JP2004043402A - 含フッ素不飽和化合物およびその製造方法 - Google Patents
含フッ素不飽和化合物およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】新規な含フッ素不飽和化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】R1CY1HCY2Y3OQ1OC(O)CA1=CH2またはR2[CZ4HCZ5Z6OQ2OC(O)CA3=CH2]2(R1は1価含フッ素有機基等、R2は2価含フッ素有機基等、Y1〜Y3、Z1〜Z6はフッ素原子、Q1、Q2はアルキレン基等、A1〜A3は水素原子等。)の含フッ素不飽和化合物。−CX1HCX2X3OQOH基を有する化合物とCH2=CYC(O)Zとを反応させて、−CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2(X1〜X3はフッ素原子、Qはアルキレン基等、Aは水素原子等。)基を有する含フッ素不飽和化合物を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】R1CY1HCY2Y3OQ1OC(O)CA1=CH2またはR2[CZ4HCZ5Z6OQ2OC(O)CA3=CH2]2(R1は1価含フッ素有機基等、R2は2価含フッ素有機基等、Y1〜Y3、Z1〜Z6はフッ素原子、Q1、Q2はアルキレン基等、A1〜A3は水素原子等。)の含フッ素不飽和化合物。−CX1HCX2X3OQOH基を有する化合物とCH2=CYC(O)Zとを反応させて、−CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2(X1〜X3はフッ素原子、Qはアルキレン基等、Aは水素原子等。)基を有する含フッ素不飽和化合物を製造する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な含フッ素不飽和化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端部分に(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素不飽和化合物としては、Rf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)H=CH2(Rfはポリフルオロアルキル基、nは0以上の整数、A’は水素原子またはメチル基を示す。)があり、該含フッ素不飽和化合物の製造方法には、たとえば以下の方法がある。
【0003】
RfIとCF2=CF2をテロメリゼーション反応によりRf(CF2CF2)nI(nは1以上の整数。)としたものを、エチレンに付加してRf(CF2CF2)nCH2CH2Iとし、アルカリ金属を担持した固体酸触媒を用いてRf(CF2CF2)nCH2CH2OHとして、さらにCH2=C(A’)COOHと反応させて、Rf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)=CH2とする方法。
【0004】
しかし、テロメリゼーション反応によりRf(CF2CF2)nIを製造すると、炭素数(すなわち前記化学式におけるn)に分布を有する化合物が生成するため、該化合物から誘導されたRf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)=CH2も、炭素数に分布を有する含フッ素不飽和化合物となる。よって、末端部分に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、特定の炭素数を有する含フッ素不飽和化合物を得るためには、反応後に分離を行う必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記テロメリゼーション反応における炭素数分布の難点を解消するためには、特定の含フッ素アルコールを用いることが重要であり、それに基づいて末端部分に(メタ)アクリロイル基を有する新規化合物を見出した。すなわち、本発明は、新規な含フッ素不飽和化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下式1または下式2で表される含フッ素不飽和化合物を提供する。R1CY1HCY2Y3OQ1OC(O)CA1=CH2・・・式1
CH2=CA2C(O)OQ2OCZ1Z2CZ3HR2CZ4HCZ5Z6OQ3OC(O)CA3=CH2・・・式2
ただし、式1、式2における記号は、以下の意味を示す。
R1:1価有機基、ハロゲン原子または水素原子。
R2:2価有機基。
A1、A2、A3:それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Y1、Y2、Y3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R1がフッ素原子でない場合はY1、Y2、Y3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも一つはフッ素原子であり、かつ、Z4、Z5、Z6のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q1、Q2、Q3:それぞれ独立に、2価有機基。
【0007】
また、本発明は、下式3で表される基を有する含フッ素アルコールと下式4で表される化合物とを反応させることを特徴とする、下式5で表される基を有する含フッ素不飽和化合物の製造方法を提供する。
−CX1HCX2X3OQOH・・・式3
CH2=CAC(O)Z・・・式4
−CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2・・・式5
ただし、式3、式4、式5における記号は、以下の意味を示す。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
A:水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Z:水酸基または塩素原子。
【0008】
【発明の実施の形態】
前記式1で表される含フッ素不飽和化合物(以下、化合物1とも記す。他の化合物についても同様。)において、R1は1価有機基、ハロゲン原子または水素原子である。R1としては、1価炭化水素基または1価ハロゲン化炭化水素基が好ましく、特にエーテル性酸素原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基が好ましい。R1は、直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよい。
【0009】
R1は、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0010】
