JP3744035B2 - 安定性に優れる水分散型撥水撥油剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工処理浴中での安定性に優れた水分散型撥水撥油剤組成物に関する。さらに詳しくは、加工処理浴に併用薬剤を含ませた場合、または、加工処理浴中に前処理工程から加工布に付着した夾雑物が混入した場合等においても、優れた分散安定性および撥水撥油性を発揮する水分散型撥水撥油剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフルオロアルキル基含有アクリレートまたはメタクリレート等のポリフルオロアルキル基を含有する重合性化合物の重合単位を含む重合体を乳化重合によって合成し、得られた水性分散液を撥水撥油剤として使用することは広く行われている(特公昭47−40467)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来の水性分散液は、加工浴中に酸やアニオン性物質(染料固着剤や酸性染料など) が存在すると撥水撥油性能が低下したり、水性分散液の分散性の悪化によるエマルション粒子の凝集、沈降が起こり撥水撥油性能が低下したり、マングルにポリマーが付着(ガムアップ)し加工布に処理ムラが発生する問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題を解決するために検討を重ねた結果、水分散型撥水撥油剤中に特定の界面活性剤を含ませることによって、酸やアニオン性物質等の併用薬剤や夾雑物が存在したとしても、優れた分散安定性および優れた撥水撥油性を発揮させうることを見い出した。
【0005】
すなわち本発明は、水系媒体、水系媒体に分散したポリフルオロアルキル基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの重合単位を含む重合体(a)、および、界面活性剤(b)を含む水分散型撥水撥油剤組成物であって、界面活性剤(b)が、下記界面活性剤(c)、下記界面活性剤(d)、および、下記界面活性剤(e)の少なくとも3種の界面活性剤からなることを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物である。
【0006】
界面活性剤(c):分子中にアミンオキシド部分を含む非イオン性界面活性剤。
界面活性剤(d):界面活性剤(c)を除く非イオン性界面活性剤。
界面活性剤(e):カチオン性界面活性剤。
【0007】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、水系媒体、特定の重合体(a)、および、特定の界面活性剤(b)を含む。
本発明における水系媒体は、水のみ、または、水に水溶性の有機溶剤を含ませたものが挙げられる。水溶性の有機溶剤としては、ケトン類、エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類またはアルコール類等が挙げられる。水系媒体としては、水のみが好ましく、水溶性の有機溶剤を含ませる場合には、水100重量部に対して5〜50重量部程度が好ましい。
【0008】
また、特定の重合体(a)は、上記水系媒体中に分散したポリフルオロアルキル基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの重合単位を含む重合体である。なお、以下において、アクリレートおよびメタクリレートを総称して(メタ)アクリレートと記し、他の化合物についても同様に記す。また、ポリフルオロアルキル基をRf 基と記し、Rf 基を含有するアクリレートおよびRf 基を含有するメタクリレートを総称して、Rf 基含有(メタ)アクリレートと記す。
【0009】
Rf 基含有(メタ)アクリレートのRf 基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。Rf 基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子に置換された水素原子を含んでいてもよく、他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。さらに、Rf 基は、炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入されていてもよい。
【0010】
また、Rf 基の炭素数は3〜20が好ましく、特に4〜16が好ましい。またRf 基は直鎖または分岐の構造が好ましく、直鎖が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ炭素数が1〜3程度の短鎖であるのが好ましい。
【0011】
Rf 基中のフッ素原子の数は、(Rf 基中のフッ素原子の数)/(Rf 基と同一炭素数の対応するアルキル基の水素原子の数)×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。さらにRf 基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(以下、パーフルオロアルキル基と記す。)が好ましい。
【0012】
Rf 基含有(メタ)アクリレートは、下式(3)で表される化合物が好ましい。ただし、Rf1は炭素数4〜16の直鎖状また分岐状のRf 基を示し、直鎖状のRf 基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。また、式(3)において、R1 に結合するRf1の炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。R1 は炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の2価の結合基を示し、具体例中に記載されるものが好ましい。R2 は、水素原子またはメチル基を示す。
【0013】
R f1−R1 −OCOCR2 =CH2 (3)
【0014】
