JP3896693B2 - 撥水撥油剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撥水撥油性の耐久性および耐水度の耐久性に優れた撥水撥油剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、衣料等の撥水撥油加工、および耐水加工が盛んに行われ、目的に応じてポリフルオロアルキル基を有する共重合体を含む種々の組成物が提供されている(なお本明細書において、ポリフルオロアルキル基を、以下、「Rf 基」と記す。またアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを「(メタ)アクリル酸エステル」と記す。他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどについても同様に記載する。)。
【0003】
たとえばスポーツ、アウトドア衣料では、撥水撥油性、および耐水度の洗濯・ドライクリーニング・摩耗等に対する高度な耐久性が要求され、耐久性を付与する共重合体成分として、Rf 基を有する(メタ)アクリレート、ブロック化イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、およびポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートの共重合体(特開平6−279687)が提案されている。
【0004】
また、Rf 基を有するアクリレートと塩化ビニルとの共重合体(特公昭50−3438)、Rf 基と芳香族ブロックドイソシアネート基を併有するアクリレートの重合体(特開平3−8873)、Rf 基を有する(メタ)アクリレートと、ブロックされたイソシアネ−ト基を有する脂環式またはヘテロ環式ポリイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体(特開平6−240239)が提案されている。
【0005】
また、耐久性を向上させるための架橋成分として、N−メチロールアクリルアミド(特公昭39−2350)、グリシジルメタクリレート(特開平4−68006)等を共重合させることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の組成物は、いずれも洗濯時の耐久性が満足に得られない欠点があった。ポリオキシアルキレン基を有するメタクリレートの重合単位を含む共重合体については、充分な撥水性、耐水度が得られない欠点がある。また、耐久性を向上させるために、Rf 基を有する化合物と、メラミン樹脂またはブロックされたイソシアネート基を有する化合物とを繊維処理時に併用する方法も知られているが、この場合は、布地の黄変や風合いの硬化等があった。さらに、ポリウレタン樹脂やアクリル樹脂のコーティング等により耐水度を向上させる方法も公知であるが、この場合は風合いが硬くなる欠点がある。
【0007】
本発明は、耐久性のある撥水撥油性および耐水度を付与でき、かつ、布地の黄変や風合いの硬化等の問題のない撥水撥油剤組成物を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記重合単位(a)、重合単位(b)、並びに、重合単位(c)および重合単位(d)から選ばれた少なくとも1種、を含む共重合体を有効成分とする撥水撥油剤組成物を提供する。
重合単位(a):Rf 基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。
重合単位(b):イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチルメタクリレートの重合単位。
重合単位(c):塩化ビニルの重合単位。
重合単位(d):(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位。
【0009】
【発明の実施の形態】
重合単位(a)は、Rf 基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位である。Rf 基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、Rf 基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
【0010】
Rf 基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf 基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。また、Rf 基は、直鎖状または分岐状の基が好ましい。分岐状の基である場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。Rf 基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、Rf 基中の炭素原子は、エーテル性の酸素原子に置換されていてもよい。
【0011】
Rf 基中のフッ素原子の数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/(Rf 基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。さらにRf 基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちパーフルオロアルキル基)、またはパーフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。
【0012】
パーフルオロアルキル基の炭素数は、2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。炭素数が6未満の場合には、撥水撥油剤組成物の撥水性能および撥油性能が低下する傾向があり、16より多い場合には、共重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく、取扱いが困難になるおそれがある。
【0013】
Rf 基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、下記式1で表される化合物が好ましい。
Rf −Q−OCOCR=CH2 ・・・式1
【0014】
