JP5026339B2 - 合成皮革製造用離型シート及びその製造方法 - Google Patents

合成皮革製造用離型シート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂以外の樹脂とを含む環状オレフィン系樹脂組成物を主成分とする剥離層を持つ合成皮革製造用離型シートに関する。
従来、合成皮革として塩化ビニル系樹脂やポリウレタン樹脂を主原料としたものが広く使用されている。このような合成皮革は、合成皮革製造用離型シートを用いて製造されることが多い。例えば、ポリウレタンレザーを製造するには、合成皮革製造用離型シート上にペースト状のポリウレタン樹脂を塗布し、乾燥・固化した後に基布を貼合して合成皮革製造用離型シートから剥離する。合成皮革製造用離型シートに天然皮革と同様の絞り模様や他の凹凸を形成しておけば、得られる合成皮革の表面に良好な模様を付与することができる。
現在、ポリウレタンレザー製造に使用されている合成皮革製造用離型シートとしては、紙基材の上にポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなる剥離層を設けた熱エンボスタイプの合成皮革製造用離型シートが用いられている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
ところで、上記合成皮革製造用離型シートは、より多く繰り返し使用できることが求められている。したがって、繰り返し使用しても合成皮革製造用離型シートの表面に形成されたエンボス形状の凹凸が消失しないような耐久性が要求される。このような、合成皮革製造用離型シートの表面に形成された凹凸が、繰り返し使用により消失しないように耐久性を改善する技術も開示されている(特許文献3参照)。
また、合成皮革製造用離型シートの剥離層には、塗布・乾燥・固化された上記ポリウレタン樹脂が、剥離工程で容易に剥離層から剥がれることが求められる。そこで、剥離特性の改善を目的として、結晶性ポリオレフィンと非晶性ポリオレフィンとからなる樹脂混合物を含む熱可塑性樹脂組成物を用いて形成された剥離層を有する離型シートが開示されている(特許文献4)。
特開平5−117998号公報 特公平5−82806号公報 特開2007−92196号公報 特開2007−152867号公報
特許文献3では、従来から用いられているポリプロピレンを剥離層の樹脂材料として用いる。ポリプロピレンは、耐熱性が高く、高温で合成皮革を製造しても、表面のエンボス模様が変形しにくいとされているが、繰り返し使用すれば、10回程度の使用で表面のエンボス模様は消失してしまう。
また、特許文献4の離型シートでは、使用する樹脂材料の融点が低すぎるため、エンボス模様が形成された剥離層は、合成皮革製造の際に高温に曝されると溶融軟化してしまい、エンボス模様が変形したり、剥離性に影響を与えたりして、繰り返し使用しても高品質な合成皮革を製造し続けることができない。
一般的に使用されているポリイミドやポリエーテルサルフォン(PES)等の高耐熱フィルムは、極性が高いためウレタンとの親和性が高く剥離性に問題がある。
このため、合成皮革製造用離型シートの剥離層に形成されたエンボス形状が、繰り返し使用により消失しないように、また、良好な剥離特性を持ち高品質な合成皮革を製造し続けることができるように、用いる樹脂材料を改良するような抜本的解決策が求められている。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、用いる樹脂材料を改良することにより、繰り返し使用しても、合成皮革製造用離型シートの表面に形成されたエンボス形状が消失しづらくなるように改善された合成皮革製造用離型シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、合成皮革製造用離型シートの剥離層の樹脂材料にガラス転移点が150℃以上である環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)と、を質量比((A)/(B))20/80から95/5で含む環状オレフィン系樹脂組成物を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
(1) ガラス転移点が150℃以上である環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)と、を質量比((A)/(B))15/85から95/5で含む環状オレフィン系樹脂組成物を主成分とする剥離層と、基材層と、を備えた積層物である合成皮革製造用離型シート。
(2) 前記(B)成分がポリエチレン及び/又はポリメチルペンテン及び/又はポリプロピレンである(1)に記載の合成皮革製造用離型シート。
(3) 前記積層物は、前記剥離層と、ポリエチレンを主成分とする樹脂層と、前記基材層と、がこの順に積層された積層物である(1)又は(2)に記載の合成皮革製造用離型シート。
(4) 前記環状オレフィン系樹脂組成物は、150℃における貯蔵弾性率(E’150)が1×10Pa以上である(1)から(3)のいずれかに記載の合成皮革製造用離型シート。
(5) 前記剥離層は、その表面にエンボス模様が形成された(1)から(4)のいずれかに記載の合成皮革製造用離型シート。
