JPH10263424A - 土質材料の製造方法と製造装置 - Google Patents

土質材料の製造方法と製造装置

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JPH10263424A
JPH10263424A JP9300197A JP9300197A JPH10263424A JP H10263424 A JPH10263424 A JP H10263424A JP 9300197 A JP9300197 A JP 9300197A JP 9300197 A JP9300197 A JP 9300197A JP H10263424 A JPH10263424 A JP H10263424A
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秀敏 森本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】土質材料の高品質性・高い生産能力・作業性・
経済性・汎用性などを満足させることのできる土質材料
の製造方法と製造装置を提供する。 【解決手段】耐衝撃性を有する処理容器12内にあって
回転軸25の周囲に取り付けられている複数本の長いフ
レキシブル剛体27を高速回転させる。処理容器12内
に投入した土質材料用の原材料を高速回転中の各フレキ
シブル剛体27で打撃して砕いたり処理容器12の内壁
面に衝突させて砕いたり原材料相互の衝突により砕いた
りして原材料を原形サイズよりも小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は土質材料を製造する
ための技術分野に属するものであって、主に土木・建築
・農林・水産・水処理・小動物飼育・小動物養殖・微生
物培養などの分野で用いられる土質材料の製造方法や製
造装置に関する。本発明は、また、廃物処理をも兼ねる
技術でもある。
【0002】
【従来の技術】土質材料は土構造物の構成材料である。
土質材料としては玉石・砂利・砂・シルト・粘土やこれ
らの複合したものが広く知られている。土質材料の集合
体である土構造物は、通常、多くの間隙がってここに水
分・空気・その他を含んでいる。したがって土構造物
は、固体・液体・気体の混合物であるといえる。
【0003】土木分野・建築分野における土構造物につ
いては、圧縮性・圧密性・剪断抵抗・破壊強度などの力
学的性質とか、粒度分布・含水量・比重などの物理的性
質や透水性とかが工学的に最重要であり、これらが土質
力学の基本をなしている。ちなみに工学的観点からみた
土構造物は、固体・液体・気体の割合によって力学的性
質が著しく変化し、ときに弾性を、ときに塑性を、とき
に流動性を示すという複雑なものである。農林分野で取
り扱う土構造物については、力学的性質よりも化学的性
質や植物栄養上の特性で定まる肥沃度にウエイトがおか
れる。魚介類の養殖を行う水産分野では、養殖場(水
底)に敷き込んで形成する砂層や礫層について適切な材
質のものを選定しなければならないし、水処理用の濾床
なども、その材質が処理効果を左右するのでこれの選定
が重要になる。また、土中をコロニーとする微生物の培
養や小動物の飼育・養殖などでは、これら生存率を高め
たり旺盛な繁殖性を示したりすることが土構造物に要求
される。
【0004】土質材料やその原材料としては自然のもの
が豊富にある。しかし自然のままの土質材料や同原材料
は、これらの材料特性によって用途限定されるととも
に、自然からの新たな採取が自然破壊に通じるという点
で入手に大きな制約を受ける。一方、不良土・廃棄物・
ヘドロ・風化岩・下水汚泥・甲殻類の残骸・火砕流堆積
土・建設発生土などの処理(処分)については、周辺の
環境破壊や処理コストの高騰が問題であるばかりか、処
理場や投棄場を確保することの困難さが将来に向けての
大きな障壁になっている。かかる現状において、処理の
困難な上記廃棄物等を低処理コストで再資源化や有効利
用できる場合にはこれらの問題が概ね解消することとな
る。
【0005】廃棄物の再資源化・再利用は古くから行わ
れており、処理難度(加工難度)の高いものについても
再資源化や再利用が試みられている。これらの加工処理
に際しては選別手段・機械加工手段・熱処理手段・化学
処理手段・混合手段・その他が必要なだけ組み合わされ
て実施される。選別手段は材質・形状・大きさなどを基
準にして廃棄物を選別するというものである。機械加工
手段には多くのものがあり粉砕加工や圧縮加工がよく用
いられる。熱処理手段としては乾燥・焼却などを目的と
するものがあげられる。化学処理手段では再資源化され
たものを無害化したりこれに特異な性質を付与したりす
るほか、再資源化されたものが粉砕物である場合にこれ
を所定の形状に固形化したりする。これらの化学処理に
は添加材(添加剤)の用いられる例が多い。混合手段は
互いに異質の再資源化物を混ぜ合わせたり、再資源化さ
れたものと添加材とを混ぜ合わせたりするというもので
ある。
【0006】土木分野では、処理物を粉砕したり混合し
たりするための機械加工手段として、回転体の回転エネ
ルギ(破壊エネルギ)を利用する方式の装置が用いられ
ている。土木分野で用いられる粉砕混合装置は、岩石の
ような高硬度物をも粉砕して混合することができるので
あるから、他の分野の粉砕混合装置よりも粉砕混合能力
が高い。したがって粉砕混合装置については、土木分野
で用いられるものを高能力機種とみなしてよい。
【0007】建設工事において土構造物を築造するとき
は、通常、土構造物の仕様にあった土質材料を選定して
用いるが、最近、経済性や周辺環境保全の観点から現地
発生土を改良して用いる傾向が多くみられる。現地発生
土を高品質の土質材料に改良するためには、これを細か
く粉砕したり十分に撹拌したりすることが不可欠であ
る。ちなみにバックホウ(ドラグショベル)・スタビラ
イザ・ストーンクラッシャ・パグミルミキサなどの土木
機械器具は、このような粉砕混合のためによく用いられ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】現地発生土を土質材料
に改良するための従来法の一つは、粉砕できない粘土塊
や石礫を取り除くためにスケルトンバケット式バックホ
ウ・回転翼付きバケット式バックホウ・振動スクリーン
などで篩いにかけた後の現地発生土をバックホウやパグ
ミルミキサでさらに混合するというものである。しかし
この方法にはつぎのような課題が残されている。その一
つは、現地発生土が篩いによって減量されるために歩留
