JP2013159652A - 射出成形同時転写用フィルムおよび射出成形同時転写箔 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、(深い形状への成形も含めた)成形性、寸法安定性に優れた射出成形同時転写用フィルムを提供する。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルムであって、
任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満である、射出成形同時転写用フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルムであって、
任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満である、射出成形同時転写用フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、環状オレフィン系樹脂を主成分とした射出成形同時転写用フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりにより、建材、自動車部品や携帯電話、電機製品などで、溶剤レス塗装、メッキ代替などの要望が高まり、フィルムを使用した加飾方法の利用が進んでいる。
その中でも、工程数が少なくコストメリットの高い、射出成形同時転写法の開発が進んでいる。この方法は、インモールド転写法ともよばれ、樹脂を射出成形すると同時に加飾層を樹脂に転写させ、加飾する手法である。射出成形同時転写用フィルムとして、衝撃強度と破断伸び率を規定した二軸配向ポリエステルフィルムに、少なくとも絵柄層を積層した転写箔(たとえば特許文献1)や、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上にクリア層、金属化粧層、接着層を形成された転写成形用フィルム(たとえば特許文献2)などが提案されており、成形同時転写箔の離型フィルム用途に適したポリエステルフィルムとして、縦方向、横方向の熱収縮率、成形応力が特定の範囲で、特定の粗さや剥離性のある表面を持つポリエステルフィルム(たとえば特許文献3、特許文献4)などが提案されている。
より深い形状に対応できる成形同時転写法のニーズも高まっており、100%伸長時にも欠点の少ない離型層(たとえば特許文献5)や、基材フィルムの融点や面配向係数を特定範囲とした離型フィルム(たとえば特許文献6)などが提案されている。
しかし、特許文献1〜特許文献4のフィルムは二軸延伸ポリエステルフィルムであるため、耐熱性には優れているものの成形性が十分ではなく、深い形状への対応が困難であった。
また、特許文献5および特許文献6のフィルムは、離型層および基材フィルムの成形性を向上させているものの、深い形状への追従性は必ずしも十分ではなく、また、成形性を向上させることにより寸法安定性が低下してしまう課題があった。さらに、離型層が必須であることから、工程数が多くなってしまうといった課題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を背景になされたものであり、深絞成形性、寸法安定性を両立し、離型層を積層しなくても優れた離型性を有する成形同時転写用フィルムを提供することにある。
すなわち、本発明は下記の特徴を有する。
(1)60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満である、環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルム。
(2)環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)を積層してなる(1)に記載の射出成形同時転写用フィルム。
(3)前記A層は、A層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、(2)に記載の射出成形同時転写用フィルム。
(4)75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
(5)120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下、170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルムの少なくとも片側に、クリア層、加飾層、及び接着層を、この順に有する射出成形同時転写箔。
すなわち、本発明は下記の特徴を有する。
(1)60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満である、環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルム。
(2)環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)を積層してなる(1)に記載の射出成形同時転写用フィルム。
(3)前記A層は、A層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、(2)に記載の射出成形同時転写用フィルム。
(4)75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
(5)120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下、170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルムの少なくとも片側に、クリア層、加飾層、及び接着層を、この順に有する射出成形同時転写箔。
本発明の成形同時転写用フィルムは、深絞成形性、寸法安定性を両立し、離型層を積層しなくても優れた離型性を有することから、様々な成形部材の加飾に最適に使用することができ、例えば、建材、モバイル機器、電機製品、自動車部品、遊技機部品などの成形部材の加飾に好適に用いることができる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、環状オレフィン系樹脂を主成分とすることが必要である。本発明では、射出成形同時転写用として、環状オレフィン系樹脂を主成分としたフィルムを適用することで、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等の加工時の寸法安定性と、深絞成形性を両立する設計が可能であることを見出した。さらに環状オレフィン系樹脂を用いることで、離型性に優れるため、射出成形と同時に加飾層を樹脂に容易に転写することができる。
ここで、環状オレフィン系樹脂を主成分とするとは、フィルムの全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。
なお、本発明の好ましい態様は、後述するA層の少なくとも片面に後述するB層を積層してなる積層フィルムであるが、このような積層フィルムの場合は、積層フィルムを構成する全ての層の全成分の合計を100質量%として、全ての層に存在する環状オレフィン系樹脂の合計が50質量%以上100質量%以下であることを意味する。
より好ましくは、フィルムの全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を70質量%以上100質量%以下含む態様であり、環状オレフィン系樹脂を80質量%以上100質量%以下含む態様であればさらに好ましく、環状オレフィン系樹脂を90質量%以上100質量%以下含む態様であれば最も好ましい。
本発明における、環状オレフィン系樹脂とは、モノマーたる環状オレフィンから重合して得られる、ポリマーの主鎖に脂環構造を有する樹脂をいう。
環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンといった単環式オレフィン、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−メチリデン− ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンといった二環式オレフィン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ−3−エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物) であるトリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ−2−エンといった三環式オレフィン、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エンといった四環式オレフィン、8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ−3−エン、テトラシクロ〔7,4,13.6,01.9,02.7〕テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン、テトラシクロ〔8,4,14.7,01.10,03.8〕ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン、ペンタシクロ〔6,6,13.6,02.7,09.14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6,5,1,13.6,02.7,09.13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ〔7,4,0,02.7,13.6,110.13〕−4−ペンタデセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,14.7,111.17,03.8,012.16〕−5−エイコセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,03.8,14.7,012.17,113.16〕−14−エイコセン、シクロペンタジエンといった四量体等の多環式オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
上記した中でも、生産性、表面性の観点から、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(以下、ノルボルネンとする)が好ましく用いられる。
