JP5051574B2 - Streptococcus pneumoniaeの検出方法、検出用プライマーセット及び検出用キット - Google Patents

Streptococcus pneumoniaeの検出方法、検出用プライマーセット及び検出用キット Download PDF

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Description

本発明はStreptococcus pneumoniaeの検出方法、Streptococcus pneumoniae検出用プライマーセット及びStreptococcus pneumoniae検出用キットに関し、特に特異性に優れた検出方法、検出用プライマーセット及び検出用キットに関する。
肺炎球菌(ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)、以下「S.pneumoniae」と略すこともある。)は、肺炎、心内膜炎、菌血症、敗血症、髄膜炎、中耳炎の原因菌の1つであり、通常ヒトの体内で共生している他のα溶血レンサ球菌と区別してS.pneumoniaeによる感染を検出することは臨床研究や診断において重要である。
従来、このS.pneumoniaeによる感染を検出、診断するために、コロニー形態、オプトヒン感受性、胆汁溶解性や血清反応等の培養による選別及び生化学的検査法が用いられている。
しかし、上述のような培養による選別及び生化学的検査法を併用した場合には、感染が判明するまでに3日以上を要するのに加え、コロニーをその形状や色の相違などから精確に選別するためには熟練した技術が必要であり、臨床診断及びその後の処置に支障をきたすおそれがあった。
一方、近年においては、PCR(polymerase chain reaction)法を用いたS.pneumoniaeの検出法も提案されている(特開平9−327300号公報)。PCR法による検出では、S.pneumoniaeに特異的なプライマーを用い、採取したDNAサンプルを鋳型に核酸増幅を行わせることで、この核酸増幅の有無によりS.pneumoniaeの有無を検知することができる。この方法では、培養による選別と生化学的検査法を併用した場合に比べ短時間で簡便に、一定の信頼性のある検出が可能である。
PCR法を用いて検出する場合には、上述したようにS.pneumoniaeに特徴的な遺伝子を標的として増幅反応を行うのが一般的であり、このようなS.pneumoniaeに特徴的な遺伝子として、例えばautolysinをコードするlytA遺伝子や、pneumolysinをコードするply遺伝子が知られている。しかしながら、最近では、S.pneumoniae以外の菌であって、遺伝子型及び表現型からはS.pneumoniaeと近縁のストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)(以下、「S.mitis」と略すこともある)に分類される菌の中に、autolysinあるいはpneumolysinをコードする遺伝子を保持するものの存在が報告されている(参照:Whatmore A.M.,他7名,”Genetic relationships between clinical isolates of Streptococcus pneumoniae,Streptococcus oralis,and Streptococcus mitis:characterization of”atypical”pneumococci and organisms allied to S.mitis harboring S.pneumoniae virulence factor−encoding genes.”,Infect.Immun.,2000,vol.68,p.1374−1382)。このため、lytA遺伝子やply遺伝子を標的としてPCRを行った場合にも、口腔常在菌であるS.mitisやストレプトコッカス・オラリス(Streptococcus oralis)(以下、「S.oralis」と略すこともある)等の一部の菌とは区別が困難であった。
また、PCR法による遺伝子増幅を行う場合には、サーマルサイクラー等の設備が必要でありコストと手間がかかる等の問題もあった。
本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、迅速かつ簡便で、特異性に優れたS.pneumoniaeの検出方法、S.pneumoniae検出用プライマーセット及びS.pneumoniae検出用キットを提供することを課題とする。
上記課題に鑑みてより特異性に優れた検出方法を開発するために、本発明者らは、まず4種のS.pneumoniaeのlytA遺伝子(GenBankアクセッション番号:AE008540,AE007483,M13812,AF467249)と、その他のautolysinをコードする9種の菌株(S.mitisのlytA遺伝子(EMBLアクセッション番号:AJ617815,AJ617816),Streptococcus属のlytA遺伝子(EMBLアクセッション番号:AJ252190,AJ252191,AJ252192,AJ252193,AJ252194,AJ252195,AJ252196))の塩基配列を比較した。その結果、S.pneumoniaeのみに共通する特異的な塩基配列を解明した。そして、これらの塩基配列からLAMP法用プライマーを設計し、lytA遺伝子を特異的に増幅することによりS.pneumoniaeを検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)Streptococcus pneumoniae由来のlytA遺伝子の塩基配列領域のうち第40番目から第450番目の領域中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる1種以上のプライマーを備えたLAMPプライマーセットを用いて当該lytA遺伝子を増幅し、得られる増幅産物を検出することを特徴とするStreptococcus pneumoniaeの検出方法。