まりが悪くなることである。他の一つは、事前の篩い作
業と事後の混合作業とが分離するために作業効率が悪く
なったり作業工程が煩雑になったりすることである。ち
なみに一基の設備で得られる土質材料の量は上記二つの
原因のために1時間あたり50立米以下になってしま
う。すなわちこれは大量の土質材料を要する大規模工事
に適さないということである。さらに他の一つは、粉砕
できない粘土塊や石礫が篩い処理後の現地発生土中に多
く残留しているために均質な粉砕混合物を得ることがで
きず、土質改良品(土質材料)の品質が低級になること
である。しかもこれが原因で多量の土質改良材が必要に
なる。たとえばセメント安定処理工法においては、セメ
ントの混合度合や強度上のバラツキをも含めて現場処理
土の強さを決定しているが、一般にはこの強さ比(現場
/室内)を0.5として設計しているので、現場で消費
されるセメント量が多くなり、大量施工する場合にはこ
の点の不経済も無視できなくなる。
【0009】従来法の他の一つは、スタビライザやスト
ーンクラッシャによって現地発生土を原位置で粉砕しつ
つ混合するというものである。この方法よるときは作業
工程が上記に比べて簡便になるかのごとくである。しか
しながらスタビライザやストーンクラッシャによるとき
も粘土塊や石礫に対する粉砕混合効率が低く改良土の品
質が悪いために数回となく作業を繰り返さなければなら
い。とうことは、この方法も作業性や経済性の点で望ま
しくないということである。
【0010】土木分野における土質材料の製造技術につ
いては、上述のような土質(品質)・生産能力・作業性
・経済性などが解決すべき課題になる。しかも土木分野
では、既述の高能力機種を用いながらもこのような課題
を残しているのである。してみると、それを下回る機種
を用いて土質材料を製造している他分野の技術について
もこれと同様の課題が残されているといえる。
【0011】発明の目的:本発明はこのような技術的課
題に鑑み、土質材料の高品質性・高い生産能力・作業性
・経済性・汎用性などを満足させることのできる土質材
料の製造方法と製造装置を提供しようとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
された土質材料の製造方法は所期の目的を達成するため
に下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1
の方法は、耐衝撃性を有する処理容器内にあって回転軸
の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブル
剛体を高速回転させること、その後、処理容器内に投入
した土質材料用の原材料を高速回転中の各フレキシブル
剛体で打撃して砕いたり処理容器の内壁面に衝突させて
砕いたり原材料相互の衝突により砕いたりして原材料を
原形サイズよりも小さくすることを特徴とする。
【0013】本発明の請求項2に記載された土質材料の
製造方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決
手段を特徴とする。すなわち請求項2の方法は、耐衝撃
性を有する処理容器内にあって回転軸の周囲に取り付け
られている複数本の長いフレキシブル剛体を高速回転さ
せること、その後、処理容器内に投入した原材料を高速
回転中の各フレキシブル剛体で打撃して砕いたり処理容
器の内壁面に衝突させて砕いたり原材料相互の衝突によ
り砕いたりして原材料をその原形サイズよりも小さくす
ること、および、原材料を砕く前・砕いている時・砕い
た後のうちの一以上の時点で原材料にマイクロ波を照射
してそれを加熱することを特徴とする。
【0014】本発明の請求項3に記載された土質材料の
製造方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決
手段を特徴とする。すなわち請求項3の方法は、耐衝撃
性を有する処理容器内にあって回転軸の周囲に取り付け
られている複数本の長いフレキシブル剛体を高速回転さ
せること、その後、原材料と添加物とを処理容器内に投
入し、かつ、原材料を高速回転中の各フレキシブル剛体
により打撃して砕いたり処理容器の内壁面に衝突させて
砕いたり原材料相互の衝突により砕いたりして原材料を
その原形サイズよりも小さくすること、および、原材料
を砕くのと同期して原材料と添加物とをフレキシブル剛
体で混合することを特徴とする。
【0015】本発明の請求項4に記載された土質材料の
製造方法は所期の目的を達成するために下記の課題解決
手段を特徴とする。すなわち請求項4の方法は、耐衝撃
性を有する処理容器内にあって回転軸の周囲に取り付け
られている複数本の長いフレキシブル剛体を高速回転さ
せること、その後、原材料と添加物とを処理容器内に投
入し、かつ、原材料を高速回転中の各フレキシブル剛体
により打撃して砕いたり処理容器の内壁面に衝突させて
砕いたり原材料相互の衝突により砕いたりして原材料を
その原形サイズよりも小さくすること、および、原材料
を砕くのと同期して原材料と添加物とを高速回転中の各
フレキシブル剛体で混合すること、および、原材料を砕
く前・砕いている時・砕いた後のうちの一以上の時点で
原材料・添加物のうちのいずれか一方または両方にマイ
クロ波を照射してそれを加熱することを特徴とする。
【0016】本発明の請求項5に記載された土質材料の
製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法におい
て、縦型かつ筒状の処理容器内にあって垂直な回転軸の
周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブル剛
体を高速回転状態にすることを特徴とする。
【0017】本発明の請求項6に記載された土質材料の
製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法におい
て、傾斜型かつ筒状の処理容器内にあって傾斜した回転
軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブ
ル剛体を高速回転状態にすることを特徴とする。
【0018】本発明の請求項7に記載された土質材料の
製造方法は、請求項1〜6いずれかに記載の方法におい
て、フレキシブル剛体を500〜2000回転/分の範
囲内で回転させることを特徴とする。
【0019】本発明の請求項8に記載された土質材料の
製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法におい