また環状オレフィン系樹脂としては、これらの環状オレフィンと、鎖状オレフィンとを共重合させて得られる樹脂とすることもできる。この場合、好ましい鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
上記した中でも、生産性、表面性の観点から、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(以下、ノルボルネンとする)、シクロペンタジエン、または1,3−シクロヘキサジエン、およびこれらの誘導体が好ましく用いられる。
環状オレフィン系樹脂は、上記環状オレフィンのみを重合させた樹脂、上記環状オレフィンと鎖状オレフィンとを共重合させた樹脂、のいずれの樹脂でも構わない。
環状オレフィンのみを重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーの付加重合、あるいは開環重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネンおよびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法、ノルボルネンおよびその誘導体を付加重合させる方法、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを1,2−、1,4−付加重合させた後に水素化させる方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性、表面性、成形性の観点から、ノルボルネンおよびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂が最も好ましい。
環状オレフィンと鎖状オレフィンとを共重合させた樹脂の場合、好ましい鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらの中でも、生産性、コストの観点から、エチレンを特に好ましく用いることができる。また、環状オレフィンと鎖状オレフィンとを共重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンと鎖状オレフィンの付加重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネンおよびその誘導体とエチレンを付加重合させる方法などが挙げられる。中でも、生産性、表面性、成形性の観点から、ノルボルネンとエチレンの共重合体が最も好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、フィルムとした際にフィルムと塗膜の密着性を良好にする観点から、極性基を含有してもよい。極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、環状オレフィン系樹脂に極性基を含有させる方法としては、極性基を有する不飽和化合物をグラフトおよび/または共重合させる方法などが挙げられる。極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
なお、本発明における環状オレフィン系樹脂とは、環状オレフィン系樹脂の重合体100質量%中において、環状オレフィンモノマー由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。
また、本発明の射出成形同時転写用フィルムは、フィルム全成分の合計を100質量%とした際に、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有しさえすれば、環状オレフィン系樹脂のみから構成されても、その他のオレフィン系樹脂を含有しても、またオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。環状オレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体といった各種ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体といった各種ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。また、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンモノマーからなる重合体、該α−オレフィンモノマーからなるランダム共重合体、該α−オレフィンモノマーからなるブロック共重合体なども使用することができる。中でも、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点から、環状オレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、各種ポリエチレン系樹脂、各種ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明の環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルムは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を含有させることで、押出工程でのせん断応力を低下させることができ、架橋による異物の発生を抑制させることが可能となり、さらに靱性も向上させることができるため好ましい。一方、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の含有量が多くなると、自己保持性が低下傾向となる。品位、靱性、自己保持性の観点から、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量は、フィルムの全成分の合計100質量%に対して、1〜40質量%とすることが好ましく、1〜30質量%であればさらに好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。また、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂の中でも、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましく用いられ、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンが特に好ましく用いられ、線状低密度ポリエチレンが最も好ましく用いられる。なお、フィルムがポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を共に含有する場合には、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計量が前述の範囲、つまりフィルムの全成分の合計100質量%に対して1〜40質量%とすることが好ましく、1〜30質量%であればさらに好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。
なお、本発明におけるポリエチレン系樹脂とは、ポリエチレン系樹脂の重合体100質量%中において、エチレン由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレン系樹脂の重合体100質量%中において、プロピレン由来成分の合計が50質量%以上100質量%以下である態様の重合体を意味する。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満であることが必要である。任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%以上あると、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着等の加工工程において、フィルムの弛みが発生しやすくなり、フィルムの外観不良、さらには射出成形同時転写後の成形体の表面外観が低下してしまう。また、60℃における破断点応力が50MPa以上であると、フィルムとしての強度が強すぎて、深絞成形性が不足してしまう。本発明の射出成形同時転写用フィルムは、より好ましくは、60℃における破断伸度は、1%以上100%以下であり、2%以上50%以下であれば最も好ましい。外観に対する要求が厳しい場合、60℃における破断伸度は、3%以上10%以下であることが特に好ましい。本発明の射出成形同時転写用フィルムの60℃における破断点応力は、5MPa以上45MPa以下であれば好ましく、10MPa以上40MPa以下であれば最も好ましい。外観に対する要求が厳しい場合、60℃における破断強度は、25MPa以上40MPaであることが特に好ましい。
本発明において、任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満とする方法は特に限定されないが、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度を90℃以上とすることが好ましい。より好ましくは、環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度を95℃以上とした態様であり、100℃以上であれば最も好ましい。なお、ここで熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を採用する。
環状オレフィン系樹脂を含む熱可塑性樹脂(A)層のガラス転移温度の制御方法は特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、ノルボルネンの含有量を増加させていくことでガラス転移温度を高温化することが可能である。さらに、ノルボルネンの含有量の異なる2種類の環状オレフィン系樹脂をブレンドさせることによってもフィルムのガラス転移温度を調整することが可能である。また、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂を使用する場合、ノルボルネンの誘導体の分子量を大きくする(例えば、側鎖の分子量を大きくする、あるいは二環構造にする)ことにより、ガラス転移温度を高くすることができる。さらに、ガラス転移温度の異なる2種類の、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。また、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を添加していくことでガラス転移温度を低温化することができる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、靱性、品位、表面外観を両立するために、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)を積層してなる積層フィルムとすることが好ましい。
