JP3818576B2 - 緑化基盤材の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緑化基盤材の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
法面を緑化する工法として、従来から、法枠を設置した法面に対して、バーク堆肥やピートモス等の人工の有機客土と種子とを混合してなる緑化基盤材をエアー搬送して吹き付ける工法やベルトコンベアにより搬送して撒き出す工法が知られている。そして、近年においては、法枠の隠蔽による景観性の向上や樹林化によるCO2の削減を目的として、緑化基盤層を厚く形成する傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の緑化基盤材は主材たる人工有機客土が高価であるためコストがかかるという問題があった。また、コストを下げるために土類を使用すると成分が均一にならず、また土類は水分を多く含む場合があるため、緑化基盤材に粘性が生じる原因となり、特に、エアー搬送して吹き付ける工法による場合は、エアー搬送用のホース内で脈動や閉塞が生じ搬送性に劣るという問題があった。そして、これらの問題は、緑化基盤層を厚く形成するために緑化基盤材を大量に使用し搬送する必要がある近年においては、より大きなものとなっている。
【0004】
そこで、本発明の主たる課題は、原料コストが低減されながら成分が均一化された緑化基盤材を製造することのできる緑化基盤材の製造装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
土類と、少なくとも有機繊維性材料を含む基盤構成材料とを含む緑化基盤材の製造装置であって、
供給された土類から所定粒径以下の土類を選別する土類選別装置と、
この装置からの選別土類を、搬送しつつその過程において供給された前記基盤構成材料と混合する攪拌搬送装置と、
この装置に前記基盤構成材料を供給する少なくとも有機繊維性材料供給装置を含む2種以上の供給装置とを有し、
この2種以上の供給装置が、前記攪拌搬送装置の搬送方向において異なる位置に配置されたことを特徴とする緑化基盤材の製造装置。
【0006】
<請求項2記載の発明>
供給された土類が粘性土である場合に選別前の前記粘性土に粘性土改質剤を供給する粘性土改質剤供給装置が備えられた請求項1記載の緑化基盤材の製造装置。
【0007】
<請求項3記載の発明>
攪拌搬送装置に供給される前の選別土類に対して、又は前記攪拌搬送装置に供給された後基盤構成材料と混合される前の選別土類に対して、吸収性材料を供給する吸収性材料供給装置が備えられた請求項1又は請求項2記載の緑化基盤材の製造装置。
【0008】
<請求項4記載の発明>
2種以上の供給装置として、植物生育助材供給装置及び短繊維供給装置が備えられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
【0009】
<請求項5記載の発明>
攪拌搬送装置がリボンスクリューコンベヤである請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
【0010】
<請求項6記載の発明>
供給された土類を選別するに先立って、前記土類を解砕する土類解砕装置が備えられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本形態に係る法面緑化工法は、粘性土、砂質土、山砂、マサ土等の土類を利用することにより原料コストの低減を図るものである。かかる土類として市販品のものを使用することもできるが、本実施の形態においては、特に、土木工事に際して発生した残土や施工対象となる法面を成形・加工するに際して発生した現地発生土、あるいは下水汚泥、コンクリート殻などの廃棄土を使用し一層原料コストの低減を図る。
【0012】
図1に本実施の形態に係る法面緑化工法のフロー図を、図2及び図3にその際に使用する装置の配置図を示した。本実施の形態は、供給された土類から所定粒径以下の土類を選別する土類選別工程と、この工程で得られた選別土類と各種基盤構成材料とを混合し緑化基盤材を得る緑化基盤材生成工程と、緑化基盤材を法面まで搬送して施工する搬送・施工工程とに主に分かれる。
【0013】
<土類選別工程>
土類選別工程においては、図4〜図7に示すように、供給された土類から所定粒径以下の土類を選別する土類選別装置としてのトロンメル30が備えられる他、このトロンメル30内に土類を搬送するベルトフィーダ10、このベルトフィーダ10による搬送の途中において土類を解砕する土類解砕装置20、トロンメル30によって得られた選別土類を撹拌するアジテータ40,40及びこのアジテータ40,40によって撹拌された選別土類を次の緑化基盤材生成工程に定量搬送するスラットコンベヤ50が備えられる。
