JP5594211B2 - 成型用加飾フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、成型用加飾フィルムに関するものであり、熱可塑性樹脂(A)層の上に、クリア(B)層が積層されてなることから、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性等の物理的・化学的耐久性、さらには表面光沢に優れており、また、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満とすることで、乾燥工程、成型工程などの加工工程でのフィルムの弛みが発生しないため、加工適性、さらには加工後の品位に優れ、また、厚みムラを0〜10%とすることで、成型加飾後の表面外観、品位に優れる成型用加飾フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の導入が進んでいる。
そのような中、三次元成型品に適用するための加飾フィルムとして、熱可塑性樹脂による保護フィルム層、クリア層、着色層から構成され、60℃で200%以上の伸び率を有するフィルムが開示されている(例えば、特許文献1)。
また、60℃での伸び率が200%未満となるアクリル樹脂フィルムや、ABSシートを基材とした熱成型積層フィルムも開示されている(例えば、特許文献2,特許文献3)。
特開2002−240202号公報 特開平9−578614号公報 特開2007−118350号公報
特許文献1に記載のフィルムは、60℃で200%以上の伸び率を有するため、三次元成型性には優れているものの、一方で加工適性が不充分であり、乾燥工程や、成型工程でのフィルムの弛みが発生してしまい、歩留まりの低下、成型加工後の品位の低下が問題となっていた。
また、特許文献2や3に記載のフィルムは、厚みムラを制御できておらず、成型加飾後の表面外観、品位が必ずしも満足のいくものではなかった。
そこで本発明の課題は、上記した問題点を解消することにある。すなわち、成型性と加工適性を両立し、さらに厚みムラを良好とした成型用加飾フィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有する。
(1) 熱可塑性樹脂(A)層の上に、クリア(B)層が積層されてなり、
任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満であり、厚みムラが0〜10%であり、
前記熱可塑性樹脂(A)層が環状オレフィン系樹脂を含む、成型用加飾フィルム。
(2) 前記環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度が90℃以上130℃以下である(1)に記載の成型用加飾フィルム。
(3) 前記環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(b層)を積層した層であり、
前記a層は、a層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含み、
前記b層は、a層よりもポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量が小さいことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の成型用加飾フィルム。
(4) 前記クリア(B)層の上にさらに着色(C)層が積層されてなる(1)〜(3)のいずれかに記載の成型用加飾フィルム。
(5) 全光線透過率が0〜20%である(1)〜(4)のいずれかに記載の成型用加飾フィルム。
(6) 以下の工程1及び2を有することを特徴とする、加飾成型体の製造方法。
工程1:(1)〜(5)のいずれかに記載の成型用加飾フィルムを、接着(D)層を介して形状体に貼り合わせる工程
工程2:熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層及び形状体を有する加飾成型体を得る工程
(7) (6)に記載の成型用加飾フィルムが、着色(C)層を有するフィルムであり、
前記工程1において、成型用加飾フィルム中の着色(C)層を、接着(D)層を介して形状体に貼り合わせ、
前記工程2において、熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層、着色(C)層、及び形状体を有する加飾成型体を得ることを特徴とする、加飾成型体の製造方法。
本発明の成型用加飾フィルムは、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性等の物理的・化学的耐久性、さらには表面光沢に優れており、また、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満とすることで、乾燥工程、成型工程などの加工工程でのフィルムの弛みが発生しないため、加工適性、さらには加工後の品位に優れ、また、厚みムラを0〜10%とすることで、成型加飾後の加飾成型体の表面外観、品位に優れる成型用加飾フィルムに適用することができる。
本発明の成型用加飾フィルムは、熱可塑性樹脂(A)層の上に、クリア(B)層が積層されてなるものである。構成としては、熱可塑性樹脂(A)層とクリア(B)層の間に別の層を介するものも含まれるが、好ましくは、熱可塑性樹脂(A)層と、クリア(B)層が別の層を介することなく、直接積層されてなるものである。
熱可塑性樹脂(A)層は、下記するクリア(B)層を保持する役割を持ち、本発明の成型用加飾フィルムの乾燥工程、成型工程等の加工工程での自己保持性を付与する層である。熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体といったフッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)系樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂の量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂(A)層は、熱可塑性樹脂(A)層の全成分100質量%において50質量%以上100質量%以下の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂(A)層は、加工工程での自己保持性、加熱成型性の観点から、該層の厚みは20μm〜1000μmであることが好ましい。より好ましくは50μm〜500μmであり、100μm〜300μmであれば最も好ましい。
また、本発明におけるクリア(B)層とは、成型加飾後の成型体の最表層に構成させる層のことである。クリア(B)層が高透明、高光沢を示す場合、クリア(B)層に表面光沢性を発現させ、成型加飾後の成型体の表面外観を向上させることができるので好ましい。また、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性といった物理的・化学的な耐久性を付与する役割を果たすため、本発明において非常に重要な層である。
クリア(B)層としては、成型加飾後の耐久性、表面光沢性の観点から、電子線硬化性および/または熱硬化性樹脂であることが好ましい。電子線硬化性および/または熱硬化性を有することで、成型後に電子線を照射させること、成型時に加熱すること、によってクリア層の耐久性が格段に向上するため非常に好ましい。クリア(B)層は、成型加飾後の耐久性、表面光沢性の観点から、成型加飾後には硬化していることが好ましいが、一方で、成型加飾前に硬化していると成型追従性が低下してしまうため、好ましくない。このため、成型加飾前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えばポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などのうちから選択された1種以上を混合したものを用いてもよい。
また、電子線硬化性樹脂としては、例えばウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂などのうちから選択された1種以上と、必要な場合に、その光開始剤などを混合したものを用いてもよい。
これらの熱硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂には、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、粘結剤、表面調整剤、顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを混合してもよい。
また、前記熱硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂は、共重合体であってもよく、または異種の樹脂の混合体であっても良い。
クリア(B)層が含有する電子線硬化性および/または熱硬化性樹脂の量は特に限定されないが、クリア(B)層は、クリア(B)層の全成分100質量%において50質量%以上100質量%以下の電子線硬化性および/または熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。
本発明のクリア(B)層は、耐久性、表面光沢性、成型加飾後の成型品の意匠性の観点から厚みは10μm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは20μm〜80μmであり、30μm〜60μmであれば最も好ましい。
