JPH05222149A - 撥水撥油剤組成物 - Google Patents

撥水撥油剤組成物

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JPH05222149A
JPH05222149A JP4059038A JP5903892A JPH05222149A JP H05222149 A JPH05222149 A JP H05222149A JP 4059038 A JP4059038 A JP 4059038A JP 5903892 A JP5903892 A JP 5903892A JP H05222149 A JPH05222149 A JP H05222149A
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勝治 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来達成できなかった高い耐久性を発揮しうる
優れた撥水撥油剤組成物を得る。 【構成】ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレ
ート(A)とウレタン結合含有ポリ(メタ)アクリレー
ト(B)とブロックドイソシアナート基含有(メタ)ア
クリレート(C)とを必須成分とするモノマーの共重合
体(D)、およびブロックドポリイソシアナート化合物
(E)を含有する撥水撥油剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性の高い撥水撥油性
を付与する場合に特に有効な撥水撥油剤に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、衣料の撥水撥油加工が盛んに行わ
れ、目的に応じ種々の組成物が提供されている。スポー
ツ衣料では撥水撥油性の洗濯・ドライクリーニングに対
する高い耐久性が要求され、この耐久性を得る目的で、
ポリフルオロアルキル基含有アクリレートと塩化ビニル
共重合体(特公昭50−3438号公報)、これらモノ
マーにさらに架橋成分としてN−メチロールアクリルア
ミド、グリシジルアクリルアミド等を共重合させた共重
合体などが提唱されている。
【0003】また、添加剤として、常温では水に対し安
定で高温で-NCO基を遊離する官能性成分を含有する共重
合体(特開昭54−131579号公報)、従来の撥水
撥油剤にブロックドポリイソシアナート化合物を混合し
た撥水撥油剤(特開昭54−133486号公報)、ポ
リフルオロアルキル基とブロックドイソシアナート基を
含有するアクリレート共重合体(特開平3−8873号
公報)が提案されているが、いまだ満足できる耐久性が
得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来知られ
ていなかった高い耐久性を与える撥水撥油剤組成物を新
たに提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされた下記発明である。
【0006】ポリフルオロアルキル基含有のアクリレー
トあるいはメタクリレート(A)、ウレタン結合を有す
るポリアクリレートあるいはポリメタクリレート
(B)、およびブロックドイソシアナート基を有するア
クリレートあるいはメタクリレート(C)とを必須成分
とする少なくとも3種のモノマーを共重合して得られる
共重合体(D)、およびブロックドポリイソシアナート
化合物(E)を含有する撥水撥油剤組成物。
【0007】本発明における(A)は、「ポリフルオロ
アルキル基含有のアクリレートあるいはメタクリレー
ト」であり、以下ポリフルオロアルキル基含有(メタ)
アクリレートともいう。なお、以下において、(メタ)
アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの両者
を意味する。ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アク
リレート(A)は、1個のアクリロイルオキシ基あるい
はメタアクリロイルオキシ基と少なくとも1個のポリフ
ルオロアルキル基を有する化合物である。
【0008】ポリフルオロアルキル基(以下、Rfで表す
こともある)は、2以上のフッ素原子を有する直鎖状ま
たは分岐状のアルキル基であり、その炭素数は1〜2
0、好ましくは4〜16である。通常のアルキル基の水
素原子の数にして80%以上がフッ素原子に置換された
ポリフルオロアルキル基が好ましく、水素原子のすべて
がフッ素原子に置換されたポリフルオロアルキル基(即
ち、パーフルオロアルキル基)が最も好ましい。場合に
よっては、フッ素原子以外に他の原子(水素原子は勿
論、塩素原子など)が炭素原子に少数結合していてもよ
く、また炭素−炭素結合の間に酸素原子が存在していて
もよい(即ち、言いかえればオキシポリフルオロアルキ
