JP2016043686A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の積層フィルムは、転写箔などの成型用フィルムとして用いた場合に、成型性に優れるフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】A層とB層とを有する積層フィルムであって、前記A層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、かつ、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を含み、前記B層は、COPを主成分とすることを特徴とする、積層フィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂を含む積層フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでいる。三次元形状基材を加飾する方法として、熱可塑性樹脂フィルムに、意匠層を積層し、成型と同時に基材に転写させる方法が知られている。また、そのような加飾方法に対し、ポリオレフィン樹脂を含むフィルムの提案もされている。しかし、ポリオレフィン樹脂フィルムを加飾用途に適用しようとすると表面外観の品位に欠けるため、改善し実用化するために各種の試みがなされている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、環状オレフィン共重合樹脂と環状オレフィン樹脂を積層したフィルムを加飾用途に適用することすることが開示されている。
特開2013−188945号公報 特開2013−189549号公報
前述の特許文献1および特許文献2に記載の技術では、成型加工において、とくに絞り比の高い形状を成型する際、積層フィルムの層間剥離が生じ、品位の低下や生産性の低下が問題となることがあった。
そこで、本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、転写箔などの成型用フィルムとして用いた場合に、成型性に優れる積層フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次によって解決することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明のフィルムは以下である。
(1) A層とB層とを有する積層フィルムであって、
前記A層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、かつ、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を含み、
前記B層は、COPを主成分とすることを特徴とする、積層フィルム。
(2) B層、A層、及びB層が、間に他の層を介さずにこの順に直接積層されたことを特徴とする、(1)に記載の積層フィルム。
(3) A層が無機粒子を含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の積層フィルム。
(4) A層およびB層のいずれもが、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を合わせて1質量%以上40質量%以下含有し、
層中のポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を合わせた含有量(質量%)が、A層の方がB層よりも大きいことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5) 一方の面をX面、他方の面をY面としたとき、X面及びY面のいずれもが、表面光沢度が50%以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6) Y面の表面光沢度以上の表面光沢度を有する面をX面とした時、X面の表面粗さSRaが100nm以上1,000nm以下、Y面の表面粗さSRaが100nm以上2,000nm以下であることを特徴とする、(5)に記載の積層フィルム。
(7) 大きさが1.0mm以上の欠点の数が、100mあたり2個以下であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の積層フィルムに、意匠層、及び接着層をこの順に有することを特徴とする、成型用転写箔。
(9) (5)〜(7)のいずれかに記載の積層フィルムに、意匠層、及び接着層をこの順に有する転写箔であって、
X面の表面光沢度以下の表面光沢度を有する面をY面とした時、Y面が転写箔の一方の最表面であることを特徴とする、成型用転写箔。
本発明の積層フィルムは、転写箔などの成型用フィルムとして用いた場合に、成型性に優れる積層フィルムを提供せんとするものである。コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等実施する際の加工性に優れ、さらに真空成型、圧空成型、プレス成型といった各種成型方法において製品部材(成型加飾後の成型部材)が高い意匠性と優れた指紋ふき取り性を達成することができるため、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用
いることができる。
本発明は、A層とB層とを有する積層フィルムであって、前記A層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、かつ、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を含み、前記B層は、COPを主成分とする積層フィルムである。
A層においてCOCを主成分とするとは、A層の全体100質量%において、A層がCOCを50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。
また、B層においてCOPを主成分とするとは、B層の全体100質量%において、B層がCOCを50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。
A層全体100質量%において、COCの含有量が50質量%未満であると、本発明の積層フィルムに印刷加工を施す際、塗工乾燥時などの耐熱性が不足してフィルムが変形する問題点がある。A層全体100質量%において、COCの含有量は70質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
また、B層全体100質量%において、COPの含有量が50質量%未満であると、本発明の積層フィルムの表面外観、靭性を損なう場合がある。B層全体100質量%において、COPの含有量は70質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
本発明の積層フィルムにおいてA層がCOPを含まない場合、A層とB層とが隣接する積層フィルムを絞り比が高い形状に成型する際に、A層とB層との間で層間剥離しやすくなり、品位の低下を発生させてしまう。そのためA層は、COPを含むことが重要である。
A層全体100質量%におけるCOPの含有量は特に限定されないが、COPの含有量は1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明において環状オレフィン共重合樹脂(COC)とは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」と「主鎖に環状オレフィンを含有しないオレフィンからなる繰り返し単位」の少なくとも2種類以上の繰り返し単位を重合させた態様の樹脂を意味する。
また、本発明において環状オレフィン樹脂(COP)とは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」のみを重合させた態様の樹脂を意味する。
COCの製造方法としては、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーの付加重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネンおよびその誘導体とエチレンを付加重合させる方法などが挙げられる。中でも、生産性、表面性、成型性の観点から、ノルボルネンとエチレンの共重合体が最も好ましい。
またCOPの製造方法としては、環状オレフィンモノマーの付加重合、あるいは開環重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネンおよびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法、ノルボルネンおよびその誘導体を付加重合させる方法、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを1,2−、1,4−付加重合させた後に水素化させる方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性、表面性、成型性の観点から、ノルボルネンおよびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂が最も好ましい。