本発明のクリア(B)層は、熱可塑性樹脂(A)層の上に(若しくは、熱可塑性樹脂(A)層と別の層からなる積層体における別の層の上に)、クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物を塗工することによって得ることができる。本発明のクリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の塗工方法については特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いて塗工することができる。
本発明の成型用加飾フィルムは、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満であることが必要である。任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%以上あると、乾燥工程、成型工程などの加工工程において、フィルムの弛みが発生しやすくなり、フィルムの外観不良、さらには成型加飾後の成型体の表面外観が低下してしまう。また、60℃における破断点応力が50MPa以上であると、フィルムとしての強度が強すぎて、成型性が不足してしまう。本発明の成型用加飾フィルムは、より好ましくは、60℃における破断伸度は、1%以上100%以下であり、2%以上50%以下であれば最も好ましい。外観に対する要求が厳しい場合、60℃における破断伸度は、3%以上10%以下であることが特に好ましい。本発明の成型用加飾フィルムの60℃における破断点応力は、5MPa以上45MPa以下であれば好ましく、10MPa以上40MPa以下であれば最も好ましい。外観に対する要求が厳しい場合、60℃における破断強度は、25MPa以上40MPaであることが特に好ましい。
本発明の成型用加飾フィルムを、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度を200%未満、破断点応力を50MPa未満に制御するためには、熱可塑性樹脂(A)層の少なくとも一方向および、それに直交する方向の60℃における破断伸度を200%未満、破断点応力を50MPa未満とする方法が有効である。熱可塑性樹脂(A)層は、自己保持性を有するために実質的に基材の役割を担っており、成型用加飾フィルムの機械特性は、熱可塑性樹脂(A)層の起因が非常に大きいためである。なお、前述の通り、クリア(B)層は半硬化状態が好ましい。クリア(B)層が完全に硬化している場合、成型用加飾フィルムの機械特性におけるクリア(B)層の寄与が大きくなりすぎるからである。
熱可塑性樹脂(A)層の少なくとも一方向および、それ直交する方向の破断伸度を200%未満、破断点応力を50MPa未満に制御するためには、熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂として、環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂などを用いる方法が挙げられる。これらの樹脂は60℃においては伸びにくいため、破断点伸度200%未満を制御しやすく、さらに強度は高くないため破断点応力50MPa未満にすることができる。
ここで、環状オレフィン系樹脂とは、モノマーたる環状オレフィンから重合して得られる、ポリマーの主鎖に脂環構造を有する樹脂をいう。
環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンといった単環式オレフィン、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチリデン− ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンといった二環式オレフィン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物) であるトリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エンといった三環式オレフィン、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エンといった四環式オレフィン、8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、テトラシクロ〔7,4,13.6,01.9,02.7〕テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン、テトラシクロ〔8,4,14.7,01.10,03.8〕ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン、ペンタシクロ〔6,6,13.6,02.7,09.14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6,5,1,13.6,02.7,09.13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ〔7,4,0,02.7,13.6,110.13〕−4−ペンタデセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,14.7,111.17,03.8,012.16〕−5−エイコセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,03.8,14.7,012.17,113.16〕−14−エイコセン、シクロペンタジエンといった四量体等の多環式オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
上記した中でも、生産性、表面性の観点から、本発明の成型用加飾フィルムの熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂は、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(以下、ノルボルネンとする)を重合して得られる環状オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
また熱可塑性樹脂(A)層が含有する環状オレフィン系樹脂としては、前述の環状オレフィンと、鎖状オレフィンとを共重合させた樹脂とすることもできる。この場合、好ましい鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)層が含有する環状オレフィン系樹脂としては、生産性、表面性、成型性の観点から、ノルボルネンとエチレンの共重合体が最も好ましい態様となる。そして熱可塑性樹脂(A)層が含有する環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を用いる場合、該共重合体の全体を100質量%とした際に、ノルボルネン含有量を65質量%以上75質量%以下、エチレン含有量を25質量%以上35質量%以下とした共重合体が好ましい。
なお、本発明における環状オレフィン系樹脂とは、環状オレフィン系樹脂の重合体100質量%中において、環状オレフィンモノマー由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。
また、熱可塑性樹脂(A)層は、該(A)層の全成分100質量%において、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、環状オレフィン系樹脂のみから構成されても、その他のオレフィン系樹脂を含有しても、またオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
熱可塑性樹脂(A)層が環状オレフィン系樹脂を含有する際に、同時に含有する環状オレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体といった各種ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体といった各種ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。また、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンモノマーからなる重合体、該α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、該α−オレフィンモノマーからなるブロック共重合体などを挙げることができる。中でも、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点から、熱可塑性樹脂(A)層が環状オレフィン系樹脂とその他のオレフィン系樹脂とを含有する場合には、その他のオレフィン系樹脂として、各種ポリエチレン系樹脂、各種ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明の成型用加飾フィルムの任意の一方向及びそれに直交する方向の60℃における破断伸度を200%未満、破断点応力を50MPa未満とする観点から、熱可塑性樹脂(A)層が環状オレフィン系樹脂を含む場合は、熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度を90℃以上130℃以下とすることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度を95℃以上120℃とした態様であり、100℃以上109℃以下であれば最も好ましい。なお、ここで熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を採用する。
環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度の制御方法は特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、ノルボルネンの含有量を増加させていくことでガラス転移温度を高温化することが可能である。具体的には、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、該共重合体全体を100質量%として、ノルボルネン含有量を65質量%以上75質量%以下とすることで、ガラス転移温度を90℃以上130℃以下の共重合体に制御することが可能である。