レン基を有していてもよい)。パーフルオロアルキル基
としては、直鎖状のものが好ましく、CnF2n+1 (ただ
し、nは4〜16、特に6〜12、が好ましい)で表さ
れる。
【0009】ポリフルオロアルキル基とアクリロイルオ
キシ基あるいはメタクリロイルオキシ基間には結合基が
存在することが好ましく、この結合基はアルキレン基や
下記具体例で示すようなその他の2価の結合基が好まし
い。この結合基はこれらの例に限られるものではなく、
公知のポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレー
トで知られている種々の結合基を採用しうる。
【0010】上記のように本発明におけるポリフルオロ
アルキル基含有(メタ)アクリレート(A)としては公
知の化合物を使用しうる。また、この(A)として2種
以上の化合物を併用できる。特に、実際に使用されてい
るポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートは
ポリフルオロアルキル基部分の炭素数が異なる2種以上
の化合物の混合物である場合が多く、本発明においても
このような混合物が好ましく用いられる。
【0011】以下に、ポリフルオロアルキル基含有(メ
タ)アクリレート(A)の具体例を示すが、これらに限
られるものではない。なお、下記化学式において、R1
水素原子あるいはメチル基、Rfはポリフルオロアルキル
基(特にパーフルオロアルキル基)、を表す。
【0012】CH2=C(R1)COOCH2CH2Rf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(C3H7)CORf CH2=C(R1)COOCH(CH3)CH2Rf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(CH3)SO2Rf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(CH3)CORf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(C3H7)SO2Rf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(C2H5)CORf CH2=C(R1)COOCH2CH2N(C3H7)SO2Rf CH2=C(R1)COOCH(CH2Cl)CH2OCH2CH2N(CH3)SO2Rf
【0013】本発明における(B)は、「ウレタン結合
を有するポリアクリレートあるいはポリメタクリレー
ト」であり、以下ウレタン結合含有ポリ(メタ)アクリ
レートともいう。ウレタン結合含有ポリ(メタ)アクリ
レート(B)は、少なくとも2個のアクリロイルオキシ
基あるいはメタクリロイルオキシ基と少なくとも1個の
ウレタン結合を有する化合物である。さらにこの(B)
は、遊離のあるいはブロックされたイソシアネート基を
有しないことが好ましい。また、本発明においてこの
(B)は2種以上併用することができる。
【0014】本発明におけるこの(B)は、水酸基含有
(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物(2
以上のイソシアネート基を有する有機化合物)との反応
生成物であることが好ましい。特に、1個の水酸基を有
する(メタ)アクリレートと2〜3個のイソシアネート
基を有するポリイソシアネート化合物との反応生成物で
あることが好ましい。さらに好ましい(B)は、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネート
化合物との反応生成物である。また、この(B)は、ウ
レタン結合を有するポリヒドロキシ化合物とアクリル酸
やメタクリル酸とのポリエステルと見なすこともでき
る。
【0015】上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、
多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノ−あるい
はポリ−エステルであって、少なくとも1個の水酸基を
有する化合物である。好ましくは、2価アルコール(即
ち、ジオール)と(メタ)アクリル酸とのモノエステ
ル、特にアルキレンジオールと(メタ)アクリル酸との
モノエステル、即ち、ヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート、が好ましい。アルキレンジオールとしては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ヘキサンジオールなどがある。
【0016】ポリイソシアナート化合物としては、芳香
族系、脂肪族系、脂環族系、あるいはその他のポリイソ
シアナート化合物、およびこれらの変性体が使用でき
