JP5958034B2 - 分子ビーコン型プローブを用いた標的核酸の検出方法 - Google Patents
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Description
〔1〕以下(a)〜(c)の特徴を有するプローブ、切断酵素、およびリコンビナーゼを用いて標的核酸を測定することを含む、標的核酸の検出方法:
(a)互いに相補的に結合し得る一対の領域、および標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子である;
(b)切断酵素により切断される部位を含む;かつ
(c)末端標識を有する。
〔2〕標的核酸の測定が、以下(1)および(2)により行われる、〔1〕の方法:
(1)前記プローブおよび切断酵素の存在下において、核酸試料を、リコンビナーゼを用いる標的核酸の核酸増幅反応に供すること:ならびに
(2)該核酸増幅反応において、前記プローブに起因して生じる検出シグナルを検出すること。
〔2〕標的核酸の測定が経時的に行われる、〔1〕の方法。
〔3〕標的核酸の測定が、以下(1)および(2)により行われる、〔1〕または〔2〕の方法:
(1)前記プローブおよび切断酵素の存在下において、核酸試料を、リコンビナーゼを用いる標的核酸の核酸増幅反応に供すること:ならびに
(2)該核酸増幅反応において、前記プローブに起因して生じる検出シグナルを検出すること。
〔4〕経時的な検出シグナルの変化に基づいて、標的核酸の存在もしくは非存在、または標的核酸の量を評価することをさらに含む、〔3〕の方法。
〔5〕前記プローブが、標的核酸と相補的に結合し得る領域中に、切断酵素により切断される部位を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかの方法。
〔6〕前記プローブが、以下(c1)または(c2)により末端標識されている、〔1〕〜〔5〕のいずれかの方法:
(c1)前記プローブが、検出シグナル発生物質を5’末端に有し、かつ検出シグナル発生物質に干渉し得る物質を3’末端に有する;または
(c2)前記プローブが、検出シグナル発生物質に干渉し得る物質を5’末端に有し、かつ検出シグナル発生物質を3’末端に有する。
〔7〕検出シグナル発生物質が蛍光物質であり、かつ検出シグナル発生物質に干渉し得る物質が消光物質である、〔6〕の方法。
〔8〕検出シグナルの検出において、経時的な蛍光強度の減少をモニタリングすることにより、標的核酸の量が測定される、〔7〕の方法。
〔9〕切断酵素がRNaseHである、〔1〕〜〔8〕のいずれかの方法。
〔10〕60℃以下の温度条件下で標的核酸の増幅反応が行われる、〔2〕〜〔9〕のいずれかの方法。
〔11〕50℃以下の温度条件下で標的核酸の増幅反応が行われる、〔10〕の方法。
〔12〕核酸増幅反応が等温核酸増幅反応である、〔3〕〜〔11〕のいずれかの方法。
〔13〕等温核酸増幅反応がRPA法である、〔12〕の方法。
〔14〕以下(a)〜(c)の特徴を有するプローブ、切断酵素、およびリコンビナーゼを含むキット:
(a)互いに相補的に結合し得る一対の領域、および標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子である;
(b)切断酵素により切断される部位を含む;かつ
(c)末端標識を有する。
〔15〕DNAポリメラーゼをさらに含む、〔14〕のキット。
本発明の方法は、プローブ、切断酵素、およびリコンビナーゼを用いて標的核酸を測定することを含む。
(a)互いに相補的に結合し得る一対の領域、および標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子である;
(b)切断酵素により切断される部位を含む;かつ
(c)末端標識を有する。
本発明の方法で用いられるプローブは、ステム部分およびループ部分を有する分子ビーコンプローブと同様の構造を有する分子ビーコン型プローブであり得る(本発明の方法で用いられるプローブを、分子ビーコン型プローブと称する場合がある)。具体的には、本発明の方法で用いられるプローブは、分子ビーコンプローブのステム部分に相当し得る、互いに相補的に結合し得る一対の領域、および分子ビーコンプローブのループ部分に相当し得る、標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子であり得る。本発明の方法で用いられるプローブは、上述のとおり標的核酸と相補的に結合し得る領域を含むため、標的核酸と二本鎖を形成できる。
本発明の方法で用いられるプローブの全長は、例えば23個以上、好ましくは26個以上、より好ましくは32個以上のヌクレオチド長である。本発明の方法で用いられるプローブの全長はまた、例えば100個以下、好ましくは80個以下、より好ましくは60個以下のヌクレオチド長である。
互いに相補的に結合し得る一対の領域の個々の領域の長さは、例えば3個以上、好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上のヌクレオチド長である。互いに相補的に結合し得る一対の領域の長さはまた、例えば25個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下のヌクレオチド長である。
