JP5003239B2 - 含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents
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Journal of Fluorine Chemistry (1984) Vol.24, 191-203に提案されているように
RfI + RSNa → RfSR または
RfI + RSN(Bu)4 → RfSR の反応をDMFまたはPhH/H2O中で行う方法、
Journal of Fluorine Chemistry (2000) Vol.105, 41-44(特開平2-204477)に提案されているように、
RfI + RSH → RfSR をロンガリッド(HOCH2SO2Na)共存下でDMF-H2O系で行う方法、
が挙げられる。これら方法は、有機溶媒(例えば、PhH, DMF)および界面活性剤を用いており、加えて、収率は低い(例えば、12〜48%程度)ものであった。
しかし、有機溶媒(PhH, DMF)を使用しないで水(特に、水溶液)を用い、選択的にRfSRを合成する方法は未だ提案されていなかった。
CH2=C(-X)-C(=O)-O-(CH2)m-Y-Rf
[式中、Xは、水素原子またはメチル基であり;
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。〕
で示される含フッ素化合物を製造できる。
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩および半減期(30℃)24時間以下のラジカル開始剤の存在下、反応させることにより、一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B) 必要により、含フッ素アルコールを酸化剤と反応させ、含フッ素アルコールにおける−S−を−SO−または−SO2−に酸化させる工程、
(C) 工程(A)または工程(B)から得られた一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OH (21)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有して成る含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法を提供する。
含フッ素アルキル(メタ)アクリレートは、含フッ素重合体を構成できる単量体である。
本発明の製法により得られた含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることによって、撥水性、撥油性、および防汚性に優れた表面処理剤が得られる。
(Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)から
HO-(CH2)m-Y-Rf
(Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、mは1〜10である。)
を経由して
CH2=CH(-X)COZ
(Xは水素原子またはメチル基であり;ZはOHまたはハロゲン)
との縮合により、
CH2=C(-X)-C(=O)-O-(CH2)m-Y-Rf
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが得られる。
アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩および半減期(30℃)24時間以下のラジカル開始剤の存在下、反応させることによって、一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る。
ヒドロキシチオールにおいて、mは1〜10、好ましくは2〜5である。
工程(A)において、反応温度が−50〜60℃、例えば0〜35℃であることが好ましい。反応時間は、一般に、0.1〜50時間、例えば0.5〜30時間である。
ラジカル開始剤の例は、アゾ化合物、ホウ素化合物である。ラジカル開始剤の具体例は、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)[V-70](30℃での半減期: 10時間)、トリエチルホウ素(30℃での半減期:1秒以下)である。
工程(A)によって、含フッ素アルコールが得られる。
酸化剤の例は、過酸化物、オゾン、酸素分子である。過酸化物の具体例は、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酢酸、オゾン、過硫酸塩である。酸化剤の量は、含フッ素アルコール1モルに対して1.0モル〜4.0モル、例えば2.0モル〜3.0モルであることが好ましい。酸化反応は、10〜80℃で、0.5〜50時間行うことができる。酸化反応は、溶媒(例えば、水または有機溶媒)の存在下で行ってよい。
(メタ)アクリル酸ハライドにおいて、ハロゲンの例は、塩素、臭素、ヨウ素である。(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸の量は、含フッ素アルコール1モルに対して1.0〜1.5モルであることが好ましい。反応は、0〜80℃で、0.1〜50時間行うことができる。反応は、溶媒(例えば、水または有機溶媒)の存在下で行ってよい。触媒、例えば、塩基または酸を、含フッ素アルコール1モルに対して10〜3000ミリモル、特に100〜1500ミリモルの量で用いてもよい。塩基の例は、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-アザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-エン、2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスフォリンなどのアミンである。酸の例は、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、塩化ハフニウムTHF錯体などのルイス酸やブレンステッド酸である。
Rf基の片末端がヨウ素で置換されているペルフルオロアルキルアイオダイドとメルカプトプロパノールを、例えば、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)などのラジカル開始剤、および触媒量の塩化ベンジルトリエチルアンモニウム存在下、溶媒(例えば水酸化ナトリウム水溶液)中で、例えば0〜50℃、特に15〜25℃で、0.5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルチオプロパノール(RfSCH2CH2CH2OH)を得る。
このスルフィドアルコールを、例えば触媒量のタングステン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩存在下、30%過酸化水素水で例えば35〜45℃で、5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルスルホニルプロパノール(RfSO2CH2CH2CH2OH)を得る。
ペルフルオロアルキルスルホニルプロパノールとアクリル酸クロライドを有機塩基(例えばトリエチルアミン)存在下、溶媒(例えば塩化メチレン)中で例えば5〜25℃で0.5〜30時間反応させることによりペルフルオロアルキルスルホニルプロピルアクリレート(CH2=CH-C(=O)-O-(CH2)3-SO2-Rf)を得る。
以下のようにして単量体(モノマー)を合成した。
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成
100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、温度計、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液24g(60mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.14g(5.0mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンを緩やかにバブリングしながら、3-メルカプトプロパノール 4.3mL(4.6g、50mmol)をゆっくりと加えた(内温5℃)。室温(15〜25℃)放置でさらにアルゴンを30分間バブリングした。その後、アルゴンバブリングを止めジムロート頭頂部からのアルゴン気流雰囲気に変更した。あらかじめ室温で30分間アルゴンを緩やかにバブリングした1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、100mmol) を、ゆっくりと滴加した。さらに2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)[V-70] (30℃での半減期:10時間) を0.77g(2.5mmol)加えた。反応容器をアルミホイルで遮光し、室温(内温15〜25℃)で攪拌した。6時間後、反応液にトリフルオロトルエン7.3g(50.0mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率96.0%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率69.5%であった。
1H NMR(CDCl3; 内部標準TMS δppm): 3.78(t, 2H, JHH=5.9Hz,CH 2 OH), 3.09(t, 2H, JHH=7.1Hz, SCH 2 ), 1.96(tt, 2H, JHH=7.1Hz, JHH=5.9Hz, CH2CH 2 CH2)
19F NMR(CDCl3; 内部標準CFCl3 δppm): -81.5(m, 3F, CF3), -88.2(m, 2F, CF2S), -121.3(m, 2F, CF2), -126.0(m, 2F, CF2).
