JP2005287447A - プローブ及びプライマーおよびこれらを用いた核酸断片相補鎖合成法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より汎用的なSNP解析及び遺伝子発現解析及び遺伝子発現の抑制を実現するために,分子内で高次構造を取りやすい部位であっても十分なハイブリダイゼーション効率が確保できるプライマーやプローブ構造を提供する。
【解決手段】プライミングサイトが分子内で高次構造をとりやすい場合に,鋳型DNAに対して部分的にハイブリダイズしないような部位を有するプライマー構造およびプローブ構造とする。1)プライミングサイト内の高次構造を形成する塩基に非相補となるような塩基を用いる,2)4種類ある塩基のうち,高次構造を形成する塩基に非相補な塩基を用いる,3)自然界には存在しない塩基の構造で鋳型DNAの高次構造を形成する塩基と有効な水素結合を形成しない構造体を用いる,4)塩基部のまったくない構造,単にスペーサーとして働く構造とする。
【選択図】図6
【解決手段】プライミングサイトが分子内で高次構造をとりやすい場合に,鋳型DNAに対して部分的にハイブリダイズしないような部位を有するプライマー構造およびプローブ構造とする。1)プライミングサイト内の高次構造を形成する塩基に非相補となるような塩基を用いる,2)4種類ある塩基のうち,高次構造を形成する塩基に非相補な塩基を用いる,3)自然界には存在しない塩基の構造で鋳型DNAの高次構造を形成する塩基と有効な水素結合を形成しない構造体を用いる,4)塩基部のまったくない構造,単にスペーサーとして働く構造とする。
【選択図】図6
Description
一般にDNAポリメラーゼを用いて合成オリゴDNAを起点としてゲノムの特定領域の相補鎖合成を行う分野に広く利用できる技術である。特にポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)による特定ゲノム領域の増幅に好適である。本技術を用いるゲノム増幅は,ゲノム上の特定領域に存在する遺伝子多型,特に一塩基多型の解析分野に用いられる。
相補的なRNAやDNAと対合するアンチセンスプローブが細胞内にあると翻訳が阻害され遺伝子の発現が抑制される。遺伝子機能や遺伝子発現を任意に抑制できることから広く遺伝子発現解析手法や医薬品として用いられているが,この分野に関連する。
末端の片側もしくは両側を蛍光体などで標識したプローブを相補的DNAと対合させ,その標識物質を検出することにより組織中に特定の遺伝子が発現しているかどうか調べる方法が一般的に行われているが,この分野に関連する。
末端の片側もしくは両側を蛍光体などで標識したプローブを相補的DNAと対合させ,その標識物質を検出することにより組織中に特定の遺伝子が発現しているかどうか調べる方法が一般的に行われているが,この分野に関連する。
ヒトゲノム全配列解読プロジェクトの終了宣言が2003年4月になされ,ヒトの基本設計図であるゲノム配列情報を利用できるようになった。今後はゲノム配列情報を活用して,疾患研究に関連する遺伝子の発現や遺伝疫学的なアプローチを用いた疾患関連遺伝子多型の探索が急速に進んでいくと考えられる。遺伝子多型には,SNP(1個の塩基が他の塩基に置き換わっているもの)やVNTR(繰り返し単位が数塩基から数十塩基のもの),マイクロサテライト多型(繰り返し単位が2〜4塩基のもの),さらに塩基の欠失や挿入がある。なかでもSNPは遺伝子多型全体の90%以上を占めるため,疾病素因や投薬時の薬物耐性や薬物効力の推測に有用な情報を得ることができると考えられている。SNPマーカーは1,500塩基に1個程度と高頻度に存在することに加えて,アレル(特定遺伝子の塩基型のことで,SNPでは特定配列位置での配列多様性を意味する)の種類が少ない(ほとんどが二種類の塩基配列)ためタイピングが容易であり,有効なSNPを探索する研究目的で多検体・多種類のSNPを高速で解析することが要求されている。現在までにハイスループットを目指した多くのSNP解析手法が開発され,実用化されている。
筆者らも,すでに疾病との因果関係が明らかにされている有用なSNPを個々の検体で解析するのに適した手法として,BAMPER(Bioluminometric Assay coupled with Modified Primer Extension Reactions)法の原理を確立し(〔非特許文献1〕),研究を行っている。BAMPER法は生物発光を利用したSNP解析技術である。2種類のプローブ(SNP型の2種類のアレルに対応)を用いて伸長反応を行うと,SNPアレル(塩基型)に一致するプローブを用いた場合にのみ伸長反応が進行する。その際に生成するピロリン酸をATPに変換し,ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応で発光させる。この発光を測定すると数分間でSNPの塩基型を判定することができる。試薬を加えるだけのシンプルな反応系であり,また簡単な光学系の発光測定装置でSNP解析ができるため,BAMPER法は臨床現場を含む広く一般の研究室での使用に適していると考えられる。