る。具体的には、例えば、トリレンジイソシアナート、
ジフェニルメタンジイソシアナート、キシリレンジイソ
シアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、リジン
ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水添
キシリレンジイソシアナート、水添ジフェニルメタンジ
イソシアナート、およびこれらジイソシアナート化合物
のトリメチロールプロパン変性体、イソシアヌレート環
変性体、グリセリンをはじめとする多価アルコールとの
付加物等がある。
【0017】この(B)としては、一般式(1)で表さ
れる化合物、即ち、1個の水酸基を有する(メタ)アク
リレートとジイソシアナート化合物との反応生成物、で
あることが好ましい。 [CH2=C(R1)-COO-R2O-CO-NH-]2R3・・(1) ただし、R1は水素原子あるいはメチル基、R2はジオール
から水酸基を除いた残基、R3はジイソシアナート化合物
からイソシアナート基を除いた残基、を表す。
【0018】上記一般式(1)において、R2は炭素数2
以上のアルキレン基やポリオキシアルキレン基が好まし
く、特に炭素数2〜6のアルキレン基や炭素数2〜6の
オキシアルキレン基の繰り返しからなるポリオキシアル
キレン基が好ましい。R3は、トリレンジイソシアナー
ト、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレ
ンジイソシアナート、およびイソホロンジイソシアナー
トから選ばれるジイソシアナート化合物から2個のイソ
シアナート基を除いた残基であることが好ましい。
【0019】この(B)として、一般式(1)で表され
る化合物につづいて好ましい化合物は、ジイソシアナー
ト化合物のトリメチロールプロパン変性体やイソシアヌ
レート環変性体1分子と1個の水酸基を有する(メタ)
アクリレート3分子との反応生成物である。
【0020】本発明における(C)は、「ブロックドイ
ソシアナート基を有するアクリレートあるいはメタクリ
レート」であり、以下ブロックドイソシアナート基含有
(メタ)アクリレートともいう。ブロックドイソシアナ
ート基含有(メタ)アクリレート(C)は、1個のアク
リロイルオキシ基あるいはメタクリロイルオキシ基と少
なくとも1個のブロックドイソシアナート基を有する化
合物である。さらにこの(C)は、遊離のイソシアナー
ト基を有しないことが好ましい。また、本発明において
この(C)は2種以上併用することができる。
【0021】本発明におけるこの(C)は、水酸基含有
(メタ)アクリレートとポリイソシアナート化合物との
反応生成物のブロック化物であることが好ましい。特
に、1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート1分子
とポリイソシアナート化合物1分子との反応生成物のブ
ロック化物が好ましい。このブロック化物はまた、遊離
のイソシアナート基を1個有するブロック化ポリイソシ
アナート化合物1分子に1個の水酸基を有する(メタ)
アクリレート1分子を反応させて合成することもでき
る。また、イソシアナートエチルメタクリレートなどの
イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートのブロッ
ク化物も好ましい。
【0022】上記の水酸基含有(メタ)アクリレートと
ポリイソシアナート化合物としては前記(B)の説明に
おいて記述した水酸基含有(メタ)アクリレートとポリ
イソシアナート化合物が適当であり、そのうちの好まし
い化合物も同様である。即ち、水酸基含有(メタ)アク
リレートとしては、2価アルコール(即ち、ジオール)
と(メタ)アクリル酸とのモノエステル、特にアルキレ
ンジオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルが好
ましく、ポリイソシアナート化合物としてはトリレンジ
イソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、
ヘキサメチレンジイソシアナート、およびイソホロンジ
イソシアナートから選ばれるジイソシアナート化合物が
好ましい。イソシアナート基をブロック化するためのブ
ロック化剤としては後述のブロック化剤が適当であり、
特にアルキルケトオキシム類が好適である。
【0023】この好ましい(C)は、特に下記一般式
(2)で表される化合物である。 CH2=C(R1)-COOR2O-CO-NHR3NH-COO-N=CR4R5 ・・(2) ただし、R1は水素原子あるいはメチル基、R2はジオール
から水酸基を除いた残基、R3はジイソシアナート化合物
からイソシアナート基を除いた残基、R4、R5はそれぞれ
低級アルキル基、を表す。
【0024】また、本発明では、上記(A)、(B)、