本発明によれば、合成皮革製造用離型シートの剥離層の樹脂材料にガラス転移点が150℃以上である環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)と、を質量比((A)/(B))15/85から95/5で含む環状オレフィン系樹脂組成物を用いることで、耐熱性が高く、繰り返しにより、剥離層が何度も高温に曝されても、剥離層表面のエンボス形状が消失しない。その結果、高品質な合成皮革の生産性を向上することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の合成皮革製造用離型シートは、少なくとも剥離層と基材層とを有する。以下、剥離層、基材層、その他の層の順で本発明の合成皮革製造用離型シートについて説明する。
<剥離層>
本発明の合成皮革製造用離型シートが有する剥離層は、ガラス転移点が150℃以上の環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)を有する。
[環状オレフィン系樹脂(A)]
以下、本発明の合成皮革製造用離型シートの必須成分となる環状オレフィン系樹脂(A)について説明する。本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂(A)は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、ガラス転移点が150℃以上であって、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(A)としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの、を含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明においては、上記の環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(a1)〜(a4)は、1種単独であっても、二種以上を混合使用してもよい。本発明においては、(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物を好ましく用いることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(A)としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂(A)としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0005026339
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
〔その他共重合成分〕
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
本発明の合成皮革製造用離型シートに含まれる環状オレフィン系樹脂(A)は、ガラス転移点が150℃以上である。ガラス転移点の高い環状オレフィン系樹脂を含むことで、合成皮革製造用離型シートの剥離層に対して耐熱性を付与することができる。耐熱性の高い剥離層は、合成皮革製造の際に熱による変形が少なく、繰り返し使用可能であるため、明確に模様が形成された高品質な合成皮革の生産性を高めることができる。
また、合成皮革製造用離型シートが、ガラス転移点が150℃以上の環状オレフィン系樹脂(A)を含むことで、合成皮革製造の際に150℃程度まで達しても樹脂が溶融軟化することを抑えることができる。この合成皮革製造用離型シート表面の樹脂の溶融軟化を抑えることで、模様の形成される合成皮革用樹脂と合成皮革製造用離型シートの剥離層との溶着を抑えることができる。その結果、合成皮革製造用離型シートから、固化したポリウレタン等の樹脂を剥がす際の剥離性が向上し、高品質な合成皮革を製造することができる。
また、環状オレフィン系樹脂は、極性が低いためウレタンとの親和性が高くない。その結果、上記剥離性がより向上し、高品質な合成皮革を製造することができる。
上記のように、高品質な合成皮革を高い生産性で製造するために求められる樹脂組成物の耐熱性としては、樹脂組成物の150℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以上であることが好ましい。特に150℃で、樹脂組成物が溶融軟化してしまい貯蔵弾性率が測定できないような場合には、ポリウレタン等の模様が形成される樹脂の合成皮革製造用離型シート表面からの剥離性が低下してしまい、合成皮革用樹脂が合成皮革製造用離型シート表面に残ってしまう等して、高品質な合成皮革を製造することが難しくなる。より好ましい貯蔵弾性率は5×10Pa以上である。
環状オレフィン系樹脂(A)の含有量は、環状オレフィン系樹脂(A)と樹脂(B)との合計100質量部に対して、15質量部〜95質量部である。環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が15質量部未満の場合には、樹脂組成物の耐熱性が低下し、高品質な合成皮革を高い生産性で製造することができなくなる。また、剥離層に形成した凸部の高さが経時的に低くなり、長期間保管すると使用できなくなる。環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が95質量部以上の場合には、剥離層の表面にエンボスロール等で模様が形成され難くなる。環状オレフィン系樹脂(A)の含有量は、80質量部〜95質量部であることがさらに好ましい。
[樹脂(B)]
樹脂(B)は、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂であり、環状オレフィン系樹脂(A)と相溶するものであれば特に限定されない。
樹脂(B)が含まれることで、剥離層は、その直下に設けられる基材層等の層との密着性が向上する。剥離層が、その直下の層と強く接着することで、合成皮革製造の際に剥離層が合成皮革製造用離型シートから剥がれることを防ぐことができる。