上記検出方法において、LAMPプライマーセットは、例えばStreptococcus pneumoniae由来のlytA遺伝子の塩基配列のうち第40番目から第450番目の領域から設計されるFIPプライマー、BIPプライマー、F3プライマー及びB3プライマーからなるものを使用することができる。さらに、これらのLAMPプライマーセットには、さらにループプライマーを含めることが可能である。
ここで、FIPプライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち第76番目から第132番目、又は第239番目から第308番目の領域から設計することができ、BIPプライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち第153番目から第216番目、又は第332番目から第413番目の領域から設計することができる。また、F3プライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち第47番目から第76番目、又は第221番目から第237番目の領域から設計することができ、B3プライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち第226番目から第240番目、又は第417番目から第434番目の領域から設計することができる。本発明においては、ループプライマーを含めることができるが、そのループプライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち第178番目から第195番目の領域から設計することができる。
本発明において好ましいプライマーセットとしては、例えば以下の(a)〜(e)に示される塩基配列の組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(b)配列番号5、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(d)配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12で表される塩基配列の組み合わせ
(e)配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号4及び配列番号25で表される塩基配列の組み合わせ
(2)以下の(a)〜(e)に示される塩基配列の組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、Streptococcus pneumoniaeの検出用プライマーセット。
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(b)配列番号5、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせ
(d)配列番号9、配列番号10、配列番号11及び配列番号12で表される塩基配列の組み合わせ
(e)配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号4及び配列番号25で表される塩基配列の組み合わせ
(3)上記(2)に記載のプライマーセットを含む、Streptococcus pneumoniaeの検出用キット。
図1は、lytA遺伝子の塩基配列、並びにS.pneumoniaeに特異的な塩基部分及び実施例1のLAMPプライマーの設計領域を示す図である。
図2は、実施例1の各LAMPプライマーの構成及びlytA遺伝子上の対応位置を説明する図である。
図3は、感度試験における電気泳動結果を示す写真である。
図4は、リアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。(実施例1及び2の比較)
図5は、リアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。(実施例1及び4の比較)
図6は、実施例1についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。
図7は、濁度と鋳型DNA濃度の常用対数の関係を示すグラフである。
図8は、実施例4についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。
図9は、実施例5についてリアルタイム濁度測定結果を示すグラフである。
図10は、実施例5についてスレッシュホールドタイムと鋳型DNAコピー数の常用対数との関係を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において引用した刊行物及び特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