環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度の制御方法は、ノルボルネンの含有量の異なる2種類の環状オレフィン系樹脂をブレンドさせることによっても、調整可能である。また、環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層の中に、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を含有することによって、環状オレフィン系樹脂のみからなる熱可塑性樹脂(A)層よりもガラス転移温度を低温化して、所望のガラス転移温度の熱可塑性樹脂(A)層とすることができる。
また、本発明において熱可塑性樹脂(A)層が含有する樹脂として環状オレフィン系樹脂を用いる場合、熱可塑性樹脂(A)層は単層(単層フィルム)であっても構わないが、より特性を向上させるために熱可塑性樹脂(A)層を複数の層を有する積層フィルムとしてもよい。
環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂と比較すると、靱性が低いが、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させることで、靱性を改良することができる。一方で、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させると表面外観が低下傾向となる。このため、靱性と表面外観を両立するために、前記環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(b層)を積層してなる積層フィルムとして、該a層は、a層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含み、該b層は、a層よりもポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量が少ない組成とすることが好ましい。
また、靱性と表面外観の観点からは、a層中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂は、a層全体100質量%に対して、2〜30質量%であれば好ましく、3〜20質量%であれば最も好ましい。
またb層は、a層よりもポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量が小さければ特に限定されないが、表面外観の観点から、b層中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂は、b層全体100質量%に対して0〜5質量%であればさらに好ましく、0質量%であれば最も好ましい。
なお、a層において、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、a層全体100質量%において、環状オレフィン系樹脂が質量的に最も多いことを意味する。好ましくは、a層全体100質量%において、a層が環状オレフィン系樹脂を60質量%以上99質量%以下含む態様である。
またb層において、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、b層全体100質量%において、環状オレフィン系樹脂が質量的に最も多いことを意味する。好ましくは、b層全体100質量%において、b層が環状オレフィン系樹脂を90質量%以上100質量%以下含む態様である。
また、該構成の積層フィルムを熱可塑性樹脂(A)層とした場合、靱性、表面外観の観点から、積層比(b層の合計厚み/a層の厚み)は、0.1〜1であることが好ましい(なお、積層比(b層の合計厚み/a層の厚み)は、b層が2層存在する場合には、2層存在するb層の合計/a層、であり、積層比(b層の合計厚み/a層の厚み)は、b層が1層の場合には、b層の厚み/a層の厚み、である。)。積層比(b層の合計厚み/a層の厚み)は、0.2〜0.9であればさらに好ましく、0.4〜0.8であれば最も好ましい。
本発明の成型用加飾フィルムは、熱可塑性樹脂(A)層が前述の積層フィルムの場合、取扱い性をさらに向上させるために、a層/b層の2層構成よりも、b層/a層/b層の3層構成とした積層フィルムとすることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂を用いる場合について、具体的には、実質的にメタクリル酸アルキルの単独重合体であるポリメタクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルとそれに共重合可能な単量体、例えばアクリル酸エステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルは、そのアルキル部分の炭素数が1〜4程度でありうるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、メタクリル酸アルキルとアクリル酸エステルとの共重合体とする場合、共重合成分であるアクリル酸エステルの具体的な例としては、アクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル部分の炭素数は1〜10程度であるのが好ましい。かかるアクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとの共重合体とする場合は、例えば、メタクリル酸アルキル単位50〜99.5重量%程度、そしてアクリル酸アルキル単位50〜0.5重量%程度の共重合比とするのが好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の単量体単位を共重合成分として含んでいてもよい。これらのメタクリル酸アルキルを主体とする重合体は、ガラス転移温度が60〜110℃で、かつ重量平均分子量が7万〜60万の範囲にあるのが好ましい。そのガラス転移温度は、より好ましくは75℃〜105℃である。一方、重量平均分子量は、より好ましくは12万〜30万である。また、アクリル系樹脂特有の脆性を改良するために、このようなメタクリル酸アルキルを主体とする重合体にアクリル系ゴム粒子を含有させる方法も好ましく用いられる。ここで用いるアクリル系ゴム粒子は、例えば、アルキル部分の炭素数が4〜8であるアクリル酸アルキルと多官能単量体、必要に応じて他の単官能単量体を共重合させて得られるゴム弾性体を含有するものであればよい。
熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合について、ポリ塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル単量体と共重合し得るエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化アリル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエーテル等と塩化ビニルとの共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。また、柔軟性を付与するために、可塑剤を添加してもよい。可塑剤としては、例えばジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジウンデシルフタレート(DUP)等のフタル酸エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤;多塩基酸とグリコールの縮合によって得られるポリエステル系可塑剤;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;クエン酸トリノルマルブチル、アジピン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪酸エステル系可塑剤;ステアリン酸アルキルエポキシ、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂として、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂を用いる場合について、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂とは、基本的にはブタジエンを単独またはスチレン、アクリロニトリルと共に重合させたものである。また、透明性を向上させるためにメタクリル酸メチルを共重合させたもの、耐熱性を向上させるためにα−メチルスチレンを共重合させたものを使用することができる。また、重量平均分子量は9万〜50万とすることが好ましい。
本発明の成型用加飾フィルムは、成型加飾後の表面外観、品位の点から、厚みムラが0〜10%であることが必要である。厚みムラが10%より大きいと、成型加飾後の表面外観、品位が低下してしまうため好ましくない。より好ましくは、厚みムラは0〜7%であり、0〜5%であれば最も好ましい。厚みムラは、低ければ低い方が好ましいが、工業的に1%未満に制御することは困難であり、実質的には厚みムラは1〜5%であることが好ましい。
本発明の成型用加飾フィルムの厚みムラを0〜10%とする方法としては、下記のような方法1〜5が好ましく採用される。