化合物1において、Y1、Y2、Y3としてはフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Q1は2価炭化水素基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。さらにQ1としては、−(CH2)t−(tは1以上の整数。)で表される基が好ましく、特にtが2〜12である基が好ましく、特にtが2〜6である基が好ましい。A1としては、水素原子、メチル基、フッ素原子が好ましい。
【0011】
化合物1としては、合成が容易であるため、R’CFHCF2O(CH2)mOC(O)CA1=CH2(ただし、R’は炭素数1〜16のエーテル性酸素原子を含む1価含フッ素有機基、A1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基、mは2〜12の整数を示す。)で表される化合物(化合物6)が好ましい。化合物6において、R’は直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する場合には、分岐部分が末端に存在するのが好ましく、該分岐部分は(CF3)2CF−が好ましい。
【0012】
R’としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0013】
化合物1の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
H(CF2)2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2。、C2F5CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0014】
C5F11CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0015】
C3F7OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)2OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OC(O)C(CH3)=CH2、C4F9OCFHCF2OCH2CH2OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0016】
(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2。
【0017】
化合物2において、R2としては、2価炭化水素基または2価ハロゲン化炭化水素基が好ましく、特にエーテル性酸素原子を含む2価ハロゲン化炭化水素基が好ましい。R2は、直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよい。
【0018】
R2は、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0019】
化合物2において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6としてはフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Q2、Q3、A2は前記化合物1におけるQ1、A1と同様の態様が好ましい。
【0020】
化合物2としては、合成が容易であるため、R”[CFHCF2O(CH2)qOC(O)CA2=CH2]2(ただし、R”は炭素数1〜16のエーテル性酸素原子を含む2価含フッ素有機基、qは2〜12の整数、A2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を示す。)で表される化合物(化合物7)が好ましい。化合物7において、R’’は直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する場合には、分岐部分が末端に存在するのが好ましく、該分岐部分は(CF3)2CF−が好ましい。
【0021】
R”としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0022】
化合物2の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)OCH2CH2OCF2CFH(CF2)3CFHCF2OCH2CH2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0023】
CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2。
【0024】
CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0025】
化合物3において、X1、X2、X3はフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Qは前記化合物1におけるQ1と同様の態様が好ましい。
【0026】
化合物3としては、下式6で表される化合物(化合物6)が好ましい。
R[CX1HCX2X3OQOH]p・・・式6
ただし、式6における記号は以下の意味を示す。
R:p価有機基。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
p:1〜4の整数。
【0027】
化合物3の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
H(CF2)2O(CH2)2OH、H(CF2)2O(CH2)3OH、H(CF2)2O(CH2)4OH、H(CF2)2O(CH2)6OH、CF3CFHCF2O(CH2)2OH、CF3CFHCF2O(CH2)3OH、CF3CFHCF2O(CH2)4OH、CF3CFHCF2O(CH2)6OH、C2F5CFHCF2O(CH2)2OH。、C2F5CFHCF2O(CH2)3OH、C2F5CFHCF2O(CH2)4OH、C2F5CFHCF2O(CH2)6OH、C3F7CFHCF2O(CH2)2OH、C3F7CFHCF2O(CH2)3OH、C3F7CFHCF2O(CH2)4OH、C3F7CFHCF2O(CH2)6OH。
【0028】
C5F11CFHCF2O(CH2)2OH、C5F11CFHCF2O(CH2)3OH、C5F11CFHCF2O(CH2)4OH、C5F11CFHCF2O(CH2)6OH、C7F15CFHCF2O(CH2)2OH、C7F15CFHCF2O(CH2)3OH、C7F15CFHCF2O(CH2)4OH、C7F15CFHCF2O(CH2)6OH。
【0029】