BAMPER法に限らず多くのSNP解析法では,試料調製としてゲノムから検査したいSNPを含む領域をPCR反応などで増幅して用いることが一般的に行われている。PCR産物からDNAシーケンシングでSNPの型を判定したり,標的SNPの配列位置が3’末端に来るように設計したプローブを用いてDNAポリメラーゼを用いた相補鎖伸長反応(相補鎖合成反応)を行い,相補鎖合成産物の有無を電気泳動で解析し,SNP型の判定を行う(〔特許文献1〕)。上記BAMPER法では標的SNPの配列位置が3’末端に来るように設計したプローブを用いてDNAポリメラーゼを用いた相補鎖伸長反応(相補鎖合成反応)を行い,生成するピロリン酸をATPに変換し,これをルシフェラーゼを用いた生物発光の反応系を用いて伸長反応の有無を検出する。
Zamecnikらが,天然型オリゴDNAによる抗ウイルス活性を発表(〔非特許文献2〕)して以来,ワトソンークリックの特異的な塩基対認識に基づいた,ウイルスの核酸部位(mRNAやDNA)(センス)に対して相補的な塩基配列を有する,アンチセンスDNAの開発が注目されている(〔非特許文献3〕)。新しいアンチセンスDNAとしての人工核酸をデザインし,開発する場合に,必要な事項としては,1):核酸分解酵素に対して安定である事,2):ターゲットである一本鎖RNAに相補的に結合する能力が高い事,3):二本鎖DNAとの結合能が高い事,4):水溶性と細胞膜透過性を有する事,5):大量合成と容易な精製が可能な事,が掲げられる。アンチセンス技術は病気を引き起こす遺伝子の機能や発現の阻害,農産物などの日持ちをよくするためにペクチナーゼなどの酵素の働きを抑制するために用いられており,アンチセンス技術に基づいた商品も多く開発されている。
固体表面上に場所を区切って,あるいはビーズなどの複数の固体表面上に各々異なるDNAプローブを固定したデバイスを用いて遺伝子の発現解析やSNPのタイピングを網羅的に行う方法では,該当する遺伝子やDNAを捕捉または検出に用いる蛍光体など標識されたプローブが必要である。
固体表面上に場所を区切って,あるいはビーズなどの複数の固体表面上に各々異なるDNAプローブを固定したデバイスを用いて遺伝子の発現解析やSNPのタイピングを網羅的に行う方法では,該当する遺伝子やDNAを捕捉または検出に用いる蛍光体など標識されたプローブが必要である。
Guo-hua Zhou,et al., Nucleic Acid research, 29, e93 (2001)
Zamcenik, P. C,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 75, 280, (1978)
Peyman A,et al., Biol Chem Hoppe Seyler. Mar;376(3):195-8, (1995)
Cold Spring Harbor Laboratory Press、Molecular Cloning (Second edition) 1989出版
上記,試料調製用のPCRでは試料となる鋳型にゲノムを用いる。〔特許文献1〕記載あるいは〔非特許文献1〕記載のプローブを用いた相補鎖合成反応においては,PCR産物あるいはゲノムを鋳型として,SNPを解析するためのプライミングサイトに相補的に結合するプローブ(プライマー)を用いる。PCRにせよ相補鎖合成反応にせよ,特定のDNA配列からなるプライミングサイトにプローブなりプライマーが相補的に結合し,DNAポリメラーゼがプライミングサイトにハイブリダイズしたプローブないしプライマーを伸長させる。このときの伸長反応産物の多少は,第一にプライミングサイトに対するプローブないしプライマーのハイブリダイゼーション量に依存する。一般に,ハイブリダイゼーション量はプローブないしプライマーの濃度と熱力学的結合定数に関係するTmに依存する。多くの場合,特異性を得るためのプライミングサイトの選択と必要なTmを得るための配列長と塩基組成の兼ね合いでプローブないしプライマー設計を行う。
一般的なプローブないしプライマー長としては18から24塩基程度であるが,特異性を出すためにはプローブないしプライマー長が長いほうがよく,25塩基長から30塩基長のものが使われることもしばしばある。しかしプローブないしプライマー長を長くするほどプローブないしプライマー自体が分子内ループを形成したり,プローブないしプライマー分子同士でハイブリダイズする構造となるケースが多くなる。このようにプローブないしプライマー自身が高次構造をとるケースでは,プローブないしプライマーがプライミングサイトに結合しづらくなり,伸長反応が起きづらくなる問題がある。また,プライミングサイト自体が試料DNAもしくはRNAの他の部位と分子内ハイブリダイゼーションを起こし,プローブないしプライマーが結合できないようになっているケースもある。普通は,このような高次構造をとりづらい部分をプライミングサイトに選ぶわけであるが,高次構造をとる部分をプライミングサイトに選ばざるを得ないケースも多々存在する。このようなケースにおいてもプローブないしプライマーのハイブリダイゼーション量の低下を防ぎ,伸長反応やPCR,遺伝子発現の制御を問題なく行うことのできるようにする,あるいは固体を用いた遺伝子発現解析でのハイブリダイゼーション時においてその検出特異性を確保するのが本発明の主眼である。