本発明の積層フィルムは、A層とB層を有しさえすれば特に限定されないが、成型性や表面外観を向上させる観点から、B層、A層、及びB層が、間に他の層を介さずにこの順に直接積層されることが好ましい。
また、A層とB層の積層比(=B層の合計厚み/A層の合計厚み)は、0.1以上2以下であることが好ましく、0.15以上1.5以下であればさらに好ましく、0.2以上1以下であれば最も好ましい。ここでA層の合計厚みとは、A層が複数存在する場合は、複数存在するA層の合計の厚みを意味し、B層についても同様である。
本発明の積層フィルムの厚み、つまり、A層とB層、あるいはその他の層を有する場合にはそれをあわせたフィルム全体厚みとしては、特に限定されないが、通常50μmから200μm程度が好ましい。

本発明の積層フィルムは、成型冷却時の冷却固化時間を短縮できる点から、A層が無機粒子を含むことが好ましい。A層中の無機粒子の含有量は、A層の全体100質量%において3質量%以上35質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上25質量%以下であることが最も好ましい。
無機粒子としては、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
無機粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上7μm以下である。

本発明の積層フィルムは、靱性、品位、表面外観を向上するために、A層およびB層のいずれもが、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を合わせて1質量%以上40質量%以下含有し、層中のポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を合わせた含有量(質量%)が、A層の方がB層よりも大きいことが好ましい。
フィルムの成型性向上と靱性、自己保持性の観点から、前記A層および前記B層は、各層の全体100質量%においてポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を合わせて1質量%以上30質量%以下含有することがより好ましく、1質量%以上20質量%以下含有することが最も好ましい。
ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の中でも、COCあるいはCOPとの相溶性が良好という観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましく用いられる。そしてポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン及び/又は線状低密度ポリエチレンが特に好ましく用いられ、線状低密度ポリエチレンが最も好ましく用いられる。
なお、本発明におけるポリエチレン系樹脂とは、重合体100質量%中において、エチレン由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。また、本発明のポリプロピレン系樹脂とは、重合体100質量%中において、プロピレン由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。

本発明の積層フィルムは、成型用転写箔として用いた場合、製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の意匠性と指紋ふき取り性を良好とする観点から、積層フィルムの一方の面をX面、他方の面をY面としたとき、X面及びY面のいずれもが、表面光沢度が50%以下であることが好ましい。なお、製品部材(成型加飾後の成型部材)とは、積層フィルムを含む成型用転写箔を成型部材(被着体)に転写して、続いて積層フィルムのみを剥離して得られた部材を意味する。
X面の表面光沢度の好ましい範囲は10%以上50%以下であり、さらに好ましくは25%以上45%以下である。
Y面の表面光沢度の好ましい範囲は1%以上30%以下であり、さらに好ましくは2%以上15%以下である。
本発明の積層フィルムにおいて、X面およびY面の両方の表面光沢度を50%以下とする方法はとくに限定されないが、たとえば、Tダイから押出した後、20℃以上60℃以下の一対の金属製賦形ロールとゴム製賦形ロール同士で冷却固化する方法等を挙げることができる。このとき一対のロールにおいてX面を賦形するロールの表面粗さRaを0.2μm以上2.0μm以下として、Y面を賦形するロールの表面粗さRaを0.2μm以上4.0μm以下として、温度設定条件を選択することにより、X面およびY面の表面光沢度を50%以下とすることができる。