C3F7OCFHCF2O(CH2)2OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OH、C4F9OCFHCF2OCH2CH2OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)3OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)4OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)6OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)2OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)3OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)4OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)6OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)2OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)3OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)4OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)6OH。
【0030】
(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)2OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)3OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)4OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)6OH、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OH、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)4OH、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)4OH。
【0031】
HO(CH2)2OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)6OH、HOCH2CH2OCF2CFH(CF2)3CFHCF2OCH2CH2OH、HO(CH2)3OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)6OH。
【0032】
HO(CH2)2OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)6OH、HO(CH2)2OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)6OH、HO(CH2)2OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OH。
【0033】
HO(CH2)3OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)6OH。
【0034】
化合物4において、Aは前記化合物1におけるA1と同様の態様が好ましい。化合物4の具体例としては、CH2=CHC(O)OH、CH2=C(CH3)C(O)OH、CH2=CHC(O)Cl、CH2=C(CH3)C(O)Cl、CH2=CFC(O)OH等が好ましく挙げられる。
【0035】
化合物7において、X1、X2、X3、Q、Aは、前記化合物3または4におけるのと同様の態様が好ましい。
【0036】
化合物5としては、化式7で表される化合物(化合物7)が好ましい。
R[CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2]p・・・式7
ただし、式7における記号は、以下の意味を示す。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
R:p価有機基。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
A:水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
p:1〜4の整数。
【0037】
化合物7において、R、X1、X2、X3、Q、A、pとしては、前記化合物4または6におけるのと同様の態様が好ましい。化合物5としては、前記化合物1または前記化合物2が好ましく挙げられる。
【0038】
化合物3と化合物4の反応は、(メタ)アクリレート化合物を合成する公知の方法に従えばよい。たとえば、化合物3とアクリル酸とをトルエン等の溶媒に溶解し、酸触媒の存在下に溶媒を還流させて脱水反応を行う方法、化合物3とアクリル酸クロリドとをトリエチルアミン等の塩基の存在下に反応させる方法等が好ましく挙げられる。
【0039】
該反応において、式5で表される基を1個有する化合物、すなわち化合物1を製造する場合は、化合物4の使用量は、化合物3の1モルに対して1〜1.5モルが好ましく、特に1.05〜1.2モルが好ましい。また、式5で表される基を2個有する化合物、すなわち化合物2を製造する場合は、化合物4の使用量は、化合物3の1モルに対して2〜3モルが好ましく、特に2.1〜2.4モルが好ましい。
【0040】
また、該反応の温度は、室温〜150℃が好ましく、圧力は常圧が好ましい。該反応においては、溶媒を用いてもよく、用いなくてもよいが、溶媒は用いるのが好ましい。該溶媒としては、脱水反応により合成する場合は、トルエン、キシレン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が好ましい。アクリル酸クロリドをトリエチルアミン等の塩基の存在下に反応させる場合は、ジクロロペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、商品名「AK−225」)等が好ましい。
【0041】
【作用】
本発明において、化合物5が生成する機構は以下のように推定される。
Zが水酸基である化合物4を用いる場合は、酸触媒の存在下に脱水反応を行わしめ、化合物3の水酸基と化合物4のカルボキシル基が脱水縮合することにより、化合物5が生成する。Zが塩素原子である化合物4を用いる場合は、トリエチルアミン等の塩基の存在下での化合物3と化合物4との脱HCl反応により化合物5が生成する。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[参考例1]
内容積50mLのステンレス製の反応容器に、1,4−ジオキサンの30g、C3F7OCF=CF2の10g、HO(CH2)4OHの13.55gおよびKOHの0.55gを入れて密閉し、撹拌しながら70℃で8時間反応を行った。水を50mL入れて2層分離した後、有機層を蒸留して、生成物であるCF3CF2CF2OCFHCF2O(CH2)4OH(化合物X)とC3F7OCFHCF2O(CH2)4OCF2CFHOC3F7の12.8gを得た。該生成物の生成割合は94:6(モル比)であった。
【0043】
[参考例2]