上記問題点を解決し,より汎用的な伸長反応やPCRを実現するには,たとえプライミングサイトが高次構造を作る構造であっても,問題なくプライマーがハイブリダイズする工夫をする必要がある。筆者らはプライミングサイトに対応するプライマー中の高次構造形成部分の塩基配列を部分的に改変し高次構造を形成しないようにすることで,プライミングサイトに対するプライマーの結合量を確保することに成功した。具体的には1)高次構造形成部の1ヶ所から3ヶ所をプライミングサイトと非相補な塩基を用いることで解決できる。
たとえば該当するプライミングサイト中の高次構造をとる部分に1塩基がAである場合はプライマー(プローブ)中の対応する塩基をA,G,Cのいずれかのうちで高次構造を最もとりづらい塩基で置き換える。あるいは3)自然界には存在しない塩基の構造でいずれの塩基とも有効な水素結合を形成しない構造体を用いることで解決できる。具体的には4)分子内や分子間で高次構造をとる塩基部分の一部を塩基部のまったくない構造,すなわち,塩基対を形成するという観点からは単にスペーサーとして働く構造,たとえば,リン酸ジエステル結合の間が側鎖の無いグリセル基である構造のものや,リン酸ジエステル結合の間が塩基の無いリボースあるいは2−デオキシリボースにすることで解決できる。あるいは,リン酸ジエステル結合の間のペントースに結合しているアデニンあるいはグアニンあるいはチミンあるいはシトシンあるいはウラシルの変わりにこれらの塩基以外の構造体が結合しているものを用いることで解決することができる。
本発明により,DNAポリメラーゼによる伸長反応を伴う核酸断片増幅あるいはハイブリダーゼーション反応を利用した遺伝子発現解析において,プライミングサイトに高次構造を作りやすい塩基配列が存在しても,プライマーあるいはプローブ側から見るとプライマー自身あるいはプローブ自身の高次構造が崩れるのでハイブリダイズできるようになる。PCRにおいては,2回目以降のサイクルではプライミングサイト側も高次構造を形成する部分の塩基配列が崩れるので,高次構造由来で増幅効率が低下する現象を防止することができる。
まず,本発明の実施例に用いる一般的な反応操作について説明する。
DNAポリメラーゼを用いたPCRにおける相補鎖合成反応について説明する。伸長反応用の温調器にはサーマルサイクラーであるDNA Engine Tetrad (MJ RESEARCH)を使用した。PCR産物の確認にはマイクロチップ電気泳動解析システムSV1210(日立電子エンジニアリング)を使用した。オリゴ合成はシグマジェノシスに委託した。DNAポリメラーゼはアマシャムバイオテック,その他使用した試薬は極一般的な市販品を使用した。ゲノムはボランティアより提供された血液から精製を行った。ここでは,例えば〔非特許文献4〕に記載された方法に従う。
DNAポリメラーゼを用いたPCRにおける相補鎖合成反応について説明する。伸長反応用の温調器にはサーマルサイクラーであるDNA Engine Tetrad (MJ RESEARCH)を使用した。PCR産物の確認にはマイクロチップ電気泳動解析システムSV1210(日立電子エンジニアリング)を使用した。オリゴ合成はシグマジェノシスに委託した。DNAポリメラーゼはアマシャムバイオテック,その他使用した試薬は極一般的な市販品を使用した。ゲノムはボランティアより提供された血液から精製を行った。ここでは,例えば〔非特許文献4〕に記載された方法に従う。
伸長反応の代表例としてPCRを説明する。96ウェル PCRプレートに10zmol/μlに調製したゲノム試料1μlを加え,氷上に置く。2.5 ユニット/μlの Taq.DNA ポリメラーゼ(QIAGEN社)を0.2 μl,2.5 mMのdNTPsを4μl,25 pmol/μlのプライマー組を各0.8μlを混合する。各ウェルあたり100μlとなるように滅菌水で調製する。上記各容量は同じ比率で変更することが可能で,たとえばPCRは50μlスケールでもよい。粘着シートでシーリングし,サーマルサイクラーにセットする。ゲノムを変性させるため,94℃で2分間加熱した後,94℃で30秒間,57℃で30秒間,72℃で1分間のサーマルサイクルを35回繰り返す。PCR反応液をマイクロチップ電気泳動解析システムで解析し,目的PCR産物量を測定する。使用するマイクロチップ電気泳動解析システムでは,使用する試薬キットとしてi-SDNA12キットを使用する。これは,解析範囲が10-500bpで内部標準マーカーの塩基長と量から目的PCR産物の長さと量を自動的に算出できる。すべての実施例でマニュアルに従い,PCR反応液1μlを解析する。