標的核酸と相補的に結合し得る領域の長さは、例えば20個以上、好ましくは30個以上のヌクレオチド長である。標的核酸と相補的に結合し得る領域の長さはまた、例えば50個以下、好ましくは40個以下のヌクレオチド長である。リコンビナーゼによる認識性の観点から、標的核酸と相補的に結合し得る領域の長さは、好ましくは20〜50ヌクレオチド長であり、より好ましくは20〜40ヌクレオチド長であり、さらにより好ましくは30〜34ヌクレオチド長である。
本発明の方法で用いられるプローブはまた、切断酵素により切断される部位を含み得る。
本発明の方法で用いられるプローブはさらに、末端標識を有し得る。末端標識とは、一本鎖核酸分子であるプローブが、その末端に標識物質を有することをいう。標識物質とは、標識物質により標識された化合物の検出を可能にする物質を意味し、例えば、検出シグナル発生物質、検出シグナル発生物質に干渉し得る物質が挙げられる。検出シグナル発生物質は、検出可能なシグナルを発生し得る化合物である。検出シグナル発生部分としては、例えば、蛍光物質が挙げられる。検出シグナル発生物質に干渉し得る物質は、検出シグナル発生物質と相互作用して、検出シグナルを変化させる化合物である。このような検出シグナルの変化としては、例えば、検出シグナルの消失および発生、ならびに検出シグナル波長のシフトが挙げられる。検出シグナル発生物質に干渉し得る物質としては、例えば、消光物質(quencher)、蛍光消光現象を示す核酸分子が挙げられる。
(c1)前記プローブが、検出シグナル発生物質を5’末端に有し、かつ検出シグナル発生物質に干渉し得る物質を3’末端に有する;または
(c2)前記プローブが、検出シグナル発生物質に干渉し得る物質を5’末端に有し、かつ検出シグナル発生物質を3’末端に有する。
(1)プローブおよび切断酵素の存在下において、核酸試料を、リコンビナーゼを用いる標的核酸の核酸増幅反応に供すること:ならびに
(2)上記核酸増幅反応において、プローブに起因して生じる検出シグナルを検出すること。
本発明の方法(例、核酸増幅反応)で用いられる反応液中の、切断酵素およびリコンビナーゼの濃度の濃度は、適宜調整することができる。
核酸増幅反応の他の条件(例、プライマー濃度、反応液に添加される核酸試料の量、反応時間)は、適宜設定することができる。
例えば、検出シグナル発生物質として蛍光物質、および検出シグナル発生物質に干渉し得る物質として消光物質または蛍光消光現象を示す核酸分子を用いた場合、経時的な蛍光強度の減少(即ち、蛍光の消光)に基づいて、標的核酸の存在もしくは非存在、または標的核酸の量を評価することができる。具体的には、検出強度がベースラインレベルから実質的に経時的に減少しない場合、標的核酸は存在しないと評価することができる。一方、蛍光強度がベースラインレベルから実質的に経時的に減少する場合、標的核酸は存在すると評価することができる。また、例えば、蛍光強度がベースラインレベルから実質的に減少するまでの時間、および/または蛍光強度がベースラインレベルから実質的に減少した後の単位時間あたりの蛍光強度の減少の度合いに基づいて、標的核酸の量を評価することができる。
核酸増幅アッセイには、TwistDx社製のRPA法を原理とするTwistAmp Basicキットを使用した。このキットは、核酸増幅反応に必要な成分として、DNAポリメラーゼ、リコンビナーゼ(UvsX)、dNTPs、ATPおよび一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)を含む。したがって、以下に示すアッセイでは、これらの成分を利用した。標的核酸として、HBVのS抗原部位に相当する遺伝子をコードするDNAを使用した。標的核酸の増幅のため、フォワードプライマー:5’−ctggctatcgctggatgtgtctgcggcgtttta−3’(配列番号1)、リバースプライマー:5’−ttgcgaaagcccaggatgatgggatgggaatac−3’(配列番号2)を使用した。検出用プローブである分子ビーコン型プローブの配列は、5’−ccgtcgttgct[g]tacaaaaccttcggacgg−3’(配列番号3:括弧内のgはRNAである)とし、5’末端に6−FAM(蛍光物質)、3’末端にEclipse(消光物質)をそれぞれ標識したものを使用した。
Rehydration Bufferに、0.42μM フォワードプライマー、0.42μM リバースプライマー、0.1μM 分子ビーコン型プローブ、1U Ribonuclease Hとなるように添加した。次に、標的核酸(HBV DNA)を105コピー/50μLとなるように加えた後、調製した溶液をRPA Pelletに47.5μL加え、溶解した。同様に標的核酸の代わりにDistilled Water(DW)を使用した溶液も調製した。上記で調製した溶液に、280mM酢酸マグネシウム溶液を2.5μL添加し、良く撹拌した後、37℃で25分インキュベーションした。1分毎に蛍光シグナルを測定した。
その結果、リコンビナーゼ、分子ビーコン型プローブ、および切断酵素を利用する核酸増幅反応において、標的核酸が存在する場合に蛍光シグナルが消光されることが確認された(図2)。
標的核酸(HBV DNA)添加量を103コピー/50μL、104コピー/50μL、105コピー/50μLとした以外は、実施例1と同様の方法で試験した。同様に標的核酸の代わりにDistilled Water(DW)を使用した溶液(0コピー)でも試験した。
その結果、標的核酸添加量依存的に、蛍光シグナルが消光される時間が変化することが確認された(図3)。したがって、本発明の方法が標的核酸の定量に使用できることが示された。