【0014】
(ベルトフィーダ)
ベルトフィーダ10は、土類を投入するためのホッパー11と、一端がこのホッパー11の下方に位置し他端がトロンメル30内に位置するように備えられたベルトコンベヤ12とで主に構成される。ホッパー11の上部は、図6に示すように、土類の投入を容易にするために土類を投入する側が低い傾斜した形態となっている。また、本実施の形態においては、土類として大きな石などが含まれうる廃棄土を利用するので、かかる傾斜面に大きな石などの投入を防止するためのスリット13を備え、スリット13の間を通らない大きな石などはスリット13上を転がり外部に廃棄されるようにしてある。ホッパー11に投入された土類は、ベルトコンベヤ12を構成するベルト12Bの上に落ちトロンメル30まで搬送される。本実施の形態において、ベルト12Bはプーリ12P,12P(搬送方向前方側のプーリ12Pはモーター12Mにより回転させられるスプロケット12Sと連動して回転する。)を両端として紙面時計回りに回転する。なお、12Hは、土類を投入する際や装置の運転状況を上部から確認する際に使用するはしごである。
【0015】
(土類解砕装置)
土類解砕装置20は、図8及び図9に示すように、モーター20M(図4参照)と連動して回転するスプロケット21により土類の搬送方向と直交する方向を軸心として例えば100回転/分で回転させられる取り付け軸22と、この取り付け軸22に取り付けられた解砕羽根23,23…(本実施の形態においては、軸方向に4箇所、各箇所において軸回りに2枚の計8枚が取り付けられているが、これに限る趣旨ではなくベルトコンベヤ12の幅などにあわせて適宜修正することができる。)と、解砕羽根23,23…を覆うカバープレート24とを主に有し、ベルトコンベヤ12のホッパー11と隣接する位置にボルト20V,20V…によって固定されている。解砕羽根23,23…は、図4中に拡大して示すように、その先端部がベルト12B上の土類Hと接触し、かつこの接触部が土類の搬送方向と同方向に移動するように回転(紙面反時計回りに回転)する構成となっている。解砕羽根23,23…によって、土類H中の小石などははじかれ、塊状の土類Hは解砕される。
【0016】
(トロンメル)
トロンメル30は、図4及び図7に示すように、周面が網の筒状に形成されており、ベルトコンベヤ12による土類の投入口よりも先端側が若干下方となる方向を軸心にモーター30Mを駆動源として回転する。したがって、ベルトコンベヤ12によってトロンメル30内に投入された土類は、粒径が小さいものは網から下方こぼれ落ちて粒径が所定長以下とされた選別土類を構成し、粒径が大きいものはトロンメル30内を先端側に転がり先端部に設けられた廃棄口31から外部に廃棄されるというように選別される。後に生成される緑化基盤材の成分を均一化するためには、周面の網を25mm目とするのが好ましい。
【0017】
(アジテータ)
アジテータ40,40は、図4〜図7に示すように、ベルトコンベヤ12の搬送方向を軸心とする筒状に形成されており、内部に軸材41,41周りに取り付けられた撹拌羽根42,42…が備えられている。軸材41,41は、モーター40Mと連動して回転するスプロケット43,43により回転させられる。アジテータ40,40は、トロンメル30の下方に2本並列して備えられ、トロンメル30によって得られた選別土類を受けて撹拌羽根42,42…によって撹拌し、撹拌した選別土類をその先端部底面と連通された共通の排出口44から排出する。
【0018】
(スラットコンベヤ)
スラットコンベヤ50は、図10及び図11に示すように、アジテータ40,40の排出口44と連結された投入口51と、この投入口51から投入された選別土類を搬送するための図示しないスラットが備わるチェーン50Cと、このチェーン50Cを覆うケース52と、選別土類を排出する排出口53と、吸水性材料の投入口54とを主に有する。チェーン50Cは、両端がスプロケット50S,50S周りに掛けられ、かつ後端側が水平で中間部より若干後端側から先端部にかけて上方に傾斜した形態とされている。先端部に備えられたスプロケット50Sは、スラットコンベヤ50先端部に並列して設けられたモーターケース50MC内のモーター50Mを駆動源として紙面時計回りに回転し、これと連動してチェーン50Cが回転させられる。スラットコンベヤ50の先端側両側部には、地盤に接地する2本の支持脚55,55及びアジテータ40,40の先端部と連結された2本の支持材56,56が備えられている。