方法1:熱可塑性樹脂(A)層の任意の一方向および、それに直交する方向において、25℃〜100℃における寸法変化率を−3%〜+3%とすることが好ましく、−2%〜+2%であればさらに好ましく、−1%〜+1%であれば最も好ましい。ここで、25℃〜100℃における寸法変化率とは、荷重19.6mNで、20℃〜150℃まで昇温速度5℃/分で昇温した際、熱可塑性樹脂(A)層の25℃における寸法と100℃における寸法の変化率を表す。25℃〜100℃における寸法変化率を−3%〜+3%に制御することで、乾燥工程、成型工程といった加工工程で熱可塑性樹脂(A)層の寸法変化が抑制できるため、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層界面でのズレによる厚みムラ発生を抑制することができるため好ましい。
熱可塑性樹脂(A)層の任意の一方向および、それに直交する方向において、25℃〜100℃における寸法変化率を−3%〜+3%とする方法としては、熱可塑性樹脂(A)層として、環状オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ABS系樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂(A)層が含有する熱可塑性樹脂として、環状オレフィン系樹脂を用いる場合は、ガラス転移温度を90℃以上130℃以下とすることが好ましい。ガラス転移温度を90℃以上130℃以下とすることで、25℃〜100℃における寸法変化率を−3%〜+3%に制御でき、かつ成型性も両立できるため非常に好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂(A)層の任意の一方向およびそれに直交する方向の25℃〜100℃における寸法変化率を−3%〜+3%とする別の方法としては、熱可塑性樹脂(A)層の製膜時に、残留ひずみを低減する方法が挙げられる。残留ひずみを低減する方法としては、例えば口金から押出された後のロール温度を高くする方法が挙げられ、具体的には樹脂のガラス転移温度−20℃〜樹脂のガラス転移温度に制御する方法が好ましい。また、タッチロール方式を採用する場合は、ニップ圧力を低くする方法も好ましく用いられ、具体的には0.05〜0.5MPaに設定することが好ましく、0.1〜0.3MPaに設定することがさらに好ましい。
方法2:クリア(B)層を塗工により形成する前の、熱可塑性樹脂(A)層表面の表面自由エネルギーを30〜55mN/mに制御する方法が好ましく、35〜50mN/mであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂(A)層の表面自由エネルギーが30mN/m以上であると、クリア(B)層を形成する際に、塗膜のハジキが発生せず、表面が平坦となるため、厚みムラを低減することができる。また、表面自由エネルギーを55mN/mより大きくしようとすると、フィルム表面に過度の処理を施す必要性が生じるため、表面が粗れてしまい、逆に厚みムラが悪化する場合があるため、好ましくない。熱可塑性樹脂(A)層表面の表面自由エネルギーを30〜55mN/mに制御する方法としては、コロナ放電処理を施す手法や各種コーティング手法を挙げることができる。生産性、回収性の点ではコロナ放電処理を施す方法が好ましく用いることができ、その際、E値として5〜50、好ましくは10〜40の強度で処理を行うことにより表面自由エネルギーを好ましい範囲とすることができる。ここで、E値とはコロナ放電処理強度であり、印加電圧(Vp)、印加電流(Ip)、処理速度(S)、処理幅(Wt)の関数であり、E=Vp×Ip/S×Wtで表される。
方法3:クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の熱可塑性樹脂(A)層への塗工前の粘度を、25℃、63%Rhの条件下で、100mPa・s〜3000mPa・sとする方法が好ましい。クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の粘度が3000mPa・sより高いと、厚みムラの制御が困難となる。一方、該原料組成物の粘度が100mPa・s未満であると、得られるクリア(B)層の耐久性が低下してしまう場合があるため好ましくない。クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の粘度は、より好ましくは、200mPa・s〜2000mPa・sであり、300mPa・s〜1000mPa・sであれば最も好ましい。
クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の粘度を調整する方法としては、クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物中の樹脂の分子量を制御する方法、固形分濃度を調整する方法などが挙げられる。例えば、クリア(B)層にアクリル系樹脂を使用する場合は、該アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、10万〜50万に制御することが好ましく、20万〜45万であればさらに好ましい。また、クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の固形分濃度としては、20質量%〜60質量%であれば好ましく、30質量%〜50質量%であればさらに好ましい。
方法4:クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の塗工後の乾燥工程において、乾燥温度を85℃〜105℃とすることが好ましい。厚みムラ、工程時間の観点から、より好ましくは、90℃〜100℃とすることが好ましい。また、乾燥ムラから厚みムラが大きくなる場合があるため、乾燥時間としては3分以上とすることが好ましく、厚みムラ、工程時間の観点から乾燥時間は3分以上20分以下とすることが好ましく、5分以上15分以下とすることが好ましい。着色(C)層、さらに、接着(D)層を塗工により形成する場合も同様に、乾燥は上記した条件で行うことが好ましい。
方法5:クリア(B)層塗工時の巻出張力としては、100N/m〜300N/mに制御することが好ましく、150N/m〜250N/mに制御することがさらに好ましい。ここで、巻出張力とは、ロール状の熱可塑性樹脂(A)層に、クリア(B)層を塗工形成する際に、ロールから巻出す際の熱可塑性樹脂(A)層にかかる張力のことである。そして巻取張力としては、50N/m〜200N/mに制御することが好ましく、75N/m〜150N/mに制御することが好ましい。ここで、巻取張力とは、クリア(B)層を塗工形成後に熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層をロール状に巻取る際の熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層にかかる張力のことである。着色(C)層、さらに、接着(D)層を積層する場合も同様に、上記した条件で巻出、巻取を行うことが好ましい。該条件で巻出、巻取を行うことで、フィルムのシワ、弛みの発生を抑制することができ、厚みムラを低減することができる。
本発明の成型用加飾フィルムは、成型加飾後の加飾成型体の意匠性の観点から、全光線透過率が0〜20%であることが好ましい。成型用加飾フィルムの全光線透過率を0〜20%とすることで、下地隠蔽性を発現することができるため、成型体外観に深みがでて、意匠性が非常に良好となる。全光線透過率は0〜15%であればさらに好ましく、0〜10%であれば最も好ましい。
本発明の成型用加飾フィルムの全光線透過率が0〜20%とする方法としては、熱可塑性樹脂(A)層中に着色剤を含有させる方法、着色(C)層を積層する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)層中に含有させる着色剤、着色(C)層中に含有される着色剤としては、乾燥工程、成型工程といった加工工程での退色、変色、染出が発生しないことが求められる。例えば、顔料が好ましく用いられ、無機系顔料、有機系顔料のいずれも使用が可能である。
例えば、黒色顔料としてカーボンブラック、黒色酸化鉄、白色顔料として、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛、黄色顔料として、黄鉛、アントラキノンイエロー、ミネラルファストイエロー、チタンイエロー、赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等が挙げられる。また、金属調顔料として金属粉顔料(アルミ、ブロンズ等)、金属箔顔料(アルミ、ブロンズ等)、金属蒸着箔顔料(アルミ、ブロンズ等が蒸着されたプラスチック等のフィルムを粉砕したもの)が挙げられる。パール調顔料としては、パール顔料(天然の真珠を粉砕したもの、マイカ、アルミ、ガラス等薄片状物質に酸化チタン、酸化鉄等を被覆したもの等)等が挙げられる。特に、カーボンブラック、黒色酸化鉄といった黒色顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛といった白色顔料、金属粉顔料、金属箔顔料、金属蒸着箔顔料といった金属調顔料は、隠蔽性に優れる。そのため、着色剤により全光線透過率を制御する場合には、熱可塑性樹脂(A)層や着色(C)層は、それぞれの層の全成分100質量%において、着色剤を5質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)層中に着色剤を含有させる場合は、原料となる熱可塑性樹脂にあらかじめ高濃度で着色剤を溶融混練し、製膜時に希釈樹脂にて所定の濃度となるようにするマスターバッチ法を好ましく用いることができる。ここで、マスターバッチ法とは、樹脂を低温で凍結粉砕し、粉末状にしたものに所定の着色剤を添加し、均一となるように混合した後、ベント式二軸押出機に供給し溶融混練する。さらに、着色混練した樹脂をストランド状に押出し、水中で冷却固化した後、カッターで所望のサイズにカッティングしてマスターバッチを得ることができる。
本発明の成型用加飾フィルムは、意匠性、生産性の観点から着色(C)層を積層された構成にすることが好ましい。成型用加飾フィルムが着色(C)層を有することで、色むらを抑制することができる。