て、土質材料用の原材料が、天然および/または人造の
泥・天然および/または人造の土・天然および/または
人造の砂・天然および/または人造の礫・天然および/
または人造の石・天然および/または人造の岩などのう
ちから選択された一以上のものであることを特徴とす
る。
【0020】本発明の請求項9に記載された土質材料の
製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法におい
て、土質材料用の原材料が、天然および/または人造の
泥を含む二種以上の混合物・天然および/または人造の
土を含む二種以上の混合物・天然および/または人造の
砂を含む二種以上の混合物・天然および/または人造の
礫を含む二種以上の混合物・天然および/または人造の
石を含む二種以上の混合物・天然および/または人造の
岩を含む二種以上の混合物などのうちから選択された一
以上のものであることを特徴とする。
【0021】本発明の請求項10に記載された土質材料
の製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法にお
いて、添加物が、固体および/または液体および/また
は気体からなることを特徴とする。
【0022】本発明の請求項11に記載された土質材料
の製造方法は、請求項1〜4いずれかに記載の方法にお
いて、添加物が、無機物および/または有機物からなる
ことを特徴とする。
【0023】本発明の請求項12に記載された土質材料
の製造装置は所期の目的を達成するために下記の課題解
決手段を特徴とする。すなわち請求項12の装置は、上
部に入口を有していたり下部に出口を有していたりする
ものであって耐衝撃性のある縦型かつ筒状の処理容器
と、処理容器内の中心領域に配置されて上下方向に沿う
回転軸と、回転軸の周囲に一段以上の放射状に取り付け
られた複数本の長いフレキシブル剛体と、回転軸に連結
された回転駆動系の機械とで構成されていることを特徴
とする。
【0024】本発明の請求項13に記載された土質材料
の製造装置は所期の目的を達成するために下記の課題解
決手段を特徴とする。すなわち請求項13の装置は、上
部に入口を有していたり下部に出口を有していたりする
ものであって耐衝撃性のある傾斜型かつ筒状の処理容器
と、処理容器内の中心領域に配置されて傾斜している回
転軸と、回転軸の周囲に一段以上の放射状に取り付けら
れた複数本の長いフレキシブル剛体と、回転軸に連結さ
れた回転駆動系の機械とで構成されていることを特徴と
する。
【0025】本発明の請求項14に記載された土質材料
の製造装置は、請求項12または13に記載の装置にお
いて、マイクロ波発生装置におけるマイクロ波照射器が
処理容器内に配置されていることを特徴とする。
【0026】本発明の請求項15に記載された土質材料
の製造装置は、請求項12または13に記載の装置にお
いて、傾斜フィンが処理容器の内周面から斜め下方に向
けて突出していることを特徴とする。
【0027】作用:本発明におけるフレキシブル剛体
は、剛な部分とフレキシブルな部分とを有する長いもの
であって、全体的には屈曲したり撓んだりすることがで
きるものである。このようなフレキシブル剛体は一端を
支点にしてこれを振り回したときに遠心力で直線状態に
なる。フレキシブル剛体が他物を打撃してこれを破壊す
るときのエネルギは単位時間あたりの回転数の2乗に比
例して大きくなる。ちなみに本発明においてはフレキシ
ブル剛体を500〜2000回転/分のように高速回転
させる。したがって処理容器内に投入された土質材料用
の原材料は、高速回転中のフレキシブル剛体により打撃
されて砕ける。砕けた原材料はさらに、処理容器内壁面
との衝突とか原材料相互の衝突とかによっても砕ける。
その結果、原材料はこれの原形サイズよりも小さくな
る。
【0028】既存の回転式粉砕機や回転式混合機のロー
タ回転数については、最高速のものでも100回転/分
程度に設定することが技術常識になっている。その理由
は、500回転/分のような高速回転状態で原材料
(例:岩塊)を打撃したときにロータ自身も破壊するか
らである。しかし100回転/分程度のロータ回転で
は、原材料に対するロータの打撃エネルギが小さいため
粘土塊のような粘着性のきわめて高い原材料や石礫のよ
うな硬い原材料を十分に粉砕混合することができない。
これに対する本発明のフレキシブル剛体は500〜20
00回転/分のように高速回転して大きな打撃エネルギ
を発揮するから、原材料の種類を問うことなくこれを十
分に粉砕したり混合したりすることができる。もちろん
フレキシブル剛体の場合は、たとえ原材料が岩塊のよう
な硬いものであってもこれとの衝突で破壊することがな
い。それは剛部分により原材料を強打して破壊する一方
で、フレキシブル部分が過大な衝撃を吸収緩和するから
である。
【0029】500〜2000回転/分にて高速回転す
るフレキシブル剛体で原材料を打撃破壊する場合には、
低速回転(100回転/分以下)のときにみられない特
有の現象があらわれる。その一つは、フレキシブル剛体
からの強大な打撃破壊エネルギを受けて原材料がいくぶ
ん温度上昇するということである。他の一つは含水量の
多い原材料のときに水分が霧化(ミスト化)するという
ことである。さらに他の一つは原材料が打撃破壊されて
飛散するときにその水分が発散するということである。
これらの現象は土質材料の含水量を低減させる。これは
また、次述のマイクロ波照射による加熱処理効率を高め
たり、その処理を経済的に実施させたりもする。
【0030】本発明においては原材料を砕く前・砕いて
いる時・砕いた後のうちの一以上の時点で原材料にマイ
クロ波を照射する。これは原材料を加熱するために行わ
れる処理である。マイクロ波を照射されて土粒子内部か
ら加熱される原材料には、熱応力の発生、内部加熱蒸気
による加圧、遊離水・結晶水の消失など、一連の物理的
・化学的変化が起きる。それゆえ製造物たる土質材料の
水分が減少する。ちなみに含水量の多い砂質土について
は粉砕混合のみによっても含水量が低下するが、粉砕混
合によって水分を減じるのが困難な粘性土などは、これ
を土質材料として用いるときに割り増しを強いられるの
が通例である。しかし上記のごとく水分を減じられる土
質材料にはそのような不利がない。このような利点は土
木・建築などの分野で用いられる土質材料とって好都合
である。マイクロ波照射による加熱処理は、また、その
際の加熱量をコントロールすることにより土質材料中の
微生物生存量を加減することができるし、病害虫を死滅