また、前記A層は、A層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことが好ましい。なお、A層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を共に含有する場合には、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計量が前述の範囲、つまりA層全体100質量%に対して1〜40質量%含むことが好ましい。
なお、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)における主成分とは、A層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。
また、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)における主成分とは、B層の全成分の合計を100質量%として、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。
環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂と比較すると、靱性が低いが、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させることで、靱性を改良することができる。一方で、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させると表面外観が低下傾向となる。このため、靱性と表面外観を両立するために、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)を積層してなる積層フィルムとし、前記A層は、A層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含む構成とすることが好ましい。
また、靱性と自己保持性の観点からは、A層中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂は、A層全体を100質量%として、1〜30質量%であれば好ましく、1〜20質量%であれば最も好ましい。
また表面外観の観点から、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)中のポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂の含有量は、B層全体100質量%に対して、0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0質量%以上5質量%以下であればさらに好ましく、0質量%以上1質量%以下であればさらに好ましく、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂が0質量%であることが最も好ましい。
該構成とした場合、靱性、自己保持性、表面外観の観点から積層比(B層の合計厚み/A層の厚み)は、0.1〜1であることが好ましく、0.25〜1であればさらに好ましい。なお、積層比(B層の合計厚み/A層の厚み)は、B層が2層存在する場合には、2層存在するB層の厚みの合計/A層の厚み、であり、積層比(B層の合計厚み/A層の厚み)は、B層が1層の場合には、B層の厚み/A層の厚み、である。)。積層比(B層の合計厚み/A層の厚み)は、0.4〜0.8であればさらに好ましい。フィルムの積層比は、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで500倍以上10,000倍以下の倍率で観察することによって、測定することができる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは積層構成の場合、取扱い性をさらに向上させるためには、A層/B層の2層構成よりも、B層/A層/B層の3層構成とすることが好ましい。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、品位、表面外観の観点からフィルムの全成分の合計100質量%に対して、酸化防止剤および/または脂肪酸金属塩を0.005質量%以上0.5質量%以下含有することが好ましい。フィルムの品位を向上させるためにはポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂を含有させることで押出工程でのせん断応力を低下させることができ、架橋による異物の発生を抑制させることが可能となり、さらに靱性も向上させることができるが、表面にうねり状のムラが発生しやすくなる。このため、本発明の射出成形同時転写用フィルムは、特にフィルムの品位、表面外観が厳しい用途へ展開するためには、フィルムの全成分の合計100質量%に対して酸化防止剤および/または脂肪酸金属塩を0.005質量%以上0.5質量%以下含有させることが好ましい。酸化防止剤および/または脂肪酸金属塩を0.005質量%以上0.5質量%以下含有させることで、ポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂を含有させた際と同様に、架橋による異物の発生を抑制させることが可能となる。このため、本発明の射出成形同時転写用フィルムの表面外観が向上し、射出成形同時転写後の成形部材についても優れた表面外観のものを得ることができる。
なお、本発明の射出成形同時転写用フィルムが酸化防止剤および脂肪酸金属塩を共に含有する場合には、酸化防止剤および脂肪酸金属塩の合計量が重要であり、具体的には、フィルムの全成分の合計100質量%に対して、酸化防止剤および脂肪酸金属塩の合計が0.005質量%以上0.5質量%以下となることが重要である。
ここで酸化防止剤としては、特に限定されないが、ホスファイト系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等を好適に用いることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては化学構造式にホスファイトを含むもの、具体的には、イルガフォス38、イルガフォスP−EPQ、イルガフォス126(以上、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーTNP、スミライザーTPP−P、スミライザーP−16(以上いずれも住友化学工業社製)、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブ11C、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−11、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010(以上いずれも旭電化工業社製)等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては化学構造式にチオエーテルを含むもの、具体的には、市販品としてイルガノックスPS800FL、イルガノックスPS802FL(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーTP−M、スミライザーTP−D、スミライザーTL、スミライザーMB(以上いずれも住友化学工業社製)、アデカスタブAO−23(旭電化工業社製)等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては化学構造式に2,6−アルキルフェノールを持つもの、具体的には、市販品としてイルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス565、イルガノックス1010、イルガノックス1035、イルガノックス1076、イルガノックス1098、イルガノックス1222、イルガノックス1330、イルガノックス1425、イルガノックス3114、イルガノックス1520、イルガノックス1135、イルガノックス1141、イルガノックスHP2251(以上いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーBHT、スミライザーMDP−S、スミライザーGA−80、スミライザーBBM−S、スミライザーWX−R、スミライザーGM、スミライザーGS(以上いずれも住友化学工業社製)、アデカスタブAO−30(旭電化工業社製)等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、脂肪酸金属塩の具体例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の酢酸塩、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩、イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩、ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、ベヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等を使用することができる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。脂肪酸金属塩は、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウムなどが好適に用いられる。