本発明において着色(C)層とは、熱可塑性樹脂(A)層及びクリア(B)層とは別の層であり、成型加飾後の加飾成型体に付与される層であり、さらに、着色剤を含有する層を意味する。
着色(C)層を積層した成型用加飾フィルムとする場合の着色(C)層は、少なくともバインダー樹脂と着色剤とから構成される。
前記バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、電子線硬化性および/または熱硬化性樹脂のいずれを用いても良い。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポレスチロール樹脂などの樹脂に溶剤を混合撹拌したものを用いることができる。電子線硬化性樹脂としては、例えばウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂などのうちから選択された1種以上と、必要な場合に、その光開始剤などを混合したものを用いてもよい。また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂に溶剤を混合撹拌したものを用いることができる。また、これらの樹脂はその必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、粘結剤、表面調整剤、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを混合してもよい。また、前記樹脂は、共重合体であってもよく、または異種の樹脂の混合体であっても良い。本発明では、取り扱いが容易で、かつ安価であるため、熱硬化性樹脂を好ましく用いられ、特に、成型性の点から、ウレタン樹脂並びにアクリル樹脂とを含む混合体をバインダー樹脂として使用することが好ましい。
着色(C)層は、成型加飾後の耐久性、表面光沢性の観点から、成型加飾後には硬化していることが好ましいが、一方で、成型加飾前に硬化していると成型追従性が低下してしまうため、好ましくない。このため、成型加飾前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。
また、着色剤としては、上記した熱可塑性樹脂(A)層中に含有させる着色剤と同様のものを使用することができる。隠蔽性の観点から、特に、カーボンブラック、黒色酸化鉄といった黒色顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛といった白色顔料、金属粉顔料、金属箔顔料、金属蒸着箔顔料といった金属調顔料を、着色(C)層の全成分100質量%において、5質量%以上30質量%以下含有させることが好ましい。
本発明の着色(C)層の厚みとしては、下地隠蔽性、厚みムラの観点から、15〜50μmとすることが好ましく、20〜40μmであればさらに好ましい。
本発明の着色(C)層の形成方法は、塗工によることが好ましい。そしてその塗工方法については特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いて塗工することができる
着色(C)層を積層した成型用加飾フィルムとする場合、本発明の成型用加飾フィルムの構成としては、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層、クリア(B)層/熱可塑性樹脂(A)層/着色(C)層といった構成が考えられる。クリア(B)層は、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性等の物理的・化学的耐久性を有し、さらには表面光沢に優れていることから、成型加飾体の最表層に配置することが好ましい。このため、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層の構成の場合、成型加飾後、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層間で剥離を行い、熱可塑性樹脂(A)層は加飾成型体には残らない構成となる。一方、クリア(B)層/熱可塑性樹脂(A)層/着色(C)層の構成の場合は、着色(C)層を成型体へ接着させることで加飾成型体を得ることができ、熱可塑性樹脂(A)層は加飾成型体に残る構成となる。本発明の成型加飾用フィルムは、いずれの構成でも優れた特性を示すが、成型加飾用フィルムの耐久性の観点から、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層の構成とし、熱可塑性樹脂(A)層は加飾成型体には残らない構成とすることが好ましい。
本発明の成型加飾用フィルムは、接着(D)層を有することが好ましい。成型体へ接着(D)層を介して貼り合わせることで加飾成型体を得ることができる。接着(D)層を有する場合の成型加飾用フィルムの構成としては、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層、あるいは、クリア(B)層/熱可塑性樹脂(A)層/着色(C)層/接着(D)層の構成となる。いずれの構成でも優れた特性を示すが、成型加飾用フィルムの耐久性の観点から、熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成とし、熱可塑性樹脂(A)層は加飾成型体には残らない構成とすることが好ましい。
接着(D)層としては、形状体に対して接着性を有する層を意味する。そして接着(D)層は、形状体の素材に合わせて適宜調整することが好ましいが、例えば、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤およびポリアロマチック系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤や、不飽和ポリエステルやアクリレート等のラジカル重合性組成物からなるラジカル反応型の接着剤、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、ナイロン及びシアノアクリレート樹脂、ポリオレフィン形樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤やクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤等のゴム系接着剤等が挙げられる。
本発明における接着(D)層の厚みとしては、接着性、厚みムラの観点から5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜40μmであり、20〜30μmであれば最も好ましい。
本発明の着色(D)層の形成方法については特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ナイフコーターなどを用いて塗工により形成することができる
本発明の成型用加飾フィルムを用いた加飾成型体の製造方法としては、特に限定されないが、得られる加飾成型体の品位、耐久性の観点から、以下の工程1及び2を有する方法が好ましい。
工程1:本発明の成型用加飾フィルムを、接着(D)層を介して形状体に貼り合わせる工程
工程2:熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層及び形状体を有する加飾成型体を得る工程
工程1、2は、つまり形状体へクリア層を転写させる加飾方法である。該加飾方法によって得られる加飾成型体は、品位が良好であり、また熱可塑性樹脂(A)層が加飾成型体へ残らないため耐久性の観点から非常に好ましい。
また、本発明の成型用加飾フィルムは、着色(C)層を有するフィルムであることが好ましく、さらに前記工程1において、成型用加飾フィルム中の着色(C)層を、接着(D)層を介して形状体へ貼り合わせ、前記工程2において、熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層、着色(C)層、及び形状体を有する加飾成型体を得ることが好ましい。該加飾方法によって得られる加飾成型体は、着色(C)層を有しており、下地隠蔽性、意匠性、耐久性が非常に高くなる。
工程1、工程2を有する方法を採用する場合、熱可塑性樹脂(A)層は、クリア(B)層との離型性を有していることが好ましい。このため、熱可塑性樹脂(A)層に用いる樹脂としては、離型性を有している環状オレフィン系樹脂を用いることが非常に好ましい。熱可塑性樹脂(A)層に用いる樹脂として、離型性を有していないものを用いる際は、熱可塑性樹脂(A)層の少なくとも片面に離型層を積層することが好ましい。
また、本発明における形状体としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル・スチレン、ポリアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネートなどといった樹脂や、金属部材などが用いられる。
以下の方法で、本発明の成型加飾用フィルムの製造、評価を行った。
(1)フィルム厚みおよび層厚み
積層フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めた。
また、積層フィルムの各層の層厚みを測定する際は、ライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、フィルムの断面を倍率100倍の条件で透過光を写真撮影し、積層フィルムの各層の層厚みについて、各層ごとに任意の5ヶ所を測定し、その平均値を各層の層厚みとした。
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および、解析を行った。