本発明は、S.pneumoniaeのlytA遺伝子において、種特異的領域に着目してLAMPプライマーセットを設計することによりS.pneumoniaeを特異的に検出することを可能としたものである。
ここで、「LAMPプライマーセット」とは、Loop−mediated isothermalamplification(LAMP)法による核酸増幅に用いられるプライマーセットである(参照文献:Nucleic Acid Research,2000,Vol.28,No.12,e63)。
LAMPプライマーは、PCR法で用いられるPCRプライマーよりも多くの領域に対して設定されることから、標的の選択性も高いと考えられ、かつ本発明ではlytA遺伝子のうちS.pneumoniaeに特異的な領域に対してプライマーを設定することから、S.pneumoniaeを特異的に検出することが可能である。
lytA遺伝子の塩基配列の一例(GenBankアクセッション番号:AE008540)を図1及び配列番号26に示す。なお、図1中、「番号」と付された行は塩基の位置を、「プライマー」と付された行はFIP、BIP、F3及びB3プライマー(後述)を設計するための領域の位置の一例を示す。また、「塩基」と付された行は配列番号26と同様にlytA遺伝子の塩基配列を左側から右側に向かって5’→3’方向となるように示しており、「共通」と付された行は「*」により当該位置の塩基が前記4種のS.pneumoniaeにのみ共通することを示している。なお、図1の「プライマー」行中の矢印は実施例1のプライマーの5’→3’方向を示す。従って、左矢印で範囲指定した領域は、当該領域に相補的な領域がプライマーとされることを示す。
本発明では1種以上のプライマーが第40番目から第450番目の領域の少なくとも一部分と同一又は相補的な塩基配列からなっている。本発明においては、さらに共通塩基が多く分散して存在する第84番目から第180番目の領域の全部又は一部が、増幅される領域(プライマー部分も含む)に内包されることが好ましい。
本発明のプライマーを用いた場合には、S.pneumoniaeの検出において、特異性に優れるのみでなく、検出感度及び検出の迅速性に優れると共に、さらに、増幅曲線に線形性が認められ、定量性も良好である。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2に示すように、LAMPプライマーセットは、標的遺伝子(lytA遺伝子)上の異なる6領域(5’末端側から順にF3,F2,F1,B1c,B2c,B3c)及びこれに相補的な領域(5’末端側から順にB3,B2,B1,F1c,F2c,F3c)から設計されるプライマーを組み合わせて構成されるものである。本発明において使用されるLAMPプライマーセットは、lytA遺伝子の塩基配列の5’末端側から、F1c領域及びF2領域のヌクレオチドを連結してなるForward Inner Primer(以下、「FIP」と略すこともある。)と、5’末端側からB1c領域及びB2領域のヌクレオチドを連結してなるBackward Inner Primer(以下、「BIP」と略すこともある。)と、F3領域のヌクレオチドからなるF3プライマーと、B3領域のヌクレオチドからなるB3プライマーと、からなっている。なお、所望によりさらにループプライマー(Loop Primer F及び/またはLoop Primer B)を設計し、これらを用いてDNAの増幅を行い、増幅産物を検出してもよい。ループプライマーは、B1領域とB2領域との間、あるいはF1領域とF2領域との間において形成される1本鎖部分に相補的な配列をもつプライマーである。表1中、実施例5の欄には、Loop Primer B(LB)の一例を示した。
本発明においては、FIPプライマーは、lytA遺伝子の塩基配列(配列番号26)のうち第76番目から第132番目(以下、「76−132」のように表示することもある。他のプライマーについても同様。)、又は第239番目から第308番目の領域から設計することができ、その内訳は、例えば実施例1ではF2として76−94の領域(F2cはその相補鎖領域)、F1として108−131の領域(F1cはその相補鎖領域)から設計したもの(配列番号1)が好ましい。BIPプライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち153−216、又は332−413の領域から設計することができ、その内訳は、例えば実施例1ではB1cとして153−176(B1の153−176の相補鎖)、B2として196−216の領域から設計したもの(配列番号2)が好ましい。F3プライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち47−76の領域又は221−237の領域から設計することができ、例えば実施例1では55−74の領域から設計したもの(配列番号3)が好ましい。B3プライマーは、lytA遺伝子の塩基配列のうち226−240の領域、又は417−434の領域から設計することができ、例えば実施例1では226−240の領域から設計したもの(配列番号4)が好ましい。実施例2〜5についても、各プライマーを設計するために好ましい領域として表1の実施例の欄(実2〜実5)に記載の領域を選択することができる。
さらに、本発明において、ループプライマーを使用すると、検出までの時間をさらに短縮することが可能である。したがって、ループプライマーF(LF)及びループプライマーB(LB)の一方又は両方を使用して、検出の効率化を図ることができる。
LFとしては、例えばlytA遺伝子の塩基配列のうち95−110の領域又は256−283の領域から設計することができる。
