JP4996837B2 - 潤滑オイルのバリア剤組成物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑オイルのバリア作用を有する潤滑オイルのバリア剤組成物、この潤滑オイルのバリア剤組成物を用いて摺動部品または摺動部品に近接する部品の表面をオイルバリア処理する方法、および表面がオイルバリア処理された摺動部品または摺動部品に近接する部品に関する。より具体的には、時計、モーター、および一眼レフカメラのレンズ等の精密機械の摺動部分に使用されている潤滑オイルの滲み出しを防止するために使用される潤滑オイルのバリア剤組成物、この潤滑オイルのバリア剤組成物を用いて摺動部品および摺動部品に近接する部品の表面をバリア処理する方法、および表面がオイルバリア処理された摺動部品または摺動部品に近接する部品に関する。なお、以下「潤滑オイルのバリア剤組成物」は、単に「バリア剤」と記すことがある。
時計、モーターおよび一眼レフカメラのレンズ等の精密機械の摺動部品の摺動面には、摩擦抵抗を低減させるために、鉱油等からなる潤滑オイルが用いられている。このような潤滑オイルは、摺動面の磨耗防止のために不可欠なものではあるが、通常の状態では液状であるため、摺動面から周辺部へと滲み出す可能性がある。
上記のような精密機械では、通常狭い領域内に複数の部品が配置されていることから、潤滑オイルの滲み出しは、周辺部への潤滑オイルの付着につながる可能性もある。
潤滑オイルは、一般的に粘度が高く、ホコリ等を集積しやすい。したがって、所定の個所以外への潤滑オイルの滲み出しは、機械の故障の原因にもなっている。
また、潤滑オイルの滲み出しにより、摺動面における潤滑オイルの保持時間が低下するために、精密機械の摺動部品の摺動面に対して、潤滑オイルを再施与する必要性が増す。
そのため、このような精密機械の摺動部品または摺動部品に近接する部品には、潤滑オイルの滲み出しを防止するために、バリア剤が使用されている。バリア剤は、近年の精密機械の集積化と部品の微細化に伴い益々その需要が増してきている。
バリア剤としては、含フッ素化合物などその被膜が撥油性を有する化合物を溶媒に溶解、または、分散させたもの等が知られている。バリア剤は、潤滑オイルの滲み出しの防止と、必要部分への長期保持のために、摺動部品、並びに摺動面の周辺部を含む近接部位に塗布し、乾燥して使用される。
撥油性を有する化合物としては、含フッ素ポリマーまたはパーフルオロアルキル基を、1個または2個以上有する含フッ素リン酸ジエステル化合物等が、使用されてきた。
また、溶媒としては、難燃性と媒質の溶解性の高さからクロロフルオロカーボン(CFC)、パーフルオロカーボン(PFC)が使用されてきた(特許文献1)。
しかし、CFCはオゾン層を破壊することが判明し、近年ではフロン規制による使用の制約がされている。また、PFCは地球温暖化係数が高いことが判明したため、環境への配慮のために、使用を減らす必要がある。
また、溶媒としては、クロロフルオロカーボン(CFC)、パーフルオロカーボン(PFC)の他に、炭化水素系溶剤やメタキシレンヘキサフルオリド等の含フッ素芳香族炭化水素系化合物等が挙げられる。しかしながら、これらの含フッ素芳香族炭化水素系化合物は、可燃性、臭気、毒性などを有しており、取り扱いが困難であるなど、作業性等の点で問題がある。
これらの理由から、環境への影響が少なく、作業性が良好な溶媒である水系媒体を溶媒として用いた水系バリア剤が開発されている(特許文献2)。
しかし、水系バリア剤を用いた場合には、被処理部品に対して均一にバリア処理を施しにくいことが問題点として挙げられる。かかる問題点は、水系バリア剤の濡れ性を向上させることで改善が試みられているが、被処理部品が微細な場合や外観が重視される場合には、濡れ性を向上させるだけでは十分でなかった。
また、被処理部品の外観が重視される場合は、遠心分離による振切りや洗浄を繰り返す等の方法により、余分なバリア剤を乾燥前に除去する必要がある。しかし、従来の水系バリア剤では、被処理部品への密着性が乏しいために、これらの工程が加わることで、被処理部品のバリア性能が低下していた。特に被処理部品がプラスチックの場合には、十分なバリア性能を発揮することができかった(特許文献3)。
特開平01−127080号公報(第1頁 右下欄他) 特開2000−001669号公報 国際公開第2004/033579号パンフレット
本発明は、以上の問題を鑑みて提案されたものであり、部品への密着性、部品への処理性能に優れた水系媒体を用いた潤滑オイルのバリア剤組成物を提供することを目的とするものである。
また、本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物からなる被膜を、摺動部品や摺動部品に近接する部品、ならびにその周辺部分を含む近接部位に形成することで、該摺動面からの潤滑オイルの滲み出しを効果的に防止することを目的とする。
また、本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物を用いて摺動部品および摺動部品に近接する部品の表面をバリア処理する方法、ならびに本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物を用いて表面がオイルバリア処理された摺動部品または摺動部品に近接する部品を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の(1)〜(13)に示すオイルバリア剤組成物、このオイルバリア組成物を用いて摺動部品または摺動部品に近接する部品の表面をオイルバリア処理する方法、および表面がオイルバリア処理された摺動部品または摺動部品に近接する部品を提供する。
(1)少なくとも下記重合単位(a1)を含む重合体(A)と水系媒体(B)とを含み、さらに、前記水系媒体(B)が100℃以上の沸点である高沸点溶剤を含む、および/または当該バリア剤組成物がプラスのゼータ電位を有する、潤滑オイルのバリア剤組成物。
ここで、重合単位(a1)は、ポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位、および/または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位をいう。
(2)上記重合単位(a1)は、以下の式(1)で表される化合物から導かれる重合単位である、上記(1)に記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。

