JP4993451B2 - 光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造 - Google Patents

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Description

この発明は、光ファイバーケーブル(以下、光ケーブルという)によって信号の受信や送信などを行う光ケーブル機器の筐体に関するもので、特に、光ケーブルを送受信機器やO/E変換器などと接続する際に余長部分や終端部分をループ状に巻装して収納する収納部の、光ケーブルの出入口において光ケーブルを取り外し可能に固定するための把持構造に関する。
この種の光ケーブル把持構造について、先行技術に「光ケーブルの出入口近くの基板上において、上下の当たり面に弾力部材を備える挟着用部材からなる挟着具が配設され、挿入された光ケーブルを着脱自在に保持すること」が記載されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、上記光ケーブル把持構造では、光受信機ケース出入口から先端の光ケーブルを先頭にして光ケーブル収容部に向けて光ケーブルを挿入するが、その場合、長尺の光ケーブルを上記上下の挟着用部材の間を通さなくてはならない煩わしさがあり、さらに、挿通路に位置させた光ケーブルを保持するために挟着用部材をビス締めしなければならないが、その場合、締めすぎて光ケーブルを傷付けることのないように用心深くビス締めをしなくてはならない作業上の問題点がある(この問題点は下記の特許文献2に記述されている)。
別の先行技術として「光ケーブル挿通路の側面に、光ケーブルを当て付ける当付壁を設けるとともに、その挿通路における当付壁に対向する位置には、当付壁とは間隔を隔てて回動自在にした回動部材を配設し、その回動部材の周辺には、回動部材の回動軸心に対して遠い位置となる長径部と、短かい位置となる短径部とを形成し、上記挿通路における当付壁と、上記回動部材との間隔は、上記当付壁に対して回動部材の長径部を接近させた状態では、上記当付壁と回動部材の長径部とで光ケーブルを挟圧保持し、上記当付壁に対して回動部材の短径部を接近させた状態では、上記当付壁と回動部材の短径部との間に光ケーブルの抜き差しを自在にする間隔が形成されるように構成した構造」が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
さらに別の先行技術として「凹型把持部材の溝部に光ケーブルを載せた状態で、溝部に蓋型把持部材を挿入することによって、凹型把持部材と蓋型把持部材とによって構成される隙間に、光ケーブルが遊挿された状態が形成される。この状態で、把持具を開口部内に挿入するが、把持具を開口部内に挿入すると、把持具はテーパ面およびテーパ面から締付けられ、支持面と他方の支持面との距離が短くなる。そして、把持具が開口部内の所定の位置まで挿入されると、支持面と他方の支持面との間隔が、光ケーブルの外径(常態つまり非挟持時)より小さくなる。このとき、光ケーブルが把持具によって把持され、また光ケーブルが把持具に把持される位置で爪と溝とが歯合することによって、把持具が開口部内において固定される。また、溝はテーパ面上に複数設けられているので、把持具は光ケーブルの径の大きさに応じた位置において係止される。」という構造を備えた光ケーブル収容箱が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
特開2004−361436号公報(段落0015および図2・図6) 特開2006−3765号公報(段落0006〜0014および図6・図8) 特開2004−85714号公報(段落0034〜0044および図6・図10)
しかし、上記の特許文献2および特許文献3に記載の光ケーブル把持構造についても、以下のような点で改良すべき余地がある。すなわち、
前者については、光ケーブルを把持するための回動部材が短径部と長径部をもつ複雑な構造からなり、両側の当付壁に対して回動部材の短径部を接近させた状態で、当付壁と回動部材の短径部との間に光ケーブルを挿入し、回動部材を略90°回転させて回動部材の長径部と取付壁との間で挟持する構造からなるため、構造が複雑で部品点数が多く、製造に手間がかかる。