Rehydration Bufferに、0.1μM 分子ビーコン型プローブ、14mM 酢酸マグネシウムとなるように添加した。調製した溶液をRPA Pelletに50μL加え、溶解した。
上記で調製した溶液を、37℃から30秒間隔で0.5℃ずつ温度を上昇させ、80℃に上昇するまでインキュベーションした。インキュベーション時には各温度で蛍光シグナルを測定した。
その結果、50℃付近まで蛍光シグナル強度が高く、50℃から60℃付近にかけて蛍光強度が低下し、約60℃の前後の温度において検出される蛍光強度の反転が観察された(図4の「RPA反応液組成」を参照)。このことは、約50℃以下の温度では、分子ビーコン型プローブがステムループ構造を形成していないこと、および50℃から60℃付近の温度ではリコンビナーゼの効果が温度依存的になくなり、徐々に分子ビーコン型プローブがステムループ構造を形成することを示す。60℃前後の温度における蛍光強度の反転は、温度上昇に伴って、分子ビーコン型プローブがステムループ構造を維持できなくなっていることを示す。
ABI社製PCR Buffer(10mM Tris−HCl(pH=8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.001% Gelatin)に、0.1μM 分子ビーコン型プローブとなるように添加した。
上記で調製した溶液を、37℃から30秒間隔で0.5℃ずつ温度を上昇させ、80℃までインキュベーションした。インキュベーション時には各温度で蛍光シグナルを測定した。
その結果、50℃付近の温度までは蛍光シグナルが低く、温度上昇と共に蛍光シグナルの上昇が認められた。これは、50℃付近までの温度において、分子ビーコン型プローブがステムループ構造を形成していることを示す(図4の「PCR反応液組成」を参照)。
Claims (13)
- 以下(a)〜(c)の特徴を有するプローブ、切断酵素、およびリコンビナーゼを用いて標的核酸を測定することを含む、標的核酸の検出方法:
(a)それぞれ5’末端および3’末端領域に存在する、互いに相補的に結合し得る一対の領域、ならびに標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子である;
(b)標的核酸と相補的に結合し得る領域中に、切断酵素により切断される部位を含み、ここで、切断酵素は、前記プローブが標的核酸と相補的に結合して、プローブおよび標的核酸から構成される二本鎖核酸を形成したときに、二本鎖核酸を形成する2つの核酸のうち、前記プローブのみを切断する活性を有するものであり;かつ
(c)前記一対の領域のうち一方が蛍光物質による末端標識を有し、前記一対の領域のうち他方が消光物質による末端標識を有する。 - 標的核酸の測定が経時的に行われる、請求項1記載の方法。
- 標的核酸の測定が、以下(1)および(2)により行われる、請求項1または2記載の方法:
(1)前記プローブおよび切断酵素の存在下において、核酸試料を、リコンビナーゼを用いる標的核酸の核酸増幅反応に供すること:ならびに
(2)該核酸増幅反応において、前記プローブに起因して生じる検出シグナルを検出すること。 - 経時的な検出シグナルの変化に基づいて、標的核酸の存在もしくは非存在、または標的核酸の量を評価することをさらに含む、請求項3記載の方法。
- 前記プローブが、以下(c1)または(c2)により末端標識されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法:
(c1)前記プローブが、蛍光物質を5’末端に有し、かつ消光物質を3’末端に有する;または
(c2)前記プローブが、消光物質を5’末端に有し、かつ蛍光物質を3’末端に有する。 - 検出シグナルの検出において、経時的な蛍光強度の減少をモニタリングすることにより、標的核酸の量が測定される、請求項1記載の方法。
- 切断酵素がRNaseHである、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
- 60℃以下の温度条件下で標的核酸の増幅反応が行われる、請求項2〜7のいずれか一項記載の方法。
- 50℃以下の温度条件下で標的核酸の増幅反応が行われる、請求項8記載の方法。
- 核酸増幅反応が等温核酸増幅反応である、請求項3〜9のいずれか一項記載の方法。
- 等温核酸増幅反応がRPA法である、請求項10記載の方法。
- 以下(a)〜(c)の特徴を有するプローブ、切断酵素、およびリコンビナーゼを含むキット:
(a)それぞれ5’末端および3’末端領域に存在する、互いに相補的に結合し得る一対の領域、ならびに標的核酸と相補的に結合し得る領域を含む一本鎖核酸分子である;
(b)標的核酸と相補的に結合し得る領域中に、切断酵素により切断される部位を含み、ここで、切断酵素は、前記プローブが標的核酸と相補的に結合して、プローブおよび標的核酸から構成される二本鎖核酸を形成したときに、二本鎖核酸を形成する2つの核酸のうち、前記プローブのみを切断する活性を有するものであり;かつ
(c)前記一対の領域のうち一方が蛍光物質による末端標識を有し、前記一対の領域のうち他方が消光物質による末端標識を有する。 - DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項12記載のキット。
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