本発明に用いることが好ましい樹脂(B)としては、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンが挙げられる。ポリエチレン等の柔軟性の高い樹脂を用いることで、剥離層とその直下の層との密着性が向上する。剥離層と紙との2層からなる場合であっても充分な密着性を実現することができる。
樹脂(B)の含有量は、環状オレフィン系樹脂(A)と樹脂(B)との合計100質量部に対して、5質量部〜85質量部である。樹脂(B)の含有量が5質量部未満であると、合成皮革製造の際に、剥離層が合成皮革製造用離型シートから剥がれてしまい、高品質な合成皮革を高い生産性で製造するための合成皮革製造用離型シートにならない。樹脂(B)の含有量が85質量部を超えると、耐熱性の低い樹脂の含有量が多くなりすぎ、剥離層に含まれる樹脂組成物中の環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が低下する。環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が低下すると樹脂組成物の耐熱性が低下し、上述の通り、高品質な合成皮革を高い生産性で製造することができなくなる。樹脂(B)の含有量は、5質量部〜20質量部であることがさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の合成皮革製造用離型シートの剥離層に主成分として含まれる樹脂組成物には、上記環状オレフィン系樹脂(A)、樹脂(B)以外の樹脂成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに含むものであってもよい。
剥離層は上記樹脂組成物を主成分とするが、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分をさらに含んでいてもよい。「主成分とする」とは、剥離層が上記樹脂組成物を50質量%以上含有することをいう。なお、本発明において、剥離層は環状オレフィン系樹脂(A)と樹脂(B)とからなる樹脂組成物からなるものが好ましい。
<基材層>
本発明の合成皮革製造用離型シートに含まれる基材層は、剥離層等の積層工程に耐える強度を有し、合成皮革の塗工・形成時の合成皮革製造用離型シートとしての耐熱性、耐薬品性等の性質を有し、かつエンボス加工が容易であることが必要である。クラフト紙、上質紙等の紙基材のほか、6ナイロン、6,6ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、その他ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、金属箔、織布、不織布、合成紙等やこれらの積層体を使用することができる。合成皮革の加工適性のためには、耐久性、耐熱性に優れる点で天然パルプからなる紙を使用することが好ましい。
本発明において、基材層として使用する紙としては、坪量15〜300g/m2である。この範囲であれば、エンボス加工が容易である。また、紙は、中性紙であることが好ましい。硫酸バンド等を含む酸性紙は、合成皮革の製造工程で繰り返し使用されると熱劣化が発生し、このため早期に再使用が困難となる場合がある。中性紙であれば、このような熱劣化を防止することができる。
また、本発明で使用する紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、上記理由により硫酸バンドを使用しないことが最も好ましいが、硫酸バンドを使用してpH6〜9の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
<その他の層>
本発明の合成皮革製造用離型シートは、ポリエチレンを主成分とする樹脂層を介して基材層と剥離層とを積層させることも可能である。上記のような樹脂層を介して剥離層と基材層を積層させることにより、積層体の各層間の密着性が向上する。また、樹脂層を間に介することにより、基材層と剥離層との密着性を考慮することなく、エンボスの耐久性、耐熱性等の剥離層の物性を高めることができる。その他の層に用いるポリエチレンとしては低密度ポリエチレンが好ましい。また、「ポリエチレンを主成分とする」とは、ポリエチレンを50質量%以上含むことをいう。なお、本発明において上記樹脂層はポリエチレンからなることが好ましい。
<合成皮革製造用離型シートの製造方法>
本発明の合成皮革製造用離型シートの製造方法は、従来公知の離型シートの製造方法により製造することができる。例えば、基材シート上にロールコート、グラビアコート、押出しコート、ナイフコート、ミヤバーコート、ディップコート等の方法により、剥離層を形成した後、エンボス加工により、剥離層の表面に模様を形成する。エンボス加工の方法としてはエンボスロールによる転写、ベルト法、金属模様のプレス法等が挙げられる。
<合成皮革の製造>
本発明の合成皮革製造用離型シートは、従来公知の離型シートと同様の方法で合成皮革を製造することができる。例えば、まず、合成皮革製造用離型シートの剥離層上に合成皮革用の樹脂組成物を塗布する。剥離層上に塗布された合成皮革用樹脂層には、剥離層の凹凸パターン形状に対応した絵柄(凹凸絵柄)が形成される。その後、これに基布(例えば、織布、不織布等)を貼り合わせ、合成皮革用樹脂層を乾燥し冷却した後、剥離して合成皮革を得ることができる。上記の合成皮革用の樹脂組成物には、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。この樹脂組成物の塗布方法としては、ナイフコート、ロールコート、グラビアコート等の従来公知の塗布方法を挙げることができる。
