JP4945872B2 - 撥水剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撥水剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
撥水加工が一般的になるにつれて、繊維に要求される性能は高くなっている。近年では登山、スキー等のアウトドア用途における過酷な条件下でも、繊維に高いレベルの撥水性を持続して発現することが求められている。このような要求に対しては、以下のような繊維を処理する方法が提案されている。
【0003】
(1)含フッ素共重合体および水溶性のアミノ樹脂(N−メチロール化メラミン樹脂等)を含む水分散液を用いて繊維を処理する方法(特開昭56−165072)。
(2)含フッ素共重合体およびイソシアネート化合物を含む処理剤を用いて繊維を処理する方法(特開昭61−19684)。
【0004】
(3)イソシアネート基と水酸基とを有する含フッ素共重合体、および、ブロックされたイソシアネート化合物を含む水性分散物を用いて繊維を処理する方法(USP4834764)。
しかしこれらの方法は、実用レベルで繊維に要求される優れた撥水性およびその耐久性を実現するには不充分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた撥水性およびその耐久性を繊維等の物品に付与しうる撥水剤組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、粒子状の下記重合体(A)と粒子状の下記重合体(B)とを含み、重合体(A)と重合体(B)の質量比は(A)/(B)=45/55〜90/10であり、重合体(A)と重合体(B)が同一の粒子内に存在せず、かつ、固形分濃度が0.1〜50質量部であることを特徴とする撥水剤組成物を提供する。
重合体(A):下記重合性単量体(a)の重合単位を60質量%以上、および、下記重合性単量体(b)の重合単位を40質量%以下(0質量%である場合を含む)含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(b)の重合単位の合計が70質量%以上であって、質量平均分子量が5×10 3 〜5×10 6 であり、平均粒子径が0.03〜0.3μmである付加重合体。
重合体(B):重合性単量体(a)の重合単位を60質量%未満(0質量%である場合を含む)、重合性単量体(c)の重合単位を30質量%以上含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(c)の重合単位の合計が50質量%以上であって、質量平均分子量が5×10 3 〜5×10 6 であり、平均粒子径が0.03〜0.3μmである付加重合体。
重合性単量体(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート。
重合性単量体(b):長鎖アルキル基を有し、ポリフルオロアルキル基を有しない(メタ)アクリレート。
重合性単量体(c):シクロヘキシルメタクリレート。また、本発明は該撥水剤組成物を用いて処理された物品を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本明細書においては、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して(メタ)アクリル酸と記す。(メタ)アクリレートなどの表記についても同様である。また、ポリフルオロアルキル基をRf基と記す。
【0008】
重合体(A)は、重合性単量体(a)の重合単位を60質量%以上、重合性単量体(b)の重合単位を40質量%以下(0質量%である場合を含む)含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(b)の重合単位の合計が70質量%以上である付加重合体である。すなわち、重合体(A)には、重合性単量体(b)の重合単位は含まれなくてもよい。重合性単量体(a)は、Rf基を有する(メタ)アクリレート[以下、単量体(a)と記す。]である。Rf基を有する(メタ)アクリレートとは、Rf基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
【0009】
Rf基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基である。Rf基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。炭素数が2未満の場合には撥水性が低下する傾向があり、20超の場合には単量体(a)が常温で固体となり、昇華性も大きく取扱いが困難になる傾向がある。
【0010】
またRf基は、直鎖構造または分岐構造であるが、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部分に存在し、かつ分岐部分が炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。
【0011】
またRf基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。さらに、Rf基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子が挿入されていてもよい。Rf基の末端部分の構造としては、CF3CF2−、(CF3)2CF−、CHF2−、CH2F−、CClF2−等が挙げられ、CF3CF2−が好ましい。
【0012】
Rf基中のフッ素原子数は、[(Rf基中のフッ素原子数)/(Rf基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。Rf基としては、ペルフルオロアルキル基(以下RF基と記す。)が好ましい。さらにRF基は、直鎖構造のRF基、すなわちF(CF2)i−(iは2〜20の整数。)で表される基が好ましく、特にiが6〜16の整数である基が好ましい。
【0013】
Rf基の具体例を以下に挙げる。なお以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である、構造異性の基を含む。