式1においてRf はRf 基を示す。Qは2価の有機基を示す。Rは水素原子またはメチル基を示す。Rf 基は、以下の具体例および実施例中に記載される基が好ましい。
【0015】
Qとしては、−(CH2 )p+q −、−(CH2 )p CONH(CH2 )q −、−(CH2 )p OCONH(CH2 )q −、−(CH2 )p SO2 NR’(CH2 )q −、−(CH2 )p NHCONH(CH2 )q −、−(CH2 )p −CH(OH)−(CH2 )q −等が好ましい。ただし、R’は水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqはそれぞれ独立に0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、Qが−(CH2 )p+q −、−(CH2 )p CONH(CH2 )q −、または−(CH2 )p SO2 NR’(CH2 )q −であり、かつ、qが2以上の整数、p+qが2〜6である場合が好ましく、特に、p+qが2〜6である場合の−(CH2 )p+q −、すなわち、エチレン基〜ヘキサメチレン基が好ましい。Qと結合するRf の炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
【0016】
Rf 基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例を以下に挙げる。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
【0017】
【化1】
【0018】
本発明の共重合体は、重合単位(a)を1種または2種以上含んでいてもよい。重合単位(a)を2種以上含む場合には、炭素数の異なるRf 基、を有する(メタ)アクリル酸エステルの混合物であるのが好ましい。
【0019】
重合単位(b)は、イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの重合単位である。
イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチルメタクリレートの重合単位を含むことにより、木綿等の天然繊維に対する撥水撥油性の耐久性が著しく改善されるだけでなく、予想に反して、ポリエステル、ポリプロピレン等のイソシアネート基と反応する官能基をもたない基材に対する撥水撥油耐久性もまた大幅に改善された。
【0020】
イソシアネート基がブロック化された2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートは、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートのイソシアネート基を公知または周知のブロック化剤と反応させることにより容易に得られる。
【0021】
2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートのイソシアネート基のブロック化剤としては、アルキルケトキシム類、フェノール類、アルコール類、β−ジケトン類、ラクタム類が好ましく、メチルエチルケトキシム、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、マレイン酸イミド等が特に好ましく、とりわけ、メチルエチルケトキシム等のアルキルケトキシム類、ε−カプロラクタム等のラクタム類などの解離温度が120〜180℃の化合物からなるブロック化剤が好ましい。
【0022】
重合単位(c)は、塩化ビニルの重合単位である。
重合単位(d)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1つだけ含むものが好ましく、アルキル基としては、炭素数が3〜20の、直鎖、分岐またはシクロアルキル基が好ましく、アルキル基の水素原子は置換されていないのが好ましい。
【0023】
具体的には、オクタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
本発明の共重合体において、重合単位(c)および重合単位(d)から選ばれた少なくとも1種としては、重合単位(c)のみを含む場合、重合単位(d)のみを含む場合、重合単位(c)および重合単位(d)の両方を含む場合がある。
【0025】
本発明において、重合単位(a)は、Rf 基を有していれば、他の基を有していてもよい。また、重合単位(b)は、ブロックされたイソシアネート基を有していれば、Rf 基を除く他の基を有していてもよい。
【0026】
さらに、本発明の共重合体は、上記の重合単位(a)、重合単位(b)、重合単位(c)、重合単位(d)以外に、他の重合性単量体の重合単位を含んでいてもよい。他の重合性単量体の重合単位を含ませることによって、撥水撥油性能の耐久性、共重合体の基材への接着性、架橋性や造膜性、柔軟性、防汚性等を改良できることもある。他の重合性単量体としては、以下の例が挙げられる。
【0027】
エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン部分を有する(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド、(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等。
【0028】
共重合体中の各重合単位の割合は、共重合体100重量部中に重合単位(a)を9.9〜90重量部、重合単位(b)を0.1〜30重量部、重合単位(c)および/または重合単位(d)を合量で9.9〜90重量部含ませるのが好ましい。また他の重合性単量体を含ませる場合には他の重合性単量体は共重合体100重量部中に30重量部以下の範囲が好ましい。
【0029】
重合単位(a)が上記範囲内であると撥水撥油性が向上し、充分な被膜強度と高い耐久性が得られる。重合単位(b)が上記範囲内であると撥水撥油性の耐久性が得られ基材への接着性が高く、被膜の形成に好影響を与えるため撥水撥油性能が向上する。重合単位(c)および/または重合単位(d)が上記範囲内であると高い撥水撥油性が得られ、基材への造膜性や被膜強度が充分となり高い耐久性が得られる。
【0030】