後者については、凹型把持部材の溝部に光ケーブルを載せた状態で、溝部に蓋型把持部材を挿入することによって、凹型把持部材と蓋型把持部材とによって構成される隙間に、光ケーブルが遊挿された状態が形成され、この状態で、把持具を開口部内に挿入し、把持具を対向するテーパ面同士で締付けることにより、光ケーブルを把持するため、前者に比べてさらに構造が複雑で、部品点数が多く、製造に手間がかかる。
また光ケーブル内の光ファイバーの特性により、電線に比べて衝撃を受けると破損しやすく、しかも規定された最小曲げ半径以下の曲率(半径)で曲げる(巻装する)だけでも破損するおそれがあるが、前後者のいずれも、光ケーブルを機械的に挟持して把持する構造であるから、強固に挟み込むと、光ケーブルの固定が確実に行えたとしても光ケーブル内の光ファイバーを破損させるおそれがある。このため、少なくとも光ケーブルを挟持する面に、ゴムやエラストマーなどの弾性保護材を介在させる必要があり、複雑な構造と相俟って、作業性に難点がある。
さらに、前後者ともに光ケーブルを一箇所で挟持して固定するから、確実に固定するためには挟持力をかなり強くしなければならず、また光ケーブルの挟持面に弾性保護材を介在させる場合でも、把持具は硬質の樹脂で成形されているので、光ケーブルが挟持される把持具の端(挿入端)から張り出す部位に曲げ応力が集中し、光ケーブル内の光ファイバーが破損し易い。
加えて、本出願人は光ケーブル機器筐体の光ケーブル把持構造について、先に特許出願(特願2006−053252)している。そこでは、光ケーブルを把持する弾性体ホルダーの、光ケーブル挿入用溝を上面側に開放部(切り込み)を設け、光ケーブルを弾性体ホルダーの上方から挿入するようにしている。挿入用溝が上面側にある場合、光ケーブルの挿入は容易であるが、上面側の開放溝は弾性体ホルダーを両側からリブで挟持しても、蓋が溝の開放部に密着しないため完全に閉塞するのは困難である。逆に、下面側の開放溝は収納部の底部が弾性体ホルダーの下面に密着して開放部を覆うので、開放溝をより確実に閉塞できる。これにより、外部からの雨水の浸入をより確実に防止できる。また先の特許出願では、複数本の光ケーブルを使用する際、実施例では複数個の弾性体ホルダー部材を一体に連結した弾性体ホルダーを用いて同時に把持する構造を挙げている。このため、たとえば、弾性体ホルダーの未使用部分(未使用の弾性体ホルダー部材)を利用して光ケーブルを増設する場合に、いったん弾性体ホルダーごと取り外したのちに、既設の光ケーブルの把持状態をいったん解除し、増設用光ケーブルとともに弾性体ホルダーの溝に挿入して把持させる必要がある。しかし、このようにすると、機器筐体内に巻き込んで固定した既設の光ケーブルが緩んだり、外れたりするおそれがあり、再度光ケーブルを巻き込んだりして整える必要があるため、非常に手間がかかることになる。
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、電線に比べて脆弱な光ケーブルを簡単な作業で確実に固定でき、また光ケーブルの被挟持部を強固に挟持せずに固定でき、構造が簡単で製造が容易であり、光ケーブルの被挟持部および周辺への応力集中が生じにくいという、先に特許出願した光ケーブル把持構造の長所を有し、しかも光ケーブルの増設が既設の光ケーブルに影響することなく容易に行える光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するために本発明にかかる光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造は、光ケーブルを収納可能な光ケーブル収納部を備えた光ケーブル機器筐体の出入口において光ケーブルを取り外し可能に固定する光ケーブル固定構造であって、前記光ケーブル収納部の出入口に幅方向に間隔をあけて光ケーブルの挿入路を設け、各挿入路には幅方向に間隔をあけて対をなす複数組のリブを対向して立設し、各組のリブ間に光ケーブルを挿入可能な開放部を下面または上面に有する挿通溝を備えた複数個の弾性体ホルダーをそれぞれ独立させ、着脱可能かつ長手方