【0019】
(その他)
ところで、先述したように、本発明においては、土類として粘性土などをも使用することができるが、粘性土の場合はトロンメル30による選別が好適になされないおそれがある。そこで、かかる場合は、トロンメル30による選別前の土類に吸水ポリマー、凝集剤、固化材(セメント等)などの粘性土改質剤を供給する粘性土改質剤供給装置を、例えば、土類解砕装置20とトロンメル30との間に備えるのが好ましい。これにより、粘性土の造粒化が誘発されトロンメル30による粒度調整を好適に行うことができるようになる。つまり、例えば、吸水ポリマーを供給した場合であれば、粘性土中の水分が部分的に奪われることによって残留した水分を要因とする凝集力により粘性土の造粒化が誘発され、凝集剤やセメントを供給した場合であれば、これらを要因とする凝集力により粘性土の造粒化が誘発される。したがって、粘性土改質剤は、粘性土が凝集するための助剤(凝集助剤)としての作用を有することになる。
【0020】
なお、この粘性土改質剤供給装置は、例えば後述する吸水性材料供給装置60と同様の構成とすることができる。
【0021】
<緑化基盤材生成工程>
本発明は、以上のようにして得られた選別土類と、少なくとも有機繊維性材料を含む2種以上の基盤構成材料とを混合して緑化基盤材を得るものであるところ、本実施の形態では、その1例として、2種以上の基盤構成材料が有機繊維性材料の他、植物生育助材、短繊維、接合剤及び種子である場合について説明する。
【0022】
緑化基盤材生成工程においては、図1〜図3に示すように、選別土類に吸水性ポリマー等の吸水性材料を供給する吸水性材料供給装置60と、これによる選別土類を、搬送しつつその過程において供給された基盤構成材料と混合する攪拌搬送装置としてのリボンスクリューコンベヤ120と、このリボンスクリューコンベヤ120に対して、下水コンポスト(脱水ケーキを粉末状にしたものであり、養分としての作用を有する。)やゼオライト、バーミキュライト(養分の保持作用を有する。)などの植物生育助材の他、石炭灰(銅スラグ、鉄スラグ、フライアッシュ、高炉スラグ等)、火山灰類などの吸水補助材料(なお、吸水補助材料は、本発明において必須の成分とされるものではない。)を供給する植物生育助材供給装置70、バーク堆肥、ハイウェイバーク堆肥、ピートモス、生チップ(抜根、伐採木、剪定枝等で堆肥化の進んでいないもの。)等の有機繊維性材料の他、パーライト等の吸水性材料、コンクリート粉砕物やアスファルト粉砕物等の緑化基盤材中に適度な空隙を形成するための空隙形成材料(なお、吸水性材料及び空隙形成材料は、本発明において必須の成分とされるものではない。)を供給する有機繊維性材料供給装置80、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、PET、カーボン、アラミド等からなる短繊維を供給する短繊維供給装置90、EVA系接合剤、酢ビ系接合剤、アクリル系接合剤等の接合剤(エマルジョンでもよいが、パウダー状の方が好ましい。)を供給する接合剤供給装置100及び種子を供給する種子供給装置110とが備えられる。
【0023】
そして、植物生育助材供給装置70、有機繊維性材料供給装置80、短繊維供給装置90、接合剤供給装置100及び種子供給装置110は、リボンスクリューコンベヤ120の上方に、その搬送基端から搬送先端にかけて順に配置される状態に取り付け枠1に取り付けられている。各種基盤構成材料に応じた供給装置(70、80、90、100及び110)を使用することで材料の特質に応じた前処理が可能になり、また、供給装置(70、80、90、100及び110)をリボンスクリューコンベヤ120の搬送方向において異なる位置に配置することで選別土類との混合特質や混合量などに応じた混合が可能になる。したがって、緑化基盤材の成分を均一とするのに大変好適である。なお、本実施の形態において、選別土類、下水コンポスト及び有機繊維性材料は、例えば、それぞれ5〜70容量%、5〜30容量%、30〜90容量%とすることができる。
【0024】
(吸水性材料供給装置)
吸水性材料供給装置60は、図12〜図14に示すように、吸水性材料を貯留する上側が筒状、下側が円錐状のタンク61と、その上部にゴムパッキン62を介してボルト63V,63V…によって固定されたタンク蓋板63と、タンク61の周面に備えられたタンク61自体を取り付け枠1に取り付けるための支持材64と、タンク61の下端にボルト65V,65V…によって取り付けられスラットコンベヤ50の吸水性材料投入口54と連通される吸水性材料を排出するための排出口65とを主に有する。
【0025】