Rf 基含有(メタ)アクリレートの具体例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
【0015】
CF3(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2 、
CF2H(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)7(CH2)3OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)6CH2OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)4CH2OCOC(CH3)=CH2 、
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2 、
(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)6(CH2)2OCOC(CH3)=CH2 、
(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)7SO2N(C3H7)(CH2)2OCOCH=CH2 、
CF3(CF2)7SO2N(CH3)(CH2)2OCOC(CH3)=CH2 、
CF3(CF2)7(CH2)3OCOC(CH3)=CH2 、
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2 、
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)OCOC(CH3)=CH2 。
【0016】
重合体(a)は、上記のRf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位の1種または2種以上のみを含む重合体であってもよく、Rf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位とともに、他の重合性単量体の1種または2種以上を含む共重合体であってもよく、共重合体である場合が好ましい。Rf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位を2種以上含む場合には、Rf 基の炭素数が異なる(メタ)アクリレートの重合単位であるのが好ましい。
【0017】
また、重合体(a)が、他の重合性単量体の重合単位を含む共重合体である場合、他の重合性単量体としては、Rf 基含有(メタ)アクリレートと共重合可能な化合物であれば特に限定されない。他の重合性単量体の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0018】
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、片末端メチルエチルケトンオキシムブロック化イソホロンジイソシアナート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート反応物、片末端メチルエチルケトンオキシムブロック化トリレンジイソシアナート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート反応物等の架橋性の基を有する重合性単量体。
【0019】
塩化ビニル、エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルアルキルエーテル、(ハロゲン化アルキル)ビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等。
【0020】
本発明における重合体(a)がRf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位とともに他の重合性単量体の重合単位を含む共重合体である場合、共重合体中のRf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位は40重量%以上が好ましく、特に50〜80重量%程度が好ましい。また、他の重合性単量体として、架橋性単量体を含ませる場合には架橋性単量体は少量でよく、通常は、共重合体中に架橋性単量体を0. 01〜10重量%程度とするのが好ましく、特に0. 1〜5重量%程度が好ましい。
【0021】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、特定の界面活性剤(b)を含むことが特徴である。特定の界面活性剤(b)は、界面活性剤(c)、界面活性剤(d)、および界面活性剤(e)の少なくとも3種の界面活性剤からなる。
【0022】
界面活性剤(c)は、分子中にアミンオキシド部分を有する非イオン性界面活性剤であり、界面活性剤(d)は、界面活性剤(c)を除く非イオン性界面活性剤[以下、非イオン性界面活性剤(d)と記すこともある。]であり、界面活性剤(e)は、カチオン性界面活性剤[以下、カチオン性界面活性剤(e)と記すこともある。]である。
【0023】
まず、界面活性剤(c)について説明する。界面活性剤(c)は分子中にアミンオキシド部分(N→O)を有することが必要であり、染料、酸やアニオン性物質等の併用薬剤や夾雑物の存在下にも、きわめて優れた分散安定性を発揮するエマルションを形成するための必須成分である。
【0024】
界面活性剤(c)としては、分子中にアミンオキシド部分を有する公知ないしは周知の非イオン性界面活性剤が採用でき、下式(4)で表される化合物が挙げられる。ここで、R31、R32、R33は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、炭化水素基を示す。なお、分子中にアミンオキシド部分(N→O)を有する界面活性剤は、陽イオン界面活性剤に分類されることもあるが、本発明においては、非イオン性界面活性剤として扱う。界面活性剤(c)は、1種または2種以上を用いうる。
【0025】
本発明における界面活性剤(c)としては、特に下式(4A)で表される界面活性剤が撥水撥油剤の分散安定性の点で好ましい。
