JP2017137469A - フィルムおよびそれを用いた成型転写箔 - Google Patents

フィルムおよびそれを用いた成型転写箔 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた靭性を有し、かつ品位、表面外観、加工工程における寸法安定性、及び成型性を備えるフィルム、及び該フィルムを用いた成型転写箔を提供することを目的とする。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂を主成分とし、オレフィン系エラストマーおよびポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂を含むフィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでいる。三次元形状基材を加飾する方法として、熱可塑性樹脂フィルムに意匠層を積層し、成型と同時に基材に転写させる方法が知られている。また、そのような加飾方法に対し、ポリオレフィン樹脂を含むフィルムの提案もなされている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂を含むフィルムを加飾用途に適用しようとすると表面外観の品位に欠けるため、改善し実用化するために各種の試みがなされている。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン系樹脂を主成分としたフィルムを適用することにより、表面外観と加工性や深絞成型性を両立する設計が開示されている。また、特許文献2には、環状オレフィン系樹脂にスチレン系エラストマーを添加することにより、優れた靭性を得られる設計が開示されている。
特開2013−071419号公報 特開2015−108050号公報
しかしながら、前述の特許文献1に記載の技術では、加工工程において、特にフィルムをロールスリットや断裁する際に、フィルム端部不良や破断が生じることがあり、品位や生産性の面で改善の余地がある。一方、特許文献2に記載の技術では、加工工程において、特にフィルムのコーティング、ラミネート、印刷、及び蒸着等を実施する際に、フィルムの寸法変化が生じることが問題となる。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた靭性を有し、かつ品位、表面外観、加工工程における寸法安定性、及び成型性を備えるフィルム、及び該フィルムを用いた成型転写箔を提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次によって解決することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明のフィルムは以下である。
(1) 環状オレフィン系樹脂を主成分とし、オレフィン系エラストマーおよびポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、フィルム。
(2) 環状オレフィン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を含有する2つの層(A層、B層)を有し、前記B層が前記A層よりもオレフィン系エラストマーを多く含むことを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 前記A層と前記B層が直接積層されており、かつB層が少なくとも一方の最表面に位置することを特徴とする、(2)に記載のフィルム。
(4) 前記B層/前記A層/前記B層の2種3層構成を有することを特徴とする、(2)または(3)に記載のフィルム。
(5) 前記A層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする、(2)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記B層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有し、かつオレフィン系エラストマーを1質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする、(2)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) 75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であり、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) 前記フィルムが、成型用フィルムであることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のフィルム。
(9) 前記成型用フィルムが、成型転写箔用フィルムであることを特徴とする、(8)に記載のフィルム。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載のフィルム、意匠層、および接着層がこの順に位置することを特徴とする、成型転写箔。
(11) (1)〜(9)のいずれかに記載のフィルムと前記意匠層との間に、保護層が位置することを特徴とする、(10)に記載の成型転写箔。
本発明により、加飾に用いた場合の表面外観、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等を実施する際の加工性に優れたフィルム、及び該フィルムを用いた成型転写箔を提供することができる。
本発明のフィルム及び成型転写箔を用いることにより、真空成型、圧空成型、及びプレス成型といった各種成型方法において製品部材(成型加飾後の成型部材)に高い意匠性を付与することができる。そのため、本発明のフィルム及び成型転写箔は、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
フィルムのスリット性評価における機械方向の周期と幅方向の振幅を示す図である(フィルム面と垂直な方向から見たときの上面図)。
