JP4787714B2 - 光ケーブル用クロージャ - Google Patents

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Description

本発明は光ケーブル用クロージャに係り、例えば、複数本の光ファイバ心線を収容して敷設されている幹線系光ケーブルの途中から光ファイバ心線を後分岐させる際に使用される光ケーブル用クロージャに関するものである。
従来、複数本の光ファイバ心線を収容した幹線系光ケーブルから光ファイバ心線を分岐して、戸内等へ引き落とし、戸内にて接続等を行う場合に用いられる光ケーブル用クロージャが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている技術では、幹線系光ケーブルから分岐させた光ファイバ心線と引き落とし側の光ファイバ心線が接続され、クロージャ内において、その接続部と光ファイバ心線の余長分とを収納するための心線接続余長収納トレイを備えている。このクロージャは、幹線系光ケーブルから引き出された光ファイバ心線同士あるいは幹線系光ケーブルから引き出された光ファイバ心線と引き落とし側のドロップ光ケーブルから引き出された光ファイバ心線とを接続した接続部が収納されている。さらに、接続された光ファイバ心線の余長部分を巻回して収納する心線余長収納部を備えている。
ところで、光ケーブルを用いたネットワークの中で、加入者宅まで直接光ファイバを引き込むFTTH(Fiber To The Home)の形態では、一般に加入者宅近傍に1心〜数心程度の光ケーブルが通信事業者のネットワークとして配線されている。FTTHにおいては、この光ケーブルから必要心数(通常、加入者宅あたり1〜4心)が引き落とされて加入者宅に引き込まれる。通常、加入者宅は不特定な場所であり、このような加入者宅に光ファイバを引き込むには、既設の光ケーブルに引き落とし用のドロップ光ケーブルを接続するため、後分岐型のクロージャが用いられる(例えば、特許文献2参照)。
このような後分岐型のクロージャは、配線されている幹線系光ケーブルに直接取り付けられ、クロージャ内部で幹線系光ケーブルの外被を剥ぎ取り、要求される心数の光ファイバ心線を切断後、取り出し、剥ぎ取り分の余長を活用して引き落とし側のドロップ光ケーブルと接続し、収納するものである。したがって、残りの光ファイバはそのまま幹線系光ケーブルに収容された状態で下流側へ行き、別の加入者宅への引き落としに使用される。
特開2001−42155号公報 特開2001−174645号公報
しかしながら、上記後分岐型クロージャは、加入者の需要に対して、幹線系光ケーブルの近接した箇所で引き落とすため、設置場所が不特定となる。そのため、ケーブルが多く敷設されている所に設置する必要が生じる場合があり、大きなサイズのクロージャでは既設のクロージャと干渉して邪魔になるため、望んだ位置に敷設することができなくなる。したがって、クロージャはできるだけ小さいサイズが望まれる。従来のクロージャでは、幹線系光ケーブルを把持する部分が、ケーブルの外被に対して対向する2方向から把持部材を接近させる構造となっており、その移動する長さ分を確保することがクロージャの大型化を招いていた。
そこで、本発明の目的は、小型で任意の場所に設置することができる光ケーブル用クロージャを提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明に係る光ケーブル用クロージャは、複数本の光ファイバ心線を収容し部分的に外被を除去した光ケーブルを支持するフレームと、前記フレームの長手方向両端近傍部で前記光ケーブルを把持する把持部と、前記フレーム及び前記把持部を前記光ケーブルとともに覆うスリーブと、を有する光ケーブル用クロージャであって、
前記把持部が、前記フレームに固定された固定側把持板と、この固定側把持板に対向して接近及び離反可能な移動側把持板と、前記フレームにおける前記固定側把持板の固定位置に取り付けられるU字型部材と、前記移動側把持板を前記U字型部材に移動可能に支持するねじ部材と、前記U字型部材に設けられているスリットに通して当該U字型部材を前記フレームに取り付ける取り付け板とを有し、
前記U字型部材の開口の間隔が前記フレームの幅よりも大きく、前記U字型部材の開口に収められた前記フレームが前記開口の方向に抜け出ないように前記取り付け板が前記スリットに通された状態で、前記移動側把持板を前記固定側把持板に接近させることにより前記光ケーブルを把持することを特徴とする。
本発明に係る光ケーブル用クロージャにおいて、前記把持板が鬼目板であることが好ましい。
また、本発明に係る光ケーブル用クロージャにおいて、前記スリットが複数段設けられており、前記取り付け板を取り付ける前記スリットの位置により前記フレームに対する前記U字型部材の位置を調整可能であることが好ましい。