C4F9−[F(CF2)4−、(CF3)2CFCF2−、(CF3)3C−]、C5F11−[F(CF2)5−、(CF3)3CCF2−等]、C6F13−[F(CF2)6−等]、C7F15−、C8H17−、C9F19−、C10F21−、Cl(CF2)t−、H(CF2)t−(tは2〜20の整数。)、(CF3)2CF(CF2)y−(yは1〜17の整数。)等。
【0014】
Rf基が、炭素−炭素結合間に、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例を以下に挙げる。ただし、rは1〜5の整数、zは1〜6の整数、wは1〜9の整数である。
F(CF2)5OCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]rCF(CF3)CF2CF2−、F[CF(CF3)CF2O]zCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2O]zCF2CF2−、F(CF2CF2CF2O)zCF2CF2−、F(CF2CF2O)wCF2CF2−等。
F(CF2)5SCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2S]rCF(CF3)CF2CF2−、F[CF(CF3)CF2S]zCF(CF3)−、F[CF(CF3)CF2S]zCF2CF2−、F(CF2CF2CF2S)zCF2CF2−、F(CF2CF2S)wCF2CF2−等。
【0015】
単量体(a)としては、下式1で表される化合物が好ましい。ただし、式1においてRfはRf基、Qは2価有機基、R1は水素原子またはメチル基を示す。
Rf−Q−OCOCR1=CH2・・・式1
式1におけるQとしては、−(CH2)p+q−、−(CH2)pCONH(CH2)q−、−(CH2)pOCONH(CH2)q−、−(CH2)pSO2NR2(CH2)q−、−(CH2)pNHCONH(CH2)q−、−(CH2)pCH(OH)(CH2)q−等が好ましい。ただし、R2は水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。
【0016】
これらのうち、−(CH2)p+q−、−(CH2)pCONH(CH2)q−または−(CH2)pSO2NR2(CH2)q−であり、かつ、qが2以上の整数であって、p+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CH2)p+q−、すなわち、ジメチレン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。また、Qと結合するRfの炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
【0017】
単量体(a)の具体例としては、下記化合物が好ましく挙げられる。ただし、R1は水素原子またはメチル基を示す。
F(CF2)2(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)4(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)5CH2OCOCR1=CH2、
H(CF2)6CH2OCOCR1=CH2、
F(CF2)6(CH2)2OCOCR1=CH2、
H(CF2)8CH2OCOCR1=CH2、
H(CF2)8(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)8(CH2)3OCOCR1=CH2、
F(CF2)8(CH2)4OCOCR1=CH2、
F(CF2)9(CH2)2OCOCR1=CH2、
H(CF2)10CH2OCOCR1=CH2、
F(CF2)10(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)12(CH2)2OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)4(CH2)2OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)8(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)8SO2N(CH3)(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)8SO2N(C2H5)(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)8SO2N(C3H7)(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)8CONH(CH2)2OCOCR1=CH2、
F(CF2)9CONH(CH2)2OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)3OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCR1=CH2、
(CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCR1=CH2。
【0018】
単量体(a)は、Rf基を有する(メタ)アクリレートの2種以上であってもよく、その場合には、炭素数の異なるRf基を有する(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
【0019】
重合性単量体(b)は、長鎖アルキル基を有し、Rf基を有しない(メタ)アクリレート[以下、単量体(b)と記す。]である。長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとは、長鎖アルキル基が(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。長鎖アルキル基としては、炭素数12以上の直鎖構造のアルキル基が好ましい。
【0020】
単量体(b)の具体例としては、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。単量体(b)は、長鎖アルキル基を有し、Rf基を有しない重合性単量体の2種以上であってもよい。
【0021】
