JP2008018820A - 衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二次衝突時においてステアリングのストローク初期から終期まで一定の衝撃吸収荷重を発生させることで、衝撃吸収性能の低下を防止する衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】エネルギ吸収部材48は、固定部材42の車両前後方向の後方を向く曲面に沿うように所定の曲率で曲げ形成され、ステアリングコラムとともに移動部材32が車両前後方向の前方にストロークする際に塑性変形により衝撃荷重を吸収する曲げ変形部54を設けている。そして、曲げ変形部54が塑性変形する際に曲率が増大するのを防止する曲率増大防止部56を設けている。
【選択図】図8
【解決手段】エネルギ吸収部材48は、固定部材42の車両前後方向の後方を向く曲面に沿うように所定の曲率で曲げ形成され、ステアリングコラムとともに移動部材32が車両前後方向の前方にストロークする際に塑性変形により衝撃荷重を吸収する曲げ変形部54を設けている。そして、曲げ変形部54が塑性変形する際に曲率が増大するのを防止する曲率増大防止部56を設けている。
【選択図】図8
Description
本発明は、二次衝突時に運転者に加わる衝撃荷重を緩和する衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
衝突事故の際には、自動車が他の自動車等と衝突する一次衝突に続いて、運転者の身体がステアリングホイールに衝突する二次衝突が発生する。この二次衝突の際に運転者の身体に加わる衝撃荷重を緩和し、運転者の身体に重大な損傷を与えることを防止するものとして、衝撃吸収式ステアリングコラム装置が知られている。
従来の衝撃吸収式ステアリングコラム装置として、例えば特許文献1に示すように、二次衝突時に、ステアリングコラムが車両前後方向の前方にストロークすると同時に、塑性変形によって衝撃荷重を吸収するエネルギ吸収部材を備えた装置がある。
従来の衝撃吸収式ステアリングコラム装置として、例えば特許文献1に示すように、二次衝突時に、ステアリングコラムが車両前後方向の前方にストロークすると同時に、塑性変形によって衝撃荷重を吸収するエネルギ吸収部材を備えた装置がある。
特許文献1の装置は、図15に示すように、衝突事故の衝撃により車両前後方向の前方にストロークするステアリングコラムに固定されている移動部材160と、車体側部材に固定されて衝突事故の衝撃が入力しても車両前後方向に変位しない円筒形状の固定部材162と、金属線を曲げ形成したエネルギ吸収部材164とを備えている。エネルギ吸収部材164は、基部164aと、この基部164aに一体化された折り返し部164bとを備え、基部164aが移動部材160の係止部160aに掛け渡され、折り返し部164bが固定部材162の外周に掛け渡されている。そして、衝突事故に伴ってステアリングコラムが車両前後方向の前方にストロークすると、折り返し変形部164bが固定部材162の外周で扱かれて塑性変形することで衝撃吸収荷重が発生し、衝撃エネルギを吸収するようになっている。
特許第3389767号公報
ところで、上述した特許文献1の装置は、ステアリングコラムのストローク初期段階では、折り返し変形部164bが固定部材162の外周に沿った形状で塑性変形するので、一定の衝撃吸収荷重が発生する。しかし、ステアリングコラムのストローク中期以降の段階では、図15に示すように、折り返し変形部164bの曲率半径が増大していき、折り返し変形部164bが固定部材162の外周の一部に接触した状態で扱かれるので、衝撃吸収荷重が低下するおそれがある。そのため、特許文献1の装置は、ステアリングコラムのストローク初期から終期まで一定の衝撃吸収荷重が発生せず、衝撃吸収性能が低下する。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、二次衝突時においてステアリングコラムのストローク初期から終期まで一定の衝撃吸収荷重を発生させることで、衝撃吸収性能低下を防止可能な衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供することを目的としている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、二次衝突時においてステアリングコラムのストローク初期から終期まで一定の衝撃吸収荷重を発生させることで、衝撃吸収性能低下を防止可能な衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、内側にステアリングシャフトを回転自在に支持し、二次衝突時に車両前後方向の前方にストロークするステアリングコラムと、このステアリングコラムに固定されている移動部材と、車体側部材に固定されて二次衝突時の衝撃荷重が入力しても車両前後方向に変位しない固定部材と、前記移動部材及び前記固定部材の間に配置されたエネルギ吸収部材と、を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記エネルギ吸収部材は、前記固定部材の車両前後方向の前方又は後方を向く曲面に沿うように所定の曲率で曲げ形成され、前記ステアリングコラムとともに前記移動部材が車両前後方向の前方にストロークする際に塑性変形により前記衝撃荷重を吸収する曲げ変形部を設けているとともに、前記曲げ変形部が塑性変形する際に曲率が増大するのを防止する曲率増大防止部を設けていることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記エネルギ吸収部材は、金属線を折り曲げることで形成され、前記移動部材とともに車両前後方向の前方に変位するように係合する係合部と、この係合部から車両前後方向の後方に延在した位置で前記固定部材の前記後方を向く曲面に沿うように配置されている半円弧状の前記曲げ変形部と、この曲げ変形部から車両前後方向の前方に延在する直線部とを備え、前記曲率増大防止部は、前記曲げ変形部が塑性変形する際に、前記エネルギ吸収部材の前記係合部及び前記曲げ変形部の間の部位と、前記直線部及び前記曲げ変形部の間の部位とが互いに離間していかないように保持することを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置である。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、前記エネルギ吸収部材は、金属線を折り曲げることで形成され、前記移動部材及び前記固定部材の一方と係合する係合部と、前記移動部材及び前記固定部材の他方に設けられた曲面に沿うように配置されている半円弧状の前記曲げ変形部と、この曲げ変形部から車両前後方向に延在する直線部とを備え、前記曲率増大防止部は、前記曲げ変形部が塑性変形する際に、前記エネルギ吸収部材の前記係合部及び前記曲げ変形部の間の部位と、前記直線部及び前記曲げ変形部の間の部位とが互いに離間していかないように保持することを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置である。