LBとしては、例えばlytA遺伝子の塩基配列のうち176−195の領域から設計することができ、178−195の領域から設計したもの(配列番号25)が好ましい。
本発明の一例である実施例1のLAMPプライマーセットのlytA遺伝子における位置を図1及び図2に、本発明の一例である実施例1〜5のLAMPプライマーセットについてプライマーの種類と配列番号との対応を表1に示す。
Figure 0005051574
表1において、「F2」、「F1」、「B1」、「B2」、「F3」及び「B3」の欄に記載の数字は、「F3」、「F2」及び「F1」については、それぞれ図2に示すセンス鎖のF3領域、F2領域及びF1領域の位置を示し、「B1」、「B2」、及び「B3」については、それぞれ図2に示すセンス鎖のB1c領域、B2c領域及びB3c領域の位置を示している。従って、例えば、実施例1におけるFIPプライマーにおいて、表1の「F1」の欄に記載された領域(108−131の領域)は、FIPプライマーの構成要素の一部であるF1cの領域(F1に対して相補鎖側)であることを意味する。また、表1の「B3」の欄に記載された領域は、図2に示すセンス鎖のB3cの領域を意味する。このような領域の位置番号の意味は、他のプライマーについても同様である。
上記表1に示す各プライマーの塩基配列を以下の表2及び表3に示す。
Figure 0005051574
Figure 0005051574
上述のようなS.pneumoniae検出用LAMPプライマーセットは、例えばDNA自動合成機を用いて化学的に合成することで調製することができる。なお、本発明においてプライマーは、前述したような所定の塩基配列を有し、他の塩基と塩基対形成が可能なオリゴヌクレオチドであって、その3’末端において相補鎖合成の基点となる−OH基を備えるものを意味する。したがって、この条件を満たす限り、そのバックボーンは必ずしもホスホジエステル結合によるものに限定されず、例えばPでなくSをバックボーンとしたホスホチオエート体やペプチド結合に基づくペプチド核酸からなるものであってもよい。
本発明で用いることができる鋳型依存性核酸合成酵素は、鎖置換活性を有するものであれば特に限定されない。このような酵素としては、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、Vent(Exo−)DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)、DeepVent(Exo−)DNAポリメラーゼ(DeepVent DNAポリメラーゼからエクソヌクレアーゼ活性を除いたもの)およびKOD DNAポリメラーゼ等が挙げられ、好ましくはBst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)が挙げられる。Bst DNAポリメラーゼを用いる場合は、その反応至適温度である60〜65℃付近で反応を行うのが望ましい。
また、増幅産物の検出には公知の技術が適用できる。例えば増幅された遺伝子配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドを用いたり、あるいは、反応終了後の反応液をそのままアガロース電気泳動にかけても容易に検出できる。また、本発明によるプライマーは、例えばDNAチップのようにそれ自身を固相に結合させておくこともできる。固相化プライマーを合成開始点とする場合には、核酸の合成反応生成物が固相に捕捉されることから、分離、検出が容易となる。
さらに、LAMP法による遺伝子増幅は加速度的かつ効率的に行なわれるので、反応液中にあらかじめ二本鎖核酸の分子内に特異的に取り込まれるインターカレーターであるエチジウムブロマイドやSYBR(登録商標)Green I等を添加することにより増幅を確認できる。また、LAMP法では核酸の合成により基質が大量に消費され、副産物であるピロリン酸が、共存するマグネシウムと反応してピロリン酸マグネシウムとなり、肉眼でも確認できる程に白濁する。この白濁を反応終了後の観察、もしくは反応中の濁度の上昇を経時的に光学的に観察できる測定機器、例えば650nmの吸光度の変化を通常の分光光度計を用いて増幅の確認が可能である。
これらのLAMP反応に必要な各種の試薬類は、予めパッケージングしてS.pneumoniae検出用キットとして供給することができる。具体的には、本発明のキットは、前記S.pneumoniae検出用のLAMPプライマーセットを含むが、その他に、相補鎖合成の基質となるdNTP、鎖置換型の相補鎖合成を行うDNAポリメラーゼ、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液など、さらに必要に応じて合成反応生成物の検出のために必要な試薬類を含めることができる。また、核酸の2重鎖を不安定にするための試薬(例えばベタイン)を含めることもできる。
このように、LAMP法では、酵素活性を維持しうる温度で、等温のままインキュベートするだけで、増幅反応を進行させることが可能である。このため、PCR法のような温度調節のための設備が不要であり低コストかつ簡便に検出を行うことができるとともに、温度変化に伴う時間ロスもないので迅速に検出が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[特異性確認試験について]
本発明に係るS.pneumoniaeの検出方法を実施し、本発明の検出方法の特異性を確認したので説明する。
