JP2009154495A - インクジェット印字が可能な記録媒体、及び印字記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
インクジェット方式で印字が可能で、該印字は1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応でき、メタリックやラメ調などの光輝性を有する意匠性を有する受容層を有する記録媒体、及び印字記録媒体を提供する。
【解決手段】
基材11の少なくとも一方の面に、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含む受容層15を設けてなることを特徴とし、また、前記光輝性細片がホログラムフレークで、その面積が0.01〜1mm2の多角形で、かつ、受容層15の配合割合がカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:ホログラムフレーク=100:5〜20:0.2〜10であることを特徴もする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、インクジェット印字が可能な記録媒体に関し、さらに詳しくは、メタリックやラメ調などの光輝性を有する意匠性を呈する受容層へ、インクジェット方式で印字することで、高意匠性の画像が得られる記録媒体、及び印字記録媒体に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「PVC」は「ポリ塩化ビニール」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(主なる用途)本発明の記録媒体を用いた印字記録媒体の主なる用途としては、例えば、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書の証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、帳票類、封筒、タグ、OHPシート、スライドフィルム、しおり、書籍、雑誌、カレンダー、ポスター、パンフレット、プリントクラブ(登録商標)、メニュー、パスポート、POP用品、コースター、ディスプレイ、ネームプレート、キーボード、化粧品、腕時計、ライター等の装身具、文房具、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類、各種見本帳、アルバム、また、コンピュータグラフィックスの出力、医療画像出力などがある。しかしながら、光輝性を有する意匠性や、インクジェット方式で印字でき、該印字は1枚毎の個別情報をも印字でき、少ロット対応できることを必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、個別情報の印字は、顔写真などの画像はデジタル情報に基づいて、電子写真方式、溶融転写や昇華転写の熱転写方式、感熱発色方式、インクジェット方式等により、紙やプラスチックを媒体とした記録媒体へ文字、記号、写真画像などを出力し印字して広く使用されている。例えばカード用途では、顔写真、カード名、愛称名、イラスト、会員番号や注意事項などの文字、記号などの画像が多く記載されている。顔写真や会員番号は保持者の個人情報であり、1人1人異なるために、予め大量に印刷しておけない。そこでカード名などの共通情報が印刷され、個人情報画像の入っていない生カードを量産しておき、該生カードの1枚1枚へ、1人1人の個人情報(可変情報)を印字した画像を記録することが行われている。電子写真方式では高精度な機械を必要としたり、溶融転写や昇華転写の熱転写方式ではインクリボンを用いるので印字カスに個別情報が残ったり、感熱発色方式では高価で特殊な材料を使用せねばなかったりするために、1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応できるインクジェット方式が好ましい。しかしながら、インクジェット方式では一般的な印字による画像であり、金属調やラメ様効果などの光輝性を有する意匠性が劣っていた。
従って、記録媒体としては、インクジェット方式で印字が可能で、該印字は1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応でき、しかも光回折性を有するメタリック調やラメ調の光輝性、又はメタリックやラメ調などの光輝性を有する意匠性を有することが求められている。
(先行技術)従来、メタリック調やラメ調などの光輝性を有する意匠性を有する印画物(印字記録媒体)を得る方法として、金属顔料を含有するインキによる光輝性印刷層及び受容層を積層して該受容層へ印字する方法があるが、層を2層とするために、製造が煩雑で高コストである。
また、本出願人による、高輝度で明度の高いオンデマンドのメタリックカラー画像を有する印画物として、インクジェット方式によるカラー画像が形成された被転写体上に、基材フィルムの一方の面に耐熱層を設け、該基材フィルムの他方の面に少なくとも顔料及びガラス転移温度が60℃以上の熱可塑性樹脂を主体とする樹脂剥離層、金属薄膜層をこの順に形成した熱転写シートを用いて、転写することでメタリック画像を形成するものを開示している(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、受容層へ印字してから光輝性印刷層を刷り重ねる方法があるが、層を2層とするために、製造が煩雑で高コストであるという欠点がある。
