JP5019431B2 - インフルエンザ菌の検出方法、インフルエンザ菌検出用プライマーセット及びインフルエンザ菌検出用キット - Google Patents

インフルエンザ菌の検出方法、インフルエンザ菌検出用プライマーセット及びインフルエンザ菌検出用キット Download PDF

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Description

本発明はインフルエンザ菌の検出方法に関し、特にインフルエンザ菌の検出方法、インフルエンザ菌検出用プライマーセット及びインフルエンザ菌検出用キットに関する。
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae、以下「Haemophilus」については「H.」と略記することもある。)は中耳炎、肺炎、髄膜炎、菌血症の原因菌の一つで、近年様々な耐性菌が出現して問題となっている。
従来、インフルエンザ菌を検出するために、培養による選別と生化学的検査が併用されていたが、培養による選別と生化学的検査の併用した場合には、感染が判明するまでに3日以上を要するのに加え、コロニーをその形状や色の相違などから精確に選別するためには熟練した技術が必要であり、臨床診断及びその後の処置に支障をきたすおそれがあった。
一方、近年においては、特許文献1にも示されるように、PCR(polymerase chain reaction)法を用いた検出方法も採用されている。
PCR法を用いて検出する場合には、インフルエンザ菌に特徴的な遺伝子を標的として増幅反応を行うのが一般的であり、このようなインフルエンザ菌に特徴的な遺伝子として、例えば表層蛋白質であるP6蛋白質をコードするP6蛋白遺伝子が知られている。しかしながら、P6蛋白遺伝子を標的とした場合にも、インフルエンザ菌と同一環境内で共生しかつ遺伝的にも近似したパラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae、以下「H.parainfluenzae」と略記することもある。)との区別は困難であった。また、この場合、ハイブリダイゼーション法を併用することにより特異性を高めることも可能であるが(参照文献1:T.Ueyama,他4名,“High Incidence of Haemophilus influenzae in Nasopharyngeal Secretions and Middle Ear Effusions as Detected by PCR,Journal of Clinical Microbiology”,1995,July,p.1835−1838)、検出するまでに多くの時間や費用を要する。
また、インフルエンザ菌は、莢膜の相違によって莢膜a〜f型及び莢膜のない無莢膜型が存在し、これらの中でも莢膜b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae Type b、以下、「Hib」と記すこともある。)が、特に小児において髄膜炎、喉頭蓋炎、菌血症、肺炎等の深刻な病気をもたらす病原の1つとなっている。このため、日本以外の先進国を中心に、小児に対してHibワクチンの接種が行われているものの、ワクチン接種後にHib感染症を発症する例が報告されており、感染の早期発見という本来の目的に加えて、ワクチン接種後の効果の確認という要請から簡便で感度に優れたHib検出方法が求められている。また、Hibワクチンの接種が行われていない開発途上国におけるHib感染拡大の可能性も報告されており、このような国でも簡便、迅速に行えるHibの検出方法が求められている。
しかし、従来から行われている血清学的型別法は、Hibによっては特徴的な形質の発現が抑制されていることがあり、感染を陰性と誤診断したり、非感染を陽性と誤診断したりしてしまうおそれがあり、あいまいな結果しか提供しなかった。また、非特許文献1に示されるようにPCR法に基づき検出する方法もあるが、この方法はコストや手間、時間を要し、さらにサーマルサイクラーのような特別な設備が必要なため、設備の不十分な病院の検査室や、上記のような開発途上国で手軽に実施するがことできなかった。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、精確、迅速にインフルエンザ菌及び莢膜b型インフルエンザ菌を検出可能なインフルエンザ菌の検出方法、インフルエンザ菌検出用プライマーセット及びインフルエンザ菌検出用キットを提供する。
特開2000−342268号公報 Falla,T.J.,D.W.Crook,L.N.Brophy,D.Maskell,J.S.Kroll,and E.R.Moxon,1994,PCR for capsular typing of Haemophilus influenzae,J.Clin. Microbiol.,32:2382−2386
上記課題を解決するために、本発明者らは、従来のPCR法による増幅反応よりも特異性に優れるLAMP(Loop‐mediated isothermal amplification)法に着目した。これとともに、LAMP法による核酸増幅に用いるLAMPプライマーの配列に、インフルエンザ菌に特徴的なP6蛋白遺伝子配列のうち、さらにパラインフルエンザ菌とも異なる領域を組み込むことで、パラインフルエンザ菌及びその他の菌に対しても優れた特異性を有するインフルエンザ菌の検出方法を開発することに成功した。
すなわち、本発明のインフルエンザ菌の検出方法は、LAMPプライマーセットを用いた核酸増幅反応による核酸増幅の有無に基づいてインフルエンザ菌を検出する方法であって、
前記プライマーセットとして、全てのプライマーが、インフルエンザ菌のP6蛋白遺伝子のうち90番目より下流塩基領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなり、かつ、少なくとも1つのプライマーが、インフルエンザ菌のP6蛋白遺伝子のうち、90番目から183番目、又は、337番目から462番目までの非相同領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなるLAMPプライマーセットを用いることを特徴とする。
なお、インフルエンザ菌RdのP6蛋白遺伝子(GenBankアクセッション番号:NC_000907)の塩基配列を配列表の配列番号12に示す。
ここで、プライマーの設定範囲を90番目より下流塩基領域としたのは、1〜90番目の領域は、配列中に、水素結合力の強いGCの含有率が低いため、プライマーの反応の安定性に劣り、インフルエンザ菌が存在しても検出しない等検出の信頼性に劣るので、検出に用いるプライマーとして適さない。90番より下流塩基領域の中でもより3’末端側の領域が好ましい。
また、全てのプライマーが、インフルエンザ菌のP6蛋白遺伝子のうち90番目より下流塩基領域中の部分塩基配列と同一若しくは実質的に同一な塩基配列、又は、これらと相補的な塩基配列からなり、かつ、90番目から183番目、又は、337番目から462番目までの非相同領域中の部分塩基配列と同一若しくは実質的に同一な塩基配列、又は、これらと相補的な塩基配列としたのは、この領域がインフルエンザ菌に特徴的、特にパラインフルエンザと比べてもインフルエンザ菌に特異的な領域であるためである。なお、これらのうちでも、上記のように3’末端よりの領域の方がGC含有率の高いことから、337番目から462番目までの非相同領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなるプライマーを備えたLAMPプライマーセットを用いることが好ましい。
本発明のインフルエンザ菌の検出方法は、前記LAMPプライマーセットが、以下の(a)〜(r)に示すプライマーを備えたLAMPプライマーセットのいずれかであることを特徴とする。