本発明に係る光ケーブル用クロージャによれば、スリーブ内のフレームの両端部に設けられている把持部によって光ケーブルを把持し、両把持部の間において光ケーブル内の所望の光ファイバ心線を引き出して引き落とし側の光ファイバ心線と接続する。把持部においては、一方の固定側把持板がフレームに固定されるとともに、他方の移動側把持板のみが固定側把持板に対向して接近及び離反可能となっているため、従来のように両側の把持板が移動する場合よりも小型化を図ることができ、光ケーブル用クロージャの設置自由度が向上する。したがって、幹線系光ケーブルの途中から光ファイバを後分岐させる際に使用する光ケーブル用クロージャとして好適である。
以下、本発明に係る光ケーブル用クロージャの実施形態の例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の光ケーブル用クロージャ(以下、クロージャと呼ぶ)の分解図、図2はスリーブを取り付けた状態のクロージャを示す各平面図、図3はフレームに固定された固定側把持板を示す各平面図、図4はU字型部材の各平面図、図5は取り付け板の平面図、図6は光ケーブルを把持部に把持させる手順を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態のクロージャ10は、複数本の光ファイバ心線11を収容して架空に敷設された幹線系の光ケーブル12に取り付けられるものであり、部分的に外被を除去した光ケーブル12を支持するフレーム21と、フレーム21の長手方向両端近傍部で光ケーブル12を把持する把持部30と、フレーム21及び把持部30を光ケーブル12とともに覆うスリーブ20と、を備えている。そして、把持部30が、フレーム21に固定された固定側把持板31と、この固定側把持板31に対向して接近及び離反可能な移動側把持板32とを有し、移動側把持板32を固定側把持板31に接近させることにより光ケーブル12を把持するようになっている。
図2において、(A)はクロージャの平面図、(B)はクロージャの正面図、(C)はクロージャの端面図である。
図2に示すように、スリーブ20は樹脂製の断面略矩形状(図2(C)参照)の筒状の部材であり、内部にフレーム21及び把持部30を光ケーブル12とともに収容する空間を有するとともに長手方向の両端面に開口部20dが形成されている。スリーブ20の上面中央部は、肉厚が薄くされて弾性変形可能であるヒンジ部20aが設けられている。また、下面には長手方向全長にわたって切れ目20bが形成されており、ヒンジ部20aを撓ませてスリーブ20を開くことができ、なおかつ使用時には略密閉状態に閉じて留め具24によって留めることができるようになっている。また、両端の開口部20d周辺には開口部20dがグロメット23に対応した形状となるように壁20cが設けられており、この壁20cより内側でグロメット23を密閉状態で取り付け可能となっている。
図1に示すように、グロメット23は、例えば耐水性を有するゴム製であり、中央には円形の開口23aが設けられている。光ケーブル12は、クロージャ両端に取り付けられたグロメット23の開口23aを通って、スリーブ20の内部空間に挿通されている。また、開口23aは小さな外径の光ケーブル12から大きな外径の光ケーブル12に対応できるように、複数種の内径の開口23aが軸方向に所定間隔で略同心円状または偏心円状に形成されている。これにより、外径が異なる光ケーブル12を収容する場合でも、同じグロメット23を用いて、クロージャ両端からの水や埃等の侵入を防止できる。
また、グロメット23には、引き落とし用のドロップ光ケーブル13を挿通して防水を図るための挿通孔も複数設けられている。
図1に示すように、スリーブ20の内部空間には、内部空間の略全長にわたる長さのフレーム21が収容されている。このフレーム21は、例えば断面コ字状の金属製の板部材であり、開口を下向きにして用いられている。また、フレーム21の両端に、光ケーブル12を把持する把持部30が設けられており、両把持部30間で光ケーブル12の外被が除去されている。この外被が除去された部分から、後分岐される光ファイバ心線11が引き出され、所定の長さで切断されてドロップ光ケーブル13の光ファイバ心線と接続される。引き出されて切断された光ファイバ心線11と、ドロップ光ケーブル13の光ファイバ心線とは、例えば融着により接続され、その接続部14はフレーム21の天板21aの中央部上面に設けられた接続部固定用の凹部等に嵌め込まれて固定される。また、天板21aの中央部上面には、接続部14を覆って保護する接続部収納部を設けてもよい。ドロップ光ケーブル13は、グロメット23の挿通孔を通してスリーブ20の外へ導出され、FTTHの加入者宅まで引き込まれる。