タンク蓋板63には、軸材66Gによって軸支され、この軸材66Gの備わる端部と反対側の端部に握持部66Aが備えられた吸水性材料投入口67をゴムパッキン66Pを介して覆う投入蓋板66が備わっており、この投入蓋板66は、握持部66Aの両側方部をスライドレバー66SR,66SRの備わるスライドピン66SP,66SPによって押え付けられている。吸水性材料を投入するに際しては、スライドレバー66SR,66SRを操作してスライドピン66SP,66SPを投入蓋板66の外方にスライドして押え付けを外し、握持部66Aを引き上げ吸水性材料投入口67を露出させる。
【0026】
排出口65には、モーターカバー65MC内に収められたモーター65Mによって回転させられるローター65Rが備わっており、ローター65Rによって吸水性材料の排出速度が制御される構成となっている。本実施の形態において、リボンスクリューコンベヤ120に供給される前の選別土類に対して吸水性材料が供給される形態としているのは、水分を多く含んだ選別土類がリボンスクリューコンベヤ120内で他の材料と撹拌混合されると粘性をおびて団塊状となり、後に生成される緑化基盤材のエアー搬送性が低下することによる。したがって、リボンスクリューコンベヤ120に供給された後他の材料と混合される前の選別土類に対して吸水性材料が供給される形態とするのも好ましい形態といえる。
【0027】
なお、65RBはローター65Rのベアリングであり、65RCはベアリングカバーである。また、68はエアー供給口であり、このエアー供給口68にはワイヤーバンド68Bによってエアースクリーン68Sが取り付けられ、その上から蝶ボルト68CV,68CV…で固定された握持部68Aを有するエアードレインキャップ68Dで覆われている。
【0028】
(植物生育助材供給装置)
植物生育助材供給装置70は、図15及び図16に示すように、植物生育助材を貯留するタンク71と、その上端にボルト72V,72V…によって固定されたタンク蓋板72と、タンク71の側面に備えられた植物生育助材供給装置70自体を取り付け枠1に取り付けるための支持材73,73と、タンク71の下端にボルト74V,74V…によって取り付けられた植物生育助材を排出するための排出口74とを主に有する。
【0029】
タンク71は、リボンスクリューコンベヤ120の長手方向と直交する方向を軸とする上端が平坦とされた筒状体となっており、内部にタンク71の周回り方向にかつ一端から他端にかけてタンク71の軸方向にわたる円弧状の撹拌羽根75,75が備えられている。撹拌羽根75,75は、一端部、他端部及び中間部がそれぞれ支持材76,76…によって支持されており、この支持材76,76…は、モーター70M(図2参照)と連動して回転するスプロケット78によってタンク71の軸方向を軸心として回転させられる軸材77に取り付けられている。
【0030】
タンク蓋板72には、軸材78Gによって軸支され、この軸材78Gの備わる端部と反対側の端部に握持部78Aが備えられた植物生育助材投入口71Tを覆う投入蓋板78が備わっている。植物生育助材を投入するに際しては、握持部78Aを引き上げ植物生育助材投入口71Tを露出させる。
【0031】
排出口74には、モーターカバー74MC内に収められたモーター74Mによって回転させられるローター74Rが備わっており、ローター74Rの作用によって植物生育助材が定量排出される構成となっている。
【0032】
(有機繊維性材料供給装置)
有機繊維性材料供給装置80は、図17〜図20に示すように、有機繊維性材料、吸水性材料、空隙形成材料などを収容するタンク81と、タンク81側面に備えられた有機繊維性材料供給装置80自体を取り付け枠1に取り付けるための支持材82,82と、タンク81の下端に備えられた有機繊維性材料などの排出量を制御するためのスクリューコンベヤ83と、このスクリューコンベヤ83の中央部の下方に備えられた有機繊維性材料などを排出するための排出口84とを主に有する。
【0033】
タンク81は、リボンスクリューコンベヤ120の長手方向を軸とする上端が平坦とされた筒状体を2つ並列させた形状となっており、上端は一体的な開口部81Tとなっている。また、タンク81の内部には各筒状体ごとにモーター80M(図2参照)と連動して回転するスプロケット85,85によってタンク軸方向を軸心として回転させられる軸材86,86が通っており、この軸材86,86には、各筒状体の周回り方向にかつ一端から他端にかけて各筒状体の軸方向にわたる円弧状の撹拌羽根87,87…が、両端部を支持材88,88…によって支持された状態で取り付けられている。有機繊維性材料などの撹拌を2軸で行うのは、有機繊維性材料などは緑化基盤材料の約60質量%を占めるため、1軸とすると投入口が高くなり投入が不便になるからである。