内容積50mLのステンレス製の反応容器に、1,4−ジオキサンの30g、CF2=CFO(CF2)2OCF=CF2の10g、HO(CH2)4OHの12.26gおよびKOHの0.55g、を入れて密閉し、撹拌しながら70℃で8時間反応を行った。水を50mL入れて2層分離した後、有機層を蒸留して生成物であるHO(CH2)4OCF2HCFO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OH(化合物M)の13.2gを得た。
【0044】
[例1]
撹拌機、ジムロート、滴下ロート付き500mLの三つ口フラスコに、化合物Xの40g(0.11モル)、トリエチルアミンの13g(0.13モル)およびAK−225の51gを入れ、アクリル酸クロリドの17g(0.13モル)を室温にて0.5時間かけて滴下した。その後、室温で2時間撹拌し、得られた反応粗液を蒸留水で洗浄し、減圧蒸留して、目的とするC3F7OCHFCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2(沸点86℃/3.3torr、以下、化合物Aと記す。)の18gを得た。収率は40%であった。
【0045】
得られた化合物Aについての測定結果を以下に示す。
IR(neat):2973,1728,1237,1154,1093,986cm−1、
1H−NMR(CDCl3)δ:1.72〜1.86(m,4H,CH2(CH2)2CH2),3.98〜4.08(m,2H,CF2OCH2),4.15〜4.25(m,2H,CH2O(C=O)),5.84(d,dJ=10.5,1.5Hz,1H,=CH2),5.86(d,t,53.5Hz,2.9Hz,1H,CFHCF2),6.12(d,d,J=17.7,10.5Hz,1H,=CH2),6.41(d,d,J=17.7,1.5Hz,1H,CH=)、
19F−N−MR(CDCl3)δ:−81.5(t,J=7.5Hz,3F,CF3),−84.9and−87.0(ABquartet,J=144Hz,2F,CF2OCFH),−89.3and−90.0(ABquartet,J=144Hz,2F,CF2OCH2),−129.53〜−129.61(m,2F,CF2CF3),−144.2(d,J=53.5Hz,1F,CFH)。
【0046】
[例2]
撹拌機、ジムロート、滴下ロート付き500mLの三つ口フラスコに、化合物Mの40g(0.084モル)、トリエチルアミンの20.2g(0.20モル)およびAK−225の51gを入れ、アクリル酸クロリドの18.1g(0.20モル)を室温にて0.5時間かけて滴下した。その後、室温で2時間撹拌し、得られた反応粗液を蒸留水で洗浄し、減圧蒸留して、目的とするCH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2HCFO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2の23.2gを得た。収率は50%であった。
【0047】
得られた化合物についての測定結果を以下に示す。
【0048】
IR(neat):2973,1728,1237,1154,1093,986cm−1、
1H−NMR(CDCl3)δ:1.72〜1.86(m,8H,CH2(CH2)2CH2),3.98〜4.08(m,4H,CF2OCH2),4.15〜4.25(m,4H,CH2O(C=O)),5.84(d,dJ=10.5,1.5Hz,2H,=CH2),5.86(d,t,53.5Hz,2.9Hz,2H,CFHCF2),6.12(d,d,J=17.7,10.5Hz,2H,=CH2),6.41(d,d,J=17.7,1.5Hz,2H,CH=)、
19F−NMR(CDCl3)δ:−84.86and−86.96(ABquartet,J=145.0Hz,4F,CF2OCFH),−89.30and−89.94(ABquartet,J=144.0Hz,4F,CF2OCH2),−144.2(d,quintet,J=53.5Hz,8.6Hz,2F,CFH)。
【0049】
[参考例3]
100mLガラス製重合アンプルに、例1で得られた化合物Aの19.5g、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(225ca)/1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(225cb)の混合溶剤(以下、R225と記す。)40.5gおよび開始剤の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)の0.18gを入れた後、窒素置換を行い、65℃で15時間重合反応を行ったところ、固形分濃度29.6%のポリマ溶液を得た。
【0050】
得られたポリマ溶液を固形分濃度5%となるようにR225にて希釈した。希釈により得られたポリマ溶液を、スピンコーターを用いてガラスに塗布し、試料を作成した。この試料に水およびヘキサデカンを4μL滴下し、60秒後の接触角を調べたところ、各々104.1°、67.9°と高い撥水撥油性を示した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な含フッ素不飽和化合物を合成できる。該含フッ素不飽和化合物は、各種化合物の中間体として有用である。たとえば、UV硬化樹脂の原料、撥水撥油剤として有用である。
【0052】
また、本発明の含フッ素不飽和化合物の原料である含フッ素アルコールは、Adv.Synth.Catal.2001,343,No.2に記載の直接フッ素化を用いて合成でき、直接フッ素化では原料の構造を選択できるため、得られた含フッ素不飽和化合物も種々の構造のものが得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な含フッ素不飽和化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端部分に(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素不飽和化合物としては、Rf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)H=CH2(Rfはポリフルオロアルキル基、nは0以上の整数、A’は水素原子またはメチル基を示す。)があり、該含フッ素不飽和化合物の製造方法には、たとえば以下の方法がある。
【0003】
RfIとCF2=CF2をテロメリゼーション反応によりRf(CF2CF2)nI(nは1以上の整数。)としたものを、エチレンに付加してRf(CF2CF2)nCH2CH2Iとし、アルカリ金属を担持した固体酸触媒を用いてRf(CF2CF2)nCH2CH2OHとして、さらにCH2=C(A’)COOHと反応させて、Rf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)=CH2とする方法。
【0004】