(1)染色体DNAの準備
まず、試験に供する各種の菌から染色体DNAを精製し、増幅反応の鋳型となるDNAを準備した。
染色体DNAは、酵母用のDr.GenTLE(登録商標、タカラバイオ株式会社製)を用いて各種の菌体から抽出し、QIAamp(登録商標)DNAミニキット(キアゲン社製)を用いて精製することで得た。抽出及び精製の操作は、添付のマニュアルに従って行った。
本試験では、10種のレンサ球菌及び7種のレンサ球菌以外の菌に分類される計32種の菌株から染色体DNAを抽出して用いた。これら32種の菌株を表4に示す。
Figure 0005051574
(2)LAMP反応について
次に、実施例1〜5のLAMPプライマーセット(表1参照)を用いて、(1)で調整した各種の菌由来の染色体DNAを鋳型にLAMP反応を行った。
LAMP反応液(25μl)は、FIP及びBIP各40pmol,F3プライマー及びB3プライマー各5pmol,8UのBstDNAポリメラーゼラージフラグメント(New England Biolabs社製),デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各1.4mM,ベタイン0.8M,Tris−HCl緩衝液(pH8.8)20mM,KCl 10mM,(NHSO 10mM,MgSO 8mM,ツイーン20を0.1%,及び,上記(1)のようにして生成された鋳型DNA溶液2μlを添加して調製した。
そして、このLAMP反応液を、63℃で35分間又は60分間インキュベートすることでLAMP反応を進行させ、最後に80℃で2分間加温することで反応を終了させた。
(3)増幅の有無の確認について
増幅の有無は、反応チューブを直接目視し、LAMP反応液の白濁の有無を観察することで検出した。すなわち、複製配列が存在する場合には反応の副産物として複製配列の量に比例した量のピロリン酸マグネシウムが産生されるのでLAMP反応液が白濁し、一方存在しない場合にはLAMP反応液は透明のままであるため、その白濁を指標として増幅産物の検出を行った。
また、増幅の有無は、増幅産物のアガロースゲル電気泳動によっても確認した。この際、増幅産物そのままのものと、増幅産物を制限酵素TasI(Fermentas社製)により消化したものとをそれぞれ3%のアガロースゲル中で電気泳動し、エチジウムブロミドで染色して泳動パターンを確認した。なお、増幅産物をそのまま電気泳動した場合には、複製配列はLAMP反応に特徴的なラダー状のパターンとして現われる。また、制限酵素により消化したものを電気泳動した場合には、複製配列は102bp及び111bpの断片として現われる。
(4)試験結果について
上述の試験結果を表4に示す。結果は、35分間又は60分間のインキュベーションにより目視によって増幅(白濁)が確認された場合を「+」、60分間のインキュベーション後目視によって増幅が確認できなかった場合を「−」とした。この結果、表4にも示すように、実施例1〜5のいずれのLAMPプライマーセットを用いても、S.pneumoniaeを鋳型とした場合には、35分間又は60分間のインキュベーションにより多量の増幅産物が確認された。対照的に、他の菌種では60分間のインキュベーションを行っても増幅産物は確認されなかった。この結果は、電気泳動の結果とも一致し、実施例1においては102bp及び111bpの断片が確認された。また、増幅産物のシークエンスも行ったが、LAMP反応により増幅された配列は期待した配列と一致した。
このことから、本発明に係るS.pneumoniaeの検出方法は、特異性に優れることが確認された。
[感度確認試験について]
次に、上記実施例1〜5のLAMPプライマーセットを用いた場合の検出感度を確認したので説明する。
(1)染色体DNAの調製
本試験では、S.pneumoniae ATCC6305から特異性確認試験と同様にして染色体DNAを精製し、鋳型とした。反応液中の鋳型DNAの濃度(コピー数)は、Ultrospec3300pro(Amersham Biosciences社製)を用い、分子サイズを2Mbpとして定量した。
(2)LAMP法及びPCR法について
上記(1)のように予め定量された鋳型DNA溶液を10倍ずつ希釈して1〜1,000,000倍の溶液を調製し、これをLAMP反応の鋳型DNA溶液として用いることで、検出限界を確認した。LAMP反応液は、鋳型DNA溶液の濃度が異なる以外、鋳型DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量において前記特異性確認試験と同様であり、LAMP反応の条件も同様とした。
また、本発明の検出方法と比較するために、PCR法による増幅、検出も行った(比較例1)。
PCRプライマーセットは、autolysinをコードする遺伝子(lytA遺伝子)を標的とするもの(lytA−F、lytA−R)を用いた(Nagai,K.,他6名,”Evaluation of PCR primers to screen for Streptococcus pneumoniae isolates and β−lactam resistance,and to detect common macrolide resistance determinants”,J.Antimicrob.Chemoth.,2001,vol.48,p.915−918)。その配列を以下に示す。
lytA−F:caaccgtaca gaatgaagcg g(配列番号27)
lytA−R:ttattcgtgc aatactcgtg cg(配列番号28)