ここでは,サーマルサイクラーを用いたPCRを説明したが,プライマーないしプローブが片方だけで,標的ゲノムないしDNAに対し,片方の鎖のみに対する相補鎖合成でも同様な操作で相補鎖合成反応が可能で,サイクルをPCRと同様に行い,伸長産物を増幅することも可能である。あるいは,大腸菌DNAポリメラーゼIないしその部分酵素であるクレノーフラグメント等の酵素をもちい等温(たとえば37℃一定)で伸長反応を行うことも可能である。
固体を用いた遺伝子発現解析の方法について説明する。固体を用いた相補鎖伸長反応では,DNAチップあるいはDNAマイクロアレーと呼ばれるものがある。これらは常法に従い,ガラスやシリコンウエハーなどの実質的に平面な,もしくはガラスビーズやキャピラリー内部などの固相担体の上に,区画を区切ってDNAをプローブとして固定して用いる。具体的には0.02% 酢酸水溶液で調整した0.5% 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン溶液を40分間25℃で放置する。この溶液にスライドグラスを浸漬し,3時間25℃で反応させる。洗浄後120℃30分間空気中で過熱し,完全にシラン化反応を行う。5’-アミノ化オリゴDNA(10μM)の50mMホウ酸緩衝液(pH9.0)30nLをスポットし,加湿チャンバ内で25℃2時間反応させ,DNAマイクロアレーとする。
伸長反応の代表例として相補鎖合成反応を用いてSNPの判定を行う方法を図1〜図4を用いて説明する。図1記載の1-1と1-2は試料である相補的2本鎖ゲノムである。本配列情報はhttp://www-alis.tokyo.jst.go.jp/HOWDY/のアクセッションナンバーNM000024から得ることができる。上記方法に従いPCR産物1-3を得る。PCR反応時のプライマーやdNTPsを除去するため,セファデックスG100を用いたゲル濾過でPCR産物を精製する。あるいは,次に示す酵素的なクリーンアップで目的PCR産物を精製する。PCR反応後の溶液50μlに1 unit/μlの濃度のshrimp alkaline phosphataseを0.7μl, 10 unit/μlのexonuclease Iを0.06 μl,10×PCR buffer(Amersham Pharmacia社製品)を0.3 μl,滅菌水3.94μlを混合する。37℃で40分間インキュベートによる酵素反応を行った後,80℃で15分間加熱により酵素を失活させる。これで,目的PCR産物が実施的に精製される。もちろん,酵素的なクリーンアップの後に,セファデックスG25かG50によるゲル濾過を行えばさらに精製度を上げることができる。
このように精製した相補的2本鎖からなるPCR産物1-3には,A/GアレルのSNP1-4と1-5が存在する。1-4のSNP判定を行うにはプローブ1-6を鋳型DNA鎖1-2にハイブリダイズさせて伸長反応を行う。このときプローブの3’末端がちょうどSNP1-4の位置に来るようにプローブを設計する。プローブの3’末端がPCR産物1-3の鋳型DNA鎖1-2のSNP1-4の配列に相補であればDNAポリメラーゼによる相補鎖合成反応が起きる。相補でなければ相補鎖合成反応は起きないか,起きたとしても少ない量しか相補鎖合成が起きない。たとえば,SNP1-4の配列がTであるなら,プローブの3’末端がAのときのみ相補鎖合成が起きるが,末端がGのプローブでは相補鎖合成反応がおきづらい。反対に,SNP1-4の配列がCである場合は,プローブの3’末端がGのときのみ相補鎖合成が起きるが,末端がAのプローブでは相補鎖合成反応がおきづらい。
このため3’末端がAとGのプローブで別々に伸長反応が起きるかどうかを調べることでSNP1-4がどちらのタイプであるかを知ることができる。伸長反応が起きたかどうかは,上記マイクロチップ電気泳動解析システムで長さを測定することで容易に検出できる。すなわち相補鎖合成(伸長反応)がおきれば190塩基長ほどのところに強いピークが現れ,相補鎖合成(伸長反応)が起きなければこの位置にピークが現れない。あるいは,相補鎖合成時に生成するピロリン酸を酵素PPDK(ピルビン酸オルトホスホジキナーゼ)でATPに変換し,このATP量をルシフェリン/ルシフェラーゼの系により定量してもよい。この場合は相補鎖合成反応が起きればピロ燐酸が一塩基伸長するごとに一分子生成するので,プローブがハイブリダイズし,PCR産物の末端まで伸長することにより190分子のピロ燐酸が生成し,これがATPに変換され,ルシフェリン/ルシフェラーゼにより発光する。相補鎖合成が起きなければピロ燐酸が生成しないので当然のことながら発光はしないが,実際にはプローブの非特異反応や基質であるdNTPの分解により若干の発光が見られる。