本発明における共重合体の合成方法としては、Rf 基を有する(メタ)アクリル酸、イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、並びに、塩化ビニルおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種、を含む重合性単量体混合物を、媒体の存在下に共重合させる方法が採用できる。
【0031】
共重合の方法としては、公知または周知の重合方法、すなわち塊状重合、懸濁重合、乳化重合、放射線重合、光重合、溶液重合などを採用できる。たとえば、乳化重合の場合は、水または水と水溶性溶剤との混合溶媒からなる媒体に、重合性単量体および乳化剤を投入し重合性単量体を乳化した後重合させる方法、また、溶液重合の場合は、溶剤または溶剤と水との混合溶媒からなる媒体中に重合性単量体を溶解分散させ重合させる方法等が採用できる。
【0032】
重合時に用いる溶剤としては、イソプロピルアルコール、2−ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、ハイドロフロロカーボン、ハイドロクロロフロロカーボン、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤等が採用できる。
重合開始源としては、過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩のような重合開始剤やγ線のような電離性放射線などが採用できる。
【0033】
このような合成方法で得た共重合体の分子量は1×103 〜1×106 であるのが好ましい。共重合体および媒体を含む組成物は、そのままでまたは必要に応じて濃度を調整することにより、本発明の撥水撥油剤組成物となしうる。
【0034】
本発明の撥水撥油剤組成物は、上記共重合体を有効成分とするものであり、通常は上記の共重合体と媒体とを含む組成物である。媒体としては、水、水と溶剤との混合物、または溶剤が好ましく、特に水、または水と溶剤との混合物が好ましい。組成物中の共重合体量は1〜50重量%が好ましく、1〜30重量%の場合がより好ましい。該濃度は、使用時の形態や目的とする状態に応じて適宜変更できる。本発明の撥水撥油剤組成物は、共重合体を得た後、それを常法に従い乳濁液、懸濁液、分散液、溶液、エアゾール、ジェル、等の任意の形態に調製できる。
【0035】
また、本発明の撥水撥油剤組成物には上記の共重合体以外の他の化合物を含ませてもよい。他の化合物としては、他の撥水剤や撥油剤、または他の重合体ブレンダー、架橋剤、防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、防しわ剤などの添加剤等が挙げられる。他の化合物を含ませる場合における他の化合物の量は、上記の共重合体に対して0.01〜500重量%が好ましく、特に0.1〜100重量%が好ましい。他の化合物の種類や量は撥水撥油剤の処理目的や基材に応じて適宜変更できる。
【0036】
本発明の撥水撥油剤組成物は任意の方法で基材に適用できる。たとえば、本発明の撥水撥油剤組成物が水性分散液や溶剤溶液である場合には、浸漬塗布等の既知の被覆加工法により基材の表面に付着させ乾燥する方法が採用される。乾燥は常温で行っても加熱してもよい。加熱する場合には、40〜200℃程度が好ましい。また、必要であればキュアリングを行ってもよい。
【0037】
本発明の被処理物は、撥水撥油剤組成物を基材表面に処理し、つぎに乾燥させることにより基材表面に形成された被膜を有する被処理物である。
本発明の撥水撥油剤により処理される基材は、たとえば、繊維、繊維織物、繊維編物、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、セラミックス、金属および金属酸化物、窯業製品、プラスチックなどがあり、繊維、繊維織物、繊維編物が好ましい。繊維の例としては、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、またはこれらの混合繊維が挙げられる。
【0038】
【実施例】
例1および2はブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの合成例、例3〜6は本発明の実施例、例7〜12は比較例である。
【0039】
[例1]
ガラス製の四つ口フラスコに還流器、熱電対式温度計、撹拌機を装着し、2−イソシアネートエチルメタクリレート155g(1モル)、溶媒としてメチルイソブチルケトンを仕込み、乾燥窒素下で80℃に昇温して、メチルエチルケトキシム87g(1モル)を滴下し2時間反応を行った。その後IRによりイソシアネート基の吸収が完全に消失したことを確認した。上記反応により242gの2−イソシアネートエチルメタクリレートのメチルエチルケトキシム付加体(以下MIEと記す。)を得た。
【0040】
[例2]
ガラス製の四つ口フラスコに還流器、熱電対式温度計、撹拌機を装着し、2−イソシアネートエチルメタクリレートを155g(1モル)、溶媒としてメチルイソブチルケトンを仕込み、乾燥窒素下で80℃に昇温して、ε−カプロラクタム113g(1モル)を滴下し2時間反応を行った。その後IRによりイソシアネート基の吸収が完全に消失したことを確認した。上記反応により268gの2−イソシアネートエチルメタクリレートのε−カプロラクタム付加体(以下CIEと記す。)を得た。
【0041】
[例3]
100mLのガラス製重合アンプルに、重合性単量体として、Cn F2n+1(CH2 )2 OCOCH=CH2 (ここで、nは6〜16の整数であり、nの平均は9である。以下FAと記す。)12.0g(60重量部)、ステアリルメタクリレート(以下STAと記す。)7.2g(36重量部)、MIE0.4g(2重量部)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下HEAと記す。)0.4g(2重量部)、アセトン12.0g、水35.0g、ノニオン性界面活性剤(花王(株)製商品名:エマルゲン920)1.6g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド0.6g、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.1gを加えて、窒素雰囲気下で振とうしつつ、60℃で18時間重合させ共重合体を含む組成物を得た。18時間後、反応粗液をガスクロマトグラフィー分析して重合性単量体が残っていないことを確認した。
【0042】