図3〜図5に、把持部30を示す。図3はフレームに固定された固定側把持板を示し、(A)はフレームの端面図、(B)は(A)中矢印B方向から見た底面図である。
図3に示すように、フレーム21の天板21aの下面には、一方の把持板である固定側把持板31がネジ31b等の固定手段によって固定されている。固定側把持板31は、断面円形の光ケーブル12を把持するものであり、光ケーブル12の軸方向に沿って左右両縁端が下方へ湾曲して光ケーブル12の外被に接触する面積を大きくしている。フレーム21の天板21aの下面には、固定側把持板31の左右両側に位置決め突起25が設けられており、光ケーブル12を把持した際に固定側把持板31の位置がずれないようにしている。この位置決め突起25は、フレーム21の天板21aを切り起こして形成するとよい。なお、固定側把持板31には、下向きに爪31aが突出した鬼目板を用いるのが望ましい。これにより、爪31aが光ケーブル12の外被に食い込んで、光ケーブル12を確実に保持することができる。
図4は把持部30のU字型金具を示し、(A)は正面図、(B)及び(C)は側面図、(D)は(A)中矢印D方向から見た平面図である。
図4に示すように、移動側把持板32は、開口を上にしたU字形状のU字型部材33の内側に、上下移動可能に設けられている。例えば、U字型部材33に底部を貫通するネジ穴33aを設け、このネジ穴33aに螺合するネジ部材34の頂部に移動側把持板32を取り付けておく。これにより、ネジ部材34を回転させることにより移動側把持板32を上下移動(固定側把持板31に対向して接近及び離反)させることができ、移動側把持板32を固定側把持板31に接近させることで、固定側把持板31との協働により、光ケーブル12を把持することができる。
なお、移動側把持板32も、固定側把持板31と同様に、爪32aを備えた鬼目板を用いることが望ましい。固定側把持板31と移動側把持板32が鬼目板であれば、把持した光ケーブル12に張力が作用しても安定した把持力を発揮できる。
なお、移動側把持板32は、断面円形の光ケーブル12を把持しやすいように、固定側把持板31に対応して、左右両縁端を上方へ湾曲させている。また、ネジ部材34の下端部には六角穴34aが設けられ、六角レンチを六角穴34aに差し込んでネジ部材34を回転させることができる。これにより、手指だけでネジ部材34を回転させるより大きなトルクを得ることができ、光ケーブル12の把持力を高めることができるとともに、ネジ部材34には取手のような部材を設ける必要がなく、構造が簡潔になる。また、スリーブ20の下面にネジ部材34の下部が貫通する孔を設けるようにすることにより、スリーブ20の径方向の大きさを小さくすることができる。この場合、ネジ部材34用の孔はスリーブ20の下面に設けられるため、クロージャ10を架空に敷設した状態でも防水性において問題とはならない。
また、U字型部材33の開口の間隔は、フレーム21の幅よりも若干大きめとなっており、U字型部材33の内側にフレーム21を入れることができる。また、U字型部材33の左右の上端部には、各々複数段(本実施形態では2段)のスリット35a,35bが左右で同じ高さ位置に設けられている。これにより、取り付け板36(図5参照)を取り付けるスリット35a,35bの位置を選択することにより、外径が異なる光ケーブル12(例えば、8mm〜30mm)に対して、移動側把持板32のネジ部材34の長さを特に長くすることなく、確実に光ケーブル12を把持することができることになる。また、一方のスリット35aの幅は、他方のスリット35bの幅よりも大きく形成しておく。
図5は取り付け板を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
把持部30は、図5に示すように、幅が大きい方のスリット35aに挿通することができ、かつ、幅が狭くなっている先端部36aのみが幅の小さなスリット35bに挿通可能な形状をした取り付け板36を備えている。取り付け板36を、先端部36a側から幅の大きいスリット35aへ外側から挿入し、先端部36aを幅の狭いスリット35bに挿入する。幅の大きい幅広部36bは幅の狭いスリット35bには挿入できないため、容易に位置決めすることができる。なお、フレーム21に固定側把持板31を取り付けるためのネジがフレーム21の天板21aの上面から突出しており、取り付け板36の対応する位置に貫通孔36cや凹部を設けて干渉しないようにするとともに、取り付け板36をフレーム21に対して位置決めすることができる。