(X面およびY面の表面粗さ)
本発明の積層フィルムは、フィルムに意匠層を印刷して成型用転写箔とし、該成型用転写箔を成型部材(被着体)に転写し、積層フィルムのみを剥離した後の製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の意匠性と指紋ふき取り性を良好とする観点から、Y面の表面光沢度以上の表面光沢度を有する面をX面とした時、X面の表面粗さSRaが、100nm以上1,000nm以下、Y面の表面粗さSRaが100nm以上2,000nm以下であることが好ましい。なお、両方の面の表面光沢度が同一の値となる場合には、表面粗さSRaが小さい値の面をX面として、表面粗さSRaが大きい値の面をY面と定義する。
X面の表面粗さSRaが1,000nm以下であれば、X面上に設けた意匠層に凹凸形状が表れず、製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の意匠性を良好とするために好ましい。また、X面の表面粗さSRaが100nm以上であれば、積層フィルムのX面上に意匠層を設ける際、X面に意匠層を施した面の表面滑り性を確保でき、ロール状に巻き取る際、フィルムにシワ等が発生せず生産性を維持することができるために好ましい。X面の表面粗さSRaのより好ましい範囲は150nm以上700nm以下、さらに好ましい範囲は200nm以上500nm以下である。
また、Y面の表面粗さSRaが2,000nm以下であれば、X面上に意匠層を設けたフィルムをロールとして巻き取った際に、意匠層にY面の表面凹凸が転写することなく、製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の適度な凹凸を維持し、意匠性が損なわれることなく、指紋ふき取り性を良好とするために好ましい。一方、Y面の表面粗さSRaが100nm以上であれば、積層フィルムのY面上に意匠層を設けた際、意匠層の表面の表面滑り性を確保でき、ロール状に巻き取った際に、フィルムにシワ等が発生せず生産性を良好とすることができるために好ましい。Y面の表面粗さSRaのより好ましい範囲は250nm以上1500nm以下、さらに好ましい範囲は500nm以上1000nm以下である。
本発明の積層フィルムを成型用転写箔として用いた場合に、積層フィルムの欠点が製品部材の外観を損なわないという観点から、本発明の積層フィルムは、大きさが1.0mm以上の欠点の数が、100mあたり2個以下であることが好ましい。本発明の積層フィルムの大きさが1.0mm以上の欠点の数を100mあたり2個以下とすることで、本発明の積層フィルムは成型用転写箔用途において好適なものとなる。
本発明の積層フィルムにおいて、大きさが1.0mm以上の欠点の数は、0個であることが特に好ましい。本発明の積層フィルムにおいて、大きさが1.0mm以上の欠点の数が、100mあたり2個以下とする方法はとくに限定されないが、たとえば、水分率500ppm(質量基準)以下とした環状オレフィン系樹脂を原料として用いて積層フィルムを製造する方法を挙げることができる。原料として用いる環状オレフィン系樹脂の水分率を減らす方法としては、製膜前に環状オレフィン系樹脂を十分に乾燥する方法を挙げることができる。