本発明のフィルムは、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、オレフィン系エラストマーおよびポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする。
(環状オレフィン系樹脂)
本発明のフィルムは、加工工程における寸法安定性、及び成型性を両立させる観点から、環状オレフィン系樹脂を主成分とすることが重要である。
本発明において、環状オレフィン系樹脂とは、ポリマーの主鎖に脂環構造を有する樹脂であって、重合体100質量%中に環状オレフィンモノマー由来成分を合計で50質量%以上100質量%以下含むものをいう。ここで、環状オレフィンモノマーとは、炭素原子で形成される環状構造を有し、かつ当該環構造中に炭素−炭素二重結合を有する炭化水素化合物をいう。
また、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、フィルム中に環状オレフィン系樹脂が50質量%より多く100質量%未満含まれることをいう。
環状オレフィンモノマーは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、生産性、フィルムを加飾に用いた場合の表面外観の観点から、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(以下、ノルボルネンとする)、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、およびこれらの誘導体が好ましく用いられ、ノルボルネンがより好ましく用いられる。
本発明における環状オレフィン系樹脂は、上記要件を満たす限り、1種類の環状オレフィンモノマーのみを重合させて得られる樹脂、複数種類の環状オレフィンモノマーを共重合させて得られる樹脂、及び1種類又は複数種類の環状オレフィンモノマーと1種類又は複数種類の鎖状オレフィンモノマーとを共重合させて得られる樹脂のいずれであってもよい。
ここで、鎖状オレフィンモノマーとは、炭素−炭素二重結合を有する炭化水素化合物であって、炭素原子で形成される環状構造を有さないものをいう。なお、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーの組み合わせについては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
環状オレフィン系樹脂は1種類のみを用いても、複数種類を混合して用いてもよい。なお、環状オレフィン系樹脂を複数種類混合して用いる場合、環状オレフィン系樹脂の含有量は、全ての環状オレフィン系樹脂を合計して算出するものとする。
本発明においては、生産性、成型性、及びフィルムを加飾に用いた場合の表面外観の観点から、環状オレフィン系樹脂として、ポリノルボルネン、ポリシクロペンタジエン、ポリシクロヘキサジエン、及びノルボルネンとエチレンの共重合体のうち少なくとも1つ以上を用いることが好ましく、ポリノルボルネン及び/又はノルボルネンとエチレンの共重合体を用いることがより好ましい。
環状オレフィンモノマーのみを重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーの付加重合、あるいは開環重合などの公知の方法を用いることができる。例えば、ノルボルネンを開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法や、ノルボルネンを付加重合させる方法によりポリノルボルネンを得ることができる。また、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを1,2−、1,4−付加重合させた後に水素化させる方法により、ポリシクロペンタジエン、ポリシクロヘキサジエンを得ることができる。
環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーの付加重合などの公知の方法を用いることができる。例えば、ノルボルネンとエチレンを付加重合させる方法により、ノルボルネンとエチレンの共重合体を得ることができる。
(貯蔵弾性率)
本発明のフィルムは、加工工程における優れた寸法安定性と成型性を両立させる観点から、75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であり、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率とは粘弾性特性を物質の応力とひずみ特性の位相遅れに着目して表現した指標をいう。そして、貯蔵弾性率は公知の動的粘弾性測定装置により測定することが可能であり、詳細な測定条件は後述する。また、75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であるとは、機械方向及び幅方向の75℃における貯蔵弾性率が、いずれも1,000MPa以上3,000MPa以下であることをいい、以下120℃における貯蔵弾性率も含めて同様に解釈することができる。ここで、機械方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、機械方向と直交する方向をいう。
なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、機械方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、機械方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、任意に選択した一方向について後述の方法によりフィルムの75℃における貯蔵弾性率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを180°に達するまで繰り返して最も値が大きい方向を機械方向として扱うものとする。
75℃における貯蔵弾性率を1,000MPa以上とすることにより、コーティング、ラミネート、印刷、及び蒸着等の加工工程における寸法変化を軽減することができる。また、75℃における貯蔵弾性率を3,000MPa以下とすることにより、フィルムの靭性を確保し、フィルムの生産性の低下を軽減することができる。
