JP3855499B2 - 撥水撥油剤、撥水撥油剤組成物、処理方法、および被処理物 - Google Patents
撥水撥油剤、撥水撥油剤組成物、処理方法、および被処理物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水撥油性およびその耐久性に優れた撥水撥油剤、撥水撥油剤組成物、該組成物による処理方法、および該処理方法により得られた被処理繊維、被処理繊維織物、または被処理繊維編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリフルオロアルキル基(以下、Rf 基と記す。)を有する共重合体を含む撥水撥油剤で衣料等を加工することが盛んに行われ、目的に応じた種々の組成物が提供されている。
【0003】
また、スポーツ用衣料やアウトドア用衣料では、洗濯・ドライクリーニング・摩耗等に対する撥水撥油性能の高度な耐久性が要求されている。この耐久性を付与する共重合体成分として、(1)Rf 基を有する(メタ)アクリレート、ブロック化イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、およびポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートの共重合体(特開平6−279687)が提案されている。また、(2)有機溶剤に対する良好な溶解性を示し、架橋性にも優れる撥水撥油剤として、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合性化合物とRf 基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体を有効成分とする撥水撥油剤(特公昭64−6239)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、(1)、(2)の組成物は、洗濯時の耐久性が満足に得られない欠点があった。また、(1)の撥水撥油剤は、充分な撥水性が得られない欠点があった。また、耐久性を向上させるために、これらの撥水撥油剤とともに、メラミン樹脂またはブロックされたイソシアネート基を有する化合物を繊維処理時に併用する方法も知られているが、該方法は布地が黄変したり、風合いが硬化する等の問題があった。また、グリシジル(メタ)アクリレートは、作業環境上の問題があり、取扱いが困難である欠点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決し、洗濯・ドライクリーニング・摩耗等に対する撥水撥油性能の高度な耐久性を有し、かつ、布地の黄変や風合いの硬化等の問題がない撥水撥油剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記重合単位(a)、下記重合単位(b)、および下記重合単位(c)を含む共重合体からなる撥水撥油剤、該撥水撥油剤を含む撥水撥油剤組成物、該組成物による処理方法、および該処理方法により得られた、被処理繊維、被処理繊維織物、または被処理繊維編物を提供する。
【0007】
重合単位(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートの重合単位。
重合単位(b):下式1で表される化合物の重合単位。
ただし、式1中の記号は以下の意味を示す。
R1 :水素原子またはメチル基。
A、Q:それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキレン基。
x:1〜20の整数であり、xが2以上である場合のAは、1種であっても2種以上であってもよい。
重合単位(c):塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレート、およびシクロアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる重合性単量体の重合単位。
【0008】
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、アクリレートとメタクリレートとを総称して(メタ)アクリレートと記す。他の化合物においても同様に記す。
重合単位(a)は、Rf 基を有する(メタ)アクリレートの重合単位である。Rf 基を有する(メタ)アクリレートとは、Rf 基が(メタ)アクリレートのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。また、Rf 基を有する(メタ)アクリレートは、エステル残基部分にRf 基以外の基を有していてもよい。
【0010】
Rf 基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf 基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。また、Rf 基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。Rf 基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、Rf 基中の炭素−炭素結合間にはエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
【0011】
Rf 基中のフッ素原子の数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/(Rf 基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。さらにRf 基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちペルフルオロアルキル基)、またはペルフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。