【0034】
タンク81の下端には、スクリューコンベヤ83の上端全域と連通する方形の連通口81Aが形成されている。スクリューコンベヤ83は、タンク81の軸方向と直交する方向を軸とする筒状に形成されており、内部にモーター83M(図2参照)と連動して回転するスプロケット83Sによって回転させられる1本の軸材83G回りに取り付けられたスクリュー83C,83Cが備えられている。このスクリュー83C,83Cは、それぞれ連通口81Aから供給された材料を軸中央に向かって搬送する形態に取り付けられている。
【0035】
スクリューコンベヤ83の中央部下側には、排出口84の上端全域と連通する方形の連通口83Aが形成されている。排出口84内には解砕羽根84K,84Kが備えられており、この解砕羽根84K,84Kはモーター83Mと連動して回転するスプロケット84Sによって回転させられるスクリューコンベヤ83の軸方向を軸心とする軸材84Gの周回りに取り付けられており、撹拌羽根87,87…による攪拌によって粘性が生じた各種材料を解砕する。
【0036】
(短繊維供給装置)
短繊維供給装置90は、図21〜図24に示すように、短繊維を収用するタンク91と、タンク91の側面に備えられた短繊維供給装置90自体を取り付け枠1に取り付けるための支持材92と、タンク91の下端に備えられた短繊維を排出するための排出口93とを主に有する。
【0037】
タンク91は、リボンスクリューコンベヤ120の長手方向と直交する方向を軸とする上端が平坦とされた筒状体となっており、上端は短繊維を投入するための開口部91Tとされている。タンク91の内部にはタンク91の軸方向を軸心とし、かつ相互に反対方向に回転する2本の軸材94A,94Bが並列して備えられており(図21において、軸材94Aは紙面時計回りに、軸材94Bは紙面半時計回りに回転する。)、この軸材94A,94Bには、軸方向に間隔をおいて板状の押し付け羽根95,95…が取り付けられている。押し付け羽根95,95…は、図21に示すように、周方向に向かって尖った形状となっており、軸材94A,94B間の短繊維を下方に押し付ける役目を果たしている。この押し付けによる短繊維に対する圧密が大きすぎないようにするためには、2軸それぞれの押し付け羽根95,95…が同時に中央方向に向くことのないように押し付け羽根95,95…を回転させるのが好ましい。なお、軸材94Aは、タンク91の側面に取り付けられたモーター90Mによって回転させられ、軸材94Bは軸材94Aのモーター90Mが備わる端部と反対側の端部に備えられたギアー94AGと噛み合うギアー94BGによって回転させられる。押し付け羽根95,95…の下方となるタンク91の底部は、押し付け羽根95,95…の存在位置に対応する部位が開口部91C,91C…となるスリット状に形成されている。
【0038】
排出口93には、タンク91の軸方向を軸心とする中空の軸材93Gが備えられており、この軸材93Gの軸方向にかけて開口部91C,91C…と対応する位置に軸回りに螺旋状に掻き出し羽根93K,93K…が取り付けられている。この掻き出し羽根93K,93K…は、ギアー94AGの外方に備えられたスプロケット94Sと連動して回転するスプロケット93Sによって回転させられ、上側に位置した場合においては、開口部91C,91C…より上方まで延在する構成となっている。したがって、押し付け羽根95,95…によってタンク91の下端に送られた短繊維は、掻き出し羽根93K,93K…によってある程度の定量性をもって下方に掻き出されることになる。軸材93Gには、軸周りに螺旋状にエアー吹き出し孔93A,93A…が形成されており、軸材93G内部のエアーが吹き出されるようになっている。このエアーにより押し付け羽根95,95…によって団塊状となった短繊維が解砕される。
【0039】
(接合剤供給装置及び種子供給装置)
接合剤供給装置100及び種子供給装置110は、図25〜図27に示すように、内部は隔離されているものの外形的には一体化されており、接合剤又は種子を貯留する上側が断面略方形、下側が角錐形のタンク101又は111と、その上部にゴムパッキン102Pを介してボルト102V,102V…により固定された1枚のタンク蓋板102と、タンク101及び111の側面に備えられた接合剤供給装置100及び種子供給装置110自体を取り付け枠1に取り付けるための支持材103,103…と、タンク101又は111の下端にボルト104V,104…又は114V,114V…によって取り付けられた接合剤又は種子を排出するための排出口104又は114とを主に有する。
【0040】
