JP2508343B2 - フッ素系撥水撥油剤組成物 - Google Patents

フッ素系撥水撥油剤組成物

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JP2508343B2 JP2038370A JP3837090A JP2508343B2 JP 2508343 B2 JP2508343 B2 JP 2508343B2 JP 2038370 A JP2038370 A JP 2038370A JP 3837090 A JP3837090 A JP 3837090A JP 2508343 B2 JP2508343 B2 JP 2508343B2
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meth
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、改良されたフッ素系撥水撥油剤組成物に関
するものであり、更に詳しく言えば、フルオロアルキル
基含有の重合し得る化合物とこのフルオロアルキル基含
有の化合物に共重合可能なフッ素を含まない化合物とを
構成単位として含む共重合体よりなる化合物で、特に全
繊維に対して撥水撥油性の改良された撥水撥油剤に関す
るものである。
[従来の技術] 従来より、パーフルオロアルキル基を含有するアクリ
ル酸エステルまたはメタクリル酸エステル(以下、アク
リル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して(メ
タ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリレートと
記す。他の化合物についても同様に記す。)のごときフ
ルオロアルキル基含有の重合し得る化合物の重合体ある
いはこれと(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン
酸、クロロプレン、ブタジエン、メチルビニルケトンの
ごとき他の重合し得る化合物との共重合体よりなる撥水
撥油剤は知られている。
しかるに、前記のごとき従来の撥水撥油剤は、撥油性
については満足し得る性能を有するのであるが、撥水性
については必ずしも満足し得る性能を有するものでなか
った。このために、従来のフッ素含有の撥水撥油剤は、
ピリジニウム第4級塩型の撥水剤あるいはパラフィン蝋
の撥水剤などを併用して、撥水性を強化するなどしてい
た。
こういった従来の撥水撥油剤が有する欠点を解消し
て、実用に耐え得る改良された撥水撥油剤を提供するた
めに、フルオロアルキル基含有の重合し得る化合物に塩
化ビニルおよび/もしくはステアリル(メタ)アクリレ
ートを特定の割合で共重合させる事によって、撥油性を
損なうことなく、撥水性を向上せしめ得る事は知られて
いる。
また、天然繊維に対しての撥水性の改善を目的とし
て、従来よりエマルションにステアリルトリメチルアン
モニウムクロライドのような水に対して溶解性の高いカ
チオン系界面活性剤を加え性能を改善させる試みは行な
われてきた。しかしながらこれらの処理剤も、ポリエス
テルなどの合成繊維に対しては高い撥水性を発現するも
のの、綿などの天然繊維に処理した場合、ポリエステル
などの合成繊維に処理した場合に比べて、満足いく高い
撥水性を発現することが不可能であった。
[発明の解決しようとする課題] 本発明の目的は、従来技術が有していた綿などの天然
繊維に対しての撥水性の不足を解消し、全繊維に対して
常に高い撥水性を発現せしめようとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者は、かかる従来の撥水撥油剤が有する欠点を
解消して、全繊維に対して常に高い撥水性を発現しうる
撥水撥油剤を提供する事を目的として種々の研究、検討
を重ねた結果、水分散型のフッ素系撥水撥油剤におい
て、含フッ素共重合体を含有しているエマルションのゼ
ータ電位を+50mV以上にする事によって、全繊維に対し
て常に高い撥水性を発現しうることを見出して本発明に
至った。
すなわち本発明は、フルオロアルキル基含有の重合し
うる非イオン性の(メタ)アクリル酸エステルの重合し
た単位とこのフルオロアルキル基含有の化合物に共重合
可能なフッ素を含まない化合物の重合した単位とを構成
単位として含む含フッ素共重合体よりなる水分散型のフ