および(C)の共重合において、これら3種のモノマー
以外のラジカル重合性の不飽和結合を有するモノマー
(以下共重合性モノマーという)の1種以上を(A)、
(B)、(C)とともに共重合してもよい。好適な共重
合性モノマーとしては、例えば、下記のモノマーが例示
できるがこれに限定されるものではない。好ましい共重
合性モノマーは、塩化ビニルと下記のような(A)、
(B)、(C)以外の(メタ)アクリレート類である。
特に好ましい共重合性モノマーは、塩化ビニルとステア
リルアクリレートである。
【0025】(メタ)アクリレート類 2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、ポリ(オキシアルキレン)(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリ
レート、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、
アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンを
有する(メタ)アクリレート。
【0026】他の共重合性モノマー エチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、酢
酸ビニル、塩化ビニルやフッ化ビニルなどのハロゲン化
ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル
アミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロー
ル化(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化
アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、無水
マレイン酸、N−ビニルカルバゾール。
【0027】上記の(A)、(B)、(C)、共重合性
モノマーの共重合において、ポリフルオロアルキル基含
有(メタ)アクリレート(A)は、全モノマー100重
量部に対し40重量部以上、さらに好ましくは55重量
部以上、共重合させることが好ましい。この割合が少な
いと充分な撥水撥油性能を発揮し難くなる。ウレタン結
合含有ポリ(メタ)アクリレート(B)は、全モノマー
100重量部に対し0.1〜10重量部、さらに好まし
くは0.5〜5重量部、共重合させることが好ましい。
0.1重量部未満であると架橋の効果が不充分で本発明
の目的を達成できず、また、10重量部を超えると今度
は架橋が過多となり逆に高い初期性能が得られない。
【0028】ブロックドイソシアナート基含有(メタ)
アクリレート(C)は、全モノマー100重量部に対し
0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量
部、共重合させることが好ましい。この量が少なすぎる
と耐久性が不充分となるおそれがあり、多すぎると撥水
撥油処理された基材の柔軟性が低下するおそれがある。
同様の理由で共重合性モノマーは、全モノマー100重
量部に対し55重量部以下、さらに好ましくは45重量
部以下、であることが好ましい。共重合性モノマーを共
重合させる場合、その下限は特に限定されるものではな
いが、使用する目的に応じた有効量(例えば全モノマー
100重量部に対し5重量部)が適当である。
【0029】本発明における(D)は、上記(A)と
(B)と(C)を、または(A)と(B)と(C)と共
重合性モノマーを、共重合して得られる共重合体であ
る。この共重合体を得るためには、種々の重合反応の方
法や条件が任意に選択でき、例えば、塊状重合、懸濁重
合、乳化重合、放射線重合、光重合などの各種の重合方
式を採用することができる。具体的には例えば乳化重合
の場合、モノマーの混合物を界面活性剤などの存在下に
水に乳化させ、撹拌下に重合させる方法を採用すること
ができる。重合開始源としては、有機酸過酸化物、アゾ
化合物、過硫酸塩のような各種の重合開始剤、さらには
γ−線のような電離性放射線などを採用することができ
る。また、乳化剤も、陰イオン性、陽イオン性あるいは
非イオン性の各種界面活性剤を使用することができる。
【0030】また、例えば溶液重合を行う場合は、モノ
マーを適当な有機溶剤に溶解し、重合開始源(使用する
有機溶剤に溶解するものを使用)の作用により重合させ
る。溶液重合に適した溶剤としては、トリクロロトリフ
ルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、メチル
クロロホルム等の塩素系やフッ素系の溶剤があり、さら
にはメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、酢
酸ブチル、酢酸エチルなども使用できる。
