JP5076863B2 - 記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体に関し、さらに詳しくは、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で画像を印画でき、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いたインクジェット方式での潜像画像、また必要に応じて、着色インクを用いたインクジェット方式で可視画像を印画してなるセキュリティ性の高い記録媒体に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「UV」は「紫外線」、「電離放射線硬化(性)樹脂」は「未硬化の電離放射線硬化性樹脂と、硬化した電離放射線硬化樹脂の総称」、「印字」は「印画」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(主なる用途)本発明の記録媒体(媒体)の主なる用途としては、例えば、紙幣、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、ギフト券、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場証、通行証、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書やその証明写真類、カートン、ケース、軟包装材などの包装材類、バッグ類、化粧品、腕時計、ライター等のブランド装身具、封筒、タグ、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、ネームプレート、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、キー、布、衣類、履物、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の装置類などがある。
しかしながら、セキュリティ性の高い、インクジェット方式での潜像画像を有し、かつ、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性が要求される用途であれば、特に限定されるものではない。
(背景技術)従来、金券類、カード類、及び各種証明書類などのは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、所有者の個人情報が表示されるが、該個人情報の漏洩を防止し、かつ、使用時における外力に対する耐久性が必要である。個人情報の表示方法として、熱転写法による印画(表示)が広く使用される様になっている。これらの熱転写方法では、各種の画像が簡便に形成されるので、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えば、身分証明書等のIDカードの作成等に利用される様になっている。又、顔写真等の如くカラー画像が好ましい場合には、連続した基材フイルム上に、例えば、イエロー、マゼンダ及びシアン(更に必要に応じてブラック)の着色熱転写層を面順次に繰返し多数設けた長尺熱転写フイルムを用いる熱転写方法が行なわれている。この様な熱転写フイルムは溶融転写タイプと、昇華タイプの熱転写フイルムとがあるが、いずれも、専用のインクリボンを用いて印画するので、印画されて抜けた部分があるインクリボンが排出され、該排出インクリボンの抜け部分は秘密にしたい個人情報などであり、該個人情報などが廃棄されるインクリボンから容易に知られてしまうという危険性があった。
また、上記の熱転写フイルムで、身分証明書等のIDカードを作成する場合、溶融転写タイプの熱転写フイルムの場合は、文字や数字等の如き画像の形成は容易であるが、これらの画像は耐久性、特に耐摩擦性が劣るという欠点がある。一方、昇華転写型の熱転写フイルムの場合には、顔写真等の階調性画像を形成することが出来るが、形成された画像は通常の印刷インキとは異なり、ビヒクルが無い為、耐光性、耐候性、耐摩擦性等の耐久性に劣るという問題がある。上記問題を解決する方法として、画像を形成した後に、該画像の表面に、さらに、透明樹脂層や硬化樹脂層などの保護層(本発明の保護層、ハードコート層、ホログラム層に相当する)を重ねて転写する方法がある。しかしながら、画像転写と保護層転写の2回の転写操作を行うために、煩雑で効率が悪い。
そこで、インクリボンを使用せず、インクジェット方式で画像を形成する記録媒体もあるが、インクジェット方式による画像では乾燥が遅いため画像形成速度が遅くなったり、また印画が滲んだり、さらに画像形成後の乾燥も遅いので、直ちに被転写体へ転写できないという問題点もあった。さらにまた、カード類、及び各種証明書類などは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、所有者を容易に特定できずなりすましや、偽造変造によって所有者以外が使用できてしまうという欠点もあった。
従って、記録媒体は、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、記録媒体へ画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性が要求され、さらに、偽造変造なりすましを防止するセキュリティ性も求められている。