しかし、テロメリゼーション反応によりRf(CF2CF2)nIを製造すると、炭素数(すなわち前記化学式におけるn)に分布を有する化合物が生成するため、該化合物から誘導されたRf(CF2CF2)nCH2CH2OC(O)C(A’)=CH2も、炭素数に分布を有する含フッ素不飽和化合物となる。よって、末端部分に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、特定の炭素数を有する含フッ素不飽和化合物を得るためには、反応後に分離を行う必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記テロメリゼーション反応における炭素数分布の難点を解消するためには、特定の含フッ素アルコールを用いることが重要であり、それに基づいて末端部分に(メタ)アクリロイル基を有する新規化合物を見出した。すなわち、本発明は、新規な含フッ素不飽和化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下式1または下式2で表される含フッ素不飽和化合物を提供する。R1CY1HCY2Y3OQ1OC(O)CA1=CH2・・・式1
CH2=CA2C(O)OQ2OCZ1Z2CZ3HR2CZ4HCZ5Z6OQ3OC(O)CA3=CH2・・・式2
ただし、式1、式2における記号は、以下の意味を示す。
R1:1価有機基、ハロゲン原子または水素原子。
R2:2価有機基。
A1、A2、A3:それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Y1、Y2、Y3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R1がフッ素原子でない場合はY1、Y2、Y3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも一つはフッ素原子であり、かつ、Z4、Z5、Z6のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q1、Q2、Q3:それぞれ独立に、2価有機基。
【0007】
また、本発明は、下式3で表される基を有する含フッ素アルコールと下式4で表される化合物とを反応させることを特徴とする、下式5で表される基を有する含フッ素不飽和化合物の製造方法を提供する。
−CX1HCX2X3OQOH・・・式3
CH2=CAC(O)Z・・・式4
−CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2・・・式5
ただし、式3、式4、式5における記号は、以下の意味を示す。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
A:水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Z:水酸基または塩素原子。
【0008】
【発明の実施の形態】
前記式1で表される含フッ素不飽和化合物(以下、化合物1とも記す。他の化合物についても同様。)において、R1は1価有機基、ハロゲン原子または水素原子である。R1としては、1価炭化水素基または1価ハロゲン化炭化水素基が好ましく、特にエーテル性酸素原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基が好ましい。R1は、直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよい。
【0009】
R1は、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0010】
化合物1において、Y1、Y2、Y3としてはフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Q1は2価炭化水素基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。さらにQ1としては、−(CH2)t−(tは1以上の整数。)で表される基が好ましく、特にtが2〜12である基が好ましく、特にtが2〜6である基が好ましい。A1としては、水素原子、メチル基、フッ素原子が好ましい。
【0011】
化合物1としては、合成が容易であるため、R’CFHCF2O(CH2)mOC(O)CA1=CH2(ただし、R’は炭素数1〜16のエーテル性酸素原子を含む1価含フッ素有機基、A1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基、mは2〜12の整数を示す。)で表される化合物(化合物6)が好ましい。化合物6において、R’は直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する場合には、分岐部分が末端に存在するのが好ましく、該分岐部分は(CF3)2CF−が好ましい。
【0012】
R’としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0013】
化合物1の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
H(CF2)2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、H(CF2)2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CF3CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2。、C2F5CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C2F5CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C3F7CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0014】
C5F11CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C5F11CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C7F15CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0015】
C3F7OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)2OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OC(O)C(CH3)=CH2、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OC(O)C(CH3)=CH2、C4F9OCFHCF2OCH2CH2OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C4F9OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C5F11OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、C6F13OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0016】