ただし、式(1)においてQ1、R1、およびRfは以下の意味を示す。
1:単結合または2価の連結基
1:水素原子またはメチル基
Rf:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基
(3)上記重合体(A)は、非フッ素系重合単位(a2)を含む、上記(1)または(2)に記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(4)界面活性剤を1種類以上含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(5)アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のうちいずれか1つ以上と、カチオン性界面活性剤とが含まれることによって、プラスのゼータ電位が付与されている、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(6)1種類以上のフッ素系界面活性剤を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(7)上記水系媒体(B)は、沸点が100℃以上である水溶性有機溶剤を少なくとも1種類以上含む、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(8)前記水系媒体(B)は、沸点が100℃以上であるグリコール類またはグリコールエーテル類の水溶性有機溶剤を、少なくとも1種類以上含む、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(9)上記重合体(A)の軟化点は、40〜150℃である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(10)上記重合体(A)の濃度は、0.01〜40重量%である、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(11)表面張力が10〜40mN/mである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載のオイルバリア剤組成物を表面に塗付し、前記オイルバリア剤組成物を用いた膜を形成する工程を含む、摺動部品または摺動部品に近接する部品の表面をオイルバリア処理する方法。
(13)上記(12)に記載の方法により得られた、表面がオイルバリア処理された摺動部品または摺動部品に近接する部品。
本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物は、環境への影響が少なく、作業環境を安全に保つことが容易であり、部品に対する密着性が良好で、部品に対して均一な処理を施しやすく、且つ、潤滑オイルの滲み出しを効果的に防止することができる。したがって、例えば、時計、モーターおよび一眼レフカメラのレンズ等の摺動部品および摺動部品に近接する部品、ならびにその周辺部分を含む近接部位に本発明の潤滑オイルのバリア剤を塗付し、本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物を用いた膜を形成することにより、該摺動面からの潤滑オイルの滲み出しを効果的に防止できる。
また、本発明の潤滑オイルのバリア剤組成物は、溶解性、形成された被膜の堅牢性、形成された被膜の均一性にも優れた効果を発揮し、これらの効果を、金属、プラスチックどちらの被処理面に対しても発揮することができる。
本発明のオイルバリア組成物は、少なくとも重合単位(a1)を含む重合体(A)と水系媒体(B)とを含む。また、本発明のオイルバリア組成物は、プラスのゼータ電位を有するか、または水系媒体(B)が100℃以上の沸点である高沸点溶剤を含むか、もしくはプラスのゼータ電位を有しかつ水系媒体(B)が100℃以上の沸点である高沸点溶剤を含むかのいずれかである。
なお、重合単位(a1)は、ポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位、および炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位のうちいずれか一方または両方である。
最初に、重合体(A)について説明する。
なお、以下においてポリフルオロアルキル基と炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基とを総称して「Rf基」と記すことがあり、特にアルキル基の炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を総称して「エーテル性酸素原子を含むRf基」と記すことがある。
なお、「Rf基」は「エーテル性酸素原子を含むRf基」の上位概念にあたることから、本明細書では単にRf基と記すときはエーテル性酸素原子を含まないRf基とエーテル性酸素原子を含むRf基との両方を総称する。
重合体(A)は、重合単位(a1)を含む。重合単位(a1)は、Rf基を含む化合物から導かれる不飽和エステル化合物である。
潤滑オイルに対する高いバリア性能を得るためには、Rf基中のフッ素原子の割合は、[(Rf基中のフッ素原子数)/(Rf基に対応する構造を有するアルキル基中に含まれうる水素原子数)]×100%で表現した場合に、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%がさらに好ましい。すなわち、Rf基は、ペルフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。
なお、ペルフルオロアルキル基については、以下「RF基」と記すことがあるが、単にRf基といった場合には、ペルフルオロアルキル基が含まれる。
Rf基の炭素数は、4〜14が好ましく、6〜12がより好ましい。Rf基は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよいが、直鎖構造が好ましい。
RF基の場合には、F(CF2n−[nは6〜12の整数]で表される直鎖構造が好ましい。
また、分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部分に存在し、かつ、側鎖は炭素数が1〜3程度の短鎖であることが好ましい。