得られた共重合体を含む組成物に水を加えて共重合体の濃度が0.8重量%となるように調整した処理浴を用意した。処理布としてポリエチレンテレフタレート(PET)からなるトロピカル布(耐水度評価の場合は極細繊維高密度ポリエステルタフタ)を用意し、処理浴に浸漬後、マングルで絞り、ピックアップを80%(耐水度評価の場合は62%)とした。次に110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理を行った。得られた被処理物について以下の方法で評価を行った。
また、被処理布の耐久性試験は、JIS−L0217別表103の水洗い法にて洗濯を20回繰り返し、風乾後性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
[例4〜10]
表1に示す重合性単量体を表1に示す量(重量部)だけ用いること以外は、例3と同様の方法で重合させ共重合体を含む組成物を得た。得られた共重合体を含む組成物に水を加えて共重合体の濃度が0.8重量%となるように調整した処理浴を用意し、例3と同様にして評価した。結果を表1に示す。なお、表1においてVCLは塩化ビニルを示す。
【0044】
[例11]
ガラス製の四つ口フラスコに還流器、熱電対式温度計、撹拌機を装着し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを130g(1モル)仕込み、さらにイソホロンジイソシアネートを222g(1モル)添加し、乾燥窒素下で80℃に昇温し、3時間保持した。1時間撹拌した後、滴定によりイソシアネート基の50%が消費されたことを確認した。さらにメチルエチルケトキシム87g(1モル)を滴下し、2時間反応を行った。その後IRによりイソシアネート基の吸収が完全に消失したことを確認した。上記反応により439gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート・イソホロンジイソシアネート・メチルエチルケトキシム付加体(以下MIPと記す。)を得た。
【0045】
[例12]
例9で得た共重合体を含む組成物に、水およびジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトキシムブロック体の乳化物を加えて共重合体の濃度0.8重量%、ジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトキシムブロック体の濃度0.5重量%となるように調整した処理浴を用意し、例3と同様にして評価した。結果を表1に記す。
【0046】
[撥水性の評価]
JIS−L1092のスプレー試験により行い、表2に示す撥水性等級で表した。ただし、撥水性等級に+(−)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
[撥油性の評価]
AATCC−TM118により行い、表3に示す撥油性等級で表した。撥油性等級が大きいほど高性能であることを示す。ただし、撥油性等級に+(−)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
【0047】
[耐水度の評価]
JIS−L1092の耐水度A法(低水圧法)(a)静水圧法により行った。
単位:mm。
[黄変の評価]
ランダムに選んだ15人の試験者が、処理前のポリエチレンテレフタレートトロピカル布の色と処理後の色とを、目視により比較して変化の有無を判断した。
多い判断が示された方の評価を採用した。
[風合いの評価]
AATCC(1992)Evaluation Procedure 5に準拠して硬化の有無を評価した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
アセトンの代わりに、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールまたはジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いても、表1と同様の結果が得られることが確認できた。
【0052】
【発明の効果】
本発明の撥水撥油剤組成物によれば優れた撥水撥油性と耐水度が付与されうる。また本発明の組成物により付与された撥水撥油性と耐水度は、洗濯などの物理的な影響に対してもほとんど変化することがなく、耐久性の点においても優れる。また該組成物で処理された布においては、繊維表面に反応性の基が実質的に存在しない合成繊維からなる布においても上記の性質が付与される。さらに、処理された布は黄変や風合いの硬化がない利点もある。
Claims (5)
- 下記重合単位(a)、重合単位(b)、並びに、重合単位(c)および重合単位(d)から選ばれた少なくとも1種、を含む共重合体を有効成分とする撥水撥油剤組成物。
重合単位(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合単位。
重合単位(b):イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの重合単位。
重合単位(c):塩化ビニルの重合単位。
重合単位(d):(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位。 - 重合単位(b)がメチルエチルケトキシムまたはε−カプロラクタムでブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの重合単位である請求項1記載の撥水撥油剤組成物。
- ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、イソシアネート基がブロックされた2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、並びに、塩化ビニルおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種、を含む重合性単量体混合物を、媒体の存在下に共重合させることを特徴とする撥水撥油剤組成物の製造方法。
- 請求項1または2記載の撥水撥油剤組成物を基材表面に処理し、つぎに乾燥させることにより基材表面に形成された被膜を有する被処理物。
- 基材が繊維、繊維織物、または繊維編物である請求項4記載の被処理物。
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