模式図を示す。 図38は、以下を示す:(A)RPA条件C4を使用した7つの独立したマーカーに対するプライマー対を用いて増幅した、2人の個体(1および2、父親と息子)由来のSTRマーカー;(B)インビトロ増幅を支持する濃度を決定するための、反応成分の漸増。 図39は、以下を示す:(A)RPA反応のサイズ限界;(B)組み込まれた配列または末端配列からの伸長効率;(C)RPA反応の感度;(D)条件C2を使用して300bpのフラグメントを生成するプライマーApoB4およびApo300を用いて増幅した、示されるコピー数のヒトDNA;(E)、(F)プライマーD18S51 5’およびD18S51 3’を用いて増幅した、一人の個体からのヒトDNA。使用した条件は(E)においてはC2であり、(F)においてはC4であった。 図40は、以下に関するRPA反応の特異性を示す:(A)プライマーBsA3およびBsB3、これらは条件C3を使用して380bpのフラグメントを増幅する。アスタリスクは予想される反応産物の位置を示し、矢印はゲノムDNAの位置を示す;(B)、(C)条件C4を使用して345bpのフラグメントを生成するオリゴヌクレオチドApo600bioおよびApo300rev;(D)示される成分PEGおよびバッファーの非存在下で組立た反応成分の混合物。使用したプライマーを示す。標的DNAは150コピー/μlのヒト男性のゲノムDNAであった;(E)示されるように25塩基、28塩基または32塩基の重なり合うプライマー対を使用してインキュベートした、ヒトゲノムDNAにおける3つの独立した遺伝子座を標的化するオリゴヌクレオチド。 低い標的コピー数でのプライマーノイズ。代表的RPA反応における標的の出発コピー密度を低下させた結果を示す。 候補フォワードプライマーおよび候補リバースプライマーの選択と、極めて低い出発コピー密度での結果を試験することとを合わせた、最適プライマーの選択(配列番号123) どれくらいのプライマーノイズで開始するかという理論的な考慮事項。 オリゴヌクレオチド改善ストラテジー(3つの一般的スキームの概要)。 プライマーを減らした結果(短いプライマーは、より少ない産物を与えるが、30未満の残基でも依然として活性を保持し得る)。 ロックされた核酸は、RPAにおいて機能し得、そして産物蓄積、ノイズ蓄積およびポリメラーゼ濃度の必要要件において有意差を示し得る。 ホモポリマー伸長鎖をプライマーの5’末端に付加することは、核タンパク質活性を変更し得る。 ベタインは、産物およびノイズのレベルを低下させる。 差示的な活性を有する核タンパク質フィラメントを合わせる組合せストラテジー。 産物富化のための「第3の」プライマーを組み込んでいる検出フォーマット。 ビーズ捕獲I。第3のプローブが、標的からの真の産物を濃縮する実験ストラテジーの概略図。 ビーズ捕獲II。固体支持体に固定された低活性核タンパク質フィラメントが第3のプライマーとして参加し得、そして標的アンプリコンをプライマーノイズから切り離し得ることを証明している実験結果。 トレハロースは凍結乾燥物を安定化させ、緩衝化されたサンプル以外のすべての成分を室温で少なくとも10日間活性のままにし得る。 副溝結合色素であるSYBR緑およびSYBR金は、RPA反応に含まれ得、そしてDNA反応産物の蓄積を検出する。 SYBR緑色素を使用して、Bacillus subtilisゲノムDNAコピー数の定量的評価を4オーダーの大きさにわたって行い得る。 SYBR緑色素を使用して、Bacillus subtilisゲノムDNAコピー数の定量的評価を、少なくとも5オーダーの大きさにわたって行い得る。 定量的リアルタイムRPAは、ヒトゲノムDNAの漸増に素晴らしく応答する。 不完全なプローブ:標的ハイブリッドにおける一本鎖バブルの存在は、動的組換え環境における二重鎖破壊全体の増強をもたらす。 動的組換え環境における潜在的な長さの多型プローブのアレイに対するアンプリコンのハイブリダイゼーションは、古典的ハイブリダイゼーションまたは非動的組換え環境と比較して、完全な、または完全に近いマッチのハイブリッドの富化をもたらす。 単一チューブ逆転写RPA(RT−RPA)は、大した最適化のない高感度を示す。 dUTPはRPA反応に含まれて、dTTPと完全または部分的に置き換わり得、従って、有効なキャリーオーバー混入コントロールを開発する機構を提供し得る。 RPA反応におけるキャリーオーバー混入を制御するためのストラテジー。 成功裏の増幅を検出するための使い捨て増幅ポーチおよび側方流動ストリップを備える、特定の核酸の存在を決定する、独立型RPAアッセイのフォーマット。 ヒトの血液の溶解物とのRPAの適合性は、複雑な試料調製が多くの試料について除去され得るという可能性を示す。 反応環境(塩およびPEG濃度)を最適化する際のリアルタイムRPA分析の有用性。 反応環境(マグネシウム濃度)を最適化する際のリアルタイムRPA分析の有用性。 プライマー配列は、増幅速度挙動に影響を及ぼす(事前分析は、「速い」プライマーが、低いG含量および高いC含量またはC/T含量と関係し得ることを示唆する。 反応環境を最適化する際のリアルタイムRPA分析の有用性:オリゴヌクレオチドに付加された異種5’配列は、反応挙動に影響を及ぼす。 反応環境を最適化する際のリアルタイムRPA分析の有用性;オリゴヌクレオチドに付加された異種5’配列は、反応挙動に影響を及ぼす(すべてのピリミジン高含有5’配列が優れた反応速度挙動を駆動するというわけではない)。 反応環境を最適化する際のリアルタイムRPA分析の有用性;オリゴヌクレオチドに付加された異種5’配列は、反応挙動に影響を与えた(すべてのピリミジン高含有5’配列が優れた反応速度挙動を駆動するというわけではない)。 いわゆる、「第3プローブ」は、RPA反応をモニターして特異性を増加させるために用いられ得る。標的およびプローブを含んでいる特定の二重鎖を連続合成するための候補酵素。 らせん変形および損傷塩基/脱塩基部位のような異常な特徴を認識する酵素は、プローブ/標的ハイブリッドを連続合成するために使用され得る。 蛍光プローブは、他の増幅反応において使用される標準環境と比較して、RPA環境における有意に異なる特性を実証する。 テトラヒドロフラニル残基を含んでいるプローブは、増幅された標的、大腸菌Nfo酵素およびポリメラーゼを含んでいるRPA環境において、効率的に切断され、伸長される。 テトラヒドロフラニル残基を含んでいるプローブは、増幅された標的、大腸菌Nfo酵素およびポリメラーゼを含んでいるRPA環境において、効率的に、迅速にかつ特異的に切断され、そして伸長される。 大腸菌Nfo酵素を使用しているリアルタイムRPA研究のためのプローブ計画の例。