(a)配列表の配列番号1〜4に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(b)上記(a)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(c)配列番号6〜9に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(d)上記(c)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(e)配列番号7〜9及び配列番号11に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(f)上記(e)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(g)配列番号15〜18に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(h)上記(g)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(i)配列番号20〜23に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(j)上記(i)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(k)配列番号24〜27に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(l)上記(k)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(m)配列番号26及び配列番号28〜30に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(n)上記(m)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(o)配列番号26及び配列番号30〜32に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(p)上記(o)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(q)配列番号33〜36に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(r)上記(q)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
ここで、実質的に同一な塩基配列からなるプライマーは、上記所定の配列番号に記載の塩基配列からなるプライマーと略同様の反応を行い、略同様の作用効果を発揮するプライマーであって、例えば、LAMPプライマーを構成するF3,F2,F1,B1c,B2c,B3cなどの各領域(詳細は後述する。)のP6蛋白遺伝子における対応位置が、上記所定の配列番号の塩基配列からなるLAMPプライマーを構成する各領域と比べ、次のように変わったものが挙げられる。
1)上記領域のP6蛋白遺伝子における対応位置が、1〜2塩基シフトしたもの(例えば、P6蛋白遺伝子の254番目−275番目に設定される領域と、255番目−276番目に設定される領域の関係)。
2)上記領域の5’末端及び3’末端のいずれか一方のP6蛋白遺伝子における対応位置が、1〜2塩基伸縮したもの(例えば、P6蛋白遺伝子における設定位置が254番目−275番目に設定される領域と、255番目−275番目のプライマーに設定される領域の関係)。
3)上記領域の5’末端及び3’末端の双方のP6蛋白遺伝子における対応位置が1塩基ずつ異なる方向に向かって伸びたもの(例えば、P6蛋白遺伝子における設定位置が255番目−275番目に設定される領域と、254番目−276番目に設定される領域の関係)、又は縮んだもの(例えば、P6蛋白遺伝子における設定位置が255番目−275番目に設定される領域と、256番目−274番目に設定される領域の関係)。
4)上記領域の1〜2塩基がP6蛋白遺伝子とは異なる塩基に置換され、又は1〜2塩基が欠失したものも含まれる。
上述のようなLAMPプライマーセットを用いれば、特異性、検出感度に優れる。
前記LAMPプライマーセットは、以下の(s)〜(x)に示すプライマーを備えたLAMPプライマーセットのいずれかであることを特徴とする。
(s)請求の範囲第2項(a)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号5に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(t)請求の範囲第2項(b)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(u)請求の範囲第2項(c)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号10に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(v)請求の範囲第2項(d)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(w)請求の範囲第2項(g)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号19に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(x)請求の範囲第2項(h)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
配列番号5、10及び19に記載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を有するプライマーはいわゆるLoop primerであり、これを用いることで増幅反応速度がより迅速になり、迅速にインフルエンザ菌を検出することができる。
本発明のインフルエンザ菌の検出方法は、プライマーセットを用いた核酸増幅反応による核酸増幅の有無に基づいて莢膜b型インフルエンザ菌を検出する方法であって、前記プライマーセットとして、全てのプライマーが、莢膜b型インフルエンザ菌の莢膜遺伝子座第II領域の1〜6653番目の領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなるLAMPプライマーセットを用いることを特徴とする。
このように、Hibに特徴的な莢膜遺伝子座第II領域を標的とすることで、Hibを他の莢膜型及び無莢膜型のインフルエンザ菌と区別して検出することができる。このとき、6654番目以降の領域を標的とすると、この領域のGC含有率が約25%と低いため、Hibに特異的で、安定した反応を行うLAMPプライマーを得ることは困難である。
本発明のインフルエンザ菌の検出方法のうち、莢膜b型インフルエンザ菌を検出する方法は、前記LAMPプライマーセットとして、全てのプライマーが、前記莢膜遺伝子座第II領域の5000番目〜6653番目の領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなるLAMPプライマーセットを用いることを特徴とする。
本発明のインフルエンザ菌の検出方法のうち、莢膜b型インフルエンザ菌を検出する方法は、前記LAMPプライマーセットが、以下の(A)〜(R)に示すプライマーを備えたLAMPプライマーセットのいずれかであることを特徴とする。