(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2。
【0017】
化合物2において、R2としては、2価炭化水素基または2価ハロゲン化炭化水素基が好ましく、特にエーテル性酸素原子を含む2価ハロゲン化炭化水素基が好ましい。R2は、直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよい。
【0018】
R2は、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0019】
化合物2において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6としてはフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Q2、Q3、A2は前記化合物1におけるQ1、A1と同様の態様が好ましい。
【0020】
化合物2としては、合成が容易であるため、R”[CFHCF2O(CH2)qOC(O)CA2=CH2]2(ただし、R”は炭素数1〜16のエーテル性酸素原子を含む2価含フッ素有機基、qは2〜12の整数、A2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を示す。)で表される化合物(化合物7)が好ましい。化合物7において、R’’は直鎖構造でもよく、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する場合には、分岐部分が末端に存在するのが好ましく、該分岐部分は(CF3)2CF−が好ましい。
【0021】
R”としては、フッ素化炭化水素基が好ましく、特に炭化水素基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロ炭化水素基が好ましく、とりわけエーテル性酸素原子を含むペルフルオロ炭化水素基が好ましい。エーテル性酸素原子が含まれる場合は、該エーテル性酸素原子は末端部分に存在するのが好ましい。
【0022】
化合物2の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)OCH2CH2OCF2CFH(CF2)3CFHCF2OCH2CH2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0023】
CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)2OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OC(O)CH=CH2。
【0024】
CH2=CHC(O)O(CH2)3OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)3OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2、CH2=CHC(O)O(CH2)6OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)6OC(O)CH=CH2。
【0025】
化合物3において、X1、X2、X3はフッ素原子が好ましく、すべてがフッ素原子であるのが好ましい。また、Qは前記化合物1におけるQ1と同様の態様が好ましい。
【0026】
化合物3としては、下式6で表される化合物(化合物6)が好ましい。
R[CX1HCX2X3OQOH]p・・・式6
ただし、式6における記号は以下の意味を示す。
R:p価有機基。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
p:1〜4の整数。
【0027】
化合物3の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
H(CF2)2O(CH2)2OH、H(CF2)2O(CH2)3OH、H(CF2)2O(CH2)4OH、H(CF2)2O(CH2)6OH、CF3CFHCF2O(CH2)2OH、CF3CFHCF2O(CH2)3OH、CF3CFHCF2O(CH2)4OH、CF3CFHCF2O(CH2)6OH、C2F5CFHCF2O(CH2)2OH。、C2F5CFHCF2O(CH2)3OH、C2F5CFHCF2O(CH2)4OH、C2F5CFHCF2O(CH2)6OH、C3F7CFHCF2O(CH2)2OH、C3F7CFHCF2O(CH2)3OH、C3F7CFHCF2O(CH2)4OH、C3F7CFHCF2O(CH2)6OH。
【0028】
C5F11CFHCF2O(CH2)2OH、C5F11CFHCF2O(CH2)3OH、C5F11CFHCF2O(CH2)4OH、C5F11CFHCF2O(CH2)6OH、C7F15CFHCF2O(CH2)2OH、C7F15CFHCF2O(CH2)3OH、C7F15CFHCF2O(CH2)4OH、C7F15CFHCF2O(CH2)6OH。
【0029】
C3F7OCFHCF2O(CH2)2OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)3OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)4OH、C3F7OCFHCF2O(CH2)6OH、C4F9OCFHCF2OCH2CH2OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)3OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)4OH、C4F9OCFHCF2O(CH2)6OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)2OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)3OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)4OH、C5F11OCFHCF2O(CH2)6OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)2OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)3OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)4OH、C6F13OCFHCF2O(CH2)6OH。
【0030】