この発明によれば、二次衝突時に、ステアリングコラムが車両前後方向の前方にストロークする際には、曲率増大防止部が、エネルギ吸収部材の曲げ変形部が曲率半径を増大しながら塑性変形するのを防止することから、曲げ変形部は固定部材の車両前後方向の後方を向く曲面に沿いながら扱かれて塑性変形し、一定の衝撃吸収荷重を発生することができるので、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1から図9を参照して本発明に係る第1実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置について説明する。
図1は、第1実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を自動車のステアリング装置に適用して車幅方向から示した図である。図2は、図1のA−A線矢視図である。図3は、本実施形態のチルト機構を示した図である。図4は、図3のB−B線矢視図である。図5は、本実施形態のエネルギ吸収部材の形状を示す図である。図6は、本実施形態のチルト機構に配置されているエネルギ吸収部材及び曲率増大防止部材を示す図である。図7は、本実施形態の曲率増大防止部材の形状を示す図である。図8は、本実施形態のエネルギ吸収部材の折り返し変形部が曲率を増大して塑性変形しようとするのを曲率増大防止部材が防止している状態を示す図である。図9は、本実施形態の装置におけるアウタコラムのストローク量と衝撃吸収荷重との関係を示したグラフである。
(第1実施形態)
先ず、図1から図9を参照して本発明に係る第1実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置について説明する。
図1は、第1実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を自動車のステアリング装置に適用して車幅方向から示した図である。図2は、図1のA−A線矢視図である。図3は、本実施形態のチルト機構を示した図である。図4は、図3のB−B線矢視図である。図5は、本実施形態のエネルギ吸収部材の形状を示す図である。図6は、本実施形態のチルト機構に配置されているエネルギ吸収部材及び曲率増大防止部材を示す図である。図7は、本実施形態の曲率増大防止部材の形状を示す図である。図8は、本実施形態のエネルギ吸収部材の折り返し変形部が曲率を増大して塑性変形しようとするのを曲率増大防止部材が防止している状態を示す図である。図9は、本実施形態の装置におけるアウタコラムのストローク量と衝撃吸収荷重との関係を示したグラフである。
図1のステアリング装置1は、円筒形状のステアリングコラム2と、このステアリングコラム2の内部を貫通するステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3の車両前後方向の後端に取り付けられて運転者から操舵力が作用されるステアリングホイール4と、ステアリングシャフト3の下端にユニバーサルジョイント5aを介して連結され、他端がユニバーサルジョイント5bを介してラック・ピニオン式のステアリングギヤ(図示せず)に連結されている中間シャフト6とを備えている。なお、ステアリングギヤには、タイロッド等を介して操舵輪が連結されており、ステアリングホイール4を操舵することで転舵輪を転舵することができる。
ステアリングコラム2は、ステアリングシャフト3を軸受(図示せず)を介して回動自在に保持するインナコラム7と、インナコラム7が摺動自在に内嵌するアウタコラム8とで構成されている。そして、アウタコラム8は、ロアブラケット9及びチルト機構10を介して車体側部材11に支持されている。
ステアリングコラム2は、ステアリングシャフト3を軸受(図示せず)を介して回動自在に保持するインナコラム7と、インナコラム7が摺動自在に内嵌するアウタコラム8とで構成されている。そして、アウタコラム8は、ロアブラケット9及びチルト機構10を介して車体側部材11に支持されている。
図2は、図1のA−A線矢視を示す図であり、ロアブラケット9は、アウタコラム8の上部に車両前後方向に延在して固定されたボックス形状の部材であり、車両前後方向に延在する一対の側板9aに、長軸方向が車両前後方向に延在するように長孔9bが形成されている。また、車体側部材11には連結ブラケット12が固定されており、この連結ブラケット12に装着した係合ボルト13がロアブラケット9の長孔9bに挿通されることで、ロアブラケット9と連結ブラケット12とが連結されている。
そして、二次衝突時にステアリングホイール4から車両前後方向の前方に向けて強い力が加わると、ステアリングコラム2のアウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークする。その際、アウタコラム8に固定されたロアブラケット9も車両前後方向の前方にストロークすると、車体側部材11に固定されている連結ブラケット12の係合ボルト13が、長孔9bの長軸方向にスライド移動することで、アウタコラム8の車両前後方向の前方のストロークをガイドする。
チルト機構10は、図3に示すように、車体側部材11に固定された支持ブラケット30と、アウタコラム8に固定されて支持ブラケット30に対して昇降自在に、係合ボルト13を揺動中心として揺動自在に結合されている昇降ブラケット32と、支持ブラケット30及び昇降ブラケット32の間に装着したエネルギ吸収部材48とを備えているとともに、図4に示すように、支持ブラケット30に対する昇降ブラケット32の結合・解除動作を行なうチルト操作部33とを備えている。