PCR反応液(10μl)は、デオキシヌクレオシド トリフォスフェート各0.2mM、Tris−HCl緩衝液(pH8.3)10mM,KCl 50ml,MgCl 2mM,1UのExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製)、フォワードプライマー(lytA−F)及びリバースプライマー(lytA−R)各0.5μM及び鋳型DNA溶液1μlを加えて調製した。
PCR反応は、サーマルサイクラー(MJ research社製)を用いて30サイクル行った。各サイクルでは、94℃15秒間の変性、53℃15秒間のアニーリング、72℃15秒間の合成を順に行った。
(3)増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、前記特異性確認試験と同様に、白濁の有無を目視により確認することにより判定した。
さらに、比較例1におけるPCRによる増幅産物の有無とともに、増幅産物(2μl)を3%アガロースゲル中に電気泳動することで確認した。
(4)試験結果について
試験結果は、上記のように電気泳動により増幅産物が確認された場合には「+」とし、増幅産物が確認されなかった場合は「−」とした。試験結果を、表5及び図3に示す。
Figure 0005051574
表5に示すように、実施例1のLAMPプライマーを用いた検出方法では、LAMP反応を60分間行うことで、鋳型DNA濃度が10コピーの場合にも検出することができた。また、実施例5のLAMPプライマーを用いた場合は、LAMP反応が35分間であっても、鋳型DNA濃度が10コピーのものを検出することができた。一方、PCR法を用いた検出においては、鋳型DNA濃度が10,000コピーでなければ検出することができなかった。このため、実施例1及び5ではLAMP反応を利用することで、検出の感度が比較例1よりも1,000倍も優れていることが確認された。また、表5に示すように、鋳型DNA濃度が1,000コピーである場合には、実施例1及び5では35分で検出可能であり、また、実施例2及び3では60分で検出可能であったことから、感度及び迅速性に優れることが確認された。
また、図3は、LAMP反応後の増幅産物を電気泳動したゲルを撮影した写真である。紙面両端のレーンMは100bpの間隔を示すためのマーカーを流したレーンであり、レーン1は鋳型DNAを1,000,000コピーとした場合の増幅産物、以後同様にレーン2は100,000コピー、レーン3は10,000コピー、レーン4は1,000コピー、レーン5は100コピー、レーン6は10コピー、レーン7は1コピー、レーン8は0コピーを鋳型とした場合の増幅産物を流したものとなっている。
また、レーン9は、レーン1の増幅産物をTasIで消化後に泳動したレーンである。TasI部位は標的部位の中央部付近(F1,B1cの間)に存在するため、TasIで処理すると増幅断片が標的部位の中央部付近(F1,B1cの間)で切断され、ループとループとの間の長さに断片化される。このため、レーン9では102bp及び111bpの位置にバンドが現われることが予測される。
レーン1〜6では、増幅産物がラダー状の泳動パターンを示しており、これより増幅産物が反転部分を有し、LAMP反応に特徴的なステム−ループ構造をとっていることが確認される。また、レーン9には102bp及び111bpに切断片が現われており、標的となる部分が増幅されていることが確認された。
[臨床的な検出について]
次に、実施例1〜5のLAMPプライマーセットを用いて臨床的な検出を行ったので説明する。
まず、健康児(5〜6歳)の口腔粘膜のサンプルを採取し、PCR法によってpneumolysin又はautolysinをコードする遺伝子を有する25種類のα溶血レンサ球菌を単離した。このautolysinをコードする遺伝子を標的とするPCRプライマーセットは前述の感度試験と同様のものを用いた。また、pneumolysinをコードする遺伝子を標的とするPCRプライマーセットとしては、以下のPCRプライマーセット(ply−F及びply−R)を用いた(Salo,P.,他2名,”Diagnosis of bacteremic pneumococcal pneumonia by amplification of pneumolysin gene fragment in serum”,J.Infect.Dis.,vol.171,p.479−482)。プライマーの塩基配列を以下に示す。
ply−F:atttctgtaa cagctaccaa cga(配列番号29)
ply−R:gaattccctg tcttttcaaa gtc(配列番号30)
また、PCR反応液の組成及び反応条件は、autolysinをコードする遺伝子を標的とするPCR反応では前記感度試験と同様であり、pneumolysinをコードする遺伝子を標的とするPCR反応では、反応液の組成は前記感度試験と同様で、反応条件はサーマルサイクラー(MJ research社製)を用いて30サイクルを行い、各サイクルでは94℃1分間の変性、55℃1分間のアニーリング、72℃1分間の合成を順に行った。
単離された25種類のα溶血レンサ球菌は、4種のS.pneumoniaeと、通常は肺炎球菌に見られる病原性因子のpneumolysin又はautolysinをコードする遺伝子を有する21種のStreptococcus属の菌株(3種のS.oralis、17種のS.mitis、1種のStreptococcus属の未識別の菌株)であった。単離された菌種を表6に示す。
Figure 0005051574