【0012】
Rf 基の具体例としては、以下の基が挙げられる。
C4 F9 −[F(CF2 )4 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−等の構造異性の基のいずれであってもよい]、C5 F11−[たとえばF(CF2 )5 −]、C6 F13−[たとえばF(CF2 )6 −]、C7 F15−[たとえばF(CF2 )7 −]、C8 F17−[たとえばF(CF2 )8 −]、C9 F19−[たとえばF(CF2 )9 −]、C10F21−[たとえばF(CF2 )10−]、C12F25−[たとえばF(CF2 )12−]、C14F29−[たとえばF(CF2 )14−]、C16F33−[たとえばF(CF2 )16−]、Cl(CF2 )s −(ここで、sは2〜16の整数)、H(CF2 )t −(ここで、tは2〜16の整数)、(CF3 )2 CF(CF2 )y −(ここで、yは1〜14の整数)等。
【0013】
Rf 基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、または炭素−炭素結合間にチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【0014】
F(CF2 )5 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]r CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]z CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −(r、zは1〜10の整数、uは2〜6の整数、vは1〜11の整数、wは1〜11の整数)等。
【0015】
F(CF2 )5 SCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 S]r CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 S]z CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 S]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 S)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 S)w CF2 CF2 −(r、zは1〜10の整数、uは2〜6の整数、vは1〜11の整数、wは1〜11の整数)等。
【0016】
Rf 基としてはペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。炭素数が少なくなると撥水撥油剤組成物の撥水性能および撥油性能が低下する傾向があり、炭素数が多くなると、共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱いが困難になる傾向がある。
【0017】
Rf 基を有する(メタ)アクリレートとしては、下式3で表される化合物が好ましい。ただし、式3中のRf はRf 基、Tは2価有機基、R2 は水素原子またはメチル基を示す。また、式3におけるRf のTと結合する炭素原子には1個以上のフッ素原子が結合しているのが好ましい。
Rf −T−OCOCR2 =CH2 ・・・式3
【0018】
Tとしては、−(CH2 )p+q −、−(CH2 )p+q CH(CH3 )−、−(CH2 )p CONH(CH2 )q −、−(CH2 )p OCONH(CH2 )q −、−(CH2 )p SO2 NR3 (CH2 )q −、−(CH2 )p NHCONH(CH2 )q −、または−(CH2 )p −CH(OH)−(CH2 )q −等が好ましい。ただし、R3 は水素原子またはアルキル基を示す。またpおよびqはそれぞれ独立に0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。
【0019】
Tは、−(CH2 )p+q −、−(CH2 )p CONH(CH2 )q −、−(CH2 )p SO2 NR3 (CH2 )q −、または−(CH2 )p+q CH(CH3 )−であり、かつ、qが2以上の整数であってp+qが2〜6である場合が好ましく、特に、p+qが2〜6である場合の−(CH2 )p+q −、すなわち、エチレン基〜ヘキサメチレン基であるTが好ましい。
Rf 基を有する(メタ)アクリレートの具体例を以下に挙げる。ただし、R2 は式3における意味と同じ意味を示す。
【0020】
【化5】
F(CF2)5CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)6CH2CH2OCOCR2=CH2、
H(CF2)6CH2OCOCR2=CH2、
H(CF2)8CH2OCOCR2=CH2、
H(CF2)10CH2OCOCR2=CH2、
H(CF2)8CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8CH2CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8CH2CH2CH(CH3)OCOCR2=CH2、
F(CF2)10CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)12CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)14CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)16CH2CH2OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8SO2N(CH2CH2CH3)CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8(CH2)4OCOCR2=CH2、