なお、本発明の射出成形同時転写用フィルムが、A層とB層を有する2層以上の積層フィルムの場合、酸化防止剤及び/又は脂肪酸金属塩は、A層、B層いずれの層に含有させても効果があるため好ましいが、特にB層に含有することは品位、表面外観の観点から非常に好ましい。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、特に深絞形状への加飾に使用される場合は、75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であることが好ましい。深絞形状への加飾に使用する場合は、できるだけ成形時の貯蔵弾性率を低くすることが好ましいが、75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa未満であると、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着といった加工工程での寸法安定性が不足してしまう場合があるため、好ましくない。一方、75℃における貯蔵弾性率を3,000MPaより大きくすると深絞成形性が低下してしまう場合がある。75℃における貯蔵弾性率は1100MPa以上であることが好ましく、1,200MPa以上であることがさらに好ましい。成形性の観点より、75℃における貯蔵弾性率は2,500MPa以下であることが好ましく、2,000MPa以下であることがさらに好ましい。ここで、75℃における貯蔵弾性率が特定の数値範囲内であるとは、フィルムの任意の一方向、およびその方向に直交する方向の両方向においてその数値範囲内にあることを意味する。
本発明の射出成形同時転写用フィルムにおいて、75℃における貯蔵弾性率を上記1,000MPa以上3,000MPa以下の範囲とする方法としては、ガラス転移温度が80℃以上の層の合計厚みを、フィルム全厚みを100%として50%以上の厚みとすることが好ましい。ここで、「ガラス転移温度が80℃以上の層の合計厚み」とは、ガラス転移温度が80℃以上の層が1つの場合はその層の厚みのことであり、ガラス転移温度が80℃以上の層が複数ある場合は、それらの層の厚みの合計のことである。各層のガラス転移温度の制御方法は特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、層中のノルボルネンの含有量を増加させていくことでガラス転移温度を高めることができる。さらに、ノルボルネンの含有量の異なる2種類の環状オレフィン系樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。また、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂を使用する場合、ノルボルネンの誘導体の分子量を大きくする(例えば、側鎖の分子量を大きくする、あるいは二環構造にする)ことにより、ガラス転移温度を高くすることができる。さらに、ガラス転移温度の異なる2種類の、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。ガラス転移温度が85℃以上の層の合計厚みが50%以上であればさらに好ましく、ガラス転移温度が90℃以上の層の合計厚みが50%以上であれば特に好ましい。なお、1つの層の中に複数の樹脂が混合されている場合などのように、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度をその層のガラス転移温度とする。
なお、1つの層の中に、環状オレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂とが含有していても、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂のガラス転移温度は室温以下であるため、その層のガラス転移温度は環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度で決まる。しかしながら、フィルム全成分に対してポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂が合計50質量%を超えて含有されると、75℃における貯蔵弾性率が低下し、加工時の寸法安定性が不十分となる。そのため、本発明の射出成形同時転写用フィルムは、フィルムの全成分100質量%に対してポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂の合計含有量が50質量%以下であることが好ましい。合計含有量は40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましく、20質量%以下が最も好ましい。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、特に深絞形状への加飾に使用される場合は、75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下であり、かつ120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることが好ましい。120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であると、優れた深絞成形性を有する。さらに高い深絞成形性が必要な場合は、120℃における貯蔵弾性率が50MPa以下であれば好ましく、20MPa以下であればさらに好ましい。また、貯蔵弾性率の下限としては、0.5MPa以上であることが好ましい。ここで、120℃における貯蔵弾性率が特定の数値範囲内であるとは、フィルムの任意の一方向、およびその方向に直交する方向の両方向においてその数値範囲内にあることを意味する。
120℃における貯蔵弾性率を100MPa以下とする方法としては、ガラス転移温度が120℃以下である層の合計厚みを、フィルム全厚みを100%として50%以上の厚みとすることが好ましい。ガラス転移温度が110℃以下の層の合計厚みが50%以上であればさらに好ましく、ガラス転移温度が105℃以下の層の合計厚みが50%以上であれば特に好ましい。1つの層の中に複数の樹脂が混合されている場合などのように、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度をその層のガラス転移温度とする。
つまり、本発明の射出成形同時転写用フィルムにおいて、75℃における貯蔵弾性率を1,000MPa以上3,000MPa以下とし、かつ、120℃における貯蔵弾性率を100MPa以下にするための方法としては、例えば、ガラス転移温度が80℃以上120℃以下である層の合計厚みを50%以上とし、フィルム全組成100質量%に対してポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂の合計含有量を50質量%未満とする方法が用いられる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、特にコーティング、ラミネート、印刷、蒸着といった加工工程において、特に高い寸法安定性が要求される場合は、120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下であることが好ましい。120℃における貯蔵弾性率を101MPa以上とすることで、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着といった加工工程において、非常に優れた寸法安定性を達成することができる。特に、コーティング、印刷後の乾燥温度は、より高温に設定することで、乾燥時のライン速度を速くすることができ、加工コストを低減できるメリットを有する。本発明の射出成形同時転写用フィルムは、120℃といった高い温度においても101MPa以上と高い貯蔵弾性率を示すため、コーティング、印刷後の乾燥温度をより高温に設定できる。また、120℃における貯蔵弾性率は高いほど寸法安定性が優れるため好ましいが、3,000MPaより高くしようとすると成形性が低下してしまう場合がある。さらに高い寸法安定性、成形性を両立させるためには、120℃における貯蔵弾性率は500MPa以上3,000MPa以下であればより好ましく、1,000MPa以上3,000MPa以下であれば最も好ましい。
本発明の射出成形同時転写用フィルムにおいて、120℃における貯蔵弾性率を上記101MPa以上3000MPa以下の範囲とする方法としては、ガラス転移温度が120℃以上の層の合計厚みを、フィルム全厚みを100%として50%以上の厚みとすることが好ましい。ここで、「ガラス転移温度が120℃以上の層の合計厚み」とは、ガラス転移温度が120℃以上の層が1つの場合はその層の厚みのことであり、ガラス転移温度が120℃以上の層が複数ある場合は、それらの層の厚みの合計のことである。
本発明において、ガラス転移温度の制御方法は特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンとエチレンの共重合体を使用する場合、ノルボルネンの含有量を増加させていくことでガラス転移温度を高温化することが可能である。さらに、ノルボルネンの含有量の異なる2種類の環状オレフィン系樹脂をブレンドさせることによってもフィルムのガラス転移温度を調整することが可能である。また、例えば、環状オレフィン系樹脂として、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂を使用する場合、ノルボルネンの誘導体の分子量を大きくする(例えば、側鎖の分子量を大きくする、あるいは二環構造にする)ことにより、ガラス転移温度を高くすることができる。さらに、ガラス転移温度の異なる2種類の、ノルボルネンの誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させた樹脂をブレンドさせることによっても層のガラス転移温度を調整することができる。また、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を添加していくことでガラス転移温度を低温化することができる。より好ましくは、ガラス転移温度が125℃以上の層の合計厚みを、フィルム全厚みを100%として50%以上の厚みとすることが好ましい。1つの層の中に複数の樹脂が混合されている場合などのように、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度をその層のガラス転移温度とする。
また、本発明の射出成形同時転写用フィルムは、特にコーティング、ラミネート、印刷、蒸着といった加工工程において、高い寸法安定性が要求される場合であっても、成形性を確保させるために、120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下であり、かつ170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であることが好ましい。170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下とすると、少なくとも射出成形時のフィルム実温度を170℃以上に設定することで優れた成形性を達成できるため好ましい。さらに高い成形性が必要な場合は、170℃における貯蔵弾性率は50MPa以下であれば好ましく20MPa以下であれば最も好ましい。また、貯蔵弾性率の下限としては、0.5MPa以上であることが好ましい。