ッ素系撥水撥油剤において、水に対して溶解性の低いカ
チオン系界面活性剤を使用するか、および/もしくは水
に対して溶解性の低いカチオン含有の共重合可能なフッ
素を含まない化合物の重合した単位を含フッ素共重合体
の構成単位とすることによってゼータ電位を+50mV以上
に設定せしめることができ、これにより全繊維に対して
常に高い撥水性を発現することが可能なフッ素系撥水撥
油剤組成物を提供するものである。
本発明における水分散型のフッ素系撥水撥油剤に+50
mV以上(上限は特にないが、工業的実施においては+70
〜+100mV以下が好ましい。)のゼータ電位を付与せし
める方法としては、重合時および/もしくは重合後に界
面活性剤として水に対して溶解性の低いカチオン系界面
活性剤を加えるか、もしくは水に対して溶解性の低いカ
チオン系界面活性剤をノニオン系界面活性剤と併用する
事が好ましい。カチオンとノニオン系界面活性剤の併用
割合は、前者対後者の重量部基準で1:10〜10:1であり、
好ましくは1:10〜5:10である。
従来より用いられているカチオン系界面活性剤として
は一般に、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド等の炭素数10以上の長鎖アルキル基を1つ含むモノア
ルキルトリメチルアンモニウムクロライドやジステアリ
ルジメチルアンモニウムクロライド等の炭素数10以上の
長鎖アルキル基を2つ以上含むジアルキルジメチルアン
モニウムクロライド、トリアルキルモノメチルアンモニ
ウムクロライド、テトラアルキルアンモニウムクロライ
ドやステアリルジメチルアミンの酢酸塩等の炭素数10以
上の長鎖アルキル基を1つ含むモノアルキルジメチルア
ミンの酢酸塩やラウリルアミンの様な炭素数10以上の長
鎖アルキル基を1つ含むモノアルキルアミンなどをあげ
ることができる。
しかしながら、たとえばステアリルトリメチルアンモ
ニウムクロライドのような水に対して溶解性の高いカチ
オン系界面活性剤においては、水分散液中において媒体
である水中にカチオン系界面活性剤がかなり溶出分散し
てしまうために、多量に加えてもエマルションの界面電
位を50mV以上に上げることはできなかった。このために
繊維、特に綿などの天然繊維に対して満足いく撥水性を
発現することはできなかった。一方、水に対しての溶解
性の低いカチオン系界面活性剤を用いた場合、エマルシ
ョン/水界面にカチオン系界面活性剤が効果的に凝集さ
れるため、少量で効率よくゼータ電位を上げることが可
能となり、全繊維、特に綿などの天然繊維に対して高い
撥水性を付与することができる。ゆえに本発明の組成物
に含ませるカチオン系の界面活性剤としては、水に対し
ての溶解性の低いカチオン系界面活性剤を用いるのが好
ましい。
水に対して溶解性の低いカチオン系界面活性剤として
は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド等の炭
素数20以上の長鎖アルキル基を1つ含むモノアルキルト
リメチルアンモニウムクロライドや、ジステアリルジメ
チルアンモニウムクロライド等の炭素数12以上の長鎖ア
ルキル基を2つ含有するジアルキルジメチルアンモニウ
ムクロライドや、アルキル基の炭素数の合計が24以上
の、トリアルキルモノメチルアンモニウムクロライド、
テトラアルキルアンモニウムクロライドや、ベヘニルジ
メチルアミンの酢酸塩等の炭素数20以上の長鎖アルキル
基を1つ含むモノアルキルジメチルアミンとその塩、あ
るいはラウリルアミンの様な炭素数12以上の長鎖アルキ
ル基を1つ含むモノアルキルの1級アミンなどを例示す
る事が可能である。このうちここで示した4級アンモニ
ウムの対アニオンとしては、クロライド、ブロマイドな
どのハロゲン系アニオンおよび酢酸アニオン、シュウ酸
アニオン、コハク酸アニオン、クエン酸アニオン等の有
機酸由来のアニオンが選択可能である。また3級アミン
塩の酸源としては、塩酸、臭化水素酸などの無機酸、酢
酸、シュウ酸、クエン酸などの有機酸が選択可能であ
る。
本発明における水分散型のフッ素系撥水撥油剤に50mV
以上のゼータ電位を付与せしめる他の方法としては、重
合時に側鎖にアンモニウム塩を有しフッ素を含まない
(メタ)アクリレートや側鎖にアンモニウム塩を有しフ
ッ素を含まない(メタ)アクリルアミドなどのカチオン
性側鎖を有しフッ素を含まない共重合可能な重合性化合
物を共重合することが好ましい。