ルシフェリン/ルシフェラーゼの系での検出いついての具体的操作を示す。たとえば,上記のようにPCR反応液を酵素クリーンアップした後,4℃まで冷却しておく。この反応液を96ウェル PCRプレート(白色)に2μl分注する。プローブ1-6(5 pmol/μl)を1μl添加する。あらかじめ5 unit/μl のTaq.DNA ポリメラーゼ0.0275 μlと,5 mM dNTPs 0.04 μlを混合し, 1.0μlとなるように滅菌水で調製した溶液を1.0μl加える。ミネラルオイルを4 μl重層する。94℃10秒間と55℃10秒間のサイクルを5回行った後,25℃まで冷却する。あらかじめ25℃にしておいた発光試薬(ピロリン酸をATPに変換し,ATPを日本産平家ホタル由来ルシフェリンを使用して検出する生物発光キット:キッコーマン(株))を10μlずつ加え,ピペッティングにより混合し,ルミノメーターで測定する。これにより伸長反応が起きたかどうかをピロ燐酸の量に依存する発光強度として容易に検出できる。実際にはプローブ1-6は図2に示した7-1や8-1や9-1のように分子内でホールディングしている。
このうち,8-1と9-1に関しては,ギプスの自由エネルギーが正で上記55℃では分子内のハイブリダイズ部分が開裂してホールディング構造を実質とらない。しかし,7-1記載の構造はギプスの自由エネルギーがマイナスを示しており,きわめて安定な構造となる。Taqポリメラーゼを用いた場合,Tm=60℃であるので,たとえば一般的なアニール温度50〜55℃ではプローブ自身がホールディングしてしまい,鋳型DNA鎖1-2にハイブリダイズしづらくなる。非耐熱性のDNAポリメラーゼ,たとえば,DNAポリメラーゼIクレノーフラグメントを使用すると実質的に37℃で相補鎖合成を行うことになるが,このような低温度ではプローブが確実にホールディングしており,伸長反応効率が低下する。また,鋳型DNA鎖1-2の方もホールディングするので両者の相同効果で相補鎖合成反応がおきづらくなる。もちろん鋳型DNAがゲノムのように十分長いとホールディングまでに時間を要するのでプローブのハイブリダイジングサイトは開いているが,短鎖のプローブでは塩基長が短く,秒単位の短時間でホールディングしてしまう。
このため,アニール温度や熱サイクルの条件でこの問題を逃れようとしても限界がある。そこで,プローブ1-6中の塩基10-1をCから10-2のAに変えるとプローブ7-2のように最もエネルギー的に安定である7-1の構造は崩壊して直鎖状となることがわかる。これは10-1に対しては11-1が相補的な配列としてその近傍3塩基が連続して分子内でハイブリダイズする構造をとるために安定なホールディングを形成するのに対し,プローブ7-2では11-1の相手となるべき10-2が非相補な配列に置き換わっているために連続したホールディングを形成できなくなったためである。8-2や8-3の構造は塩基置換位置と関係ないので残る。ホールディング解消のための塩基置換位置は複数箇所存在する。たとえば,図2の11-1の配列Gを図3の11-2のようにここだけAに変換したプローブとすることで7-3のようにホールディングを解消することができる。すなわち連続する3塩基が分子内で相補的な配列を有するいずれかの部位でそのうち1塩基を非相補は配列に置き換えることで,ホールディングを解消し,鋳型DNAと有効にハイブリダイズできるようになる。しかしこの場合も9-3のような分子内ホールディングは残る。
この場合は,ホールディング構造の解離温度(Tm)が16℃と低いため,さしたる問題とはならないが,低温での反応にはホールディングが問題となることはありうる。図4のように10-2と12-2のように2箇所の塩基を置き換えすなわち,鋳型DNA鎖1-2とは2カ所で非相補となる構造とすることで,7-4のようにホールディングを完全に抑えることができる。ここで問題になるのが,DNPポリメラーゼ反応そのものが鋳型DNAに対して相補でハイブリダイズしたプローブをコアに進行する点である。プローブと鋳型DNAの間に通常は存在しないミスマッチがあるとDNAポリメラーゼによる相補鎖合成(伸長反応)が阻害される。これは,第一にミスマッチが存在すると,鋳型DNAとプローブの全体のTmが低くなりプローブそのものが熱力学的に鋳型DNAに結合しづらくなるためである。しかし,これはプローブ長を長くすることで解決可能である。1塩基のミスマッチに付き1ないし2塩基分を5’末端側に長いプローブとすることで解決できる。しかし,プローブ分子内を局所的に見ると,鋳型DNAに対して非相補な部分が存在することになる。プローブ3’末端近傍にミスマッチが存在すると相補鎖合成反応がおきづらくなる。
これは,プローブ3’末端近傍が鋳型DNAに対して非相補となると,3’末端近傍の微小領域では熱力学的に不安定になり部分的にプローブが鋳型DNAから外れやすくなっているためと考えられる。実際図5のデータはプローブ中にミスマッチを入れる部分を変えて,相補鎖合成反応のおきやすさを上記生物発光の系で定量的に評価したものである。図5中で152で表したグループはちょうど高次構造が崩れる位置にミスマッチを入れたために他の点よりも相補鎖合成に依存する信号値が大きくなっている。151で表したグループでは,最も安定な7-1様のホールディングは保持されたままなので,全体的にハイブリダイゼーションが阻害さているが,ミスマッチの位置に対するDNAポリメラーゼ伸長反応の特性をつかむことはできる。ミスマッチを入れる部分はプローブの3’末端から少なくても3塩基以上はなれた位置にミスマッチをいれ,分子内ホールディングを壊すようにすべきであることが分かる。