また、Rf基は末端部分に塩素原子が存在してもよい。Rf基の末端部分の構造としては、CF3CF2−、CF3−、CF2Cl−、(CF32CF−等の構造が挙げられる。
エーテル性酸素原子を含むRf基としては、オキシポリフルオロエチレン、オキシポリフルオロプロピレン等のオキシポリフルオロアルキレン部分を有するRf基が挙げられる。
Rf基の鎖長が上述した長さであると、バリア剤によって被膜が形成された際に、フルオロアルキル基に由来する結晶構造を形成するため、より高いオイルバリア性能を発揮することができる。
特に、動的接触角については、前進接触角は、Rf基の鎖が長くなるに従い、大きくなり、炭素数4以上でほぼ一定となる。また、後退接触角は、Rf基の鎖長が炭素数6までは、ほとんど変わらず、炭素数7以上になって大きくなり始め、炭素数10のときに最大になる。
エーテル性酸素原子を含まないRf基の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されものではない。なお、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。C25−、C37−[F(CF23−、および(CF32CF−の両者を含む]、C49−[F(CF24−、(CF32CFCF2−、(CF33C−、F(CF22CF(CF3)−を含む]、C511−[F(CF25−、(CF32CF(CF22−、(CF33CCF2−、F(CF22CF(CF3)CF2−等の構造異性の基を含む]、C613−[F(CF23C(CF32−等の構造異性の基を含む]、C817−、C1021−、C1225−、C1531−、HCt2t−(tは1〜18の整数)、(CF32CFCs2s−(sは1〜15の整数)。
エーテル性酸素原子を含むRf基の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されものではない。なお、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。F(CF25OCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]sCF(CF3)CF2CF2−、F[CF(CF3)CF2O]tCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]uCF2CF2−、F(CF2CF2CF2O)vCF2CF2−、F(CF2CF2O)wCF2CF2−(sおよびtは、それぞれ独立に1〜10の整数であり、1〜3の整数が好ましい。uは2〜6の整数である。vは1〜11の整数であり、1〜4の整数が好ましい。wは1〜11の整数であり、1〜6の整数が好ましい。)。
また、重合単位(a1)は、下式(1)で表されるRf基含有の重合可能な不飽和結合を有する化合物から導かれることが好ましい。
ただし、式(1)においてQ1、R1、およびRfは以下の意味を示す。
1:単結合または2価の連結基
1:水素原子またはメチル基
Rf:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基
式中のQ1の例としては以下のものが挙げられるが、Q1は2価の原子または2価の連結基であれば適宜選択可能であり、以下の例示に限定されるものではない。-O-、-S-、-NH-、-SO2-、-CH=CH-、-CH=N-、-N=N-、-N(O)=N-、-COO-、-COS-、-CONH-、-COCH2-、-CH2CH2-、-CH2-、-CH2NH-、-CH2-、-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-CO-、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基やアルケニレン基、アルキレンオキシ基、2価の4、5、6または7員環置換基、またそれら構成される縮合置換基、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和または不飽和の脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環や、これら2価の連結基の組み合わせから構成される基が挙げられる。
また、これらの基は、置換基を有していてもよく、置換基の例としては、例えば以下のものが挙げられる。ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、アルコシ基(メトキシ、エトキシ、ブトシキ、オクチルオキシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシなど)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオなど)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、スルホニル基(メタンウルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシなど)、ホスホニル基(ジエチルホスホニルなど)、アミド基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイルなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、2-カルボキシエチル、ベンジルなど)、アリール基(フェニル、トルイルなど)、複素環基(ピリジル、イミダゾリル、フラニルなど)、アルケニル基(ビニル、1-プロペニルなど)、アルコキシアシルオキシ基(アセチルオキシ、ベンゾイルオキシなど)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、および重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、スリリル基、桂皮酸残基など)。
なお、Q1は、-Z1-(Y1-(Z1は-O-または-NH-であり、Y1は2価の連結基、nは0または1)という構造で表される2価の連結基であることが好ましい。好ましいY1の例としては、アルキレン基、アミノ基、スルホニル基、またはこれらの組み合わせから得られる2価の連結基等が挙げられる。より好ましい構造としては、Y1が炭素数1〜5の直鎖のアルキレン基であるものが挙げられる。