(A)配列表の配列番号43〜46に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(B)上記(A)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(C)配列番号48〜51に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(D)上記(C)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(E)配列番号53〜56に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(F)上記(E)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(G)配列番号58〜61に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(H)上記(G)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(I)配列番号62〜65に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(J)上記(I)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(K)配列番号67〜70に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(L)上記(K)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(M)配列番号71〜74に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(N)上記(M)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(O)配列番号73〜76に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(P)上記(O)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(Q)配列番号73,74,77及び配列番号78に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な各塩基配列からなる4種のプライマー。
(R)上記(Q)に記載の各塩基配列と相補的な各塩基配列からなる4種のプライマー。
本発明のインフルエンザ菌の検出方法のうち、莢膜b型インフルエンザ菌を検出する方法は、前記LAMPプライマーセットが、以下の(S)〜(Z)に示すプライマーを備えたLAMPプライマーセットのいずれかであることを特徴とする。
(S)請求の範囲第6項(A)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号47に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(T)請求の範囲第6項(B)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号47に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(U)請求の範囲第6項(C)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号52に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(V)請求の範囲第6項(D)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号52に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(W)請求の範囲第6項(E)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号57に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(X)請求の範囲第6項(F)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号57に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(Y)請求の範囲第6項(I)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号66に記載の塩基配列と同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
(Z)請求の範囲第6項(J)に記載の4種のプライマー、及び、配列表の配列番号66に記載の塩基配列と相補的な塩基配列に同一又は実質的に同一な塩基配列からなるプライマー。
本発明のインフルエンザ菌検出用プライマーセットは、請求の範囲第1項〜第7項に記載のLAMPプライマーセットのいずれかであることを特徴とする。
本発明のインフルエンザ菌検出用キットは、請求の範囲第1項〜第7項に記載のLAMPプライマーセットを含むことを特徴とする。
実施例1のLAMPプライマーセットのP6蛋白遺伝子における対応位置を説明する図である。 実施例1のLAMPプライマーセットの各プライマーの構成を説明する図である。 実施例2のLAMPプライマーセットのP6蛋白遺伝子における対応位置を説明する図である。 実施例2のLAMPプライマーセットの各プライマーの構成を説明する図である。 LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真である(実施例1)。 LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真である(実施例2)。 実施例1及び実施例3のLAMP反応の濁度変化を示すグラフである。 実施例1のリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 図8の濁度と鋳型DNA量の常用対数の関係を示すグラフである。 第一実施形態の各実施例のプライマーセットを示す表である。 第一実施形態の特異性確認試験の結果を示す表である。 第一実施形態の感度確認試験の結果を示す表である。 第一実施形態の臨床的検出試験の結果である。 実施例11のLAMPプライマーセットのHibの莢膜遺伝子座第II領域における対応位置を説明する図である。 実施例11のLAMPプライマーセットの各プライマーの構成を説明する図である。 第二実施形態の各実施例のプライマーセットを示す表である。 第二実施形態における各莢膜型及び無莢膜型インフルエンザ菌を用いた特異性確認試験の結果を示す表である。 第二実施形態におけるインフルエンザ菌以外の菌を用いた特異性確認試験の結果を示す表である。 LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真である(実施例11)。 第二実施形態における感度試験の結果を示す表である。 実施例11においてLoop Primer設定の効果を説明するグラフである。 実施例11について、莢膜a〜f型及び無莢膜型の各インフルエンザ菌のDNAを鋳型として120分間のLAMP反応を行った結果を示すグラフである。 実施例11のリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。 図23の濁度と鋳型DNA量の常用対数の関係を示すグラフである。 (A)は、実施例1のLAMPプライマーセットの各プライマーの構成を説明する図、(B)は実施例11のLAMPプライマーセットの各プライマーの構成を説明する図である。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[第一実施形態]
本実施形態のインフルエンザ菌の検出方法は、検体中に含まれる核酸を鋳型としてLAMP法による核酸増幅を行い、この増幅産物の有無に基づいて、インフルエンザ菌の存在の有無を判別することで、インフルエンザ菌を検出するものである。
本実施形態の検出方法に用いるLAMPプライマーセットは、インフルエンザ菌に特徴的な表層蛋白質であるP6蛋白質をコードするP6蛋白遺伝子を標的とし、かつ、前記プライマーセットとして、全てのプライマーが、インフルエンザ菌のP6蛋白遺伝子のうち90番目より下流塩基領域中の部分塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からなり、かつ、少なくとも1つのプライマーが、インフルエンザ菌のP6蛋白遺伝子のうち、90番目から183番目、又は、337番目から462番目までの非相同領域中の部分塩基配列と同一若しくは実質的に同一な塩基配列、又は、これらと相補的な塩基配列からなるLAMPプライマーセットである。例えば実施例1〜9に示すようなものがあげられる。