合成皮革製造用離型シートを用いた合成皮革の製造では、上記合成皮革用樹脂層を乾燥させる際に剥離層が高温に曝される。本発明の合成皮革製造用離型シートの剥離層は、上述の通り耐熱性が高いため、高品質な合成皮革を高い生産性で製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<合成皮革製造用離型シートの製造>
環状オレフィン樹脂(ポリプラスチックス製 TOPAS(詳細は表1参照))、LDPE(住友化学製 スミカセン F412−1)、ポリメチルペンテン(三井化学製 TPX DX820)、ポリプロピレン(日本ポリプロ製 ノバテックPP FL03H)を表1に示す割合でドライブレンドし、Tダイを備えた45mm押出機で押出温度300℃、幅250mmのロールから引き取り速度80m/分で引き出した上質紙(坪量120g/m)上にラミネート厚みが30μmになるように押出ラミネートし、次いで温度120℃に加熱した皮紋エンボスロールでエンボス加工を行い、エンボス凹部の表面粗度が平均5μmでエンボス凸部の山の平均の高さが30μmの皮紋模様が形成された実施例1から7、及び比較例の合成皮革製造用離型シートを得た。また、多層Tダイを用いて、環状オレフィン系樹脂層の膜厚が15μm、ポリエチレン(住友化学製 スミカセン F412−1)中間層の膜厚が15μmになるように上質紙(坪量120g/m)上に実施例1から7と同様の条件で共押出ラミネートした以外は、実施例1から7と同様の方法で実施例8の合成皮革製造用離型シートを得た。
これらの離型シートについて、それぞれの剥離層の表面に形成された凹凸模様のエンボス高さの経時変化を、エンボス直後、24時間後、72時間後、120時間後について測定し、その結果を表1に示した。
次に、実際に、この後この合皮用離型シートを用いて合皮を作るため、表皮層用−液型熱可塑性ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業製 クリスボン 7367SL)を、アプリケータを用いて厚さが500μmとなるように離型シート上に塗布し、130℃、2分間加熱硬化処理を行った。
剥離性の評価は、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。カッターナイフを用いて、試験面に1×1mm四方の碁盤目の切り傷を入れ、セロハンテープ(ニチバン製 CT24)を指の腹で評価面に密着させた後テープの端を45°の角度で急速に引き剥がし、碁盤目の状態を観察した。判定は100マスの内、剥離したマス目の割含(%)で表した。結果を表1に示した。
硬化後に剥離されたウレタン樹脂の外観は、皮シボ肌が明確に刻まれており、表面粗さ計でエンボス部5箇所のシボ深さを測定し、さらに碁盤目テープ剥離試験のために切り傷を入れた部分を避けてポリウレタン表皮の形成処理を繰り返し10回まで行い、シボ深さの変化からシボ流れ(シボが浅くなる現象)を評価した。評価の結果を表1に示した。
Figure 0005026339
表1の実施例と比較例1、3の結果から分かるように、本発明の合成皮革製造用離型シートは、エンボスの高さが経時的に減少しない耐久性の高いエンボスが形成されることが確認された。
また、本発明の合成皮革製造用離型シートは、ガラス転移点が150℃以上の環状オレフィン系樹脂を有するため、耐熱性が高い。その結果、表1の実施例と比較例2、3から分かるように、実施例では、樹脂組成物が150℃で充分に高い貯蔵弾性率を備えるので剥離性が100%であり高品質な合成皮革を製造できることが確認された。これに対して、比較例2、3では、樹脂組成物が150℃で溶融軟化してしまい、合成皮革用樹脂が剥離層表面と溶着してしまい剥離性が低く高品質な合成皮革を製造できないことが確認された。
また、実施例8の結果から分かるように層間の密着性向上、コスト削減のため中間層に低密度ポリエチレン中間層を設けても、合成皮革製造用離型シートには、耐久性の高いエンボスを形成でき、耐熱性も高くなることが確認された。
さらに、表1の実施例及び比較例の結果から分かるように、比較例では、耐熱性が低い、耐久性の高いエンボスが形成できない等の理由から、合成皮革用樹脂の硬化膜のシボ深さが、繰り返し使用を重ねるにしたがって、浅くなることが確認された。

Claims (4)

  1. ガラス転移点が150℃以上である環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)と、を質量比((A)/(B))15/85から95/5で含む環状オレフィン系樹脂組成物を主成分とする剥離層と、
    基材層と、を備えた積層物であり、
    前記(B)成分がポリエチレン及び/又はポリメチルペンテン及び/又はポリプロピレンである合成皮革製造用離型シート。
  2. 前記積層物は、前記剥離層と、ポリエチレンを主成分とする樹脂層と、前記基材層と、がこの順に積層された積層物である請求項1に記載の合成皮革製造用離型シート。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂組成物は、150℃における貯蔵弾性率(E’150)が1×10Pa以上である請求項1又は2に記載の合成皮革製造用離型シート。
  4. 前記剥離層は、その表面にエンボス模様が形成された請求項1からのいずれかに記載の合成皮革製造用離型シート。
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