また、式(1)中のRf基としては、Rf基のパッキングを良くするために構造的により高い剛直性を必要とする場合は、エーテル性酸素原子を含まないポリフルオロアルキル基が選択され、特にエーテル性の酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基が選択される。
式(1)で表される化合物の望ましい構造としては、以下の式(2)で表される化合物が挙げられる。以下の式(2)で表されるRf基を含有する化合物は、不飽和エステル化合物であることがより好ましい。
ただし、式(2)において、R1、Z1、Y1、Rfは以下の意味を示す。
1:水素原子またはメチル基
1:単結合、-O-、-NH-
1:炭素数1〜5のアルキレン基
Rf:F(CF2−、(CF32CF(CF2−、(n=6〜12の整数、m=4〜10の整数)
以下に、式(1)または式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の具体例中には、構造異性の基に相当する基も含まれる。CH2=CH-COO-(CH22-(CF26-F、CH2=CH-COO-(CH22-(CF28-F、CH2=CH-COO-(CH22-(CF210-F、CH2=CH-COO-(CH22-(CF212-F、CH2=C(CH3)-COO-(CH22-(CF26-F、CH2=C(CH3)-COO-(CH22-(CF28-F、CH2=C(CH3)-COO-(CH22-(CF210-F、CH2=C(CH3)-COO-(CH22-(CF212-F、CH2=CH-COO-(CH23-(CF26-F、CH2=CH-COO-(CH23-(CF28-F、CH2=CH-COO-(CH23-(CF210-F、CH2=CH-COO-(CH23-(CF212-F、CH2=C(CH3)-COO-(CH23-(CF26-F、CH2=CH-COO-(CH22-N(CH2CH2CH3)-SO2-(CF28F、CH=CH-CO-NH-CH2-C715、CH2=CH-CO-NH-CH2CH2O-CO-C715
重合体(A)中の重合単位(a1)は、1種のみでもよく2種以上でもよい。重量単位(a1)は、Rf基部分の炭素の鎖長が長いと結晶性(配向性)が高く、Rf基部分の炭素の鎖長が短いと結晶性(配向性)が低いことから、重合体(A)中の重合単位(a1)が2種以上である場合には、それぞれ炭素の鎖長が異なることが好ましい。ここで、炭素の鎖長が長いものとは炭素数が7以上のものをいい、炭素の鎖長が短いものとは炭素数が6以下のものをいう。
また、重合体(A)は、重合単位(a1)以外の重合単位(a2)を、1種または2種以上含んでいてもよい。重合単位(a2)は、Rf基を持たず重合性の不飽和基を有する単量体であれば特に限定されない。なお、以下の説明では、重合単位(a2)を、非フッ素系重合単位(a2)ともいう。非フッ素系重合単位(a2)としては、公知または周知の単量体を使用できる。バリア剤は、重合体(A)に非フッ素系重合単位(a2)を含有させることにより、レベリング性や均一性等の被膜の特性を制御しやすくなる。
非フッ素系重合単位(a2)としては、アクリル酸エステル等のポリオレフィン系不飽和エステル、エポキシ基を有する不飽和エステル、ビニル基を有する化合物、アミノ基と重合性不飽和基を有する化合物、および置換アミノ基と重合性不飽和基を有する化合物から選ばれるものが好ましい。
以下に、非フッ素系重合単位(a2)の具体例を下記の表1〜5に示すが、非フッ素系重合単位(a2)は、これらに限定されるものではない。
○重合単位(a2)の例1
○重合単位(a2)の例2
○重合単位(a2)の例3
○重合単位(a2)の例4
○重合単位(a2)の例5
重合単位(a2)の例6
重合体(A)中のフッ素含量は20質量%以上が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。フッ素含量が20質量%以上であると、バリア処理によって形成される被膜表面の臨界表面張力が適切な値となり、満足するバリア性能が得られる。
重合体(A)の重量平均分子量は、1×103〜1×107が好ましく、1×104〜1×105がより好ましく、2×104〜5×104がさらに好ましい。重合体(A)の重量平均分子量が上記範囲であると、膜強度や耐水性が良好で、且つ光沢性、再溶解性やレベリング性が良好なものとなる。
また、重合体(A)の各重合単位の連なり方はグラフトでもブロックでもランダムでもよく、特にランダムが好ましい。
本発明のバリア剤は、含有される重合体(A)が、水系媒体(B)中に粒子となって分散しているのが好ましく、分散安定性の観点から、組成物中の分散粒子の粒子径として10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
本発明のバリア剤中の重合体(A)の濃度は、バリア処理した際に形成される重合体(A)の被膜に充分な厚みが得られる程度に濃く、処理された部品の寸法精度と美観を保つことができる程度に薄いことが望ましい。具体的には、0.01〜40質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましい。重合体(A)の濃度がこの範囲内であれば、形成された被膜のバリア性能が良好であり、本発明のバリア処理を行う際のコスト面でも優れている。
また、重合体(A)の軟化点は、40〜150℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。重合体(A)の軟化点が上記範囲であると、本発明のバリア処理をプラスチックに対して施す場合にも、被膜の形成が容易となる。
詳述すると、近年、機械部品には軽量化やローコスト化を図るためプラスチック部品が多く用いられ、本発明のバリア処理の対象物としても金属部品の他にプラスチック部品が挙げられる。
そのため本発明のバリア剤をプラスチックに対して用いる場合には、重合体(A)の最低造膜温度は低いことが望まれる。電子部品に使用されるプラスチックの耐熱温度は、多くの場合に150℃程度であることから、乾燥温度はそれ以下の温度であることが好ましい。最低造膜温度は、重合体の軟化点に由来することが多い。そのため重合体(A)の軟化点は150℃以下であるのが好ましい。安定した性能を発揮させるためには最低造膜温度以上での熱処理が必要とされる。