(成型用転写箔)
本発明の積層フィルムは、成型用転写箔として用いることが好ましい。本発明の積層フィルムを成型用転写箔として用いる場合には、本発明の積層フィルムに意匠層、及び接着層をこの順に有する成型用転写箔とすることが好ましく、さらには、積層フィルムのX面の表面光沢度以下の表面光沢度を有する面をY面とした時に、前記Y面が転写箔の一方の最表面であることが特に好ましい。つまり本発明の成型用転写箔は、本発明の積層フィルムのX面上に、意匠層、及び接着層を順次有する構成であることが特に好ましい。
ここで意匠層とは、着色、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させるための層である。
成型用転写箔を成型部材(被着体)に転写した後、成型用転写箔のうち積層フィルムのみを剥離した後の製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の耐傷性、耐候性、意匠性の観点からは、意匠層が1層のみの構成よりも、意匠層が装飾を付加させるための層と保護層の2層を有する構成であることが好ましい。この場合、保護層は積層フィルム側に積層することが好ましい。
ここで、保護層として使用される樹脂は、高透明樹脂であれば特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂共重合体などが好ましく使用される。耐傷性の観点から、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱線硬化樹脂が好ましく用いられる。
本発明の積層フィルムへの意匠層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、コート、印刷、金属蒸着などによって形成することができる。このとき意匠層に使用される樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂共重合体などが好ましく使用される。使用される着色剤としては特に限定されないが、分散性などを考慮して、染料、無機顔料、有機顔料などから適宜選択される。
コート、印刷により形成される意匠層の厚みとしては、成型後の色調保持性、意匠性の観点から、1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上50μm以下であればさらに好ましく、5μm以上40μm以上であれば最も好ましい。
また、意匠層の形成方法が金属蒸着の場合、蒸着簿膜の作製方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。蒸着に使用される金属としてはインジウムやスズが好ましく、特にインジウムを好ましく用いることができ、意匠層の積層厚みは、0.001μm以上100μm以下であることが好ましく、0.01μm以上50μm以下であればさらに好ましく、0.02μm以上30μm以下であれば最も好ましい。
成型部材(被着体)への接着性を付与する目的で、意匠層に設ける接着層の素材としては、感熱タイプあるいは感圧タイプを用いることができる。成型部材(被着体)へ転写させる場合は、成型部材(被着体)の樹脂に合わせて、接着層を設計することができる。成型部材(被着体)を構成する樹脂がアクリル系樹脂の場合は、接着層を構成する樹脂はアクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂であることが好ましく、成型部材(被着体)を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂の場合は、接着層を構成する樹脂はポリスチレン系樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いる事が好ましい。成型部材(被着体)を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合は、接着層を構成する樹脂として塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、環化ゴム、クマロンインデン系樹脂を用いる事が好ましい。
本発明の積層フィルムを用いた成型用転写箔を使用して加飾させる成型部材(被着体)としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル・スチレン、ポリアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンなどといった樹脂や、金属部材などが用いられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)表面光沢度
JIS Z−8741(1997年)に準じて、デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いて表面光沢度を測定した。測定はフィルムの各表面について測定し、測定は1水準につき5回行い、その平均値から求めた。なお、測定条件は入射角=60°、受光角=60°とした。
(2)フィルムの表面粗さSRa
フィルムの表面粗さSRaは、光干渉型顕微鏡(菱化システム社製、VertScan2.0)を用いて、観察モード=Phaseモード、フィルタ=520nm、ScanRange=105nmにて表面形態観察し、中心線平均表面粗さSRaを求めた。測定は1水準につき3回行い、その平均値から求めた。なお、測定条件は、測定面積:1.25mm×0.9mm、カットオフ値:0.08mmとして、任意の面を測定した。
(3)賦形ロールの表面粗さRa
JIS B0601−2001に準拠して、表面粗さ計(ミツトヨ(株)、サーフテストSJ210)により、賦形ロール表面の2次元中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表面粗さRaとした。なお、測定条件は、触針先端半径:2μm、測定力:0.75mN、測定長さ:25mm、カットオフ値:0.08mm、測定方向を賦型ロールの幅方向として測定した。
(4)フィルム厚みおよび層厚み
フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、その平均値から求めた。
また、積層構成のフィルムの各層の層厚みを測定する際は、積層フィルムの断面がサンプル面となるようミクロトームを使用して超薄切片を作成し、サンプル表面にPt−Pdをイオンスパッタしてサンプルを調整し、日立製作所社製の走査電子顕微鏡S−800を用い、250倍でサンプル表面の観察、写真撮影を行った。その写真にて各層の厚み比を測定した。積層フィルムの各層ごとに任意の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値から各層の層厚みとした。
(5)フィルムの欠点数
フィルムに存在する欠点の数をカウントし、100mあたりに換算して欠点数とした。カウントする欠点は、大きさが1.0mm以上のものとし、欠点検出機を使用して自動抽出した。検出機は、ライン状光源から照射した光が、フィルムを透過した透過光をカメラが受光して撮像する。フィルムに欠点が存在する場合は、カメラが受光する光量が減少し影となって撮像される。その影の面積が1.0mm以上のものを大きさが1.0mm以上の欠点として検出機が判定し、検出機が大きさ1.0mm以上の欠点の個数をカウントする。
光源=LED、フィルム−光源間距離=100mm、フィルム−カメラレンズ先端距離=1500mm、光源はアイテックシステム社製のLLRV1250x30−75を用い、カメラはキーエンス社製のXG−HL08M、画像処理部はキーエンス社製のCA−LHL35を用いた。
(6)環状オレフィン系樹脂の水分率
カールフィッシャー水分計MKC−510N(京都電子工業株式会社)を使用して、カールフィッシャー法(電量滴定法)により測定した。測定時の加熱条件は、220℃とした。