図1及び図2に本実施形態の一例である実施例1のLAMPプライマーセットのP6蛋白遺伝子における対応位置及び各プライマーの構成を、図3及び図4に、本発明の他の一例である実施例2のLAMPプライマーセットのP6蛋白遺伝子における対応位置及び各プライマーの構成を示す。また、図10に、各実施例のプライマーと、この塩基配列を示した配列表の配列番号と、の対応関係を示す。
図1及び図3は、3行又は4行からなる段が8段示されており、各段の「番号」と付された行は塩基の位置を、「プライマー」と付された行はプライマーの位置を示す。また、「(イ)」と付された行は配列表の配列番号12と同様にインフルエンザ菌RdのP6蛋白遺伝子の塩基配列を、「(パ)」と付された行はパラインフルエンザ菌Rivers1922のP6蛋白遺伝子(GenBankアクセッション番号:D28887)の塩基配列を、左側から右側に向かって5’→3’方向となるように示す。また、図1及び図3の「プライマー」行中の矢印はプライマーの5’→3’方向を示す。従って、左矢印で範囲指定した領域は、当該領域に相補的な領域がプライマーとされることを示す。
これらの図に示すように、P6蛋白遺伝子領域のうちでも、90番目から183番目、又は、337番目から462番目までの非相同領域中の部分塩基配列と同一若しくは実質的に同一な塩基配列、又は、これらと相補的な塩基配列がインフルエンザ菌とパラインフルエンザ菌とで異なる塩基が連続する非相同領域となっており、本実施形態ではこの領域の部分塩基配列をより多くプライマーに組み込むことで、プライマーの特異性を優れたものとしている。
LAMPプライマーセットは、標的遺伝子(P6蛋白遺伝子)上の異なる6領域(5’末端側から順にF3,F2,F1,B1c,B2c,B3c)及びこれに相補的な領域(5’末端側から順にB3,B2,B1,F1c,F2c,F3c)、さらにこのF1c及びF2cの間のLF領域を組み合わせて構成される。実施例1及び実施例2のLAMPプライマーセットは、5’末端側からF1c領域及びF2領域を連結してなるForward Inner Primer(以下、「FIP」と略すこともある。)と、5’末端側からB1c領域及びB2領域を連結してなるBackward Inner Primer(以下、「BIP」と略すこともある。)と、F3領域からなるF3プライマーと、B3領域からなるB3プライマーと、LF領域からなるLoop primer Forward(以下、「LF」と略すこともある。)からなっている。このLFは、反応に必須のプライマーではなく反応の速度を向上させるために任意に設定されるプライマーであり、このLFがないプライマーセット(例えば、配列番号1〜4に記載の塩基配列からなる4種のプライマーのみ)を用いることも可能である。なお、プライマーセットの設定位置によっては、LFではなく、図示しないが、B2領域とB1領域の間にLoop primer Backward(以下、「LB」と略すこともある。)が設計されることもある。
このようなLAMPプライマーセットによる増幅のメカニズムは、公知文献1(「ヌクレイック アシッド リサーチ」、2000、Vol.28,No.12,e63)及び公知文献2(K.Nagmine,他2名,“Accelerated reaction by loop−mediated isothermal amplification using loop primers”,Molecular and Cellular Probes,2002,vol.16,p.223−229)に詳細に記述されるが、4種のプライマーに含まれる6領域が設計とおりに働かなければ本発明の合成反応は進行しないので、偶然による非特異的な相補鎖合成に伴う非特異的な増幅反応が効果的に防止され、増幅反応の特異性は高い。
上述のようなインフルエンザ菌検出用のプライマーは、例えば、DNA自動合成機を用いて化学的に合成し、あるいは、天然の核酸を制限酵素などによって切断し他の切断片と結合する等の改変により、調製することができる。
なお、本発明においてプライマーは、前述したような所定の塩基配列を有し、他の塩基と塩基対形成が可能なオリゴヌクレオチドであって、その3’末端において相補鎖合成の基点となる‐OH基を備えるものを意味する。したがって、この条件を満たす限り、そのバックボーンは必ずしもホスホジエステル結合によるものに限定されず、例えばPでなくSをバックボーンとしたホスホチオエート体やペプチド結合に基づくペプチド核酸からなるものであってもよい。また、公知の標識物質によって標識されたものであってもよい。標識物質としては、ジゴキシンやビオチンのような結合性リガンド、酵素、蛍光物質や発光物質、放射性元素などが挙げられる。また、本発明によるプライマーは、例えばDNAチップのようにそれ自身を固相に結合させておくこともできる。固相化プライマーを合成開始点とする場合には、核酸の合成反応生成物が固相に捕捉されることから、分離、検出が容易となる。
LAMPプライマーセットを調製した後、LAMPプライマーセットに加え、鎖置換型の相補鎖合成を行うDNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼの基質となるヌクレオチドを加えることにより、LAMP反応を行わせる。
本発明で用いることができるDNAポリメラーゼは、鎖置換活性を有するものであれば特に限定されない。このような酵素としては、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ、大腸菌DNA ポリメラーゼIのクレノウフラグメント、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、DeepVent(Exo−)DNAポリメラーゼ(DeepVent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)およびKOD DNAポリメラーゼ等が挙げられ、好ましくはBst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)が挙げられる。Bst DNAポリメラーゼを用いる場合は、その反応至適温度である60〜65℃付近で反応を行うのが望ましい。
また、増幅産物の検出には公知の技術が適用できる。例えば前述したような標識オリゴヌクレオチドを用いることで標識物質を検出したり、あるいは、反応終了後の反応液をそのままアガロース電気泳動にかけても容易に検出できる。
さらに、LAMP法による遺伝子増幅は加速度的かつ効率的に行なわれるので、反応液中にあらかじめ二本鎖核酸の分子内に特異的に取り込まれるインターカレーターであるエチジウムブロマイドやSYBR(登録商標) Green I等を添加することにより増幅を確認できる。また、LAMP法では核酸の合成により基質が大量に消費され、副産物であるピロリン酸が、共存するマグネシウムと反応してピロリン酸マグネシウムとなり、肉眼でも確認できる程に白濁する。この白濁を反応終了後の観察、もしくは反応中の濁度の上昇を経時的に光学的に観察できる測定機器、例えば650nmの吸光度の変化を通常の分光光度計を用いて増幅の確認が可能である。
これらのLAMP反応に必要な各種の試薬類は、予めパッケージングしてインフルエンザ菌検出用キットとして供給することができる。具体的には、前記インフルエンザ検出用のLAMPプライマーセット、相補鎖合成の基質となるdNTP、鎖置換型の相補鎖合成を行うDNAポリメラーゼ、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液、さらに必要に応じて合成反応生成物の検出のために必要な試薬類で構成されるキットである。
このように、LAMP法では、酵素活性を維持しうる温度で、等温のままインキュベートするだけで、増幅反応を進行させることが可能である。このため、PCR法のような温度調節のための設備が不要であり低コストかつ簡便に検出を行うことができるとともに、温度変化に伴う時間ロスもないので迅速に検出が可能である。
[第一実施形態の実施例]
以下に実施例を挙げて第一実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(特異性確認試験について)