(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)2OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)3OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)4OH、(CF3)2CFCF2CFHCF2O(CH2)6OH、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OH、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]2CFHCF2O(CH2)4OH、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)2OH、F[CF(CF3)CF2O]3CFHCF2O(CH2)4OH。
【0031】
HO(CH2)2OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH(CF2)2CFHCF2O(CH2)6OH、HOCH2CH2OCF2CFH(CF2)3CFHCF2OCH2CH2OH、HO(CH2)3OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH(CF2)3CFHCF2O(CH2)6OH。
【0032】
HO(CH2)2OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFHO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)6OH、HO(CH2)2OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)2OH、HO(CH2)3OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFHO(CF2)3OCFHCF2O(CH2)6OH、HO(CH2)2OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)2OH。
【0033】
HO(CH2)3OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)3OH、HO(CH2)4OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)4OH、HO(CH2)6OCF2CFH[OCF2CF(CF3)]OCF2(CF2)4CF2O[CF(CF3)CF2O]CFHCF2O(CH2)6OH。
【0034】
化合物4において、Aは前記化合物1におけるA1と同様の態様が好ましい。化合物4の具体例としては、CH2=CHC(O)OH、CH2=C(CH3)C(O)OH、CH2=CHC(O)Cl、CH2=C(CH3)C(O)Cl、CH2=CFC(O)OH等が好ましく挙げられる。
【0035】
化合物7において、X1、X2、X3、Q、Aは、前記化合物3または4におけるのと同様の態様が好ましい。
【0036】
化合物5としては、化式7で表される化合物(化合物7)が好ましい。
R[CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2]p・・・式7
ただし、式7における記号は、以下の意味を示す。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
R:p価有機基。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
A:水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
p:1〜4の整数。
【0037】
化合物7において、R、X1、X2、X3、Q、A、pとしては、前記化合物4または6におけるのと同様の態様が好ましい。化合物5としては、前記化合物1または前記化合物2が好ましく挙げられる。
【0038】
化合物3と化合物4の反応は、(メタ)アクリレート化合物を合成する公知の方法に従えばよい。たとえば、化合物3とアクリル酸とをトルエン等の溶媒に溶解し、酸触媒の存在下に溶媒を還流させて脱水反応を行う方法、化合物3とアクリル酸クロリドとをトリエチルアミン等の塩基の存在下に反応させる方法等が好ましく挙げられる。
【0039】
該反応において、式5で表される基を1個有する化合物、すなわち化合物1を製造する場合は、化合物4の使用量は、化合物3の1モルに対して1〜1.5モルが好ましく、特に1.05〜1.2モルが好ましい。また、式5で表される基を2個有する化合物、すなわち化合物2を製造する場合は、化合物4の使用量は、化合物3の1モルに対して2〜3モルが好ましく、特に2.1〜2.4モルが好ましい。
【0040】
また、該反応の温度は、室温〜150℃が好ましく、圧力は常圧が好ましい。該反応においては、溶媒を用いてもよく、用いなくてもよいが、溶媒は用いるのが好ましい。該溶媒としては、脱水反応により合成する場合は、トルエン、キシレン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が好ましい。アクリル酸クロリドをトリエチルアミン等の塩基の存在下に反応させる場合は、ジクロロペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、商品名「AK−225」)等が好ましい。
【0041】
【作用】
本発明において、化合物5が生成する機構は以下のように推定される。
Zが水酸基である化合物4を用いる場合は、酸触媒の存在下に脱水反応を行わしめ、化合物3の水酸基と化合物4のカルボキシル基が脱水縮合することにより、化合物5が生成する。Zが塩素原子である化合物4を用いる場合は、トリエチルアミン等の塩基の存在下での化合物3と化合物4との脱HCl反応により化合物5が生成する。
【0042】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[参考例1]
内容積50mLのステンレス製の反応容器に、1,4−ジオキサンの30g、C3F7OCF=CF2の10g、HO(CH2)4OHの13.55gおよびKOHの0.55gを入れて密閉し、撹拌しながら70℃で8時間反応を行った。水を50mL入れて2層分離した後、有機層を蒸留して、生成物であるCF3CF2CF2OCFHCF2O(CH2)4OH(化合物X)とC3F7OCFHCF2O(CH2)4OCF2CFHOC3F7の12.8gを得た。該生成物の生成割合は94:6(モル比)であった。
【0043】
[参考例2]
内容積50mLのステンレス製の反応容器に、1,4−ジオキサンの30g、CF2=CFO(CF2)2OCF=CF2の10g、HO(CH2)4OHの12.26gおよびKOHの0.55g、を入れて密閉し、撹拌しながら70℃で8時間反応を行った。水を50mL入れて2層分離した後、有機層を蒸留して生成物であるHO(CH2)4OCF2HCFO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OH(化合物M)の13.2gを得た。