(7)フィルムの成型冷却時間
フィルムを用い、バッチ式の真空成形機にて上下加熱ヒーター設定温度:120℃にて、上下加熱ヒーターからそれぞれ50mm離れた中央位置に水平に設置されたシートを表裏から加熱後、メス型の成形型をシートに押し当てて内部を減圧することで縦:約9cm、横:約12cm、高さ:約2.5cmの容器形状の成形体を作製した。このときの冷却時間と成型品の外観の関係を次の基準で評価した。
◎:冷却時間3秒で成形型に沿った形状ができた。
○:冷却時間3秒では成形型に沿った形状ができなかったものの、冷却時間5秒で成形型に沿った形状ができた。
△:冷却時間5秒で成形型に沿った形状ができなかったものの、冷却時間10秒で成形型に沿った形状ができた。
(8)成型用転写箔の成型性
フィルムロールサンプルの表面(X面側)に、アプリケーターを用いて、アクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し意匠層を形成した。さらに上記のフィルムロールサンプルを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。サンプルの表面(X面側)に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル製892Lを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着層を形成した。接着層が形成された積層フィルムを布施真空株式会社製の三次元真空加熱成型機(TOM成形機/NGF−0406−T)を用いて、120℃の温度になるように加熱し、50℃に加熱したポリプロピレン製樹脂型(底面直径150mm)に沿って真空・圧空成型(圧空:0.2MPa)を行い、フィルム/意匠層/接着層/ポリプロピレン製樹脂型の成型部材を得た。得られた成型部材について、型に沿って成型できた状態(絞り比:成型高さ/底面直径)を、成型形状の絞り比と、フィルムのA層とB層の間での層間剥離の発生有無で評価した。
○:絞り比1.5、1.0、0.7で成型し、全ての形状でフィルムのA層とB層の間で層間剥離がみられない。
△:絞り比1.5、1.0、0.7で成型し、絞り比1.5以外の形状ではフィルムのA層とB層の間で層間剥離がみられない。
×:○及び△のいずれにも該当しない。
(9)成型用転写箔の加工性
(8)記載のアクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工したフィルムロールサンプルをダイコーターの給紙位置にセットし、搬送速度30m/分でフィルムを搬送し、巻き取り側で巻き取った。この際、フィルムの搬送状態を観察し、加工性を次の基準で評価した。
○:フィルムに皺が入らずに、巻き取れる。
△:フィルムに皺が入るが、巻き取れる。
×:フィルムが巻き取れない。
(10)製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面外観
フィルムロールのX面側に、ダイコーターを用いて、アクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み30μmの意匠層を形成した。さらに意匠層の上に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル製892Lを塗工し、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着層を形成し、成型用転写箔ロールを作製した。
得られた成型用転写箔ロールから任意の位置で200mm×300mmの大きさにフィルムを切り出し、布施真空株式会社製の三次元真空加熱成型機(TOM成形機/NGF−0406−T)を用いて、120℃の温度になるように加熱し、50℃に加熱したポリプロピレン製樹脂型(底面直径150mm)に沿って真空・圧空成型(圧空:0.2MPa)を行い、積層フィルム/意匠層/接着層/ポリプロピレン製樹脂型の積層フィルム付き成型部材を得た。得られた成型部材に照射強度が2,000mJ/cmとなるように紫外線を照射して意匠層と接着層を硬化させた。その後、積層フィルムのみを剥離した製品部材(意匠層/接着層/ポリプロピレン製樹脂型)の表面を観察し、次の基準で表面外観を評価した。
◎:表面意匠性が非常に高い。
○:表面意匠性が高い。
△:表面意匠性が低い。
(11)製品部材(成型加飾後の成型部材)の表面の指紋ふき取り性
(10)記載の製品部材(成型加飾後の成型部材)、つまり(10)において積層フィルムのみを剥離した製品部材(意匠層/接着層/ポリプロピレン製樹脂型)の表面に指紋を付着させ、直後に東レ製“トレシー”(登録商標)を用いてそのふき取り性について、次の基準で表面外観を評価した。
◎:指紋付着箇所をふく回数が4回以下で、指紋を全てふき取れる
○:指紋付着箇所をふく回数が4回以下では指紋を全てはふき取れなかったが、ふく回数が5〜9回で、指紋を全てふき取れる
△:指紋付着箇所をふく回数が9回以下では指紋を全てはふき取れなかったが、ふく回数が10回〜14回で、指紋を全てふき取れる。
[使用した樹脂]
(COC−A)
ポリプラスチックス社製“TOPAS 8007F−04”
(COC−B)
ポリプラスチックス社製“TOPAS 6013F−04”
(COC−C)
COC−Aを60℃で5時間乾燥した。このときの水分率は(質量基準で)221ppmであった。
(COC−D)
COC−Bを60℃で5時間乾燥した。このときの水分率は(質量基準で)170ppmであった。
(COP−A)
日本ゼオン社製“ZEONOR 1060R”
(COP−B)
COP−Bを60℃で5時間乾燥した。このときの水分率は198ppmであった。
(ポリエチレン系樹脂)
プライムポリマー社製“エボリュー SP2540”
[使用した無機粒子マスターバッチ]
炭酸カルシウム(マスターバッチ100質量%において30質量%)・COC−A(マスターバッチ100質量%において70質量%)ベースのマスターバッチ
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名“カルテックスR”、平均粒径:2.8μm)