Claims (28)

  1. 標的核酸分子のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    該標的核酸分子は、第1のDNA鎖および第2のDNA鎖を含み、
    該方法は、
    (a)リコンビナーゼ因子を核酸プライマーと接触させてリコンビナーゼ因子/核酸プライマー複合体を形成する工程であって、該リコンビナーゼ因子/核酸プライマー複合体は単鎖領域をその3’末端に含む、工程;
    (b)該リコンビナーゼ因子/核酸プライマー複合体を該標的核酸分子と接触させ、それにより該標的核酸分子の一部において二本鎖構造を形成する工程;
    (c)該核酸プライマーの3’末端を、1種類以上のポリメラーゼとdNTPとを用いて伸長させて、二本鎖核酸と、核酸被置換鎖とを生成する工程;ならびに
    (d)(b)および(c)を、所望の増幅度に達するまで反復することを介して、該反応を継続する工程
    を含み、ここで、
    該標的核酸分子の一部は該核酸プライマーの配列に対して相同な配列からなり、そして、該方法は、工程(b)および(c)において、1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%のポリエチレングリコール(PEG)の存在下において実施され、該1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%のPEGの存在が増幅を刺激する、方法。
  2. 前記PEGPEG1450、PEG8000、PEG10000、15,000〜20,000ダルトンの分子量を有するPEG化合物、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(b)および(c)がアクセサリー因子の存在下で実施され、該アクセサリー因子が、単鎖結合タンパク質、ヘリカーゼ、リゾルベース、RuvA、RuvB、RuvC、RecG、PriA、PriB、PriC、DnaT、DnaB、DnaC、DnaG、DnaXクランプ負荷体、ポリメラーゼコア複合体、DNAリガーゼ、スライディングクランプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記アクセサリー因子が、単鎖結合タンパク質、ヘリカーゼ、リゾルベースおよびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記アクセサリー因子が、単鎖結合タンパク質、RuvA、RuvB、RuvC、RecG、PriA、PriB、PriC、DnaT、DnaB、DnaC、DnaG、DnaXクランプ負荷体、ポリメラーゼコア複合体、DNAリガーゼ、スライディングクランプおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
  6. 前記核酸プライマーが、DNA、RNA、PNA、LNA、モルホリノ主鎖核酸、ホスホロチオレート主鎖核酸、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記方法がリコンビナーゼ因子/核酸プライマー複合体安定化因子の存在下で実施され、該リコンビナーゼ因子がRecAであり、そして、該核酸プライマーがssDNAである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記安定化因子が、RecR、RecO、RecFおよびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記方法がgp32、大腸菌SSBタンパク質、T4 gp32タンパク質、およびgp32の誘導体からなる群より選択される単鎖安定化因子の存在下で実施され、該gp32の誘導体が、N末端にタグを有するgp32、C末端にタグを有するgp32、リシンではないアミノ酸による3位のリシンの置換を有するgp32、およびアルギニンではないアミノ酸による4位のアルギニンの置換を有するgp32、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記リシンではないアミノ酸がアラニンであり、そして、前記アルギニンではないアミノ酸がグルタミンまたはトレオニンである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記方法がリコンビナーゼ負荷タンパク質の存在下で実施され、該リコンビナーゼ負荷タンパク質が、T4 