さらに、本出願人による、基材の一方の面に離型層、色材受容層、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成面と該レリーフ形成面側に設けられた反射層とを備えたレリーフ形成層、及び、接着層が順次設けられた受容層転写材を用いて被転写体へ転写した後に、受容層へオンデマンド印字する方法を開示している(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、白色拡散若しくは特定の角度範囲に白色光を発現するレリーフ形状を有するレリーフ形成層を含む受容層転写材自身の製造が煩雑で、しかも転写材−転写−印字と工程が煩雑で高コストであるという問題点がある。
特開2003−266956号公報 特開2006−218847号公報
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、インクジェット方式で印字が可能で、該印字は1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応でき、光回折性を有するメタリック調やラメ調の光輝性、又はメタリックやラメ調などの光輝性を有する意匠性を有する受容層を有する記録媒体、及び印字記録媒体を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる記録媒体は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含む受容層を設けてなる記録媒体であって、前記光輝性細片がホログラムフレークで、前記受容層がメタリック調やラメ調効果を呈し、かつ、インクジェット方式で画像が印字できるように、したものである。
請求項2の発明に係わる記録媒体は、上記ホログラムフレークのの面積が0.01〜1mm2の多角形で、かつ、受容層の配合割合が質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:ホログラムフレーク=100:5〜20:0.2〜10であるように、したものである。
請求項3の発明に係わる記録媒体は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含む受容層を設けてなる記録媒体であって、前記光輝性細片が金属細片で、かつ、前記受容層がメタリック調やラメ調効果を呈し、かつ、インクジェット方式で画像が印字できるように、したものである。
請求項4の発明に係わる印字記録媒体は、請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体へ、インクジェット方式で画像が印字されてなるように、したものである。
請求項5の発明に係わる印字記録媒体は、請求項4に記載の印字記録媒体の印字済み受容層面に、保護層ラベルを貼着してなるように、したものである。
請求項1〜2の本発明によれば、1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応でき、光回折性を有するメタリック調やラメ調の光輝性を有する意匠性を有する受容層へ、インクジェット方式で印字が可能な記録媒体が提供される。
請求項3の本発明によれば、1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応でき、メタリック調やラメ調の光輝性を有する意匠性を有する受容層へ、インクジェット方式で印字が可能な記録媒体が提供される。
請求項4の本発明によれば、メタリック調やラメ調などの光輝性を有する意匠性を有する受容層へ、1枚毎に異なる個別情報がインクジェット方式で印字がされた印字記録媒体が提供される。
請求項5の本発明によれば、請求項4の効果を有し、受容層及びインクジェット画像の耐久性が向上した印字記録媒体が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。
図3は、保護層を貼着した印字記録媒体の断面図である。
(記録媒体)本発明の記録媒体10は、図1に示すように、基材11と、該基材11の少なくとも一方の面に受容層15を設ける。受容層15の塗布に先立って、必要に応じてプライマ層12を設けてもよい。受容層15は、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含ませ、光輝性細片がホログラムフレークで、該ホログラムフレークの面積が0.01〜1mm2の多角形で、かつ、受容層15の配合割合は、質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:ホログラムフレーク=100:5〜20:0.2〜10とすることで、受容層15が、光輝性のメタリック調やラメ調などの光輝性を有する意匠性を呈し、かつ、インクジェット方式で画像を印字できる。
(基材)基材11の材料としては特に限定されないが、例えばポリエチレン(PE)、PET、PVC、ポリカーボネイト(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)など一般的に使用されるプラスチック材料、アート紙、コート紙、合成紙などの紙等を例示でき、これらの材料を単独又は複数を積層して用いてもよい。