(実施例1)
表の組成、構成とし、それぞれ単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度230℃、それ以降の温度を240℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、40℃に温度制御した金属製賦形ロール(表面粗さRa:0.1μm)上にシート状に吐出した。その際、40℃に温度制御したゴム製賦形ロールにてニップをし(表面粗さRa:0.35μm、ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmの本発明の積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムおよびそれを用いた成型用転写箔、成型部材の評価結果を表に示した。
(実施例2〜10、比較例1〜2)
A層の組成およびB層の組成、A層およびB層の積層比、X面およびY面を賦形するための賦形ロール表面粗さRa、材質、制御温度を表に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムおよびその転写箔の評価結果を表に示した。
Figure 2016043686
Figure 2016043686
Figure 2016043686
本発明の積層フィルムは、転写箔などの成型用フィルムとして用いた場合に、成型性に優れる積層フィルムを提供せんとするものである。コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等実施する際の加工性に優れ、さらに真空成型、圧空成型、プレス成型といった各種成型方法において製品部材(成型加飾後の成型部材)が高い意匠性と優れた指紋ふき取り性を達成することができるため、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用
いることができる。

Claims (9)

  1. A層とB層とを有する積層フィルムであって、
    前記A層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、かつ、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を含み、
    前記B層は、COPを主成分とすることを特徴とする、積層フィルム。
  2. B層、A層、及びB層が、間に他の層を介さずにこの順に直接積層されたことを特徴とする、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. A層が無機粒子を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. A層およびB層のいずれもが、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を合わせて1質量%以上40質量%以下含有し、
    層中のポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂を合わせた含有量(質量%)が、A層の方がB層よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 一方の面をX面、他方の面をY面としたとき、X面及びY面のいずれもが、表面光沢度が50%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. Y面の表面光沢度以上の表面光沢度を有する面をX面とした時、X面の表面粗さSRaが100nm以上1,000nm以下、Y面の表面粗さSRaが100nm以上2,000nm以下であることを特徴とする、請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 大きさが1.0mm以上の欠点の数が、100mあたり2個以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルムに、意匠層、及び接着層をこの順に有することを特徴とする、成型用転写箔。
  9. 請求項5〜7のいずれかに記載の積層フィルムに、意匠層、及び接着層をこの順に有する転写箔であって、
    X面の表面光沢度以下の表面光沢度を有する面をY面とした時、Y面が転写箔の一方の最表面であることを特徴とする、成型用転写箔。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017214559A (ja) * 2016-05-30 2017-12-07 東レ株式会社 成型用フィルム及びそれを用いた成型転写箔

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