本発明の射出成形同時転写用フィルムにおいて、170℃における貯蔵弾性率を上記100MPa以下とする方法としては、ガラス転移温度が170℃以下である層の合計厚みを、フィルム全厚みを100%として50%以上の厚みとすることが好ましい。1つの層の中に複数の樹脂が混合されている場合などのように、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度をその層のガラス転移温度とする。
ここで、120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下および170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であるということは、フィルムの任意の一方向および、その方向に直交する方向において上記数値を満たすことである。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、さらに、加工時の寸法安定性を重視する場合、130℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下であることが好ましい。130℃における貯蔵弾性率を101MPa以上とすることで、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着といった加工工程において、さらに温度を高く設定することができるため好ましい。130℃における貯蔵弾性率は500MPa以上3,000MPa以下であればより好ましく、1,000MPa以上3,000MPa以下であればさらに好ましい。
つまり、本発明の射出成形同時転写用フィルムにおいて、120℃における貯蔵弾性率を101MPa以上3,000MPa以下とし、かつ、170℃における貯蔵弾性率を100MPa以下にするための方法としては、例えば、ガラス転移温度が120℃以上170℃以下である層の合計厚みを50%以上とし、フィルム全組成100質量%に対してポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂の合計含有量を50質量%未満とする方法が用いられる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、生産安定性、成形性、寸法安定性の観点から、10〜300μmであることが好ましい。より好ましくは25〜150μm、特に好ましくは30〜75μmである。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、成形性、加工性の観点から厚み斑が10%以下であることが好ましい。厚み斑を10%以下とすることで均一に成形ができ、さらにコーティング、ラミネート、印刷、蒸着等の加工時の斑を抑制することができるため好ましい。本発明の射出成形同時転写用フィルムの厚み斑を10%以下とする方法は特に限定されないが、例えば粘着しない程度にキャスト温度を高温化する方法、キャスト位置を前方キャストにする方法、口金のリップ間隙を狭くする方法などが挙げられる。厚み斑は8%以下であればさらに好ましく、5%以下であれば最も好ましい。
また、本発明の射出成形同時転写用フィルム(積層フィルムにおいては、それを構成する各層)は、必要に応じて難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、ポリシロキサンなどの消泡剤、顔料または染料などの着色剤を適量含有することができる。
本発明の射出成形同時転写用フィルムは、金型内で塗膜が自然剥離することを防ぐために、少なくとも片方の面の表面自由エネルギーが33mN以上45mN/mであることが好ましく、より好ましくは35mN以上40mN/mである。本発明のフィルムの表面自由エネルギーをかかる範囲にするためには、各種改質処理を用いることができ、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、レーザー処理、火炎処理、高周波処理、グロー放電処理、オゾン酸化処理などが挙げられ、コスト、簡便性の観点から、コロナ放電処理、紫外線照射処理が好ましく用いられる。コロナ放電処理は空気、窒素、二酸化炭素、及びそれらの混合物の中で行ってもよい。フィルムの表面自由エネルギーの測定方法としては、測定液として、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の液体を用い、接触角計CA−Dを用いて、各液体のフィルム表面に対する静的接触角を求めた後、各々の液体について得られた接触角と測定液の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し4つの式からなる連立方程式をγSd ,γSp,γShについて解いて求めることができる。
(γSdγLd )1/2 + (γSp γLp)1/2 +(γSh γLh )1/2 =γL(1+COS θ)/2
但し、γS =γSd +γSp +γSh
γL =γLd +γLp +γLh
γS 、γSd 、γSp 、γSh は、それぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を、またγL 、γLd 、γLp、γLhは用いた測定液のそれぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものとする。ここで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloid Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用いている。
但し、γS =γSd +γSp +γSh
γL =γLd +γLp +γLh
γS 、γSd 、γSp 、γSh は、それぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を、またγL 、γLd 、γLp、γLhは用いた測定液のそれぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものとする。ここで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloid Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用いている。
本発明の射出成形同時転写用フィルムを用いた射出成形同時転写箔の構成としては、特に限定されないが、本発明の射出成形同時転写箔用フィルムに加飾層を積層した構成であることが好ましい。ここで、加飾層は、着色、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させるための層である。転写後の成形部材(被着体)の耐傷性、耐候性、意匠性の観点からは、さらにクリア層を積層することが好ましい。この場合、クリア層は射出成形同時転写用フィルム側に積層することが好ましい。また、転写後の樹脂(被着体)と加飾層との密着性の観点から、接着層を積層することが好ましい。この場合、接着層は、被着体側に積層することが好ましい。
つまり本発明の射出成形用転写箔は、本発明の射出成形同時転写箔用フィルムの少なくとも片面に、クリア層、加飾層、及び接着層を順次有する構成であることが好ましい。
ここでいうクリア層とは、成形部材の最表層に位置する層であり、成形部材の外観、耐久性を向上させるための高光沢、高透明な層のことである。
また、ここでいう加飾層とは、着色、凹凸、柄模様、木目調、金属調、パール調などの装飾を付加させるための層である。
ここで、クリア層として使用される樹脂は、高透明樹脂であれば特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂共重合体などが好ましく使用される。耐久性の観点から、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、熱線硬化樹脂が好ましく用いられる。また、クリア層には耐候性を向上させるために、紫外線吸収剤、紫外線反射剤を添加しても構わない。
また、クリア層は、耐傷性、意匠性の観点から、厚みが2〜100μmであることが好ましく、5〜80μmであればさらに好ましく、5〜60μmであれば最も好ましい。
クリア層の形成方法としては、直接形成させる方法、キャリアフィルムへ一旦形成させ、転写させる方法などが挙げられる。クリア層を形成させた後の乾燥温度が高温にする必要がある場合は、一旦キャリアフィルムへ形成させ、その後、転写させる方法が好ましく用いられる。クリア層の形成方法としては、ローラー塗装法、刷毛塗装法、スプレー塗装法、浸漬塗装法の他、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーターを用いた方法が挙げられる。また、本発明の射出成形同時転写用フィルムは環状オレフィン系樹脂を主成分としていることから、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤に対する耐性が低いため、クリア層に用いる溶剤として、芳香族系溶剤を使用しない構成とすることが好ましい。
加飾層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、コート、印刷、金属蒸着などによって形成することができる。コートする場合は、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を用いることができる。また、印刷する場合は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法を用いることが出来る。このとき使用される樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂共重合体などが好ましく使用される。使用される着色剤としては特に限定されないが、分散性などを考慮して、染料、無機顔料、有機顔料などから適宜選択される。
コート、印刷により形成される加飾層の厚みとしては、成形後の色調保持性、意匠性の観点から、2〜100μmであることが好ましく、5〜80μmであればさらに好ましく、5〜60μmであれば最も好ましい。