支持ブラケット30は、図4に示すように、互いに車幅方向に離間しながら車体側部材11に固定され、車両上下方向の下方に延在している1対の支持板部34と、長軸が略車両上下方向に延在するように1対の支持板部34に形成されている長孔35とを備えている。
支持ブラケット30は、図4に示すように、互いに車幅方向に離間しながら車体側部材11に固定され、車両上下方向の下方に延在している1対の支持板部34と、長軸が略車両上下方向に延在するように1対の支持板部34に形成されている長孔35とを備えている。
昇降ブラケット32は、図3及び図4に示すように、互いに車幅方向に平行に離間してアウタコラム8の下側に固定されており、支持ブラケット30の一対の支持板部34がそれぞれ当接する一対の当接板部36と、これら一対の当接板部36に車両前後方向の後方で開口しながら形成されている切り欠き37と、一対の当接板部36の下端同士に一体化されている底板部38から切り欠き37に対して車両前後方向の前方側で立ち上がっている係止板部39と、係止板部39の上部で車幅方向の一方及び他方に延在して設けられている吸収部材係合部40とを備えている。
また、チルト操作部33は、図4に示すように、昇降ブラケット32の切り欠き37及び支持ブラケット30の長孔35に挿通した頭部を有する円柱形状のチルトボルト42と、チルトボルト42の車幅方向の他方側の端部に螺合されているチルトナット44と、回転操作によりチルトナット44をチルトボルト42に締め付け、或いは緩めるチルトナット44と一体的に結合した操作レバー45とを備えている。そして、操作レバー45の反時計回りの回転によりチルトナット44を緩めると、チルトボルト42を支持ブラケット30の長孔35に沿って車両上下方向にスライドさせてステアリングコラム2の車両上下方向の位置を変更することができ、操作レバー45の時計回りの回転によりチルトナット44をチルトボルト42に締め付けることで、昇降ブラケット32が支持ブラケット30に結合されてステアリングコラム2の車両上下方向の位置が固定されるようになっている。
一方、支持ブラケット30と昇降ブラケット32との間に装着されているエネルギ吸収部材48は、断面形状が真円、楕円、多角形状からなる塑性変形自在な金属線(針金)の曲げ成形により形成されている。
このエネルギ吸収部材48は、図5に示すように、直線状の1本の金属線を直角に折り曲げてコ字状に形成した基部50と、この基部50から一方向に延在した部分を設け、この延在した部分から他方向へ折り曲げて直線状に延在している一対の直線部52と、基部50と一対の直線部52との間で半円弧形状に形成されている一対の折り返し変形部54とを備えている。
このエネルギ吸収部材48は、図5に示すように、直線状の1本の金属線を直角に折り曲げてコ字状に形成した基部50と、この基部50から一方向に延在した部分を設け、この延在した部分から他方向へ折り曲げて直線状に延在している一対の直線部52と、基部50と一対の直線部52との間で半円弧形状に形成されている一対の折り返し変形部54とを備えている。
上記構成のエネルギ吸収部材48は、図3及び図6に示すように、基部50が昇降ブラケット32の係止板部39に掛け渡され、一対の折り返し変形部54がチルトボルト42の車両前後方向の後方側の外周に掛け渡され、昇降ブラケット32の吸収部材係合部40と基部50との間にある一対の直線部52が吸収部材係合部40に接触した状態で装着されている。ここで、エネルギ吸収部材48の一対の直線部52の自由端は車両前後方向の前方を向いている。なお、図3及び図6では、基部50は、係止板部39の車両前後方向の前方を向く面に当接して車幅方向に延在し、係止板部39の車幅方向の両端部から車両前後方向の後方に向けて折れ曲がって掛け渡されているが、係止板部39に車幅方向に離間して2つの貫通孔を形成し、基部50の車両前後方向の後方に向けて折れ曲がった部位を、前記2つの貫通孔に通過させて掛け渡してもよい。また、基部50と昇降ブラケット32の係止板部39とを溶接などで固着してもよい。
ここで、本実施形態では、エネルギ吸収部材48が塑性変形する際に折り返し変形部54が曲率半径を増大するのを防止する曲率増大防止部材56を備えている。
この曲率増大防止部材56は、図7に示すように、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部58と、この連結部58から略V字状に突出して形成した一対のアーム部60a,60bと、一対のアーム部60a,60bの先端に形成され、連結部58の貫通孔が開いている方向と同一方向に延在している一対の規制棒62a,62bとで構成されている。
この曲率増大防止部材56は、図7に示すように、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部58と、この連結部58から略V字状に突出して形成した一対のアーム部60a,60bと、一対のアーム部60a,60bの先端に形成され、連結部58の貫通孔が開いている方向と同一方向に延在している一対の規制棒62a,62bとで構成されている。
そして、図6に示すように、連結部58の貫通孔にチルトボルト42を挿通して装着された曲率増大防止部材56は、一方の規制棒62aが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と直線部52との間の部位に上方から接触し、他方の規制棒62bが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と基部50との間の部位に下方から接触している。これにより、エネルギ吸収部材48が塑性変形する際に、一対の規制棒62a,62bに接触する部位が上方及び下方に変位して折り返し変形部54が曲率半径を増大しようとするのを、この一対の規制棒62a,62bで規制するようになっている。
ここで、請求項のステアリングコラムがアウタコラム8に対応し、請求項の移動部材が昇降ブラケット32の吸収部材係合部40に対応し、請求項の固定部材がチルトボルト42に対応し、請求項のエネルギ吸収部材の係合部が基部50に対応し、請求項の曲げ変形部が折り返し変形部54に対応し、請求項の曲率膨大防止部が曲率膨大防止部材56に対応する。
次に、本実施形態のステアリング装置1の動作について、図8及び図9を参照して説明する。
車両の衝突に伴って運転者がステアリングホイール4に二次衝突すると、ステアリングコラム2にはステアリングシャフト3を介して大きな衝撃荷重が加わる。