向にスライド可能に装着するとともに、前記リブの対向する挟持面を両者の間隔が前記挿通溝の長手方向に沿って漸次狭くなるようにテーパー状に形成するか、または前記各弾性体ホルダー被挟持面を両者の間隔が前記挿通溝の長手方向に沿って漸次広くなるようにテーパー状に形成したこと、前記光ケーブル収納部の出入口において装着された前記各弾性体ホルダーの挿通溝の延長線上で前記各弾性ホルダー端から前記光ケーブル収納部内方へ一定距離離間した位置に、光ケーブルの固定用クリップを着脱可能に取り付けたこと、前記弾性体ホルダーは前記挿通溝の開放部を下面側に備えるとともに、前記固定用クリップは、下向きに延びる垂直板状部を有し、前記垂直板状部に、下端を開放した光ケーブルの差込溝を幅方向に間隔をあけ、かつ上端にわたって複数列設け、前記固定用クリップの垂直板状部の一部(光ケーブル嵌め込み用溝を除く部分)を差込可能な挿入溝を備えた支持部材を、前記光ケーブル収納部の底部に立設したことを特徴としている。なお、上記弾性体ホルダーの挿通溝は、その開放部が筐体を建物壁面などに取り付けた状態では背面(後面)または正面(前面)に位置することになる。
上記の構成を有する光ケーブル固定構造によれば、上記光ケーブル収納部に収納しようとする光ケーブルを、その出入口に装着される各弾性体ホルダーの挿通溝内に開放部より挿入し、各弾性体ホルダーを光ケーブルの挿入路に装着し、それらの挿通溝の長手方向に沿って延長線上に上記弾性体ホルダーをスライドさせることにより、光ケーブル収納部側の両側のリブ間で徐々に強く挟持され溝間隔が漸次狭くなって光ケーブルが出入口に把持・固定される。なお、上記のテーパー状に形成する部分は、両側のリブの間隔を挿通溝の長手方向に沿って狭くする場合と、両側のリブの間隔は一定で、弾性体ホルダーの幅を挿通溝の長手方向に沿って広くする場合と、それらの両方を備える場合とを含むもので、いずれの場合にも弾性体ホルダーを挿通溝の長手方向に沿ってスライドさせることにより、両側のリブ間で徐々に強く挟持される。また、ホルダー自体が弾性体で形成されているので、光ケーブルに衝撃を与えて破損したり、光ケーブルを強固に挟持し過ぎたりせず、また弾性体ホルダーの挿通溝の端部から張り出す光ケーブルにこれに直交する方向へ外力が作用しても、ホルダー挿通端部が弾力性を具備し、外力が作用する方向に光ケーブルを挟持した状態で緩やかに湾曲するので、光ケーブルに無理な力が作用することがない。さらに、各弾性体ホルダーは下面または上面に挿通溝の開放部を設けた簡単な構造であり、光ケーブル収納部側も対向する少なくとも一対のリブを設けた簡単な構造からなる。また、光ケーブル収納部の出入口に装着される複数の各弾性体ホルダーはそれぞれ独立し、個々に取り外しができるので、光ケーブルを増設する際には、光ケーブルの把持に使用していない、いわゆる未使用の弾性体ホルダーに増設する光ケーブルを挿通して固定することができる。このため、既設の光ケーブルに影響されることなく、光ケーブルを増設できる。さらにまた、各弾性体ホルダーで光ケーブルを挟持して出入口に固定でき、この状態で光ケーブルの引き込み口や引き出し口が弾性体ホルダーの弾性体で挟持され、光ケーブルに密着して挿通端(取り出し口)を塞ぐので、雨水の機器内への浸入も防止する。しかも、光ケーブルはホルダーを構成する弾性部材で挟持されて保持されているので、曲げ方向の応力(外力)が作用してもホルダーごと湾曲し、光ケーブルの急激な曲げが妨げられ、光ケーブル内の光ファイバーの破損が防止される。
また、光ケーブルを光ケーブル収納部の出入口で弾性体ホルダーの挿通溝内に挿入した状態で両側から挟持して固定するとともに、前記各弾性体ホルダーの挿通溝の延長線上に離間した位置(光ケーブル収納部の内方、出入口の反対側端部)で、光ケーブルを固定用クリップで固定することにより、光ケーブルを一定距離離れた2箇所以上で確実に固定することができる。したがって、この状態で、光ケーブル内の光ファイバーをカバーチューブより剥(む)き出し、破損の生じない曲率でループ状に巻装して収納することができる。