寸法安定性の観点より、75℃における貯蔵弾性率は1,100MPa以上であることが好ましく、1,200MPa以上であることがさらに好ましい。また、成型性の観点より、75℃における貯蔵弾性率は2,500MPa以下であることが好ましく、2,000MPa以下であることがさらに好ましい。
フィルムの75℃における貯蔵弾性率を1,000MPa以上3,000MPa以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フィルムを形成する層のうち、少なくとも一つ以上の層のガラス転移温度が80℃以上である態様とする方法が挙げられる。
層のガラス転移温度は、以下の方法により測定することができる。先ず、フィルムより削り出した層サンプルを示差走査熱量計により昇温させ、縦軸を温度、横軸を熱挙動とする波形を記録する。得られた波形より、ガラス状態からゴム状態への転移によりベースラインが下にシフトしている箇所を特定し、その変曲点にて波形に対する接線を引く。この接線とベースラインが交わる箇所の温度が層のガラス転移点となる。なお、ガラス状態からゴム状態への転移が複数観察される場合は、ベースラインのシフト幅の最も大きい転移を基に層のガラス転移温度を求めるものとする。
なお、このような態様とするための手段としては、例えば、層中の環状オレフィン系樹脂の共重合成分の比率を調整する手段や、層中の環状オレフィン系樹脂としてガラス転移温度の異なる複数種の樹脂を用いる手段が挙げられる。これらの手段の具体例について、層中の環状オレフィン系樹脂としてノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合を例に説明する。
層中の環状オレフィン系樹脂としてノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、ポリマー鎖におけるノルボルネン由来成分の比率を高くすることにより、層のガラス転移温度を上昇させることができる。また、ポリマー鎖中のノルボルネン由来成分の比率が異なるノルボルネンとエチレンの共重合体を複数種類混合させるのであれば、ポリマー鎖中のノルボルネン由来成分の比率が高い樹脂の配合比を上げることにより、層のガラス転移温度を上昇させることができる。
また、より容易にフィルムの75℃における貯蔵弾性率を1,000MPa以上3,000MPa以下又は上記の好ましい範囲とする観点から、フィルム全体の厚み比100%に対し、ガラス転移温度が80℃以上である層の合計厚み比を50%以上とすることが好ましい。ここで、「ガラス転移温度が80℃以上の層の合計厚み比」とは、フィルム中にガラス転移温度が80℃以上である層が1つ存在する場合はその層の厚み比をいい、複数存在する場合は該当する全ての層の厚み比の合計をいう。
さらに、フィルムの120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であると、優れた成型性を備えるだけでなく、成型温度も150℃以下と比較的低温に設定できる。そのため、フィルムは金属のような比較的融点の高い部材だけでなく、樹脂のような比較的融点の低い部材の成型にも好適に用いることができるものとなる。
さらに高い成型性が必要な場合は、フィルムの120℃における貯蔵弾性率が50MPa以下であることがより好ましく、20MPa以下であることがさらに好ましく、18MPa以下であることが特に好ましい。また、120℃における貯蔵弾性率の下限は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、フィルムの成型性の観点から0.5MPaあれば十分である。
フィルムの120℃における貯蔵弾性率を100MPa以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、フィルムを形成する層のうち、少なくとも一つ以上の層のガラス転移温度が120℃以下である態様とする方法が挙げられる。
なお、このような態様とするための手段としては、例えば、層中の環状オレフィン系樹脂の共重合成分の比率を調整する手段や、層中の環状オレフィン系樹脂としてガラス転移温度の異なる複数種の樹脂を用いる手段が挙げられる。これらの手段の具体例について、層中の環状オレフィン系樹脂としてノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合を例に説明する。
層中の環状オレフィン系樹脂としてノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、ポリマー鎖におけるノルボルネン由来成分の比率を低くすることにより、層のガラス転移温度を低下させることができる。また、ポリマー鎖中のノルボルネン由来成分の比率が異なるノルボルネンとエチレンの共重合体を複数種類混合させるのであれば、ポリマー鎖中のノルボルネン由来成分の比率が低い樹脂の配合比を上げることにより、層のガラス転移温度を低下させることができる。
また、より容易にフィルムの120℃における貯蔵弾性率を100MPa以下又は上記の好ましい範囲とする観点から、フィルム全体の厚み比100%に対し、ガラス転移温度が120℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることが好ましい。上記観点から、フィルム全体の厚み比100%に対し、ガラス転移温度が110℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることがより好ましく、ガラス転移温度が100℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることがさらに好ましい。
すなわち、75℃における貯蔵弾性率を1,000MPa以上3,000MPa以下とし、かつ120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下とする観点からは、ガラス転移温度が80℃以上120℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることが好ましく、ガラス転移温度が80℃以上110℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることがより好ましく、ガラス転移温度が80℃以上100℃以下である層の合計厚み比を50%以上とすることがさらに好ましい。