次に、上記25種の菌について、口腔内のレンサ球菌に通常適用される下記の判定基準(1)〜(3)を用いて、同定を行った。
(1)オプトヒン感受性試験を、直径6.5mm、オプトヒン含量5μgのディスク(栄研化学株式会社製)を用いて、5%のCO存在下で行った。そして、少なくとも直径13mmの阻止円がない場合は感受性なし「−」とし、少なくとも直径13mmの阻止円が形成されている場合には感受性あり「+」とした。
(2)胆汁溶解試験を、HawnとBeebeの方法に従って行った(参照:Hawn C.V.Z.,E.Beebe.,“Rapid method for demonstrating bile solubility of Diplococcus pneumoniae.”,J.Bacteriol.,1965,vol.90,p.549)。そして、胆汁溶解性の場合には「+」、胆汁非溶解性の場合には「−」とした。
(3)商業用のキットAPI 20 Strep(bio Merieux社製)を用い、酵素活性及び糖発酵性等に基づいて同定を行った。
上記(1)〜(3)のそれぞれの結果、及び、(1)〜(3)より総合的に判断した識別結果を表6に示す。
さらに、PCR法及びLAMP法をそれぞれ用いて、25種の菌についてスクリーニングを行った。この際、PCR法及びLAMP法の比較を行うために、鋳型DNAのコピー数が等しくなるように、反応チューブ1本当たり10コピーに調製した。PCRプライマーは上述したものであり、LAMPプライマーは実施例1〜5のものを用いた。LAMP法における反応時間は60分とした。
その結果、LAMP法では4種の菌(S.pneumoniae)がポジティブ反応を示し、21種の菌がネガティブ反応を示した。これに対し、PCR法では、lytA遺伝子に関しては8種がポジティブ反応を示し17種がネガティブ反応を示した。また、ply遺伝子に関しては21種がポジティブ反応を示し4種がネガティブ反応を示した。
このように、LAMP法を用いた場合には、他の21種の菌を検出することなく、4種のS.pneumoniaeを完全に検出することができたのに対し、PCR法を用いた場合には、lytA遺伝子に関しては4種の菌を誤ってポジティブとして検出し、ply遺伝子に関しては17種の菌を誤って検出したことになる。
従って、本発明の検出方法を用いれば、口腔咽頭において共生し、かつ、16SrRNAの配列が99%以上一致するなど最もS.pneumoniaeと近縁なS.mitis及びS.oralisなどとの区別も可能であり、S.pneumoniae感染の臨床診断にも有効であることが確認された。
[リアルタイム濁度測定試験について]
次に、実施例1、2、及び、実施例4(表2に配列を示す)のLAMPプライマーセットを用いたLAMP反応についてリアルタイム濁度測定を行った。
(1)検出の迅速性について
本試験では、実施例1、2及び実施例4のLAMPプライマーセットを用い、LAMP反応液組成及びLAMP反応条件を前述と同様とし、鋳型DNAの濃度(コピー数)を反応チューブ1本当たり所定コピー数となるように調製し、LAMP反応を60分間行った。このLAMP反応の間、Loopamp(登録商標)リアルタイム濁度測定装置(テラメックス株式会社製、型番LA−200)を用いて6秒毎に650nmの吸光度を読み取った。
結果を、図4及び図5に示す。なお、図4中、Aは実施例1のプライマーを用いコピー数10のDNAを鋳型とした増幅結果、Bは実施例1のプライマーを用いコピー数0のDNAを鋳型とした増幅結果、Cは実施例2のプライマーを用いコピー数10のDNAを鋳型とした増幅結果、Dは実施例2のプライマーを用いコピー数0のDNAを鋳型とした増幅結果を示す。また、図5中、Aは実施例1のプライマーを用いコピー数10のDNAを鋳型とした増幅結果、Bは実施例1のプライマーを用いコピー数0のDNAを鋳型とした増幅結果、Cは実施例4のプライマーを用いコピー数10のDNAを鋳型とした増幅結果、Dは実施例4のプライマーを用い、コピー数0のDNAを鋳型とした増幅結果を示す。
これらの図に示すように、鋳型DNA濃度が同じでもLAMPプライマーによって、濁度が立ち上がる時間(増幅効率)は異なっていたが、いずれの実施例においても検出が可能であり、実施例1のLAMPプライマーセットを用いた場合に最も迅速に検出可能であることが確認された。特に実施例1と実施例2とでは、プライマーの配列上の違いは微差であり(FIPのF1c領域の5’末端の一塩基及び3’末端の二塩基)、特異性や感度の性能はほぼ互角である。
F1c領域の微差により迅速性が異なるのは、LAMP反応特有の伸長反応起点(ループ部分)を形成するF1c領域が、LAMP反応の速度を決定するのに重要な役割を果たしているためであると考えられる。中でも、実施例1及び実施例2における試験結果からF1c領域の5’末端側で、S.pneumoniaeに特異的な三つの塩基に隣接したC(lytA遺伝子上の131番目)がループ部分形成におけるF1c/F1アニールの迅速性に重要な役割を果たしているものと推測される。
次に、反応チューブ1本当たりの鋳型DNA濃度を0〜10コピーに調製し、実施例1及び実施例4のLAMPプライマーセットをそれぞれ添加してLAMP反応を行い、この反応中に上記リアルタイム濁度測定装置を用いて6秒毎に650nmの吸光度を測定した。
実施例1におけるリアルタイム濁度測定の結果を図6に示す。