uvsY、大腸菌recO、大腸菌recRならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記リコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法が前記リコンビナーゼ因子の補因子をさらに含み、該補因子が、ATP、ATP−γ−S、ATP−β−S、ddATP、およびその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記リコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法がADPをATPに変換するためのATP再生系をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ATP再生系が、クレアチンリン酸およびクレアチンキナーゼを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記リコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法がピロリン酸塩をリン酸塩に変換するためのピロホスファターゼをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記1種類以上のDNAポリメラーゼが、原核生物のポリメラーゼ、真核生物のポリメラーゼおよびファージにコードされたポリメラーゼからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記真核生物のポリメラーゼが、pol−α、pol−β、pol−δ、pol−εならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記原核生物のポリメラーゼが、大腸菌DNAポリメラーゼIクレノウ断片、バクテリオファージT4 gp43 DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus ポリメラーゼIラージフラグメント、φ−29 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Bacillus subtilis Pol Iラージフラグメント(Bsuポリメラーゼ)、大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAポリメラーゼII、大腸菌DNAポリメラーゼIII、大腸菌DNAポリメラーゼIV、大腸菌DNAポリメラーゼVならびにそれらの組合せからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記リコンビナーゼ因子が温度感受性であり、該温度感受性リコンビナーゼ因子は、許容温度で鎖侵入活性を有するが、非許容温度では鎖侵入活性を有さない、請求項1に記載の方法。
  20. ネステッドリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)請求項1に記載のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法を用い、第1のプライマーおよび第2のプライマーを用いてDNAの一領域を増幅し、第1の増幅産物を生成させる工程;
    (b)第3のプライマーおよび第4のプライマーを用い、請求項1に記載のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法を用いて該増幅産物を増幅し、第2の増幅産物を生成させる工程であって、該第2の増幅産物は、該第1の増幅産物内に含まれる、より短い配列である、工程;
    を含む、方法。
  21. 前記dNTPのうちの少なくとも一部または少なくとも1つのプライマーが、検出可能なマーカーで標識されている、請求項1に記載の方法。
  22. 前記標識が、蛍光色素、酵素、蛍光消光剤、酵素阻害剤、放射性標識およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記リコンビナーゼ因子が、uvsXまたはT4 uvsXである、請求項1に記載の方法。
  24. 請求項1に記載のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)以下の試薬
    (1)少なくとも1種類のリコンビナーゼ;
    (2)少なくとも1種類の単鎖DNA結合タンパク質;
    (3)少なくとも1種類のDNAポリメラーゼ;
    (4)dNTP、またはdNTPとddNTPとの混合物;
    (5)PEG
    (6)バッファー;
    (7)還元剤;
    (8)ATP、ATP−γ−S、ATP−β−SまたはddATP;
    (9)少なくとも1種類のリコンビナーゼ負荷タンパク質;
    (10)第1のプライマー、および任意選択の第2のプライマー;ならびに
    (11)標的核酸分子
    を反応物中で合わせる工程;ならびに
    (b)該反応物を所望の増幅度に達するまでインキュベートする工程
    を含み、1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%のPEGが増幅を刺激する、方法。
  25. 請求項1に記載のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)以下の試薬
    (1)0.2〜12μMの濃度のuvsXリコンビナーゼ;
    (2)1〜30μMの濃度のgp32単鎖DNA結合タンパク質;
    (3)50〜5000単位/mlの濃度のT4 gp43 DNAポリメラーゼまたはBsuポリメラーゼ;
    (4)1〜300μMの濃度のdNTP、またはdNTPとddNTPとの混合物;
    (5)1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%の濃度のポリエチレングリコール;
    (6)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;
    (7)1mM〜10mMの濃度のDTT;
    (8)1mM〜10mMの濃度のATP;
    (9)0.2μM〜8μMの濃度のuvsY;