さらに、弾性体ホルダーの挿通溝の開放端部が光ケーブル収納部の底部に弾性体ホルダーの下面に密着して覆われるので、開放部をより確実に閉塞でき、これにより、外部から機器筐体内への雨水の浸入をより確実に防止できる。また、弾性体ホルダーの挿通溝内に挿入された光ケーブルを同溝の延長線上に配置した固定用クリップの差込溝内に嵌め込むことにより、カバーチューブごと光ケーブルを固定用クリップで簡単に固定できるとともに、光ケーブル内の光ファイバーを損傷させることなく、光ケーブルを2箇所で確実にかつ緩まないように一直線状に張って固定できる。
請求項2に記載のように、前記光ケーブル収納部を、前記光ケーブル機器筐体内の上端開口部に取り外し可能に嵌め込むことが好ましい。
このように構成することにより、光ケーブル機器の筐体はビルやマンションなどの建物壁面の高所に取り付けた状態で、光ケーブルの引き込みや引き出しを行うことになるから、筐体から光ケーブル収納部を取り外した状態で、光ケーブルを出入り口に固定するとともに、余長部分をループ状に巻装して収納し、筐体に嵌め込んで取り付けることにより、光ケーブルを容易に収納することができる。
本発明にかかる光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造には、次のような優れた作用効果がある。すなわち、
光ケーブル収納部の出入口に装着される弾性体ホルダーの下面側または上面側に設けられた開放部から挿通溝内に光ケーブルを挿入し、弾性体ホルダーを挿通溝の長手方向へスライドさせるだけの非常に簡単な作業で、対向する光ケーブル収納部側のリブのテーパー面間あるいは弾性体ホルダーの長手方向に沿って幅方向に拡大するテーパー部とリブ間で光ケーブルを弾性体ホルダーとともに挟持して適度な締付力、いいかえれば光ケーブルを破損しない程度の力で挟持して固定することができる。また、光ケーブルを出入口の1箇所だけでなく、弾性体ホルダー端から一定の距離を隔てた位置で固定用クリップにより光ケーブルを固定するので、弾性体ホルダーにより光ケーブルを強固に挟持しなくても光ケーブルの引き抜きが確実に防止される。さらに、基本的には弾性体ホルダーとリブとの組み合わせからなるので、構造が簡単で製造が容易であり、低コスト化が図れる。しかも、光ケーブル収納部の出入口に装着される複数の弾性体ホルダーはそれぞれ独立し、個々に着脱できるので、光ケーブルを増設する際には、光ケーブルの把持に使用していない弾性体ホルダーを使用し、他の既設済み光ケーブルに影響を与えることなく、増設する光ケーブルを挿通して固定できる。
以下、本発明の光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造について実施の形態を挙げて図面に基づき説明する。
図1は本発明の実施例にかかる光ケーブル固定構造を備えた光ケーブル機器筐体の示す外観の斜視図で、蓋を閉じた状態を表し、図2は図1の光ケーブル機器筐体の蓋を開いた状態を示す斜視図であり、図3は図2の一部を拡大して示す説明図である。図4は図3において弾性体ホルダーを取り外した状態で光ケーブルとの関連を示す説明図である。図5は弾性体ホルダーを装着部から取り外し、上下を反転して底面側を上方から見た状態の斜視図である。
図1および図2に示すように、光ケーブル機器筐体1は本実施例では光受信機の筐体からなり、筐体1は樹脂製で一面(図2では上面)1aが開放され、この開放面1a側に開閉自在な樹脂製の蓋2が備えられている。この筐体1は、蓋2の両側ヒンジ2a部を上方に向けてビルやマンションなどの光ケーブルFの引き込み口や光電気変換後の電気信号を出力するTV出力信号用ケーブルの引き込み口近くの建物壁面に、取付片1f(図1・図2参照)を用いて固定用ねじ(図示せず)で取り付けられる。
図2に示すように、筐体1の開放面1aに、浅くて上端が開放されたトレイ状の樹脂製光ケーブル収納部3が取り外し可能に嵌め込まれている。一方、光ケーブル収納部3の下方の筐体1内には、本例の場合、図示を省略するが、電源部と、この電源部から電力供給され、光信号を電気信号に変換するO/E変換器、変換された電気信号を増幅する増幅器などが収納されている。筐体1の下面1b(取付状態で下面に位置する側)には、図の左側から順に、予備端子孔1g、電気信号たとえばTV信号の出力端子31用の孔1c、出力端子31から出力されるTV信号をモニターするためのモニター端子32用の孔1dが穿設されている。また、筐体1の下面1bには、蓋2の開放端側枠2bの幅方向中央部に係止板4が直角方向に突設され、この係止板4に対応して係止される係止片4aが筐体1の下面1bの幅方向中央部に一体に形成されている。さらに、蓋2の係止板4の両側に一定の間隔をあけて専用の留め具5がその挿通孔部5a内から一部を突出してそれぞれ直角方向に突設され、筐体1の下面1bに留め具5用ねじ孔部5bがそれぞれ一体に形成されている。