F(CF2)8SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8SO2N(CH2CH3)CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)8CONHCH2CH2OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)3OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCR2=CH2、
(CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)9CH2CH2OCOCR2=CH2、
F(CF2)9CONHCH2CH2OCOCR2=CH2 。
【0021】
本発明における共重合体中の重合単位(a)は、1種であっても2種以上であってもよい。重合単位(a)が2種以上である場合には、(炭素数の異なるRf 基)を有する(メタ)アクリレートの混合物であるのが好ましい。
【0022】
重合単位(b)は、式1で表される化合物の重合単位である。ただし、式1中のR1 は、水素原子またはメチル基、AおよびQは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキレン基である。Aは直鎖構造または分岐構造のアルキレン基が好ましく、Qは直鎖構造のアルキレン基が好ましい。xは1〜20の整数であり、2〜20の整数が好ましい。xが2以上の整数である場合のAは、1種であっても2種以上であってもよく、2種であるのが好ましい。
【0023】
また、式1中の(AO)部分はエチレンオキシ部分を必須とするのが好ましい。さらに、xが2以上である場合、式1中のアルキレンオキシ部分の構造は、2種からなるのが好ましく、エチレンオキシ部分と炭素数3〜6のアルキレンオキシ部分からなるのが好ましい。
【0024】
さらに、xが2以上である場合の化合物(式1)としては、下式2で表される化合物が好ましい。ただし、式2中、R1 およびQは、式1における意味と同じ意味を示し、YおよびZは、互いに異なる炭素数1〜10のアルキレン基であり、nおよびmは、それぞれ0〜10の整数であり、(n+m)は1以上の整数である。nまたはmが2以上の整数である場合の−(YO)−部分と−(ZO)−部分の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。
【0025】
【化6】
【0026】
式2中のYおよびZは、それぞれ炭素数2〜6のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。さらに、YまたはZは、エチレン基であるのが好ましい。また、式2中の(n+m)は5〜12が好ましい。Qは炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
【0027】
式2中の−(YO)n ・(ZO)m −部分の構造としては、つぎに示す構造が好ましい。なお、下式中のオキシアルキレン基の連なり方は、ブロックであってもランダムであってもよい。また、(C3 H6 O)部分の構造は、−[CH2 CH(CH3 )O]−であっても−[CH(CH3 )CH2 O]−であってもよく、両構造が存在していてもよい。
【0028】
【化7】
−(CH2 CH2 O)7 ・(C3 H6 O)3 −、
−(CH2 CH2 O)6 ・(C3 H6 O)2 −、
−(CH2 CH2 O)5 ・(C3 H6 O)2 −、
−(CH2 CH2 O)6 ・(CH2 CH2 CH2 CH2 O)3 −、
−(CH2 CH2 O)5 ・(CH2 CH2 CH2 CH2 O)7 −、
−(C3 H6 O)3 ・(CH2 CH2 O)6 −、
−(CH2 CH2 CH2 CH2 O)3 ・(C3 H6 O)6 −、
−(C3 H6 O)7 ・(CH2 CH2 O)3 −、
−(C3 H6 O)6 ・(CH2 CH2 O)2 −、
−(C3 H6 O)5 ・(CH2 CH2 O)2 −、
−(CH2 CH2 CH2 CH2 O)6 ・(CH2 CH2 O)3 −、
−(C3 H6 O)3 ・(CH2 CH2 CH2 CH2 O)6 −。
【0029】
重合単位(b)は、エポキシ基を有することから、共重合体の架橋性を向上させ、種々の性能の耐久性も向上させうる性能を示す。また、重合単位(b)中には、親水性を有するアルキレンオキシ部分があるが、該部分が存在していても本発明における共重合体は優れた撥水性を発揮する。
【0030】
重合単位(c)は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、シクロアルキル(メタ)アクリレート、およびアルキル(メタ)アクリレートの重合単位から選ばれる重合単位である。
【0031】
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数3〜6のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0032】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリレートのエステル残基がアルキル基である化合物である。アルキル(メタ)アクリレート中のアルキル基としては、炭素数が3〜20のアルキル基が好ましく、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。なお、該アルキル基は、水素原子と炭素原子のみからなる基である。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、オクタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、またはn−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合単位(c)は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、またはアルキル(メタ)アクリレートの重合単位であるのが好ましい。