    (10)第1のプライマー、および任意選択の第2のプライマーであって、該第1のプライマーおよび第2のプライマーは50nM〜1μMの濃度である、プライマー;ならびに
    (11)少なくとも1コピーの標的核酸分子
    を反応物中で合わせる工程;
    (b)該反応物を所望の増幅度に達するまでインキュベートする工程
    を含み、
    該ポリエチレングリコールが増幅を刺激する、方法。
  26. 請求項1に記載のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)以下の試薬
    (1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;
    (2)600ng/μl gp32;
    (3)20ng/μlのBsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;
    (4)200μM dNTP;
    (5)1mM DTT;
    (6)3mMのATP、ATP−γ−S、ATP−β−SまたはddATP;
    (7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY;
    (8)300nMの第1のプライマーおよび300nMの第2のプライマー;
    (9)80mM 酢酸カリウム;
    (10)10mM 酢酸マグネシウム;
    (11)20mM クレアチンリン酸;
    (12)100ng/μlクレアチンキナーゼ
    を反応物中で合わせる工程;
    (b)該工程(a)の試薬を凍結乾燥して凍結乾燥試薬を形成する工程;
    (c)該凍結乾燥試薬を
    (1)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;
    (2)1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%の濃度のポリエチレングリコール;
    (3)標的核酸
    により再構成する工程;
    (d)該反応物を所望の増幅度に達するまでインキュベートする工程
    を含み、
    該ポリエチレングリコールが増幅を刺激する、方法。
  27. 請求項1に記載のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)以下の試薬
    (1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;
    (2)300〜1000ng/μl gp32;
    (3)10〜50ng/μlのBsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;
    (4)50〜500μM dNTP;
    (5)0.1〜10mM DTT;
    (6)3mMのATP、ATP−γ−S、ATP−β−SまたはddATP;
    (7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY;
    (8)50〜1000nMの第1のプライマーおよび50〜1000nMの第2のプライマー;
    (9)40〜160mM 酢酸カリウム;
    (10)5〜20mM 酢酸マグネシウム;
    (11)10〜40mM クレアチンリン酸;
    (12)50〜200ng/μl クレアチンキナーゼ;
    を反応物中で合わせる工程;
    (b)該工程(a)の試薬を凍結乾燥して凍結乾燥試薬を形成する工程;
    (c)該凍結乾燥試薬を
    (1)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;
    (2)1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%の濃度のポリエチレングリコール;
    (3)標的核酸
    により再構成する工程;
    (d)該反応物を所望の増幅度に達するまでインキュベートする工程
    を含み、
    該ポリエチレングリコールが増幅を刺激する、方法。
  28. 請求項1に記載のDNAを増幅するリコンビナーゼポリメラーゼ増幅方法であって、
    (a)以下の試薬
    (1)100〜200ng/μl uvsXリコンビナーゼ;
    (2)300〜1000ng/μl gp32;
    (3)10〜50ng/μlのBsuポリメラーゼまたはT4ポリメラーゼ;
    (4)50〜500μM dNTP;
    (5)0.1〜10mM DTT;
    (6)3mMのATP、ATP−γ−S、ATP−β−SまたはddATP;
    (7)16ng/μl〜60ng/μl uvsY
    (8)50〜1000nMの第1のプライマーおよび50〜1000nMの第2のプライマー;
    (9)40〜160mM 酢酸カリウム;
    (10)5〜20mM 酢酸マグネシウム;
    (11)10〜40mM クレアチンリン酸;
    (12)50〜200ng/μl クレアチンキナーゼ;
    (13)1重量%〜12重量%または1容量%〜12容量%の濃度のポリエチレングリコール
    を反応物中で合わせる工程;
    (b)該工程(a)の試薬を凍結乾燥して凍結乾燥試薬を形成する工程;
    (c)該凍結乾燥試薬を
    (1)1mM〜60mMの濃度のTris−酢酸バッファー;
    (2)標的核酸
    により再構成する工程;
    (d)該反応物を所望の増幅度に達するまでインキュベートする工程
    を含み、
    該ポリエチレングリコールが増幅を刺激する、方法。
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