本実施形態にかかるインフルエンザ菌の検出方法を実施し、本実施形態の検出方法の特異性を確認したので説明する。
(1)染色体DNAの準備
まず、試験に供する各種の菌から染色体DNAを精製し、増幅反応の鋳型となるDNAを準備した。
染色体DNAは、酵母用のDr.GenTLE(登録商標、タカラバイオ株式会社製)を用いて各種の菌体から抽出し、QIAamp(登録商標) DNAミニキット(キアゲン社製)を用いて精製することで得た。抽出及び精製の操作は、添付のマニュアルに従って行った。
本試験では、9種のインフルエンザ菌及び19種のインフルエンザ菌以外の菌(1種のパラインフルエンザ菌を含む)に分類される計28種の菌株から染色体DNAを抽出して用いた。これら28種の菌株を図11に示す。
(2)LAMP反応及びPCR反応について
次に、本実施形態の実施例1〜9及び比較例2,3のLAMPプライマーセット(図10参照)を用いて、(1)で調製した各種の菌由来の染色体DNAを鋳型にLAMP反応を行った。
LAMP反応液(25μl)は、FIP及びBIP各40pmol,F3プライマー及びB3プライマー各5pmol,LFプライマー10pmol,8UのBstDNAポリメラーゼラージフラグメント(New England Biolabs製),デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各1.4mM,ベタイン0.8M,Tris‐HCl緩衝液(pH8.8)20mM,KCl10mM,(NH42SO410mM,MgSO48mM,ツイーン20を0.1%,及び,上記(1)のようにして生成された鋳型DNA溶液2μlを添加して調製した。
そして、このLAMP反応液を、63℃で60分間インキュベートすることでLAMP反応を進行させ、最後に80℃で2分間加温することで反応を終了させた。
また、LAMP法を用いた検出と比較するために、PCR反応も行った(比較例1)。
この際、PCRプライマーセットは、P6蛋白質をコードするP6蛋白遺伝子を標的とする公知のもの(背景技術の項で示した参照文献1に示される)を用いた。その配列を、配列番号13及び14に示す(比較例1)。なお、このプライマーセットのターゲット位置(増幅される領域)は、122番目〜434番目である。
PCR反応液(10μl)は、デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各0.2mM、Tris−HCl緩衝液(pH8.3)10mM,KCl50ml,MgCl22mM,1UのExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製)、フォワードプライマー及びリバースプライマー各0.5μM及び鋳型DNA溶液1μlを加えて調製した。
PCR反応は、サーマルサイクラー(MJ reserch社製)を用いて30サイクル行った。各サイクルでは、95℃30秒間の変性、55℃1分間のアニーリング、72℃2分間の合成を順に行い、最後は72℃2分間の加温を行い反応を終了させた。
(3)増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、反応チューブを直接目視し、LAMP反応液の白濁の有無を観察することで検出した。すなわち、複製配列が存在する場合には反応の副産物として複製配列の量に比例した量のピロリン酸マグネシウムが産生されるのでLAMP反応液が白濁し、一方存在しない場合にはLAMP反応液は透明のままである。
また、LAMP反応による増幅の有無は、増幅産物のアガロースゲル電気泳動によっても確認した。この際、増幅産物そのままのものと、増幅産物を制限酵素TasI(Fermentas社製)により消化したものと、をそれぞれ3%のアガロースゲル中で電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色して泳動パターンを確認した。増幅産物をそのまま電気泳動した場合には、複製配列はLAMP反応に特徴的なラダー状のパターンとして現われる。また、制限酵素により消化したものを電気泳動した場合には、複製配列は実施例1では90bp及び125bp、実施例2では88bp及び99bpの断片として現われる。さらに、BigDye Terminator V3.1 cycle sequencing kit(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンシング反応を行った後、ABI PRISM 377 DNA sequencer(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンシング解析を行うことで、標的部分が増幅されたか否かを確認した。なお、このシークエンシング反応では、実施例1については図1及び図2に示すF2及びB2の配列をプライマーとして用い、実施例2については図3及び図4に示すF2及びB2の配列をプライマーとして用いた。
一方、比較例1におけるPCRによる増幅産物の有無も、増幅産物(2μl)を3%アガロースゲル中に電気泳動することで確認した。
(4)試験結果について
上述の試験結果を図11に示す。結果は、60分間のインキュベーションにより目視によって増幅(白濁)が確認された場合を「+」、60分間のインキュベーション後目視によって増幅が確認できなかった場合を「−」とした。なお、図11中、上付きaは、菌の出所が日本大学歯学部細菌学講座であることを示し、上付きbは、菌の出所が岐阜大学医学部微生物学教室であることを示し、上付きcは、菌の出所が東京大学医科学研究所であることを示す。
この結果、図11にも示すように、実施例1〜9のいずれのLAMPプライマーセットを用いても、インフルエンザ菌を鋳型とした場合には、60分間のインキュベーションにより多量の増幅産物が確認された。対照的に、パラインフルエンザ菌を含めた他の全ての菌種では60分間のインキュベーションを行っても増幅産物は確認されなかった。この結果は、電気泳動の結果とも一致した。図5及び図6に、LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真を示す。両端のレーンMは100bpの間隔を示すためのマーカーを流したレーンであり、レーン1はレーン2の増幅産物をTasIで処理後に泳動したレーン、レーン2は鋳型DNA濃度を106コピーとした場合の増幅産物を泳動したレーン、レーン3は鋳型DNA濃度を0コピーとした場合の増幅産物を泳動したレーンである。レーン2では、増幅産物がラダー状の泳動パターンを示しており、これより増幅産物が反転部分を有し、LAMP反応に特徴的なステム−ループ構造をとっていることが確認される。また、図5のレーン1には実施例1の90bp及び125bp(図6では実施例2の88bp及び99bp)の切断片が現われており、標的となる部分が増幅されていることが確認された。また、増幅産物のシークエンシング解析も行ったが、LAMP反応により増幅された配列は期待した配列と一致した。
一方、PCR法を用いて検出した場合には、インフルエンザ菌が検出されたものの、パラインフルエンザ菌も検出され、それらを区別することができなかった。また、本発明にかかる範囲外のLAMPプライマーセットである比較例2では、インフルエンザ菌及びそれ以外の菌においても検出が確認されなかった。
このことから、本発明に係るインフルエンザ菌の検出方法は、特異性に優れ、パラインフルエンザ菌も区別可能であることが確認された。
(感度確認試験について)
次に、上記実施例及び比較例1〜3のプライマーセットを用いた場合の検出感度を確認したので説明する。
(1)染色体DNAの調製
本試験では、インフルエンザ菌IID984から特異性確認試験と同様にして染色体DNAを精製し、鋳型とした。反応液中の鋳型DNAの濃度(コピー数)は、Ultrospec 3300 Pro spectrophotometer(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用い、分子サイズを1.9Mbpとして定量した。
(2)LAMP法及びPCR法について