重合体(A)において、単量体(b)の重合単位が含まれる場合は、単量体(a)の重合単位/単量体(b)の重合単位の質量比は2以上が好ましい。
【0022】
重合体(A)には、必要により、重合性単量体(a)、(b)以外の重合性単量体(x)[以下、単量体(x)と記す。]の重合単位を含んでもよい。該単量体(x)の重合単位の少なくとも1種は、重合性単量体(c)の重合単位が好ましい。重合性単量体(c)[以下、単量体(c)と記す。]は、シクロヘキシルメタクリレートである。
【0023】
SP値の計算方法としては、Fedors(1974)の方法を用いる。すなわち、単量体の各構成単位の凝集エネルギーをe、モル体積をvとしたとき、単量体の凝集エネルギーEはE=Σe、モル体積VはV=Σvによって計算され、SP値δはδ=√(E/V)で計算される。
【0025】
重合体(A)における単量体(c)の重合単位の割合は、30質量%以下が好ましく、単量体(a)の重合単位と単量体(b)の重合単位と単量体(c)の重合単位の合計が90質量%以上であるのが好ましい。
【0026】
重合体(A)は、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)以外の重合性単量体[以下、単量体(e)と記す。]の重合単位を含んでいてもよい。
単量体(e)としては、重合性不飽和基を1個または2個有する重合性単量体が好ましく、特に重合性不飽和基を1個有する重合性単量体が好ましい。
【0027】
単量体(e)の具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート[8.6]、メチル(メタ)アクリレート[8.9]、n−ブチル(メタ)アクリレート[8.8]、t−ブチル(メタ)アクリレート[8.4]、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート[8.9]、シクロヘキシル(メタ)アクリレート[9.6]、イソボルニル(メタ)アクリレート[9.8]、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート[8.7]、塩化ビニル[8.5]、ジアセトン(メタ)アクリルアミド[10.9]、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド[10.5]、ベンジル(メタ)アクリレート[10.1]、塩化ビニリデン[10.3]等が好ましく挙げられる。なお[ ]内はSP値である。重合体(A)の質量平均分子量は5×103〜5×106が好ましい。
【0028】
重合体(A)を得る重合方法としては、乳化重合または懸濁重合が好ましく、特に乳化重合が好ましい。乳化重合は、水、または、水とアルコール類との混合媒体等の水系媒体を用いて、重合性単量体を乳化した後に重合させる方法が好ましい。乳化重合等により、重合体(A)が水系媒体中に粒子として分散した状態(分散体ともいう)で得られる。乳化方法としては、ホモジナイザによる高圧乳化を用いてもよい。
【0029】
水系媒体におけるアルコール類としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコールが好ましく挙げられる。
【0030】
重合体(A)を得る重合反応においては、油溶性重合開始剤を用いるのが好ましい。油溶性重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物が好ましく、特にアゾ系化合物が好ましい。アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が好ましく挙げられる。
【0031】
また、重合反応においては得られる重合体(A)の分子量を制御する目的で、ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、2−ヒドロキシエチルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等の分子量調節剤を添加してもよい。
【0032】
重合体(A)の分散体中には、乳化剤が存在していてもよい。
乳化剤としては、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤または両性乳化剤が好ましく、特にノニオン性乳化剤が好ましい。
【0033】
ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシアルキレン、アルキルアミンポリオキシエチレン、アルキルアミドポリオキシエチレン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。なお、上記化合物におけるアルキル部位としては、炭素数4〜26の直鎖構造または分枝構造のアルキル基が挙げられ、具体的には、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。
【0034】
ポリオキシエチレンアルケニルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが挙げられる。
【0035】
カチオン性乳化剤としては、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型4級アンモニウム塩等が挙げられる。具体的には、トリメチルアルキルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド、モノアルキルアミン酢酸塩、アルキルメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリドが挙げられ、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0036】
両性乳化剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が好ましい。具体的には、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン、ドデシルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0037】