分子内ホールディングがおきるプローブ1-6と,図4の7-4のように塩基を変更してホールディングがおきづらくしたプローブでそれぞれ31人のゲノムからPCR増幅をした試料で,図1の1-4に相当するSNPを解析した結果を図6の61と62に示す。各点は個人のSNPを示し,2種類のホモザイゴートG/GとA/A,ヘテロザイゴートG/Aの3グループのいずれかに分類させる。63は相補鎖合成反応に依存するスコアーが小さく,SNP型の判定ができないエリアを示す。ミスマッチを入れない一般的なプローブでは61のように判定できない検体がほとんどであるが,ホールディングを崩すようにミスマッチを入れたプローブでは62のようにSNP判定が可能であることが分かる。いずれの検体も,DNAシーケンシングでSNPの型を別途判定して比較したが,本発明によるプローブを用いて生物発光で検出した結果と完全に一致した。
SNP型の解析を行うためにデザインしたミスマッチを入れたプローブを図13に示す。ここで51は遺伝子名,52はhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/より取得可能なSNP部位の識別名,53はそのSNP部位周辺のオリジナルな配列と変異(1文字表記にしたもの),54は実際に解析に用いたミスマッチ入りプローブの配列(3’末端がアレル型2種類に対応する)である。図7は図13に記載したAldsterone Synthase(CYP11B2)遺伝子の解析例であり,ミスマッチの入っていないプローブを用いた例を64に,ミスマッチの入っているプローブを用いた例を65に示した。64ではアレルの塩基型の判定はかろうじてできているものの63に示すような相補鎖合成反応に依存するスコアーが小さくSNP型の判定ができないエリア内に留まってしまう点も多い。65ではプローブの3’末端から17塩基目をCからAに変更することによりプローブのハイブリダイゼーション効率が改善され,SNP型を判定するのに十分なシグナルの検出が可能となっている。
図8は図13に記載したPentraxin related遺伝子の解析例であり,ミスマッチの入っていないプローブを用いた例を66に,ミスマッチの入っているプローブを用いた例を67に示す。66では63に示すような相補鎖合成反応に依存するスコアーが小さくSNP型の判定ができないエリア内に留まってしまう点はなく十分なシグナル強度が得られていたものの,プローブの選択性は低くSNP型の判定が困難であった。67ではプローブの3’末端から3塩基目をAからTに変更することによりプローブの選択性が改善され,SNP型の正確な判定が可能となった。図9は図13に記載したCYP1A1*2C遺伝子の解析例であり,ミスマッチの入っていないプローブを用いた例を68に,ミスマッチの入っているプローブを用いた例を69に示した。
68ではプローブ配列の分子同士のハイブリダイズに依存するギプスの自由エネルギーが-1.73kcal/molを示しておりきわめて安定な構造をとっているために鋳型DNAに対してハイブリダイゼーションが起こらず,ほとんどの点が63に示すような相補鎖合成反応に依存するスコアーが小さくSNP型の判定ができないエリア内に留まっている。69ではプローブの3’末端から5塩基目をGからTに,17塩基目をAからTに変更することによりプローブのハイブリダイゼーション効率が改善され,SNP型を判定するのに十分なシグナルの検出が可能となっている。これら各34検体についてもDNAシーケンシングでSNPの型を別途判定して比較したが,本発明によるプローブを用いて生物発光で検出した結果と完全に一致することを確認している。
実施例1ではプローブ中の塩基を変えることによりDNAポリメラーゼを用いた伸長反応の効率を増強できることを示した。本実施例では,同様にDNAポリメラーゼを用いたPCRでの有効性について証明する。ここでは,塩基を他の塩基に置き換える代わりに,リン酸ジエステル結合の間の糖鎖に塩基が結合していないスペーサーに置き換えた発明例で説明する。図2の10-1や12-1の塩基を図10に示した1の構造でR1=H,R2=Hのスペーサー(ここでは#で表す)や5の構造でR3=H,R4=Hのスペーサー(ここでは&で表す)に変更したものを図11に表す。このプローブ6,7を用いることにより実施例1と同様の効果が得られる。即ち,検出したいSNP部位の周辺配列が高次構造をとりやすい場合にその配列中のホールディングしやすい部位を鋳型DNAとハイブリダイズしないスペーサーに置き換えることにより,自在にプローブの設計を行うことが可能であることが示された。