カチオン性側鎖を有しフッ素を含まない共重合可能な
重合性化合物としては、NN−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリル酸エステルの塩酸塩、酢酸塩、NN−ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩、酢
酸塩やトリメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エス
テルクロライド、トリメチルアミノエチル(メタ)アク
リル酸エステルアセテート、トリメチルアミノプロピル
(メタ)アクリル酸エステルクロライド、トリメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリル酸エステルアセテートな
どを挙げることができる。
また、本発明における水分散型のフッ素系撥水撥油剤
に50mV以上のゼータ電位を付与せしめる方法として、こ
れらの2つの方法を併用することも可能である。
パーフルオロアルキル基を含有する非イオン性の(メ
タ)アクリル酸エステルのごときフルオロアルキル基含
有の重合し得る非イオン性の化合物としては、 (ここでR1は、HもしくはCH3) を好適なものとしてあげることができ、これらの2種以
上、または炭素数の異なる化合物を2種以上併用するこ
とも可能である。
前述のRfは炭素数1〜20個、好ましくは4〜16個の直
鎖状または分岐状のポリフルオロアルキル基であり、通
常は末端部がポリフルオロアルキル基であるものが選定
されるが、末端部に水素原子あるいは塩素原子を含むも
の、あるいはオキシポリフルオロアルキレン含有基など
も使用可能である。Rfの好ましい態様は、CnF2n+1(た
だし、nは4〜16の整数を示す)で表わされるパーフル
オロアルキル基であり、nが6〜12のものが特に好まし
い。
これらポリフルオロアルキル基を含有する非イオン性
の(メタ)アクリル酸エステルのごときフルオロアルキ
ル基含有の重合し得る非イオン性の化合物と共重合可能
なフッ素を含まない化合物としては、以下のごとき、ラ
ジカル反応性の不飽和結合を持った化合物であり、 CH2=CR1COOR2 CH2=CR1COO(CH2CH2O)PH(Pは1〜12) (ここでR1はH、またはCH3 R2はH、またはCqH2q+1でqは1から23であり好ましく
は1〜6)などのメタクリル酸およびアクリル酸もしく
はそれらのエステル類や下式で示されるような CH2=CR1CONHCH2 CH2=CR1CONHCH2OC4H9 CH2=CHCl CH2=CCl2 CH2=CH2OCOCH3 CH2=CH2CH2OH (ここでR1はH、またはCH3) のごとき(メタ)アクリル酸アミド誘導体、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有ビニルモノマー、
エチレン、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル、マレ
イン酸無水物およびマレイン酸ジアルキルエステル、ス
チレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ア
クリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレ
ン、メチルビニルケトンなどが好ましい。また、これら
の共重合性化合物は、2種以上併用することも可能であ
る。これらのフルオロアルキル基を含まない重合し得る
化合物を共重合させる事は、撥水撥油性や防汚性に加え
て、耐ドライクリーニング性、耐洗濯性、溶解性、硬
さ、触感などの種々の性質を適当に改善し得ることがで
きる。
パーフルオロアルキル基を含有する非イオン性の(メ
タ)アクリル酸エステルのごときフルオロアルキル基含
有の重合し得る非イオン性の化合物とこの重合し得る化
合物以外のフッ素を含まない共重合性化合物との共重合
体を得るためには、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳
化重合などの各種の重合方法を採用し得る。また重合の
開始方法も、開始剤による重合、放射線重合、光重合な
どの各種の重合開始方法を採用し得る。本発明における
撥水撥油剤は、有機溶液や有機分散液の形態でも使用可
能であるが、染色工程等への適用や、処理作業環境への