乳化剤は、1種または2種以上を使用できる。イオン性の異なる乳化剤を併用する場合には、ノニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤、またはノニオン性乳化剤と両性乳化剤の組み合わせが好ましい。また、乳化剤の量は重合体(A)の100質量部に対して1〜20質量部が好ましい。ただし、重合体(A)が自己乳化性のある重合性単量体を含む場合には、乳化剤の量を減らしてもよい。
【0038】
重合体(A)の平均粒子径は0.03〜0.3μmが好ましい。平均粒子径が0.03μm未満の場合、安定な分散体を得るために乳化剤または自己乳化性のある重合性単量体が多量に必要となり、撥水性が低下するおそれがある。また、0.3μm超の場合、粒子が沈降するおそれがある。
【0039】
重合体(B)は、単量体(a)の重合単位を60質量%未満(0質量%である場合も含む)、単量体(c)の重合単位を30質量%以上含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(c)の重合単位の合計が50質量%以上である付加重合体である。重合体(B)において、単量体(a)の重合単位は40質量%以下が好ましく、単量体(a)の重合単位は含まれなくてもよい。重合体(B)が単量体(a)の重合単位を含んでいる場合における単量体(a)は、重合体(A)における単量体(a)と同じ意味を示す。重合体(B)における単量体(a)は、重合体(A)の単量体(a)と同じでもよく、異なっていてもよく、また、2種以上の単量体(a)を用いてもよい。
【0040】
重合体(B)における単量体(c)は、重合体(A)における単量体(c)と同じ意味を示す。重合体(B)における単量体(c)は、重合体(A)の単量体(c)と同じでもよく、異なっていてもよく、また、2種以上の単量体(c)を用いてもよい。
【0041】
重合体(B)には、必要により、重合性単量体(a)、(c)以外の重合性単量体(y)[以下、単量体(y)と記す。]の重合単位を含んでもよい。該単量体(y)の重合単位の少なくとも1種は、重合性単量体(d)の重合単位が好ましい。重合性単量体(d)[以下、単量体(d)と記す。]は、架橋可能な官能基を有する(メタ)アクリル酸誘導体化合物であり、かつ、単量体(b)以外の単量体である。
【0042】
単量体(d)における架橋可能な官能基としては、エポキシ基、カルボシキル基、アミノ基、シリル基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基、N−メチロール基、水酸基等が挙げられる。
【0043】
単量体(d)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル[CH2=C(CH3)COOCH2CH2OCOCH2CH2COOH]、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのオキシムブロック体、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が好ましく挙げられる。
重合体(B)は、単量体(d)の重合単位を2種以上含んでいてもよい。
重合体(B)の質量平均分子量は5×103〜5×106が好ましい。
【0044】
重合体(B)を得る重合方法としては、乳化重合、懸濁重合等が好ましく、特に乳化重合が好ましい。乳化重合等により、重合体(B)が水系溶媒中に粒子として分散した状態(分散体ともいう)で得られる。
【0045】
乳化重合は、重合開始剤を用いて行うのが好ましい。重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物が好ましく、特にアゾ系化合物が好ましい。アゾ系化合物の例としては、重合体(A)において説明した油溶性重合開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]硫酸塩水和物等の水溶性重合開始剤が好ましく挙げられる。
【0046】
また、得られる重合体(B)の分子量を制御する目的で、重合反応の際に分子量調節剤を添加してもよい。分子量調節剤としては、重合体(A)の説明において挙げた分子量調節剤が好ましく使用できる。
【0047】
重合体(B)の分散体中には、乳化剤が存在していてもよい。
乳化剤としては、重合体(A)において説明したノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤または両性乳化剤が好ましく、特にノニオン性乳化剤が好ましい。
【0048】
乳化剤は、1種または2種以上を使用できる。イオン性の異なる乳化剤を併用する場合には、ノニオン性乳化剤とカチオン性乳化剤、または、ノニオン性乳化剤と両性乳化剤の組み合わせが好ましい。また、乳化剤の量は重合体(B)の100質量部に対して1〜20質量部が好ましい。ただし、重合体(B)が自己乳化性のある重合性単量体を含む場合には、乳化剤の量を減らしてもよい。
【0049】
重合体(B)の平均粒子径は0.03〜0.3μmが好ましい。平均粒子径が0.03μm未満の場合、安定な分散体を得るために乳化剤または自己乳化性のある重合性単量体が多量に必要となり、撥水性が低下するおそれがある。また、0.3μm超の場合、粒子が沈降するおそれがある。
【0050】
本発明の撥水剤組成物において、重合体(A)と重合体(B)は、同一の粒子内に存在せず、それぞれ別々の粒子を形成している。本発明の撥水剤組成物は、重合体(A)と重合体(B)を得るためにそれぞれについて別々に重合反応を行って、別々の粒子を形成して分散体を得た後に、それぞれの分散体を混合して調製するのが好ましい。
【0051】
撥水剤組成物において、重合体(A)と重合体(B)の質量比は(A)/(B)=10/90〜90/10が好ましく、特に20/80〜80/20が好ましい。重合体(A)または重合体(B)の比率が上記の範囲内にあると、撥水性に優れ、撥水性の耐久性にも優れる。また、固形分濃度は、0.1〜50質量部が好ましい。
【0052】
本発明の撥水剤組成物には、繊維製品等の物品に種々の物性を発現させるため、必要に応じて、重合体(A)または重合体(B)以外の他の重合体、撥水剤、撥油剤、架橋を促進させる触媒、風合い調節剤、帯電防止剤、浸透剤、防虫剤、難燃剤、防しわ防縮剤、染料安定剤、pH調整剤等を配合してもよい。