図2に示すように、光ケーブル収納部3は全周囲にわたり枠壁3a・3bなどが立設され、光ケーブルFの出入口6(下面側端部)に位置する枠壁3aの一部が切り欠かれて開口されている。この切り欠き開口3cに一致するように、筐体1の下面1bにも開口1eが設けられ、さらに蓋2の開放端側枠2bにも同様な開口2cが設けられている。なお、図1・図2に示すように壁面取付片1fは止めねじ用貫通孔を備えているが、この取付片1fは下端縁の3箇所のほか、上端縁の中央部にも設けられている。
また、光ケーブル収納部3の出入口6には、図3・図4に示すように、本例では最多で3本の光ケーブルFを幅方向に一定間隔をあけて同時に挿入して挟持できるように、3本の光ケーブルFの各挿入路6aに3つの独立した弾性体ホルダー7の装着部6aが形成されており、これらの光ケーブルFの各挿入路6aである装着部6aは、図4のように側方の枠壁3bに沿って平行に立設された枠壁3dとこれに対向しかつ一定間隔をあけて平行に立設された内側の枠壁3e・3f・3gとを備えている。各弾性体ホルダー7の幅方向の中心位置には光ケーブル挿通溝8が長手方向に沿って一直線状に形成され、図5に示すように挿通溝8は本例では下端に開放部8bを有する溝からなり、弾性体ホルダー7の全体がゴムやエラストマーなどの弾力性を具備した材料で成形されている。つまり、弾性体ホルダー7は、図5に示すように、挿通溝8の下端(筐体1の取付状態では背面)側において幅方向の中心位置に切り込み(開放部)8b(図5参照)が長手方向の全長にわたって入れられ、挿通溝8の上面側は全長にわたり閉塞されている。
また、弾性体ホルダー7の基端位置と長手方向のほぼ中間位置とに底面を除き外周面に補強用角枠状突起部7a・7bが一体に形成されており、切り込み8bは各突起部7a・7bにも一連に入れられている。そして、中間位置の突起部7aのすぐ基端側に縦溝(リブ10の嵌入孔)7cが形成されている。各弾性体ホルダー7の両側面の縦溝7cより基端側は、図5に示すように長手方向に沿って基端側に漸次幅が広がったテーパー面7dに形成されている。また図3〜図5に示すように、弾性体ホルダー7の出入口6側上端縁部7eが外方へ向け延設され、光ケーブル収納部3に対する装着状態で雨水等の侵入を防止するように構成されている。なお、弾性体ホルダー7は未使用状態(成形状態)では、図5(b)のように挿通溝8の下面側開放部8bは基端より長手方向のほぼ中間位置にかけて形成されており、中間位置より先端側8b’は閉塞されている。そして、使用時に指の爪で裂くようにして開放し、使用される。このため、増設用に予備的に出入口6の装着部6aに装着された状態では、下面の長手方向の先端側開放部8b’は塞がれており、挿通溝8内に浸水しにくい。
光ケーブル収納部3の出入口6には、各弾性体ホルダー7の両側の縦溝7cに対応するリブ10が各枠壁3d〜3gの基端位置に形成され、このリブ10と所定の間隔をあけて各枠壁3d〜3gの先端位置にリブ部11が形成されている。また、各枠壁3d〜3gおよび各リブ10および各リブ部11の相対向する面(挟持面)は、図4に示すように間隔が一定な挟持面10a・10aおよび挟持面11a・11aにそれぞれ形成されている。さらに、各基端側リブ10の上端には、長方形板状の抜止め片10bが一体に形成されている。