しかし、軟化点が低すぎて処理部品の使用温度以下となってしまうと、バリア性能や耐久性に影響を及ぼすので、重合体(A)の軟化点は40℃以上であるのが好ましい。そこで、造膜の容易さとバリア性能や耐久性を考慮すると、重合体(A)の軟化点は、40〜150℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
なお、このような軟化点は、示差走査熱量計により測定可能である。
本発明の重合体(A)の製造方法は特に限定されないが、直接本発明のバリア剤が得られるので、水系媒体(B)中で乳化重合法により合成することが好ましい。乳化重合法としては、下記方法1または方法2を採用することが好ましい。
[方法1]
最初に媒体および乳化剤の存在下で重合単位(a1)や重合単位(a2)などの単量体を乳化させ、次に撹拌することによって、重合させる方法。
[方法2]
最初に媒体および乳化剤の存在下で重合単位(a1)や重合単位(a2)などの単量体をホモミキサーまたは高圧乳化装置を用いて乳化して、つぎに重合開始源を用いて重合する方法。
上記のいずれの方法においても、単量体として塩化ビニルなどのガス状の単量体を採用する場合には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。重合開始源は特に限定されず、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の重合開始剤、または、γ線のような電離性放射線等を用いることができる。媒体としては、水系媒体(B)と同じものを使用するのが好ましい。
すなわち、本発明のバリア剤を乳化重合法で製造する場合には、式(1)や式(2)で表される重合単位(a1)と、必要に応じた重合単位(a2)とを、乳化剤の存在下において、水系媒体(B)中で乳化重合する方法を採用するのが好ましい。また、前記の[方法1]および[方法2]で用いられる乳化剤は、フッ素系界面活性剤であってもよく、非フッ素系界面活性剤であってもよい。
また、重合体(A)は、含フッ素溶剤を用いた溶液重合によっても得ることができる。含フッ素溶剤としては環境破壊因子が少ない物が好ましい。重合体(A)の重合に好適に用いることができる含フッ素溶剤としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,3−ジヒドロデカフルオロ(n−)ペンタン等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、C3HF5Cl2(旭硝子社製「AK−225」)等のHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が挙げられる。この含フッ素溶剤は重合後に除去し、重合体(A)をフッ素系界面活性剤(C)の存在下で水系媒体(B)に分散させて本発明のバリア剤とするのが好ましい。
本発明のバリア剤は、水系媒体(B)を含む。水系媒体(B)としては、水、または水に水溶性有機溶剤(D)を含ませたものが挙げられる。ここで水溶性有機溶剤(D)は乾燥しやすさの点から沸点が40〜250℃であるものが好ましく、20℃における水への溶解度が1重量%以上であるものが好ましい。また、水系媒体(B)中は、水溶性有機溶剤(D)を2種類以上含んでいてもよい。
水溶性有機溶剤(D)としては、ケトン類、エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、アルコール等が挙げられ、なかでもケトン類、アルコール類が好ましく、アセトンやイソプロピルアルコールが例示されるが、これに限定されるものではない。
また、本発明のバリア剤は、沸点が100℃以上の水溶性有機溶剤(E)を少なくとも1種類以上添加することが好ましい。沸点が100℃以上の水溶性有機溶剤(E)が1種類以上添加されることで、微細な構造(特に穴など)を有する被処理部品に水系バリア剤を用いたバリア処理を施す場合に、乾燥後に部品の微細な構造の内部に重合体による薄膜が形成されることを防ぐことができる。
また、添加される水溶性有機溶剤(E)は、グリコール類またはグリコールエーテル類のものがより好ましい。グリコール類またはエーテル類は、水との相溶性が高く、任意の割合で添加量を選ぶことができるものが多いためである。
高沸点溶媒(E)の具体例としては、アセチルアセトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられるが、これに限定するものではない。
高沸点溶媒(E)の添加量は、1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。上記範囲であると、バリア剤の乾燥性が適切になる。
本発明のバリア剤は、水系媒体(B)が水溶性有機溶剤(D)を含むことで、形成される被膜の乾燥性、組成物の溶解性や安定性が向上する。水系媒体(B)が、水溶性有機溶剤(D)を含む場合は、水系媒体(B)中の水の割合は50〜99質量%が好ましく、一方、水溶性有機溶剤(D)の割合は1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
なお、バリア剤が、引火性を持つことを避けたい場合がある。その際は、水系媒体(B)の水溶性有機溶剤(D)の添加量を5質量%以下とするか、水溶性有機溶剤(D)中の高沸点溶媒(E)の割合を80質量%以上とすることにより、多くの場合において、本発明のバリア剤は、引火性を有さず使用時の安全性が非常に優れたものとなる。
また、本発明のバリア剤は、フッ素系、または非フッ素系の界面活性剤を1種類以上含有していてもよい。
本発明における非フッ素系界面活性剤は以下に限られるものではないが、その具体例を以下に挙げる。ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=14.5、オキシエチレン付加モル数=9)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(HLB=9.5、オキシエチレン付加モル数=1、オキシプロピレン付加モル数=8)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HLB=11.5、オキシエチレン付加モル数=10)、ポリオキシオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB=8.0、オキシエチレン付加モル数=5)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ジメチルオクタデシルアミン酢酸塩。