図6(A)〜(D)に、フレーム21に光ケーブル12を把持する手順を示す。まず、図6(A)に示すように、移動側把持板32を下げた状態でU字型部材33をフレーム21の下方へ配置し、フレーム21の固定側把持板31と移動側把持板32の間に光ケーブル12を配置する。そして、図6(B)に示すように、U字型部材33の内側に光ケーブル12を収容するようにU字型部材33とフレーム21を相対的に接近させて、U字型部材33の上端部のスリット35a,35bが少なくとも1段フレーム21の天板21aよりも上方へ突出するようにする。その後、図6(C)に示すように、フレーム21よりも上方の幅広のスリット35aの外側から取り付け板36を挿入し、取り付け板36の先端部36aを幅狭のスリット35bに挿入して、U字型部材33を取り付ける。
最後に、図6(D)に示すように、ネジ部材34を回転させて移動側把持板32を上昇させ、固定側把持板31との協働で光ケーブル12を把持して固定する。このとき、固定側把持板31及び移動側把持板32の爪31a,32aが、光ケーブル12の外被に食い込むようにする。また、移動側把持板32を持ち上げることにより、光ケーブル12を介して固定側把持板31が持ち上げられることになるので、取り付け板36はスリット35a,35b内に押圧され、別の係止手段等がなくてもU字型部材33から脱落することはない。特に、フレーム21の天板21aから上方に、固定側把持板31を固定しているネジ31bが突出している場合には、取り付け板36の対応する位置に貫通孔36c等を設けることにより、確実に取り付け板36の脱落を防止することができる。
以上説明したクロージャ10によれば、光ケーブル12を把持する把持部30は、固定側把持板31がフレーム21に固定されるとともに、他方の移動側把持板32のみを移動可能としているので、従来のように両把持板31,32が移動する場合よりも小型化を図ることができる。これにより、クロージャ10の設置自由度が向上するため、ケーブルが多く敷設されている所で後分岐を行う場合でも、既設のクロージャと干渉せず所望の位置に敷設することができる。
また、U字型部材33に複数段のスリット35を設けてU字型部材33の取り付け位置を上下調整可能としたので、外径の異なる光ケーブル12にも対応しやすく、移動側把持板32を移動させるネジ部材34の長さを短くすることができ、クロージャ10をコンパクトにすることができる。
本発明の光ケーブル用クロージャに係る実施形態の例を示す分解図である。 スリーブを取り付けた状態のクロージャを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は端面図である。 フレームに固定された固定側把持板を示し、(A)はフレームの端面図、(B)は(A)中矢印B方向から見た底面図である。 把持部のU字型金具を示し、(A)は正面図、(B)及び(C)は側面図、(D)は(A)中矢印D方向から見た平面図である。 取り付け板を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。 光ケーブルを把持部に把持させる手順を示す平面図である。
符号の説明
10 光ケーブル用クロージャ
11 光ファイバ心線
12 光ケーブル
14 接続部
20 スリーブ
21 フレーム
30 把持部
31 固定側把持板
32 移動側把持板
33 U字型部材
34 ねじ部材
35a,35b スリット
36 取り付け板

Claims (3)

  1. 複数本の光ファイバ心線を収容し部分的に外被を除去した光ケーブルを支持するフレームと、前記フレームの長手方向両端近傍部で前記光ケーブルを把持する把持部と、前記フレーム及び前記把持部を前記光ケーブルとともに覆うスリーブと、を有する光ケーブル用クロージャであって、
    前記把持部が、前記フレームに固定された固定側把持板と、この固定側把持板に対向して接近及び離反可能な移動側把持板と、前記フレームにおける前記固定側把持板の固定位置に取り付けられるU字型部材と、前記移動側把持板を前記U字型部材に移動可能に支持するねじ部材と、前記U字型部材に設けられているスリットに通して当該U字型部材を前記フレームに取り付ける取り付け板とを有し、
    前記U字型部材の開口の間隔が前記フレームの幅よりも大きく、前記U字型部材の開口に収められた前記フレームが前記開口の方向に抜け出ないように前記取り付け板が前記スリットに通された状態で、前記移動側把持板を前記固定側把持板に接近させることにより前記光ケーブルを把持することを特徴とする光ケーブル用クロージャ。
  2. 請求項1に記載の光ケーブル用クロージャであって、
    前記把持板が鬼目板であることを特徴とする光ケーブル用クロージャ。
  3. 請求項1または2に記載の光ケーブル用クロージャであって、
    前記スリットが複数段設けられており、前記取り付け板を取り付ける前記スリットの位置により前記フレームに対する前記U字型部材の位置を調整可能であることを特徴とする光ケーブル用クロージャ。
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