巻き回した帯状で加工して、基材11/プライマ層12(必要に応じて)/受容層15をからなる記録媒体10としてから、用途に応じて、例えば、入場券やチケット等の金券類、IDカードやメンバーズカードなどのカード類、ハガキやパスポート等の各種証明書、カートンやケースなどの包装材類、タグ、パンフレット、POP用品、などの形状に加工、切断すればよい。
(プライマ層)プライマ層12は、基材11の塗布面側には、両者の接着性を向上させるために設けるもので、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、イソシアネ−ト系化合物などが使用できる。これらの1乃至複数を主成分とし、これに、必要ならば、例えば、各種の安定剤、充填剤、反応開始剤、硬化剤ないし架橋剤、などを任意に添加したり、適宜溶剤に溶解又は分散して、コ−ティング剤組成物(インキ、塗布液)を調整し、これを基材11にロ−ルコ−ト法、グラビアコ−ト法などの公知のコーティング法で塗布し乾燥するか、乾燥又は乾燥した後のエージング処理によって反応させて、プライマ層12とする。該プライマー層12の厚さは、0.05〜10μm程度、好ましくは0.1〜5μmである。
(受容層)基材11又はプライマ層12面へ、受容層15を設ける。該受容層15は少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含ませる。また、必要に応じて、フィラーを含ませてもよい。
(カチオン系ウレタン系樹脂)カチオン性ウレタン系樹脂としてはカチオン性基を有するポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリブチレンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタン、ポリノナンジオールアジペート/ポリオクタンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタンなどのウレタン系樹脂で、好ましくは自己乳化性又は水性で、カチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物が好ましい。カチオン性基としては1〜3級アミン或いは4級アンモニウム塩基などが例示できる。
(カチオン性フィックス剤)カチオン性フィックス剤としては、ポリアミン誘導体や脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩(例えば、脂肪族4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩等)などの染料固着剤が例示でき、これらの単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましいカチオン性フィックス剤には、脂肪族4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド等のテトラC1−6アルキルアンモニウムハライド、トリメチルラウリルアンモニウムクロライド、トリメチルラウリルアンモニウムブロマイド等のトリC1−6アルキルC8−20アルキルアンモニウムハライド、ジメチルジラウリルアンモニウムクロライド、ジメチルジラウリルアンモニウムブロマイド等のジC1−6アルキルジC8−20アルキルアンモニウムハライド)などが例示できる。
(ホログラムフレーク)光輝性細片としてはホログラムフレーク、又は金属細片を用いることができる。ホログラムフレークとしては、次のような方法で作成できる。
(1)4〜25μm程度のPETフィルムへ、必要に応じてプライマ層を設けて、真空成膜法でアルミニウムなどで、厚さが0.02〜1μm程度の金属薄膜を成膜し、該PET/金属薄膜の金属薄膜面から微細エンボス法などで、ホログラムや回折格子などのレリーフを賦型する。次に、打ち抜き加工により、面積が0.01〜1mm2程度、好ましくは0.05〜0.16mm2程度で、多角形のホログラムフレークとすればよい。多角形とは頂点が3〜10程度、好ましくは3〜6程度の多角形で、辺長は不等でもよく、形状も正多角形、不等多角形でもよい。また、打ち抜きでの不可避なバリ、糸引きを容認する。具体的には、ホログラムサプライ(社)のホログラムフレークが例示できる。
(2)12〜50μmのPETフィルムへ、耐熱性離型層を設け、真空成膜法でアルミニウムなどで、厚さが0.02〜1μm程度の金属薄膜を成膜し、該PET/金属薄膜の金属薄膜面から微細エンボス法などで、ホログラムや回折格子などのレリーフを賦型する。次に、金属薄膜を離型層から剥離し分離して、粉砕し細分化すればよい。なお、ホログラムや回折格子は公知の2光束干渉法や描画法でよく、光回折性の凹凸(レリーフ)とし、該レリーフを公知のエンボスなどで、例えば上記のPET/金属薄膜の金属薄膜面へ賦型すればよい。必要に応じて金属薄膜面へプライマ層を設けてもよい。
(配合比)受容層15の配合割合は、質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:ホログラムフレーク=100:5〜20:0.2〜10とする。
カチオン性フィックス剤の含有割合が上記範囲未満では定着性が悪く、上記範囲を越えると洗濯中に溶出して堅牢性を低下させる。ホログラムフレークの含有割合が上記範囲未満では光輝性が悪く、上記範囲を越えると受容層面が埋まって透明感がなくなり、インクジェットによる画像が観察し難くなる。