大きな衝撃荷重が加わったステアリングコラム2は、車両前後方向の前方にストロークして全長が縮まっていき、アウタコラム8は、車体側部材11に固定された連結ブラケット12にロアブラケット9がガイドされながら車両前後方向の前方にストロークし、昇降ブラケット32も、切り欠き47がチルトボルト42から離間していきながら車両前後方向の前方にストロークしていく。これに対して、車体側部材11に固定されている支持ブラケット30は、車両前後方向にストロークせず、そのままの位置に残る。
車両の衝突に伴って運転者がステアリングホイール4に二次衝突すると、ステアリングコラム2にはステアリングシャフト3を介して大きな衝撃荷重が加わる。
大きな衝撃荷重が加わったステアリングコラム2は、車両前後方向の前方にストロークして全長が縮まっていき、アウタコラム8は、車体側部材11に固定された連結ブラケット12にロアブラケット9がガイドされながら車両前後方向の前方にストロークし、昇降ブラケット32も、切り欠き47がチルトボルト42から離間していきながら車両前後方向の前方にストロークしていく。これに対して、車体側部材11に固定されている支持ブラケット30は、車両前後方向にストロークせず、そのままの位置に残る。
チルトボルト42は、支持ブラケット30とともに車両前後方向にストロークしないので、昇降ブラケット32の係合板部39に基部50が掛け渡され、チルトボルト42の外周に折り返し変形部54が掛け渡されているエネルギ吸収部材48は、図8に示すように、基部50側が車両前後方向の前方に引っ張られていく。
エネルギ吸収部材48の基部50側が車両前後方向の前方に引っ張られると、折り返し変形部54がチルトボルト42に扱かれ(つまり、折り返し変形部54が直線部52上を移動し)、エネルギ吸収部材48が塑性変形していくので、二次衝突時の衝撃エネルギが吸収されていく。
エネルギ吸収部材48の基部50側が車両前後方向の前方に引っ張られると、折り返し変形部54がチルトボルト42に扱かれ(つまり、折り返し変形部54が直線部52上を移動し)、エネルギ吸収部材48が塑性変形していくので、二次衝突時の衝撃エネルギが吸収されていく。
ここで、チルトボルト42に装着されている曲率増大防止部材56は、一方の規制棒62aが、折り返し変形部54と直線部52との間の部位を車両上下方向の上方から規制し(つまり、チルトボルト42から常に所定距離を保った状態で)、他方の規制棒62bが、折り返し変形部54と基部50との間の部位を車両上下方向の下方から規制し(つまり、チルトボルト42から常に所定距離を保った状態で)、チルトボルト42に扱かれている折り返し変形部54が曲率半径を増大しようとするのを防止する。
そして、アウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークし続けても、折り返し変形部54は、曲率増大防止部材56により曲率半径の増大が防止されてチルトボルト42に扱かれる領域が常に一定となる。すなわち、折り返し変形部54の曲率が常に一定、詳細には、車幅方向から見て、エネルギ吸収部材48及び一方の規制棒62aの接触点と、エネルギ吸収部材48及びチルトボルト42の接触点と、エネルギ吸収部材48及び他方の規制棒62bの接触点とのなす角が一定になる。このため、エネルギ吸収部材48の塑性変形量が減少しない。
図9は、アウタコラム8のストローク量と衝撃吸収荷重との関係を示したグラフであり、アウタコラム8のストローク量が増大しても、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54の塑性変形量が減少しないので、一定の衝撃吸収荷重が発生する。
したがって、曲率増大防止部材56により折り返し変形部54の曲率半径の増大を防止することで、二次衝突時に、アウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生することができるので、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
したがって、曲率増大防止部材56により折り返し変形部54の曲率半径の増大を防止することで、二次衝突時に、アウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生することができるので、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
なお、本実施形態では、基部50を昇降ブラケット32の係止板部39に掛け渡し、一対の折り返し変形部54を、チルトボルト42の車両前後方向の後方側の外周に掛け渡し、直線部52が車両前後方向の前方に延在するようにエネルギ吸収部材48を装着したが、本発明の要旨がこれに限定されるものではなく、例えば、基部50をチルトボルト42に固定し、係止板部39側に曲面形状の凸部を設け、この凸部に一対の折り返し変形部54を車両前後方向の前方側で掛け渡し、直線部52が車両前後方向の後方に延在するようにエネルギ吸収部材48を装着するとともに、係止板部39側に、折り返し変形部54の曲率が増大するのを防止する曲率増大防止部材を設けた構造とすると、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、チルトボルト42は、横断面が真円の部材に限らず、横断面が六角形などの多角形状や、楕円形状であってもよい。
また、チルトボルト42は、横断面が真円の部材に限らず、横断面が六角形などの多角形状や、楕円形状であってもよい。
(曲率増大防止部材の変形例)
ここで、図10は、上述した曲率増大防止部材56に対して異なる構成の曲率増大防止部材64を示すものである。
この曲率増大防止部材64は、2個の分割体68,70と、これら分割体68,70の間に連結したコイルバネからなる連結バネ72とを備えた部材である。
一方の分割体68は、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部68aと、この連結部68aから延在するアーム部68bと、このアーム部68bの先端に形成された規制棒68cとで構成されている。他方の分割体70も、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部70aと、この連結部70aから延在するアーム部70bと、このアーム部70bの先端に形成された規制棒70cとで構成されている。なお、規制棒68c及び規制棒70cは、軸が同一方向に延在している。
