JP2018503390A - 基質分子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、検出可能なレポーター(例えば、蛍光体)の放出によってニッキング酵素およびポリメラーゼ伸長活性を検出する核酸基質分子の使用を伴う、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を評価するための組成物および方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/110,237号の優先権を主張する。この出願の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
核酸増幅反応は、標的核酸が存在しないこと(真陰性)、または特異的増幅が阻害されること(偽陰性)に起因して、反応しない場合がある。従って、反応しない原因を理解することは、陰性結果の解釈に影響を与え得る。陽性対照を使用すると、反応成分に起因する失敗を除外することによって、陰性結果が真陰性であるという確信を高めることができる。感染因子を検出するための手段として核酸増幅反応を用いる場合、陰性増幅が真に陰性の試料を表すことを示すために、陽性対照は特に有用である。
従って、標的核酸分子を正確に検出するための改良された方法が緊急に必要とされている。
本発明は、検出可能なレポーター(例えば、蛍光体)の放出によってニッキング酵素活性およびポリメラーゼ伸長活性を検出する核酸基質分子の使用を伴う、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を試験するための組成物および方法を提供する。
一局面において、本発明は、核酸二重鎖を含む、ニッキングおよび伸長反応のための基質を提供し、該核酸二重鎖は、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖;を有するか、または、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖;を有する。
別の局面において、本発明は、以下の工程を伴う、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する方法を提供する:核酸二重鎖をニッキング酵素と接触させる工程であって、該二重鎖が、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを含む、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖;を有するか、または、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖;を有する、工程;ニッキングされた二重鎖をdNTPの存在下でポリメラーゼと接触させる工程;ポリメラーゼ伸長を行い、それによって、第1核酸鎖の、蛍光検出可能な標識またはクエンチャー部分に共有結合された、ニック部位より3'側の部分を置換する工程;ならびに、クエンチャーから分離された蛍光検出可能な標識からのシグナルを検出し、それによって反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する、工程。
さらに別の局面において、本発明は、以下の工程を伴う、ニッキング増幅反応において特異的産物を増幅させる方法を提供する:ポリメラーゼ、dNTP、ニッキング酵素、および二重鎖の存在下で、標的核酸分子を、実質的に等温の条件下で、各々が標的核酸分子へ特異的に結合する2つ以上のプライマーと接触させる工程であって、該二重鎖が、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖;を有するか、または、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖;を有する、工程;該標的核酸分子の少なくとも一部分を含有するアンプリコンを生じさせる工程;二重鎖をニッキングし、ポリメラーゼ伸長を行い、それによって、第1核酸鎖の、蛍光検出可能な標識またはクエンチャー部分に共有結合された、ニック部位より3'側の部分を置換する工程;ならびに、クエンチャーから分離された蛍光検出可能な標識からのシグナルを検出し、それによって反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する、工程。
別の局面において、本発明は、以下の工程を伴う、ニッキング増幅反応における特異的産物を検出する方法を提供する:ポリメラーゼ、dNTP、ニッキング酵素、検出可能なポリヌクレオチドプローブ、および二重鎖の存在下で、標的核酸分子を、実質的に等温の条件下で、各々が標的核酸分子へ特異的に結合する2つ以上のプライマーと接触させる工程であって、該二重鎖が、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖;を有するか、または、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖;を有する、工程;該標的核酸分子の少なくとも一部分を含有するアンプリコンを生じさせる工程;二重鎖をニッキングし、ポリメラーゼ伸長を行い、それによって、第1核酸鎖の、蛍光検出可能な標識またはクエンチャー部分に共有結合された、ニック部位より3'側の部分を置換する工程;クエンチャーから分離された蛍光検出可能な標識からのシグナルを検出し、それによって反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する工程;ならびに、標的核酸分子またはそのアンプリコンへのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに特異的なシグナルを検出する工程であって、該シグナルが、試料中に存在する標的核酸分子またはそのアンプリコンの量を示す、工程。
さらに別の局面において、本発明は、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出するためのキットを提供し、該キットは、核酸二重鎖を含むニッキングおよび伸長反応のための基質を含有し、該核酸二重鎖は、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖;を有するか、または、ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第1核酸鎖;および、第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖;を有する。
本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖は、約30 bp〜約2 kb長、約100 bp〜約1 kb長、約100〜約500 bp長、約30〜約200 bp長、約30〜約60 bp長、約35〜約50 bp長である。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖の核酸鎖は、約30〜約2000 nt長、約100〜約1000 nt長、約100〜約500 nt長、約30〜約100 nt長、約30〜約60 nt長、約35〜約50 nt長である。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、核酸鎖のニック部位より3'側の長さは、約25 nt、約35 nt、約40 ntまたはそれ以上である。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、核酸鎖のニック部位より5'側の長さは、10 nt、約15 nt、約20 ntまたはそれ以上である。ある態様において、核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さは、約10 nt、約5 nt、約3 ntまたはそれ以下である。特定の態様において、核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さは、4、3、2、または1 ntである。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、第1および第2核酸鎖は共有結合されている。
本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質は修飾ヌクレオチドを含む。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、第2核酸の3'末端は、C3スペーサー、ジデオキシヌクレオチド、リン酸化、色素、蛍光体、クエンチャー、スペーサー、またはリンカーで修飾されている。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖の第1核酸鎖は、ニック部位より5'側の位置1(例えば、ニック -1)、ニック部位より5'側の位置2(例えば、ニック -2)、およびニック部位より3'側の位置1(例えば、ニック +1)における1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖の第1核酸鎖は、ニッキング認識部位とニック部位との間の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5個)のヌクレオチドにおいて修飾されている。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質は、ニッキング酵素認識部位内の1つまたは複数の位置において修飾されている。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、修飾ヌクレオチドは、2'-O-メチル、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-ヒドロキシル(RNA)、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH22-O-2'-架橋、および2'-O-(N-メチルカルバメート)、メチル化、ビオチン化、ヌクレオチド付加物、または塩基アナログを含む修飾ヌクレオチドである。
本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖は、クエンチャー部分と対になった蛍光検出可能な標識を有する。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、蛍光検出可能な標識は、FAM、TET、HEX、TAMRA、JOE、またはROXである。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、クエンチャー部分は、5' Iowa Black(登録商標)RQ (5IabRQ)、ダブシル(dabcyl)、ダブシル(dabsyl)、またはBlack Hole Quencher色素である。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖は、向かい合った核酸鎖上かつ二重鎖内で共有結合されている(例えば、ビオチン化されている)蛍光検出可能な標識およびクエンチャー部分の対を1つまたは複数含有する。
本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、反応を実質的に等温の条件下で行う。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、反応は、プライマー、プローブ、および/または標的核酸分子をさらに含む。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖の核酸鎖は、反応中に存在する他の核酸分子に結合しない配列を有する。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、核酸二重鎖の蛍光検出可能な標識とプローブの蛍光検出可能な標識とは異なる(例えば、FAMおよびCalRed)。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、二重鎖からのシグナルの検出を陽性対照として使用する。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、二重鎖からのシグナルが規定の相対蛍光(RFU)に達する時が、ニッキング増幅反応のモニタリングの終了点を示す。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、方法は、修飾が異なる1つまたは複数の核酸二重鎖または基質の使用を伴う。
本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、、ニッキング酵素によって基質または二重鎖の第1核酸鎖がニッキングされる。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、ニッキング酵素は、Nt.BstNBI、N.Bst9I、N.BstSEI、Nb.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.Bpu10I、Nt.BsmAI、Nt.BspD6I、Nt.BspQI、およびNt.CviPIIである。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、基質または二重鎖の第1核酸鎖をポリメラーゼと接触させる。本明細書において詳述される任意の局面の様々な態様において、ポリメラーゼは、Bst DNAポリメラーゼI、Bsu DNAポリメラーゼ、Gst DNAポリメラーゼI、およびGka DNAポリメラーゼIである。他の態様において、例示的なポリメラーゼとしては、BST(ラージフラグメント)、DNAポリメラーゼI(大腸菌(E. coli))、DNAポリメラーゼI、ラージ(Klenow)フラグメント、Klenowフラグメント(3'-5' exo-)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Deep VentR(exo-)DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、DyNAzyme、High-Fidelity DNAポリメラーゼ、Therminator、Therminator II DNAポリメラーゼ、AmpliTherm DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tgo DNAポリメラーゼ、SP6 DNAポリメラーゼ、Tbr DNAポリメラーゼ、またはそれらの活性フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
定義
「アンプリコン」は、関心対象のポリヌクレオチドの増幅の際に生成されるポリヌクレオチドを意味する。一例において、アンプリコンは、ニッキング増幅反応の際に生成される。
「増幅速度調節剤」は、ポリメラーゼ伸長の速度に影響を与えることができる薬剤を意味する。
「塩基置換」は、相補的ヌクレオチド鎖間のハイブリダイゼーションの顕著な破壊を引き起こさない核酸塩基ポリマーの置換を意味する。