【0034】
さらに、本発明の共重合体は、重合単位(a)、重合単位(b)、および重合単位(c)以外の重合単位(以下、他の重合性単量体の重合単位という。)を含んでいてもよい。他の重合性単量体の重合単位を含ませることによって、撥水撥油性能の耐久性、共重合体の基材への接着性、架橋性や造膜性、柔軟性、防汚性等を改良できる。
【0035】
他の重合性単量体としては、エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド、(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
共重合体中の各重合単位の割合は、重合単位(a)が9.9〜90重量%、重合単位(b)が0.1〜30重量%、重合単位(c)が9.9〜90重量%であるのが好ましい。また、他の重合性単量体の重合単位を含ませる場合の割合は、共重合体中に30重量%以下とするのが好ましい。重合単位(a)の割合は、撥水撥油性が向上し、充分な被膜強度と高い耐久性が得られる50〜90重量%とするのが好ましい。また、重合単位(b)の割合は、撥水撥油性の耐久性が得られ、基材への接着性が高く、被膜の形成に好影響を与え、撥水撥油性能が向上する0.1〜10重量%とするのが好ましい。また、重合単位(c)の割合は、重合性が向上する9.9〜49.9重量%とするのが好ましい。
【0037】
本発明における撥水撥油剤は媒体とともに撥水撥油剤組成物とするのが好ましい。
媒体としては、有機溶剤、または水系媒体が好ましい。有機溶剤としては、特に限定されず、溶剤型の撥水撥油剤に用いられる有機溶剤から採用されうる。水系媒体としては、水のみ、または水と水溶性溶剤からなるのが好ましい。水溶性溶剤としては、アセトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが採用できる。水溶性溶剤を用いる場合の量は特に限定されず、水に対して0.1〜10重量%とするのが好ましい。
【0038】
本発明の撥水撥油剤組成物は、媒体として水系媒体を含むのが好ましい。さらに本発明の撥水撥油剤組成物は、撥水撥油剤および水系媒体とともに、界面活性剤を含む水系撥水撥油剤組成物とするのが好ましい。該撥水撥油剤組成物は、水系媒体中に撥水撥油剤が界面活性剤の作用により分散または乳化した組成物であるのが好ましい。
【0039】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が使用できる。界面活性剤としては、フッ素原子を含まない界面活性剤が性能および経済性の観点から好ましい。
また、界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤を必須とするのが好ましく、界面活性剤中のノニオン性界面活性剤の量を60〜100重量%とするのが好ましい。
【0040】
ノニオン性界面活性剤としては、公知または周知のノニオン性界面活性剤が採用できる。さらにノニオン性界面活性剤としては、下記界面活性剤(d1 )〜(d6 )から選ばれる1種以上が好ましい。さらにこれらのうち、界面活性剤の性能および環境への影響等の観点から、界面活性剤(d1 )、(d2 )、または(d3 )を必須とするのが好ましい。
以下、界面活性剤を説明する。
【0041】
界面活性剤(d1 )は、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテル、またはポリオキシアルキレンモノアルカポリエニルエーテルからなるノニオン性界面活性剤である。
【0042】
界面活性剤(d1 )におけるアルキル基、アルケニル基、またはアルカポリエニル基は、それぞれ炭素数4〜26であるのが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基、またはアルカポリエニル基は、それぞれ、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。分岐構造である場合には、2級アルキル基、2級アルケニル基、または2級アルカポリエニル基であってもよい。アルキル基、アルケニル基、またはアルカポリエニル基の具体例としては、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘキサデシル基、ドコシル基、およびオレイル基(9−オクタデセニル基)等が挙げられる。
【0043】
界面活性剤(d1 )は、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルであるのが好ましい。
界面活性剤(d1 )のポリオキシアルキレン部分は、1種または2種のオキシアルキレン基からなるのが好ましく、2種からなる場合には、それらの連なり方はブロックであることが好ましい。ポリオキシアルキレン部分は、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基が2個以上連なった部分からなるのが好ましい。
【0044】
界面活性剤(d1 )としては、下式4で表される化合物が好ましい。ただし下式4におけるR4 は炭素数8以上のアルキル基または炭素数8以上のアルケニル基を示し、sは5〜50の整数を示し、gは0〜20の整数を示す。また、gとsとが2以上である場合、式4中のオキシエチレン基とオキシプロピレン基とはブロック状になって連結されている。
【0045】
【化8】
R4 O[CH2 CH(CH3 )O]g −(C2 H4 O)s H・・・式4
【0046】