上記(1)のように予め定量された鋳型DNA溶液を10倍ずつ希釈して1〜1,000,000倍の溶液を調製し、これをLAMP反応の鋳型DNA溶液として用いることで、検出限界を確認した。なお、LAMP反応液は、鋳型DNA溶液の濃度が異なる以外、鋳型DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量において前記特異性確認試験と同様とした。また、LAMP反応は、63℃で35分間又は60分間インキュベートすることで反応を進行させ、最後に80℃で2分間加温することで反応を終了させた。
また、本発明の検出方法と比較するために、PCR法による増幅、検出も行った(比較例1)。この際LAMP反応で用いたものと同じ鋳型DNA溶液をPCR反応の鋳型DNA溶液として用いることで、検出限界を確認した。PCR反応液は、鋳型DNA溶液の濃度が異なる以外、鋳型DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量において前記特異性確認試験と同様であり、PCR反応の条件も同様とした。
(3)増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、Loopamp(登録商標)リアルタイム濁度測定装置(テラメックス株式会社製、型番LA−200)を用いて濁度を測定し、濁度が0.1以上のときに増幅が生じたと判定した。
また、前記特異性確認試験と同様に、白濁の有無を目視により確認、及び、電気泳動による確認も行った。
また、比較例1におけるPCRによる増幅産物の有無も、増幅産物(2μl)を3%アガロースゲル中に電気泳動することで確認した。
(4)試験結果について
試験結果は、上記のように増幅産物が確認された場合には「+」とし、増幅産物が確認されなかった場合は「−」とした。試験結果を、図12に示す。
図12に示すように、実施例1及び実施例2のLAMPプライマーを用いた検出方法では、LAMP反応を60分間行うことで、鋳型DNA濃度が100コピーの場合にも検出することができ、その他の実施例及びPCRプライマーを用いた比較例1と比べて10倍と、感度に極めて優れることが確認された。一方、比較例2及び比較例3の場合では106コピーでもインフルエンザ菌は検出されなかった。また、図12に示すように、実施例1及び実施例2では、鋳型DNA濃度が103コピーある場合には、35分で検出可能であり、感度及び迅速性に優れることが確認された。
(臨床的な検出について)
実施例1及び比較例1について、臨床的な検出を行ったので説明する。
まず、口腔試料から9つの菌を分離した。その後、分離された9つの菌について、ウマ血液培地で培養しその溶血パターンを確認し、V因子(NAD)及びX因子(ヘミン)要求性を確認するとともに、API 20 NH(bio Merieux社製)を行うことにより、菌種の同定を行った。この結果、図13に示すように、3種のインフルエンザ菌、4種のパラインフルエンザ菌、2種のH.parahaemolyticusが同定された。また、公知文献3の方法により莢膜形成に関連するBex A蛋白遺伝子を標的としたPCRを行うことで、3種のインフルエンザ菌は無夾膜型であることを確認した(公知文献3:van Ketel, R. J., B. de Wever, and L. van Alphen. 1990. Detection of Haemophilus influenzae in cerebrospinal fluids by polymerase chain reaction DNA amplification. J. Med. Microbiol. 33:271−276)。
そして、上記のように単離、同定された各菌の染色体DNAを鋳型とし、鋳型DNA濃度106コピーについて、実施例1及び比較例1のプライマーセットを用いて、LAMP反応及びPCR反応を行った。結果は、LAMP反応は60分間行い、白濁を目視により確認できるものを「+」、できなかった場合を「−」とした。また、PCR反応は、アガロースゲルで電気泳動することにより確認した。
この結果、図13に示すように、実施例1では、インフルエンザ菌のみを検出したのに対し、比較例1では、パラインフルエンザ菌のほか、H.parahaemolyticusについてもポジティブ反応を示した。このことから、実施例1が、臨床的な検出においても、特異性に優れ、検出の信頼性に優れることが確認された。
(リアルタイム濁度測定試験について)
(1)検出の迅速性について
実施例1〜9及び比較例2,3のプライマーセットについて、検出の迅速性を確認する試験を行った。本試験では、鋳型DNA濃度を106コピーとし、各プライマーセットを添加し、LAMP反応液組成及びLAMP反応条件を前述と同様としてLAMP反応を行った。そして、この反応の間、Loopamp(登録商標)リアルタイム濁度測定装置(テラメックス株式会社製)を用いて6秒毎に650nmの吸光度を読み取り、スレッシュホールドタイム(Tt:濁度が0.1を超えるまでの時間)を測定した。
結果を図10に示す。図10に示すように、実施例1及び実施例2は、他の実施例と比べて、スレッシュホールドタイムが格段に短く、極めて迅速にインフルエンザ菌を検出できることが確認された。一方、比較例2は、前記特異性確認試験においても特異性を確認することができなかったが、本試験においてもスレッシュホールドタイムが109分と実施例と比べて格段に遅く、反応が不安定であることが推定される。ターゲット位置(F3プライマー〜B3プライマーの間の領域)が同じ比較例3では、各プライマーの設定位置を変えることでスレッシュホールドタイムを若干改善したものの、実施例とは依然差があり、この範囲で安定かつ迅速な反応が可能なLAMPプライマーを得るのは困難であった。
(2)定量性について
次に、特異性、感度、迅速性に優れた実施例1について、次のような試験を行った。まず、反応チューブ1本当たりの鋳型DNAコピー数を0〜106に調製し、実施例1のLAMPプライマーセットをそれぞれ添加した。そして、LAMP反応液組成及びLAMP反応条件を前述と同様としてLAMP反応を行った。この反応の間、上記リアルタイム濁度測定装置を用いて6秒毎に650nmの吸光度を読み取った。
結果は、図8に示すように、鋳型DNAのコピー数が100コピー以上であれば、60分以内に濁度が0.1以上になることが確認され、この結果は前記感度試験における目視及び電気泳動による増幅の有無の判別結果と一致した。また、最初に用いた鋳型DNA量の増加に伴い、スレッシュホールドタイムが短くなることが確認された。
図9には、実施例1の場合のスレッシュホールドタイムと当初の鋳型DNA量の常用対数の関係を示す。これらの間には線形性が認められ、相関係数r2=0.978と高い相関を示した。これは、2004年森らが示すように、インフルエンザ菌由来のDNAの初濃度が未知の場合に、その存在の有無のみでなくその濃度を定量可能であることを意味する(Mori,Y.,他3名,”Real‐time turbidimetry of LAMP reaction for quantifying template DNA”,J.Biochem.Biophys.Methods,vol.59,p.145−157)。すなわち、例えば、濃度未知のサンプルについても、希釈倍率の異なる希釈液を調製し、各希釈液を用いてLAMP反応を行った場合のスレッシュホールドタイムを測定することで回帰直線を作成すれば、この回帰直線から、未知の鋳型DNAの初濃度を特定することができる。
以上、本実施形態の検出方法によれば、従来のPCR法を用いた場合に区別することができなかったパラインフルエンザ菌とも区別して検出することができ、特異性に優れることが確認された。特に、従来のPCRプライマーとは異なるより下流域をターゲットとしたLAMPプライマー(例えば、実施例1及び実施例2)は、検出感度が高く、かつ、迅速な検出が可能であり、またインフルエンザ菌の定量も可能である。また、LAMP反応は等温条件下でも進行し、また結果を目視により確認することができるため、設備もシンプルで、病院の検査室等でも簡易、迅速に行うことができる。
[第二実施形態]