光ケーブル収納部3の出入口6より内方において各枠壁3d〜3gの基端から一定の距離をあけて、光ケーブルFをカバーチューブF2ごと固定するための固定用クリップ12が着脱可能に設けられている。この固定用クリップ12は図4に示すように、断面が逆L形で、水平な押圧用上面板状部(短辺側)12aとこの先端より直角下向きに延びた垂直板状部(長辺側)12bとを有する。垂直板状部12bには、下端が開放され上端に向けて直線状に延びる3本の光ケーブルFの差込溝13が幅方向に間隔をあけて形成されている。これらの差込溝13の位置は、光ケーブル収納部3の出入口6において装着された各弾性体ホルダー7の挿通溝8の延長線上にある。また、固定用クリップ12は板金製や硬質樹脂製からなり、光ケーブル収納部3の底面より立設された支持部材14に着脱可能に取り付けられる。支持部材14は、本例では、固定用クリップ12の垂直板状部12bを挿入可能な隙間をあけて相対向して立設された対をなす4組の支持片14aを備えており、対をなす支持片14aの各組は、固定用クリップ12の差込溝13に相当する位置に開口14bを設けて横一列に連続して形成されている。
本例の場合、光ケーブルFはワイヤーなどのサポートメンバー(図示せず)が光ファイバーF1に沿って内装されており、ゴムや軟質樹脂からなるカバーチューブF2で全長にわたり被覆されている。また、光ケーブルFは断面が縦長の長方形状で、弾性体ホルダー7の挿通溝8および固定用クリップ12の差込溝13はそれぞれ光ケーブルFの断面形状に対応する開口断面、具体的には光ケーブルFの断面形状の幅寸法よりやや狭く、上下方向(縦方向)の寸法よりも長く延びた縦長溝形状に形成されている。さらに、弾性体ホルダー7の挿通溝8の下端開放部8bは、光ケーブルFの挿入を容易にするため下向きに開口幅が漸次広がるように形成されることがある。これにより光ケーブルFは弾性体ホルダー7とクリップ12との2箇所で、カバーチューブF2の部分が弾性体ホルダー7の基端側テーパー面7dあるいは差込溝13でそれぞれ両側から締め付けるように挟持され、定位置において一直線状に確実に固定される。
さらに、光ケーブル収納部3には、底面上に立設された板状のリブを組み合わせることによって、光ケーブルFの余長部分F1をループ状に巻装するために通す多彩な経路が形成されている。すなわち、図2に示すように、本例では、多数の仕切り壁により、光ケーブルFのカバーチューブF2から剥き出して露出させた光ファイバーF1を巻き付けることにより、余長部分F1を収納する余長収納部20に区画されている。この余長収納部20には、第1の巻き付け部21と第2の巻き付け部22とが一定間隔をあけて配置されている。そして、第1の巻き付け部21は、第1の部分21Aと第2の部分21Bに分割され、第2の巻き付け部22は、第1の部分22Aと第2の部分22Bに分割されており、それらの部分21A・21Bと22A・22B間は、それぞれ光ケーブルFの光ファイバーF1を配置可能な通路となっている。また、第1の巻き付け部21と第2の巻き付け部22との間には、第1および第2の案内部24、25が配置されている。出入口6と第1の案内部24との間には、光ケーブルFを繋ぐ接続具(たとえばメカニカルスプライス)を保持する第1の保持部26が配置され、出入口6の反対側に位置する第2の案内部25の外側には、接続具(図示せず)を保持する第2および第3の保持部27、28が配置されている。また、各保持部26〜28には、接続具(図示せず)が外れにくいように一対の押圧フィン26a〜28aが設けられている。
上記の光ケーブルFの余長部分F1の巻き付け構造については公知の構造であり、特に限定するものではないので、詳しい説明は省略する。
以上のようにして、本発明の実施例にかかる光受信機の筐体1が構成されるが、続いて使用態様について説明する。
通常は筐体1を建物の壁面に取り付けた状態で、光ケーブル収納部3を取り外して光ケーブルFの処理が行われる。弾性体ホルダー7は図4に示すように、収納部3の出入口6から光ケーブルFを光ケーブル収納部3内に引き込んだ状態で、光ケーブルFに被せるように下端開放部(切り込み)8bから挿入溝8内に挿入するか、あらかじめ弾性体ホルダー7の挿通溝8内に光ケーブルFを挿入した状態で光ケーブルFとともに出入口6のリブ10とリブ部11間に配置するか、いずれかの方法で装着される。ただし、この状態では、弾性体ホルダー7の挿入溝8はリブ10とリブ部11間で挟持されない位置(図3の左端の弾性体ホルダー7参照)にあるので、弾性体ホルダー7を挿通溝8の長手方向に沿って外方(図3では左方向)にスライドさせる(図3の中央および右端の弾性体ホルダー7参照)ことにより、弾性体ホルダー7の基端側テーパー面7dが対向するリブ10間の挟持面10aにて挟持され、基端の突起部7aがリブ10に係止され、中間の突起部7bがリブ部11に係止されて外方へのスライドが阻止され、同時に弾性ホルダー7の挿通溝8の開放部8bが閉塞され、挿通溝8内の光ケーブルFが弾性ホルダー7ごと締め付けられて固定される。