ここで、図10は、上述した曲率増大防止部材56に対して異なる構成の曲率増大防止部材64を示すものである。
この曲率増大防止部材64は、2個の分割体68,70と、これら分割体68,70の間に連結したコイルバネからなる連結バネ72とを備えた部材である。
一方の分割体68は、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部68aと、この連結部68aから延在するアーム部68bと、このアーム部68bの先端に形成された規制棒68cとで構成されている。他方の分割体70も、チルトボルト42と同一直径の貫通孔を形成した連結部70aと、この連結部70aから延在するアーム部70bと、このアーム部70bの先端に形成された規制棒70cとで構成されている。なお、規制棒68c及び規制棒70cは、軸が同一方向に延在している。
また、連結バネ72は、分割体68,70のアーム部68b,70bの先端側の間に連結されている。
そして、連結部68a,70aの貫通孔にチルトボルト42を挿通することで2個の分割体68,70が隣接して配置され、一方の規制棒68cが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と直線部52との間の部位に上方から接触し、他方の規制棒70cが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と基部50との間の部位に下方から接触している。そして、アーム部68b,70bの先端側に連結した連結バネ72が、一方及び他方の規制棒68c,70cを互いに近接させる方向にバネ力(圧縮バネ力)を作用している。
そして、連結部68a,70aの貫通孔にチルトボルト42を挿通することで2個の分割体68,70が隣接して配置され、一方の規制棒68cが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と直線部52との間の部位に上方から接触し、他方の規制棒70cが、エネルギ吸収部材48の折り返し変形部54と基部50との間の部位に下方から接触している。そして、アーム部68b,70bの先端側に連結した連結バネ72が、一方及び他方の規制棒68c,70cを互いに近接させる方向にバネ力(圧縮バネ力)を作用している。
ここで、請求項の曲率膨大防止部が、曲率膨大防止部材64に対応する。
上記構成の曲率増大防止部材64も、第1実施形態の曲率増大防止部材56と同様に、一方の規制棒68aが、折り返し変形部54と直線部52との間の部位を車両上下方向の上方から規制し、他方の規制棒68bが、折り返し変形部54と基部50との間の部位を車両上下方向の下方から規制し、アウタコラム8のストローク量が増大してもチルトボルト42に扱かれている折り返し変形部54が曲率半径を増大しようとするのを防止する。したがって、二次衝突時に、アウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生するので、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
また、機械的性質や形状が異なるエネルギ吸収部材48を使用して二次衝突時に発生する衝撃吸収荷重を変更する場合、曲率増大防止部材64は、バネ力の異なる連結バネ72をバネ分割体68,70の先端側の間に連結するだけで衝撃吸収荷重の変更に対応することができるので、部品コストの低減化を図ることができる。
上記構成の曲率増大防止部材64も、第1実施形態の曲率増大防止部材56と同様に、一方の規制棒68aが、折り返し変形部54と直線部52との間の部位を車両上下方向の上方から規制し、他方の規制棒68bが、折り返し変形部54と基部50との間の部位を車両上下方向の下方から規制し、アウタコラム8のストローク量が増大してもチルトボルト42に扱かれている折り返し変形部54が曲率半径を増大しようとするのを防止する。したがって、二次衝突時に、アウタコラム8が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生するので、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
また、機械的性質や形状が異なるエネルギ吸収部材48を使用して二次衝突時に発生する衝撃吸収荷重を変更する場合、曲率増大防止部材64は、バネ力の異なる連結バネ72をバネ分割体68,70の先端側の間に連結するだけで衝撃吸収荷重の変更に対応することができるので、部品コストの低減化を図ることができる。
(第2実施形態)
図11から図14は、本発明に係る第2実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を自動車のステアリング装置に適用した場合を示す図である。図11は、本実施形態のステアリング装置を車幅方向から示した図である。図12は、図11のC−C線矢視図である。図13は、図11のD−D線矢視図である。図14は、本実施形態で使用されているエネルギ吸収部材を示す図である。なお、図1から図10で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図11から図14は、本発明に係る第2実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を自動車のステアリング装置に適用した場合を示す図である。図11は、本実施形態のステアリング装置を車幅方向から示した図である。図12は、図11のC−C線矢視図である。図13は、図11のD−D線矢視図である。図14は、本実施形態で使用されているエネルギ吸収部材を示す図である。