タンク蓋板102には、シャフト105G又は115Gによって軸支され、このシャフト105G又は115Gの備わる端部と反対側の端部に握持部105A又は115Aが備えられた接合剤投入口又は種子投入口を覆う投入蓋板105又は115が備えられており、この投入蓋板105又は115は、握持部105A又は115Aの両側方部が六角ボルト105V,105V又は115V,115V及びアイナット105I,105I又は115I,115Iで着脱可能に固定された留め板105T,105T又は115T,115Tによって押え付けられている。接合剤又は種子を投入するに際しては、六角ボルト105V,105V又は115V,115Vを外してアイナット105I,105I又は115I,115I及び留め板105T,105T又は115T,115Tを外し、握持部105A又は115Aを引き上げ接合剤投入口又は種子投入口を露出させる。
【0041】
排出口104又は114には、モーターカバー104MC又は114MC内に収められたモーター104M又は114Mによって回転させられるローター104R又は114Rが備わっており、ローター104R又は114Rの作用によって接合剤又は種子の排出速度が制御される構成となっている。
【0042】
なお、104B(114B)はローター104R(114R)のベアリングであり、104BC(114BC)はベアリングカバーである。また、109は、エアー供給口であり、このエアー供給口109にはワイヤーバンド109Bによってエアースクリーン109Sが取り付けられ、その上から蝶ボルト109C,109C…で固定された握持部109Aを有するエアードレインキャップ109Dで覆われている。
【0043】
(リボンスクリューコンベヤ)
リボンスクリューコンベヤ120は、図28〜図31に示すように、基端部から先端部にかけて上方に傾斜して、たとえば、5度傾斜して備えられた筒状の容器本体121と、この容器本体の軸方向に通されたモーター120Mと連動して回転するスプロケット120Sにより回転させられる軸材121G周りに取り付けられたリボンスクリュー122と、選別土類が供給される供給口123、植物生育助材が供給される供給口124、有機繊維性材料などが供給される供給口125、短繊維が供給される供給口126、接合剤が供給される供給口127、種子が供給される供給口128及び選別土類と各種基盤構成材料との混合により生成された緑化基盤材を排出する排出口129を主に有する。なお、リボンスクリューコンベヤ120に各種基盤構成材料を供給するための装置70,80、90,100,110は、図2に示すように、その投入口が同一高さとなるように取り付け枠1に取り付けられ投入の容易化が図られている。なお、1Hは、各種材料を投入する際や装置の運転状況を上部から確認する際に使用するはしごである。
【0044】
<搬送・施工工程>
以上のようにして生成された緑化基盤材は、公知の方法によって搬送・施工することができ、例えば、法面までベルトコンベヤにより搬送して撒き出す工法によることができるが、本実施の形態においては、法面までエアー搬送し吹き付ける工法によった。すなわち、まず、図1及び図2に示すように、緑化基盤材をベルトコンベヤ130によって材料供給部141、図示しないコンプレッサー及び搬送ホース8(図32参照)とが備えられた吹き付け装置140までいったん搬送する。そして、コンプレッサーからのエアーにより、材料供給部141からの緑化基盤材を搬送ホース8によって法面Lまでエアー搬送し、搬送ホース8の先端に設けられたノズル7より吐出する。このノズル7は、例えば、作業員が法面の緑化対象部位に向けて支持することもできるが、本実施の形態では、図32に示すような支持装置5を利用する方法によった。支持装置5は、旋回可能な本体2、この本体2を移動するための移動手段2A、シリンダー3Aによって伏仰自在とされたブーム3及びこのブーム3の先端部に設けられた作業台4とを主に有する。そして、ノズル7は、作業台4にアタッチメント9によって旋回及び伏仰自在に取付けられている。これにより、作業員による作業負担が軽減されるとともに、広範囲にわたる連続的な吹き付けが可能となる。
【0045】
このようにして行う吹き付けは、例えば、法枠を用いる場合においては、当然、従来からの手法として図33の(a)に示すように、法枠Cの上面CAに達しない位置までとすることもできるが、図33の(b)に示すように、法枠Cの上面CAに達する位置までとすることも、さらには、図33の(c)に示すように、法枠Cの上面CAを蔽う位置(図面上は、蔽う量を若干量としたが、当然、適宜、蔽う量を増やすことができる。)までとすることもできる。また、法枠C内に吹き付けた緑化基盤材Rに対して、ユニット苗6,6…を植付け、より一層の緑化を図ることもできる。なお、緑化基盤材中のTは短繊維であり、200は緑化基盤材のずり落ちを防止するために設けたアンカーピンである。