フィルム5mg(フィルムの特定層の評価を行う場合は、測定を行う層を削りとって5mgとする)をサンプルに用い、25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読み取り、各ベースラインの延長した直線から縦軸(熱流を示す軸)方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の中間点ガラス転移温度を求め、ガラス転移温度とした。なお、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を採用した。
(3)60℃での破断伸度および破断点応力
フィルムを任意の一方向および、その方向に直交する方向に長さ100mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を200mm/分としてフィルムの任意の一方向とそれに直交する方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め60℃に設定した恒温層中にフィルムサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが破断したときの伸度を破断伸度とし、その際の応力を破断点応力とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
(4)厚みムラ
フィルムを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。200mmの方向について、端部から20mm間隔で11点、300mmの方向についても30mm間隔で11点、合計121点の厚みを測定し、最大値、最小値、平均値を求め、下記式より厚みムラを求めた。
厚み斑(%)={(最大値−最小値)/平均値}×100
なお、各厚みについては、(1)と同様の方法にて測手した。
(5)全光線透過率
ヘーズメーター(日本電色製、NDH−5000)で測定した。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた値から求めた平均値を全光線透過率とした。
(6)25℃〜100℃における寸法変化率
フィルムを任意の一方向および、その方向に直交する方向に長さ50mm×幅4mmの矩形に切り出しサンプルとし、熱機械分析装置(セイコ−インスツルメンツ製、TMA EXSTAR6000)を使用して、下記の条件下で昇温し、25℃〜100℃における寸法変化率を求めた。
試長:15mm、荷重:19.6mN、昇温速度:5℃/分、
測定温度範囲:20℃〜150℃
寸法変化率(%)={25℃でのフィルム長(mm)−100℃のフィルム長(mm)/25℃でのフィルム長(mm)}×100 。
(7)熱可塑性樹脂(A)層の表面自由エネルギー
23℃、65%RHの条件下で、該条件で24時間調湿したサンプルについて、接触角計(協和界面化学製CA−D型)を使用して、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の測定液を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体のフィルム表面に対する静的接触角を求めた。それぞれの液体について得られた接触角と測定液の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し、4つの式からなる連立方程式をγL 、γ+ 、γ- について解いた。
L γj L)1/2 +2(γ+ γj - )1/2 +2(γj +γ-)1/2 =(1+cosθ)[γj L +2(γj +γj - )1/2 ]/2
ただし、γ=γL +2(γ+ γ- )1/2γj =γj L+2(γj + γj - )1/2ここで、γ、γL、γ+ 、γ- は、それぞれ、フィルム表面の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターを、また、γj、γj L 、γj + 、γj -は、それぞれ、用いた測定液の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターをあらわすものとする。
ここで用いた各液体の表面張力は、Oss("Fundamentals ofAdhesion", L.H.Lee(Ed.), p153, Plenum ess, New York(1991))によって提案された表1の値を用いた。
Figure 0005594211
(8)クリア(B)層を形成するために用いる原料組成物の粘度
25℃、65%RHの条件下で、B型粘度計(東機産業製RB80型粘度計)を用いて、測定を行った。
(9)塗工テスト
熱可塑性樹脂(A)層に、表に示した条件にてダイコーターを用いてクリア(B)層を形成するために用いる原料組成物を塗工した。塗工時、塗工後のフィルムの状態について、下記の通り評価を行った(塗工性評価)。
A:シワ、塗布ムラが全く発生せず、良外観の成型用加飾用フィルムが得られた。
B:シワ、塗布ムラが若干発生したものの、良外観の成型用加飾用フィルムが得られた。
C:シワ、塗布ムラが発生したが、実用上問題ないレベルであった。
D:シワ、塗布ムラが顕著に発生した。
(10)成型テスト
真空成型装置(布施真空製、NGF−0406−T)内の上下昇降テーブル上に、長さ200mm×幅150mm×高さ30mmの形状体(ポリプロピレン製)を置き、本発明の成型用加飾フィルム(長さ300mm×幅200mm)を上記装置内の形状体の上部にあるシートクランプ枠にセットした。続いて、上下ボックス内の真空度を99.0kPaに減圧し、赤外線ヒータを用いてフィルム表面温度を120℃になるまで加熱し、形状体(100mm×100mm、高さは20mm、25mm、30mmの3種類使用)を上昇させて、形状体とフィルムとを密着させ、3秒間保持した。その後、上ボックスのみを大気圧に開放することで、フィルムを賦型させて、加飾成型体を得た。
実施例1〜18、比較例1〜4は、上記のようにして得られた加飾成型体について、下記のような評価を行った。
成型性
A:高さ30mmで成型できた。
B:高さ25mmで成型できたが、30mmでは形状を再現できなかった。
C:高さ20mmで成型できたが、25mmでは形状を再現できなかった。
D:高さ20mmで形状を再現できなかった。
表面外観
A:表面光沢が非常に高く、シワ、うねりが全く観察されなかった。
B:表面光沢が高く、ほとんどシワ、うねりが観察されなかった。
C:表面に若干のシワ、うねりが観察されたか、実用上問題ないレベルであった。
D:表面に顕著なシワ、うねりが観察された。
隠蔽性
形状体として、100mm×100mm、高さ20mmを用いて成型テストを行い、成型体表面(100mm×100mm面)と成型体側面(100mm×20mm)の色差を測定し、下記の基準で評価を行った。なお成型体表面については任意の4箇所の平均値を、成型体側面については、4つの側面の任意の箇所を測定し、その平均値を採用した。なお、測定は分光測色計(コニカミノルタセンシング製、CM−2500d)を用いて反射測定を行った。
A:ΔE<0.5
B:0.5≦ΔE<1
C:1≦ΔE<1.5
D:1.5≦ΔE
(11)本発明の熱可塑性樹脂(A)層の製造に用いた樹脂。
環状オレフィン系樹脂A
ポリプラスチックス製“TOPAS 8007F−04”を用いた。
環状オレフィン系樹脂B
ポリプラスチックス製“TOPAS 6013F−04”を用いた。
ポリエチレン系樹脂
プライムポリマー製“エボリュー SP2540”を用いた。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂
ジカルボン酸成分としてテレフタル成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が98.8モル%、ジエチレングリコール成分が1.2モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)を用いた。
ポリブチレンテレフタレート系樹脂
東レ製“トレコン1200S”を用いた。
ABS系樹脂
東レ製“トヨラック250”を用いた。
アクリル系樹脂
住友化学製“スミペックスLG”を用いた。
カーボンブラックマスター
上記アクリル系樹脂とカーボンブラックを質量比80:20で混合した樹脂
酸化チタンマスター
上記アクリル系樹脂と酸化チタンを質量比70:30で混合した樹脂
(12)本発明のクリア(B)層の製造に用いた樹脂。
KHC−T1(共栄社化学製、固形分:50%)
(13)本発明の着色(C)層の製造に用いた樹脂
以下の主剤と硬化剤を以下の配合比で混合したものを着色層用塗料組成物とした。
・主剤:R2325(日本ビー・ケミカル製、固形成分:36%) 100質量部
・硬化剤:D−178N(三井化学製、固形成分:100%) 2質量部
(14)本発明の接着(D)層の製造に用いた樹脂
以下のポリオレフィン系ホットメルト接着剤と溶剤を以下の配合比で混合したものを接着層用塗料組成物とした。
・ポリオレフィン系ホットメルト接着剤:M−28(東洋紡績製、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン) 20質量部
・溶剤:トルエン 80質量部
(15)本発明の離型層の製造に用いた樹脂
反応釜中に、水600質量部を入れ、ステアリルメタクレート30質量部、メタクリル酸メチル30質量部の混合物に、アゾビスイソブチロニトリル1質量部、分散剤としてカルボキシメチルソロソルブ0.6質量部、ポリアクリル酸ソーダ0.5質量部を加えて、攪拌しながら、85℃で5時間反応させた。水洗にてポリマー分を洗浄し、固形物を得た。
得られた固形物を2.3質量%、イソプロピルアルコール40.4質量%、ノルマルプロピルアルコール2.5質量%、ブチルセロソルブ0.7質量%および水54.1質量%の組成に塗剤を調製した。