(オレフィン系エラストマー)
本発明のフィルムは、フィルムの靭性、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、オレフィン系エラストマーを含有することが重要である。
オレフィン系エラストマーとは、炭素−炭素二重結合を有する炭化水素化合物とαオレフィンを共重合させて得られるオレフィン系共重合体であって、25℃でゴム弾性を有するものをいう。
本発明において、オレフィン系エラストマーは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムの靭性、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点、及び環状オレフィン樹脂との相溶性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等のαオレフィンの共重合体等が好ましく用いられ、エチレン−αオレフィン系エラストマー、プロピレン−αオレフィン系エラストマーがより好ましく用いられ、エチレン−αオレフィン系エラストマーがさらに好ましく用いられる。
オレフィン系エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムの靭性、耐熱性、及び自己保持性を向上させ、かつ75℃及び120℃における貯蔵弾性率を前述の好ましい範囲とする観点から、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
オレフィン系エラストマーの含有量が30質量%を超えると、フィルムの耐熱性や自己保持性が低下することがある。また、75℃における貯蔵弾性率が低下し、かつ120℃における貯蔵弾性率が上昇するため、75℃及び120℃における貯蔵弾性率が前述の好ましい範囲とならず、加工工程における寸法安定性と成型性の両立が困難となることもある。一方、ポリエチレン系樹脂の含有量が0.1質量%未満になるとフィルムの靭性の低下を招き、フィルムの生産性が著しく低下することがある。
本発明においては、オレフィン系エラストマーは1種類のみを使用しても、複数種類を混合して使用してもよい。なお、オレフィン系エラストマーを複数種類混合して用いる場合、オレフィン系エラストマーの含有量は、全てのオレフィン系エラストマーを合計して算出するものとする。
(ポリエチレン系樹脂)
本発明のフィルムは、フィルムの品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、ポリエチレン系樹脂を含有することが重要である。ポリエチレン系樹脂とは、樹脂全体100質量%中にエチレンモノマー由来成分を50質量%以上100質量%以下含む樹脂をいう。
ポリエチレン系樹脂は、前述の要件を満たし、かつ本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムの品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点、及び環状オレフィン樹脂との相溶性の観点から、低密度ポリエチレン(LDPE:高圧法により製造される密度900〜945kg/mのポリエチレン)、高密度ポリエチレン(HDPE:密度が945kg/mより大きいポリエチレン)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE:シングルサイトまたはマルチサイト触媒を用いて、低圧法により製造される密度900〜945kg/mのポリエチレン)、及びメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂を用いることが好ましく、高密度ポリエチレン及び/又は線状低密度ポリエチレンを用いることがより好ましく、線状低密度ポリエチレンを用いることがさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムの品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させ、かつ75℃及び120℃における貯蔵弾性率を前述の好ましい範囲とする観点から、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂の含有量が40質量%を超えると、フィルムの耐熱性や自己保持性が低下することがある。また、75℃における貯蔵弾性率が低下し、かつ120℃における貯蔵弾性率が上昇するため、75℃及び120℃における貯蔵弾性率を前述の好ましい範囲とならず、加工工程における寸法安定性と成型性の両立が困難となることもある。一方、ポリエチレン系樹脂の含有量が1質量%未満になるとフィルムの品位が低下することがある。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂は1種類のみを使用しても、複数種類を混合して使用してもよい。なお、ポリエチレン系樹脂を複数種類混合して用いる場合、オレフィン系エラストマーの含有量は、全てのオレフィン系エラストマーを合計して算出するものとする。
(積層構成)
本発明のフィルムは、優れた靭性を有し、かつ品位、加工工程における優れた寸法安定性と成型性を両立させる観点から、環状オレフィン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を含有する2つの層(A層、B層)を有し、B層がA層よりもオレフィン系エラストマーを多く含むことが好ましく、A層とB層が直接積層されており、かつB層が少なくとも一方の最表面に位置することがより好ましく、B層/A層/B層の2種3層構成を有することがさらに好ましい。
B層がA層よりもオレフィン系エラストマーを多く含むとは、A層を構成する全成分を100質量%としたときの、A層におけるオレフィン系エラストマーの含有量(質量%)よりも、B層を構成する全成分を100質量%としたときの、B層におけるオレフィン系エラストマーの含有量(質量%)が大きいことをいう。また、A層とB層が直接積層されているとは、A層とB層が別の層を介さずに積層されている状態をいう。