本実施形態の検出方法に用いるLAMPプライマーセットは、莢膜b型インフルエンザ菌の莢膜をコードする莢膜遺伝子座第II領域を標的とし、かつ、プライマーセットとして、全てのプライマーが、1〜6653番目の領域中の部分塩基配列と同一若しくは実質的に同一な塩基配列、又は、これらと相補的な塩基配列からなるLAMPプライマーセットである。例えば実施例11〜19に示すようなものがあげられる。
図14及び図15に本実施形態の一例である実施例11のLAMPプライマーセットの莢膜遺伝子座における対応位置及び各プライマーの構成を示す。また、図16に、各実施例のプライマーと、この塩基配列を示した配列表の配列番号と、の対応関係を示す。
図14は、2行又は3行からなる段が7段示されており、各段の「番号」と付された行は塩基の位置を、「塩基」と付された行は当該位置におけるHibの莢膜遺伝子座第II領域(GenBankアクセッション番号:X78559)の塩基を、「プライマー」と付された行はプライマーの位置を示す。なお、図14には、莢膜遺伝子座第II領域の一部を示し、莢膜遺伝子座第II領域の全塩基配列を配列番号79に示す。また、図14の「プライマー」行中の矢印はプライマーの5’→3’方向を示す。従って、左矢印で範囲指定した領域は、当該領域に相補的な領域がプライマーとされることを示す。
この他、LAPMプライマーセットの基本的な構成、作用等は、第一実施形態に示したので説明を省略する。
[第二実施形態の実施例]
以下に実施例を挙げて第二実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(特異性確認試験について)
(1)染色体DNAの準備
まず、試験に供する各種の菌から染色体DNAを精製し、増幅反応の鋳型となるDNAを準備した。
染色体DNAは、各種の菌体から、QIAamp(登録商標) DNAミニキット(キアゲン社製)を用いて抽出、精製することで得た。抽出及び精製の操作は、添付のマニュアルに従って行った。
本試験では、33種のインフルエンザ菌及び21種のインフルエンザ菌以外の菌、計54種の菌株から染色体DNAを抽出して用いた。これら54種の菌株を図17及び図18に示す。図17中、株名がCI−1〜CI−26のインフルエンザ菌は、鼻咽頭から採取したサンプルより単離したもので、菌の出所が岐阜大学医学部微生物学教室であることを示す。
(2)LAMP反応について
次に、本実施形態の実施例11〜19のLAMPプライマーセット(図16参照)を用いて、(1)で調製した各種の菌由来の染色体DNAを鋳型にLAMP反応を行った。
LAMP反応液(25μl)は、FIP及びBIP各1.6μM,F3プライマー及びB3プライマー各0.2μM,LF0.4μM,8UのBstDNAポリメラーゼラージフラグメント(New England Biolabs製),デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各1.4mM,ベタイン0.8M,Tris‐HCl緩衝液(pH8.8)20mM,KCl10mM,(NH42SO410mM,MgSO48mM,ツイーン20を0.1%,及び,上記(1)のようにして生成された鋳型DNA溶液2μl(鋳型DNA濃度106コピー)を添加して調製した。
そして、このLAMP反応液を、63℃で60分間インキュベートすることでLAMP反応を進行させ、最後に80℃で2分間加温することで反応を終了させた。
(3)増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、反応チューブを直接目視し、LAMP反応液の白濁の有無を観察することで検出した。
また、LAMP反応による増幅の有無は、増幅産物のアガロースゲル電気泳動によっても確認した。この際、増幅産物を制限酵素Hpy188I(New England BioLabs社製)により消化し、これをそれぞれ3%のアガロースゲル中で電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色して泳動パターンを確認した。増幅産物をそのまま電気泳動した場合には、複製配列はLAMP反応に特徴的なラダー状のパターンとして現われる。また、制限酵素により消化した産物について予想されるサイズの断片(125bp、135bp)を電気泳動で確認した。さらに、BigDye Terminator V3.1 cycle sequencing kit(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンシング反応を行った後、ABI PRISM 377 DNA sequencer(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンシング解析を行うことで、標的部分が増幅されたか否かを確認した。なお、このシークエンシング反応では、図14及び図15に示すF2及びB2の配列をプライマーとして用いた。
(4)血清による判別について
本実施形態に係る実施例との比較のために、インフルエンザ菌莢膜型別用免疫血清(デンカ生研株式会社製)を用い、スライド凝集法により、b型莢膜に対する抗体を含む血清とb型莢膜との抗原抗体反応により生じる凝集塊の有無を判定し、莢膜b型インフルエンザ菌の検出を行った。
また、非特許文献1に従ってPCR法に基づく莢膜b型インフルエンザ菌の検出も行い、これを基準に、上記LAMPプライマーセットを用いた検出結果と、血清型別による検出結果とを評価した。
(5)試験結果について
上述の試験結果を図17及び図18に示す。結果は、60分間のインキュベーションにより目視によって増幅(白濁)が確認された場合を「+」、60分間のインキュベーション後目視によって増幅が確認できなかった場合を「−」とした。なお、図17中、上付きaは、非特許文献1の方法による判定結果を示し、上付きbは、スライド凝集法による試験結果を示し、上付きcは、菌の出所が東京大学医科学研究所であることを示し、「nt」は、無莢膜型であることを示す。また、図18中、上付きaは、菌の出所が日本大学歯学部細菌学講座であることを示し、上付きbは、菌の出所が岐阜大学医学部微生物学教室であることを示し、上付きcは、菌の出所が東京大学医科学研究所であることを示す。
この結果、図17及び図18に示すように、実施例11〜19のいずれのLAMPプライマーセットを用いても、臨床的に単離した株も含めた全ての莢膜b型インフルエンザ菌を鋳型とした場合について、60分間のインキュベーションにより増幅産物が確認された。対照的に、莢膜型の異なるインフルエンザ菌を含めた他の全ての菌種では60分間のインキュベーションを行っても増幅産物は確認されなかった。莢膜b型インフルエンザ菌を鋳型とした場合の増幅産物を電気泳動した結果を図19に示す。図19の左端のレーンMは100bpの間隔を示すためのマーカーを流したレーンであり、レーン1はレーン2の増幅産物をHpy188Iで処理後に泳動したレーン、レーン2は鋳型DNA濃度を106コピーとした場合の増幅産物を泳動したレーン、レーン3は鋳型DNA濃度を0コピーとした場合の増幅産物を泳動したレーンである。レーン2では、増幅産物がラダー状の泳動パターンを示しており、これより増幅産物が反転部分を有し、LAMP反応に特徴的なステム−ループ構造をとっていることが確認される。また、レーン1には実施例11の125bp及び135bpの切断片が現われており、標的となる部分が増幅されていることが確認された。また、増幅産物のシークエンシング解析も行ったが、LAMP反応により増幅された配列は期待した配列と一致した。
一方、スライド凝集法により検出した場合には、大半の莢膜b型インフルエンザ菌が検出されたものの、1種の莢膜b型インフルエンザ菌が検出されなかった。1種の莢膜b型インフルエンザ菌が検出されなかったのは莢膜の発現量が少なかったためと考えれるが、莢膜b型インフルエンザ菌の検出において最も大きなリスクは検出し損なうことであり、表現型により検出する場合にはこのようなリスクを回避できない。
以上の結果から、本実施形態に係る莢膜b型インフルエンザ菌の検出方法は、特異性が高く、検出の信頼性に優れることが確認された。
(感度確認試験について)
次に、上記実施例11及び14〜19のプライマーセットを用いた場合の検出感度を確認したので説明する。
(1)染色体DNAの調製