(先行技術)従来、受像層に昇華性熱転写、溶融性熱転写、インクジェット、または電子写真により画像形成し、基材上に熱転写により転写されたカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、インクジェットによる画像は文字などの画像であり、特段のセキュリティ性は有していないという問題点がある。
また、支持体上の片面に、剥離層、ホログラムパターンを有する第1のホログラム形成層、透過性薄膜層、前記第1のホログラム形成層とは異なるホログラムパターンを有する第2のホログラム形成層、反射性薄膜層、接着層を順次積層してなるホログラム転写箔において、前記透過性薄膜層及び前記第2のホログラム形成層の間に当該透過性薄膜層の少なくとも一部を覆うように印刷層を形成し、前記印刷層は少なくとも一部が蛍光インキで印刷されているホログラム転写箔が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、蛍光インキはインクジェット方式ではなく、公知の印刷によるもので少ロット対応できず、ましてや、個人情報やオンデマンドで可変情報である画像の印画は極めて困難であるという欠点がある。
さらに、蛍光インキを用いず、同様の効果のある、支持体、剥離性保護層、この剥離性保護層上に設けられ、画像データに基づいて画像を設けるとともに、画像表示体の基材に対し熱接着性を有する受像兼接着層を備えた中間転写シートにおいて、前記受像兼接着層が部分的に厚み差を有し、その部位において光学的干渉現象による認識色の違いを生じさせる偽造防止策を施した中間転写シートが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、厚み差で光学的干渉現象を有する構成は精密で、複雑な工程を経るために、高コストとなるという欠点がある。
また、本出願人は、熱転写シート基材、離型層、耐水性樹脂層、水性インキ受容層、インクジェット印刷層が順に形成された熱転写シート(本発明の記録媒体に相当する)と、該熱転写シートをカード素材へ熱転写するカードの製造方法を開示している(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる任意の鮮明なオリジナル画像を形成できるが、偽造変造なりすましを防止するセキュリティ性が低いという欠点がある。
さらに、本出願人は、耐熱性基材フィルム上に蛍光インキ層を設けた蛍光潜像転写フィルムを、中間転写媒体に重ね合わせ、蛍光潜像転写フィルムの蛍光インキ層を発熱素子により所望のパターン状に加熱して、中間転写媒体に蛍光インキからなる蛍光潜像を形成した後、被転写体に中間転写媒体の蛍光潜像を転写して印画物、及び蛍光潜像形成方法を開示している(例えば、特許文献5〜6参照。)。
しかしながら、蛍光潜像転写フィルムへ発熱素子により所望のパターン状に加熱して、蛍光インキ層を中間転写媒体に転写した後の、蛍光潜像転写フィルムには印画されて抜けた部分がある蛍光潜像転写フィルムの残フィルムが排出され廃棄され、この抜け部分は秘密にしたい個人情報などであるが、紫外線を照射することで個人情報などが知られてしまうという欠点があり、さらに、蛍光潜像によるセキュリティパターンが蛍光材料層と該蛍光材料層の上方にパターン状に設けられた紫外線吸収パターンとから構成されるので、モノクロトーンの画像であり、カラーの潜像画像を印画できないという問題点もがある。
このために、本出願人はさらに研究を鋭意進めて、受容層へナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いたインクジェット方式での潜像画像を印画することで、本発明に至ったものである。
特開平10−244788号公報 特開平7−199781号公報 特開2007−1163号公報 特開2006−205489号公報 特開2000−211255号公報 特開2000−168243号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で画像を印画でき、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いたインクジェット方式での潜像画像、また必要に応じて、着色インクを用いたインクジェット方式で可視画像も印画でき、受容層へ画像を印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性が要求され、さらに、セキュリティ性の高い記録媒体を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる記録媒体は、基材と、該基材の一方の面に少なくとも受容層、及び保護層が積層されてなる記録媒体であって、前記受容層へナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いて、インクジェット方式で潜像画像を形成してなるように、したものである。
請求項2の発明に係わる記録媒体は、上記受容層が少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含むように、したものである。
請求項3の発明に係わる記録媒体は、上記保護層の代わりに、ハードコート層、又はホログラム層と透明反射層とを用いるように、したものである。
請求項4の発明に係わる記録媒体は、上記潜像画像がカラー画像であるように、したものである。