式4のR4 は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよい。sは10〜30の整数が好まく、gは0〜10の整数が好ましい。sが4以下、またはgが21以上となると、水に難溶性となり、水系媒体中に均一に溶解しにくくなるため、浸透性向上効果が低下するおそれがある。また、sが51以上となると親水性が高くなり、撥水性を低下させるおそれがある。
【0047】
式4で表されるノニオン性界面活性剤の具体例としては下記化合物が挙げられる。ただし、下式においてsおよびgは、上記と同じ意味を示し、好ましい態様も同じである。また、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とはブロック状になって連結されている。
【0048】
【化9】
【0049】
界面活性剤(d2 )は、分子中に1個以上の炭素−炭素三重結合および1個以上の水酸基を有し、かつ界面活性を示す化合物からなるノニオン性界面活性剤である。
【0050】
界面活性剤(d2 )は、分子中に1個の炭素−炭素三重結合、および1個もしくは2個の水酸基を有する化合物からなるノニオン性界面活性剤が好ましい。また、該ノニオン性界面活性剤は、部分構造としてポリオキシアルキレン部分を有していてもよい。ポリオキシアルキレン部分としては、ポリオキシエチレン部分、ポリオキシプロピレン部分、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とがランダム状に連なった部分、またはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとがブロック状に連なった部分、が挙げられる。
界面活性剤(d2 )の具体例としては、下式5、下式6、下式7、または下式8で表される化合物が好ましい。
【0051】
【化10】
HO−CR5 R6 −C≡C−CR7 R8 −OH ・・・式5
HO−(A1 O)m −CR5 R6 −C≡C−CR7 R8 −(OA2 )n −OH・・・式6
HO−CR9 R10−C≡C−H ・・・式7
HO−(A3 O)k −CR9 R10−C≡C−H ・・・式8
【0052】
ただし、式5〜式8中のA1 、A2 、およびA3 は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、アルキレン基を示し、mおよびnはそれぞれ0以上の整数を示し(m+n)は1以上の整数である。kは1以上の整数を示す。m、n、またはkがそれぞれ2以上である場合には、A1 、A2 、およびA3 は、それぞれ1種のアルキレン基のみからなっていても、2種以上のアルキレン基からなっていてもよい。
【0053】
R5 、R6 、R7 、R8 、R9 、およびR10は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を示す。アルキル基は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素数6〜12のアルキル基が好ましい。これらの基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびイソブチル基などが挙げられる。
【0054】
また、オキシアルキレン部分としては、オキシエチレン部分、オキシプロピレン部分、またはオキシエチレン部分とオキシプロピレン部分の両方からなるのが好ましい。また界面活性剤(d2 )中のオキシアルキレン基の個数は、1〜50が好ましい。
さらに、界面活性剤(d2 )としては、下式9で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。ただし、式9中のxおよびyはそれぞれ0以上の整数を示す。式9で表される化合物は1種以上を使用できる。
【0055】
【化11】
【0056】
式9で表されるノニオン性界面活性剤としては、xとyとの和の平均が10であるノニオン性界面活性剤、xが0でありかつyが0であるノニオン性界面活性剤、または式9のxとyとの和の平均が1.3であるノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0057】
界面活性剤(d3 )は、オキシエチレンが2個以上連続して連なったポリオキシエチレン部分と、炭素数3以上のオキシアルキレンが2個以上連続して連なった部分とが連結し、かつ、両末端が水酸基である化合物からなるノニオン性界面活性剤である。界面活性剤(d3 )における炭素数3以上のオキシアルキレンとしては、オキシテトラメチレンおよび/またはオキシプロピレンが好ましい。
【0058】
界面活性剤(d3 )としては、下式10または下式11で表される化合物からなるノニオン性界面活性剤が好ましい。なお式10および式11中のhは0〜200の整数、rは2〜100の整数、tは0〜200の整数を示し、hが0である場合にはtは2以上の整数、tが0である場合にはhは2以上の整数である。ただし下式中のポリオキシアルキレン部分は、ブロック状に連結している。
【0059】
【化12】
【0060】
さらに界面活性剤(d3 )としては、下記のいずれかの化合物からなるノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0061】
【化13】
【0062】
界面活性剤(d4 )は、分子中にアミンオキシド部分を有する化合物からなるノニオン性界面活性剤である。
界面活性剤(d4 )としては、分子中にアミンオキシド部分を有する公知または周知のノニオン性界面活性剤が採用でき、下式12で表される化合物が好ましい。ここで、R11、R12、およびR13は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、1価炭化水素基を示す。なお、分子中にアミンオキシド部分(N→O)を有する界面活性剤は、カチオン性界面活性剤に分類されることもあるが、本発明においては、ノニオン性界面活性剤として扱う。界面活性剤(d4 )は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0063】