本開示において、「含む」、「含むこと」、「含有すること」および「有すること」などは、米国特許法においてそれらに属する意味を有し得、「包含する」、「包含すること」などを意味し得;「から本質的になること」または「本質的になる」も同様に、米国特許法に属する意味を有し、その用語はオープンエンドであり、記載されるものの基本的なまたは新規な特徴が、記載されるもの以外のものの存在により変更されない限り、記載されるもの以外のものの存在を許容するが、先行技術の態様を除く。
「相補的」または「相補性」は、伝統的なWatson-Crick塩基対またはHoogsteen塩基対のいずれかの形成によって核酸が別の核酸配列と水素結合を形成できることを意味する。相補的塩基対形成は、G-CおよびA-T塩基対形成を含むだけでなく、イノシンなどのユニバーサル塩基を含む塩基対形成も含む。相補性の割合(%)は、核酸分子中の、第2の核酸配列と水素結合を形成(例えば、Watson-Crick塩基対を形成)することができる連続残基の割合(%)を示す(例えば、第1のオリゴヌクレオチド中の合計10ヌクレオチドのうちの5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドが、10ヌクレオチドを有する第2の核酸配列と塩基対を形成することは、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相補性を表す)。相補性の割合(%)が、少なくともある割合(%)であることを決定するためには、核酸分子中の、第2の核酸配列と水素結合を形成(例えば、Watson-Crick塩基対を形成)できる連続残基の割合(%)を算出し、最も近い整数へと四捨五入する(例えば、第1のオリゴヌクレオチド中の合計23ヌクレオチドのうちの12、13、14、15、16、または17ヌクレオチドが、23ヌクレオチドを有する第2の核酸配列と塩基対を形成することは、それぞれ、52%、57%、61%、65%、70%、および74%を表し;それぞれ、少なくとも50%、50%、60%、60%、70%、および70%の相補性を有する)。本明細書において使用される場合、「実質的に相補的」は、生物学的条件下でハイブリダイズできるような、鎖の間の相補性を指す。実質的に相補的な配列は、60%、70%、80%、90%、95%、またはさらに100%の相補性を有する。さらに、2本の鎖が生物学的条件下でハイブリダイズできるかどうかを、それらのヌクレオチド配列を調べることによって決定するための技術は、当技術分野において周知である。
本明細書において使用される場合、「二重鎖」は、2本の一本鎖核酸の相互作用によって形成される二重らせん構造を指す。典型的には二重鎖は、互いに対して逆平行に方向付けられた2本の一本鎖核酸間の塩基の対ごとでの水素結合形成、即ち、「塩基対形成」によって形成される。二重鎖中の塩基対形成は、一般にWatson-Crick塩基対形成によって生じ、例えば、グアニン(G)はDNAおよびRNAにおいてシトシン(C)と塩基対を形成し、アデニン(A)はDNAにおいてチミン(T)と塩基対を形成し、アデニン(A)はRNAにおいてウラシル(U)と塩基対を形成する。塩基対が形成され得る条件は、生理学的または生物学的に適切な条件(例えば、細胞内:pH 7.2、140 mMカリウムイオン;細胞外:pH 7.4、145 mMナトリウムイオン)を含む。さらに、二重鎖は、隣接ヌクレオチド間のスタッキング相互作用によって安定化される。本明細書において使用される場合、二重鎖は、塩基対形成によってまたはスタッキング相互作用によって、確立または維持され得る。二重鎖は、実質的に相補的または完全に相補的であり得る、2本の相補的核酸鎖によって形成される。多数の塩基にわたって塩基対を形成する一本鎖核酸は、「ハイブリダイズ」すると称される。
「検出する」は、検出される分析物の存在、欠如、または量を同定することを指す。
「検出可能な部分」は、関心対象の分子に連結されると、その分子を分光学、光化学、生化学、免疫化学、または化学的手段を介して検出可能にする、成分を意味する。例えば、有用な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般に使用されるようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテンが挙げられる。
「フラグメント」は、核酸分子の一部分を意味する。この一部分は、好ましくは、基準核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含有する。フラグメントは、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチドを含有し得る。
「ハイブリダイズする」は、様々なストリンジェンシーの条件下で相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)またはその一部分の間で二本鎖分子を形成することを意味する(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照のこと)。ハイブリダイゼーションは、相補的核酸塩基間の、Watson-Crick、Hoogsteen、または逆Hoogsteen水素結合形成であり得る水素結合形成によって生じる。例えば、アデニンとチミンは、水素結合の形成を通じて対形成する相補的核酸塩基である。
「単離されたポリヌクレオチド」は、本発明の核酸分子が由来する生物の天然ゲノムにおいてその遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸(例えば、DNA、RNA)を意味する。従って、この用語は、例えば、ベクター中に;自律的に複製するプラスミドもしくはウイルス中に;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれている;あるいは、他の配列から独立して別個の分子として存在する(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ消化によって産生されたcDNAまたはゲノムもしくはcDNAフラグメント)、組換えDNAを含む。加えて、この用語は、DNA分子から転写されたRNA分子、および追加的ポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
用語「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」は、天然状態で見出される場合には通常それに伴う成分が、様々な程度において除去されている物質を指す。「単離」は、元の供給源または周囲からのある程度の分離を示す。「精製」は、単離よりも高い程度の分離を示す。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物もそのタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を与えたり他の有害な結果を生じたりしないように、十分に他の物質が除かれている。即ち、本発明の核酸またはペプチドは、それが組換えDNA技術によって産生された場合には細胞物質、ウイルス性物質もしくは培養培地を、または化学的に合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない場合に、精製されていることになる。純度および均質性は、典型的には、分析的化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。用語「精製された」は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを示し得る。例えば、リン酸化またはグリコシル化のような修飾に供され得るタンパク質については、異なる修飾が異なる単離されたタンパク質を生じ得、これらは別々に精製されることができる。
「融解温度(Tm)」は、分子集団の50%がある状態であり、その集団の50%が別の状態である、平衡にある系の温度を意味する。本発明の核酸に関しては、Tmは、集団の50%が一本鎖であり、50%が二本鎖(例えば、分子内または分子間で)である温度である。
「反応をモニタリングすること」は、反応の進行を検出することを意味する。一態様において、反応の進行をモニタリングすることは、ニッキング活性、ポリメラーゼ伸長を検出すること、および/または増幅反応の完了を検出することを含む。
本明細書において使用される場合、「薬剤を得ること」などにおける「得ること」は、その薬剤を合成する、購入する、または他のやり方で取得することを含む。
本明細書において使用される場合、用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または修飾ヌクレオチド、および一本鎖または二本鎖形態でのそれらのポリマーを指す。この用語は、基準核酸と類似の結合特性を有し、基準ヌクレオチドと類似の様式で代謝される、合成、天然、および非天然の、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾骨格残基もしくは連結を含有する核酸を包含する。そのようなアナログの例は、非限定的に、2'修飾ヌクレオチド(例えば、2'-O-メチルリボヌクレオチド、2'-Fヌクレオチド)を含む。
本明細書において使用される場合、「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環、またはリン酸基への1つまたは複数の修飾を有するヌクレオチドを指す。例えば、修飾ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸、グアノシン一リン酸、ウリジン一リン酸、およびシチジン一リン酸を含有するリボヌクレオチド、ならびにデオキシアデノシン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、およびデオキシシチジン一リン酸を含有するデオキシリボヌクレオチドを除く。修飾は、メチルトランスフェラーゼなどのヌクレオチド修飾酵素による修飾から生じる、天然に存在するものを含む。修飾ヌクレオチドはまた、合成または非天然のヌクレオチドを含む。ヌクレオチド中の合成または非天然の修飾としては、2'修飾を有するもの、例えば、2'-O-メチル、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-ヒドロキシル(RNA)、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH22-O-2'-架橋、および2'-O-(N-メチルカルバメート)、または塩基アナログを含むものが挙げられる。
「ヌクレオチド付加物」は、標準ヌクレオチド塩基に共有結合されている、または他のやり方で固定されている部分を意味する。
「ニッキング剤」は、二本鎖核酸分子中の特異的構造を認識してそれに結合でき、その認識される特異的構造への結合の際に、一本鎖において隣接しているヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合を切断し、それによりニック部位の前の末端ヌクレオチドに遊離3'-ヒドロキシル基を生じさせることができる化学物質を意味する。好ましい態様において、3'末端は、エキソヌクレアーゼ欠損ポリメラーゼによって伸長され得る。例示的なニッキング剤としては、ニッキング酵素、RNAザイム、DNAザイム、および遷移金属キレーターが挙げられる。
「パリンドローム」は、一方の鎖において5'から3'方向に読んでも、その相補鎖において5'から3'方向に読んでも同一であるかまたは実質的に同一である、核酸配列を意味する。完全なパリンドロームは、2つの隣接サブ配列を有する配列であって、一方のサブ配列が5'から3'方向に読まれた場合に、他方のサブ配列が3'から5'方向に読まれたものと同一になっているものを指す。
「ポリメラーゼ停止分子」は、ポリヌクレオチド鋳型上のポリメラーゼの進行を抑制または顕著に低減する、ポリヌクレオチド鋳型/プライマーに付随する部分を意味する。好ましくは、この部分は、ポリヌクレオチド中に組み込まれる。好ましい一態様において、この部分は、鋳型上でのポリメラーゼの進行を抑制する。
「ポリメラーゼ伸長」は、鋳型ポリヌクレオチド上で後続の単量体をその結合パートナーに整合させる、ポリメラーゼの順方向への進行を意味する。
本明細書において使用される場合、「プライマー二量体」は、2個の単量体オリゴヌクレオチドプライマーの二量体を意味する。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーでは、単量体プライマーの5'尾部領域が二量体化する。
「半定量的」は、内部対照に基づく相対量の推定値を提供することを意味する。
「特異的産物」は、プライマーオリゴヌクレオチドの相補的標的配列へのハイブリダイゼーションと、それに続くポリメラーゼ媒介による標的配列の伸長とから生じる、ポリヌクレオチド産物を意味する。
「実質的に等温の条件」は、単一の温度、または著しくは変動しない狭い温度範囲内であることを意味する。一態様において、実質的に等温の条件下で行われる反応は、約1〜5℃だけ変動する(例えば、1、2、3、4、または5度変動する)温度で行われる。別の態様において、その反応は、利用される装置の操作パラメーター内の単一の温度で行われる。
「量閾値方法」は、比較標準の量の超過または非超過のいずれかに基づく量の推定値を提供することを意味する。
「基準」は、標準または対照条件を意味する。当業者には明らかであるように、適切な基準は、要素の影響を判定するためにその要素が変更されるものである。
「対象」は、ヒト、またはウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、もしくはネコのような非ヒト哺乳動物を含むが、これらに限定されない、哺乳動物を意味する。
「標的核酸分子」は、分析されるポリヌクレオチドを意味する。そのようなポリヌクレオチドは、標的配列のセンスまたはアンチセンス鎖であり得る。用語「標的核酸分子」はまた、元の標的配列のアンプリコンを指す。
本明細書において提供される範囲は、範囲内の全ての値の省略表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
具体的に述べられ、または文脈から明らかである場合を除いて、本明細書において使用される場合、用語「または」は、包括的であると理解される。具体的に述べられ、または文脈から明らかである場合を除いて、本明細書において使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は単数形または複数形であると理解される。
特に記載されていたり文脈から明らかであったりしない限り、本明細書において使用される場合、用語「約」は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差以内と理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。特に文脈から明らかでない限り、本明細書において提供される全ての数値は、約という用語により修飾される。