また、加飾層の形成方法が金属蒸着の場合、蒸着簿膜の作製方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。なお、ポリエステルフィルムと蒸着層との密着性を向上させるために、蒸着面をあらかじめコロナ放電処理やアンカーコート剤を塗布するなどの方法により前処理しておくことが望ましい。使用される金属としては成形追従性の点から融点が150〜400℃である金属化合物を蒸着して使用することが好ましい。該融点範囲の金属を使用することで、本発明の射出成形同時転写用フィルムが成形可能温度領域で、蒸着した金属層も成形加工が可能であり、成形による蒸着層欠点の発生を抑制しやすくなるので好ましい。より好ましい金属化合物の融点としては150〜300℃である。融点が150〜400℃である金属化合物としては特に限定されるものではないが、インジウム(157℃)やスズ(232℃)が好ましく、特にインジウムを好ましく用いることができる。加飾層の積層厚みは、0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜80μmであればさらに好ましく、0.02〜60μmであれば最も好ましい。
成形樹脂への接着性を付与する目的で設ける接着層の素材としては、感熱タイプあるいは感圧タイプを用いることができる。例えば、アクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いる事が好ましい。成形樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、環化ゴム、クマロンインデン系樹脂を用いることが好ましい。
接着層の形成方法は種々の方法を用いられ、例えばロールコート法、グラビアコート法、コンマコート法などのコート法、また、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷などの印刷法が用いられる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により測定した。
(1)フィルム全厚み、および各層の厚み
積層フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めた。
また、積層フィルムの各層の層厚みを測定する際は、ライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、フィルムの断面を倍率100倍の条件で透過光を写真撮影した。そして撮影した写真から、積層フィルムの各層ごとに任意の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値を各層の層厚みとした。
積層フィルムの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、フィルムから切り出した試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めた。
また、積層フィルムの各層の層厚みを測定する際は、ライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、フィルムの断面を倍率100倍の条件で透過光を写真撮影した。そして撮影した写真から、積層フィルムの各層ごとに任意の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値を各層の層厚みとした。
(2)貯蔵弾性率
フィルムを任意の一方向、およびその方向に直交する方向に長さ60mm×幅5mmの矩形に切り出しサンプルとした。動的粘弾性測定装置(レオロジ製、DVE−V4 FTレオスペクトラ)を用い、下記の条件下で、各方向の75℃、120℃、170℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。
周波数:10Hz、試長:20mm、変位振幅:10μm
測定温度範囲:25℃〜160℃、昇温速度:5℃/分。
フィルムを任意の一方向、およびその方向に直交する方向に長さ60mm×幅5mmの矩形に切り出しサンプルとした。動的粘弾性測定装置(レオロジ製、DVE−V4 FTレオスペクトラ)を用い、下記の条件下で、各方向の75℃、120℃、170℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。
周波数:10Hz、試長:20mm、変位振幅:10μm
測定温度範囲:25℃〜160℃、昇温速度:5℃/分。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および解析を行った。
フィルム5mgをサンプルとした。フィルムの特定層の評価を行う場合は、測定を行う層を5mg削りとってサンプルとした。サンプルを25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読み取った。各ベースラインの延長した直線から縦軸(熱流を示す軸)方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の中間点ガラス転移温度を求め、ガラス転移温度とした。なお、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を採用した。
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および解析を行った。
フィルム5mgをサンプルとした。フィルムの特定層の評価を行う場合は、測定を行う層を5mg削りとってサンプルとした。サンプルを25℃から20℃/分で300℃まで昇温した際のガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読み取った。各ベースラインの延長した直線から縦軸(熱流を示す軸)方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の中間点ガラス転移温度を求め、ガラス転移温度とした。なお、ガラス転移温度が複数存在する場合は、高温側のガラス転移温度を採用した。
(4)厚み斑
フィルムを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。200mmの方向について端部から20mm間隔で11点、300mmの方向についても30mm間隔で11点、合計121点の厚みを測定し、最大値、最小値、平均値を求めた。下記式より厚み斑を求めた。
・厚み斑(%)={(最大値−最小値)/平均値}×100。
フィルムを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。200mmの方向について端部から20mm間隔で11点、300mmの方向についても30mm間隔で11点、合計121点の厚みを測定し、最大値、最小値、平均値を求めた。下記式より厚み斑を求めた。
・厚み斑(%)={(最大値−最小値)/平均値}×100。
(5)品位
フィルムを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。3波長蛍光灯下で透過にて目視で観察を行い、長径が100μm以上の異物の個数をカウントし、A4サイズ当たりの異物の個数を求め、以下の基準にて評価を行った。
A:異物の個数が10個未満であった。
B:異物の個数が10個以上20個未満であった。
C:異物の個数が20個以上30個未満であった。
D:異物の個数が30個以上であった。
C以上を合格とした。
フィルムを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。3波長蛍光灯下で透過にて目視で観察を行い、長径が100μm以上の異物の個数をカウントし、A4サイズ当たりの異物の個数を求め、以下の基準にて評価を行った。
A:異物の個数が10個未満であった。
B:異物の個数が10個以上20個未満であった。
C:異物の個数が20個以上30個未満であった。
D:異物の個数が30個以上であった。
C以上を合格とした。
(6)寸法安定性
フィルムを任意の一方向方向、およびその方向に直交する方向に長さ50mm×幅4mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルを熱機械分析装置(セイコ−インスツルメンツ製、TMA EXSTAR6000)を使用して、下記の条件下で昇温した。昇温している過程において、寸法変化率が1%を超える温度によって、以下の基準で評価した。
試長:15mm、荷重:19.6mN、昇温速度:5℃/分、
測定温度範囲:25〜220℃
・寸法変化率(%)
={|試長(mm)−保持後のフィルム長(mm)|/試長(mm)}×100
A:150℃以上
B:120℃以上150℃未満
C:80℃以上120℃未満
D:80℃未満。
C以上を合格とした。
(7)成形性、離型性、成形体外観
フィルム表面に、紫外線硬化型アクリル系樹脂(亜細亜工業(株)製“KX50−200)を塗工し、90℃条件下で10分乾燥して、厚み10μmのクリア層を積層した。クリア層の表面に黒色インキ(十条ケミカル(株)製”SIMインキ3290“)を塗工し、90℃条件下で30分乾燥して、厚み10μmの加飾層を積層した。さらに、加飾層表面に、バインダーインキ(十条ケミカル(株)製” JELCON IMDバインダーインキB−2“)を積層して、90℃条件下で30分間乾燥して、厚み5μmの接着層を積層し、射出成形同時転写箔を作成した。
得られた射出成形同時転写箔を、フィルムが金型側、接着層が射出側になるように射出成形金型(100mm角、高さ20mm、コーナー部のRが2mm)に設置し、ABS樹脂を射出成形した。このとき、樹脂温度は260℃、金型温度は50℃、樹脂圧力は350MPaとした。
フィルムを任意の一方向方向、およびその方向に直交する方向に長さ50mm×幅4mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルを熱機械分析装置(セイコ−インスツルメンツ製、TMA EXSTAR6000)を使用して、下記の条件下で昇温した。昇温している過程において、寸法変化率が1%を超える温度によって、以下の基準で評価した。
試長:15mm、荷重:19.6mN、昇温速度:5℃/分、
測定温度範囲:25〜220℃
・寸法変化率(%)
={|試長(mm)−保持後のフィルム長(mm)|/試長(mm)}×100
A:150℃以上
B:120℃以上150℃未満
C:80℃以上120℃未満
D:80℃未満。
C以上を合格とした。