本発明における界面活性剤(d4 )としては、特に下式13で表されるノニオン性界面活性剤が、重合体の分散安定性を向上させることから好ましい。
ただし式13におけるR14は、炭素数6〜22のアルキル基、炭素数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基、またはアルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基を示し、炭素数8〜22のアルキルまたは炭素数8〜22のアルケニル基が好ましい。
【0064】
【化14】
(R11)(R12)(R13)N(→O)・・・式12
(R14)(CH3 )2 N(→O) ・・・式13
【0065】
界面活性剤(d4 )の具体例としては、つぎの化合物が挙げられる。
【0066】
【化15】
[CH3 (CH2 )11](CH3 )2 N(→O)、
[CH3 (CH2 )13](CH3 )2 N(→O)、
[CH3 (CH2 )15](CH3 )2 N(→O)、
[CH3 (CH2 )17](CH3 )2 N(→O)。
【0067】
界面活性剤(d5 )は、ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物、またはポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルからなるノニオン性界面活性剤である。置換フェニル基としては、1価炭化水素基で置換されたフェニル基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、またはスチリル基で置換されたフェニル基が好ましい。
【0068】
界面活性剤(d5 )としては、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテル、またはポリオキシエチレンモノ[(アルキル)(スチリル)フェニル]エーテルが好ましい。
【0069】
界面活性剤(d5 )の具体例としては、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オクチルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オレイルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(ノニル)(スチリル)フェニル]エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(オレイル)(スチリル)フェニル]エーテル等が挙げられる。
【0070】
界面活性剤(d6 )は、ポリオールの脂肪酸エステルからなるノニオン性界面活性剤である。ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、デカグリセリン、ポリエチレングリコールと(ポリエチレングリコール以外の)ポリオールとのエーテル等が挙げられる。
界面活性剤(d6 )の具体例としては、つぎの化合物が挙げられる。
【0071】
ステアリン酸とポリエチレングリコールとの1:1(モル比)エステル、
ソルビットとポリエチレングリコールとのエーテルと、オレイン酸との1:4(モル比)エステル、
ポリオキシエチレングリコールとソルビタンとのエーテルと、ステアリン酸との1:1(モル比)エステル、
ポリエチレングリコールとソルビタンとのエーテルと、オレイン酸との1:1(モル比)エステル、
ラウリン酸とソルビタンとの1:1(モル比)エステル、
オレイン酸とデカグリセリンとの(1または2):1(モル比)エステル、
ステアリン酸とデカグリセリンとの(1または2):1(モル比)エステル。
【0072】
界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を使用する場合には、置換アンモニウム塩からなるカチオン性界面活性剤であり、アンモニウム塩の窒素原子に結合する水素原子の1個以上が、アルキル基、アルケニル基、またはポリオキシアルキレン基に置換された化合物からなるカチオン性界面活性剤を使用するのが好ましく、特に下式14で表される化合物からなるカチオン性界面活性剤を使用するのが好ましい。
[(R15)4 N+ ]・X- ・・・式14
【0073】
ただし、式14中の記号は以下の意味を示す。
R15:4つのR15は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基、またはポリオキシアルキレン基である。ただし、4つのR15は同時に水素原子にはならない。
X- :1価アニオン。
【0074】
式14で表されるカチオン性界面活性剤としては、モノ(長鎖アルキル)アミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン酢酸塩、モノ(長鎖アルケニル)ジメチルアミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン・エチル硫酸塩、モノ(長鎖アルキル)トリメチルアンモニウムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルアミン塩酸塩、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルモノ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0075】
さらに、式14で表されるカチオン性界面活性剤としてはモノオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、モノオクタデシルジメチルモノエチルアンモニウムエチル硫酸塩、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリエチレングリコール)アンモニウムクロリド、ジ(牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルモノココナッツアミン酢酸塩等が好ましい。