本明細書における可変部の定義における化学基の列挙の記載は、列挙された基のいずれかの単一の基または組み合わせとしてのその可変部の定義を含む。本明細書における可変部または局面についての態様の記載は、いずれかの単一の態様としての、またはいずれかの他の態様もしくはその一部分との組み合わせての、その態様を含む。
本明細書において提供されるあらゆる組成物または方法は、本明細書において提供される他の組成物および方法のいずれかの1つまたは複数と組み合わせることができる。
図1A〜Fは、ニッキングおよび伸長反応の基質の構造および機構を図示する。図1Aは、本発明のニッキングおよび伸長反応の基質分子の構造を図示する。 図1Bは、一方の鎖において、鎖の3'末端で結合(例えば、共有結合)されている検出可能なレポーター分子に対して5'側にあるニック部位を有する、オリゴヌクレオチド二重鎖を図示する。示されている例において、検出可能なレポーターは、反対側の鎖の5'末端にあるクエンチャーの近位にある蛍光体である。2つの鎖がアニールされると、3'蛍光体(例えば、FAM、HEX)とクエンチャー(例えば、5IabRQ、BHQ-1)は互いに近くにあり、蛍光シグナルがクエンチされる。 図1Cは、本発明の基質分子がニッキング酵素認識部位を有し、この部位に結合するニッキング酵素の存在下で本発明の基質分子がニッキングされることを示す。 図1Dは、ニッキングされた本発明の基質分子が、ニックにおいて、ポリメラーゼに接触され得る遊離3'末端を有することを示す。 図1Eは、相補鎖を鋳型として使用するポリメラーゼ伸長を示す。ポリメラーゼ伸長は、鎖のニック部位より3'側の部分(検出可能なレポーターに連結されている)を置換する。検出可能なレポーターは、クエンチャーから分離されると蛍光を発する。 図1Fは、伸長反応の生成物が再びニッキングされ得ることを示す。しかしながら、分子は、ニッキングおよび伸長のさらなるラウンドを防ぐまたは最小限にするように設計され得る。 図2A〜Bは、本発明の基質分子のニッキングおよび伸長がシグナルの直線的な上昇をもたらすことを示す。図2Aは、ニッキング酵素およびポリメラーゼの存在下での本発明の基質分子からのシグナルが、反応が進行するにつれて直線的に上昇することを示す図である。基質分子および/またはその鎖が他の反応成分とは相互作用しない場合に、直線的な上昇が予想される。例えば、任意の鎖の3'末端は蛍光体またはC3スペーサーによってブロックされ得る。図2Bは、ニッキング増幅反応における外在性対照分子としての本発明の基質分子の使用を示す図である。ニッキング酵素およびポリメラーゼがニッキング増幅反応において活性を有することを示すための対照として、当該基質分子を使用することができる。ニッキング増幅反応の反応終了点は、外在性対照分子が規定のRFU(相対蛍光単位)に達する時間として設定され得る。例えば、これは、その検出時間に基づいて増幅シグナルを陽性または陰性と特徴付けるために、使用され得る。 図3A〜Bは、一例においてポリメラーゼ処理能力を研究するために使用され得る、本発明の「ロングマー(longmer)」基質を図示する。図3Aは、本発明のニッキングおよび「ロングマー」基質分子の構造を図示する。図3Bは、ポリメラーゼ処理能力に対する効果を研究するために使用され得る修飾および因子を図示する。 本発明の基質分子の特性に対する修飾ヌクレオチドの効果を試験するために使用された配列を提供する。5'クエンチャー5IabRQ(5' Iowa Black RQ)を有するオリゴヌクレオチド鎖ExogContBOTは、3'蛍光体36-FAMを有するオリゴヌクレオチド鎖(バニラ(vanilla)(修飾ヌクレオチド無し)、ニック -2(ニック部位より5'側の位置2に2'OMe)、ニック +1(ニック部位より3'側の位置1に2'OMe)、およびニック -1(ニック部位より5'側の位置1に2'OMe))の各々と対形成された。 図5A〜Eは、様々な濃度のニッキング酵素、およびポリメラーゼの存在下での、図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示する。結果は、基質分子の反応が、修飾ヌクレオチド、ニッカーゼの量と比べての基質分子の濃度、および/または異なる修飾をされた基質分子の混合物を使用してチューニングされ得ることを示している。図5Aは、0.3U/μlニッキング酵素の存在下での図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示するグラフである。 図5Bは、0.015U/μlニッキング酵素の存在下での図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示するグラフである。 図5Cは、0.075U/μlニッキング酵素の存在下での図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示するグラフである。 図5Dは、0.00375U/μlニッキング酵素の存在下での図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示するグラフである。 図5Eは、0.0188U/μlニッキング酵素の存在下での図4に記載したオリゴヌクレオチド鎖を有する基質分子の活性を図示するグラフである。 図6A〜Dは、3'蛍光体36-FAMを有する未修飾および修飾オリゴヌクレオチド鎖によって構成された図4A〜4Eに示されるグラフを図示する。図6Aは、5'クエンチャー5IabRQを有するオリゴヌクレオチド鎖ExogContBOTと、3'蛍光体36-FAMを有しかつ修飾ヌクレオチドを有さないバニラオリゴヌクレオチド鎖とを含む基質分子についての反応曲線を図示する。 図6Bは、5'クエンチャー5IabRQを有するオリゴヌクレオチド鎖ExogContBOTと、3'蛍光体36-FAMおよびニック部位より5'側の位置2に2'OMeを有するニック -2オリゴヌクレオチド鎖とを含む基質分子についての反応曲線を図示する。 図6Cは、5'クエンチャー5IabRQを有するオリゴヌクレオチド鎖ExogContBOTと、3'蛍光体36-FAMおよびニック部位より5'側の位置1に2'OMeを有するニック -1オリゴヌクレオチド鎖とを含む基質分子についての反応曲線を図示する。 図6Dは、5'クエンチャー5IabRQを有するオリゴヌクレオチド鎖ExogContBOTと、3'蛍光体36-FAMおよびニック部位より3'側の位置1に2'OMeを有するニック +1オリゴヌクレオチド鎖とを含む基質分子についての反応曲線を図示する。 基質分子中のオリゴヌクレオチドのニッキング認識部位より5'側の長さの効果を決定するための研究の結果を図示する。反応曲線のグラフは、指定されたオリゴヌクレオチド対を有する基質分子について示されている。基質分子のオリゴヌクレオチド鎖の配列はグラフの下に示されている。 未修飾および修飾ヌクレオチドを含む基質分子を異なる比率で使用することの効果を決定するための研究の結果を図示する。反応曲線のグラフは、指定された比率の基質分子を有する反応について示されている。未修飾および2'OMe修飾基質分子のオリゴヌクレオチド鎖の配列はグラフの下に示されている。これは、異なる基質分子の異なる比率を使用することによって、予め指定された時間で所望の閾値に達するように、反応がチューニングされ得ることを示している。 図9A〜Bは、基質分子内の様々な位置に修飾ヌクレオチドを配置することの効果を決定するための研究の結果を図示する。図9Aは、グラフの下に示されている配列(A〜F)を有する基質分子を使用した反応についての反応曲線のグラフである。 図9Bは、グラフの下に示されている配列(A〜F)を有する基質分子を使用した反応についての反応曲線のグラフである。 ニッキング酵素および/またはポリメラーゼを試験するために基質分子が使用され得ることを示す研究の結果を図示する。 ニッキング増幅反応に基づくサルモネラ菌アッセイにおいて使用するための外在性/内部対照分子の最終配列を図示する。
発明の詳細な説明
本発明は、基質に対するニッキング酵素およびポリメラーゼの活性によって放出されて蛍光を発することができるクエンチされた蛍光体を有する、ニッキングおよび伸長反応のための核酸基質分子を特徴とする。本発明の基質分子は、既存のニッキング増幅反応に添加され得、従って、ニッキング増幅反応において外在性対照分子として使用され得る。このことに関して、当該外在性対照分子は、ニッキング増幅反応において存在するニッキング酵素活性およびポリメラーゼ酵素活性の両方についての対照を提供する。外在性対照反応は、並行して進むが、はっきりと感知できるほどには主要な増幅反応に干渉しない。例えば、外在性対照は、大量の反応成分(例えばdNTP)を消費しない。外在性対照は、非特異的ポリメラーゼ伸長およびバックグランド干渉をもたらし得る3'末端の形成を最小限にするように設計され得る。本明細書において示されるように、外在性対照分子はまた、特定の時間で開始するように「チューニング」され得る。本発明の基質分子はそれ単独で、酵素性能試験において、または酵素品質を検査するために、使用され得る。
ニッキングおよび伸長の基質分子
本発明は、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を試験または確認するために使用することができる、ニッキングおよび伸長の基質分子を提供する。図1A〜1Eを参照すると、当該基質分子は、一方の末端が検出可能なレポーター(例えば、蛍光体・クエンチャー対;蛍光エネルギー移動(FRET)用のドナー・アクセプター対)で標識されたオリゴヌクレオチド二重鎖を含む。いくつかの態様では、2つのオリゴヌクレオチド鎖は共有結合されている。当該オリゴヌクレオチド二重鎖はニッキング酵素認識部位を含有し、その結果、当該分子がニッキングされると、ニックによって露出された3'末端がポリメラーゼ伸長を駆動することができ、これは検出可能なレポーターの活性化をもたらす。特定の態様では、検出可能なレポーターは、クエンチャー分子と対になった蛍光レポーター(例えば、FAM)である(例えば、当技術分野において公知の、相互作用する任意の蛍光体とクエンチャーの対またはFRETドナー・アクセプター対)。蛍光レポーターは、ポリメラーゼの鎖置換活性、およびクエンチャーからの蛍光体の分離によって活性化される。蛍光レポーターは、オリゴヌクレオチド二重鎖の3'末端または5'末端のいずれかに共有結合されており、クエンチャーは、反対側の鎖の、それぞれ5'末端または3'末端のいずれかに共有結合されている。ある態様では、蛍光体は、FAM、TET、HEX、TAMRA、JOE、またはROXのうちの1つまたは複数である。様々な態様において、クエンチャーは、ダブシル(dabcyl)、ダブシル(dabsyl)、Black Hole Quencher色素(5' Iowa Black(登録商標)RQ (5IabRQ)を含む)のうちの1つまたは複数である。一般に、クエンチング色素は、励起が適合したクエンチング色素である。蛍光体・クエンチャー対およびそれらの選択は、例えば、Marras, Selection of Fluorophore and Quencher Pairs for Fluorescent Nucleic Acid Hybridization Probes in Methods in Molecular Biology: Fluorescent Energy Transfer Nucleic Acid Probes: Designs and Protocols. Edited by: V.V. Didenko(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJに記載されている。ニッキングおよび伸長の基質が外在性対照として使用される場合、検出可能な蛍光マーカーは、標的核酸増幅を検出するためのプローブにおいて使用されるものとは異なる検出可能な蛍光シグナルを提供するように選択される(例えば、FAMおよびCalRed)。好ましい態様において、遊離3'末端(即ち、蛍光レポーターやクエンチャーを有さない)は、ポリメラーゼ伸長反応において使用されるのを防ぐためにブロックされる。遊離3'は、3炭素スペーサー(C3-スペーサー)またはジデオキシヌクレオチドを使用してブロックされ得る。リン酸化、色素、蛍光体、クエンチャー、スペーサー、またはリンカーを含む、多数の修飾が、合成の間に遊離3'末端に付加され得、これにより伸長が妨げられる。
ニッキングおよび伸長の基質は、任意のニッキング酵素のニッキング酵素認識部位を含有し得る。ニッキング酵素認識部位は、ニックによって露出された3'末端からの伸長がポリメラーゼ伸長および検出可能なレポーターの活性化をもたらすように配置される。外在性対照分子として使用される場合、ニッキング酵素認識部位は、ニッキング増幅反応において使用されるニッキング酵素の認識部位であろう。例示的なニッキング酵素としては、N.Bst9I、N.BstSEI、Nb.BbvCI(NEB)、Nb.Bpu10I(Fermantas)、Nb.BsmI(NEB)、Nb.BsrDI(NEB)、Nb.BtsI(NEB)、Nt.AlwI(NEB)、Nt.BbvCI(NEB)、Nt.Bpu10I(Fermentas)、Nt.BsmAI、Nt.BspD6I、Nt.BspQI(NEB)、Nt.BstNBI(NEB)、およびNt.CviPII(NEB)が挙げられるが、これらに限定されない。ニッキング酵素認識部位の配列を表1に提供する。
(表1)ニッキング酵素認識配列
Figure 2018503390
特定の態様では、ニッキング酵素認識部位は、ニッキング増幅反応において一般的に使用されるニッキング酵素Nt.BstNBIと共に使用するためのNt.BstNBIである。
ニッキングおよび伸長の基質分子の長さおよび核酸配列は、当該分子の所期の用途を含む様々な要因に依存し得る。当該基質分子の長さは、現在の技術によって合成することができるポリヌクレオチドの長さによってのみ限定される。しかしながら、外在性反応対照としての使用等のいくつかの用途に関しては、核酸増幅においてdNTPまたは他の反応成分を自由に利用可能とするために、基質の長さは最小限にされ得る。ポリメラーゼ処理能力の研究における使用等の他の用途においては、より長い基質が使用され得る。様々な態様において、ヌクレオチド二重鎖の長さは、約30 bp〜約2 kb長、約100 bp〜約1 kb長、約100〜約500 bp長である。他の態様において、二重鎖のポリヌクレオチドの長さは、約30〜約2000 nt長、約100〜約1000 nt長、約100〜約500 nt長である。様々な態様において、オリゴヌクレオチド二重鎖の長さは、約30〜約100 bp長、約30〜約60 bp長、約35〜約50 bp長である。他の態様において、二重鎖のオリゴヌクレオチドの長さは、約30〜約100 nt長、約30〜約60 nt長、約35〜約50 nt長である。同様に、基質分子の配列は、標的核酸配列、プライマー配列、プローブ配列、および/または非特異的バックグラウンド配列(例えば、生物学的試料中のゲノム配列)を含む、反応中に存在し得る他の核酸分子の配列への干渉を最小限にするように選択される。
基質分子中のニッキング酵素認識部位および/またはニッキング酵素部位の配置は、ニッキング酵素自体を含む様々な要因に依存する。例えば、その酵素認識部位の3'下流にニックを形成させるニッキング酵素Nt.BstNBIが使用される場合、オリゴヌクレオチド鎖のニックの3'側の部分は、最も高い反応温度よりも高い二重鎖融解温度を有する。オリゴヌクレオチド鎖のニックより3'側の部分の長さは、約25 nt、約35 nt、約40 ntまたはそれ以上である。従って、シグナル発生はポリメラーゼによる鎖置換と結び付けられる。