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を230℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてb層/a層/b層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、85℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行った(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)。続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(実施例2)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、ロール温度を表の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例3)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、ロール温度を表の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例4)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、ロール温度を表の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例5)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、ロール温度を表の条件に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例6)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。ロール温度を表の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例7)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。ニップ圧を表の条件に変更した以外は実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例8)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施さなかった以外は実施例2と同様にして、成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例9)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、クリア(B)層の乾燥温度、乾燥時間を表の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例10)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、クリア(B)層の乾燥温度、巻出張力を表の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例11)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、クリア(B)層の乾燥温度、巻取張力を表の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例12)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例3と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行った(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)。続いて、接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体は、着色(C)層がないため、隠蔽性は有していないため、隠蔽性についての評価は行わなかったが、成型性、表面外観の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(実施例13)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例3と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体は、着色(C)層がないため、隠蔽性は有しておらず、また、クリア(B)層/形状体が接着していないため、表面外観、隠蔽性についての評価は行わなかったが、成型性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(実施例14)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。実施例2と同様にして、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、着色(C)層の厚みを表のように変更した以外は、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
(実施例15)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。組成を表のようにし、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を230℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、90℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。それ以降は、実施例1と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
参考例16)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、組成を表のように、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を240℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、105℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmのABS系樹脂フィルムを得た。得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、(15)に記載の樹脂をメタリングバーを用いて、厚み0.2μmになるように離型層を形成した。離型層の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/離型層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層/離型層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
参考例17)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて80℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、組成を表のように、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度200℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、90℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み75μmのアクリル系樹脂フィルムを得た。それ以降は、参考例16と同様にして成型用加飾フィルムを得た。続いて、実施例1と同様にして成型テストを行い、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を行った。
参考例18)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。使用する真空乾燥機にて80℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、アクリル系樹脂、カーボンブラックマスター、酸化チタンマスターを質量比25:25:50で混合し、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度200℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度100μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、90℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み75μmのアクリル系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の両面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、片面にクリア(B)層、反対面に接着層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、成型用加飾フィルムを得た(クリア(B)層/熱可塑性樹脂(A)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、加飾成型体(クリア(B)層/熱可塑性樹脂(A)層/接着(D)層/形状体の構成)を得た。