【0053】
本発明の撥水剤組成物は、目的や用途等に応じて、任意の濃度に希釈して物品に適用される。物品への撥水加工方法は、物品の種類や組成物の調製形態等に応じて任意の方法が採用される。たとえば、浸漬または塗布等の被覆加工方法により物品の表面に付着させ乾燥する方法が採用される。また、必要ならば適当な架橋剤とともに適用し、熱処理を行ってもよい。
【0054】
物品への撥水加工方法としては、物品を重合体(A)と重合体(B)とを含む撥水剤組成物に浸漬する方法が好ましい。また、重合体(B)を含み重合体(A)を含まない組成物に物品を浸漬した後、重合体(A)を含み重合体(B)を含まない組成物に浸漬する撥水加工方法も、同等の効果が得られるため好ましい。
【0055】
本発明の撥水剤組成物を用いて処理される物品としては、特に限定されず、繊維、繊維織物、繊維編物等が好ましい。繊維としては、綿、麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、またはこれらの混合繊維が挙げられる。
本発明の撥水剤組成物を用いて処理された物品は、優れた撥水性を有し、その耐久性にも優れる。
【0056】
【実施例】
以下、合成例(例1〜4、24、25(重合体(A)の合成例)、例6〜8、26(重合体(B)の合成例))、比較合成例(例5(重合体(A)の比較合成例)、例9、10(重合体(B)の比較合成例))、実施例(例11〜16、23、27〜29)、比較例(例17〜22)によって本発明を説明する。
【0057】
[例1]
1リットルのガラス製容器に、ペルフルオロアルキルエチルアクリレート[F(CF2)n(CH2)2OCOCH=CH2:nが6〜16の整数であり、nの平均が9である化合物の混合物。以下FAと記す。]を130.0g、オクタデシルアクリレート(以下STAと記す。)を62.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下HEAと記す。)を4.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下HBAと記す。)を4.0g、ドデシルメルカプタン(以下DMCと記す。)を0.6g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値=16。以下POEと記す。)を10.0g、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(以下ODTと記す。)を1.0g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下DPGMMEと記す。)を20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0058】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(以下AVMと記す。)を0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.7質量%、平均粒子径0.12μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E1)を得た。
【0059】
[例2]
1リットルのガラス製容器に、FAを180.0g、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと記す。)を20.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、プロピレングリコール(以下PGと記す。)を20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0060】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.6質量%、平均粒子径0.11μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E2)を得た。
【0061】
[例3]
1リットルのガラス製容器に、FAを142.0g、ジオクチルマレート(以下DOMと記す。)を12.0g、N−メチロールアクリルアミド(以下NMAAと記す。)を4.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0062】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを1.2g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。さらに塩化ビニル(以下VCと記す。)を42.0g加えた。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.4質量%、平均粒子径0.10μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E3)を得た。
【0063】
[例4]
1リットルのガラス製容器に、FAを170.0g、メチルメタクリレート(以下MMAと記す。)を16.0g、スチレン(以下STと記す。)を14.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0064】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.6質量%、平均粒子径0.11μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E4)を得た。
【0065】
[例5]
1リットルのガラス製容器に、FAを120.0g、DOMを6.0g、MMAを20.0g、塩化ビニリデン(以下VDCと記す。)を20.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0066】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを1.2g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。さらにVCを30.0g添加した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.5質量%、平均粒子径0.12μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E5)を得た。