これらのうち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジメチルオクタデシルアミン酢酸塩等が好ましい。
バリア剤に添加される界面活性剤は、表面張力低下能が優れている点から、フッ素系界面活性剤(C)が好ましい。
フッ素系界面活性剤(C)としては、フッ素原子を有するイオン性界面活性剤またはフッ素原子を有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性のフッ素系界面活性剤(C)としては、Rf基とアニオン性基とを併有するアニオン性フッ素系界面活性剤、Rf基とカチオン性基とを併有するカチオン性フッ素系界面活性剤、Rf基とカチオン性基とアニオン性基とを併有する両性界面活性剤が挙げられる。本発明のバリア剤には、アニオン性フッ素界面活性剤、カチオン性フッ素界面活性剤、両性フッ素界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれを使用してもよく、またこれらの界面活性剤を複数用いてもよい。
以下にフッ素系界面活性剤(C)の具体例を記すが、本発明のバリア剤に添加されるフッ素系界面活性剤は、これらに限定されるものではない。
<カチオン性界面活性剤>:
セイミケミカル社製「サーフロンS−121」、スリーエム社製「フロラードFC−134」、大日本インキ化学工業社製「メガファックF−150」。
<アニオン性界面活性剤>:
セイミケミカル社製「サーフロンS−111」、「サーフロンS-112」、スリーエム社製「フロラードFC−143」、大日本インキ化学工業社製「メガファックF−120」。
<両性界面活性剤>:
セイミケミカル社製「サーフロンS−132」、「サーフロンS-131」、スリーエム社製「フロラードFX−172」、大日本インキ化学工業社製「メガファックF−120」。
<ノニオン性界面活性剤>:
セイミケミカル社製「サーフロンS−145」、「サーフロンS-141」、スリーエム社製「フロラードFC−170」、大日本インキ化学工業社製「メガファックF−141」。
フッ素系界面活性剤(C)は、それ自体が撥水撥油効果を有するものが多く、フッ素系界面活性剤(C)の添加によりオイルバリア性能の向上も望める。
また、フッ素系界面活性剤(C)に代えて、Rf基を有しかつ表面張力低下能を有する重合体を使用してもよく、このような重合体は、一種のバインダ−としても働き、被膜の強度を上げるという利点もある。
界面活性剤は、乳化重合後に除去することを回避するために、乳化重合時に添加してもよい。乳化重合時に界面活性剤を用いる場合には、フッ素系界面活性剤および非フッ素系界面活性剤のいずれを用いてもよく、必要に応じてイオン性の異なる2種以上の界面活性剤を併用してもよい。ここで、イオン性の異なる2種以上の界面活性剤を併用する場合には、カチオン性と非イオン性、アニオン性と非イオン性、または非イオン性と両性とを組合せるのが好ましい。
ここで乳化重合時に用いる非フッ素系界面活性剤としては、HLB値が7以上の非フッ素系非イオン性界面活性剤、炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ素系カチオン性界面活性剤、または、炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ素系アニオン性界面活性剤が好ましい。
ここで、選択される非フッ素系界面活性剤は、カチオン系、アニオン系であれば分散安定性を増す効果を得やすく、非イオン系であれば乳化能力を増す効果が得やすいことから、これら界面活性剤を合せて用いることで複合的効果が得られる。
ここで、HLB値が7以上の非フッ素系非イオン性界面活性剤としては、オキシアルキレン単位を分子中に5個以上有する公知の非イオン性界面活性剤が好ましい。オキシアルキレン単位としては、オキシエチレンまたはオキシプロピレンが好ましい。
また、炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ素系カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩等が挙げられ、炭素数6以上のアルキル基を分子内に有する非フッ素系アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩等が挙げられる。
なお、界面活性剤の添加量は、本発明のバリア剤組成物中の界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以上であることが望ましく、フッ素系界面活性剤(C)であれば、組成物中で0.1質量%以上あれば充分な量であり、0.01〜0.1質量%であることが好ましい。
本発明のバリア剤は、表面張力を低くし、基材への濡れ性や付着性の向上を図ることが好ましい。臨界表面張力の大きい金属やガラス基材に対してバリア処理を行う場合には、バリア剤の表面張力を著しく下げる必要は無いが、プラスチック基材に対してバリア処理を行う場合には、バリア剤の表面張力は、10〜40mN/m(20〜30℃)であることが好ましく、10〜30mN/mであることがより好ましい。
バリア剤の表面張力の低下を図るためには、重合体(A)や水系媒体(B)の濃度や種類を調整、選択することでも行えるが、バリア剤中に各種界面活性剤を添加することでも表面張力を低下させることができる。また界面活性剤を添加すればバリア剤の分散安定性の向上も図ることも可能となるため、バリア剤には1種類以上の界面活性剤が添加されていることが好ましい。
また、界面活性剤を用いて重合体(A)を合成する場合、バリア剤に添加する界面活性剤は、重合体(A)の合成に用いたものと同じ電荷のものか、重合体(A)の合成に用いる界面活性剤とバリア剤に添加する界面活性剤とのうち一方がノニオンのものを含んでいることが好ましい。
ところで、外観が重視される部品の表面に対してバリア処理を行う場合には、バリア剤での処理後に洗浄や遠心分離機などで部品に付着しているバリア剤を強制的に吹き飛ばし、処理ムラを防ぐことがある。その際に、バリア剤の表面張力を低下させただけでは、十分な密着性が得られないことが多い。
そこで、本発明のバリア剤には、さらに基材への密着性の向上を図るため、プラスのゼータ電位が付与されることが好ましい。水溶液中における主なプラスチック表面は、負の電荷を帯びていると考えられている。そこで、バリア剤にプラスの電荷を帯びさせることにより、より密着性を向上させることができる。