図6に示すように、鋳型DNA濃度が10コピー以上であれば、60分以内に濁度が0.1以上になることが確認され、この結果は前記感度試験における目視及び電気泳動による増幅の有無の判別結果と一致した。また、最初に用いた鋳型DNA濃度の増加に伴い、スレッシュホールドタイム(濁度が0.1を超えるまでの時間)が短くなることが確認された。
図7には、実施例1の場合のスレッシュホールドタイム(Tt)と当初の鋳型DNA濃度の常用対数の関係を示す。これらの間には線形性が認められ、相関係数r=0.986と高い相関を示した。これは、2004年森らが示すように、S.pneumoniae由来の鋳型DNAの初期濃度が未知の場合に、その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であることを意味する(Mori,Y.,他3名,”Real−time turbidimetry of LAMP reaction for quantifying template DNA”,J.Biochem.Biophys.Methods,vol.59,p.145−157)。すなわち、例えば、濃度未知のサンプルについても、同様に希釈倍率の異なる希釈液を調製し、各希釈液を用いてLAMP反応を行った場合のスレッシュホールドタイムを測定することで回帰直線を作成すれば、この回帰直線から、未知の鋳型DNAの初期濃度を特定することができる。
実施例4のLAMPプライマーセットを用いた場合には、図8に示すように濁度の立ち上がり曲線を描いた。10,000コピーのスレッシュホールドタイムは約85分であったが、十分検出することができた(図8)。また、図8に示すように、得られた3つのサンプルのスレッシュホールドタイムに若干の相関性の傾向が確認された。
以上のことから、各実施例においてS.pneumoniaeを検出することができ、中でも実施例1のプライマーセットは、検出の迅速性及び定量性に極めて優れていた。
[ループプライマーを用いたLAMP法による検出]
染色体DNAの調製は前記と同様にし、LAMPプライマーセットは表1の「実施例5」の欄に記載のもの(配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号4及び配列番号25)を用い、染色体DNAを鋳型にLAMP反応を行った。
結果を表1並びに図9及び10に示す。
ループプライマーを使用したときの検出時間は13分42秒であり(表1)、実施例1よりもさらに迅速に検出することができた。
図9は、リアルタイム濁度測定装置を用いたLAMP反応速度の測定結果を示すグラフである。図9に示すように、鋳型DNA濃度が10コピー以上であれば、30分以内に濁度が0.1以上になることが確認された。鋳型DNAの濃度が10コピーから10コピーまで10倍ごとに増加するに従い、スレッシュホールドタイムが短縮された。
図10は、反応時間とDNA濃度との関係を示すものであり、両者は、r値が0.999という直線関係を示した。
本発明の検出方法によれば、従来のPCR法などと比べても特異性に優れ、検出感度が高く、かつ、迅速に検出可能であると共に、S.pneumoniaeの定量も可能である。また、LAMP反応は等温条件下でも進行し、また結果を目視により確認することができるため、設備もシンプルで、病院の検査室等でも簡易、迅速に行うことができる。
配列番号1:合成DNA
配列番号2:合成DNA
配列番号3:合成DNA
配列番号4:合成DNA
配列番号5:合成DNA
配列番号6:合成DNA
配列番号7:合成DNA
配列番号8:合成DNA
配列番号9:合成DNA
配列番号10:合成DNA
配列番号11:合成DNA
配列番号12:合成DNA
配列番号13:合成DNA
配列番号14:合成DNA
配列番号15:合成DNA
配列番号16:合成DNA
配列番号17:合成DNA
配列番号18:合成DNA
配列番号19:合成DNA
配列番号20:合成DNA
配列番号21:合成DNA
配列番号22:合成DNA
配列番号23:合成DNA
配列番号24:合成DNA
配列番号25:合成DNA
配列番号27:合成DNA
配列番号28:合成DNA
配列番号29:合成DNA
配列番号30:合成DNA

Claims (3)

  1. ライマーセットを用いて、配列番号26で表されるStreptococcus pneumoniae由来のlytA遺伝子を増幅し、得られる増幅産物を検出するStreptococcus pneumoniaeの検出方法であって、
    前記プライマーセットとして、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせからなるLAMPプライマーセット、又は、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号4及び配列番号25で表される塩基配列の組み合わせからなるLAMPプライマーセットを用いることを特徴とする、
    前記検出方法
  2. 配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4で表される塩基配列の組み合わせからなるLAMPプライマーセット、又は、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号4及び配列番号25で表される塩基配列の組み合わせからなるLAMPプライマーセットである、Streptococcus pneumoniaeの検出用プライマーセット。
  3. 請求項記載のプライマーセットを含む、Streptococcus pneumoniaeの検出用キット。
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