なお、図1から図10で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のステアリングコラム装置100は、車両前後方向に延在して配置したインナコラム120と、車体側部材11に固定され、インナコラム120の車体前後方向の前端部を枢軸ピン124を介して連結しているコラム連結ブラケット126と、インナコラム120の車体前後方向の後方側に軸方向に摺動自在に外嵌されており、インナコラム120とでステアリングコラムを構成しているアウタコラム128と、車体側部材11に固定されている支持ブラケット130と、アウタコラム128の上方及び側部を囲みながら支持ブラケット130に支持されて車両前後方向に移動自在とされている移動ブラケット132と、アウタコラム128の下側に膨出して形成したディスタンスブラケット134に形成したコラム側通孔136と、ディスタンスブラケット134に当接する移動ブラケット132の側板132aに形成したブラケット側通孔140と、コラム側通孔136及びブラケット側通孔140に挿通しているチルトボルト42と、操作レバー144の揺動操作によりチルトボルト42を介して移動ブラケット132をアウタコラム128に結合、或いは結合解除するロック機構146と、支持ブラケット130と移動ブラケット132との間に装着したエネルギ吸収部材148とを備えている。ここで、前記コラム側通孔136は、ディスタンスブラケット134において長軸が車両前後方向に延在するように長孔形状として形成されている。また、ブラケット側通孔140は、ディスタンスブラケット134に当接する移動ブラケット132の側板132aに、長軸が車両上下方向に延在するように長孔形状として形成されている。
そして、インナコラム120及びアウタコラム128からなるステアリングコラムにステアリングシャフト3が貫通し、このステアリングシャフト3の車両前後方向の後端にステアリングホイール4が装着されている。また、ステアリングシャフト3の車両前後方向の前端に、図示しないが、ユニバーサルジョイントを介して中間シャフトが連結され、この中間シャフトの車両前後方向の前端にラック・ピニオン式のステアリングギヤが連結されている。なお、ステアリングギヤには、タイロッド等を介して操舵輪が連結されており、ステアリングホイール4を操舵することで転舵輪を転舵することができる。
次に、移動ブラケット132、支持ブラケット130及びエネルギ吸収部材148の具体的な構成について、図12から図14を参照して詳細に説明する。
移動ブラケット132は、図12に示すように、上板132bと、横断面コ字状となるように上板132bの幅方向両縁部から一体に形成されて互いに平行に延在している一対の側板132aとを備えている。上板132bの両側部には、一対の案内レール132cが突出して形成されており、移動ブラケット132全体が車両前後方向に移動自在となるように支持ブラケット130に係合している。そして、支持ブラケット130及び一対の案内レール132cの係合によりアウタコラム128に対して車両上下方向の上方に配置した上板132bの上面に、第1凸部133が突出して形成されている。この第1凸部133は、図13に示すように、車両前後方向の前方を向く面が、所定の曲率半径で湾曲する湾曲面133aとして形成されているとともに、車幅方向を向き、アウタコラム128の軸線に沿う面133b,133c及び車両前後方向の後方を向く面133dがそれぞれ平面として形成されている。
移動ブラケット132は、図12に示すように、上板132bと、横断面コ字状となるように上板132bの幅方向両縁部から一体に形成されて互いに平行に延在している一対の側板132aとを備えている。上板132bの両側部には、一対の案内レール132cが突出して形成されており、移動ブラケット132全体が車両前後方向に移動自在となるように支持ブラケット130に係合している。そして、支持ブラケット130及び一対の案内レール132cの係合によりアウタコラム128に対して車両上下方向の上方に配置した上板132bの上面に、第1凸部133が突出して形成されている。この第1凸部133は、図13に示すように、車両前後方向の前方を向く面が、所定の曲率半径で湾曲する湾曲面133aとして形成されているとともに、車幅方向を向き、アウタコラム128の軸線に沿う面133b,133c及び車両前後方向の後方を向く面133dがそれぞれ平面として形成されている。
支持ブラケット130は、図12及び図13に示すように、外観が矩形状のブラケット本体130aと、このブラケット本体130aに一体形成され、コラム連結ブラケット126の連結部126aを介して固定ボルト150で車体側部材11に連結される連結部130bと、前述した移動ブラケット132の一対の案内レール132cが嵌まり込むように矩形状のブラケット本体130aの内周面に車両前後方向に延在して形成されている一対の案内溝130cとを備えている。
車体側部材11に固定されたブラケット本体130aには、車両上下方向に連通して開口する開口孔が形成されており、この開口孔は、車両前後方向の前方側に大きな領域で開口する第1開口孔130dと、この第1開口孔130dに連続して設けられ、第1開口孔130dより小さな領域で開口する第2開口孔130eとを有している。また、図12に示すように、第2開口孔130eの周囲には、車体側部材11に当接する当接面130fより低い段差面130gが形成されており、この段差面130g上に、前記第2開口孔130eを間に挟んで車幅方向の一方及び他方に略等距離に離間した位置に一対の第2凸部130hが形成されている。
これら一対の第2凸部130hの車両前後方向の後方を向く面は、所定の曲率で車両前後方向の方向側に突出するR部130iとして形成されているとともに、車幅方向を向き、アウタコラム128の軸線に沿う面130j,130k及び車両前後方向の前方を向く面がそれぞれ平面として形成されている。
そして、ブラケット本体130aの第2開口孔130eに、移動ブラケット132の上板132bに形成した第1凸部133が下方から進入し、段差面130gに対して車両上下方向の上方に位置するように突出している。
そして、ブラケット本体130aの第2開口孔130eに、移動ブラケット132の上板132bに形成した第1凸部133が下方から進入し、段差面130gに対して車両上下方向の上方に位置するように突出している。
エネルギ吸収部材148は、断面形状が真円、楕円、多角形状からなる塑性変形自在な金属線(針金)の曲げ成形により形成されている。
このエネルギ吸収部材148は、図14に示すように、中央変形部148aと、この中央変形部148aの両端部から一方向に延在する部分を介して一体形成された1対の端部変形部148bと、これら一対の端部変形部148bから他方向にそれぞれ直線状に延在している直線部148cとを備えている。つまり、このエネルギ吸収部材148は、中央変形部148aが凸状に湾曲して曲げ成形されており、一対の端部変形部148bが、中央変形部148aが凸状に湾曲する方向に対して同一平面内で逆方向に凸状に湾曲して曲げ成形され、直線部148cが、前記平面内において中央変形部148aが凸状に湾曲する方向と同一方向に直線的に延在することで、M字形状に曲げ成形されている。