固体を用いた遺伝子発現解析に本発明を利用する方法について説明する。DNAマイクロアレーは上記方法の常法に従い作成する。ここでは図14に示したのが実際に解析に用いた配列であり,71は遺伝子名,72はそのオリジナルな配列,73は実際に解析に用いたミスマッチ入りプローブの配列である。図12に従来のプローブ81と本発明の構造を壊したプローブ82を用いた遺伝子発現解析の結果の一部を蛍光強度比で示す。図14のPON2遺伝子の場合,プローブを固定していないバックグラウンド83から得られる蛍光強度0.55に対して従来のプローブ81を用いた場合には3.41の蛍光強度が得られている。
これに対して本発明の構造を壊したプローブ82を用いた場合では5.29の蛍光強度が得られており,プローブの高次構造を破壊して選択性があがったことにより従来よりも1.7倍の感度が得られるようになった。CAPN10遺伝子では1.9倍,CYPA*2Aでは1.8倍,CYPA*2Cでは2.1倍の感度が得られるようになった。即ち,遺伝子の発現解析を目的としたときに,配列が高次構造をとりやすい場合には配列中のホールディングしやすい部位を鋳型DNAとハイブリダイズしない塩基若しくはスペーサーに置き換えることにより,自在にプローブの設計を行うことが可能であることが示された。この手法は遺伝子発現の抑制を目的とするアンチセンスオリゴの合成時においても同様に有効である。
バイオ分野と医療分野では,SNPや遺伝子発現の解析がさかんに行われるようになっている。多量の検体からのSNP解析を行い,統計的に多型頻度を求め,さらに疾病との関連や薬効との関連を調べる研究が盛んである。あるいは,SNPを用いた連鎖不平衡解析から疾病関連遺伝子の探索を行う研究も盛んである。これらはいずれも統計的に十分な検体でのSNP解析であり,個々人の多型そのものの精度はあまり問題になることはない。しかし,確定されたSNPを臨床現場で使用するとなると,正確度が極めて重要となる。本発明による,プローブとプライマーは測定対象となるSNP近傍に高次構造が存在し,プライマーやプローブにどうしてもこれら高次構造部位を選ばざるを得ないケースでもこのような高次構造の影響を受けずに目的SNPを解析したりできる。あるいは遺伝子発現解析においてプローブ内に存在する高次構造を破壊することによりハイブリダイゼーション効率を高め,従来よりも1.5倍以上も感度よく検出することが可能である。また特定の遺伝子の発現を抑制するようなアンチセンスオリゴの選択性向上にも有効な手法であり,きわめて有用と考えられ,早急な実現が望まれる。
Claims (16)
- 鋳型DNAに実質相補的にハイブリダイズすべき合成オリゴDNAからなるプローブであって,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの一塩基ないし2塩基を他の塩基に置き換えた構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブ。
- 鋳型DNAに実質相補的にハイブリダイズすべき合成オリゴDNAからなるプローブであって,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を他の塩基に置き換えた構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブを用いてDNAポリメラーゼ反応を行う核酸断片の相補鎖合成法。
- 鋳型DNAに実質相補的にハイブリダイズすべき合成オリゴDNAからなるプローブであって,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基をスペーサーに置き換えた構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブ。
- 鋳型DNAに実質相補的にハイブリダイズすべき合成オリゴDNAからなるプローブであって,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基をスペーサーに置き換えた構造プローブを用いてDNAポリメラーゼ反応を行う核酸断片の相補鎖合成法。
- 鋳型DNAと非相補となる構造部分が3’末端から 3塩基以上はなれた位置にあることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のプローブ。
- 鋳型DNAと非相補となる構造部分が3’末端から 3塩基以上はなれた位置にあることを特徴とする請求項1あるいは3のプローブないしプライマーを用いる請求項2または請求項4に記載の相補鎖合成法。
- 鋳型DNAと非相補となる構造部分が3’末端から 4塩基以上はなれた位置にあることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のプローブ。
- 鋳型DNAと非相補となる構造部分が3’末端から 4塩基以上はなれた位置にあることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のプローブを用いる請求項2または請求項4の相補鎖合成法。
- 請求項1または請求項3または請求項5または請求項7記載のプライマーを用いる核酸増幅方法。