【0031】得られた共重合体(D)にブロックドポリ
イソシアナート化合物(E)を配合することにより本発
明の撥水撥油剤組成物が得られる。また、ブロックドポ
リイソシアナート化合物(E)は非共重合性の化合物で
あるので、上記重合に際してこの(D)を重合系中に存
在させて重合を行ってもよい。共重合体(D)に対する
ブロックドポリイソシアナート化合物(E)の量は特に
限定されるものではないが、少量であっても所期の目的
を達成することができる。その量は、共重合体(D)に
対して0.1重量%以上、特に1重量%以上であること
が好ましい。上限は特に限定されるものではないが、1
0重量%程度が適当である。
【0032】本発明における(E)は、ブロックドポリ
イソシアナート化合物であり、ブロック化剤でブロック
されたイソシアナート基を1個以上、好ましくは2個以
上有する化合物である。この(E)は、前記のようなポ
リイソシアナート化合物やその変性体、またはそれらの
過剰量とポリオールとを反応させて得られるイソシアナ
ート基含有プレポリマー、などにおけるイソシアナート
基をブロック化剤でブロックして得られる。
【0033】ポリイソシアナート化合物としては、具体
的には、前記した具体的化合物、特にジイソシアナート
化合物が好ましい。ブロック化剤としては、イソシアナ
ート基をブロック化しうる公知のブロック化剤を使用す
ることができる。好ましい具体例としては、オキシム
類、フェノール類、β−ジケトン類、マロン酸エステル
類、ラクタム類等を代表的なものとして挙げることがで
きる。特に分解温度の点からアルキルケトオキシム類が
好適である。
【0034】この(E)としては、アルキルケトオキシ
ム類でブロック化されたジイソシアナート化合物であ
る、下記一般式(3)で表される化合物であることが好
ましい。
【0035】[R5R4C=N-O-CO-NH-]2-R3 ・・(3) ただし、R3はジイソシアナート化合物からイソシアナー
ト基を除いた残基、R4、R5はそれぞれ低級アルキル基、
を表す。
【0036】上記一般式(3)において、R3は、トリレ
ンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナー
ト、ヘキサメチレンジイソシアナート、およびイソホロ
ンジイソシアナートから選ばれるジイソシアナート化合
物から2個のイソシアナート基を除いた残基であること
が好ましい。R4、R5としての低級アルキル基は、炭素数
1〜4のアルキル基である。
【0037】本発明の撥水撥油剤組成物は、常法に従っ
て乳濁液、溶剤溶液、エアゾールなどの任意の形態に調
製される。例えば、前記したような乳化重合法によって
水性乳濁液型組成物が調製され、また、溶液重合によっ
て溶剤溶液型組成物が調製される。
【0038】本発明の撥水撥油剤組成物は、被処理物品
の種類や前記調製形態などに応じて、任意の方法で被処
理物品に適用される。例えば、水性乳濁液や溶剤溶液で
ある場合には、浸漬塗布等の被覆加工方法により被処理
物の表面に付着させ乾燥する方法が採用される。また、
必要ならばキュアリングを行ってもよい。さらに本発明
の撥水撥油剤組成物には、他の添加成分を配合すること
もできる。例えば、他の撥水剤や撥油剤、架橋剤、防虫
剤、難燃剤、帯電防止剤、防シワ剤などの添加剤を適宜
添加併用することが可能である。
【0039】本発明の撥水撥油剤組成物で処理されうる
物品は特に限定されない。例えば、繊維織物、繊維編
物、皮革、毛皮である。織物繊維、繊維織物としては、
綿、麻、羊毛、絹などの動植物天然繊維、ポリアミド、
ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニ
トリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊
維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、またはこ
れらの混合繊維の織物や編物が挙げられる。
【0040】以下に実施例等により本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0041】
【実施例】以下の実施例に示す撥水性、撥油性の評価
は、下記の評価試験で評価した。 撥水性:JIS L−1092のスプレー法による撥水
性No.(表1参照)で表す。
【0042】撥油性:表2に示す試験溶液を試験布上の
2ケ所に数滴(径約4mm)置き、30秒後の浸透状態
により判別した(AATCC−TM118−196
6)。 なお、下記の撥水性No.と撥油性No.に+印を付し
て表した評価結果は、それぞれの評価がNo.で表した
ものよりもわずかに良好なものを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】[実施例1]熱電対式温度計と電流式撹拌
機を装着したガラス製オートクレーブ(内容積1リット