このエネルギ吸収部材148は、図14に示すように、中央変形部148aと、この中央変形部148aの両端部から一方向に延在する部分を介して一体形成された1対の端部変形部148bと、これら一対の端部変形部148bから他方向にそれぞれ直線状に延在している直線部148cとを備えている。つまり、このエネルギ吸収部材148は、中央変形部148aが凸状に湾曲して曲げ成形されており、一対の端部変形部148bが、中央変形部148aが凸状に湾曲する方向に対して同一平面内で逆方向に凸状に湾曲して曲げ成形され、直線部148cが、前記平面内において中央変形部148aが凸状に湾曲する方向と同一方向に直線的に延在することで、M字形状に曲げ成形されている。
エネルギ吸収部材148の中央変形部148aの曲率半径は、移動ブラケット132の上板132bに形成した第1凸部133の湾曲面133aの曲率半径と略同一に設定されている。また、一対の端部変形部148bの曲率半径は、支持ブラケット130に形成した一対の第2凸部130hのR部130iの曲率半径と略同一に設定されている。
上記構成のエネルギ吸収部材148は、図13に示すように、中央変形部148aが、支持ブラケット130の第2開口孔130eから上方に突出している移動ブラケット132の第1凸部133の車両前後方向の前方を向く面(湾曲面133a)に掛け渡され、一対の端部変形部148bが、支持ブラケット130の一対の第2凸部130hの車両前後方向の後方を向く面(R部130i)に掛け渡されることで、支持ブラケット130と移動ブラケット132との間に装着されている。
上記構成のエネルギ吸収部材148は、図13に示すように、中央変形部148aが、支持ブラケット130の第2開口孔130eから上方に突出している移動ブラケット132の第1凸部133の車両前後方向の前方を向く面(湾曲面133a)に掛け渡され、一対の端部変形部148bが、支持ブラケット130の一対の第2凸部130hの車両前後方向の後方を向く面(R部130i)に掛け渡されることで、支持ブラケット130と移動ブラケット132との間に装着されている。
ここで、図13に示すように、移動ブラケット132に形成した第1凸部133の車幅方向を向く面(平面)133b,133cと、これらの面に対向している支持ブラケット130に形成した第2凸部130hの面(平面)130jとの間は、エネルギ吸収部材148の太さと略同一寸法の隙間Lを設けて平行に離間しており、これらの間に、エネルギ吸収部材148の中央変形部148a及び1対の端部変形部148bの間で延在する部分を配置している。また、第2凸部130hの面(平面)130kと、この面に対向している段差面130gから立ち上がる壁面130mとの間も、エネルギ吸収部材148の太さと略同一寸法の隙間Lを設けて平行に離間しており、これらの間に、エネルギ吸収部材148の直線部148cを配置している。これにより、直線部148cの自由端は、車両前後方向の前方を向いている。さらに、第1凸部133の面133b,133cは、支持ブラケット130の面130jより車両前後方向の後方位置まで延在している。
本実施形態では、前記第1凸部133の面133b,133c及び第2凸部130hの面130jと、第2凸部130hの面130kと段差面130gから立ち上がる壁面130mとを、エネルギ吸収部材148が塑性変形する際に、端部変形部148bの曲率半径が増大するのを防止する曲率増大防止部156としている。
ここで、請求項のステアリングコラムがアウタコラム128に対応し、請求項の移動部材が移動ブラケット132の第1凸部133に対応し、請求項の固定部材が支持ブラケット130の第2凸部130hに対応し、請求項のエネルギ吸収部材の係合部が中央変形部148aに対応し、請求項の曲げ変形部が端部変形部148bに対応し、請求項の曲率膨大防止部が曲率膨大防止部156に対応する。
ここで、請求項のステアリングコラムがアウタコラム128に対応し、請求項の移動部材が移動ブラケット132の第1凸部133に対応し、請求項の固定部材が支持ブラケット130の第2凸部130hに対応し、請求項のエネルギ吸収部材の係合部が中央変形部148aに対応し、請求項の曲げ変形部が端部変形部148bに対応し、請求項の曲率膨大防止部が曲率膨大防止部156に対応する。
次に、本実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置100の動作について説明する。
二次衝突時には、移動ブラケット132がアウタコラム128とともに車両前後方向の前方に変位する。これに対して、車体側部材11に固定されている支持ブラケット130は車両前後方向に変位せず、そのままの位置に残る。
これにより、移動ブラケット132の第1凸部133が車両前後方向の前方にストロークするので、エネルギ吸収部材148の中央変形部148aが車両前後方向の前方に引っ張られていくことで、一対の端部変形部148bが、一対の第2凸部130hのR部130iに扱かれて塑性変形していく。このように、エネルギ吸収部材148の一対の端部変形部148bが塑性変形していくことで、二次衝突時の衝撃エネルギが吸収されていく。
二次衝突時には、移動ブラケット132がアウタコラム128とともに車両前後方向の前方に変位する。これに対して、車体側部材11に固定されている支持ブラケット130は車両前後方向に変位せず、そのままの位置に残る。
これにより、移動ブラケット132の第1凸部133が車両前後方向の前方にストロークするので、エネルギ吸収部材148の中央変形部148aが車両前後方向の前方に引っ張られていくことで、一対の端部変形部148bが、一対の第2凸部130hのR部130iに扱かれて塑性変形していく。このように、エネルギ吸収部材148の一対の端部変形部148bが塑性変形していくことで、二次衝突時の衝撃エネルギが吸収されていく。
ここで、曲率増大防止部156(第1凸部133の面133b,133c及び第2凸部130hの面130jと、第2凸部130hの面130kと段差面130gから立ち上がる壁面130m)は、移動ブラケット132の第1凸部133が車両前後方向の前方にストロークしている間、第2凸部130hのR部130iに扱かれているエネルギ吸収部材148の一対の端部変形部148bが曲率半径を増大しようとするのを防止する。
