JP5025379B2 - フッ素含有汚染土壌の処理方法 - Google Patents
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Description
更に、汚染土壌と酸化カルシウムを混練し、汚染物質を不溶化させる技術が種々検討されている(例えば、特許文献3を参照。)
更に、特許文献3の処理方法は、汚染土壌の掘り出し及び埋立てを行う条件について詳細に検討されていなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、汚染土壌の掘り出し及び埋立て現場で処理することができる程度に容易であり、低コストであり且つフッ素等の溶出を効果的に抑制することができるフッ素含有汚染土壌の処理方法を提供することを解決すべき課題とする。
1.汚染土壌中のフッ素及び/又はその化合物を不溶化するための処理方法であって、
対象区域の所定深さまで掘り返して上記汚染土壌を含む土壌を得る掘削工程と、上記掘削工程で得た土壌を酸化カルシウムと共に混合して混合物を得る第1混合工程と、上記第1混合工程で得た上記混合物を上記掘削工程で生じた穴に所定厚さまで埋め立てる埋立工程と、上記埋立工程で埋め立てた埋立物の表面に散水を行う散水工程と、を備え、
上記埋立工程と上記散水工程とを複数回順次繰り返し、
上記第1混合工程の後、上記混合物の分級を行って所定大きさ以上の石を取り除く分級工程と、上記混合物の分級した残部を酸化カルシウムと共に混合して第2混合物を得る第2混合工程を更に備え、
上記埋立工程は、上記石及び上記第2混合物を上記混合物として上記埋立を行い、上記所定深さを100〜2000mmとし、上記第1混合工程、上記分級工程及び上記第2混合工程は掘削現場で行われ、環境庁告示第46号付表に掲げる方法により作成した検液を、日本工業規格K0102規格34.1に該当するランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法で測定したフッ素の溶出量が0.8mg/リットル未満であることを特徴とするフッ素含有汚染土壌の処理方法。
2.上記散水工程の後、上記埋立物を突き固める突固工程を更に備える上記1.記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
3.掘削時の表面より高くなった上記埋立物の表面が、上記突固工程の後、掘削前の土壌の表面と略同じ高さとなる上記2.記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
4.上記溶出量が0.4mg/リットル以下である上記1.記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
5.上記第1混合工程において、上記混合物は最大で60mmに破砕され、上記酸化カルシウムは、上記土壌100質量部に対して0.7〜5質量部であり、上記第1混合工程において、上記土壌の含水率が8%未満である場合は、加水して該土壌の含水率を8%〜30%にしてから上記混合を行い、上記散水工程における水量は、上記土壌100質量部に対して3〜20質量部である上記3.記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
酸化カルシウムを0.7〜5質量部とする場合は、酸化カルシウムの量が少なすぎると、フッ素等の溶出防止の効果が十分に得られないし、多すぎても溶出濃度の減少が大きく変化がない。
土壌の含水率が低い場合に加水する場合は、酸化カルシウムを適切に反応させ、確実に不溶化することができる。
上記所定厚さを100〜500mmとする場合は、上記散水によって撒かれた水が底部の混合物まで十分に浸透し、確実に反応を完了させることができる。
所定深さを100〜2000mとする場合は、汚染されていない土壌を掘削する量を減らすことができ、施工に必要な時間及び酸化カルシウムの量を多くすることなく処理することができる。
突固工程を更に備える場合は、酸化カルシウムとより反応させて不溶化させることができ、溶出することを抑制することができる。
本フッ素含有汚染土壌の処理方法は、掘削工程、第1混合工程、埋立工程及び散水工程を順次備え、埋立工程及び散水工程を繰り返し複数行うことを特徴とする。また、第1混合工程と埋立工程との間に分級工程及び第2混合工程を行う。更に、散水工程の後に突固工程を行うことができる。
上記「対象区域」とは、本処理方法の処理対象となる土壌の区域である。また、区域が広い場合は任意の広さに分割して順次に本処理方法を用いることができる。この分割する広さは任意に選択することができるが50〜300m2以下、(より好ましくは60〜250m2以下、更に好ましくは70〜200m2以下)が好ましい。分割する広さが広すぎると埋立工程中の埋立物の含水率が乾燥等により変化し、適切に不溶化処理できなくなる場合があるからである。