本試験では、インフルエンザ菌IID984から特異性確認試験と同様にして染色体DNAを精製し、鋳型とした。反応液中の鋳型DNAの濃度(コピー数)は、Ultrospec 3300 Pro spectrophotometerを用い、分子サイズを1.9Mbpとして定量した。
(2)LAMP反応について
上記(1)のように予め定量された鋳型DNA溶液を10倍ずつ希釈して1〜1,000,000倍の溶液を調製し、これをLAMP反応の鋳型DNA溶液として用いることで、検出限界を確認した。LAMP反応液は、鋳型DNA溶液の濃度が異なる以外、鋳型DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量において前記特異性確認試験と同様とした。また、LAMP反応は、63℃で35分間又は60分間インキュベートすることで反応を進行させ、最後に80℃で2分間加温することで反応を終了させた。
また、本発明の検出方法と比較するために、PCR法による増幅、検出も行った(比較例11)。この際LAMP反応で用いたものと同じ鋳型DNA溶液をPCR反応の鋳型DNA溶液として用いることで、検出限界を確認した。PCRプライマーは、上述した非特許文献1に示されるプライマーを用いた(配列番号80〜82)。PCR反応液(10μl)は、デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各0.2mM、Tris−HCl緩衝液(pH8.3)10mM,KCl50ml,MgCl22mM,1UのExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製)、プライマー各0.5μM及び鋳型DNA溶液1μlを加えて調製した。
PCR反応は、サーマルサイクラー(MJ reserch社製)を用いて25サイクル行った。各サイクルでは、94℃1分間の変性、60℃1分間のアニーリング、72℃1分間の合成を順に行い、最後は72℃10分間の加温を行い反応を終了させた。
(3)増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、Loopamp(登録商標)リアルタイム濁度測定装置(テラメックス株式会社製、型番LA−200)を用いて濁度を測定し、濁度が0.1以上のときに増幅が生じたと判定した。
また、前記特異性確認試験と同様に、白濁の有無を目視により確認、及び、電気泳動による確認も行った。
また、比較例におけるPCRによる増幅産物の有無も、増幅産物(2μl)を3%アガロースゲル中に電気泳動することで確認した。
(4)試験結果について
試験結果は、上記のように増幅産物が確認された場合には「+」とし、増幅産物が確認されなかった場合は「−」とした。試験結果を、図20に示す。
図20に示すように、実施例11及び14〜19のプライマーセットのいずれもが、PCRプライマーを用いた場合と同等またはそれ以上の感度を示し、特に実施例11及び16〜18の感度が優れ、実施例11に至ってはPCRプライマーを用いた比較例11と比べて10,000倍と、感度に極めて優れることが確認された。実施例1では、インキュベーションが35分間の場合にも1コピーの鋳型を検出可能であり、感度及び迅速性に極めて優れることが確認された。
(リアルタイム濁度測定試験について)
(1)検出の迅速性について
実施例11〜19のプライマーセットについて、検出の迅速性を確認する試験を行った。本試験では、鋳型DNA濃度を106コピーとして各プライマーセットを添加し、LAMP反応液組成及びLAMP反応条件を前述と同様にしてLAMP反応を行った。そして、この反応の間、前記したリアルタイム濁度測定装置を用いて6秒毎に650nmの吸光度を読み取り、スレッシュホールドタイムを測定した。
結果を図16に示す。図16に示すように、どの実施例においても比較的スレッシュホールドタイムは短かったが、特に実施例11が、他の実施例と比べて、スレッシュホールタイムが格段に短く、極めて迅速に莢膜b型インフルエンザ菌を検出できることが確認された。また、実施例11のプライマーセットについて、LFを添加した場合及び未添加の場合それぞれにおけるLAMP反応の違いを確かめるために行った試験の結果を図21に示す。図21に示すように、LFを添加することで、スレッシュホールドタイムが25分から16分へ短縮されることが確認された。
また、図22に、実施例11について、インフルエンザ菌の莢膜型a〜f及び無莢膜型をそれぞれ鋳型として120分間のLAMP反応を行わせた場合の濁度の変化を示す。図22に示すように、120分間反応させても莢膜b型インフルエンザ菌を鋳型とした場合以外は、増幅産物が生じなかった。図示しないが同様の傾向が実施例12及び13についても確認された。臨床検査では、各プライマーセットのスレッシュホールドタイムを経過後、若干の時間をおいて白濁を確認することが想定されるが、実施例11〜13のプライマーセットであれば、スレッシュホールドタイムから長時間経過してしまった場合にも信頼性のある結果を得られるため、臨床の場では用い易い。
(2)定量性について
次に、特異性、感度、迅速性に優れた実施例11について、次のような試験を行った。まず、反応チューブ1本当たりの鋳型DNAコピー数を0〜106に調製し、実施例11のLAMPプライマーセットをそれぞれ添加した。そして、LAMP反応液組成及びLAMP反応条件を前述と同様としてLAMP反応を行った。この反応の間、上記リアルタイム濁度測定装置を用いて6秒毎に650nmの吸光度を読み取った。
結果は、図23に示すように、鋳型DNAのコピー数が1コピー以上であれば、60分以内に濁度が0.1以上になることが確認され、この結果は前記感度試験における目視及び電気泳動による増幅の有無の判別結果と一致した。また、最初に用いた鋳型DNA量の増加に伴い、スレッシュホールドタイムが短くなることが確認された。
図24には、実施例11の場合のスレッシュホールドタイムと当初の鋳型DNA量の常用対数の関係を示す。これらの間には線形性が認められ、相関係数r2=0.979と高い相関を示した。このことから、上述したように、実施例11が優れた定量性を有することが確認された。
以上、本実施形態の検出方法によれば、従来のPCR法を用いた場合と比較して、LAMP反応は等温条件下でも進行し、また結果を目視により確認することができるため、簡素な設備の病院等でも簡易、迅速かつ精確に、莢膜b型インフルエンザ菌を検出することができる。また、本実施形態の検出方法によれば、極めて感度に優れるため、感染の早期発見、早期治療を可能にする。また、本実施形態の検出方法によれば、定量も可能である。
産業上の利用の可能性
本発明のインフルエンザ菌の検出方法によれば、精確、特にパラインフルエンザ菌とも区別してインフルエンザ菌を検出可能である(図25A)。また、本発明の莢膜b型インフルエンザ菌の検出方法によれば、簡易、迅速かつ精確に、他の莢膜型及び無莢膜型のインフルエンザ菌と区別して、莢膜b型インフルエンザ菌を検出することができる(図25B)。
配列番号12:P6蛋白遺伝子
配列番号13:合成DNA(比較例1)
配列番号14:合成DNA(比較例1)
配列番号79:莢膜b型インフルエンザ菌の莢膜遺伝子座第II領域
配列番号80:合成DNA(比較例11)
配列番号81:合成DNA(比較例11)
配列番号82:合成DNA(比較例11)

Claims (3)

  1. プライマーセットを用いた核酸増幅反応による核酸増幅の有無に基づいて莢膜b型インフルエンザ菌を検出する方法であって、
    前記プライマーセットとして、配列表の配列番号43〜47に記載の塩基配列からなる5種のプライマーを備えたLAMPプライマーセットを用いることを特徴とする、莢膜b型インフルエンザ菌の検出方法。
  2. 配列表の配列番号43〜47に記載の塩基配列からなる5種のプライマーを備えたLAMPプライマーセットであることを特徴とする、莢膜b型インフルエンザ菌検出用プライマーセット。
  3. 配列表の配列番号43〜47に記載の塩基配列からなる5種のプライマーを備えたLAMPプライマーセットを含むことを特徴とする、莢膜b型インフルエンザ菌検出用キット。
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