【0076】
界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を用いる場合には、脂肪酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩等を用いるのが好ましい。
【0077】
界面活性剤として両性界面活性剤を用いる場合には、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、または酢酸ベタインからなる両性界面活性剤が好ましい。
両性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン、ドデシルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、および脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0078】
界面活性剤の量は、撥水撥油剤に対して、3〜10重量%が好ましい。界面活性剤量が3重量%未満の場合には、エマルションの安定性が低下するおそれがあり、10重量%超の場合には、撥水撥油性能の洗濯耐久性が低下するおそれがある。
【0079】
本発明の撥水撥油剤組成物は、Rf 基を有する(メタ)アクリレート、式1で表される化合物、ならびに、塩化ビニル、塩化ビニリデン、およびアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる重合性単量体、および必要に応じて他の単量体を、媒体の存在下に共重合させることにより合成するのが好ましい。共重合体の分子量は、1千〜1百万であるのが好ましい。
【0080】
共重合の方法としては、公知または周知の重合方法、すなわち塊状重合、懸濁重合、乳化重合、放射線重合、光重合、または溶液重合等を採用できる。また、共重合体を得た後、それを常法に従い乳濁液、懸濁液、分散液、溶液、エアゾール、ジェル等の任意の形態の撥水撥油剤組成物に調製できる。
【0081】
本発明の撥水撥油剤は、水系撥水撥油剤組成物とするのが好ましい。水系撥水撥油剤組成物は、重合反応を界面活性剤および水系媒体の存在下で実施することにより、直接調製するのが好ましい。調製方法としては、水または水と水溶性溶剤からなる水系媒体に、重合性単量体および界面活性剤を投入し重合性単量体を乳化した後に重合させる方法、または溶剤からなる媒体中に重合性単量体を溶解分散させ重合させて共重合体を得た後に、界面活性剤の存在下に水系媒体中に共重合体を分散させる方法等が採用でき、前者が好ましい。水溶性溶剤としては、水系媒体における水溶性溶剤と同様のものが採用できる。重合開始源としては、過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩のような重合開始剤や、γ線のような電離性放射線などが採用できる。
【0082】
本発明の撥水撥油剤組成物中の撥水撥油剤量は1〜50重量%が好ましく、1〜30重量%の場合がより好ましい。該濃度は、使用時の形態や目的とする状態に応じて適宜変更できる。
また、本発明の撥水撥油剤組成物には上記以外の成分(以下、他の成分という。)を含ませてもよい。他の成分としては、他の撥水剤や撥油剤、または、他の重合体、架橋剤、防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、防しわ剤等の添加剤等が挙げられる。他の成分を含ませる場合の量は、上記の共重合体に対して0.01〜50重量%が好ましく、特に0.1〜10重量%が好ましい。他の成分の種類や量は撥水撥油剤の処理目的や基材に応じて適宜変更できる。
【0083】
本発明の撥水撥油剤組成物は任意の方法で基材に適用できる。たとえば、本発明の撥水撥油剤組成物が水性分散液や有機溶剤溶液である場合には、浸漬塗布等の既知の被覆加工法により基材の表面に付着させ乾燥する方法が採用される。乾燥は常温乾燥でも加熱乾燥でもよい。加熱乾燥の温度は、40〜200℃程度が好ましい。また、必要であればキュアリングを行ってもよい。
【0084】
被処理物としては、撥水撥油剤組成物を基材表面に処理し、つぎに乾燥させることにより基材表面に形成された被膜を有する被処理物が挙げられる。
基材としては、たとえば、繊維、繊維織物、繊維編物、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、セラミックス、金属、金属酸化物、窯業製品、プラスチックなどがあり、繊維、繊維織物、繊維編物が好ましい。繊維の例としては、綿、麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、繊維等の無機繊維、またはこれらの混合繊維が挙げられ、繊維、繊維織物、繊維編物が好ましい。
【0085】
本発明によれば、繊維、繊維織物、または繊維編物を撥水撥油剤組成物で処理することにより、表面に優れた撥水撥油性を有する処理繊維、処理繊維織物、処理繊維編物が提供される。
【0086】
【実施例】
[例1(実施例)]
100mLのガラス製重合アンプルに、重合性単量体として、F(CF2 )u (CH2 )2 OCOCH=CH2 (ここで、uは6〜16の整数であり、uの平均は9である。以下FAと記す。12.0g)、ステアリルメタクリレート(以下STMAと記す。7.2g)、下式15で示されるノニオン系界面活性剤(ただし、式15中のR16は分岐を有するドデシル基。1.6g)、下式16で表される化合物(0.4g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下HEAと記す。0.4g)、水47.0g、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(0.6g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(0.1g)を加えて、窒素雰囲気下で振とうしつつ、60℃で18時間重合させ共重合体を含む組成物を得た。18時間後、反応粗液をガスクロマトグラフィーで分析して重合性単量体が残っていないことを確認した。