バリア剤に、プラスのゼータ電位を付与する方法としては、重合体(A)の合成の際に、カチオン性の官能基を持つモノマーを添加する方法、開始剤を選択することで重合体(A)の末端にカチオン性の部位を導入する方法、重合体(A)の重合時または重合後に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれる1以上の界面活性剤と、とカチオン性界面活性剤とを添加する方法などが挙げられるが、その方法は特に限定されるものでもなく、また複数の方法を併用してもよい。
バリア剤にゼータ電位を付与する好ましい方法としては、重合体(A)の重合時または重合後に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれる1以上の界面活性剤と、カチオン性界面活性剤とを添加する方法が挙げられる。その理由としては、重合体(A)のモノマー組成や重合条件の制限が少なく、重合後に界面活性剤を添加することでゼータ電位の制御が可能でかつ容易であるからである。
バリア剤は、処理対象となる面上に被膜を成形させた際に、該塗膜表面における潤滑オイル(ノルマルヘキサデカン等の炭素数16以上の炭化水素系潤滑オイル)との接触角が40度以上になることが好ましい。組成物塗膜表面での潤滑剤との接触角が上記のようであれば、充分なバリア性能が得られているといえる。
本発明のバリア剤には、分散安定性、バリア性、基材への濡れ性、または外観等に悪影響を与えない範囲で、上述した以外の他の成分を含めても良い。このような他の成分としては、具体的には、被塗布面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤、組成物を希釈して使用する場合に液中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、この染料の安定剤を加えてもよく、他に難燃剤、消泡剤、または帯電防止剤等も挙げられる。
本発明のバリア剤組成物は、任意の濃度に希釈されて、基材を被覆することで目的や用途に応じて、バリア処理することが必要な摺動部品または摺動部品近くの部品(以下、総称して「被処理部分」とも言う。)の表面をバリア処理することができる。処理方法としては、一般的な被覆加工方法が採用できる。例えば、浸漬塗布、スプレー塗布、または本発明のバリア剤組成物を充填したエアゾール缶による塗布等の方法があるが、これらの方法に限定されない。
本発明のバリア剤を被処理部品の表面に塗布し、次に乾燥することにより、該表面上に塗膜を形成することができる。組成物を塗布し、乾燥させた後、もしくは乾燥と共に、熱処理を施すのが好ましい。このような熱処理を行うことで、被処理表面により均一な被膜を形成することができる。
乾燥は60℃以上の温度で行うことが好ましく、100℃以上の温度で行うことがより好ましい。該乾燥温度は、本発明のバリア剤組成物を構成する重合体(A)の軟化点より高くする必要はないが、均一な膜厚の被膜の形成を促進し、Rf基の配向性をあげて、本発明の効果を十二分に発揮させるためには、該重合体(A)の軟化点より高いことが好ましい。一方、該重合体(A)の変質を防止するためには300℃以下であることが好ましい。
無論、被処理部品の材質などにより、加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。
なお、熱処理の条件は、塗布する組成物の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
このように、加熱をもって膜を形成する処理を施すことによって、単に塗布したときに比べてバリア性能の向上が見られる理由としては、重合体(A)が加熱により溶融もしくは軟化することで、より均一な被膜が形成されるとともに、被膜表面のRf基が規則的な再配列をおこすからではないかと考えられる。
このような加熱処理によるバリア性能の向上は、特に、Rf基部分に炭素の鎖長が異なる2種以上の重合単位(a1)が含まれる重合体(A)を用いた場合に見られる。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断わりの無い限り、以下の実施例の記載において「%」で表示されるものは「質量%」をあらわすものとする。
[重合体1の合成]
2−パーフルオロアルキル(C=6〜14)エチルアクリレート(純度91.6%)210.62gと、アセトン48.23gと、サーフロンS−141(セイミケミカル社製、30.2%)63.88gと、イオン交換水255.34gとを、600mlのオートクレーブに仕込み、50℃で1時間あらかじめ乳化を行った。その後、40℃以下に冷却し、開始剤1.93gを20.00gのイオン交換水に溶かした水溶液を加え、反応器内を窒素で置換した後、60℃で18時間ラジカル重合を行った。反応後、析出物を濾別して重合体の分散液を得た(濃度35.8質量%)。
[重合体2の合成]
2−パーフルオロアルキル(C=6〜14)エチルアクリレート(純度91.6%)133.12gと、シクロヘキシルメタクリレート38.04gと、ビニルトリエトキシシラン19.02gと、ドデシルメルカプタン0.95gと、アセトン47.54gと、ノニオンK−220(日本油脂)の20%水溶液133.12gと、イオン交換水210.31gとを、600mlのオートクレーブに仕込み、50℃で1時間あらかじめ乳化を行った。その後、40℃以下に冷却し、開始剤1.90gを3.80gのイオン交換水に溶かした水溶液を加え、反応器内を窒素で置換した後、60℃で18時間ラジカル重合を行った。反応後、析出物を濾別して重合体の分散液を得た(濃度32.5wt%)。
[潤滑オイルのバリア剤組成物の調合]
実施例1(参考例)
重合体1の分散液に、界面活性剤とイオン交換水を加え潤滑オイルのバリア剤組成物を調合した。重合体1の固形分濃度は2%に調整し、界面活性剤には、サーフロンS−141(セイミケミカル社製)とサーフロンS−121(セイミケミカル社製)とを、それぞれ0.2%、0.02%添加した。
実施例2〜4
重合体1の分散液に、界面活性剤とイオン交換水のほかに高沸点溶媒(E)を添加させたこと以外は、実施例1と同様に潤滑オイルのバリア剤組成物を調整した。添加した高沸点溶媒(E)の種類と量を表6に示す。
このように調整されたバリア剤組成物は引火性を持たずより安全に使用でき、かつ環境への負荷の少ないバリア剤となる。