光ケーブルFは、図2に示すようにあらかじめカバーチューブF2から光ファイバーF1を剥き出し、出入口6の弾性体ホルダー7にて光ケーブルFを固定した状態で、さらに固定用クリップ12の差込溝13を光ケーブルFに嵌め込むとともに、固定用クリップ12を支持部材14の支持片14a間に挿入して支持することによって、光ケーブルFを一直線状に張った状態に把持することができる。このようにして光ケーブルFは光ケーブル収納部3の一側方(左側)の枠壁3bに沿って固定されるので、この状態で、光ファイバーの余長部分F1を巻き付けて余長収納部20に収納したり、光ケーブルFを光ケーブル収納部3の出入口6から筐体1側へ引き込み,O/E変換器などの電子機器に接続したりする。なお、光ケーブルFの処理が済み、光ケーブル収納部3内に収納した状態で、筐体1の開放面1a内に光ケーブル収納部3を嵌め込む。そして、蓋2を閉じた後に留め具5(図1参照)をねじ孔部5bに螺合させて締め付ければ、作業が終了する。
本例の場合、図1・図2に示すように2本の光ケーブルFを使用しており、左端の弾性体ホルダー7を増設用に装着している。増設用の弾性体ホルダー7は、出入口6のリブ10およびリブ部11間の光ケーブル装着部6aからの雨水等の侵入防止機能を有する。そして、たとえば、既設の筐体1内に引き込まれた光ケーブルFを分岐して隣接家屋などへ光ケーブルFを引き込む場合に、増設する光ケーブルFを左端の弾性体ホルダー7を利用して出入口6に固定して取り付ければよい。このとき、既に装着済みの2本の光ケーブルFには関係なく、つまり2本の光ケーブルFを把持している弾性体ホルダー7・7はそのままにし、左端の弾性体ホルダー7だけを使用することにより光ケーブルFを増設することができる。固定用クリップ12については3本の光ケーブルFを固定するように差込溝13を3本設けているので、固定用クリップ12だけを支持部材14から抜き出し、増設する光ケーブルFを空いている差込溝13に差し込んだのち、支持部材14に押し込んで3本の光ケーブルFを同時に固定すればよい。なお、上記実施例の固定用クリップ12は3本の光ケーブルFを同時に固定できるように3本の差込溝13を設けているが、この固定用クリップ12についても、独立した個々の弾性体ホルダー7に対応するように3つあるいは2つに分割してそれぞれ独立させ、支持部材14に押し込んで個々に支持するようにしてもよい。
図6は他の実施例にかかる弾性体ホルダー71による光ケーブルの挟持前の状態と挟持後の状態を示す平面図である。
本例の弾性体ホルダー71では、上記実施例と違って光ケーブルFの挿通溝8の開放部8bを上面側に設け、光ケーブルFを弾性体ホルダー71の上端開放部8aより挿通溝8内に挿入するようにしている。固定用クリップ12およびその支持部材14については図示していないが、弾性体ホルダー71の上方で光ケーブルFを固定用クリップ12にて固定すること、先端寄りのリブ部11は省略しているがリブ10間で弾性体ホルダー71を挟持して固定することなど、その他の構成および使用態様は上記実施例と共通しているので、説明を省略する。
以上に本発明の光ケーブル機器が光受信機である場合の実施例について説明したが、本発明の光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造は次のように実施することができる。
・弾性体ホルダー7・71では基端側の幅を基端方向に漸次拡大してテーパー面7bに形成したが、基端側だけでなく長手方向の先端寄りにも同様のテーパー面7bを形成し、リブ10間とリブ部11間でそれぞれのテーパー面を挟持するようにしてもよい。
・弾性体ホルダー7・71の幅を全長に亘って一定にし、リブ10の挟持面10aおよびリブ部11の挟持面11aを先端方向に向けて両側の間隔が漸次縮小するテーパー面に形成して弾性体ホルダー7・71の両側面を挟持するようにしてもよい。