請求項1の本発明によれば、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、インクジェット方式で、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いて潜像画像が印画でき、セキュリティ性の高い記録媒体が提供される。
請求項2の本発明によれば、請求項1の効果に加えて、画像を印画する際に、画像が滲まず、乾燥が早い記録媒体が提供される。
請求項3の本発明によれば、請求項1〜2の効果に加えて、被転写体に画像を転写した後には、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性が高い記録媒体が提供される。
請求項4の本発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、潜像画像がカラー画像であり、セキュリティ性がより高い記録媒体が提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。
図2は、本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。
(記録媒体)本発明の記録媒体10は、図1に示すように、基材11と、該基材11の一方の面へ、受容層21、及び保護層15を有し、受容層21には、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いて、インクジェット方式で潜像画像を形成(印画)してある。
好ましくは受容層21としては、カチオン性ウレタン系樹脂(バインダ)とカチオン性フィックス剤とフィラーとを含むようにする。また、保護層15の代わりに、(図示せず)ハードコート層25(図示せず)、又は図2に示すようにホログラム層35と透明反射層37とを用いてもよい。さらに、潜像画像105はRGBから構成したカラー画像とすることが好ましい。さらにまた、受容層21へは、潜像画像105に加えて、インクジェット方式で可視画像103を形成するのが好ましく、図1にも図示してある。
(他の層)また、これらの層間及び/又は層表面へ、必要に応じて他の層を設けてもよい。層間及び/又は層表面へ必要に応じて設ける層としては、プライマ層、印刷層、帯電防止層、背面滑性層などがあり、それぞれ公知のものでよい。特に、印刷層としては、着色インキや蛍光インキなどを用いて、公知のスクリーン印刷やグラビア印刷法で印刷すればよい。
(基材)基材11としては、特に限定されるではなく、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布などのいずれのものでもよい。また、被転写体101の媒体はその少なくとも1部が着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよく、転写したホログラム面にも、印刷、その他の加飾を施してもよい。
(プライマ層)必要に応じて、基材11との接着力を向上させるために、プライマ層16を設けることが好ましい。該プライマ層16としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物などを使用することができ、好ましくは、酸素若しくは窒素を有するもの、若しくはイソシアネート化合物を反応性のもの、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ゴム系樹脂等の従来の接着剤として既知のものである。該プライマ層は膜厚が薄いので必ずしも含有しなくてもよいが、マイクロシリカやポリエチレンワックスなどのフィラーを含有させることが好ましい。
(受容層)基材11面へ、必要に応じてプライマー層16を介して、受容層21を設け、該受容層21にはインクジェット方式によって画像が印画される。受容層21としては、公知のものでよいが、好ましくはカチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とフィラーとを含むようにする。
カチオン性ウレタン系樹脂としてはカチオン性基を有するポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリブチレンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタン、ポリノナンジオールアジペート/ポリオクタンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタンなどのウレタン系樹脂で、好ましくは自己乳化性又は水性で、カチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物が好ましい。カチオン性基としては1〜3級アミン或いは4級アンモニウム塩基などが例示できる。カチオン性フィックス剤としては、ポリアミン誘導体や第4級アンモニウム塩などの染料固着剤が例示できる。フィラーとしては、箔切れ性を良くし、透明性を害さない程度に含有させ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等で、マイクロシリカが好ましい。
カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とマイクロシリカの割合が質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:マイクロシリカ=100:5〜20:1〜10である。カチオン性フィックス剤の含有割合が上記範囲未満では定着性が悪く、上記範囲を越えると洗濯中に溶出して堅牢性を低下させる。マイクロシリカの含有割合が上記範囲未満ではインキ定着性と箔キレ性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。
(定着性)従来の受容層はポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を主体とするもので、耐水性は著しく悪く、また、多孔質質のフィラーを用いたり、受容層塗工液の溶媒として良溶媒と貧溶媒を用いて、乾燥中に相分離、ゲル化させて多孔質の網目構造とさせたり、していたが、画像の定着性が充分でなく、洗濯時に画像が淡くなる問題点もあった。本発明の印字ラベル20の受容層27によれば、インクジェット方式によって印画された画像103でも高画質で定着性がよく、洗濯堅牢度も向上する。定着性と洗濯堅牢度の両立は定かではないが、カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とフィラーとを含むことで、塗膜の表面が微細な凹凸状となったり、塗膜自身の凝集状態も密ではなくかなり粗状になっているために、画像成分の浸透性や密着性が向上し、また、画像を構成する染料などがカチオン性ウレタン系樹脂やカチオン性フィックス剤と反応し不溶化するため、と推測される。
(保護層)保護層15としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの樹脂で、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)であってもよい。また、必要に応じて、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤、その他の添加剤等を添加してもよい。これらをインキ化して、乾燥後の厚さが1〜50μm程度になるように、公知のロールコート法、グラビアコート法で塗布し乾燥すればよい。また、保護層15としては、インクジェット方式で形成してもよく、インクジェット印刷後に紫外線などの照射で硬化するものが好ましい。さらに、別途保護層転写箔を用いて、保護層を転写法で形成してもよく、勿論、公知のオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷法でもよい。
(ハードコート層)また、本発明は保護層15の代わりに、ハードコート層25を用いることで、最表面に位置し、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性を発現する。ハードコート層25は、少なくとも電離放射線硬化樹脂を主成分とし、ポリエチレンワックスを含むようにする。該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、ポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
(ホログラム層)また、本発明は保護層15の代わりに、ホログラム層35及び透明反射層37を用いることで、ホログラムの持つ高意匠性及び偽造防止性を付与することもできる。図2に示すように、基材11/プライマ層16/受容層21/接着層19/反射層37/ホログラム層35の層構成である。ホログラム層15は、ハードコート層と同様又は同じ電離放射線硬化性樹脂の硬化物を用いるので、ハードコート層の機能を兼ね備えており、一石二鳥である。ホログラム層35としては、一旦、ホログラム転写箔として、受容層21面へ転写し形成すればよい。
(ホログラム層)ホログラム層35としては、電離放射線硬化性樹脂の硬化物、反応性シリコーンを含ませ、それらに加えてポリエチレンワックスも含ませる場合もある。このようにすることで、電離放射線硬化後でも熱で白化しない耐熱性と、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などのホログラム効果の低下が少ない意匠性に優れたホログラムを立体面へ転写することができる。ホログラム層35は、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂などの電離放射線硬化性樹脂、及び必要に応じて添加剤を、溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコートなどの公知のコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。ホログラム層35の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜20μm程度である。複数回の塗布でもよい。
(ホログラム)次に、ホログラム層35の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。
ホログラム層35面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