本発明のフィルムがB層/A層/B層の2種3層構成のように複数のB層を有する場合、B層は、環状オレフィン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を含有し、A層よりもオレフィン系エラストマーを多く含む限り、その組成が同一であっても異なっていてもよい。但し、製膜安定性や生産性、生産コストの観点から、B層の組成が同一であることが好ましい。
また、A層とB層の積層比(=B層の合計厚み/A層の合計厚み)は、フィルムの靭性、品位、及び加工工程における優れた寸法安定性と成型性を両立させる観点から、0.1以上2以下であることが好ましく、0.15以上1.5以下であることがより好ましく、0.2以上1.0以下であることがさらに好ましい。ここでA層の合計厚みとは、フィルム中の全てのA層の厚みを合計した値を意味し、B層の合計厚みについても同様である。
(A層)
本発明のフィルムにおいては、優れた靭性を有し、かつ品位、加工工程における優れた寸法安定性と成型性を両立させる観点から、A層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有することが好ましい。A層が環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、A層が環状オレフィン系樹脂を50質量%より多く99質量%以下含むことをいう。また、A層がポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有するとは、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、A層がポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含むことをいう。
本発明のフィルムにおいて、A層における環状オレフィン系樹脂の含有量は、加工工程における寸法安定性と成型性を両立させる観点から、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、80質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。一方、A層におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、フィルムの品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
また、A層はオレフィン系エラストマーを含んでも、含まなくてもよい。A層におけるオレフィン系エラストマーの含有量は、フィルムの靭性、品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、A層におけるオレフィン系エラストマーの含有量が、A層を構成する全成分を100質量%としたときに、0質量%であるとは、A層がオレフィン系エラストマーを含まないことを意味する。
(B層)
本発明のフィルムにおいては、フィルムの靭性、品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、B層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有し、かつオレフィン系エラストマーを1質量%以上40質量%以下含有することが好ましい。
B層が環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、B層が環状オレフィン系樹脂を50質量%より多く98質量%以下含むことをいう。また、B層がポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有するとは、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、B層がポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含むことをいい、B層がオレフィン系エラストマーを1質量%以上40質量%以下含有するについても同様である。
本発明のフィルムにおいて、B層における環状オレフィン系樹脂の含有量は、加工工程における寸法安定性と成型性を両立させる観点から、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、85質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。一方、B層におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、フィルムの品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、3質量%以上14質量%以下であることがより好ましい。さらに、B層におけるオレフィン系エラストマーの含有量は、フィルムの靭性、品位、耐熱性、及び自己保持性を向上させる観点から、B層を構成する全成分を100質量%としたときに、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
(用途及び成型転写箔)
本発明のフィルムは、優れた靭性を有し、かつ品位、表面外観、加工工程における寸法安定性、及び成型性を備えるため、成型用フィルムであることが好ましく、成型転写箔用フィルムであることがより好ましい。ここで、成型用フィルムとは、後述する意匠層等を成型部材(被着体)に転写するための剥離可能な支持フィルムをいう。
本発明の成型転写箔は、装飾を成型部材に付加するのを容易にする観点から、本発明のフィルム、意匠層、および接着層がこの順に位置することが重要である。ここで、意匠層とは、着色、柄模様、木目調、金属調、及びパール調などの装飾を成型部材に付加させるための層をいう。また、本発明のフィルム、意匠層、および接着層がこの順に位置するとは、本発明のフィルムと意匠層、意匠層と接着層の間に別の層があるか否かにかかわらず、本発明のフィルム、意匠層、および接着層がこの順に位置している態様全般をいう。