【0067】
[例6]
1リットルのガラス製容器に、FAを80.0g、CHMAを60.0g、グリシジルメタクリレート(以下GMAと記す。)を60.0g、DMCを1.2g、POEを8.0g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値=14。)を2.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0068】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度35.0質量%、平均粒子径0.11μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E6)を得た。
【0069】
[例7]
1リットルのガラス製容器に、FAを60.0g、CHMAを100.0g、GMAを36.0g、HBAを4.0g、DMCを1.2g、POEを10.0g、アルキルトリメチルアミン酢酸塩(アルキル基:ココナット。以下ATMと記す。)を1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0070】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(以下AVAと記す)を0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら50℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度35.0質量%、平均粒子径0.13μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E7)を得た。
【0071】
[例8]
1リットルのガラス製容器に、CHMAを120.0g、GMAを60.0g、MMAを20.0g、DMCを1.2g、POEを8.0g、ノニオン性乳化剤(エアープロダクツ社製、商品名「サーフィノール465」。HLB値=13。)を2.0g、ATMを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0072】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度35.1質量%、平均粒子径0.11μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E8)を得た。
【0073】
[例9]
1リットルのガラス製容器に、FAを100g、STAを20.0g、MMAを80.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0074】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度35.0質量%、平均粒子径0.12μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E9)を得た。
【0075】
[例10]
1リットルのガラス製容器に、FAを140g、CHMAを40.0g、MMAを10.0g、HBAを10.0g、DMCを1.2g、POEを10.0g、ATMを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0076】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVAを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら50℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度35.2質量%、平均粒子径0.10μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E10)を得た。
【0077】
[例11〜22]
例1〜10で調製した分散液E1〜E10を、表1に示す割合(質量%)で混合し、固形分濃度が15質量%となるようにイオン交換水で希釈した後、メラミン樹脂(住友化学社製商品名「M−3」)およびメラミン触媒(住友化学社製商品名「ACX」)をそれぞれ0.3質量%になるように加えて、処理液を調製した。
【0078】
ナイロンタフタ布を試験布として、処理液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラの間で試験布を絞ってウェットピックアップを60質量%とした。つぎに該試験布を110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理した。処理後の試験布について、以下に示す方法により撥水性を評価した。
また、試験布の耐久試験(HL80と記す。)は、JIS−L0217別表103の水洗い法にて洗濯を80回繰り返し、熱風乾燥したものについて評価した。結果を表3に示す。
【0079】
[例23]
例1で調製した分散液E1が10.0質量%、メラミン樹脂「M−3」が0.15質量%、メラミン触媒「ACX」が0.15質量%となるように、イオン交換水で希釈して処理液(A液)を調製した。
また、例6で調製した分散液E6が5.0質量%、メラミン樹脂「M−3」が0.15質量%、メラミン触媒「ACX」が0.15質量%となるように、イオン交換水で希釈して処理液(B液)を調製した。
【0080】
ナイロンタフタを試験布として、B液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラの間で試験布を絞ってウェットピックアップを60質量%とした。つぎに該試験布をA液に浸漬し、2本のゴムローラの間で試験布を絞った。これを110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理した。処理後の試験布について、例11と同様にして撥水性を評価した。結果を表3に示す。
【0081】
[例24]