影響を考慮すると、水分散型の形態で使用されることが
好ましい。ゆえに分散補助剤として水可溶性の有機溶剤
を併用し、界面活性剤の存在下で水中で乳化重合する方
法が好ましい。
水分散型とするための分散剤としての界面活性剤は、
ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性系等各種の
ものが採用可能であり、これらを適宜併用してもよい。
しかしながら本発明においてはゼータ電位を+50mV以上
に設定させる必要があるので、アニオン系の界面活性剤
を多量に使用する事は不可能である。ゼータ電位を+50
mV以上に設定させるためには、ノニオン系界面活性剤と
カチオン系界面活性剤の併用もしくは、ノニオン系界面
活性剤とカチオン性側鎖を有しフッ素を含まない共重合
可能な重合性化合物との組合せが好ましい。ノニオン系
界面活性剤としては、具体的にはポリオキシエチレンモ
ノオレイルエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニ
ル)エーテル、ポリオキシエチレンモノオレイル酸エス
テル、ポリオキシエチレンモノアルキルカルボン酸エス
テル、ソルビタンエステル、ショ糖エステルなどが好ま
しい。またノニオン界面活性剤の代わりに両性イオン型
の界面活性剤を使用することができる。両性イオン型の
界面活性剤としてはベタイン型もしくはコリン、エタノ
ールアミン等のリン酸エステル型などを使用するのが好
ましい。
カチオン系界面活性剤としては、前述した水に対して
溶解性の低い界面活性剤を選択しなければならない。
水可溶性の溶剤の存在は、パーフルオロアルキル基を
含有する重合しうる非イオン性の化合物の分散性を良好
にし、他のフッ素を含まない共重合性化合物との共重合
性を良好にする。この目的に適した溶剤としては、パー
フルオロアルキル基を含有する重合しうる非イオン性の
化合物に対して溶解性のある水可溶の溶媒であれば特に
限定することなく用いることができるが、アセトン、メ
チルエチルケトンのごときケトン類、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールのごときエチレングリコー
ル誘導体および、ポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポ
リエチレングリコールモノブチルエーテルのごときエチ
レングリコール誘導体のアルキルエーテル類、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコールのごときプロピレングリコール誘導体、シ
クロデキストリン、デキストリンのごときポリエーテル
類、酢酸メチル、酢酸エチルのごときエステル類などが
好適なものとして例示される。これらの有機溶剤の添加
量は、本発明の共重合体100重合部あたり、通常2〜300
重合部好ましくは5〜120部の範囲から選定される。
重合に用いる開始剤としてはアゾ開始剤や過酸化物系
の開始剤のうち水溶性のものをもちいることが好まし
い。たとえば、 などのアゾ系のアミノ化合物、環状アミノ化合物、フェ
ニル基を含有するアミノ化合物、ニトリル化合物の塩酸
塩などの水溶性の開始剤および過硫酸カリウムなどの水
溶性の過酸化物系の開始剤を好適なものとしてあげられ
る。重合温度は開始剤に応じて選ぶことができるが、通
常40℃〜80℃が好適である。
本発明の撥水撥油剤を水分散型とした場合に本発明の
共重合体の固形分濃度は、特に限定されないが、通常は
2〜60Wt%、好ましくは5〜50Wt%に調製され、加工に
あたっては、これを水によって、0.2〜16Wt%程度に希
釈した状態で使用される。そして、かかるエマルション
型の撥水撥油剤は、有機溶剤型のものに比して、原液の
引火点が高い、固形分濃度を高くすることが可能である
などの利点があり、さらに加工時の作業環境汚染を極小
にすることができるなどの種々の利点を有するものであ
る。
本発明の撥水撥油剤は、被処理物品の種類などに応じ
て、任意の方法で被処理物品に適用され得る。例えば、
浸漬塗布等のごとき被覆加工の既知の方法により、被処
理物の表面に付着させ乾燥する方法が採られる。また、
必要ならば適当なる架橋剤と共に適用し、キュアリング
を行なっても良い。更に本発明の撥水撥油剤に他の撥水