させることもできる。これは土木や建築の分野で用いら
れる土質材料だけでなく、農林・水処理・廃物処理・小
動物養殖・小動物養殖・微生物培養などの分野で用いら
れる土質材料とっても有用な処理になる。
【0031】本発明おいて用いる「および/または」の
語はつぎに例示するような意味合いのものである。すな
わち「AおよびB」と「AまたはB」とを併せて表現す
るときに「Aおよび/またはB」という。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明に係る土質材料の製造方法
や製造装置の一実施形態として図1・図2に例示された
ものは、供給系51を介して土質材料用の原材料を製造
機構11に送り込み、ここで土質材料に仕上げたものを
搬出系52により運搬するというものである。したがっ
てこの実施形態では、製造機構11が中心的な役割をは
たす。製造機構11には、また、添加物(添加材・添加
剤)の供給系53が接続されていたりマイクロ波発生装
置61が組み込まれていたりする。以下これらの具体的
構成を図1・図2に基づいて説明する。
【0033】図1・図2を参照して明らかなように、土
質材料の製造機構11は、処理容器12・回転軸25・
フレキシブル剛体27・電動機(モータ)31・伝動系
41・その他を主体にして構成されている。
【0034】処理容器12の構成部材である上蓋(天
板)14付きの上部ケース13や下蓋(底板)18付き
の下部ケース17は一例として円筒形をなすものであ
る。これら両ケース13・17はボルト・ナットなどを
介した周知のフランジ結合手段で上下に結合されてい
る。上部ケース13の胴壁に開口された入口15には緩
やかな勾配で横向きに突出する筒状のフード16が取り
付けられている。下部ケース17の下蓋18に開口され
た出口19には斜め下方に突出する筒状のシュート20
が取り付けられている。下部ケース17の胴壁内面には
逆円錐筒形をなす複数(三つ)の傾斜フィン21が等間
隔の上下配列で取り付けられている。すなわち各傾斜フ
ィン21は、処理容器12の内周面から斜め下方に向け
て突出している。上下に対をなす軸受22・23は周知
のものである。これら軸受22・23のうち、上位の軸
受22は上部ケース13の軸心部にあって上部ケース1
3の胴壁内面に取り付けられた放射状(例:三放射状)
のステー24を介して支持されており、下位の軸受23
は下蓋18の軸心部にあってその下面に取り付けられて
いる。回転軸25は上下方向に並んだ多数の取付部26
をその外周面に有するものである。フレキシブル剛体2
7として例示したものは、多数のリングを鎖のごとく屈
伸自在に長く連結してなる。フレキシブル剛体27にお
いては、各リング一つひとつが剛体部分になり、各リン
グ相互の連結部が屈伸自在なフレキシブル部分になると
いうものである。このようなフレキシブル剛体27は、
多数本のものが放射配列かつ上下多段の態様で回転軸2
5の周囲に取り付けられる。具体的には、各フレキシブ
ル剛体27の基端部を回転軸25の各取付部26にあて
がった後、これら取付部26・フレキシブル剛体27を
閂状に貫通する複数本の取付棒28で各フレキシブル剛
体27を回転軸25の外周部に枢着するというものであ
る。ちなみに図示例においては、フレキシブル剛体27
の上下段数が図1のごとき七段、フレキシブル剛体27
の放射数が図2のごとき八放射になっている。また各フ
レキシブル剛体27のうちで傾斜フィン21と対応する
ものは他のものに比べて少し短くなっている。その他、
回転軸25の下部外周面には可撓性を有する複数本の掃
き出し用ワイパ29が放射配列で取り付けられている。
このようにして多数本のフレキシブル剛体27や複数本
のワイパ29を取り付けられた回転軸25は、処理容器
12の軸心部において両軸受22・23により回転自在
に支持されている。そして処理容器12をケーシングと
する製造機構11は、下蓋18の下面に取り付けられた
複数本の脚30を介して据付面G1上に設置される。
【0035】上記において、処理容器12の構成部材
(上部ケース13・上蓋14・下部ケース17・下蓋1
8・傾斜フィン21)・ステー24・回転軸25とこれ
の関連部品(取付部26・取付棒28・ワイパ29)・
フード16・シュート20・フレキシブル剛体27・脚
30などは、主として金属製のものからなる。これらの
うち、フード16・シュート20・脚30などについて
は金属製以外のものでもよいが、その他の部品・部材に
ついては高度の機械的強度や耐久性を確保するために鋼
製のものが採用される。さらにワイパ29についていえ
ば、これは硬くて丈夫で可撓性のある、たとえば金属製
ワイヤロープのようなもので構成される。
【0036】図1に例示された高速回転式の電動機31
は周知のものであり、電動機31と回転軸25とにわた
るベルト伝動式の伝動系41も周知のものである。電動
機31は、処理容器12に隣接して据付面G1上に設置
された取付台33上に搭載かつ固定されている。伝動系
41は電動機31の出力軸32端に取り付けられた原動
プーリ42と、回転軸25の下端に取り付けられた従動
プーリ43と、両プーリ42・43にわたって掛け回さ
れたベルト(例:Vベルト)44とで構成されている。
【0037】図1において、原材料の供給系51や土質
材料の搬出系52は周知のベルトコンベアからなり、添
加物の供給系53は一例として周知の計量式定量供給ホ
ッパからなる。供給系51は下から上へ傾斜する上り勾
配になっており、その上端がフード16内に挿入されて
いる。したがって供給系51は処理容器12の入口15
に通じている。搬出系52は前記据付面G1よりも低い
据付面G2上に水平状態で設置されており、その一端側
の上部とシュート20の下端とが互いに対応している。
したがって搬出系52はシュート20を介して処理容器
12の出口19に通じている。供給系53は上蓋14に
取り付けられた供給管54を介して処理容器12の上部
に接続されている。
【0038】図1に示されたマイクロ波発生装置61
は、電源(例:電力80〜100kW)62・マグネト
ロン63・アイソレータ64・自動インピーダンス整合
器65・冷却設備66・コントローラ67・導波管68
を介して自動インピーダンス整合器65に接続されたマ
イクロ波照射器69などで構成されたものである。この
ようなマイクロ波発生装置61は公知であったり周知で
あったりする。マイクロ波発生装置61は処理容器12
の近くに配置され、そのマイクロ波照射器69が処理容
器12内の上部に配置される。ちなみにこの種の装置に
おいては、通電線を介して作用空間で発生させたマイク