また、ホログラム層35に形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。複数のホログラムパターンを設ける場合には、該ホログラムパターン毎にホログラムマーク(タイミングマーク)が設けることが好ましい。該ホログラムマーク(タイミングマーク)を検知して、後述するインクジェット方式で画像を形成する際に、ホログラムパターンとインクジェット画像とを同期して形成することができ、同期したホログラム像と印画画像との意匠効果やセキュリティ性をより向上させることができる。ホログラム層35は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(ホログラム層35)となる。
(透明反射層)透明反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、透明反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率のより高れば、特に限定されない。該透明反射層17として、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
(インクジェット方式)本発明の記録媒体10の受容層21へ、インクジェット方式で潜像画像105、必要に応じて可視画像103を形成(印画)する。潜像画像105は、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いて、インクジェット方式で形成すればよい。インクジェット方式で形成する潜像画像105、及び/又は可視画像103の画像は、円形や星形などのスポット状、文字、数字、イラスト、写真などの任意の形状でよく、その色調も単独、複数、フルカラー用など限定されるものではない。好ましくは、オンデマンドで可変情報をインクジェット方式で印画することである。また、インクジェット方式で潜像画像105、及び/又は可視画像103を形成する際に、ホログラムパターンに対応したホログラムマーク(タイミングマーク)が設けれている場合には、該ホログラムマーク(タイミングマーク)を検知して、ホログラムパターンにインクジェット画像を同期して形成することができ、同期したホログラム像と印画画像との意匠効果やセキュリティ性をより向上させることができる。インクジェット方式では、潜像画像105、及び/又は可視画像103を印画する際に、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、また、潜像画像105、及び/又は可視画像103を印画する際にも、画像が滲まず、乾燥が早いので効率がよい。
(インクジェット可視画像)可視画像103を形成するインクジェット方式は、熱インパクト法などがあるが特に限定されず、インクジェットインキも公知の水性や油性インキで、染料系、顔料系又は併用系などが使用でき、特に限定されるものではない。
(インクジェット潜像画像)潜像画像105を形成するインクジェット方式に用いるインクは、ナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いる。従来から、蛍光体は紫外線、赤外線や電子線などの励起線を照射することにより、可視光線などの光に変換する材料として一般に用いられているが、粒子が大きいので、発光効率が低く、またノズル詰まりなどの危険性があるために、インクジェット方式での使用には問題があり、一般的な印刷法に限られていた。そこで、ナノサイズの超微粒子をインキ化することで、発光効率も高くなり、インクジェット方式での任意の画像を形成することができる。蛍光体インキで印画し形成された画像は、通常では目視できず潜像画像105となっているが、紫外線(ブラックライト)の照射により潜像画像105が発光し可視化して、目視できるようになるため、画像が隠し画像の効果があり、ホログラムなどに加え、偽造防止性が一層向上されることができる。
(カラー化)また、RGB発光するナノガラス蛍光粒子を用いた複数のインクを用いて、インクジェット方式で形成すれば、カラーや写真調に可視化できる潜像画像105とすることができるので、従来モノクロ画像であった潜像画像をカラーや写真調に表示することができ、意匠性が上がり、一層の偽造防止などのセキュリティ性を向上されることができる。特に、潜像画像で所有者の顔写真を形成しておけば、悪意でなりすました人には判らず、利用時に可視化し当人と比較でき、直ちに所有者と異なることを発見することができる。潜像画像105を可視画像103と関連付けておけば、偽造媒体は可視画像103しか偽造することができず、潜像画像105はないので、紫外線を照射しても発光せず可視化せず、偽造を見抜け、セキュリティ性を向上できる。
(ナノガラス蛍光粒子)ナノガラス蛍光粒子とは、蛍光発光する半導体超粒子をガラスへ分散したガラス蛍光体の粒子で、1〜100nm程度の粒径の粒子である。半導体超微粒子としては、CdSeナノ粒子、CdTeナノ粒子、ZeSeTeナノ粒子、ZeSeナノ粒子などが例示できる。該半導体超微粒子溶液中では不安定で、透明で化学的安定性に優れているガラスマトリックスへ分散させる。例えば、半導体超微粒子を微小な水玉中に分散させ、アルコキシドを油層に加えて水玉界面で加水分解、脱水縮合させて、水玉中へ取り込む逆ミセル法などで、高濃度に分散したナノガラス蛍光粒子を作製することができる。好ましいナノガラス蛍光粒子としては、発光効率3%以上の半導体超微粒子を二酸化珪素を含むガラス中に粒子濃度10-9モル/cm3以上で分散させた超微粒子分散ガラスの粒子である。詳細は特開2002−211935号公報、村瀬:半導体ナノ粒子分散ガラス蛍光体(NEW GLASS Vol.22 2007)に記載されている。粒子径100nm以下であれば、ノズル径30μm程度のインクジェットプリンターで問題なく、印画することができる。該ナノガラス蛍光粒子を従来の顔料に代えて、公知のインク化法でインクジェットインクとすればよい。