本発明の成型転写箔は、製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面を保護する観点から、本発明のフィルムと意匠層との間に、保護層が位置することが好ましい。ここで保護層とは、製品部材に転写された意匠層を保護する役割を担う層をいう。このような態様とすることにより、成型転写箔を成型部材に接着させてフィルムのみを剥離した後の、製品部材の表面の耐傷性、耐候性、及び意匠性が向上する。
本発明の成型転写箔において保護層に使用される樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、製品部材の外観を損なわない観点から、透明性の高い樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを好ましく使用することができる。また、製品部材の耐傷性を向上させる観点からは、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂及び熱線硬化樹脂を用いることが好ましく、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などを用いることがより好ましく、紫外線硬化型アクリル系樹脂、電子線硬化型アクリル系樹脂を用いることがさらに好ましい。
本発明のフィルムへの意匠層の形成方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、コート、印刷、金属蒸着などを用いることができる。意匠層に使用される樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
意匠層における着色剤は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、意匠層に用いる樹脂に対する分散性などを考慮して、染料、無機顔料、及び有機顔料などから適宜選択することができる。
コート又は印刷により意匠層を形成する場合、その厚みは、成型後の色調保持性、意匠性の観点から、1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上50μm以下であることがより好ましく、5μm以上40μm以上であることがさらに好ましい。
また、金属蒸着により意匠層を形成する場合、蒸着簿膜の作製方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法などを用いることができる。
金属蒸着における金属は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、意匠層の成型性の観点から、インジウムやスズであることが好ましく、インジウムであることがより好ましい。
金属蒸着により意匠層を形成する場合、その厚みは、意匠層の成型性と意匠性とを両立させる観点から、0.001μm以上100μm以下であることが好ましく、0.01μm以上50μm以下であることがより好ましく、0.02μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
成型部材への接着性を付与する目的で、意匠層に設ける接着層の素材としては、感熱タイプあるいは感圧タイプを用いることができる。成型部材へ転写させる場合は、成型部材の材質に合わせて、接着層の素材を適宜選択することができる。
例えば、成型部材がアクリル樹脂を主成分とする場合は、アクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂などを用いることが好ましい。成型部材がポリスチレン系樹脂を主成分とする場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いることが好ましい。成形部材がポリプロピレン系樹脂を主成分とする場合は、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、環化ゴム、クマロンインデン系樹脂を用いることが好ましい。成型部材が金属である場合は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などを用いることが好ましい。
本発明のフィルムへの接着層の形成方法、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えばロールコート法、グラビアコート法、コンマコート法などのコート法、及びグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法を用いることができる。
本発明の成型用フィルムを用いた成型転写箔を使用して加飾させる成型部材は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル・スチレン、ポリアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンなどの樹脂を主成分とする部材や、アルミニウム、マグネシウム、鉄、チタン、銅、亜鉛などの金属を主成分とする部材などが挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)フィルム厚みおよび各層の層厚み
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用いて、フィルムサンプルの任意の場所(5ヶ所)の厚みを測定し、その平均値から求めた。積層構成フィルムの各層の層厚みは、ライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いてフィルムの断面写真を倍率100倍で撮影した後、得られた写真より各層ごとに任意の5ヶ所を選定してその厚みを測定し、その平均値を算出することにより求めた。
(2)フィルムのスリット性
フェザー安全剃刀(株)製片刃(FAS−10)をセットした二軸スリッターを用いて、長さ200mのフィルムについて、張力15kg/m、速度30m/分の条件で空中カットによるスリットを行い、スリット後のフィルム幅方向端部(図1の3)をフィルム面と垂直な方向から目視観察することにより凹凸の有無を確認し、凹凸がある場合、その機械方向の周期(図1の4)と幅方向の振幅(図1の5)を金尺(JIS1級スケール)によって測定した。フィルムのスリット性は以下の基準で評価し、B以上を合格とした。