- 合成オリゴDNAからなるプローブの3’末端が鋳型DNAに実質相補で,かつ,プライマーの3’末端2塩基以内の少なくとも1塩基が,鋳型DNA中の解析対象である一塩基多型あるいはインサーションあるいはデリーションなどの塩基の変化を伴う多型部位に位置する構造で,かつ,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を鋳型DNA配列と非相補な塩基ないしスペーサーに置き換えた構造で,かつ,非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた部位がプローブの3’末端から3塩基以上はなれたところに位置する構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブ。
- 合成オリゴDNAからなるプローブないしプライマーの3’末端が鋳型DNAに実質相補で,かつ,プライマーの3’末端2塩基以内の少なくとも1塩基が,鋳型DNA中の解析対象である一塩基多型あるいはインサーションあるいはデリーションなどの塩基の変化を伴う多型部位に位置する構造で,かつ,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を鋳型DNA配列と非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた構造で,かつ,非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた部位がプローブないしプライマーの3’末端から3塩基以上はなれたところに位置する構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブを鋳型DNAにハイブリダイズさせる工程,DNAポリメラーゼとその基質を添加しDNAポリメラーゼ反応を行う工程,概DNAポリメラーゼ反応においてプローブの3’末端の2塩基が相補な鋳型DNAに対して相補な場合は相補鎖合成反応を起こし,プローブの3’末端の2塩基のうち少なくとも1塩基が相補な鋳型DNAに対して非相補な場合には相補鎖合成反応が起きないことを検出する工程からなる遺伝子多型解析方法。
- 合成オリゴDNAからなるプローブの3’末端が鋳型DNAに実質相補で,かつ,プライマーの3’末端2塩基以内の少なくとも1塩基が,鋳型DNA中の解析対象である一塩基多型あるいはインサーションあるいはデリーションなどの塩基の変化を伴う多型部位に位置する構造で,かつ,合成オリゴDNAが分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を鋳型DNA配列と非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた構造で,かつ,非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた部位がプローブの3’末端から3塩基以上はなれたところに位置する構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブないしプライマーを鋳型DNAにハイブリダイズさせる工程,DNAポリメラーゼとその基質を添加しDNAポリメラーゼ反応を行い,概DNAポリメラーゼ反応においてプローブないしプライマーの3’末端の2塩基が相補な鋳型DNAに対して相補であるときにピロリン酸を生成せしめる工程,生成するピロリン酸をATPに変換する工程,変換したATPをルシフェリンとルシフェラーゼを用いた生物発光反応で検出する工程からなる遺伝子多型解析方法。
- 鋳型RNAや鋳型DNAで実質相補的にハイブリダイズすべき合成ポリヌクレオチドからなるアンチセンスプローブにおいて,合成ポリヌクレオチドの分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成ポリヌクレオチド中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を鋳型RNAや鋳型DNAに対して非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた構造とすることでホールディングを防止する構造のプローブ。
- 請求項13に記載のプローブを用いる遺伝子機能や遺伝子発現の抑制方法。
- 鋳型DNAで実質相補的にハイブリダイズすべき合成オリゴDNAからなるプローブであって,合成オリゴDNAの分子内で連続する3塩基以上で分子内ハイブリダイゼーションを起こしてホールディングする構造を破壊するために,合成オリゴDNA中のホールディングに関与する連続する3塩基のいずれかの1塩基または2塩基を鋳型DNAに対して非相補な塩基に置き換えた構造とすることでホールディングを防止する構造で5’-もしくは3’- もしくは非相補な塩基またはスペーサーに置き換えた構造部分の少なくとも一部が蛍光体などにより標識されたプローブ。
- 請求項15に記載のプローブを用いる遺伝子発現の解析方法。
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