比較例1
比較例として、界面活性剤にサーフロンS−141(セイミケミカル社製)とサーフロンS−121(セイミケミカル社製)を、それぞれ0.2%、0.02%添加する代わりに、サーフロンS−111(セイミケミカル社製)を0.2%添加した。
[バリア性能評価]
実施例1〜4および比較例1で得られたバリア剤のバリア性能の評価を、下記の方法によって行った。
[テストピースに対するバリア処理]
最初に、実施例1〜4および比較例1で得られたバリア剤を、イオン交換水で4倍に希釈し、処理液とした。次に、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)製のテストピースを、処理液に1分間浸漬した。次に、テストピースを取り出した後、遠心分離機(Φ=約12.5cm)にかけ(約500rpm×20秒)、余分な処理液を除去した後、乾燥を行った(110℃×5分)。
[接触角の測定]
上記の方法によりバリア処理を施した各テストピースについて、ノルマルヘキサデカンに対する接触角測定を行った。接触角の測定には、協和界面科学社製の液滴式投影型接触角計を用いた。
[ゼータ電位の測定]
実施例1〜4および比較例1で得られたバリア剤をイオン交換水で約0.05質量%に希釈し、測定サンプルとした。
大塚電子株式会社製のELS−800を用いて、測定サンプルのゼータ電位測定を行った。
[表面張力の測定]
実施例1〜4および比較例1で得られたバリア剤について、25℃における表面張力の測定を行った。表面張力は、ウィルヘルミー法によって測定した。
[微細な構造(本実施例では穴部)を有する部品に塗付したときの性能]
最初に、実施例1〜4および比較例1で得られたのバリア剤をイオン交換水で4倍に希釈し、処理液とした。次に、実際の時計部品を処理液に1分間浸漬した。次に、処理液から取り出した後、液を切らずに凹凸面の少ないほうを上に向け、乾燥を行った(60℃×20分)。
上記の方法によりバリア処理を施した時計部品について、低倍率の光学顕微鏡を用いて観察を行った。部品内部の、断面積2mm2以下の穴部について、バリア処理を施した後に内壁にヒダのような膜が発生しているのを確認した。
このヒダのような膜の発生率(以下、ヒダ膜発生率という)を、「ヒダの発生している穴の数/穴の数」で表し、微細な構造を有する部品に塗付したときの性能の評価指数とした。
以上説明したように測定したゼータ電位、表面張力、接触角、ヒダ膜発生率を、以下の表7に示す。
表7に示すように、ゼータ電位がプラスとなるように調整された実施例1〜4のバリア剤は、接触角の値が大きく、十分なバリア性能を示した。したがって、ゼータ電位がプラスとなるように調整することで、部品への密着性が良好であることが確認できた。
また、被処理部品が微細な構造を有するような場合においては、バリア剤組成物に高沸点溶剤を添加することにより、十分なバリア性能を維持しつつ、ヒダ膜の発生を抑制することができた。

Claims (12)

  1. 少なくとも下記重合単位(a1)を含む重合体(A)と、沸点が100℃以上である水溶性有機溶剤を少なくとも1種類以上含む水系媒体(B)とを含み、プラスのゼータ電位を有する、潤滑オイルのバリア剤組成物。
    重合単位(a1):ポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位、および/または炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基を含む不飽和エステル化合物から導かれる重合単位。
  2. 前記重合単位(a1)は、以下の式(1)で表される化合物から導かれる、請求項1に記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。

    ただし、式(1)においてQ1、R1、およびRfは以下の意味を示す。
    1:単結合または2価の連結基
    1:水素原子またはメチル基
    Rf:ポリフルオロアルキル基、または、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子が挿入されたポリフルオロアルキル基
  3. 前記重合体(A)は、非フッ素系重合単位(a2)を含む、請求項1または2に記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  4. 界面活性剤を1種類以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  5. アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のうちいずれか1つ以上と、カチオン性界面活性剤とが含まれることによって、プラスのゼータ電位が付与されている、請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  6. 1種類以上のフッ素系界面活性剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  7. 前記水系媒体(B)は、沸点が100℃以上であるグリコール類またはグリコールエーテル類の水溶性有機溶剤を、少なくとも1種類以上含む、請求項1〜のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  8. 前記重合体(A)の軟化点は、40〜150℃である、請求項1〜のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  9. 前記重合体(A)の濃度は、0.01〜40重量%である、請求項1〜のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  10. 表面張力が10〜40mN/mである、請求項1〜のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の潤滑オイルのバリア剤組成物を表面に塗付し、前記潤滑オイルのバリア剤組成物を用いた膜を形成する工程を含む、摺動部品または摺動部品に近接する部品の表面をオイルバリア処理する方法。
  12. 請求項11に記載の方法によって表面がオイルバリア処理された、摺動部品または摺動部品に近接する部品。
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