3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの合成
100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、温度計、ジムロートコンデンサーを装着した。反応容器に10%水酸化ナトリウム水溶液24g(60.0mmol)を入れ、氷冷しながら塩化ベンジルトリエチルアンモニウム1.14g(5.0mmol)を加え溶解した。氷冷下、アルゴンバブリングせずに、3-メルカプトプロパノール 4.3mL(4.6g、50.0mmol)をゆっくりと加えた(内温5℃)。室温(15〜25℃)放置でさらに30分間攪拌した。アルゴンバブリングしないで室温放置しておいた1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、10.0mmol) を、ゆっくりと加えた。さらに1.0mol/Lのトリエチルホウ素(30℃での半減期:酸素との反応での半減期は1秒以下)ヘキサン溶液5mL(5.0mmol)を加え、室温(内温15〜25℃)で攪拌した。21時間後、反応液にトリフルオロトルエン7.3g(50.0mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率46.5%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率66.2%、還元体不純物C4F9Hの生成率は3.2%であった。
100mL四つ口フラスコに、マグネティックスターラー、温度計、ジムロートコンデンサーを装着した。亜硫酸ナトリウム・7水和物13.0g(51.5mmol)、3-メルカプトプロパノール4.3mL(4.6g、50.0mmol)、水8mL、DMF41mLをフラスコに加えた。窒素雰囲気下35℃に保温して、攪拌しながら1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-ヨードブタン16.8mL(34.6g、10.0mmol)を加えた。30分の誘導時間で液が黄色に変化し、内温が約40℃に上昇した。温度が下降し始めたら、水浴の水を捨て、40℃程度の水に入れ替え、6時間攪拌を続けた(内温は30〜40℃)。反応液を水40mLにあけ、2層分離した。分液漏斗で下層を分取した。この粗生成物にトリフルオロトルエン7.3g(50.0mmol)を加えF-NMR分析を行ったところ、フッ素捕捉率86.2%、3-(ペルフルオロブチルチオ)プロパノールの収率60.0%であった。
Claims (14)
- 一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩および半減期(30℃)24時間以下のラジカル開始剤の存在下、反応させることにより、一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B) 必要により、含フッ素アルコールを酸化剤と反応させ、含フッ素アルコールにおける−S−を−SO−または−SO2−に酸化させる工程、
(C) 工程(A)または工程(B)から得られた一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OH (21)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有して成る含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法。 - 工程(A)において、反応温度が−50〜60℃である請求項1に記載の方法。
- 工程(A)において、アルカリ性水溶液のpH値が8〜12であるかまたはアルカリ化合物の量がヒドロキシチオール1モルに対して0.1モル〜10モルである請求項1に記載の方法。
- 工程(A)において、ラジカル開始剤の半減期(30℃)が1秒〜20時間である請求項1に記載の方法。
- 工程(A)において、ラジカル開始剤が水溶性である請求項1に記載の方法。
- 工程(A)において、ラジカル開始剤がアゾ系化合物または有機ホウ素化合物である請求項1に記載の方法。
- 工程(B)において、酸化剤が過酸化物である請求項1に記載の方法。
- 工程(B)において、酸化剤が、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酢酸、オゾン、酸素分子、過硫酸塩である請求項1に記載の方法。
- 工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸ハライドとを、塩基の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
- 工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
- 工程(C)において、含フッ素アルコールと(メタ)アクリル酸とを、脱水剤および塩基の存在下に反応させる請求項1に記載の方法。
- Rfが式:
F(CF2CF2)n-
(式中、nは1〜3の整数である。)
で示される基である請求項1に記載の方法。 - 一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法であって、
(A) アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩および半減期(30℃)24時間以下のラジカル開始剤の存在下、反応させることにより、一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、
(B) 必要により、含フッ素アルコールと過酸化水素を反応させることにより、一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OH (21)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールを得る工程、次いで
(C) 工程(B)で得られた含フッ素アルコールと、(メタ)アクリル酸ハライドまたは(メタ)アクリル酸とを反応させることにより、一般式:
Rf-Y-(CH2)m-OC(=O)C(-X)=CH2 (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基であり、
Yは-S-または-SO-または-SO2-であり、
Rfは、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを得る工程
を有してなる含フッ素アルキル(メタ)アクリレートの製造方法。 - 一般式:
Rf-S-(CH2)m-OH (13)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、
mは1〜10である。)
で示される含フッ素アルコールの製造方法であって、
アルカリ性水溶液中において、一般式:
Rf-I (11)
(式中、Rfは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基である。)
で示される含フッ素アイオダイドと一般式:
HS(CH2)m OH (12)
(式中、mは1〜10である。)
で示されるヒドロキシチオールとを、少なくとも1種の第四級アンモニウム塩および半減期(30℃)24時間以下のラジカル開始剤の存在下、反応させることを特徴とする、含フッ素アルコールの製造方法。
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