ただし式(4A)において、R3 は、炭素数6〜22のアルキル基、炭素数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、またはアルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基を示し、炭素数8〜22のアルキルまたはアルケニル基が好ましい。
【0026】
(R31)(R32)(R33)N→O (4)
R3 −N(CH3 )2 →O (4A)
【0027】
式(4A)で表される非イオン界面活性剤の具体例を以下に挙げるがこれらに限定されない。
【0028】
CH3 (CH2 )11N(CH3 )2 →O、
CH3 (CH2 )13N(CH3 )2 →O、
CH3 (CH2 )15N(CH3 )2 →O、
CH3 (CH2 )17N(CH3 )2 →O。
【0029】
つぎに、非イオン性界面活性剤(d)について説明する。非イオン性界面活性剤(d)は、界面活性剤(c)を除く非イオン性界面活性剤であり、界面活性剤ハンドブックに記載される公知ないしは周知の非イオン性界面活性剤(d)を採用できる。
【0030】
たとえば、(ポリエチレングリコール)エステル類、(ポリオキシエチレン)アルキルエーテル類、(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテル類、(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン(アルキルフェニル)エーテル類、(ポリオキシエチレン)脂肪酸エステル類、(ポリオキシエチレン)グリセリンエステル類、ソルビタンエステル類、グリセリンエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤(d)としては、(ポリオキシエチレン)アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン(アルキルフェニル)エーテル類、(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)アルキルエーテル類が安定性が高く好ましい。
【0031】
つぎに、カチオン性界面活性剤(e)について説明する。カチオン性界面活性剤(e)は、界面活性剤ハンドブックに記載される公知ないしは周知のカチオン性界面活性剤が採用できる。これらのうち、アルキルアンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤が好ましく、特に式(1)または式(2)で表されるカチオン性界面活性剤が繊維に加工後の撥水撥油性能に悪影響を与えないことから好ましい。
【0032】
ただし、式(1)および式(2)において、R1 、R2 、およびX- は、下記の意味を示す。
R1 :炭素数6〜22のアルキル基、炭素数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、またはアルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基を示し、炭素数12〜22のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。
R2 :水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、アルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、またはベンジル基を示し、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、炭素数12〜22のアルキルまたはアルケニル基が好ましい。
X- :1価のアニオンを示し、Cl- 、HSO4 -、NO3 -、 CH3 COO- 、CH3 CH2 COO- 、HCOO- 、またはC2 H5 SO4 -等が挙げられる。
【0033】
[R1 −N+ (CH3 )2 R2 ]・[X- ] (1)
R1 −N(CH3 )R2 の塩 (2)
【0034】
本発明における界面活性剤(b)は、上記の界面活性剤(c)、非イオン性界面活性剤(d)、およびカチオン性界面活性剤(e)を含むことが特徴である。水分散型撥水撥油剤組成物に非イオン界面活性剤(d)のみを含ませた場合には、夾雑物共存下の加工浴中での安定性が充分でなく、マングルへのポリマー付着(ガムアップ)が生じる恐れがある。一方、界面活性剤(c)だけでは夾雑物への安定性は良好であるが、撥水撥油性が充分でなくなる。したがって、界面活性剤(b)中の各々の重量比は、界面活性剤(d)/界面活性剤(c)=99/1〜1/99が好ましく、特に、95/5〜40/60が好ましい。
【0035】
さらに、界面活性剤(e)を併用すると、良好な分散安定性と高い撥水撥油性能を両立させうるが、界面活性剤(e)の割合が高くなりすぎると安定性が低下するため、界面活性剤(e)の量は、界面活性剤(e)/[界面活性剤(c)+界面活性剤(d)]=1/99〜40/60が好ましく、特に、5/95〜35/65が好ましい。
【0036】
さらに、界面活性剤(b)の総量は、重合体(a)100重量部に対して3〜15重量部が好ましく、特に5〜13重量部が好ましい。これより少ないとエマルションの安定性が充分でなく、これより多いと撥水撥油性が低下する。
【0037】
本発明の水分散型撥水撥油組成物には、上記の界面活性剤(b)以外の界面活性剤を含むことも可能である。界面活性剤(b)以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤や界面活性剤(b)以外の高分子界面活性剤等が挙げられ、この例として、酢酸ベタイン類、イミダゾリニウムベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0038】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物においては、Rf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体(a)が水系媒体中に分散している。重合体(a)を水系媒体中に分散させる方法については、特に限定されないが、本発明においては、重合体(a)を乳化重合法によって合成する方法を採用し、重合時に撹拌することによって自然に分散させる方法、また、乳化重合の重合開始剤を添加する前に、ホモミキサーまたは高圧乳化装置により乳化して、その後に重合を開始することによって分散させる方法が好ましい。