(耐久性)保護層15に代えて、ハードコート層25、又は図2に示すようにホログラム層35と透明反射層37とした場合には、これらの層が最表面となる。インクジェット方式による画像103としては、身分証明書等のIDカードを作成する場合、画像の形成は容易であるが、これらの画像は耐久性、特に耐摩擦性が劣るという欠点がある。印画済みの受容層21へ設けることで、高耐久性のハードコート層25、又はホログラム層35が最表面に位置し、画像を保護し、耐久性を高める。ハードコート層25、ホログラム層35の鉛筆硬度試験は、JIS−K5400に準拠して測定し、H以上の硬度が好ましい。また、スクラッチ強度は、表面の充分な耐摩擦性の点から、サファイア150g以上、好ましくは200g以上である。なお、スクラッチ強度の測定方法は、23℃、55%RHの条件下で24時間調湿した試料に対して、耐摩耗性試験機(HEIDON−18)を用い、0.8mmφサファイア針を直角にあてがい、サファイア針に掛かる荷重を0gから200gまで徐々に増加させ、60cm/minで試料表面を摺動して移動させながら、表面に傷が付き始める時の荷重の測定を行った。荷重が大きいほど良好であることを表す。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(実施例1)(1)まず、基材11として、厚み188μmで巻取り状の白色PETフィルムの片面に、厚さが1μmのプライマ層16、厚みが5μmの受容層21を下記の各層形成用組成物途工液を用いて、順次塗布し乾燥して積層した。なお、プライマ層16と受容層21はそれぞれグラビアコーティング法、ロールコーティング法により形成して、記録媒体を得た。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 10質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 80質量部
・<受容層組成物途工液(pH=3.5)>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20質量部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1質量部
溶媒(水:IPA=3:1) 80質量部
該記録媒体を54mm×85mmサイズに打ち抜いて、会員証用の白カードとした。
該白カードへ保護層転写内蔵インクジェットプリンタを用いて、印画操作と保護層の転写操作をインラインで行った。
まず、白カードの受容層21へ、ノズル径30μmのカラー用インクジェットヘッドを用いて、粒径50nmの赤発光ナノガラス蛍光粒子、緑発光ナノガラス蛍光粒子、青発光ナノガラス蛍光粒子を含むRGBインクを用いて、オンデマンドで顔写真の潜像画像105を印画(形成)し、さらに、公知の着色インクを用いて、オンデマンドで会名と名前の可視画像103を印画(形成)し、遠赤外線ヒーターで2秒間乾燥乾燥させた直後、145℃の熱ローラとゴムローラで、ハードコート層転写箔として公知の転写基材/剥離層/ハードコート層/接着層の接着層面とを重ね合わせて、走行速度1m/分で転写した後に、基材を剥離し除去して、実施例1の記録媒体10を得た。会名と名前は目視で観察でき、顔写真(潜像画像105)は観察できなかったが、ブラックライトで照射するとカラーの顔写真をも観察することができた。
(実施例2)ハードコート層転写箔に代えて、転写基材/剥離層/ホログラム層/透明反射層/接着層からなる公知のホログラム転写箔を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2の記録媒体10を得た。ホログラム再生画像、会名及び名前は目視で観察でき、顔写真(潜像画像105)は観察できなかったが、ブラックライトで照射するとカラーの顔写真をも観察することができた。
本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。 本発明の1実施例を示す記録媒体の断面図である。
符号の説明
10:記録媒体
11:基材
13:離型層
15:保護層
16:プライマ層
25:ハードコート層
35:ホログラム層
37:透明反射層層
19:接着層
21:受容層
101:被転写体
102:被着層
103:可視画像
105:潜像画像

Claims (4)

  1. 基材と、該基材の一方の面に少なくとも受容層、及び保護層が積層されてなる記録媒体であって、前記受容層へナノガラス蛍光粒子を含むインクを用いて、インクジェット方式で潜像画像を形成してなることを特徴とする記録媒体。
  2. 上記受容層が少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 上記保護層の代わりに、ハードコート層、又はホログラム層と透明反射層とを用いることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の記録媒体。
  4. 上記潜像画像がカラー画像であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体。
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