剤や撥油剤あるいは防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、染料
定着剤、防シワ剤などを添加して併用する事ももちろん
可能である。
本発明の撥水撥油剤で処理され得る物品は、繊維製品
であれば、特に限定なく種々の例をあげることができ
る。例えば、綿、麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、
ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン
のごとき種々の合成繊維、レーヨン、アセテートのごと
き半合成繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、アスベ
スト繊維のごとき無機繊維、あるいはこれらの混合繊維
及び織物などがあげられる。
[作用] 本発明において、水分散型のフッ素系撥水撥油剤が、
フッ素を含有しているエマルションのゼータ電位を+50
mV以上にせしめる事によって高い撥水性を発現される理
由については、必ずしも明確でない。しかるに、エマル
ションのゼータ電位と繊維表面の表面電位の差が水分散
型のフッ素系撥水撥油剤の撥水性に大きく影響している
ことが判った。すなわちゼータ電位の差が大きくなるほ
ど高い撥水性を示すことが判った。ゼータ電位の差が大
きいと一般にフッ素系撥水撥油剤は選択吸着がおこり、
吸着量が増すことにより、撥水性の差が生じることが予
想された。しかるに、実際に処理、評価をおこなってみ
ると同じ共重合組成で重合し得られたエマルションにお
いては乳化剤等の選択によりゼータ電位を変えても、ゼ
ータ電位の差のいかんにかかわらず、処理布に対して吸
着量に差が見られない場合が多く確認された。しかしこ
の場合でもゼータ電位の差が大きいほど撥水性の差が大
きく表われていた。加えて、ゼータ電位の差が小さいた
めに撥水性の不足している処理布であっても、処理時間
を延ばしたり、処理温度を上げることによって、ゼータ
電位の差の大きい処理剤で得られた撥水性と同等の撥水
性を示すことがわかった。すなわち、ゼータ電位の差
は、吸着量の差よりもむしろ吸着してからエマルション
が造膜するときの造膜過程に影響していることが予想さ
れる。繊維の表面電位は多くの場合負に荷電しているの
で、エマルションのゼータ電位との差は、電気的静電相
互作用の結果としてカチオン系界面活性剤やポリマー中
のカチオン性側鎖を引きつける引力として働く。吸着後
の造膜過程の差とは、この静電相互作用によって、撥水
性発現には不要と考えられる化合物を表面からすみやか
に除き、撥水性発現に必要なフルオロアルキル基の表面
配向やその他の共重合成分の造膜過程を容易にすること
で生じる、配向速度、造膜速度の差であると考えられ
る。
この説明が本発明を何ら限定するものでないことはも
ちろんである。
[実施例] 次に本発明の実施例についてさらに具体的に説明する
が、この説明が本発明を限定するものではない事はもち
ろんである。
以下の実施例中に示す撥水性、撥油性については、次
の様な尺度で示した。すなわち、撥水性は、JIS L-1005
のスプレー法による撥水性ナンバー(下記第1表参照)
をもって表わし、撥油性は下記第2表に示された試験溶
液を試験布の上、二ヶ所に数滴(径約4mm)置き、30秒
後の浸透状態により判別した(AATCC-TM118-1966)。
なお、撥水性ナンバー、撥油性ナンバーに、+印を付
したものは、それぞれの性態がわずかに良好なものを示
す。
また、ゼータ電位の測定には、大塚電子(株)製レー
ザーメータ電位計LEZA-600を用いた。
実施例1 熱電対式温度計、電流式撹拌機を装着した、ガラス製
オートクレーブ(内容積11)中に、パーフルオロアルキ
ルエチルアクリレート(以下FA)[PfCH2CH2OCOCH=C
H2,Rfの炭素数は平均9個]120g、N−メチロールアク
リルアミド 4g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
10g、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド 2
g、アセトン 120g、水 350g、アゾビスイソブチルア
ミジン塩酸塩1gを加え、撹拌しながら約20分間窒素置換
を行ない塩化ビニル76gを加えたのち、60℃に昇温し、
重合を開始させる。60℃で15時間保温撹拌したのち冷却