オリゴヌクレオチド鎖のニックより5'側の部分の長さは、約10 nt、約15 nt、約20 ntまたはそれ以上である。オリゴヌクレオチド鎖のニックより5'側の部分の長さが反応温度よりも低い二重鎖融解温度を有する場合、遊離3'末端からのポリメラーゼ伸長は最小限になる。例えば、ニック部位より5'側の領域の配列は、反応温度で不安定となるように設計され得、その結果、それが解離し、遊離3'末端からの伸長が妨げられる。あるいは、そのような「ショートマー(shortmer)」は、自己結合し、反応を「終わらせる」ように設計され得る。Nt.BstNBI酵素認識部位より5'側に1つまたは複数のヌクレオチドが存在する場合、基質分子が活性を有することも見出された。1〜約10個のヌクレオチド、2〜約5個のヌクレオチドが、Nt.BstNBI酵素認識部位に対して5'側に存在し得る。オリゴヌクレオチド鎖のニッキング酵素認識部位より5'側を短くすることは、反応速度を変化させ、反応チューニング能力を提供する。
基質分子におけるニッキング酵素認識部位とニック部位との間に2'OMe修飾ヌクレオチドを配置すると、基質反応の反応速度を変更させることができる。いくつかの態様において、第1核酸鎖は、ニック部位より5'側の位置1または2およびニック部位より3'側の位置1における1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている。Nt.BstNB1認識およびニック部位を含む二重鎖を参照して、位置の記述は、下記に示されるような番号付け(位置1、2、3、4など)および方向性(5'側または3'側)に対応する:
Figure 2018503390
基質分子における2'OMe修飾ヌクレオチドの配置は、反応(即ち、反応速度)を「チューニングする」ために使用することができる。Nt.BstNBIのニッキング酵素認識部位とニック部位との間のヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、2'OMe修飾ヌクレオチドであり得る。特定の態様において、1つまたは複数の2'OMe修飾ヌクレオチドが、ニック部位より5'側の位置1および2ならびに/またはニック部位より3'側の位置1のうちの1つまたは複数に配置されている。
反応チューニング能力はまた、修飾ヌクレオチド、分岐ヌクレオチド(即ち、T-fam)、または反応動態に影響を与える任意のヌクレオチドを使用して、例えば、ニッキング配列鎖中に修飾ヌクレオチドを配置すること;ニッキング配列鎖の反対側に修飾ヌクレオチドを配置することによって、達成され得る。反応チューニング能力はまた、1つもしくは複数の未修飾もしくは修飾基質分子を混合すること(例えば、上側/下側オリゴ比率でのチューニング)、および/または、基質分子濃度とニッキング酵素モル濃度の比率によって、達成され得る。
基質分子を使用する方法
ニッキングおよび酵素基質分子は、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を決定するために使用され得る。基質分子はそれ単独で、ニッキング酵素およびポリメラーゼの組み合わせを評価するために使用され得るか、ニッキング酵素およびポリメラーゼの最適な動作条件を同定するために、またはニッキング酵素およびポリメラーゼの品質を検査するために、使用され得る。本明細書に記載の方法において使用するためのポリメラーゼは、鎖置換活性と合わせて二本鎖DNA分子中のニック部位における3'ヒドロキシル末端を伸長するため、および/または、標的核酸分子に結合されたオリゴヌクレオチド(例えばプライマー)の3'ヒドロキシル末端を伸長するための、ヌクレオチドの組み込みを触媒することができる。例示的なポリメラーゼとしては、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)としても分類されるバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)から、ならびにゲオバチルス(Geobacillus)属を含む密接に関連する細菌の系統、単離された株、および種から単離された、DNAポリメラーゼIの誘導体および変異体(これらは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が欠けているかまたは実質的に低減しており、鎖置換活性を有する)、ならびに、Bst DNAポリメラーゼI、Bsu DNAポリメラーゼ、Gst DNAポリメラーゼI、およびGka DNAポリメラーゼI、およびphi29 DNAポリメラーゼのラージフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなポリメラーゼはまた、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が欠けているかまたは実質的に低減されており、好熱性であるものを含み得る(例えば、Taq、Vent)。これに関して、本発明は、ニッキング酵素およびポリメラーゼの組み合わせの単位活性を定量するための手段も提供する。さらに、本発明の基質分子は、例えば、DNAメチル化を含む、様々な条件下での、またはDNA付加物/損傷生成物(例えば、アセトアルデヒド、シスプラチン、7,12-ジメチルベンゾアントラセン、マロンジアルデヒド、塩基除去修復の生成物、酸化的損傷生成物、ベンゾピレン、アフラトキシン、他のDNA反応性化合物)および/もしくはDNA結合タンパク質の存在下での、ポリメラーゼの処理能力を研究するために使用され得る(図3Aおよび3B)。さらに、処理能力を研究するために、(異なる複数の蛍光体を含む)1つまたは複数の蛍光体・クエンチャー対が、二重鎖内で共有結合され(例えば、ビオチン化され)得る(図3A)。例えば、1〜5個の蛍光体が、1チャネル当たり1つ、直接標識(例えば、スクシンイミジルエステル)によって結合されるか、またはビオチン化され、使用され得る。1つまたは複数の重複するクエンチャーが、反対側の鎖上で対になり得る。いくつかの場合において、重複するクエンチャーは、広いスペクトル領域をカバーし、複数の異なる蛍光体と対になり得る。このように、本発明の基質分子は修飾され得、ポリメラーゼ伸長および/または処理能力に対する修飾の効果が調べられ得る。
本発明の基質分子はまた、既存のニッキング増幅反応に添加されてもよく、従って、例えば真陰性反応を確認するために、ニッキング増幅反応において外在性対照分子として使用され得る。従って、外在性対照分子は、ニッキング増幅反応についてのものと同じ反応温度で使用される。シグナルの単なる存在または欠如が反応対照として使用され得る。さらに、外在性対照反応が規定のRFUに達する時間は、反応の終了点を示し得る。外在性対照分子はまた、特定の反応速度へ「チューニング」され得、従って、規定のRFUに達するまでの時間が変更され得る。外在性対照反応がニッキング増幅反応と同じ反応において進む場合に、それは、はっきりと感知できるほどには主要な増幅反応に干渉しない。外在性対照は、はっきりと感知できるほどの量の反応成分(例えば、dNTPまたは他の試薬)を消費しない。さらに、外在性対照は、非特異的ポリメラーゼ伸長およびバックグランド干渉をもたらし得る3'末端の形成を最小限にするように設計され得る。
核酸増幅方法
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNAを増幅するために使用される一般的なサーモサイクリング依存核酸増幅技術であり、DNA融解とDNAポリメラーゼを使用したDNAの酵素的複製とのための反応物の加熱および冷却の反復サイクルからなる。リアルタイム定量的PCR(qPCR)は、生物学的試料中の所与の核酸配列のコピー数を定量するために使用される技術である。現在、qPCRは、反応の全体にわたるリアルタイムでの反応産物の検出を利用し、増幅プロファイルを、各反応の開始時に既知量の核酸(または未知の検査核酸に対する既知の相対比率の核酸)を含有する対照の増幅と比較する。典型的には、標準反応増幅曲線の対数部分に基づいて、対照の結果を使用して標準曲線を構築する。これらの値は、それらの増幅曲線がどこで標準対照量と匹敵するかに基づいて未知物の量を内挿するために使用される。
PCRに加えて、ニッキング増幅反応、ローリングサークル増幅(RCA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ループ介在性増幅(LAMP)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在性増幅(TMA)、自立配列複製(Self-Sustained Sequence Replication)(3SR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、単一プライマー等温増幅(SPIA)、Q-βレプリカーゼシステム、およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)を非限定的に含む、サーモサイクリングに依存しない増幅システムまたは等温核酸増幅技術が存在する。
等温ニッキング増幅反応は、PCRサーモサイクリングと類似性を有する。PCRと同様に、ニッキング増幅反応は、プライマーと称される、標的配列と相補的なオリゴヌクレオチド配列を用いる。加えて、標的配列のニッキング増幅反応は、標準PCRと全く同じ様に、標的配列の対数的増加をもたらす。標準PCRとは異なり、ニッキング増幅反応は等温で進行する。標準PCRでは、DNAの2本の鎖が分離できるように温度が上昇される。ニッキング増幅反応では、標的核酸配列は、検査試料中に存在する特異的ニッキング部位においてニッキングされる。ポリメラーゼがニック部位に進入し、ニッキングされた標的ヌクレオチド配列(加えられた外在性DNA)の相補鎖合成を開始し、それと共に既存の相補的DNA鎖を置換する。この鎖置換複製プロセスは、温度上昇の必要性を排除する。この時点で、プライマー分子は、加えられた外在性DNAから置換された相補配列にアニールする。このとき、ポリメラーゼは、鋳型の3'末端から伸長を行い、既に置換された鎖に対する相補鎖を生成する。次いで第2のオリゴヌクレオチドプライマーが、新たに合成された相補鎖にアニールし、伸長されて、ニッキング酵素認識配列を含むDNAの二重鎖を作る。次いで、この鎖がニッキングを受けてポリメラーゼによる後続の鎖置換伸長が起こり、元の標的DNAのいずれかの側にニック部位を有するDNAの二重鎖の産生をもたらす。いったんこれが合成されると、その分子は、新たな鋳型分子による置換鎖の複製を通じて、指数関数的に増幅され続ける。加えて、増幅はまた、ニック部位が導入された鋳型でのニックトランスレーション合成の反復作用を通じて、各産物分子から直線的に進行する。その結果は、標的シグナル増幅の非常に急速な増加であり;PCRサーモサイクリングよりも遥かに急速であり、10分未満で増幅が生じる。
ニッキング増幅アッセイ
本発明は、等温ニッキング増幅アッセイにおいて増幅された標的核酸分子の検出と共に使用するための基質分子を提供する。そのようなアッセイは、当技術分野において公知であり、本明細書に記載されている。例えば、米国特許出願公開第2009/0081670号、PCT出願第2009/012246号、ならびに米国特許第7,112,423号および第7,282,328号を参照のこと;これらの各々はその全体が本明細書に組み入れられる。
本明細書に記載の方法において有用なポリメラーゼは、鎖置換活性と合わせて二本鎖DNA分子中のニック部位における3'ヒドロキシル末端を伸長するため、および/または、標的核酸分子に結合されたオリゴヌクレオチド(例えばプライマー)の3'ヒドロキシル末端を伸長するための、ヌクレオチドの組み込みを触媒することができる。そのようなポリメラーゼはまた、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が欠けているかまたは実質的に低減されており、好熱性であるものを含み得る。6つの3'末端ヌクレオチドを含むプライマー領域中に2'修飾ヌクレオチドを有するプライマーが関わる方法において有用であるDNAポリメラーゼとしては、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスとしても分類されるバチルス・ステアロサーモフィルスから、ならびにゲオバチルス属を含む密接に関連する細菌の系統、単離された株、および種から単離された、DNAポリメラーゼIの誘導体および変異体が挙げられ、これらは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が欠けているまたは実質的に低減しており、鎖置換活性を有する。例示的なポリメラーゼとしては、Bst DNAポリメラーゼI、Bsu DNAポリメラーゼ、phi29 DNAポリメラーゼ、Gst DNAポリメラーゼI、およびGka DNAポリメラーゼIのラージフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。他の態様において、例示的なポリメラーゼとしては、BST(ラージフラグメント)、DNAポリメラーゼI(大腸菌)、DNAポリメラーゼI、ラージ(Klenow)フラグメント、Klenowフラグメント(3'-5' exo-)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Deep VentR(exo-)DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、DyNAzyme、High-Fidelity DNAポリメラーゼ、Therminator、Therminator II DNAポリメラーゼ、AmpliTherm DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tgo DNAポリメラーゼ、SP6 DNAポリメラーゼ、Tbr DNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の方法において有用なニッキング剤は、二本鎖核酸分子中の特異的構造を認識してそれに結合することができ、その認識される特異的構造に結合した際に、上側の鎖上の隣接したヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合を、下側の鎖上の隣接したヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合を切断するよりも実質的に高い確率で切断することができ、それによって、ニック部位の前の末端ヌクレオチドにおいて、5'-3'-エキソヌクレアーゼ欠損鎖置換ポリメラーゼによって伸長され得る遊離3'-ヒドロキシル基を生成することができる、化学物質である。本明細書に開示される方法の好ましい態様において、「ニッキング剤」による上側の鎖のリン酸ジエステル結合の切断率は100%にほぼ等しい一方で、下側の鎖のリン酸ジエステル結合の切断率は0%にほぼ等しい。本明細書に記載の方法において有用なニッキング剤は、酵素、即ち、複数の基質分子をターンオーバーする自己再生触媒、または等モル比で1つだけの基質分子をターンオーバーする非再生触媒のいずれであってもよい。