(7)成形性、離型性、成形体外観
フィルム表面に、紫外線硬化型アクリル系樹脂(亜細亜工業(株)製“KX50−200)を塗工し、90℃条件下で10分乾燥して、厚み10μmのクリア層を積層した。クリア層の表面に黒色インキ(十条ケミカル(株)製”SIMインキ3290“)を塗工し、90℃条件下で30分乾燥して、厚み10μmの加飾層を積層した。さらに、加飾層表面に、バインダーインキ(十条ケミカル(株)製” JELCON IMDバインダーインキB−2“)を積層して、90℃条件下で30分間乾燥して、厚み5μmの接着層を積層し、射出成形同時転写箔を作成した。
得られた射出成形同時転写箔を、フィルムが金型側、接着層が射出側になるように射出成形金型(100mm角、高さ20mm、コーナー部のRが2mm)に設置し、ABS樹脂を射出成形した。このとき、樹脂温度は260℃、金型温度は50℃、樹脂圧力は350MPaとした。
(a)成形性
A:転写箔が金型の形状を再現し、シワの発生もなかった。
B:転写箔が金型の形状を再現したが、若干シワが発生した。
C:転写箔が金型の形状をほぼ再現したが、コーナー部が若干再現しなかった。
D:転写箔が金型の形状を再現できていない、もしくは転写箔に破れが発生した。
C以上を合格とした。
A:転写箔が金型の形状を再現し、シワの発生もなかった。
B:転写箔が金型の形状を再現したが、若干シワが発生した。
C:転写箔が金型の形状をほぼ再現したが、コーナー部が若干再現しなかった。
D:転写箔が金型の形状を再現できていない、もしくは転写箔に破れが発生した。
C以上を合格とした。
(b)離型性
さらに、転写箔を貼り付けたままトップコート層を紫外線硬化させるため波長365nmの紫外線を1200mJ/cm2照射した後、外表面の射出成形同時転写用フィルムを剥離し、クリア層/加飾層/接着層/樹脂の成形体を作成した。このときのフィルムの剥離性について、下記の基準で評価を行った。
A:問題なく剥離できた。
B:やや抵抗はあったが、剥離できた。
C:紫外線硬化前に剥がれてしまった。
D:剥がれなかった。
B以上を合格とした。
さらに、転写箔を貼り付けたままトップコート層を紫外線硬化させるため波長365nmの紫外線を1200mJ/cm2照射した後、外表面の射出成形同時転写用フィルムを剥離し、クリア層/加飾層/接着層/樹脂の成形体を作成した。このときのフィルムの剥離性について、下記の基準で評価を行った。
A:問題なく剥離できた。
B:やや抵抗はあったが、剥離できた。
C:紫外線硬化前に剥がれてしまった。
D:剥がれなかった。
B以上を合格とした。
(c)成形体外観
得られた成形体に蛍光灯の光を当てて下記の基準で外観評価を行った。
A:光沢感に優れ、表面は平滑である。
B:光沢感はあるが、表面にうねりが見える。
C:光沢感がない。
B以上を合格とした。
(環状オレフィン系樹脂A)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 8007F−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂B)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6013F−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂C)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6015S−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂D)
日本ゼオン社製“ZEONOR 1060R”を用いた。
得られた成形体に蛍光灯の光を当てて下記の基準で外観評価を行った。
A:光沢感に優れ、表面は平滑である。
B:光沢感はあるが、表面にうねりが見える。
C:光沢感がない。
B以上を合格とした。
(環状オレフィン系樹脂A)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 8007F−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂B)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6013F−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂C)
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6015S−04 を用いた。
(環状オレフィン系樹脂D)
日本ゼオン社製“ZEONOR 1060R”を用いた。
(環状オレフィン樹脂E)
日本ゼオン社製“ZEONOR 1430R”を用いた。
日本ゼオン社製“ZEONOR 1430R”を用いた。
(ポリエチレン系樹脂)
プライムポリマー社製 エボリュー SP2540 を用いた。
※表中では、PEと表記した。
(ポリプロピレン系樹脂)
プライムポリマー社製 P204 を用いた。
※表中では、PPと表記した。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
ジカルボン酸成分としてテレフタル成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が99モル%、ジエチレングリコール成分が1モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)を用いた。
※表中では、PETと表記した。
(ポリカーボネート樹脂)
出光社製 タフロン A1700 を用いた。
※表中では、PCと表記した。
(ステアリン酸亜鉛)
ナカライテスク社製 ステアリン酸亜鉛 を用いた。
(ステアリン酸カルシウム)
ナカライテスク社製 ステアリン酸カルシウム を用いた。
(酸化防止剤)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の“イルガノックス1010”を用いた。
プライムポリマー社製 エボリュー SP2540 を用いた。
※表中では、PEと表記した。
(ポリプロピレン系樹脂)
プライムポリマー社製 P204 を用いた。
※表中では、PPと表記した。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
ジカルボン酸成分としてテレフタル成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が99モル%、ジエチレングリコール成分が1モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)を用いた。
※表中では、PETと表記した。
(ポリカーボネート樹脂)
出光社製 タフロン A1700 を用いた。
※表中では、PCと表記した。
(ステアリン酸亜鉛)
ナカライテスク社製 ステアリン酸亜鉛 を用いた。
(ステアリン酸カルシウム)
ナカライテスク社製 ステアリン酸カルシウム を用いた。
(酸化防止剤)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の“イルガノックス1010”を用いた。
(実施例1)
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度250℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、65℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度250℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、65℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例2)
表の組成、構成とし、供給部温度255℃、それ以降の温度を265℃、鏡面ドラム温度を70℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、供給部温度255℃、それ以降の温度を265℃、鏡面ドラム温度を70℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例3)
表の組成、構成とし、供給部温度260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を95℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、供給部温度260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を95℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例4)
表の組成、構成とし、供給部温度265℃、それ以降の温度を275℃、鏡面ドラム温度を105℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、供給部温度265℃、それ以降の温度を275℃、鏡面ドラム温度を105℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例5)
表の組成、構成とし、供給部温度270℃、それ以降の温度を285℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、供給部温度270℃、それ以降の温度を285℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例6)
表の組成、構成とし、供給部温度275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を145℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、供給部温度275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を145℃に温度制御した以外は実施例1と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例7)