【0046】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る緑化基盤材の製造装置によれば、原料コストが低減されながら、成分が均一化された緑化基盤材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る工法のフロー図である。
【図2】 装置配置図(側面図)である。
【図3】 装置配置図(平面図)である。
【図4】 土類粒度調整工程に備わる装置の配置図(側面図)である。
【図5】 土類粒度調整工程に備わる装置の配置図(平面図)である。
【図6】 土類粒度調整工程に備わる装置の配置図(正面図)である。
【図7】 土類粒度調整工程に備わる装置の配置図(正面図)である。
【図8】 土類解砕装置の側面図である。
【図9】 土類解砕装置の断面図である。
【図10】 スラットコンベヤの側面図である。
【図11】 スラットコンベヤの平面図である。
【図12】 吸収性材料供給装置の側面図である。
【図13】 吸収性材料供給装置の側面図である。
【図14】 吸収性材料供給装置の平面図である。
【図15】 植物生育助材供給装置の側面図である。
【図16】 植物生育助材供給装置の断面図である。
【図17】 有機繊維性材料供給装置の縦断面図である。
【図18】 有機繊維性材料供給装置の縦断面図である。
【図19】 有機繊維性材料供給装置の縦断面図である。
【図20】 有機繊維性材料供給装置の横断面図である。
【図21】 短繊維供給装置の模式図である。
【図22】 短繊維供給装置の側面図である。
【図23】 短繊維供給装置の縦断面図である。
【図24】 短繊維供給装置の横断面図である。
【図25】 接合剤供給装置及び種子供給装置の断面図である。
【図26】 接合剤供給装置及び種子供給装置の断面図である。
【図27】 接合剤供給装置及び種子供給装置の平面図である。
【図28】 リボンスクリューコンベヤの縦断面図である。
【図29】 リボンスクリューコンベヤの縦断面図である。
【図30】 リボンスクリューコンベヤの側面図である。
【図31】 リボンスクリューコンベヤの横断面図である。
【図32】 ノズル支持装置の全体図である。
【図33】 緑化基盤材の吹き付け例である。
【符号の説明】
1…取り付け枠、10…ベルトフィーダ、20…土類解砕装置、30…トロンメル、40…アジテータ、50…スラットコンベヤ、60…吸収性材料供給装置、70…植物生育助材供給装置、80…有機繊維性材料供給装置、90…短繊維供給装置、100…接合剤供給装置、110…種子供給装置、120…リボンスクリューコンベヤ、130…ベルトコンベヤ、140…吹き付け装置、H…土類。
Claims (6)
- 土類と、少なくとも有機繊維性材料を含む基盤構成材料とを含む緑化基盤材の製造装置であって、
供給された土類から所定粒径以下の土類を選別する土類選別装置と、
この装置からの選別土類を、搬送しつつその過程において供給された前記基盤構成材料と混合する攪拌搬送装置と、
この装置に前記基盤構成材料を供給する少なくとも有機繊維性材料供給装置を含む2種以上の供給装置とを有し、
この2種以上の供給装置が、前記攪拌搬送装置の搬送方向において異なる位置に配置されたことを特徴とする緑化基盤材の製造装置。 - 供給された土類が粘性土である場合に選別前の前記粘性土に粘性土改質剤を供給する粘性土改質剤供給装置が備えられた請求項1記載の緑化基盤材の製造装置。
- 攪拌搬送装置に供給される前の選別土類に対して、又は前記攪拌搬送装置に供給された後基盤構成材料と混合される前の選別土類に対して、吸収性材料を供給する吸収性材料供給装置が備えられた請求項1又は請求項2記載の緑化基盤材の製造装置。
- 2種以上の供給装置として、植物生育助材供給装置及び短繊維供給装置が備えられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
- 攪拌搬送装置がリボンスクリューコンベヤである請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
- 供給された土類を選別するに先立って、前記土類を解砕する土類解砕装置が備えられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の緑化基盤材の製造装置。
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