【0039】
すなわち、本発明における重合体(a)は、Rf 基含有(メタ)アクリレート、および必要に応じて上記の他の化合物を、特定の界面活性剤(b)の存在下に乳化重合することにより合成するのが好ましい。
【0040】
乳化重合の媒体としては、本発明の水分散型撥水撥油剤組成物の水系媒体と同じものを採用するのが好ましく、水のみ、または水に水溶性の有機溶剤を含ませたものが挙げられる。水溶性の有機溶剤としては、ケトン類、エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類またはアルコール類等が挙げられる。
【0041】
乳化重合は、通常の場合、重合開始源を作用させることによって実施する。重合開始源としては特に限定されず、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の重合開始剤、または、γ線のような電離性放射線等が採用できる。
【0042】
水媒体中に分散した、Rf 基含有(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体(a)は、粒子状で分散しているのが好ましく、粒子径は0.03〜0.25μm程度が好ましい。
【0043】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、目的や用途等に応じて、任意の濃度に希釈されて、被処理物に適用される。被処理物の適用方法も、被処理物の種類により任意の方法が採用されうる。たとえば、浸漬塗布等の被覆加工の既知の方法により、被処理物の表面に付着させ乾燥する方法が採用されうる。また、必要ならば適当な架橋剤とともに適用し、キュアリングを行ってもよい。
【0044】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、他の化合物を併用した場合においても、優れた安定性を発揮するため、必要に応じて、他の重合体ブレンダー、他の撥水剤や撥油剤または防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、染料安定剤、防シワ剤などの添加剤を併用できる。そして、他の化合物を併用した場合にも、優れた撥水撥油性能、および、水分散型組成物としての安定性を発揮する。
【0045】
本発明の撥水撥油剤で処理され得る物品は、特に限定なく種々の例を挙げられる。たとえば、繊維織物、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチックなどがある。
【0046】
繊維織物としては、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の種々の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、またはこれらの混合繊維の織物が挙げられる。
【0047】
【作用】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物が優れた安定性を示す機構は必ずしも明確ではないが、本組成物においては、非イオン性界面活性剤(d)の通常の安定化効果に加えて、アミンオキシド部分を有する界面活性剤(c)の泡安定化作用や分散作用により共存する酸またはアニオン性物質等の夾雑物質が組成物中の化合物と反応して、水系媒体に不溶な化合物が生成しスカムとして析出するのを防ぐと考えられる。また、撥水撥油性能に悪影響を与える可能性が高い水に不溶解性の化合物が生成しても、その効果はカチオン性界面活性剤(e)の作用により低減されると推定される。
【0048】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例(例1〜6)および比較例(例7〜9)によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の例中に示す撥水性、撥油性については、つぎのような尺度で示した。すなわち、撥水性はJISL−1092のスプレー法による撥水性ナンバー(下記表1参照)をもって表し、撥油性は下記表2に示す試験溶液を試料布の上、2ケ所に数滴(径約4mm)置き、30秒後の浸透状態により判定した(AATCC−TM118−1966)。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
[例1]
1リットルのガラス製オートクレーブにパーフルオロアルキルエチルアクリレート[Cn F2n+1CH2 CH2 OCOCH=CH2 であり、nが6〜16の混合物で平均値は9](154g)、ステアリルアクリレート(95g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(7. 7g)、ステアリルメルカプタン(0. 77g)、ラウリルジメチルアミンオキシド(5. 1g)、(ポリオキシエチレン)オクチルフェニルエーテル(15. 4g)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(5. 1g)、イオン交換水(307. 6g)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGMME)(141g)、アゾビス(ジメチレンイソブチラミジン)塩酸塩(0. 5g)を加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら60℃に昇温して6時間重合を行い、固形分濃度38%、粒子径0. 12μmの乳白色エマルションを得た。
【0052】
[例2〜9]