ロ波とか雑音とかをフィルタケースでシールドしたり、
チョークコイルやコンデンサでマイクロ波の漏洩を防止
したりする技術が確立している。マイクロ波漏洩に関す
るこれら以外の安全対策として、製造機構11・供給系
51・搬出系52・供給系53・マイクロ波発生装置6
1などを含めた設備全体を金網とか多孔金属板(パンチ
メタル)とかで覆ったり、同様のものでコントローラ6
7を局部シールドしたりすることも有効である。また、
図1において、フード16内に吊り下げられている金属
製の簾(多数本のチェーン)70もマイクロ波の漏洩防
止に役立つ。
【0039】本発明おける土質材料用の原材料は、泥・
土・砂・礫・石・岩などのうちから選ばれた一以上のも
のであったり、また、泥を含む二種以上の混合物・土を
含む二種以上の混合物・砂を含む二種以上の混合物・礫
を含む二種以上の混合物・石を含む二種以上の混合物・
岩を含む二種以上の混合物などのうちから選択された一
以上のものであったりする。これらについては天然(自
然)のものであるか人造のものであるかを問わない。か
かる原材料の具体的なものとして、ヘドロ・泥土・粘性
土・砂質土・礫質土・粘性土塊(ロームや浚渫土)・風
化した珊瑚礫混じり土・風化岩(泥岩・凝灰岩・花崗岩
など)・風化岩塊混じり土・玉石(河川・湖沼・海岸な
どでみられるもの)・砕石(市販品)・下水汚泥スラッ
ジ・有機質土・弱溶結堆積物・火砕流堆積土・崖錐土・
建設発生土などをあげることができる。弱溶結堆積物の
一つとして「しらす」と俗称されているものがある。こ
れは主として南九州に広く分布する火砕流堆積物・降下
火砕堆積物・それらの二次堆積物などであって軽石質な
いし火山灰質の白色を帯びたものである。「しらす」は
降雨により斜面崩壊しやすい特殊土の一つでもある。
【0040】本発明における添加物(添加材・添加剤)
は固体・液体・気体などのうちから選択される一以上の
ものである。このような添加物は無機物であったり有機
物であったりする。添加物の具体的なものとして、生石
灰(粉状・塊状)・消石灰(粉状・塊状)・セメント系
固化材(粉状・塊状・液状)・石灰系固化材(粉状・塊
状・液状)・高分子系安定剤(粉状・液状)・土質安定
用ポリマ(粉状・液状)・増粘剤(粉状・液状)・ピー
ト・藁・チップ状生木・農業用肥料(粉状・液状)・貝
殻類(牡蠣殻・帆立貝殻・アコヤ貝殻)・廃棄石炭灰
(粉状・液状)・ベントナイトその他の止水材(粉状・
液状)・廃棄コンクリート塊・短繊維(金属系のもの・
炭素系のもの・石油材料系のもの)・一般廃棄物焼却灰
スラグ・土工用軽量発砲ビーズ・土工用水砕スラグ・分
離防止剤(粉状・液状)・水・海水・空気・酸素・中和
剤・アルカリ性ガス・酸性ガスなどをあげることができ
る。
【0041】図1・図2に例示された製造手段を用いて
土質材料をつくるときは一例として以下のようになる。
【0042】本発明装置を運転状態にするときには、製
造機構11の電動機31やマイクロ波発生装置61をオ
ンにしたり供給系(ホッパ)53をスタンバイさせたり
するとともに、供給系(ベルトコンベア)51や搬出系
(ベルトコンベア)52をもオンにしたりする。このと
き製造機構11の処理容器12内では、伝動系41を介
して電動機31の回転を伝達された回転軸25が高速回
転するために、自重で垂れ下がっていた各フレキシブル
剛体27が遠心力により水平浮揚して高速回転する。ま
た、マイクロ波発生装置61のマイクロ波照射器69
は、処理容器12内における各フレキシブル剛体27の
回転している領域に向けてマイクロ波を照射する。
【0043】かかる運転状態において、供給系51を介
して運ばれてくる原材料は入口15より処理容器12内
に投入され、供給系53からの添加物も供給管54を通
じて処理容器12内に投入される。そして原材料や添加
物は、これらが処理容器12内を落下して出口19に至
るまでの間に、多数本かつ多段の高速回転体(各フレキ
シブル剛体27)により強打されて粉砕混合されたり、
マイクロ波を浴びて発熱したりすることになる。とくに
各フレキシブル剛体27については、これが500〜2
000回転/分のようなレベルで高速回転しているか
ら、原材料に対する粉砕能力や原材料と添加物とを均質
に混合する能力がきわめて高い。それにマイクロ波照射
は、これを行わない場合と比べ、原材料や添加物の水分
をより多く蒸発させる。このようにして加工処理された
原材料や添加物は処理容器12内の底部に至った時点で
土質材料になる。かかる土質材料は処理容器12の出口
19からシュート20を通じて搬出系52の上に落ちる
から、搬出系52を介して所定のところまで運ばれる。
なお処理容器12の内壁面に取り付けられた各傾斜フィ
ン21は原材料や添加物を下方へ誘導する。また回転軸
25の下部に取り付けられた各ワイパ29は処理容器1
2の底部に溜まる土質材料を出口19側へ掃き出すよう
になる。
【0044】こうして得られた土質材料は、二回以上、
製造機構11にかけて再処理してもよい。また、得られ
た土質材料と新たな原材料および/または添加物とを混
ぜ合わせてこれらを製造機構11にかけてもよい。
【0045】上記のようにして製造される土質材料は、
原材料・添加物の種類や配合比などを選択することで多
種多様のものに仕上がる。以下に例示するの土質材料は
それらの一部である。風化岩塊を多く含む原材料でつく
られた土質材料は、ロックフィルダムの遮水材料・ゴミ
最終処分場の遮水材料・防水シート層の保護材料など土
木用や建築用のものになる。化学繊維(短繊維)を添加
物として含む原材料でつくられた抗張力性の土質材料
も、河川堤・切土・盛土法面などが流水や雨水で侵食さ
れるのを防止するために用いられるから土木用のものに
なる。チップ化された生木を添加物として含む原材料で
つくられた土質材料は、雑木処理や除根処理に適した植
生土になるから農林用の一つであるといえる。軟弱な高
含水比の粘性土塊とか石礫とかを含むものを原材料と
し、これに生石灰やセメントのような安定材(添加物)
が添加されてつくられた土質材料は、安定した土構造物
を築造する場合に有用なものとなる。貝殻類を含む原材
料をであってこれらを粉砕混合してなる土質材料は土工
用の埋め戻し材になる。ロームや浚渫土のような粘性土
塊を原材料とし、これに生石灰やセメントのような安定
材(添加物)に高分子系安定剤(添加物)が添加されて
つくられた土質材料の場合は、土工用埋め戻し材以外に
排水用のサンドマットとしても利用することができる。
石炭灰を添加物として含む原材料でつくられた土質材料