また、上記「所定深さ」は、汚染土壌をもれなく掘削できる程度の深さであり、100〜2000mm(特に好ましくは150〜1500mm、更に好ましくは200〜1300mm)である。通常、地上で作業を行った結果、その作業を行った周辺の地面が汚染されるため、土壌が汚染される場所は通常表層に留まるからである。
土壌及び酸化カルシウムの混合方法は特に限定されず、任意に選択することができる。この例として、図3に例示するように、回転軸と、該回転軸と平行な軸により該回転軸の周面に旋回可能に設けられたロータリハンマーと、を有しており、該回転軸の回転によって前記ロータリハンマーが旋回しながら回転するものであり、供給される処理土を前記ロータリハンマーに衝突させて混合又は破砕するように構成されている混合装置を用いて混合する方法を挙げることができる。
尚、第1混合工程の前後において、掘削した土壌及び混合物の養生は通常行う必要はないが、行ってもよい。
上記「酸化カルシウム」の混合比率は任意に選択することができるが、上記土壌100質量部に対して0.7〜5質量部(特に好ましくは0.8〜3.5質量部、特に好ましくは0.9〜2質量部)が好ましい。酸化カルシウムの量が少なすぎると、フッ素等の溶出防止の効果が十分に得られないし、多すぎても溶出濃度の減少が大きく変化がないためである。
上記「所定厚さ」とするのは、散水を行うため適度な厚さとしないと、散水した水が埋立物の全体に浸透しなかったり、過剰になったりするからである。この厚さは、散水した水が埋立物の全体へ容易に浸透することができる厚さが好ましく、100〜500mm(好ましくは150〜450mm、特に好ましくは150〜400mm)が好ましい。
上記「散水工程」は、埋立物に散水して更に加水することによって、埋立物中の酸化カルシウムを完全に反応させるために用いるものであり、埋立物の表面全体に行き渡るように散水を行うのが好ましい。また、水量は、土壌100質量部に対して3〜20質量部(好ましくは4〜18質量部、特に好ましくは5〜15質量部)とすることができる。
上記埋立工程及び上記散水工程は、一度に全量を埋め立てるのではなく分けて繰り返し行う。散布した水が埋め立てた混合物へ均等に浸透しやすく、より不溶化率を高めることができるからである。
分級する石等の大きさは適宜設定することができるが、例えば10〜60mm(特に好ましくは15〜50mm、更に好ましくは20〜40mm)の篩を用いて分級することができる。
尚、分級した石等は、残部と共に埋立工程で埋め立てられる。更に、分級した石等を残部と共に埋立工程で埋め立てる場合は、混合した後に埋め立てられる。
第2混合工程で用いる酸化カルシウムの量は、第1混合工程と同じ条件でもよいし、異なる条件でもよい。
また、第2混合工程の混合方法も、第1混合工程と同じ条件でもよいし、異なる条件でもよい。このうち、同じ条件が好ましい。同じ混合装置が使えるため、現場でフッ素含有汚染土壌を処理するのにより適するからである。
また、突き固める手段は任意に選択することができるが、好例として高周波バイブレータを用いることを挙げることができる。この高周波バイブレータは、100〜180Hz(好ましくは105〜160Hz、より好ましくは110〜140Hz)の高周波で杭状物を上下に振動することによって突き固めを行うバイブレータである。このような高周波バイブレータを用いることによって埋立物を強固に突き固め、より溶出を抑制することができる。
尚、汚染土壌の汚染の程度が低い場合は、参考例ではあるが、各工程のうち、分級工程、第2混合工程及び突固工程を、図9に示すように行わなくてもよい。また、参考例ではあるが、分級工程、第2混合工程及び突固工程のいくつかを行わなくてもよい。
始めに、図2に示すように、縦10m、横10mの範囲の汚染土壌を含む土壌6を深さ1mまで掘削した。
次いで、掘削した土壌の100質量部に対して1質量部に相当する酸化カルシウムを混合装置で混合した。
使用した混合装置は図3に示すような、打撃によって塊を砕くことができる混合装置1であり、混合装置1は、汚染土壌を投入する第1投入ホッパー2と、酸化カルシウムを投入する第2投入ホッパー3と、各ホッパー2,3から供給された処理土などを搬送するベルトコンベア4と、ベルトコンベア4から供給された処理土を混合あるいは破砕するソイルカッター5と、ソイルカッター5の下流側に設けられて処理土を混合あるいは破砕する3軸のハンマー機構10と、を備える。