A:周期0.5mm未満凹凸が観察された。
B:周期0.5mm以上かつ振幅5mm未満の凹凸が観察された。
C:スリット中にフィルムが破断した、又は周期0.5mm以上かつ振幅5mm以上の凹凸が観察された。
(3)意匠層形成時の加工性
フィルムロールサンプルの表面に、アプリケーターを用いて、アクリル樹脂(東洋ケミカル製6500B)にカーボンブラックを分散して得られたブラックインキを塗工し、80℃で5分間乾燥を行い、塗膜厚み30μmの意匠層を形成した。さらに上記の得られた意匠相を有するフィルムロールサンプルを任意の位置で100mm(機械方向)×100mm(幅方向)の大きさに切り出してサンプルとし、フィルムの幅方向および機械方向の寸法変化を観察し、加工性を次の基準で評価した。なお、寸法変化はノギスを用いて乾燥前後のフィルムの幅方向および機械方向の長さ変化を測定して算出するものとし、意匠層形成時の加工性はC以上を合格とした。
A:フィルムの幅方向および機械方向における寸法変化が、いずれも1mm未満である。
B:フィルムの幅方向および機械方向の少なくとも一方に、1mm以上5mm未満の寸法変化があり、かつフィルムの幅方向および機械方向のいずれにも5mm以上の寸法変化がない。
C:フィルムの幅方向および機械方向の少なくとも一方に、5mm以上10mm未満の寸法変化があり、かつフィルムの幅方向および機械方向のいずれにも10mm以上の寸法変化がない。
D:フィルムの幅方向および機械方向の少なくとも一方に、10mm以上の寸法変化がある。
(4)成型転写箔の成型性
フィルムロールサンプルの表面に、アプリケーターを用いて、アクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し意匠層を形成した。さらに上記のフィルムロールサンプルを任意の位置で200mm(機械方向)×300mm(幅方向)の大きさに切り出してサンプルとした。サンプルの意匠層の表面に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル製892Lを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着層を形成した。接着層が形成されたサンプルを布施真空株式会社製の三次元真空加熱成型機(TOM成形機/NGF−0406−T)を用いて、120℃の温度になるように加熱し、50℃に加熱したポリプロピレン製樹脂型(底面直径150mm)に沿って真空・圧空成型(圧空:0.2MPa)を行い、フィルム/意匠層/接着層/ポリプロピレン製樹脂型の成型体を得た。得られた成型体について、型に沿って成型できた状態(絞り比:成型高さ/底面直径)より、成型転写箔の成型性を以下の基準で評価した。なお、成型転写箔の成型性はC以上を合格とした。
A:絞り比1.0以上で成型できた。
B:絞り比0.8以上1.0未満で成型できたが、絞り比1.0以上では成型できなかった。
C:絞り比0.7以上0.8未満で成型できたが、絞り比0.8以上では成型できなかった。
D:絞り比0.7以上で成型できなかった。
(5)貯蔵弾性率
フィルムを60mm(機械方向)×5mm(幅方向)の矩形に切り出しサンプルとした。動的粘弾性測定装置(レオロジ製、DVE−V4 FTレオスペクトラ)により下記の測定条件で測定を行い、75℃及び120℃における機械方向の貯蔵弾性率(MPa)を求めた。幅方向の貯蔵弾性率(MPa)についても、サンプルを60mm(幅方向)×5mm(機械方向)の矩形とした以外は機械方向と同様にして求めた。
<測定条件>
周波数:10Hz
試長:20mm
変位振幅:10μm
測定温度範囲:25℃〜160℃
昇温速度:5℃/分。
(6)製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面外観
フィルムロールの表面に、ダイコーターを用いて、アクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み30μmの意匠層を形成した。さらに意匠層の上に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル製892Lを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着層を形成し、成型転写箔ロールを作製した。
得られた成型転写箔ロールから任意の位置で200mm(機械方向)×300mm(幅方向)の大きさに成型転写箔を切り出した。次いで、フィルム/意匠層/接着層/成型部材(平面状のポリプロピレン製樹脂型)の順になるように、成型転写箔と成型部材を重ねて真空・圧空成型を行い、得られた成型体に照射強度が2,000mJ/cmとなるように紫外線を照射して塗剤を硬化させた。その後、フィルムのみを剥離して得られた製品部材の表面を走査型白色干渉顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 VS−1000)を用いて倍率5倍で観察し、次の基準でその表面外観(うねり:製品部材の最大点高さ−最小点高さ)を評価した。なお、製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面外観はB以上を合格とした。
A:うねりが0.01mm未満であった。
B:うねりが0.01mm以上0.1mm未満であった。
C:うねりが0.1mm以上であった。
(7)フィルムの欠点数
200mm(機械方向)×500mm(幅方向)のフィルムロールサンプルよりフィルムを巻き出して自動検出機に搬送し、自動検出機により、搬送されたフィルムにライン状光源で光を照射して、フィルムの画像を内蔵カメラ(キーエンス社製 XG−HL08M)で撮影した。自動検出機は、画像処理部(キーエンス社製 CA−LHL35)により得られた画像を処理し、面積が1.0mm以上の影を欠点と判定し、その個数をカウントした。こうして得られた欠点の個数を100mあたりに換算し、フィルムの欠点数とした。なお、フィルムの欠点数は10個/100m以下を合格とし、自動検出機による測定条件は下記の通りとした。