・上記実施例では筐体1は横長形状であるが、縦長形状にすることができる。
・光ケーブル収納部3を筐体1から取り外し可能に構成したが、筐体1内の一部に光ケーブル収納部3を一体に形成することもできる。
・光ケーブルFの出入口6は筐体1の下面(正面)に限るものではなく、たとえば側面の一部に設けることもできる。
本発明の光ケーブル機器筐体の実施例を示す外観の斜視図で、蓋を閉じた状態を表している。 図1の光ケーブル機器筐体の蓋を開いた状態を示す斜視図である。 図2の一部を拡大して示す説明図である。 図3において弾性体ホルダーを取り外した状態で光ケーブルとの関連を示す説明図である。 弾性体ホルダーを装着部から取り外し、上下を反転して底面側を上方から見た状態の斜視図で、図5(a)は使用状態を、図5(b)は未使用状態を表しており、図5(c)は図5(b)のc−c断面図である。 本発明の他の実施例にかかる弾性体ホルダー71を示すもので、図6−1(a)は2本の弾性体ホルダーによる光ケーブルの挟持前の状態を示す平面図、図6−1(b)は同挟持後の状態を示す平面図である。 図6−2(a)は増設用(予備)の弾性体ホルダーによる光ケーブルの挟持前の状態を示す平面図、図6−2(b)は同挟持後の状態を示す平面図である。
符号の説明
1 光ケーブル機器筐体
1a筐体1の開放面
1b筐体1の下面
1c出力端子孔
1dモニター端子孔
1e・2c開口
1f予備端子孔
2 蓋
2a両側ヒンジ
2b蓋2の開放端側枠
3 光ケーブル収納部
3a・3b・3d枠壁
3c切り欠き開口
4 係止板
4a係止片
5 留め具
5a挿通孔部
5bねじ孔部
6 出入り口
6a装着部(光ケーブルの挿入路)
7・71 弾性体ホルダー
7a・7b補強用突起部
7c縦溝
7dテーパー面
8 挿通溝
8b開放部(切り込み)
10 リブ
11 リブ部
10a・11a挟持面
10b長方形板状の抜止め片
12 クリップ
12a上面板状部(短辺側)
12b垂直板状部(長辺側)
13 差込溝
14 支持部材
14a支持片
14b開口
31 出力端子
32 モニター端子
F 光ケーブル
F1光ファイバー
F2カバーチューブ

Claims (2)

  1. 光ケーブルを収納可能な光ケーブル収納部を備えた光ケーブル機器筐体の出入口において光ケーブルを取り外し可能に固定する光ケーブル固定構造であって、
    前記光ケーブル収納部の出入口に幅方向に間隔をあけて光ケーブルの挿入路を設け、各挿入路には幅方向に間隔をあけて対をなす複数組のリブを対向して立設し、各組のリブ間に光ケーブルを挿入可能な開放部を下面または上面に有する挿通溝を備えた複数個の弾性体ホルダーをそれぞれ独立させ、着脱可能かつ長手方向にスライド可能に装着するとともに、
    前記リブの対向する挟持面を両者の間隔が前記挿通溝の長手方向に沿って漸次狭くなるようにテーパー状に形成するか、または前記各弾性体ホルダー被挟持面を両者の間隔が前記挿通溝の長手方向に沿って漸次広くなるようにテーパー状に形成したこと
    前記光ケーブル収納部の出入口において装着された前記各弾性体ホルダーの挿通溝の延長線上で前記各弾性ホルダー端から前記光ケーブル収納部内方へ一定距離離間した位置に、光ケーブルの固定用クリップを着脱可能に取り付けたこと、
    前記弾性体ホルダーは前記挿通溝の開放部を下面側に備えるとともに、前記固定用クリップは、下向きに延びる垂直板状部を有し、前記垂直板状部に、下端を開放した光ケーブルの差込溝を幅方向に間隔をあけ、かつ上端にわたって複数列設け、前記固定用クリップの垂直板状部の一部を差込可能な挿入溝を備えた支持部材を、前記光ケーブル収納部の底部に立設したこと
    を特徴とする光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造。
  2. 前記光ケーブル収納部を、前記光ケーブル機器筐体内の上端開口部に取り外し可能に嵌め込んだこと
    を特徴とする請求項1に記載の光ケーブル機器筐体における光ケーブル固定構造。
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