(フィラー)また、必要に応じてフィラーを添加してもよく、透明性を害さない程度に含有させることで、インクジェットインクの吸収性を良くできる。具体的にはシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等で、マイクロシリカが好ましい。フィラーの配合割合は質量基準で(カチオン性ウレタン系樹脂+カチオン性フィックス剤):フィラー=100:1〜10程度である。フィラーの含有割合が上記範囲未満ではインキの吸収性や定着性が悪く、上記範囲を越えると受容層の透明性が低下し、インクジェットによる画像が見えにくくなる。
(インキ化)インキ化は、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂及びカチオン性フィックス剤とを含み、必要に応じてフィラーを含ませ、さらに必要ならば、例えば、各種の安定剤、充填剤、反応開始剤、硬化剤ないし架橋剤、などを任意に添加したりして、ボールミルやアトライターなどで適宜溶剤に溶解又は分散して、コ−ティング剤組成物(インキ、塗布液)を調整する。高輝度のラメ調の効果を維持するために、沈降がなく分散状態を保持するための分散剤などの添加が好ましい。
(形成法)該コ−ティング剤組成物を基材11にロールコート法、グラビアコート法、コンマコート法、スクリーン印刷法などの公知のコーティングや印刷法で塗布し乾燥させる。該受容層15の厚さは、0.5〜30μm程度、好ましくは1〜10μmである。但し、光輝性細片の厚さが受容層15の厚さより薄い場合、例えば、厚さが4〜25μmのホログラムフレークを使用した場合には、ホログラムフレークの部分が厚くなる。また、塗布直後の受容層15コ−ティング剤組成物(インキ、塗布液)は乾燥塗膜の厚さは2〜5倍程度あり、乾燥の過程で平面状に沈降し、高輝度のラメ調の効果がより効果的となる。
(金属細片)光輝性細片としてはホログラムフレークの代わりに、金属細片を用いてもよく、受容層をメタリック調の効果を呈することができる。金属細片としては、次のような方法で作成できる。
(1)12〜50μmのPETフィルムへ、耐熱性離型層を設け、真空成膜法でアルミニウムなどの金属薄膜を成膜した後に、金属薄膜を離型層から剥離し分離して、粉砕し細分化すればよい。
(2)また、高輝度を維持するために、金属細片をセルロース誘導体で表面処理してもよい。金属細片の金属としては特に限定されないが、アルミニウムが好適に使用でき、金属細片の厚さは、0.01〜0.1μm程度、好ましくは0.03〜0.08μmであり、インキ中に分散させた金属細片の大きさは、直径が5〜100μm程度、好ましくは5〜25μm程度で、さらに好ましくは10〜15μmである。大きさが、この範囲未満の場合はインキ塗膜の輝度が不十分となり、この範囲を超えると、グラビア版のセルに入りにくく、またスクリーン版が目詰まりし易く、印刷塗膜の光沢が低下する。まず、PETフィルム/剥離層/金属薄膜/表面の酸化防止トップコート層からなる蒸着フィルムを作成し、該蒸着フィルムを溶剤中に浸積して、金属蒸着膜を剥離、撹拌、濾別、乾燥して、金属蒸着膜細片を得、さらに、撹拌しながら、セルロース誘導体溶液を加えて表面に、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロースなどのセルロース誘導体を吸着させればよい。剥離層、トップコート層は特に限定されないが、例えば、セルロース誘導体、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレンなどが適用できる。該表面処理の後、金属蒸着膜細片を分離、又は金属蒸着膜細片スラリーをそのまま、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂及びカチオン性フィックス剤とを含むバインダ、並びに溶剤へ配合、分散させてインキ化すればよい。インキ中への分散性を向上させて、インキ塗膜の金属光沢を高輝度としたものである。なお、金属細片を用いた場合の、フィラーや、形成法はホログラムフレークを用いた場合と同様でよい。
(定着性)従来の受容層はポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を主体とするもので、耐水性は著しく悪く、また、多孔質質のフィラーを用いたり、受容層塗工液の溶媒として良溶媒と貧溶媒を用いて、乾燥中に相分離、ゲル化させて多孔質の網目構造とさせたり、していたが、画像の定着性が充分でなく、洗濯時に画像が淡くなる問題点もあった。本発明の記録媒体10の受容層15によれば、インクジェット方式によって印画された画像は高画質で定着性がよく、洗濯堅牢度も向上する。定着性と洗濯堅牢度の両立は定かではないが、カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とを含み、また必要に応じてフィラーとを含むことで、塗膜自身の凝集状態が密ではなくかなり粗状になっているために、画像成分の浸透性や密着性が向上し、また、画像を構成する染料などがカチオン性ウレタン系樹脂やカチオン性フィックス剤と反応し不溶化するため、と推測される。