ル)中に、パーフルオロアルキルエチルアクリレート
(以下FAという)60重量部、BMA(a)とDMA
(a)とBISO(a)の混合物(重量比3:1:1)
3重量部、EHMA37重量部、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル5重量部、ステアリルトリメチルアンモ
ニウムクロライド1重量部、アセトン60重量部、水1
75重量部、および重合のための開始剤(a)0.5重
量部を加え、撹拌しながら約20分間窒素置換を行った
後、60℃に昇温し、重合を開始させた。60℃で15
時間保温撹拌した後冷却し、固形分濃度31重量%のエ
マルジョンを得た。
【0046】ガスクロマトグラフィーによる共重合反応
の転化率は99.0〜99.8%(ポリフルオロアルキ
ル基含有モノマー化合物に対して)であった。また、全
モノマーに対する安定乳化エマルジョンの収率は95〜
99%であった。なお、略称した化合物は下記の通り。
また、下記の実施例2以降および比較例に用いた原料化
合物についても下記に示す。
【0047】FA;RfCH2CH2OCOCH=CH2 、Rfの炭素数の
平均は約9。 DMA(a);ヘキサメチレンジイソシアナート1分子
と2−ヒドロキシエチルメタクリレート2分子との反応
生成物。 DMA(b);ジフェニルメタンジイソシアナート1分
子と2−ヒドロキシエチルメタクリレート2分子との反
応生成物。 BMA(a);ヘキサメチレンジイソシアナート1分子
と2−ヒドロキシエチルメタクリレート1分子との反応
生成物をメチルエチルケトオキシムでブロック化して得
られたブロック化物。 BMA(b);ジフェニルメタンジイソシアナート1分
子と2−ヒドロキシエチルメタクリレート1分子との反
応生成物をメチルエチルケトオキシムでブロック化して
得られたブロック化物。
【0048】BISO(a);ヘキサメチレンジイソシ
アナート1分子とメチルエチルケトオキシム2分子との
反応生成物。 BISO(b);ジフェニルメタンジイソシアナート1
分子とメチルエチルケトオキシム2分子との反応生成
物。 開始剤(a);アゾビス(ジメチレンイソブチラミジ
ン)、<和光純薬工業(株)品、商品名”VA−06
1”>。 開始剤(b);2,2’−アゾビス(2−アミジノプロ
パン)二塩酸塩、<和光純薬工業(株)品、商品名”V
−50”>。
【0049】EHMA;2−エチルヘキシルメタクリレ
ート。 StA;ステアリルアクリレート。 VC;塩化ビニル。 AIBN;アゾビス(イソブチロニトリル)。
【0050】[実施例2]熱電対式温度計と電流式撹拌
機を装着したガラス製オートクレーブ(内容積1リット
ル)中に、FA60重量部、BMA(a)とDMA
(a)とBISO(a)の混合物(重量比3:1:1)
3重量部、EHMA37重量部、1,1,1−トリクロ
ロエタン233重量部、およびAIBN3重量部を加
え、撹拌しながら約20分間窒素置換を行った後、60
℃に昇温して重合を開始させた。60℃で20時間保温
撹拌した後冷却し、固形分濃度31重量%の淡黄色溶液
を得た。ガスクロマトグラフィーによる共重合反応の転
化率は99.0〜99.8%(ポリフルオロアルキル基
含有モノマー化合物に対して)であった。
【0051】[実施例3、4]実施例1と同様の方法
で、モノマー、重合開始剤、ブロックドポリイソシアナ
ート化合物等を変更し乳化重合を行った。用いた原料の
組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4に、
示す。
【0052】[実施例5、6]実施例2と同様の方法
で、モノマー、重合開始剤、ブロックドポリイソシアナ
ート化合物等を変更し溶液重合を行った。用いた原料の
組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4に、
示す。
【0053】[比較例1]ブロックドポリイソシアナー
ト化合物を含有しない他は実施例1と同じに重合し、固
形分濃度30重量%のエマルジョンを得た。用いた原料
の組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4
に、示す。
【0054】[比較例2]ブロックドポリイソシアナー
ト化合物を含有しない他は実施例2と同じに重合し、固
形分濃度30重量%の淡黄色溶液を得た。用いた原料の
組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4に、
示す。
【0055】[比較例3]ウレタン含有を含有するジメ
タクリレートを用いない他は実施例1と同じに重合し、
固形分濃度30重量%のエマルジョンを得た。用いた原
料の組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4
に、示す。
【0056】[比較例4]ウレタン含有を含有するジメ