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(比較例1)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて150℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、組成を表のように、単軸押出機(L/D=28)に供給した。供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、30℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmのポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを得た。得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、(15)に記載の樹脂をメタリングバーを用いて、厚み0.2μmになるように離型層を形成した。離型層の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/離型層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層/離型層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(比較例2)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて150℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、各層の組成を表のように、単軸押出機(L/D=28)に供給した。a層は供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃、b層は供給部230℃、それ以降の温度を250℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてb層/a層/b層(積層厚み比は表参照)となるように積層し、Tダイより、30℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmのポリブチレンテレフタレート系樹脂/ポリエチレンテレフタレート系樹脂の複合フィルムを得た。得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、(15)に記載の樹脂をメタリングバーを用いて、厚み0.2μmになるように離型層を形成した。離型層の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/離型層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層/離型層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(比較例3)
熱可塑性樹脂(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を230℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてb層/a層/b層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、70℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmの環状オレフィン系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行った(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)。続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
続いて、(10)成型テストに記載の方法にて成型を行い、成型後に熱可塑性樹脂(A)層を剥離して、加飾成型体(クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層/形状体の構成)。得られた加飾成型体について、成型性、表面外観、隠蔽性の評価を(10)成型テストの記載された基準にて行った。
(比較例4)
熱可塑性樹脂(A)層について、単層構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて150℃5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、組成を表のように、単軸押出機(L/D=28)に供給した。供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより、20℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を90℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度95℃、延伸温度100℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度220℃で5秒間の熱処理を行い、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを得た。
得られたフィルムを熱可塑性樹脂(A)層とし、該層の片面にコロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、(15)に記載の樹脂をメタリングバーを用いて、厚み0.2μmになるように離型層を形成した。離型層の上に、クリア(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い(巻出、乾燥、巻取条件は表に記載の通り)、続いて、着色(C)層を、さらに接着(D)層をクリア(B)層と同様の条件にて塗工を行い、成型用加飾フィルムを得た(熱可塑性樹脂(A)層/離型層/クリア(B)層/着色(C)層/接着(D)層の構成)。塗工時に様子および、得られた成型用加飾フィルムについて、(9)塗工テストに記載の基準にて、シワ、塗布ムラ等の外観評価を行った。
Figure 0005594211
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Figure 0005594211
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なお表中の熱可塑性樹脂(A)層の寸法変化率、成型用加飾フィルムの60℃破断伸度、破断強度については、任意の一方向および、それに直交する方向についての測定結果を記している。
本発明は、成型加飾用フィルムに関するものであり、熱可塑性樹脂(A)層の上に、クリア(B)層が積層されてなることから、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性等の物理的・化学的耐久性、さらには表面光沢に優れており、また、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満とすることで、乾燥工程、成型工程などの加工工程でのフィルムの弛みが発生しないため、加工適性、さらには加工後の品位に優れ、また、厚みムラを0〜10%とすることで、成型加飾後の表面外観、品位に優れる加飾成型体を得ることができるため、様々な成型加工工程に適用が可能であり、例えば、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)層の上に、クリア(B)層が積層されてなり、
    任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満であり、厚みムラが0〜10%であり、
    前記熱可塑性樹脂(A)層が環状オレフィン系樹脂を含む、成型用加飾フィルム。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度が90℃以上130℃以下である請求項に記載の成型用加飾フィルム。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(b層)を積層した層であり、
    前記a層は、a層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含み、
    前記b層は、a層よりもポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量が小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の成型用加飾フィルム。
  4. 前記クリア(B)層の上にさらに着色(C)層が積層されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の成型用加飾フィルム。
  5. 全光線透過率が0〜20%である請求項1〜4のいずれかに記載の成型用加飾フィルム。
  6. 以下の工程1及び2を有することを特徴とする、加飾成型体の製造方法。
    工程1:請求項1〜5のいずれかに記載の成型用加飾フィルムを、接着(D)層を介して形状体に貼り合わせる工程
    工程2:熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層及び形状体を有する加飾成型体を得る工程
  7. 請求項に記載の成型用加飾フィルムが、着色(C)層を有するフィルムであり、
    前記工程1において、成型用加飾フィルム中の着色(C)層を、接着(D)層を介して形状体に貼り合わせ、
    前記工程2において、熱可塑性樹脂(A)層を、クリア(B)層から剥離することで、クリア(B)層、着色(C)層、及び形状体を有する加飾成型体を得ることを特徴とする、加飾成型体の製造方法。
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