表の組成、構成とし、それぞれ単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度250℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、65℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、それぞれ単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度250℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、65℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例8)
表の組成、構成とし、B層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を80℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、B層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を80℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例9)
表の組成、構成とし、A層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を95℃に温度制御した以外は実施例8と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、A層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、鏡面ドラム温度を95℃に温度制御した以外は実施例8と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例10)
表の組成、構成とし、A層、B層の供給部温度を270℃、それ以降の温度を285℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、A層、B層の供給部温度を270℃、それ以降の温度を285℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例11)
表の組成、構成とし、A層、B層の供給部温度を275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を145℃に温度制御以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、A層、B層の供給部温度を275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を145℃に温度制御以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例12)
表の組成、構成とし、A層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、B層の供給部温度275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み100μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とし、A層の供給部温度を260℃、それ以降の温度を270℃、B層の供給部温度275℃、それ以降の温度を295℃、鏡面ドラム温度を120℃に温度制御した以外は実施例7と同様にしてフィルム厚み100μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例13)
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例14)
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例15)
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とした以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(実施例16)
表の組成、構成とした以外は実施例11と同様にしてフィルム厚み38μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成とした以外は実施例11と同様にしてフィルム厚み38μmの本発明の射出成形同時転写用フィルムを得た。
(比較例1)
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、20℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、20℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
(比較例2)
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、120℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、120℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
(比較例3)
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイより20℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度95℃、延伸温度100℃で幅方向に3.3倍延伸し、そのままテンター内にて温度210℃で5秒間の熱処理を行い、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
(比較例4)
比較例3で得られた射出成形同時転写用フィルムに、メチル化メラミン:パラトルエンスルホン酸アミン:アクリルモノマー共重合体=10:0.2:1になるようブレンドし、トルエンで希釈した塗剤を、乾燥後厚み2μmとなるようにコーティング(表中では、離型層Aと表記した)し、フィルム厚み52μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
比較例3で得られた射出成形同時転写用フィルムに、メチル化メラミン:パラトルエンスルホン酸アミン:アクリルモノマー共重合体=10:0.2:1になるようブレンドし、トルエンで希釈した塗剤を、乾燥後厚み2μmとなるようにコーティング(表中では、離型層Aと表記した)し、フィルム厚み52μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
(比較例5)
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度210℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、80℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
表の組成、構成で樹脂を混合、単軸押出機(L/D=30)に供給し、供給部温度210℃、それ以降の温度を260℃で溶融し、濾過精度30μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、80℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ0.2s)上にシート状に吐出した。その際、弾性金属ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み50μmの射出成形同時転写用フィルムを得た。
なお表中の貯蔵弾性率、破断伸度については、任意の一方向および、それに直交する方向についての測定結果を記している。
本発明の成形同時転写用フィルムは、深絞成形性、寸法安定性を両立し、離型層を積層しなくても優れた離型性を有することから、様々な成形部材の加飾に最適に使用することができ、例えば、建材、モバイル機器、電機製品、自動車部品、遊技機部品などの成形部材の加飾に好適に用いることができる。
Claims (6)
- 環状オレフィン系樹脂を主成分とする射出成形同時転写用フィルムであって、
任意の一方向および、それに直交する方向において、60℃における破断伸度が200%未満、破断点応力が50MPa未満である、射出成形同時転写用フィルム。 - 環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(A層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(B層)を積層してなる請求項1に記載の射出成形同時転写用フィルム。
- 前記A層は、A層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、請求項2に記載の射出成形同時転写用フィルム。
- 75℃における貯蔵弾性率が1,000MPa以上3,000MPa以下、120℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
- 120℃における貯蔵弾性率が101MPa以上3,000MPa以下、170℃における貯蔵弾性率が100MPa以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形同時転写用フィルムの少なくとも片側に、クリア層、加飾層、及び接着層を、この順に有する射出成形同時転写箔。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012020579A JP2013159652A (ja) | 2012-02-02 | 2012-02-02 | 射出成形同時転写用フィルムおよび射出成形同時転写箔 |
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-
2012
- 2012-02-02 JP JP2012020579A patent/JP2013159652A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7100933B1 (ja) | 2022-03-03 | 2022-07-14 | 株式会社Tbm | 積層シート及び食品包装容器 |
JP2023128224A (ja) * | 2022-03-03 | 2023-09-14 | 株式会社Tbm | 積層シート及び食品包装容器 |
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