(他の層)本発明の記録媒体10は、基材11/プライマ層12(必要に応じて)/受容層15をからなり、受容層15面は露出させ、それ以外の表面、層間には必要に応じて他の層を設けてもよい。基材11と受容層15との間には、絵柄印刷層、反射層、磁気記録層、隠蔽層などを設けるとより効果的である。
(印字)本発明の記録媒体10の受容層15面には、図2に示すように、インクジェット方式で画像を形成することができる。もちろん、1部に画像を設けてもよい。インクジェット方式は特に限定されず、例えば、バブルジェット(登録商標)方式、パルスジェット方式、荷電制御方式などの公知のものでよい。画像の色も特に限定されず、カラー、単色、複色などいずれでもよい。画像のパターンも特に限定されず、文字、記号、数字、イラスト、写真などいずれでもよい。なお、画像は透明な基材11を用いて、基材11側から観察する場合には正像を、基材11の反対側から観察する場合には逆像を、印字すればよい。
(インクジェット画像)従来のインクジェット方式では一般的な印字による画像であり、金属調やラメ様効果などの光輝性を有する意匠性が劣っていた。
本発明の記録媒体10によれば、インクジェット方式で印字が可能で、該印字は1枚毎の個別情報の印字などの少ロット対応できる。インクジェット方式で画像103が印字された本発明の印字記録媒体20は、受容層15の光回折性を有するメタリック調やラメ調の光輝性、又はメタリックやラメ調などの面に画像103が印字されており、光輝性を有する意匠性に優れた印字記録媒体となる。
(可変情報)従来の例えばカード用途では、顔写真や会員番号などの保持者の個人情報であり、1人1人異なるために、予め大量に印刷しておけない。本発明の記録媒体10では、まず、必要に応じて共通情報のみを印刷した、基材11/受容層15の構成を、巻取り状又は複数カードを面付けした大判状で作製した後に、例えばカード用途であれば、打ち抜き又は切断などで、顔写真などの個人情報画像の入っていない個々1枚1枚の生カードを量産しておけばよい。該生カードの1枚1枚へインクジェット方式で、1人1人の個人情報(可変情報)を、オンデマンドで画像を印字することができ、少ロット対応ができる。画像は光回折性を有するメタリック調やラメ調の光輝性、又はメタリックやラメ調などの光輝性を有する意匠性を有する受容層15面に印字されているので、独特の意匠性を有している。
(保護層)インクジェット方式でオンデマンドで画像を印字した後に、図3に示すように、保護ラベル100を貼着してもよい。保護ラベル100は保護層101/粘着層105/剥離紙からなり、剥離紙を剥離し除去して、粘着層105面を受容層15面に貼り付ければよく、表面の耐擦傷性、耐汚れ性、耐薬品性などの耐久性を向上できる。また、受容層15面に設ける保護層は、公知の印刷法やコーティング法による透明インキ層、OP層(オーバープリント層)、UV硬化樹脂層などでもよい。
(変形形態)本発明に用いるホログラムフレークを透明ホログラムにして構成してもよい。ホログラムとしては、フレネルホログラム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、イメージホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子、電子線直接描画等の機械的に形成された回折格子などがある。また、同様の効果が得られる万線、ヘアーライン、モスアイなどの凹凸のレリーフであれば、ホログラムに代えて、構成してもよい。さらに、金属細片に代えて、パール粉、又はパール粉と金属細片を併用して構成してもよい。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)(1)まず、カード基材101として、厚み250μmで巻取り状の白色PETフィルムの片面に、厚さが1μmのプライマ層12、厚みが5μmの受容層15を下記の各層形成用組成物途工液を用いて、順次塗布し乾燥して積層して、実施例1の記録媒体を得た。なお、プライマ層12と受容層15はそれぞれグラビアコーティング法、ロールコーティング法により形成した。巻取り状から、54mm×85mmサイズに打ち抜いて、会員証用の白カードとした。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 10質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 80質量部
・<受容層組成物途工液(pH=3.5)>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
ホログラムフレーク 0.4質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水:IPA=3:1) 80質量部
なお、ホログラムフレークは、厚さ12μmの易接着PETフィルム/厚さ500nmのアルミニウム薄膜へホログラフィック回折格子をエンボス法で複製した。なお、ホログラフィック回折格子は2光束干渉法で撮影した。次に、マグネチックダイカッターで菱形に打ち抜き、100メッシュ(MAX254μm)の篩分けして、面積0.06mm2程度のホログラムフレークとした。
(実施例2)受容層組成物途工液として、下記の塗工液を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2の記録媒体10を得た。
・<受容層組成物途工液>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