ニッキング酵素は、二本鎖DNAに結合し、二本鎖の二重鎖の一方の鎖を切断する。本発明の方法において、ニッキング酵素は、上側の鎖(ニッキング剤認識部位の5'-3'配列を含む鎖)を切断する。本明細書で開示される本発明の特定の態様において、ニッキング酵素は、上側の鎖だけを切断し、認識部位の3'下流を切断する。例示的な態様において、この反応は、産物配列がニッキング部位を含有しないように、結合部位の下流を切断またはニッキングする、ニッキング酵素の使用を含む。結合部位の下流を切断する酵素を使用することによって、ポリメラーゼがニッキング酵素を押しのける必要がなく、より容易に伸長することが可能になる。理想的には、ニッキング酵素は、ポリメラーゼと同じ反応条件下で機能性を有する。例示的なニッキング酵素としては、N.Bst9I、N.BstSEI、Nb.BbvCI(NEB)、Nb.Bpu10I(Fermantas)、Nb.BsmI(NEB)、Nb.BsrDI(NEB)、Nb.BtsI(NEB)、Nt.AlwI(NEB)、Nt.BbvCI(NEB)、Nt.Bpu10I(Fermentas)、Nt.BsmAI、Nt.BspD6I、Nt.BspQI(NEB)、Nt.BstNBI(NEB)、およびNt.CviPII(NEB)が挙げられるが、これらに限定されない。ニッキング酵素認識部位の配列を表1に提供する。
ニッキング酵素はまた、制限エンドヌクレアーゼの切断活性を改変することによって作製された、操作されたニッキング酵素を含む(NEB expressions July 2006, vol 1.2)。制限エンドヌクレアーゼがDNA中のそれらの認識配列に結合すると、各々の鎖を加水分解するための各酵素内の2つの触媒部位が、平行して進行する2つの独立した加水分解反応を駆動する。二重鎖の一方の鎖だけを加水分解し、切断されたのではなく「ニッキングされた」(3'-ヒドロキシル、5'-リン酸)DNA分子を産生するように改変された、制限酵素を作出することができる。ニッキング酵素は、修飾CRISPR/Casタンパク質、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびニッカーゼ活性を有するジンクフィンガーヌクレアーゼも含み得る。
ニッキング増幅反応は、典型的には、例えば、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)のような、ヌクレオチドを含む。当該反応はまた、放射標識(例えば、32P、33P、125I、35S)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC))、ビオチン、アビジン、ジゴキシゲニン、抗原、ハプテン、または蛍光色素を含むがこれらに限定されない、検出可能な部分を含むdNTPの存在下で行われ得る。この反応は、ニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を提供するある種の塩および緩衝剤をさらに含む。
有利なことに、ニッキング増幅反応は実質的に等温の条件下で行われ、ここで、反応温度は増幅反応の過程においてほぼ一定である。より高い温度とより低い温度との間で温度が循環される必要がないことから、ニッキング増幅反応は、従来のPCRを行うのは困難である条件下で行われ得る。典型的には、当該反応は、約35℃〜90℃(例えば、約35、37、42、55、60、65、70、75、80、または85℃)で行われる。有利なことに、高い精度で温度を維持することは必須ではない。温度におけるいくらかの可変性が許容される。
増幅反応のためのプライマーのセットは、ΔΔG≦-15、-16、17、-18、-19、-20、-25、-30 kcal/モルまたはそれ以上を有するように選択される。増幅反応の性能特徴は、1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(例えば、1つまたは複数のプライマーおよび/またはプローブ)の濃度および/またはそれらの比率を増加させることによって変更され得る。高濃度のプライマーはまたプライマー二量体形成を好む。様々な態様において、プライマーの濃度は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000 nMまたはそれ以上である。融解温度(Tm)および反応速度調節剤(例えばエチレングリコールおよびグリセロールであるがこれらに限定されない)も、オリゴヌクレオチドの融解温度を低下させるために使用され得る。加えて、DNAポリメラーゼ反応速度調節剤(dNTPおよびマグネシウム濃度など)が、反応速度を変更させてより大きな定量精度をもたらすために使用され得る。特定の態様において、順方向および逆方向プライマーの5'尾部配列は、同じ核酸配列を有する。
本発明は、ニッキング増幅反応をリアルタイムでモニタリングする方法を提供する。一態様において、定量的核酸増幅は、既知量の対照の増幅と同時の標的核酸の増幅を利用する。標的核酸の量は、対照の出所(外在性または内在性対照)に基づいて、絶対的定量または相対的定量(半定量的)として計算することができる。
未知のヌクレオチド配列の定量は、その未知物の対数閾値増幅を、別個の反応セットもしくは同一反応のいずれかにおける一連の既知標的配列と比較することを介して;または陽性結果(未知物が閾値を超過する場合)もしくは陰性結果(未知物が閾値を超過しない場合)のいずれかを示す閾値をもたらす内在性もしくは外在性の同時増幅内部産物として、達成することができる。
本発明はまた、候補順方向プライマーおよび/または候補逆方向プライマーの多数の組み合わせを実験的にスクリーニングすることなく、ニッキング剤依存性等温鎖置換増幅アッセイを設計する方法を提供する。Tm≧アッセイ温度(例えば約55℃)を有する12〜20 bp配列を中央部分に有する、35〜70 bp長の領域を、標的配列内に同定する。上記15〜20 bp長の中央領域のすぐ下流および上流の12 bp〜20 bp長の隣接配列が、上記基準により同定される。上記で選ばれた、二本鎖の下流および上流の隣接配列のTmは、互いから±3℃以上は外れない。安定な二量体形成プライマーのための5'尾部領域を、12〜20塩基の上流隣接配列の5'末端に、および12〜20塩基の下流隣接配列の相補鎖の5'末端に、取り付けることによって、順方向および逆方向プライマーの標的特異的対が創出される。順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブを組み合わせる場合には、プローブと相補的な鎖の合成を駆動するプライマーは、モル比約1.1:1〜10:1において、他方のプライマーより過剰にある。アッセイ中のプライマーの合計濃度は、1000 nM以下である。このアッセイ設計方法はまた、アンプリコン≦70 bpに関する予め検証されたPCRアッセイを、ニッキング剤依存性等温鎖置換増幅アッセイに転換するために使用され得る。
プライマー設計
プライマー設計のための従来の方法は、プライマー融解温度、プライマーアニーリング温度、GC(グアニンおよびシトシン)含有量、プライマー長、および、プライマーが標的核酸以外と相互作用することを最小化することに焦点を合わせてきた(例えば、www.premierbiosoft.com/tech_notes/PCR_Primer_Design.htmlを参照のこと)。これらの方法とは対照的に、形成の自由エネルギー(ΔG)の観点から表される安定なプライマー/二量体を形成するプライマーが、核酸増幅反応において予測可能に機能することが見出された。自由エネルギー(ΔG)と融解温度(Tm)は、主成分エンタルピー(ΔH)およびエントロピー(ΔS)を共有するが、ΔGとTm値は異なって導かれ、相関関係を有さず、所与のΔGを所与のTm値と関連付ける唯一の方法は、それらが由来するΔHおよびΔSの値を明確に知ることである(Manthey, “mFold, Delta G, and Melting Temperature”(著作権)2005 and 2011 Integrated DNA Technologies)。図1〜11は最適なプライマーの設計に関する。
分子間プライマー構造についての形成の自由エネルギー(ΔG)は、当技術分野において公知の式を使用して算出され得る。例えば、mfoldおよびUNAfold予測アルゴリズムを含む多数のプログラムが、種々の分子内および分子間プライマー構造の形成を決定しそれらのΔGを算出するために利用可能である(例えば、Markham and Zuker. UNAFold: Software for Nucleic Acid Folding and Hybridization. Bioinformatics: Volume 2, Chapter 1, pp 3-31, Humana Press Inc., 2008; Zuker et al. Algorithms and Thermodynamics for RNA Secondary Structure Prediction: A Practical Guide In RNA Biochemistry and Biotechnology, 11-43, NATO ASI Series, Kluwer Academic Publishers, 1999; M. Zuker. Prediction of RNA Secondary Structure by Energy Minimization. Methods in Molecular Biology, 267-294, 1994; Jaeger et al. Predicting Optimal and Suboptimal Secondary Structure for RNA. In Molecular Evolution: Computer Analysis of Protein and Nucleic Acid Sequences, Methods in Enzymology 183, 281-306, 1990; Zuker. On Finding All Suboptimal Foldings of an RNA Molecule. Science 244, 48-52, 1989を参照のこと)。OligoAnalyzer 3.1は、プライマー設計のためのmfoldのそのような一実装である(www.idtdna.com/analyzer/ Applications/OligoAnalyzer/)。例えば、OligoAnalyzer 3.1を参照して、ΔG算出は、次のパラメーターを使用して行われ得る:標的タイプ:DNA;オリゴ濃度 0.25μM;Na+濃度:60mM;Mg++濃度:15mM;およびdNTP濃度:0.3 mM。
3'認識領域
本発明は、そのプライマー・標的形成が安定(ΔG≦約-20 kcal/molまたはそれ以上)であって核酸増幅反応性能を増強する可能性を有する3'認識配列を有する、プライマーを提供する。3'認識領域は、核酸分子に、例えば核酸分子の相補配列に、特異的に結合する。ある態様において、3'認識領域は、核酸配列の12、13、14、15、16、17、18、19、または20塩基以上と相補的である配列を有する。特定の態様において、3'認識領域は、1つまたは複数のイノシン塩基を含む。特定の態様において、3'認識領域は、多くとも2/12のイノシンを含む。様々な態様において、プライマー・標的融解温度は、アッセイの反応または伸長温度の8または6℃下の温度以上である(Tm≧アッセイ温度−8℃)。特定の態様において、3'認識配列は、12〜20、12〜17、または12〜14塩基を含む。特定の態様において、プライマー・標的形成は、自己二量体形成よりも安定である(例えば、ΔΔG≦約-15、-16、-17、-18、-19、-20 kcal/molまたはそれ以上)。好ましくは、3'認識配列は、プライマー・標的アニーリングに干渉する可能性を有する、自己相補配列、短い逆位反復(例えば>4塩基/反復)、または他の方法で分子内相互作用を促進する配列を含有しない。
一態様において、アニーリングに寄与しないかもしれないプライマーの末端における4つの配列特異的塩基を有する56℃のTmを有するプライマーが、設計される。一態様において、プライマーは16、17、18、19、20または21マー(mer)である。
特に、3'認識配列を有する本発明のプライマーはニッキング増幅アッセイにおいて有用である。さらに、標的特異的3'認識領域は、1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチド(例えば、2'-O-メチル、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-アルキル、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、2'-ヒドロキシル(RNA)、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH2 2-O-2'-架橋、および2'-O-(N-メチルカルバメート))を含む。理論に束縛されることなく、認識領域中に1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドを組み込むことがプライマー/鋳型の分子間および/または分子内相互作用(例えば、プライマー二量体形成)を低減または排除し、それにより等温増幅においてバックグラウンドシグナルを低減または排除することが仮定される。2'修飾ヌクレオチドは、好ましくは、標的配列と塩基対形成する塩基を有する。特定の態様において、標的特異的認識領域中の2個以上の2'修飾ヌクレオチド(例えば、2、3、4、5個以上の2'修飾ヌクレオチド)が連続している(例えば、修飾ヌクレオチドのブロック)。いくつかの態様において、2'修飾ヌクレオチドのブロックは、標的特異的認識領域の3'末端に位置している。他の態様において、2'修飾ヌクレオチドのブロックは、標的特異的認識領域の5'末端に位置している。2'修飾ヌクレオチドのブロックが標的特異的認識領域の5'末端に位置している場合、2'修飾ヌクレオチドは、1つまたは複数の非修飾ヌクレオチド(例えば、2、3、4、5個以上の2'未修飾ヌクレオチド)によってニック部位から隔てられていてよい。出願人は、1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドの位置または2'修飾ヌクレオチドのブロックの位置が、増幅の動態を改変することを見出した。1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドまたは2'修飾ヌクレオチドのブロックが、認識領域の5'末端もしくはその近くに、またはニック部位の近位に位置する場合、リアルタイム増幅反応は検出までの時間の減少を示した。さらに、シグナル曲線が縮小され、曲線の勾配がシフトする。