【0044】
[例1]
撹拌機、ジムロート、滴下ロート付き500mLの三つ口フラスコに、化合物Xの40g(0.11モル)、トリエチルアミンの13g(0.13モル)およびAK−225の51gを入れ、アクリル酸クロリドの17g(0.13モル)を室温にて0.5時間かけて滴下した。その後、室温で2時間撹拌し、得られた反応粗液を蒸留水で洗浄し、減圧蒸留して、目的とするC3F7OCHFCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2(沸点86℃/3.3torr、以下、化合物Aと記す。)の18gを得た。収率は40%であった。
【0045】
得られた化合物Aについての測定結果を以下に示す。
IR(neat):2973,1728,1237,1154,1093,986cm−1、
1H−NMR(CDCl3)δ:1.72〜1.86(m,4H,CH2(CH2)2CH2),3.98〜4.08(m,2H,CF2OCH2),4.15〜4.25(m,2H,CH2O(C=O)),5.84(d,dJ=10.5,1.5Hz,1H,=CH2),5.86(d,t,53.5Hz,2.9Hz,1H,CFHCF2),6.12(d,d,J=17.7,10.5Hz,1H,=CH2),6.41(d,d,J=17.7,1.5Hz,1H,CH=)、
19F−N−MR(CDCl3)δ:−81.5(t,J=7.5Hz,3F,CF3),−84.9and−87.0(ABquartet,J=144Hz,2F,CF2OCFH),−89.3and−90.0(ABquartet,J=144Hz,2F,CF2OCH2),−129.53〜−129.61(m,2F,CF2CF3),−144.2(d,J=53.5Hz,1F,CFH)。
【0046】
[例2]
撹拌機、ジムロート、滴下ロート付き500mLの三つ口フラスコに、化合物Mの40g(0.084モル)、トリエチルアミンの20.2g(0.20モル)およびAK−225の51gを入れ、アクリル酸クロリドの18.1g(0.20モル)を室温にて0.5時間かけて滴下した。その後、室温で2時間撹拌し、得られた反応粗液を蒸留水で洗浄し、減圧蒸留して、目的とするCH2=CHC(O)O(CH2)4OCF2HCFO(CF2)2OCFHCF2O(CH2)4OC(O)CH=CH2の23.2gを得た。収率は50%であった。
【0047】
得られた化合物についての測定結果を以下に示す。
【0048】
IR(neat):2973,1728,1237,1154,1093,986cm−1、
1H−NMR(CDCl3)δ:1.72〜1.86(m,8H,CH2(CH2)2CH2),3.98〜4.08(m,4H,CF2OCH2),4.15〜4.25(m,4H,CH2O(C=O)),5.84(d,dJ=10.5,1.5Hz,2H,=CH2),5.86(d,t,53.5Hz,2.9Hz,2H,CFHCF2),6.12(d,d,J=17.7,10.5Hz,2H,=CH2),6.41(d,d,J=17.7,1.5Hz,2H,CH=)、
19F−NMR(CDCl3)δ:−84.86and−86.96(ABquartet,J=145.0Hz,4F,CF2OCFH),−89.30and−89.94(ABquartet,J=144.0Hz,4F,CF2OCH2),−144.2(d,quintet,J=53.5Hz,8.6Hz,2F,CFH)。
【0049】
[参考例3]
100mLガラス製重合アンプルに、例1で得られた化合物Aの19.5g、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(225ca)/1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(225cb)の混合溶剤(以下、R225と記す。)40.5gおよび開始剤の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)の0.18gを入れた後、窒素置換を行い、65℃で15時間重合反応を行ったところ、固形分濃度29.6%のポリマ溶液を得た。
【0050】
得られたポリマ溶液を固形分濃度5%となるようにR225にて希釈した。希釈により得られたポリマ溶液を、スピンコーターを用いてガラスに塗布し、試料を作成した。この試料に水およびヘキサデカンを4μL滴下し、60秒後の接触角を調べたところ、各々104.1°、67.9°と高い撥水撥油性を示した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な含フッ素不飽和化合物を合成できる。該含フッ素不飽和化合物は、各種化合物の中間体として有用である。たとえば、UV硬化樹脂の原料、撥水撥油剤として有用である。
【0052】
また、本発明の含フッ素不飽和化合物の原料である含フッ素アルコールは、Adv.Synth.Catal.2001,343,No.2に記載の直接フッ素化を用いて合成でき、直接フッ素化では原料の構造を選択できるため、得られた含フッ素不飽和化合物も種々の構造のものが得られる。
Claims (2)
- 下式1または下式2で表される含フッ素不飽和化合物。
R1CY1HCY2Y3OQ1OC(O)CA1=CH2・・・式1
CH2=CA2C(O)OQ2OCZ1Z2CZ3HR2CZ4HCZ5Z6OQ3OC(O)CA3=CH2・・・式2
ただし、式1、式2における記号は、以下の意味を示す。
R1:1価有機基、ハロゲン原子または水素原子。
R2:2価有機基。
A1、A2、A3:それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Y1、Y2、Y3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R1がフッ素原子でない場合はY1、Y2、Y3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも一つはフッ素原子であり、かつ、Z4、Z5、Z6のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q1、Q2、Q3:それぞれ独立に、2価有機基。 - 下式3で表される基を有する含フッ素アルコールと下式4で表される化合物とを反応させることを特徴とする、下式5で表される基を有する含フッ素不飽和化合物の製造方法。
−CX1HCX2X3OQOH・・・式3
CH2=CAC(O)Z・・・式4
−CX1HCX2X3OQOC(O)CA=CH2・・・式5
ただし、式3、式4、式5における記号は、以下の意味を示す。
X1、X2、X3:それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、X1、X2、X3のうちの少なくとも一つはフッ素原子である。
Q:2価有機基。
A:水素原子、ハロゲン原子またはメチル基。
Z:水酸基または塩素原子。
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