混合装置1では、第1投入ホッパー2に土壌が投入されると共に、第2投入ホッパー3に酸化カルシウムが投入される。これら汚染土壌及び酸化カルシウムはベルトコンベア4で搬送され、ソイルカッター5とハンマー機構10を経て混合され混合装置1から排出される。この混合の際に、混合物は最大で60mm程度に破砕される。
その後、目の大きさが約30mmの振動篩を用いて、混合物を石等と土砂を含む残部とに分級する。このとき、残部は、混合物の約90%の体積であった。
分級工程で得られた残部を、掘削した土壌の100質量部に対して1質量部に相当する酸化カルシウムを図3に示す第1混合工程で用いた同じ混合装置で混合した。
次いで、残部の混合物及び石等の混合物7を掘削工程で形成された穴に埋め立てた。この埋め立ては4回に分けて行った。また、各回において図4に示すように、始めに厚さが約280mmになるまで残部の混合物及び石等の混合物7を埋め立てた。
その後、図5に示すように埋立物8の表面に、掘削した土壌の100質量部に対して10質量部に相当する水道水をまんべんなく散布した。
また、散水が終わった後、図6に示すように養生を行うことなく残りの残部の混合物及び石等の混合物7について埋立工程及び散水工程を行った。更に、上記埋立工程及び上記散水工程を全部で4回繰り返した後、図7に示すように埋立物8の表面は掘削時の表面より約100mm高くなった。
最後に、図7に示すように、杭状物を複数設けた高周波バイブレータ9を用いて、埋立物8の突き固めを行った。これにより図8に示すように、埋立物8の表面は掘削前の土壌の表面と略同じ高さとなった。尚、(1)掘削工程から(6)突固工程までは、養生のための時間を設けることなく続けて行った。
フッ素等の溶出量は、環境庁告示第46号付表に掲げる方法により作成したフッ素混合土壌、又はそれを本処理方法によって処理した後掘削して得た土壌の検液を、日本工業規格K0102規格34.1に該当するランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法で測定した。
始めに、汚染土壌中の深さに応じたフッ素等の溶出量変化を表1に示す。
尚、各試験例E1〜E8(参考例E1〜E4及び実施例E5〜E8)で処理した汚染土壌は、表2に示す比較例R6であり、含水率が約20%、フッ素等溶出量が2.4mg/リットルである。
Claims (5)
- 汚染土壌中のフッ素及び/又はその化合物を不溶化するための処理方法であって、
対象区域の所定深さまで掘り返して上記汚染土壌を含む土壌を得る掘削工程と、
上記掘削工程で得た土壌を酸化カルシウムと共に混合して混合物を得る第1混合工程と、
上記第1混合工程で得た上記混合物を上記掘削工程で生じた穴に所定厚さまで埋め立てる埋立工程と、
上記埋立工程で埋め立てた埋立物の表面に散水を行う散水工程と、を備え、
上記埋立工程と上記散水工程とを複数回順次繰り返し、
上記第1混合工程の後、上記混合物の分級を行って所定大きさ以上の石を取り除く分級工程と、
上記混合物の分級した残部を酸化カルシウムと共に混合して第2混合物を得る第2混合工程を更に備え、
上記埋立工程は、上記石及び上記第2混合物を上記混合物として上記埋立を行い、
上記所定深さを100〜2000mmとし、
上記第1混合工程、上記分級工程及び上記第2混合工程は掘削現場で行われ、
環境庁告示第46号付表に掲げる方法により作成した検液を、日本工業規格K0102規格34.1に該当するランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法で測定したフッ素の溶出量が0.8mg/リットル未満であることを特徴とするフッ素含有汚染土壌の処理方法。 - 上記散水工程の後、上記埋立物を突き固める突固工程を更に備える請求項1記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
- 掘削時の表面より高くなった上記埋立物の表面が、上記突固工程の後、掘削前の土壌の表面と略同じ高さとなる請求項2記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
- 上記溶出量が0.4mg/リットル以下である請求項1記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
- 上記第1混合工程において、上記混合物は最大で60mmに破砕され、
上記酸化カルシウムは、上記土壌100質量部に対して0.7〜5質量部であり、
上記第1混合工程において、上記土壌の含水率が8%未満である場合は、加水して該土壌の含水率を8%〜30%にしてから上記混合を行い、
上記散水工程における水量は、上記土壌100質量部に対して3〜20質量部である請求項3記載のフッ素含有汚染土壌の処理方法。
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