関連する態様において、1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドを有するプライマーの比率を使用して、反応の「チューニング」のために検出までの時間および/または反応の効率を変更することができ、これは反応動態について予測可能な制御をもたらす。認識配列の3'末端に1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドを有するプライマーの比率を、認識配列の5'末端に1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドを有するプライマーに対して増加させることは、シグナル曲線を縮小させ、曲線の勾配をシフトさせた。検出までの時間および反応の効率の両方を操作する手段を提供して反応を「チューニング」できることは有利である。内部対照を使用する相対的定量は、2つの重要な条件が満たされることを必要とする。第一に、反応の検出までの時間を改変し、非競合的反応条件を作ることができることが有利である。従って、(関心対象の標的と比べて)後の時点で検出可能となるように対照反応に影響を与えることによって、関心対象の標的が低い初期存在量で存在する場合でさえ、対照反応は関心対象の特異的標的を打ち負かすことがない。第二に、真の相対存在量算出を保証するためには、対照反応および特異的標的反応が合致した効率を有することが必要とされる。各反応の効率を制御することによって、「チューニング」条件を使用することは、反応が合致することを可能にし、満足な相対的定量算出を可能にする。反応のチューニングは、定量的PCR(qPCR)において、標的核酸の増幅効率と基準核酸(例えば、内部標準)の増幅効率を合致させるために使用され得る。さらに、標的核酸の増幅と内部標準の増幅について同じ効率を提供しながら、それらの増幅産物の検出時間が分かれるように、標的核酸の増幅曲線と内部標準の増幅曲線を変化させることができる。反応内でのオリゴヌクレオチド構造の特定の組み合わせおよび比率の使用を通じて、チューニングされた反応性能を可能にする条件を創出することが可能になる。
5'尾部二量体化領域
本発明は、核酸増幅反応性能を増強する、自己二量体化することができる5'尾部領域を有するプライマーを提供する。理論に束縛されることなく、核酸増幅反応において、このプライマーはプライマー二量体として標的核酸にアニールする。例えば、ニッキング増幅プライマーは、標的認識配列に対するプライマーの結合特異性とは関係しない5'末端に存在するニッキング剤認識部位を有する。非特異的プライマー相互作用に由来する非特異的バックグラウンド産物は、それがなければ特異的産物の増幅のために利用されるはずである反応成分を捕捉する可能性を有する。様々な態様において、ホモ二量体形成が安定である(例えば、ΔG≦約-30、-35、-40、-45、-50、-55、-60 kcal/molまたはそれ以上)。様々な態様において、ホモ二量体は、伸長反応温度より高い融解温度を有する。特定の態様において、5'尾部領域はパリンドローム配列を有する。さらなる態様において、5'尾部領域は、少なくとも20塩基(例えば、20、21、22、23、24塩基)長である。追加の態様において、5'尾部領域は、80〜90%のGC含有量を有する。ある態様において、ホモ二量体形成は、より安定性が低い他のプライマー二量体コンフォメーション形成よりも安定である(例えば、ΔΔG≦約-12、-13、-14、-15、-16、-17、-18、-19、-20、-25、-30、-35、-40 kcal/molまたはそれ以上)。
特に、5'尾部配列を有する本発明のプライマーは、ニッキング増幅反応において有用である。ニッキング増幅反応において使用するために、5'尾部領域は1つまたは複数のニッキング剤認識部位を含み、5'尾部領域は対称的な逆位配列を有する。特定の態様において、5'尾部領域は、偶数個のヌクレオチド(例えば、22、24個のヌクレオチド)を含有する。ニック部位は、5'尾部領域の3'末端のヌクレオチドと3'認識領域の5'末端のヌクレオチドとの間に位置するように設計されている。理論に束縛されることなく、ニッキング酵素は、3'認識領域が一本鎖である場合にはニック部位での切断を行わない。しかしながら、3'認識領域が二本鎖である場合(例えば、プライマーが核酸増幅反応の過程において二本鎖標的核酸分子に組み込まれる場合)にはニック部位での切断が起こる。Nt.BstNBI認識配列を有する例示的な5'尾部領域配列(24ヌクレオチド長)は、以下の鋳型
Figure 2018503390
に基づいて作製することができる。この鋳型に基づいて、以下の特性を有する537,824個の5'尾部配列が存在する:ΔG = -48 Kcal/モル〜-62 kcal/モル;ΔΔG < -40 kcal/モル;およびGC含有量68%〜84%。それらの内、1050個の選択配列が提供され、これは配列スペース全体(248,832)の0.2%を表す。例示的な5'尾部領域配列(22ヌクレオチド長)は、Nt.BstNBI認識配列を有し、以下の鋳型
Figure 2018503390
に基づく。この鋳型に基づいて、以下の特性を有する248,832個の5'尾部配列が存在する:ΔG = -47 Kcal/モル〜-55 kcal/モル;ΔΔG < -40 kcal/モル;およびGC含有量72%〜82%。それらの内、200個の選択配列が提供され、これは配列スペース全体(248,832)の0.08%を表す。
標的核酸分子
本発明の方法および組成物は、検査試料中の核酸分子の増幅および/または同定のために有用である。標的配列は、核酸分子を含む事実上いかなる試料からも増幅される。
例示的な検査試料としては、体液(例えば、唾液、汗、涙液、体腔内に蓄積する流体、尿、射精液、膣分泌物、脳脊髄液、リンパ液、糞便、痰、分解流体、嘔吐物、汗、母乳、血液、血清、および血漿)、組織抽出物、培養培地(例えば、病原体細胞などの細胞が増殖された液体)、環境試料、農産物または他の食品、およびそれらの抽出物、ならびにDNA同定タグが挙げられる。所望により、試料は、生物学的試料から核酸分子を単離するために典型的に使用される任意の標準的な方法を使用して、ニッキング増幅反応に含める前に精製される。
一態様において、プライマーは、試料中の病原体の存在を検出するために、病原体の標的核酸を増幅する。環境利用については、検査試料は、水、病原体に感染した対象に曝されたかもしれない建築材料(例えば、乾式壁、天井タイル、壁板、建材、壁紙、および床仕上げ材)の液体抽出物、環境スワブ、または任意の他の試料を含み得る。
応用
本発明のプライマーを使用する標的核酸増幅は、標的核酸分子を迅速に検出するために有用な特徴を有する。本発明の組成物および方法は、迅速な診断的回答が望まれる(例えば、20、15、10、9、8、7、6、5分間以下での検出可能な増幅)ヒトの診断において有用である。特定の態様において、本発明は、当技術分野におけるまたは臨床設定におけるヒトもしくは動物の診断におけるニッキング増幅反応アッセイの使用を提供する。他の態様において、本発明は、サーモサイクリング装置へのアクセスが利用できないかまたは極めて高価となる診断現場作業におけるニッキング増幅反応アッセイの使用を提供する。さらに他の態様において、本発明は、迅速な定量的回答が望まれる臨床設定におけるニッキング増幅反応アッセイの使用を提供する。
検出可能なオリゴヌクレオチドプローブ
本発明は、少なくとも1つのポリメラーゼ停止分子(例えば、オリゴヌクレオチドが標的核酸分子に結合はできるが、検出可能オリゴヌクレオチドプローブを標的として利用する鋳型伸長は支持することができないようにする、ヌクレオチド修飾または他の部分)を含む、増幅不能な検出可能ポリヌクレオチドプローブを使用する、ニッキング増幅反応における標的核酸分子またはそのアンプリコンの定量的検出を提供する。理論に束縛されることを望むことなく、ポリメラーゼの進行を許容しない1つまたは複数の部分の存在は、オリゴヌクレオチドへの非核酸骨格付加においてまたは複製ポリメラーゼの失速を通じて、ポリメラーゼ停止を恐らく引き起こす(即ち、C3-スペーサー、損傷されたDNA塩基、その他のスペーサー部分、2'-OMe塩基)。従って、これらの構築物は、ニッキング増幅反応の過程において、プローブの不当な増幅を抑制または低減する。このことは、増幅を抑制するためにニッキング増幅反応の終了時に添加されなければならない従来の検出プローブからそれらを区別する。
従来の検出プローブは、リアルタイムでニッキング増幅反応を定量するためには実用的ではないことが示されている。従来の検出プローブがニッキング増幅反応に組み込まれると、これらの従来の検出プローブは標的と同時に増幅される。これらの検出分子の増幅は、反応開始時の検出プローブの開始分子数のために、正当な標的アンプリコンの検出を覆い隠す。
本発明は、少なくとも1つのポリメラーゼ停止分子を含む、増幅できない検出可能ポリヌクレオチドプローブを提供する。本発明のポリメラーゼ停止分子は、複製DNAポリメラーゼによる鋳型伸長をブロックし、それにより検出分子の増幅を抑制するが;標的分子もしくは標的分子の増幅されたコピーに対する適切なハイブリダイゼーションまたはヌクレオチドスペーシングを許容することができる、ヌクレオチド修飾または他の部分を含むが、これらに限定されない。一態様において、本発明の検出可能なオリゴヌクレオチドプローブは、検出分子の不当な増幅を抑制または低減する3炭素スペーサー(C3-スペーサー)を含む。
一態様において、検出可能なオリゴヌクレオチドプローブは、相補的ヌクレオチドに対する結合親和性が増強された1つまたは複数の修飾ヌクレオチド塩基を含む。修飾塩基の例としては、2'フルオロアミダイトおよび2'OMe RNAアミダイト(ポリメラーゼ停止分子としても機能する)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の検出可能なオリゴヌクレオチドプローブは、異なる色の蛍光体を伴って合成されてもよく、事実上任意の標的配列にハイブリダイズするように設計され得る。それらの顕著な特異性を考慮して、本発明の増幅できない検出可能なポリヌクレオチドプローブは、試料中の単一の標的核酸分子を検出するために使用されるか、または、それぞれが異なる標的核酸分子に結合する検出可能なオリゴヌクレオチドプローブの組み合わせで使用される。従って、本発明の増幅できない検出可能なポリヌクレオチドプローブは、同じ反応において1つまたは複数の標的核酸分子を検出するために使用でき、これらの標的を同時に定量できるようにする。本発明は、本明細書に記載の検出可能なオリゴヌクレオチドプローブと併せたそのような蛍光体の使用を包含する。
ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおける実施
本明細書に記載の方法は、一般的な目的のまたは特別にプログラムされたハードウェアまたはソフトウェアにおいて実施され得る。例えば、本方法は、コンピュータ可読媒体によって実施され得る。従って、本発明はまた、本発明のいずれかの態様によるアルゴリズムおよび/または方法を実施するように構成されたソフトウェアおよび/またはコンピュータプログラム製品も提供する。本発明において提供されるアルゴリズムおよび/または方法を実施できるソフトウェアをどのように構成するかは当業者に周知である。コンピュータ可読媒体は、非一過性および/または有形であり得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、揮発性メモリー(例えば、ランダムアクセスメモリーなど)または非揮発性メモリー(例えば、読み出し専用メモリー、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、光学ディスク、紙表、パンチカードなど)であり得る。コンピュータ実行可能指令は、適切なコンピュータ言語またはいくつかの言語の組み合わせで書かれてよい。基本的な計算生物学的方法は、例えば、Setubal and Meidanis et al., Introduction to Computational Biology Methods (PWS Publishing Company, Boston, 1997); Salzberg, Searles, Kasif, (Ed.), Computational Methods in Molecular Biology, (Elsevier, Amsterdam, 1998); Rashidi and Buehler, Bioinformatics Basics: Application in Biological Science and Medicine (CRC Press, London, 2000)およびOuelette and Bzevanis Bioinformatics: A Practical Guide for Analysis of Gene and Proteins (Wiley & Sons, Inc., 2nd ed., 2001)に記載されている。
本発明はまた、プローブ設計、データの管理、分析、および装置操作のような、様々な目的のために、種々のコンピュータプログラム製品およびソフトウェアを活用し得る(米国特許第5,593,839号、第5,795,716号、第5,733,729号、第5,974,164号、第6,066,454号、第6,090,555号、第6,185,561号、第6,188,783号、第6,223,127号、第6,229,911号および第6,308,170号を参照のこと)。さらに、本発明は、米国特許出願第10/197,621号、第10/063,559号(米国特許出願公開第20020183936号)、第10/065,856号、第10/065,868号、第10/328,818号、第10/328,872号、第10/423,403号、および第60/482,389号に示されているように、インターネットなどのネットワーク上で遺伝情報を提供するための方法を含む好ましい態様を有し得る。
キット
本発明は、ニッキング酵素およびポリメラーゼの活性をアッセイするためのキットを提供する。様々な態様において、キットは本発明の基質分子を含む。本発明はまた、外在性対照として使用するための本発明の基質分子を含む、核酸分子の増幅のためのキットを提供する。そのようなキットは、対象から得られた生物学的試料中の核酸の検出または定量のために有用である。本発明のキットは、本明細書に記載されているように、例えば、DNAポリメラーゼ、順方向および逆方向プライマー、ならびに1つまたは複数のニッキング酵素、ならびに検出可能なプローブを含み得る。複数の病原体配列が増幅され、これらの標的配列に対して設計された鋳型が同じニッキング酵素についてのニッキング酵素部位を含む場合には、1つまたは2つのニッキング酵素が含まれていてもよい。これらの鋳型が異なるニッキング酵素によって認識される場合には、例えば3個以上などのように、より多くのニッキング酵素がキットに含まれていてもよい。
一局面において、本発明は、DNAポリメラーゼ、一次プライマー、二次プライマー、プライマー内のニッキング酵素結合部位に対する特異性を有するニッキング酵素、およびデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を(例えば、増幅のために十分な成分を含有する緩衝液中に)含む、核酸増幅のためのキットを提供する。様々な態様において、一次プライマーおよび二次プライマーは、標的配列と相補的または実質的に相補的な3'末端特異的認識領域配列(ここで、末端特異的認識領域は、1つまたは複数の2'修飾ヌクレオチドを含む)と;3'末端特異的認識領域配列の上流にニッキング酵素結合部位を含有する、それ自体と二量体化することができる(例えば、自己相補的である)5'末端尾部領域とをそれぞれ有する。特定の態様において、1つまたは複数のプライマーは、(例えば、およそTmで加熱し徐冷することによって生成される)プライマー二量体コンフィギュレーションにある。