表3に示す重合性単量体、界面活性剤を用いて、例1と同様に重合を行いエマルションを得た。なお、表3中の略号は下記のとおりである。
【0053】
FA:Cn F2n+1CH2 CH2 OCOCH=CH2 であり、nが6〜16の混合物で平均は9である。
StA:ステアリルアクリレート。
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート。
GMA:グリシジルメタクリレート。
VCl:塩化ビニル。
DOM:ジオクチルマレート。
DMAA:ジメチルアクリルアミド。
PEPA:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメタクリレート。
HE6P:片末端メチルエチルケトンオキシムブロック化イソホロンジイソシアナート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート反応物。
【0054】
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート。
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート。
NMAM:N−メチロールアクリルアミド。
LDMAO:ラウリルジメチルアミンオキシド。
MDMAO:ミリスチルジメチルアミンオキシド。
POE・OPE:ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルであり、オキシエチレン単位を20個含む化合物。
POEL:ポリオキシエチレンラウリルエーテルであり、オキシエチレン単位を15個含む化合物。
STMAC:ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド。
DTDMAC:ジ(牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド。
【0055】
【表3】
【0056】
[撥水撥油性能の評価]
上記の方法で得られたエマルションを固形分濃度を20重量%となるように水で調整してこれを原液とした。さらに、原液の水に対する割合が2重量%となるように調製したものを処理液として、撥水撥油性能を測定した。
また、ナイロン用染料固着剤(フィックス剤と記す。明成化学工業社製/商品名:ディマフィックスES)を処理液に0.05重量%添加して、アニオン性物質の存在下の撥水撥油性能および処理浴の状態を調べた。
【0057】
撥水撥油性能の評価は、撥水撥油処理を以下に示す方法で行ったナイロンタフタ布について行った。上記で調製した処理液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラーの間で布を絞ってウェットピックアップを60重量%とした。ついで110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理した布を得て、この布について評価した。
【0058】
処理浴の状態は、フィックス剤添加後の処理浴を目視観察した。○は沈降の生じないもの、△は強い白濁が認められるもの、×は沈降物が認められるものを示す。結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【発明の効果】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物は、優れた撥水撥油性を示すだけでなく、併用助剤や夾雑物が存在したとしても、撥水撥油性能やエマルションの安定性の低下がない利点を有し、実用性に優れた撥水撥油剤組成物である。
Claims (3)
- 水系媒体、水系媒体に分散したポリフルオロアルキル基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの重合単位を含む重合体(a)、および、界面活性剤(b)を含む水分散型撥水撥油剤組成物であって、界面活性剤(b)が、下記界面活性剤(c)、下記界面活性剤(d)、および、下記界面活性剤(e)の少なくとも3種からなることを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物。
界面活性剤(c):分子中にアミンオキシド部分を含む非イオン性界面活性剤。
界面活性剤(d):界面活性剤(c)を除く非イオン性界面活性剤。
界面活性剤(e):カチオン性界面活性剤。 - 界面活性剤(e)が、式(1)または式(2)で表される界面活性剤である請求項1に記載の水分散型撥水撥油剤組成物。
ただし、式(1)および式(2)において、R1 、R2 、およびX- は、下記の意味を示す。
R1 :炭素数6〜22のアルキル基、炭素数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、またはアルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基。
R2 :水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、アルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、または、ベンジル基。
X- :1価のアニオン。
[R1 −N+ (CH3 )2 R2 ]・[X- ] (1)
R1 −N(CH3 )R2 の塩 (2) - 重合体(a)が、ポリフルオロキル基を含有するアクリレートまたはメタクリレートを、界面活性剤(c)、界面活性剤(d)、界面活性剤(e)、および、水系媒体の存在下で乳化重合せしめることにより製造した重合体である請求項1または2に記載の水分散型撥水撥油剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28099595A JP3744035B2 (ja) | 1995-10-27 | 1995-10-27 | 安定性に優れる水分散型撥水撥油剤組成物 |
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