し、固形分濃度31%のエマルションを得た。ガスクロマ
トグラフィーによる共重合反応の転化率は99.0〜99.8%
(フルオロアルキル基含有の重合し得る化合物に対し
て)であった。また、全反応モノマーに対する安定乳化
エマルションの収率は95〜99%であった。
実施例2〜6、比較例1〜4 実施例1と同様の方法にて、モノマー、乳化剤を変更
し乳化重合を行なった。用いたモノマー、乳化剤を第3
表に示した。
以上の方法にて得られた乳化エマルションの固形分濃
度を12重量%にしたラテックスを原液として、撥水撥油
性能の試験を行なった。ラテックス原液を水により希釈
し、原液の水に対する割合を、1.5%として、撥水性能
を測定した。
試験は綿ブロード布およびナイロンタフタ布について
行ない、撥水撥油処理は次の様に行なった。即ち、前記
のごとく希釈したラテックス処理液に試験布を30秒間浸
漬し、2本のゴムローラーの間で布をしぼって、ウエッ
トピックアップを綿ブロード布の場合60%、ナイロンタ
フタ布の場合30%とした。次いで、110℃で90秒間乾
燥、更に170℃で60秒間熱処理した。かくして得られた
処理布について撥水撥油性能を測定した結果をエマルシ
ョンのゼータ電位の値と共に、下記第4表にまとめて示
す。
[発明の効果] 本発明は、エマルションのゼータ電位を+50mV以上に
することによって、従来充分に性能を発現できなかった
綿などの天然繊維に対して、満足する撥水性および撥油
性を発現させることが可能となった。また、合成繊維に
おいても、例えばナイロンタフタにおいて、アニオン系
のフィックス処理をおこなった布以外では充分に性能が
発現しなかったが、本発明によってエマルションのゼー
タ電位を+50mV以上にすることによって、上記のアニオ
ン系のフィックス処理をすることなしに、満足する撥水
性および撥油性を発現させることが可能となった。ま
た、エマルションのゼータ電位を上げることによって、
エマルション粒子間の静電相互作用が増大するので、安
定性をも改善することができた。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水、および、ポリフルオロアルキル基を含
    有する非イオン性の(メタ)アクリル酸エステルの重合
    した単位とフッ素を含まない共重合性化合物の重合した
    単位を含む含フッ素共重合体、を必須成分とするエマル
    ションであり、該エマルションのゼータ電位が+50mV以
    上であるフッ素系撥水撥油剤組成物。
  2. 【請求項2】エマルション中に、下記カチオン系界面活
    性剤(a)〜(f)から選ばれる少なくとも1種のカチ
    オン系界面活性剤が含まれている請求項1に記載の組成
    物。 (a)炭素数20以上の長鎖アルキル基を1つ含むモノア
    ルキルトリメチルアンモニウムクロライド。 (b)炭素数12以上の長鎖アルキル基を2つ含有するジ
    アルキルジメチルアンモニウムクロライド。 (c)アルキル基の炭素数の合計が24以上のトリアルキ
    ルモノメチルアンモニウムクロライド。 (d)アルキル基の炭素数の合計が24以上のテトラアル
    キルアンモニウムクロライド。 (e)炭素数20以上の長鎖アルキル基を1つ含むモノア
    ルキルジメチルアミンまたはその塩。 (f)炭素数12以上の長鎖アルキル基を1つ含むモノア
    ルキル1級アミン。
  3. 【請求項3】エマルション中に、ノニオン系界面活性剤
    が含まれる請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】フッ素を含まない共重合性化合物が、カチ
    オン性側鎖を有する化合物である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の組成物。
  5. 【請求項5】フッ素を含まない共重合性化合物が、側鎖
    にアンモニウム塩を有する(メタ)アクリレートまたは
    側鎖にアンモニウム塩を有する(メタ)アクリルアミド
    である請求項4に記載の組成物。
JP2038370A 1990-02-21 1990-02-21 フッ素系撥水撥油剤組成物 Expired - Lifetime JP2508343B2 (ja)

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