タクリレートを用いない他は実施例2と同じに重合し、
固形分濃度30重量%の淡黄色溶液を得た。用いた原料
の組み合わせを表3に、重合開始剤と重合条件を表4
に、示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】以上の方法にて得られた乳化重合エマルジ
ョンの固形分濃度を20重量%に調整してラテックス原
液とし、この原液を水により希釈して(原液の水に対す
る割合は1.5重量%)ラテックス処理液を製造した。
このラテックス処理液を用いて撥水撥油性能を測定し
た。一方、溶液重合により得られた溶液は、1,1,1
−トリクロロエタンで固形分濃度20重量%に調整して
原液とし、この原液をさらに1,1,1−トリクロロエ
タンにより希釈して(原液の溶剤に対する割合は1.5
重量%)撥水撥油性能を測定した。
【0060】試験はナイロンタフタ布について行い、撥
水撥油処理は次のように行った。即ち、前記のごとく希
釈したラテックス処理液あるいは1,1,1−トリクロ
ロエタン溶液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラーの
間で布をしぼって、ウエットピックアップを30重量%
とした。次いで、110℃で90秒間乾燥し、さらに1
70℃で60秒間熱処理した。洗濯耐久性はJIS L
−0217 103法にて5回繰り返し行った後、10
0℃で3分乾燥し試験に供した。かくして得られた試験
布について撥水撥油性能を測定した結果を表5にまとめ
て示す。
【0061】
【表5】
【0062】
【発明の効果】ブロックドイソシアナート基を有する撥
水撥油性能の良好な共重合体(D)にブロックドポリイ
ソシアナート化合物(E)を配合したことにより、従来
達成できなかった高い耐久性を発揮しうる優れた撥水撥
油剤組成物が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 13/395 15/277

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフルオロアルキル基含有のアクリレー
    トあるいはメタクリレート(A)、ウレタン結合を有す
    るポリアクリレートあるいはポリメタクリレート
    (B)、およびブロックドイソシアナート基を有するア
    クリレートあるいはメタクリレート(C)とを必須成分
    とする少なくとも3種のモノマーを共重合して得られる
    共重合体(D)、およびブロックドポリイソシアナート
    化合物(E)を含有する撥水撥剤組成物。
  2. 【請求項2】ウレタン結合を有するポリアクリレートあ
    るいはポリメタクリレート(B)が、下記一般式(1)
    で表される化合物である、請求項1の撥水撥油剤組成
    物。 [CH2=C(R1)-COO-R2O-CO-NH-]2R3・・(1) ただし、R1は水素原子あるいはメチル基、R2はジオール
    から水酸基を除いた残基、R3はジイソシアナート化合物
    からイソシアナート基を除いた残基、を表す。
  3. 【請求項3】ブロックドイソシアナート基を有するアク
    リレートあるいはメタクリレート(C)が、下記一般式
    (2)で表される化合物である、請求項1の撥水撥油剤
    組成物。 CH2=C(R1)-COOR2O-CO-NHR3NH-COO-N=CR4R5 ・・(2) ただし、R1は水素原子あるいはメチル基、R2はジオール
    から水酸基を除いた残基、R3はジイソシアナート化合物
    からイソシアナート基を除いた残基、R4、R5はそれぞれ
    低級アルキル基、を表す。
  4. 【請求項4】(A)と(B)と(C)をブロックドポリ
    イソシアナート化合物(E)共存下で重合して得られ
    る、請求項1の撥水撥油剤組成物。
  5. 【請求項5】ブロックドポリイソシアナート化合物
    (E)が、下記一般式(3)で表される化合物である、
    請求項1または4の撥水撥油剤組成物。 [R5R4C=N-O-CO-NH-]2-R3 ・・ (3) ただし、R3はジイソシアナート化合物からイソシアナー
    ト基を除いた残基、R4、R5はそれぞれ低級アルキル基、
    を表す。
  6. 【請求項6】共重合体(D)が、(A)と(B)と
    (C)とさらに塩化ビニルまたはステアリルアクリレー
    トを共重合して得られる共重体である、請求項1の撥水
    撥油剤組成物。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103992242A (zh) * 2014-05-17 2014-08-20 北京航空航天大学 一种氟化异氰酸酯及其与丙烯酸酯的共聚物乳液的制备方法

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