1リットルのガラス製容器に、F(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2を122.0g、H(CH2)24OCOC(CH3)=CH2を70.0g、HEAを3.0g、HBAを2.0g、NMAAを3.0g、DMCを0.6g、POEを10.0g、ODTを1.0g、DPGMMEを20gおよびイオン交換水を300g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0082】
つぎに、これを1リットルのガラス製オートクレーブに移し、AVMを0.6g加えた後、オートクレーブを窒素置換した。撹拌しながら70℃に昇温して15時間重合反応を行い、乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.0質量%、平均粒子径0.13μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E24)を得た。
【0083】
[例25]
F(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2の122.0gの代わりに、F(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2(以下FBと記す。)の100.0g、F(CF2)12(CH2)2OCOCH=CH2の22.0gおよびH(CH2)18OCOCH=CH2の70.0gを用いる以外は、例24と同様にして乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度38.2質量%、平均粒子径0.12μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E25)を得た。
【0084】
[例26]
1リットルのガラス製容器に、FBを80.0g、CHMAを60.0g、GMAを60.0g、DMCを1.2g、POEを10.0g、ODTを1.0g、PGを20gおよびイオン交換水を360g入れた。これを60℃に保持しながら、高圧乳化機を用いて40MPaで乳化した。
【0085】
つぎに、例24と同様にして乳白色のエマルションを得た。エマルションは固形分濃度34.6質量%、平均粒子径0.12μmであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈して分散液(E26)を得た。
【0086】
[例27〜29]
例11と同様にして、分散液を表1に示す割合(質量%)で混合して処理液を調整し、試験布を製作して撥水性を評価した。結果を表3に示す。
【0087】
[撥水性の評価]
JIS−L1092のスプレー試験(ただし、スプレーの水量は0.25リットルまたは1リットルとした。水温は27℃。)により行い、表2に示す撥水性等級で表した。撥水性等級に+(−)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【発明の効果】
本発明の撥水剤組成物は、物品に優れた撥水性およびその耐久性を付与できる。
Claims (8)
- 粒子状の下記重合体(A)と粒子状の下記重合体(B)とを含み、重合体(A)と重合体(B)の質量比は(A)/(B)=45/55〜90/10であり、重合体(A)と重合体(B)が同一の粒子内に存在せず、かつ、固形分濃度が0.1〜50質量部であることを特徴とする撥水剤組成物。
重合体(A):下記重合性単量体(a)の重合単位を60質量%以上、および、下記重合性単量体(b)の重合単位を40質量%以下(0質量%である場合を含む)含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(b)の重合単位の合計が70質量%以上であって、質量平均分子量が5×10 3 〜5×10 6 であり、平均粒子径が0.03〜0.3μmである付加重合体。
重合体(B):重合性単量体(a)の重合単位を60質量%未満(0質量%である場合を含む)、重合性単量体(c)の重合単位を30質量%以上含み、かつ、重合性単量体(a)の重合単位と重合性単量体(c)の重合単位の合計が50質量%以上であって、質量平均分子量が5×10 3 〜5×10 6 であり、平均粒子径が0.03〜0.3μmである付加重合体。
重合性単量体(a):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート。
重合性単量体(b):長鎖アルキル基を有し、ポリフルオロアルキル基を有しない(メタ)アクリレート。
重合性単量体(c):シクロヘキシルメタクリレート。 - 前記重合体(A)が、さらに重合性単量体(a)、(b)以外の重合性単量体(x)の重合単位を含む、請求項1に記載の撥水剤組成物。
- 前記重合体(A)が、前記重合性単量体(x)の重合単位の少なくとも1種として、前記重合性単量体(c)の重合単位を含む付加重合体である、請求項2に記載の撥水剤組成物。
- 前記重合体(B)が、さらに重合性単量体(a)、(b)以外の重合性単量体(y)の重合単位を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の撥水剤組成物。
- 前記重合体(B)が、前記重合性単量体(y)の重合単位の少なくとも1種として、下記重合性単量体(d)の重合単位を含む付加重合体である、請求項4に記載の撥水剤組成物。
重合性単量体(d):架橋可能な官能基を有する(メタ)アクリル酸誘導体化合物であり、かつ、重合性単量体(b)以外の重合性単量体。 - 前記重合体(A)において、重合性単量体(a)の重合単位/重合性単量体(b)の重合単位の質量比が2以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の撥水剤組成物。
- 前記重合体(A)が、油溶性重合開始剤を用いて重合した付加重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の撥水剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の撥水剤組成物を用いて処理された物品。
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