本発明のキットはまた、1つまたは複数の成分を、任意の数の別々の容器、包み、チューブ(例えば、<0.2 ml、0.2 ml、0.6 ml、1.5 ml、5.0 ml、>5.0 ml)、バイアル、マイクロタイタープレート(例えば、<96-ウェル、96-ウェル、384-ウェル、1536-ウェル、>1536-ウェル)、ArrayTapeなどに含んでもよいし、または、成分はそのような容器に様々な組み合わせで組み合わされていてもよい。様々な態様において、キットは、基準配列に結合しそれを増幅できるプライマー対をさらに含む。特定の態様において、キットは、(例えば、およそTmへの加熱および徐冷によって生成される)プライマー二量体コンフィギュレーションにある、1つまたは複数のプライマーを含む。さらに他の態様において、キットは、プライマーを含有する滅菌容器を含み;そのような容器は、箱、アンプル、ビン、バイアル、チューブ、袋、ポーチ、ブリスターパック、または当技術分野において公知の他の適切な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、または核酸を保持するために好適な他の材料で作られていてよい。
キットの成分は、例えば1つまたは複数の容器内に存在してよく、例えば、全ての成分が1個の容器中にあってよく、または、例えば、酵素がプライマーとは別の容器中にあってよい。成分は、例えば、乾燥され(例えば粉末)、または安定緩衝液中(例えば、化学的に安定化された、熱的に安定化された)にあってもよい。乾燥成分は、例えば、凍結乾燥、真空遠心分離補助乾燥、および/または常圧乾燥によって調製されてよい。様々な態様において、ポリメラーゼおよびニッキング酵素は、凍結乾燥形態で単一の容器中にあり、プライマーは、凍結乾燥、フリーズドライ、または緩衝液中のいずれかの状態で、異なる容器中にある。いくつかの態様において、ポリメラーゼ、ニッキング酵素、およびプライマーは、凍結乾燥形態で、単一の容器中にある。他の態様において、ポリメラーゼおよびニッキング酵素は、異なる容器中へ分離され得る。
キットは、例えば、反応において使用されるdNTP、または修飾ヌクレオチド、反応のために使用されるキュベットもしくは他の容器、または、凍結乾燥された成分を再水和するための水もしくは緩衝液のバイアルをさらに含んでよい。使用される緩衝液は、例えば、ポリメラーゼおよびニッキング酵素活性の両方に適切であるものであってよい。
本発明のキットはまた、本明細書に記載の1つまたは複数の方法を実施するための説明書、および/または本明細書に記載の1つまたは複数の組成物もしくは試薬の記述を含んでいてもよい。説明書および/または記述は、印刷された形態であってよく、キット挿入物に含まれていてよい。キットはまた、そのような説明書または記述を提供するインターネット・ロケーションの記載を含んでいてもよい。
本発明の実施は、特に記載のない限り、十分に当業者の技能の範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来的技術を用いる。そのような技術は、文献、例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook, 1989); “Oligonucleotide Synthesis” (Gait, 1984); “Animal Cell Culture” (Freshney, 1987); “Methods in Enzymology” “Handbook of Experimental Immunology” (Weir, 1996); “Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells” (Miller and Calos, 1987); “Current Protocols in Molecular Biology” (Ausubel, 1987); “PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis, 1994); “Current Protocols in Immunology” (Coligan, 1991)において十分に説明されている。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に適用可能であり、従って、本発明の作製および実施において考慮され得る。特定の態様に特に有用な技術を以下のセクションにおいて議論する。
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニング、および治療方法の作製および使用の仕方の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、本発明者らが発明としてみなすものの範囲を限定するようには意図されない。
実施例1.外在性/内部対照分子として使用することができる検出可能なレポーターを有するニッキングおよび伸長反応の基質
本発明は、一方の鎖において鎖の3'末端に共有結合している検出可能な蛍光レポーター分子に対して5'側にあるニック部位を有するオリゴヌクレオチド二重鎖であるニッキングおよび伸長反応の基質を提供する(図1Aおよび1B)。反対側の鎖の5'末端にあるクエンチャーは、レポーター分子が蛍光を発するのを防ぐ(図1Aおよび1B)。基質分子がニッキングされると、結果として生じる内部3'末端が、反対側の鎖を鋳型として使用して、ポリメラーゼによって伸長され得る(図1C〜1E)。ポリメラーゼ伸長は、鎖の、蛍光レポーターに連結された部分の置換をもたらす(図1E)。蛍光レポーターがクエンチャーから分離されると、当該レポーターは蛍光シグナルを生じる(図1E)。ニッキングおよび伸長のさらなるラウンドを防ぐまたは最小限にするために、基質分子に対して追加の改良がなされ得る(図1F)。
ニッキング酵素およびポリメラーゼの存在下での基質分子の反応は、特にオリゴヌクレオチドの3'末端がさらなる相互作用からブロックされている場合、直線的なシグナルを生じさせる(図2A)。ニッキング酵素およびポリメラーゼが反応において活性を有することを示すために、基質分子は、外在性/内部対照としてニッキング増幅反応に添加され得る。対照反応およびニッキング増幅反応は両方とも、ニッキング酵素およびポリメラーゼが活性である場合に始まり、並行して進む。対照反応は、反応成分の使用を最小限にし、従って増幅反応に対する影響を最小限にするように、設計される。有利なことに、ニッキング増幅反応の反応終了点は、外在性対照分子が規定のRFUに達する時間として設定され得る(図2B)。例えば、これは、その検出時間に基づいて増幅シグナルを陽性または陰性と特徴付けるために、使用され得る。
ニック部位の周囲の様々な位置に修飾ヌクレオチドを有するいくつかの基質分子に対して研究を行った(図4)。これらの研究について、クエンチャーを有するオリゴヌクレオチドの3'末端をブロックしなかった。基質分子は、予想された反応プロフィールを示した。ニッキング酵素の濃度が比較的高い場合に速い線形応答が観察され、大抵の場合、5分間未満で迅速に最大RFUに達した(図5A〜5Eおよび6A〜6D)。特に、ニック部位より5'側の1つ目の位置に2'OMeを有する、ニック -1基質分子は、他の基質分子と比べると遅い応答を示した(図6C)。ニッキング酵素の濃度が比較的低い場合に、最大RFUまでの時間を延ばすことができた(図5Dおよび5E)。
オリゴヌクレオチドのGAGTCニッキング酵素認識部位より5'側の部分の長さを変えた(図7)。上側の鎖A、B、Cは全て、勾配ベースで等価の活性を有する。ニッキング酵素認識部位より5'側に2つのヌクレオチドを有する上側の鎖Dの反応曲線は、僅かに変化し始める。ニッキング酵素認識部位より5'側に1つのヌクレオチドを有する上側の鎖Eにおいては、反応応答におけるさらなる減少が観察されている。ニッキング酵素認識部位より5'側にヌクレオチドを有さない上側の鎖Fについては、反応が観察されなかった。従って、これらのデータは、GAGTCニック認識部位の5'側に3個以上のヌクレオチドが存在する場合に、ニッキング酵素の完全な活性を示している。活性の差異は反応速度の選択を提供し、従って、外在性対照は種々のアッセイに適合するであろう。
実施例2.外在性対照反応のチューニング能力
本発明の一局面において、外在性対照反応をチューニングすることができ、そのため、ニッキング増幅反応の所定の条件セットの下で実行される外在性対照反応をカスタマイズすることが可能である。未修飾および修飾ヌクレオチドを含む基質分子の異なる比率を使用して、反応速度を制御することができる(図8)。修飾されていない上側の鎖(A)に対し、二重メトキシ修飾オリゴヌクレオチド(G)を漸増した。修飾オリゴヌクレオチドの添加量によって、反応速度(勾配)を制御し、予め指定された時間で所望の閾値に達するようにチューニングすることができた。これらの結果は、外在性対照分子の混合物が、陽性反応対照としてだけではなく「反応タイマー」としても使用することができることを示している。
別の局面において、外在性対照反応は、基質分子におけるニック部位およびニッキング酵素認識部位の近位にある様々な位置に2'OMe修飾ヌクレオチドを配置することによって、チューニングすることができる(図9Aおよび9B)。修飾された上側の鎖(A〜KおよびDE)を、C3スペーサーでブロックされた下側の鎖と組み合わせて使用した。「ニック -1」(Nt.BstNBIニック部位の前の最後の5'塩基)に配置された上側の鎖Dを除いて、全てで比較的等価な結果が得られた。前の結果はまた、より少ないニッキング酵素を使用した場合の上側の鎖Bからの小さな効果を示した。修飾がニッキング認識部位(GAGTC)内に配置された全ての2'OMe修飾ヌクレオチドについて、比較的等価な結果が観察された。ニック部位の両側に2'OMe修飾ヌクレオチドが配置された場合に、最も顕著な効果が見られた。
実施例3.ニッキング酵素およびポリメラーゼの活性をアッセイするためのニッキングおよび伸長反応の基質の使用
本発明の一局面において、基質分子は、反応条件を試験して、ニッキング酵素およびポリメラーゼの組み合わせの活性を決定し、それらの複合活性を特徴付けるために、使用することができる。ニッキング酵素およびポリメラーゼの特性(例えば、熱的特性)の差異に起因して、全体的なニッキングおよび伸長反応の活性を最大限にするように反応条件を最適化する可能性がある。本発明より以前には、そのような分析は利用不可能であった。修飾された上側の鎖を、ブロックされていない(3'末端がブロックされていない)下側の鎖と共に使用する。これらのオリゴヌクレオチドを用いて、ニッキング酵素および/またはポリメラーゼの活性を試験し、酵素機能の点で真の増幅反応を依然として模倣しながら、高い再現可能性で、非常に制御された反応を提供することができる。ブロックされた3'末端またはブロックされていない3'末端のいずれかが、所望の読み出しに依存して利用され得る。基質分子の反応に対するニッキング酵素濃度の効果を示す研究を行った(図10)。
実施例4.外在性/内部対照を含む、サルモネラ菌(Salmonella)由来のDNAを定性的に検出するための試験キット
必要時にサルモネラ菌を迅速に検出することが、介入してその蔓延を防ぐために必要とされる。サルモネラ菌由来のDNAの定性的検出のために、試験キットを作製した。検出アッセイは等温核酸増幅法に基づく。キットはまた、各反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を確認するために、外在性/内部対照を含む。アッセイを最適化するために、プライマーおよびビーコン配列のリストを最初に試験した。以下のプライマーを標的核酸分子の増幅のために使用した。

順方向プライマー
Figure 2018503390

逆方向プライマー
Figure 2018503390

接頭辞「m」で標識された塩基は、2'-O-メチルリボヌクレオチドの位置を示す。
標的核酸分子を検出するために、以下のプローブを使用した。
「分子ビーコン」検出プローブ
Figure 2018503390
外在性および内部対照として、以下のオリゴヌクレオチドの二重鎖を使用した(図11)。

外在性対照下側(BOT)3炭素スペーサー(C3-スペーサー):
Figure 2018503390
HPLC精製

外在性対照上側(Topn):
Figure 2018503390
HPLC精製
上記プライマーおよびプローブを等温核酸増幅反応において試験した。検査試料を、シミュレートされたペットフードまたは富化された培養物から調製した。増幅および検出反応は、高いシグナル・ノイズ比、指数関数的増幅の早期出現、急な増幅勾配、検出までの迅速な時間、および反復アッセイ反応間における低いシグナル変動を示した。全ての標的対照試料はロバストなシグナルを示した。外在性/内部対照は、等温核酸増幅反応への干渉を最小限にしながらニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する手段を提供した。アッセイをさらに試験し、100を超えるサルモネラ菌血清型のリストが検出された。これらの結果は、前述の反応および試薬がサルモネラ菌の迅速で正確な検出のために使用され得ることを示している。
他の態様
前述の記載から、様々な用途および条件に適合させるために本明細書に記載の発明に変更および改変がなされ得ることは明らかであろう。そのような態様も以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
本明細書の可変部の定義における要素の列挙の記載は、列挙された要素のいずれか単一の要素または組み合わせ(もしくは部分的組み合わせ)としてのその可変部の定義を含む。本明細書における態様の記載は、いずれかの単一の態様としての、またはいずれかの他の態様もしくはその一部分との組み合わせての、その態様を含む。
本明細書において言及される全ての特許および刊行物は、それぞれの独立した特許および刊行物が具体的かつ個々に示されて参照により組み入れられるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (47)

  1. 核酸二重鎖を含む、ニッキングおよび伸長反応のための基質であって、該二重鎖が、
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖
    を含むか、または
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖
    を含む、前記基質。
  2. 前記第1核酸鎖が、ニッキング酵素によってニッキングされる、請求項1に記載の基質。
  3. 前記蛍光検出可能な標識が、FAM、TET、HEX、TAMRA、JOE、またはROXである、請求項1または2に記載の基質。
  4. 前記クエンチャー部分が、5' Iowa Black(登録商標)RQ (5IabRQ)、ダブシル(dabcyl)、ダブシル(dabsyl)、またはBlack Hole Quencher色素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基質。
  5. 前記第2核酸の3'末端が、C3スペーサー、ジデオキシヌクレオチド、リン酸化、色素、蛍光体、クエンチャー、スペーサー、またはリンカーで修飾されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基質。
  6. 修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基質。