は土工用の盛り土材になる。廃棄コンクリート塊を粉砕
してなる土質材料は再生砂として有効に活用することが
できる。有機燐・有機質素化合物などを含んだ汚泥を原
材料としてつくられた土質材料は、微生物培養に適する
ほかミミズなどの土中小動物の養殖にも適する。昆虫な
どの孵化に用いる土質材料は適当な水分を含むようにつ
くられる。砂礫質土を主体にしてつくられた土質材料は
養殖場(水底)の敷材や水処理用の濾床材として用いら
れる。農業用の土質材料は肥料(添加物)を含んでつく
られる。以上の土質材料は既述のとおり、強大な打撃エ
ネルギで粉砕されたり混合されたりしてつくられるとい
うほかに、マイクロ波の照射を受けて加熱処理もされて
いるものである。この加熱処理による主たるねらいは土
質材料の水分調整であるが、その際の加熱量をコントロ
ールすることで土質材料中の微生物生存量を加減したり
病害虫を死滅させたりすることが同時に行われる。
【0046】本発明に係る実験例として、製造機構11
を用いて各種の原材料を処理したときの結果を以下に述
べる。
【0047】実験例1:中目砂と粉末粘土とを乾燥重量
比2:1の割合で配合したものであって含水比を10%
に調整した粘土塊を処理容器12内に連続投入しなが
ら、これを500回転/分で高速回転しているフレキシ
ブル剛体25により粉砕混合処理した。実験例1の場合
は、フレキシブル剛体25の回転速度がまだ不足してい
るために粘土塊が予測したほど細かく粉砕されなかっ
た。
【0048】実験例2:フレキシブル剛体25を100
0回転/分の回転数にアップした以外は実験例1と同様
にした。実験例2では粘土塊が5mm程度の粒径のもの
に粉砕された。各粒子とも、中目砂と粉末粘土とがほぼ
均一に混合されていた。
【0049】実験例3:フレキシブル剛体25を126
0回転/分の回転数にアップした以外は実験例1と同様
にした。実験例3では粘土塊に対する粉砕効果が実験例
2のそれをやや上回っていた。
【0050】実験例4:関東ローム(含水比74.5
%、最大粒径200mm程度の土塊)を処理容器12内
に連続投入しつつ、これを1000回転/分で高速回転
しているフレキシブル剛体25により粉砕した。実験例
4の関東ロームは細かく粉砕された。この際の粉砕処理
物には、一部捏ね返しを受けた様子で固粒化しているの
が観察された。なおロームの一部が処理容器12の内壁
面に付着した。
【0051】実験例5:関東ローム(実験例4のものと
同じ)とセメント(湿潤土砂重量に対する添加量2%)
とを処理容器12内に連続投入しながら、これらを10
00回転/分で高速回転しているフレキシブル剛体25
により粉砕混合した。実験例5で得られた粉砕混合物
は、上記と同様に固粒化していたほか、フェノールフタ
レインを散布したときの赤色反応観察から関東ロームと
セメントとの良好な混合性を確認することができた。
【0052】実験例6:処理容器12の内壁面に付着し
た関東ロームを取り除くため、粒径15〜20mmの砕
石(神奈川県津久井産の市販品)を同容器25内に投入
した。フレキシブル剛体25の回転数は前例と同じ10
00回転/分である。実験例6では、フレキシブル剛体
25により強打されて容器内壁面に衝突する砕石が壁面
付着ロームのほとんどを剥落させた。この際の清掃音は
気にならない。
【0053】実験例7:含水比2.6%、最大粒径約2
00mmの乾燥泥岩(静岡県産)を処理容器12内に連
続投入しつつ、これを1000回転/分で高速回転して
いるフレキシブル剛体25により粉砕した。実験例7で
は泥岩が最大粒径30mm以下になり、大部分が粉末状
に粉砕された。そのため粉砕時には粉塵が発生した。
【0054】実験例8:粒径25.6〜37.5mmの
砕石(神奈川県津久井産の市販品)を処理容器12内に
連続投入しつつ、これを1000回転/分で高速回転し
ているフレキシブル剛体25により粉砕した。粉砕時に
は粉塵が発生した。実験例8では、砕石が最大粒径10
mm以下に粉砕されて細粒化し、そのうちの一部が砂状
を呈していた。
【0055】実験例9:含水比29.4%の湿潤状態で
最大粒径約250mmの泥岩(新潟県産)を処理容器1
2内に連続投入しつつ、これを1000回転/分で高速
回転しているフレキシブル剛体25により粉砕した。実
験例9では泥岩が粉末状・粒状・塊状などに粉砕され
た。塊状のものの最大粒径は30mmである。粉塵の発
生はない。
【0056】実験例10:幹径20mm程度の椿(葉付
きの生木)を処理容器12内に投入し、これを1000
回転/分で高速回転しているフレキシブル剛体25によ
り粉砕した。生木は長さ10〜20cm以下の木片にな
り、葉も細かく粉砕された。こうして得られた粉砕物を
上記の条件で再度粉砕したところ、木片がチップ状に細
片化した。
【0057】実験例11:関東ローム(実験例4のもの
と同じ)と粒状化処理剤(湿潤土砂重量に対する添加量
0.1%)とを処理容器12内に投入し、これらを10
00回転/分で高速回転しているフレキシブル剛体25
により粉砕混合したところ、ローム土塊は2〜5mmの
大きさで粒状化した。
【0058】実験例12:粒径26.5〜37.5mm
の玉石(神奈川県相模川河川敷から採取したもの)を処
理容器12内に投入し、これを1000回転/分で高速
回転しているフレキシブル剛体25により粉砕混合し
た。玉石は最大粒径20mm以下に細かく砕け、そのう
ちの一部が砂状になった。
【0059】実験例13:含水比が74.5%で粒径が
20〜30mm程度の関東ローム土塊と粒径1mmの生
石灰(湿潤土砂重量に対する添加量4%)とを処理容器
12内に投入し、これらを1000回転/分で高速回転
しているフレキシブル剛体25で粉砕混合した。ローム
土塊は2〜5mmに細かく砕け、生石灰との混合性もき
わめて良好であった。
【0060】実験例14:含水比62%、粒径20cm
以下の風化岩塊混じり粘性土と湿潤土砂重量に対する添
加量4%の生石灰(実施例13と同じもの)とを処理容
器12内に投入し、これらを1000回転/分で高速回
転しているフレキシブル剛体25により粉砕混合した。
土砂は2〜5mmに細かく砕け、生石灰との混合性もき
わめて良好であった。
【0061】実験例15:処理容器12内において、上
記と同様に高速回転しているフレキシブル剛体25に向
けて水道水を流下させたところ、水道水は霧状になって
排出された。
【0062】実験例16:含水比30%の高含水比の砂
質土を、フレキシブル剛体25が1000回転/分で高
速回転している処理容器12内に投入して処理したとこ
ろ、その含水比が10%にまで低減した。