R16−O−(CH2 CH2 O)7 H・・・式15
【0087】
【化16】
【0088】
得られた共重合体を含む組成物に水を加えて共重合体の濃度が0.8重量%となるように希釈した処理浴を用意した。処理布としてポリエチレンテレフタレートからなるトロピカル布を用意し、処理浴に浸漬後、マングルで絞り、ピックアップを80%とした。次に110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理を行った。
【0089】
得られた処理布について以下の方法で、洗濯前後の撥水撥油性能、黄変の有無、風合いの効果の有無について評価を行った。処理布の洗濯耐久性試験は、JIS−L0217(別表103)の水洗い法にて洗濯を20回繰り返し、風乾後性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
[例2〜5(実施例)、例6(比較例)]
表1に示す重合性単量体を表1に示す量(重量部)だけ用いる以外は、例1と同様の方法で重合させ共重合体を含む組成物を得た。得られた組成物に水を加えて共重合体の濃度が0.1重量%となるように希釈した処理浴を用意し、例1と同様の処理を行って得られた処理布について同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0091】
なお、表1においてVCLは塩化ビニル、VDCLは塩化ビニリデン、DOMはジオクチルマレート、N−MAAはN−メチロールアクリルアミド、AAMはアクリルアミド、およびNBMはN−ブトキシエチルアクリルアミドを示す。
【0092】
[例7〜9(比較例)]
表1に示す重合性単量体を表1に示す量(重量部)だけ用いる以外は、例1と同様の方法で共重合体を含む組成物を得た。この組成物に、水およびブロック化されたイソシアネート基を有する化合物(ジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトオキシムブロック体)の乳化物を加え、共重合体の濃度が0.1重量%、およびジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトオキシムブロック体の濃度が0.5重量%となるように希釈した処理浴を用意した。例1と同様の処理を行って得られた処理布について同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0093】
[撥水性の評価方法]
JIS−L1092のスプレー試験により行い、表2に示す撥水性等級で表した。ただし、撥水性等級に+(−)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
【0094】
[撥油性の評価方法]
AATCC−TM118により行い、表3に示す撥油性等級で表した。撥油性等級が大きいほど高性能であることを示す。ただし、撥油性等級に+(−)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
【0095】
[黄変の評価方法]
ランダムに選んだ15人の試験者が、処理前のポリエチレンテレフタレートトロピカル布の色と処理後の色とを、目視により比較して変化の有無を判断した。多い判断が示された方の評価を採用した。
【0096】
[風合いの評価方法]
AATCC(1992)Evaluation procedure 5に準拠して硬化の有無を評価した。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【発明の効果】
本発明の撥水撥油剤は、取扱いが容易な重合性単量体を用いて、汎用の手法で製造できる汎用性に優れた撥水撥油剤である。該撥水撥油剤から調製される撥水撥油剤組成物は、被処理物に処理することにより、優れた撥水性と撥油性を被処理物に付与する。また本発明の組成物により付与された撥水撥油性能は、洗濯等の物理的な影響に対してもほとんど変化することがなく、耐久性の点においても優れる。また該組成物で処理された布が繊維表面に反応性の基が実質的に存在しない合成繊維からなる布であったとしても、優れた性質が付与される。さらに、処理された布は黄変や風合いの硬化がない利点もある。
Claims (6)
- 下記重合単位(a)、下記重合単位(b)、および下記重合単位(c)を含む共重合体からなる撥水撥油剤。
重合単位(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートの重合単位。
重合単位(b):下式1で表される化合物の重合単位。
ただし、式1中の記号は以下の意味を示す。
R1 :水素原子またはメチル基。
A、Q:それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキレン基。
x:1〜20の整数であり、xが2以上である場合のAは、1種であっても2種以上であってもよい。
重合単位(c):塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレート、およびシクロアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる重合性単量体の重合単位。
- 請求項1または2に記載の撥水撥油剤、界面活性剤、および水系媒体を含む水系撥水撥油剤組成物。
- 請求項3に記載の撥水撥油剤組成物を基材表面に処理し、つぎに乾燥させることを特徴とする処理方法。
- 請求項5に記載の処理方法により得た被処理繊維、被処理繊維織物、または被処理繊維編物。
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