このように、アウタコラム128が車両前後方向の前方にストロークし続けても、一対の端部変形部148bは曲率増大防止部156により曲率半径の増大が防止されて第2凸部130hのR部130iに扱かれる領域が常に一定となるので、エネルギ吸収部材148の塑性変形量が減少しない。
したがって、曲率増大防止部156によりエネルギ吸収部材148の一対の端部変形部148bの曲率半径の増大を防止することで、二次衝突時に、アウタコラム128が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生することができ、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
したがって、曲率増大防止部156によりエネルギ吸収部材148の一対の端部変形部148bの曲率半径の増大を防止することで、二次衝突時に、アウタコラム128が車両前後方向の前方にストロークする際に一定の衝撃吸収荷重を発生することができ、衝撃吸収性能の低下を防止することができる。
なお、本発明の要旨は、第2実施形態の構成に限るものではなく、例えば、前述した一対の第2凸部130hをアウタコラム128に一体に形成し、その第2凸部130hの車両前後方向の前方を向く面を湾曲面とするとともに、第1凸部133を支持ブラケット130に一体に形成し、その第1凸部133の車両前後方向の後方を向く面を湾曲面とし、エネルギ吸収部材148の中央変形部148aを、第1凸部133の車両前後方向の後方を向く湾曲面に掛け渡し、一対の端部変形部148bを一対の第2凸部130hの車両前後方向の前方を向く湾曲面に掛け渡して配置し、一対の端部変形部148bの曲率半径が増大するのを防止する曲率増大防止部材を設けた構造としても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
1…ステアリング装置、2…ステアリングコラム、3…ステアリングシャフト、4…ステアリングホイール、5a…ユニバーサルジョイント、5b…ユニバーサルジョイント、6…中間シャフト、7…インナコラム、8…アウタコラム、9…ロアブラケット、9a…側板、9b…長孔、10…チルト機構、11…車体側部材、12…連結ブラケット、13…係合ボルト、30…支持ブラケット、32…昇降ブラケット、33…チルト操作部、34…支持板部、35…長孔、36…当接板部、37…切り欠き、38…底板部、39…係止板部、40…吸収部材係合部、42…チルトボルト、44…チルトナット、45…操作レバー、48…エネルギ吸収部材、50…基部、52…直線部、54…折り返し変形部、56…曲率増大防止部材、58…連結部、60a,60b…アーム部、62a,62b…規制棒、64…曲率増大防止部材、68,70…分割体、68a,70a…連結部、68b,70b…アーム部、68c,70c…規制棒、72…連結バネ、100…ステアリングコラム装置、120…インナコラム、124…枢軸ピン、126…コラム連結ブラケット、128…アウタコラム、130…支持ブラケット、130a…ブラケット本体、130b…連結部、130c…案内溝、130d…第1開口孔、130e…第2開口孔、130f…当接面、130g…段差面、130h…第2凸部、130i…第2凸部のR部、130j,130k…第2凸部の車幅方向を向く面、130m…段差面から立ち上がる壁面、132…移動ブラケット、132a…側板、132b…上板、132c…案内レール、133…第1凸部、133a…第1凸部の湾曲面、133b,133c…第1凸部の車幅方向を向く面、133d…第1凸部の車両前後方向の後方を向く面、134…ディスタンスブラケット、136…コラム側通孔、140…ブラケット側通孔、144…操作レバー、146…ロック機構、148…エネルギ吸収部材、148a…中央変形部、148b…端部変形部、148c…直線部、156…曲率増大防止部
Claims (3)
- 内側にステアリングシャフトを回転自在に支持し、二次衝突時に車両前後方向の前方にストロークするステアリングコラムと、このステアリングコラムに固定されている移動部材と、車体側部材に固定されて二次衝突時の衝撃荷重が入力しても車両前後方向に変位しない固定部材と、前記移動部材及び前記固定部材の間に配置されたエネルギ吸収部材と、を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記エネルギ吸収部材は、前記固定部材の車両前後方向の前方又は後方を向く曲面に沿うように所定の曲率で曲げ形成され、前記ステアリングコラムとともに前記移動部材が車両前後方向の前方にストロークする際に塑性変形により前記衝撃荷重を吸収する曲げ変形部を設けているとともに、
前記曲げ変形部が塑性変形する際に曲率が増大するのを防止する曲率増大防止部を設けていることを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記エネルギ吸収部材は、金属線を折り曲げることで形成され、前記移動部材とともに車両前後方向の前方に変位するように係合する係合部と、この係合部から車両前後方向の後方に延在した位置で前記固定部材の前記後方を向く曲面に沿うように配置されている半円弧状の前記曲げ変形部と、この曲げ変形部から車両前後方向の前方に延在する直線部とを備え、
前記曲率増大防止部は、前記曲げ変形部が塑性変形する際に、前記エネルギ吸収部材の前記係合部及び前記曲げ変形部の間の部位と、前記直線部及び前記曲げ変形部の間の部位とが互いに離間していかないように保持することを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記エネルギ吸収部材は、金属線を折り曲げることで形成され、前記移動部材及び前記固定部材の一方と係合する係合部と、前記移動部材及び前記固定部材の他方に設けられた曲面に沿うように配置されている半円弧状の前記曲げ変形部と、この曲げ変形部から車両前後方向に延在する直線部とを備え、
前記曲率増大防止部は、前記曲げ変形部が塑性変形する際に、前記エネルギ吸収部材の前記係合部及び前記曲げ変形部の間の部位と、前記直線部及び前記曲げ変形部の間の部位とが互いに離間していかないように保持することを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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