【0063】上述した各実験例の結果を参照して明らか
なように、本発明における製造機構11は粉砕・混合・
ミスト化などの能力がきわめて高い。したがって製造機
構11は各種仕様の土質材料を製造する上で有用かつ有
益なものである。それに既述のマイクロ波照射は、原材
料および/または添加物からの水分減少を顕著にすると
いうものであるから、含有水分の少ない土質材料を製造
するときにきわめて有利になる。
【0063】本発明に係る土質材料の製造手段(方法・
装置)には以下に述べるような態様のものもある。
【0064】製造機構11として傾斜型のものをあげる
ことができる。傾斜型の製造機構11においては、自明
のとおり、処理容器12や回転軸25が傾斜している。
フレキシブル剛体27としては、鎖または伝動用のチェ
ンベルトに類したものがこれの代表例になるが、多数の
リンク片を屈伸自在に長く連結したもの・単数〜多数
(複数)の打撃部材(例:鉄板・ハンマヘッド・斧な
ど)を可撓性のある金属ワイヤに固着したものも有効で
ある。フレキシブル剛体27は本数や段数が多くなるに
したがい製造機構11を高能力化する。したがって製造
機構11の能力は、回転軸25の周囲に対して、二本〜
多数本(三本以上)のフレキシブル剛体27を一段・二
段・多段(三段以上)などいずれかの態様で取り付ける
ことにより定まる。
【0065】配管系を用いて既述のガス状添加物や液状
添加物を処理容器12内に供給する場合には、それらの
供給管が処理容器12と対応するように配管される。具
体的には供給管の先端が処理容器12の上部に接続され
たり挿入されたりする。固体からなる添加物は、供給系
51を利用して原材料と共に処理容器12内に投入する
こともできる。
【0066】原材料や添加物に対するマイクロ波照射
は、既述のとおり、原材料を砕く前・砕いている時・砕
いた後のうちの一以上の時点で行われる。これらのうち
で、「砕いている時」とは図を参照して述べたケースが
これに該当する。「砕く前」のマイクロ波照射は供給系
51上で行えばよい。これについて添加物が供給系51
により原材料と同時供給される場合には、添加物は原材
料と同時にマイクロ波照射を受けることになる。
【0067】本発明において、原材料や添加物に対する
マイクロ波照射を行わないでこれらを処理する場合に、
マイクロ波照射装置61が省略されることもある。その
ような場合には、処理容器12の上面が開放されていて
よく、その開放された上面から処理容器12内に原材料
等が投入されたりもする。
【0068】本発明において、添加物を用いないで原材
料のみを処理する場合はこれを粉砕するだけとなる。こ
の場合でも、粉砕された原材料相互の撹拌混合は行われ
る。
【0069】図1・図2に例示された土質材料製造手段
(設備)では、原材料や添加物を処理容器12内に投入
したり、フレキシブル剛体27を高速回転させたり、マ
イクロ波を原材料や添加物に照射したり、得られた土質
材料を搬出系52で搬送したりするという一連の処理・
操作・作業を行う。これを具体的に実施するときには、
電気的に動作を開始したり停止したりする上記機器類を
コンピュータ利用の制御盤に接続し、これらの処理・操
作・作業に連続性や連繋性をもたせて自動化する。こう
することにより、土質材料を製造するときの工程管理が
容易になり、併せて省力化を含めた合理化をはかること
ができ、生産性がより向上する。
【0070】
【発明の効果】本発明に係る土質材料の製造方法・製造
装置はつぎのような効果を有する。
【0071】高速回転するフレキシブル剛体の強大な打
撃エネルギを利用して土質材料用の原材料を粉砕するの
で、細かく砕けた高品質の土質材料が得られる。また原
材料に添加物を添加してこれらを打撃処理するときも、
両者が均一ないし均質に混合された高品質の土質材料が
得られる。もちろんフレキシブル剛体は原材料の硬軟に
拘わらずこれを具合よく粉砕処理する。
【0072】重力落下する原材料(または原材料と添加
物)を高速回転中のフレキシブル剛体で打ち叩くだけで
あるから処理速度が速い。したがって高い生産能力や作
業性を確保することができる。
【0073】粉砕能力の高いフレキシブル剛体(高速回
転体)を主体にして土質材料を製造するので、原材料や
添加物の種類をほとんど問わない。これは利用価値がな
いとみなされていたものについても資源化・再資源化・
再利用などを可能にするから、自然破壊に通じるような
新たな資源の採取を抑制すると同時に廃物処理にも貢献
する。これはまた、従来技術で処理困難とされていた粘
土塊や石礫なども粉砕可能にするから、原材料を事前に
篩いにかける煩雑さがなくなり製品の歩留まりも高ま
る。
【0074】原材料・添加物のうちのいずれか一方また
は両方にマイクロ波を照射する場合は、最適含水比の土
質材料を容易に製造する上で有利な処理となる。マイク
ロ波照射は、また、土質材料中の微生物生存量を加減し
たり病害虫を死滅させたりする点でも有効な処理とな
る。
【0075】土木・建築・農林・水産・水処理・小動物
の飼育と養殖・微生物の培養など、各種の分野で用いら
れる土質材料を製造することができる。したがって汎用
性があり適用分野が広い。
【0076】原材料を粉砕したり原材料と添加物とを粉
砕混合したりするための手段は、フレキシブル剛体の取
り付けられた回転軸を処理容器内に配設してこれに電動
機を連結するだけの簡潔構成である。これを稼働させる
場合も電動機を回転させるだけにとどまる。したがって
設備コストやランニングコストを低く抑えることができ
るという経済的なメリットもある。また剛性とフレキシ
ブル性とを兼備したフレキシブル剛体は、原材料をよく
粉砕しつつ自身に加わる過大な衝撃を吸収緩和するとい
う自衛能があるから長期間の使用に耐える。
【0077】必要な手段を一連に連結するだけで処理シ
ステム全体を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法および製造装置の一実施
形態を略示した縦断面図である。
【図2】図1における要部を略示した横断面図である。
【符号の説明】
11 製造機構 12 処理容器 13 上部ケース 15 処理容器の入口 19 処理容器の出口 25 回転軸 27 フレキシブル剛体 31 電動機 41 伝動系 51 原材料の供給系 52 土質材料の搬出系 53 添加物の供給系 54 添加物の供給管 61 マイクロ波照射装置 69 マイクロ波照射器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小幡 博志 東京都港区赤坂4丁目9番9号 日本国土 開発株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐衝撃性を有する処理容器内にあって回転
    軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブ
    ル剛体を高速回転させること、その後、処理容器内に投
    入した土質材料用の原材料を高速回転中の各フレキシブ
    ル剛体で打撃して砕いたり処理容器の内壁面に衝突させ
    て砕いたり原材料相互の衝突により砕いたりして原材料
    を原形サイズよりも小さくすることを特徴とする土質材
    料の製造方法。
  2. 【請求項2】耐衝撃性を有する処理容器内にあって回転
    軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブ
    ル剛体を高速回転させること、その後、処理容器内に投
    入した原材料を高速回転中の各フレキシブル剛体で打撃
    して砕いたり処理容器の内壁面に衝突させて砕いたり原
    材料相互の衝突により砕いたりして原材料をその原形サ
    イズよりも小さくすること、および、原材料を砕く前・
    砕いている時・砕いた後のうちの一以上の時点で原材料
    にマイクロ波を照射してそれを加熱することを特徴とす
    る土質材料の製造方法。
  3. 【請求項3】耐衝撃性を有する処理容器内にあって回転
    軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブ
    ル剛体を高速回転させること、その後、原材料と添加物
    とを処理容器内に投入し、かつ、原材料を高速回転中の
    各フレキシブル剛体により打撃して砕いたり処理容器の
    内壁面に衝突させて砕いたり原材料相互の衝突により砕
    いたりして原材料をその原形サイズよりも小さくするこ
    と、および、原材料を砕くのと同期して原材料と添加物
    とをフレキシブル剛体で混合することを特徴とする土質
    材料の製造方法。
  4. 【請求項4】耐衝撃性を有する処理容器内にあって回転
    軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキシブ
    ル剛体を高速回転させること、その後、原材料と添加物
    とを処理容器内に投入し、かつ、原材料を高速回転中の
    各フレキシブル剛体により打撃して砕いたり処理容器の
    内壁面に衝突させて砕いたり原材料相互の衝突により砕
    いたりして原材料をその原形サイズよりも小さくするこ
    と、および、原材料を砕くのと同期して原材料と添加物
    とを高速回転中の各フレキシブル剛体で混合すること、
    および、原材料を砕く前・砕いている時・砕いた後のう
    ちの一以上の時点で原材料・添加物のうちのいずれか一
    方または両方にマイクロ波を照射してそれを加熱するこ
    とを特徴とする土質材料の製造方法。
  5. 【請求項5】縦型かつ筒状の処理容器内にあって垂直な
    回転軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフレキ
    シブル剛体を高速回転状態にする請求項1〜4いずれか
    に記載の土質材料の製造方法。
  6. 【請求項6】傾斜型かつ筒状の処理容器内にあって傾斜
    した回転軸の周囲に取り付けられている複数本の長いフ
    レキシブル剛体を高速回転状態にする請求項1〜4いず
    れかに記載の土質材料の製造方法。
  7. 【請求項7】フレキシブル剛体を500〜2000回転
    /分の範囲内で回転させる請求項1〜6いずれかに記載
    の土質材料の製造方法。
  8. 【請求項8】土質材料用の原材料が、天然および/また
    は人造の泥・天然および/または人造の土・天然および
    /または人造の砂・天然および/または人造の礫・天然
    および/または人造の石・天然および/または人造の岩
    などのうちから選択された一以上のものである請求項1
    〜4いずれかに記載の土質材料の製造方法。
  9. 【請求項9】土質材料用の原材料が、天然および/また
    は人造の泥を含む二種以上の混合物・天然および/また
    は人造の土を含む二種以上の混合物・天然および/また
    は人造の砂を含む二種以上の混合物・天然および/また
    は人造の礫を含む二種以上の混合物・天然および/また
    は人造の石を含む二種以上の混合物・天然および/また
    は人造の岩を含む二種以上の混合物などのうちから選択
    された一以上のものである請求項1〜4いずれかに記載
    の土質材料の製造方法。
  10. 【請求項10】添加物が、固体および/または液体およ
    び/または気体からなる請求項1〜4いずれかに記載の
    土質材料の製造方法。
  11. 【請求項11】添加物が、無機物および/または有機物
    からなる請求項1〜4いずれかに記載の土質材料の製造
    方法。
  12. 【請求項12】上部に入口を有していたり下部に出口を
    有していたりするものであって耐衝撃性のある縦型かつ
    筒状の処理容器と、処理容器内の中心領域に配置されて
    上下方向に沿う回転軸と、回転軸の周囲に一段以上の放
    射状に取り付けられた複数本の長いフレキシブル剛体
    と、回転軸に連結された回転駆動系の機械とで構成され
    ていることを特徴とする土質材料の製造装置。
  13. 【請求項13】上部に入口を有していたり下部に出口を
    有していたりするものであって耐衝撃性のある傾斜型か
    つ筒状の処理容器と、処理容器内の中心領域に配置され
    て傾斜している回転軸と、回転軸の周囲に一段以上の放
    射状に取り付けられた複数本の長いフレキシブル剛体
    と、回転軸に連結された回転駆動系の機械とで構成され
    ていることを特徴とする土質材料の製造装置。
  14. 【請求項14】マイクロ波発生装置におけるマイクロ波
    照射器が処理容器内に配置されている請求項12または
    13記載の土質材料の製造装置。
  15. 【請求項15】傾斜フィンが処理容器の内周面から斜め
    下方に向けて突出している請求項12または13記載の
    土質材料の製造装置。
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