ライン状光源:LED(アイテックシステム社製のLLRV1250x30−75)
フィルム−ライン状光源間距離:100mm
フィルム−カメラレンズ先端距離:1500mm
(環状オレフィン系樹脂A)
ポリプラスチックス社製“TOPAS”(登録商標)8007F−04
(環状オレフィン系樹脂B)
ポリプラスチックス社製“TOPAS”(登録商標)6013F−04
(環状オレフィン系樹脂C)
日本ゼオン社製“ZEONOR”(登録商標)1060R
(ポリエチレン系樹脂)
プライムポリマー社製“エボリュー”(登録商標)SP2540
(オレフィン系エラストマー)
住友化学社製“エスプレン”(登録商標)SPO
(実施例1)
表1の組成、構成とし、それぞれ単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度230℃、それ以降の温度を240℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、40℃に温度制御したマット調金属製賦形ロール(表面粗さRa:0.9μm)上にシート状に吐出した。その際、30℃に温度制御したマット調ゴム製賦形ロールにてニップをし(表面粗さRa:1.7μm、ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmのフィルムを得た。得られた成型用フィルムおよびそれを用いた成型転写箔、製品部材の評価結果を表に示した。
(実施例2〜9、比較例1〜4)
A層の組成およびB層の組成、A層およびB層の積層比、材質、制御温度を表1、2に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムおよびその転写箔の評価結果を表1、2に示した。
(比較例5)
市販されている成型加飾用二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製“ソフトシャイン”(登録商標)TA001)を用いた。該フィルムおよびその転写箔の評価結果を表2に示した。
Figure 2017137469
Figure 2017137469
表における各成分の含有量は、各層における全成分を100質量%として算出した。
本発明により、加飾に用いた場合の表面外観、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等を実施する際の加工性に優れたフィルム、及び該フィルムを用いた成型転写箔を提供することができる。本発明のフィルム及び成型転写箔を用いることにより、真空成型、圧空成型、及びプレス成型といった各種成型方法において製品部材(成型加飾後の成型部材)に高い意匠性を付与することができる。そのため、本発明のフィルム及び成型転写箔は、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
1 機械方向
2 幅方向
3 フィルム幅方向端部
4 機械方向の周期
5 幅方向の振幅

Claims (11)

  1. 環状オレフィン系樹脂を主成分とし、オレフィン系エラストマーおよびポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とする、フィルム。
  2. 環状オレフィン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を含有する2つの層(A層、B層)を有し、前記B層が前記A層よりもオレフィン系エラストマーを多く含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記A層と前記B層が直接積層されており、かつB層が少なくとも一方の最表面に位置することを特徴とする、請求項2に記載のフィルム。
  4. 前記B層/前記A層/前記B層の2種3層構成を有することを特徴とする、請求項2または3に記載のフィルム。
  5. 前記A層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 前記B層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、ポリエチレン系樹脂を1質量%以上40質量%以下含有し、かつオレフィン系エラストマーを1質量%以上40質量%以下含有することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であり、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 前記フィルムが、成型用フィルムであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
  9. 前記成型用フィルムが、成型転写箔用フィルムであることを特徴とする、請求項8に記載のフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のフィルム、意匠層、および接着層がこの順に位置することを特徴とする、成型転写箔。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のフィルムと前記意匠層との間に、保護層が位置することを特徴とする、請求項10に記載の成型転写箔。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021014883A1 (ja) * 2019-07-24 2021-01-28 東レ株式会社 積層フィルム及びそれを用いた成型転写箔
EP3712201A4 (en) * 2017-11-17 2021-07-21 Toray Industries, Inc. FILM, SHAPE TRANSFER FILM MADE FROM IT, FILM ROLL AND METHOD FOR MANUFACTURING THE FILM
WO2022091900A1 (ja) * 2020-10-26 2022-05-05 東レ株式会社 積層フィルム及びそれを用いた成型転写箔

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