  7. 前記第1核酸鎖が、ニック部位より5'側の位置1または2およびニック部位より3'側の位置1における1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基質。
  8. 前記第1核酸鎖が、ニッキング認識部位とニック部位との間の1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基質。
  9. 前記ニッキング酵素認識部位内の1つまたは複数の位置において修飾されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基質。
  10. 1つまたは複数の修飾ヌクレオチドが、2'-O-メチル、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-ヒドロキシル(RNA)、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH22-O-2'-架橋、および2'-O-(N-メチルカルバメート)、メチル化、ビオチン化、ヌクレオチド付加物、または塩基アナログを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の基質。
  11. 前記ニッキング酵素が、Nt.BstNBI、N.Bst9I、N.BstSEI、Nb.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.Bpu10I、Nt.BsmAI、Nt.BspD6I、Nt.BspQI、およびNt.CviPIIである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基質。
  12. 約30 bp〜約2 kb長、約100 bp〜約1 kb長、約100〜約500 bp長、約30〜約200 bp長、約30〜約60 bp長、約35〜約50 bp長である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基質。
  13. 前記核酸鎖が、約30〜約2000 nt長、約100〜約1000 nt長、約100〜約500 nt長、約30〜約100 nt長、約30〜約60 nt長、約35〜約50 nt長である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の基質。
  14. 前記核酸鎖のニック部位より3'側の長さが、約25 nt、約35 nt、約40 ntまたはそれ以上である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の基質。
  15. 前記核酸鎖のニック部位より5'側の長さが、10 nt、約15 nt、約20 ntまたはそれ以上である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の基質。
  16. 前記核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さが、約10 nt、約5 nt、約3 ntまたはそれ以下である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の基質。
  17. 前記核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さが、4、3、2、または1 ntである、請求項16に記載の基質。
  18. 向かい合った核酸鎖上かつ前記二重鎖内で共有結合されている蛍光検出可能な標識およびクエンチャー部分の対を1つまたは複数含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の基質。
  19. 前記第1および第2核酸鎖が共有結合されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の基質。
  20. 以下の工程を含む、反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する方法:
    a)核酸二重鎖をニッキング酵素と接触させる工程であって、該二重鎖が
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖
    または
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖
    を含む、工程、
    b)ニッキングされた該二重鎖をdNTPの存在下でポリメラーゼと接触させる工程、
    c)ポリメラーゼ伸長を行い、それによって、該第1核酸鎖の、該蛍光検出可能な標識またはクエンチャー部分に共有結合された、ニック部位より3'側の部分を置換する工程、ならびに
    d)該クエンチャーから分離された該蛍光検出可能な標識からのシグナルを検出し、それによって前記反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する工程。
  21. 以下の工程を含む、ニッキング増幅反応において特異的産物を増幅させる方法:
    a)ポリメラーゼ、dNTP、ニッキング酵素、および二重鎖の存在下で、標的核酸分子を、実質的に等温の条件下で、各々が標的核酸分子へ特異的に結合する2つ以上のプライマーと接触させる工程であって、二重鎖が
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖
    または
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖
    を含む、工程、
    b)該標的核酸分子の少なくとも一部分を含むアンプリコンを生じさせる工程、
    c)該二重鎖をニッキングし、ポリメラーゼ伸長を行い、それによって、該第1核酸鎖の、該蛍光検出可能な標識またはクエンチャー部分に共有結合された、ニック部位より3'側の部分を置換する工程、ならびに
    d)該クエンチャーから分離された該蛍光検出可能な標識からのシグナルを検出し、それによって前記反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出する工程。
  22. 検出可能なポリヌクレオチドプローブの存在下で、前記核酸分子を2つ以上のプライマーと接触させる工程;ならびに
    e)前記標的核酸分子またはそのアンプリコンへのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションに特異的なシグナルを検出する工程であって、該シグナルが、試料中に存在する該標的核酸分子またはそのアンプリコンの量を示す、工程
    をさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記二重鎖からのシグナルの検出を陽性対照として使用する、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記二重鎖からのシグナルが規定の相対蛍光(RFU)に達する時が、前記ニッキング増幅反応のモニタリングの終了点を示す、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記反応を実質的に等温の条件下で行う、請求項29に記載の方法。
  26. 前記反応が、プライマー、プローブ、および/または標的核酸分子をさらに含む、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記核酸鎖が、前記反応中に存在する他の核酸分子へ結合しない配列を有する、請求項20〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記核酸二重鎖の蛍光検出可能な標識と、プローブの蛍光検出可能な標識とが異なる、請求項20〜27のいずれか一項または複数項に記載の方法。
  29. 前記第1核酸鎖へ共有結合された蛍光検出可能な標識が、FAM、TET、HEX、TAMRA、JOE、またはROXである、請求項20〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記第2核酸鎖へ共有結合されたクエンチャー部分が、5' Iowa Black(登録商標)RQ (5IabRQ)、ダブシル(dabcyl)、ダブシル(dabsyl)、またはBlack Hole Quencher色素である、請求項20〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記第2核酸の3'末端が、C3スペーサー、ジデオキシヌクレオチド、リン酸化、色素、蛍光体、クエンチャー、スペーサー、またはリンカーで修飾されている、請求項20〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記核酸二重鎖が修飾ヌクレオチドを含む、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記第1核酸鎖が、ニック部位より5'側の位置1または2およびニック部位より3'側の位置1における1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている、請求項20〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記第1核酸鎖が、ニッキング認識部位とニック部位との間の1つまたは複数のヌクレオチドにおいて修飾されている、請求項20〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記核酸二重鎖が、前記ニッキング酵素認識部位内の1つまたは複数の位置において修飾されている、請求項20〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 1つまたは複数の修飾ヌクレオチドが、2'-O-メチル、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-ヒドロキシル(RNA)、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH22-O-2'-架橋、および2'-O-(N-メチルカルバメート)、メチル化、ビオチン化、ヌクレオチド付加物、または塩基アナログを含む、請求項20〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記ニッキング酵素が、Nt.BstNBI、N.Bst9I、N.BstSEI、Nb.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.Bpu10I、Nt.BsmAI、Nt.BspD6I、Nt.BspQI、およびNt.CviPIIである、請求項20〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記ポリメラーゼが、Bst DNAポリメラーゼI、Bsu DNAポリメラーゼ、Gst DNAポリメラーゼI、およびGka DNAポリメラーゼIであり、他の態様において、例示的なポリメラーゼとしては、BST(ラージフラグメント)、DNAポリメラーゼI(大腸菌(E. coli))、DNAポリメラーゼI、ラージ(Klenow)フラグメント、Klenowフラグメント(3'-5' exo-)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Deep VentR(exo-)DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、DyNAzyme、High-Fidelity DNAポリメラーゼ、Therminator、Therminator II DNAポリメラーゼ、AmpliTherm DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tgo DNAポリメラーゼ、SP6 DNAポリメラーゼ、Tbr DNAポリメラーゼ、またはそれらの活性フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない、請求項20〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記核酸二重鎖が、約30 bp〜約2 kb長、約100 bp〜約1 kb長、約100〜約500 bp長、約30〜約200 bp長、約30〜約60 bp長、約35〜約50 bp長である、請求項20〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記核酸鎖が、約30〜約2000 nt長、約100〜約1000 nt長、約100〜約500 nt長、約30〜約100 nt長、約30〜約60 nt長、約35〜約50 nt長である、請求項20〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記核酸鎖のニック部位より3'側の長さが、約25 nt、約35 nt、約40 ntまたはそれ以上である、請求項20〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記核酸鎖のニック部位より5'側の長さが、10 nt、約15 nt、約20 ntまたはそれ以上である、請求項20〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さが、約10 nt、約5 nt、約3 ntまたはそれ以下である、請求項20〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記核酸鎖のニッキング酵素認識部位より5'側の長さが、4、3、2、または1 ntである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記第1および第2核酸鎖が共有結合されている、請求項20〜44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 修飾が異なる1つまたは複数の核酸二重鎖の使用を含む、請求項20〜45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 反応におけるニッキング酵素およびポリメラーゼの活性を検出するためのキットであって、該キットが、核酸二重鎖を含むニッキングおよび伸長反応のための基質を含み、該二重鎖が、
    a)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを含む、第1核酸鎖;および
    b)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端におけるクエンチャー部分とを有する、第2核酸鎖
    または
    i)ニッキング酵素認識部位と、3'末端で共有結合されたクエンチャー部分とを含む、第1核酸鎖;および
    ii)該第1鎖と二重鎖を形成することができる配列と、5'末端で共有結合された蛍光検出可能な標識とを有する、第2核酸鎖
    を含む、前記キット。
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