ホログラムフレーク 0.1質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水:IPA=3:1) 80質量部
(実施例3)受容層組成物途工液として、下記の塗工液を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例3の記録媒体10を得た。
・<受容層組成物途工液>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
ホログラムフレーク 2質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水:IPA=3:1) 80質量部
(実施例4)ホログラムフレークとして、面積0.01mm2(100μm角)の四角形とする以外は、実施例1と同様にして、実施例4の記録媒体10を得た。
(実施例5)ホログラムフレークとして、面積0.16mm2(400μm角、1/64インチ角)の正六角形とする以外は、実施例1と同様にして、実施例5の記録媒体10を得た。
(実施例6)ホログラムフレークとして、面積0.64mm2(800μm角)の正六角形とする以外は、実施例1と同様にして、実施例6の記録媒体10を得た。
(比較例1)受容層組成物途工液として、下記の塗工液を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1の記録媒体を得た。
・<受容層組成物途工液>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
ホログラムフレーク 3質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水:IPA=3:1) 80質量部
(比較例2)ホログラムフレークとして、面積0.0025mm2(50μm角)の四角形とする以外は、実施例1と同様にして、比較例2の記録媒体10を得た。
(比較例3)ホログラムフレークとして、面積1.61mm2(1.27mm角)の四角形とする以外は、実施例1と同様にして、比較例3の記録媒体10を得た。
(評価)上記で得た実施例1〜6、比較例1〜3のカード(記録媒体10)の受容層15面へ、インクジェット印刷法で顔料系インキを用いて、顔写真、氏名、会名、会員番号を印字して、会員カード(印字記録媒体20)とした。
実施例1〜6の会員証はインクジェット方式で、顔写真、氏名、会社名、社員番号の1枚毎の個別情報を問題なく印字でき、しかも、光回折性を有するメタリック調でラメ調の光輝性を背景にした特異な高意匠性を有していた。
しかしながら、比較例1の会員証の画像は、ホログラムフレークが密集していて判読し難かった。比較例2の会員証は、ホログラムフレークが細か過ぎて、ラメ調効果が認められなかった。比較例3の会員証の画像は、ホログラムフレークが大き過ぎて判読し難かった。
(実施例4)実施例1の記録媒体10を用いて、インクジェット方式で顔写真などを印字した会員カードへ、厚さが12μmPETフィルム/厚さが30μm粘着層/剥離紙からなる保護層ラベルの剥離紙を剥離し除去し露出した粘着層105面を貼着した。該保護層101付き会員カードは、耐擦傷性、防汚性、耐薬品性が著しく向上した。
本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。 本発明の1実施例を示す印字記録媒体の断面図である。 本発明の保護層付き印字記録媒体の断面図である。
符号の説明
10:記録媒体
11:基材
12:プライマ層
15:受容層
20:印字記録媒体
100:保護層ラベル
101:保護層
103:画像
105:粘着層

Claims (5)

  1. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含む受容層を設けてなる記録媒体であって、前記光輝性細片がホログラムフレークで、前記受容層がメタリック調やラメ調効果を呈し、かつ、インクジェット方式で画像が印字できることを特徴とする記録媒体。
  2. 上記ホログラムフレークの面積が0.01〜1mm2の多角形で、かつ、受容層の配合割合が質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:ホログラムフレーク=100:5〜20:0.2〜10であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
  3. 基材と、該基材の少なくとも一方の面に、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤、及び光輝性細片とを含む受容層を設けてなる記録媒体であって、前記光輝性細片が金属細片で、かつ、前記受容層がメタリック調やラメ調効果を呈し、かつ、インクジェット方式で画像が印字できることを特徴とする記録媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体へ、インクジェット方式で画像が印字されてなることを特徴とする印字記録媒体。
  5. 請求項4に記載の印字記録媒体の印字済み受容層面に、保護層ラベルを貼着してなることを特徴とする印字記録媒体。
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